(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174046
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】物体検出装置、警備システム、物体検出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20231130BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20231130BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/89
G08B25/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086664
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 沢樹
(72)【発明者】
【氏名】鹿倉 克之
【テーマコード(参考)】
5C087
5J084
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA11
5C087AA23
5C087AA25
5C087AA32
5C087AA44
5C087BB20
5C087DD05
5C087DD23
5C087DD24
5C087DD49
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5J084AA02
5J084AA14
5J084AB05
5J084AB07
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA50
5J084CA03
5J084CA31
5J084EA07
(57)【要約】
【課題】本来は測距センサの検出範囲外である非検出エリアにおける物体検出を可能にする。
【解決手段】レーザ光を照射可能な検出エリアにおける物体からの前記レーザ光の反射光の戻り時間を計測し、当該物体までの距離を得る測距部と、前記測距部が得た前記距離をもとに前記物体の形状を三次元で把握する物体検出部と、を備え、前記物体検出部は、前記測距部により前記物体までの距離を得ることができない非検出部分が発生している場合には、前記非検出部分のうち前記測距部が原理的に前記物体を検出することができない非検出エリアに、前記物体が存在すると推測する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射可能な検出エリアにおける物体からの前記レーザ光の反射光の戻り時間を計測し、当該物体までの距離を得る測距部と、
前記測距部が得た前記距離をもとに前記物体の形状を三次元で把握する物体検出部と、
を備え、
前記物体検出部は、前記測距部により前記物体までの距離を得ることができない非検出部分が発生している場合には、前記非検出部分のうち前記測距部が原理的に前記物体を検出することができない非検出エリアに、前記物体が存在すると推測する、
ことを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記物体検出部は、前記非検出部分が前記検出エリアの境界まで到達している場合、前記物体を侵入者と判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記物体検出部は、前記非検出部分が前記検出エリアの境界から離れている場合、前記物体を飛翔体と判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記物体検出部は、前記非検出部分が一時的にでも前記検出エリアの境界から離れた場合、前記物体を飛翔体と判断する、
ことを特徴とする請求項2に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記物体検出部は、前記物体を飛翔体と判断した場合、前記物体が侵入者であるとの判断を誤報とする、
ことを特徴とする請求項4に記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記測距部は、3D-LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の物体検出装置。
【請求項7】
レーザ光を照射可能な検出エリアにおける物体からの前記レーザ光の反射光の戻り時間を計測し、当該物体までの距離を得る測距部と、
前記測距部が得た前記距離をもとに前記物体の形状を三次元で把握する警備装置と、
を備えた警備システムであって、
前記警備装置は、前記測距部により前記物体までの距離を得ることができない非検出部分が発生している場合には、前記非検出部分のうち前記測距部が原理的に前記物体を検出することができない非検出エリアに、前記物体が存在すると推測する、
ことを特徴とする警備システム。
【請求項8】
レーザ光を照射可能な検出エリアにおける物体からの前記レーザ光の反射光の戻り時間を計測し、当該物体までの距離を得る測距部から得た前記距離をもとに前記物体の形状を三次元で把握するシステムにおける物体検出方法であって、
前記測距部により前記物体までの距離を得ることができない非検出部分が発生している場合には、前記非検出部分のうち前記測距部が原理的に前記物体を検出することができない非検出エリアに、前記物体が存在すると推測する、
ことを特徴とする物体検出方法。
【請求項9】
コンピュータを、
レーザ光を照射可能な検出エリアにおける物体からの前記レーザ光の反射光の戻り時間を計測し、当該物体までの距離を得る測距部から得た前記距離をもとに前記物体の形状を三次元で把握する物体検出部として機能させるものであって、
前記物体検出部は、前記測距部により前記物体までの距離を得ることができない非検出部分が発生している場合には、前記非検出部分のうち前記測距部が原理的に前記物体を検出することができない非検出エリアに、前記物体が存在すると推測する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置、警備システム、物体検出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検出エリアへの人物等の物体の侵入を検出する物体検出装置が開示されている。このような物体検出装置においては、検出エリアへ照射したレーザ光の反射光をもとに得られる距離画像に基づいて検出エリアへの人物等の物体の侵入を検出する3D-LiDARなどの測距センサを用いたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、3D-LiDARのように、予め決められた検出エリアの中でレーザ光を照射し反射光の戻り時間を計測することで物体までの距離を測定して検出する測距センサの場合、測距センサの直近領域にある物体からは反射光を受信できないため原理的に物体を検出できない非検出エリアになる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、本来は測距センサの検出範囲外である非検出エリアにおける物体検出を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、レーザ光を照射可能な検出エリアにおける物体からの前記レーザ光の反射光の戻り時間を計測し、当該物体までの距離を得る測距部と、前記測距部が得た前記距離をもとに前記物体の形状を三次元で把握する物体検出部と、を備え、前記物体検出部は、前記測距部により前記物体までの距離を得ることができない非検出部分が発生している場合には、前記非検出部分のうち前記測距部が原理的に前記物体を検出することができない非検出エリアに、前記物体が存在すると推測する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、測距部と測距部による検出エリアとの間に位置する原理的に物体を検出することができない非検出エリアにおいて、物体の存在を推測することで、本来は測距部の検出範囲外である非検出エリアにおける物体検出を可能にすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明に係る物体検出装置を用いた警備システムの概略構成を例示的に示す図である。
【
図2】
図2は、物体検出装置の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、物体検出装置の設置例を示す図である。
【
図4】
図4は、物体検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、移動物体の背後に非検出部分が発生している例を示す図である。
【
図6】
図6は、移動物体の背後に非検出部分が発生している別の例を示す図である。
【
図7】
図7は、物体検出装置の物体検出部における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、物体検出装置、警備システム、物体検出方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明に係る物体検出装置10を用いた警備システム1の概略構成を例示的に示す図である。
図1に示すように、警備システム1は、警備対象20に設置された物体検出装置10と、警備装置40と、警備対象20に対して遠隔地にある監視センタ30とを備えている。
【0011】
警備システムを構成する物体検出装置10と警備装置40とは、例えばLAN(Local Area Network)によるネットワーク50で接続され、互いに通信が可能とされている。なお、物体検出装置10と警備装置40との通信方式は、無線通信方式であっても、有線通信方式であってもよい。
【0012】
また、警備装置40は、図示しない火災センサおよび人体検知センサとそれぞれネットワークで接続され、火災センサからの火災信号、および人体検知センサからの検知信号等を受信可能とされている。さらに、警備装置40は、例えばインターネットである外部ネットワーク60を介して、警備対象20に対して遠隔地にある監視センタ30と通信可能とされている。なお、ここでは、警備対象20は、例えば店舗、事務所、テナントビル、マンション、住宅などの建物であるとする。
【0013】
警備装置40は、動作モードとして少なくとも「警備モード」と「警備解除モード」を有し、警備対象20の管理者等による操作に応じて設定された動作モードを物体検出装置10へ通知する。なお、動作モードについては、後述する。
【0014】
物体検出装置10は、警備対象20における物体の検出情報を、ネットワーク50を介して警備装置40に送信する。なお、物体検出装置10は、警備装置40の動作モードに応じて、警備対象20における物体の検出情報を送信しないようにしてもよい。
【0015】
警備装置40は、物体検出装置10から物体の検出情報を受信すると、動作モードに応じて、該受信した物体の検出情報を含む警備対象20の異常を、外部ネットワーク60を介して監視センタ30に通報する。また、警備装置40は、火災センサからの火災信号や人体検知センサからの検知信号等を受信すると、動作モードに応じて、該受信した信号を異常として監視センタ30に通報する。
【0016】
次に、警備装置40における動作モードについて簡単に説明する。
【0017】
「警備モード」とは、無人となった警備対象20を警備する動作モードである。「警備モード」に設定された警備装置40は、物体検出装置10からの物体の検出情報や火災センサからの火災信号、人体検知センサからの検知信号等を受信すると、該物体の検出情報や該受信した信号を監視センタ30に異常として通報する。なお、警備装置40は、異常を通報する動作と共に該動作の履歴を残す動作を行っても良いし、警備対象20へ報知音や光などで異常を報知したりしても良い。
【0018】
「警備解除モード」とは、警備対象20の内部に関係者がおり、警備を必要としない場合の動作モードである。「警備解除モード」に設定された警備装置40は、物体検出装置10からの物体の検出情報や人体検知センサからの検知信号等を受信しても、警備対象20に異常があるものとは判断せず、監視センタ30へ異常を通報する動作を行わない。これは、物体検出装置10等により物体の存在を検出しても、関係者を検出したものと判断するためである。
【0019】
監視センタ30では、警備装置40から異常が通報されると、通報の内容等をモニタに表示させる。例えば監視員がこれらモニタの表示に基づき、警備対象20における異常の発生の有無を監視する。監視員は、警備対象20内で異常が発生していると認識すると、待機中の警備員に当該警備対象20へ向かうように指示したり、必要に応じて警察や消防など関係機関へ通報を行ったりする。また、監視センタ30では、警備装置40から通報された異常の内容等を記録装置に記録する。また、監視センタ30は、警備システム1の利用者(契約者等)の携帯端末(携帯電話機等)に異常の知らせを送信する構成としてもよい。
【0020】
次に、物体検出装置10の構成について説明する。
【0021】
図2は物体検出装置10の一例を示す斜視図、
図3は物体検出装置10の設置例を示す図である。
図3に示すように、物体検出装置10は、警備対象20の天井90に設置されている。なお、
図2に示す物体検出装置10は、天井90に設置されたときの設置姿勢を示している。
【0022】
物体検出装置10は、例えば距離測定可能な3次元測距センサである3D-LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)である測距部12を備える。3D-LiDARは、パルス状に発光するレーザ照射に対する散乱光を測定し、遠距離にある物体までの距離を分析する。具体的には、測距部12は、レーザ光を照射し、物体からのレーザ光の反射光の戻り時間を計測し、物体までの距離や方向を測定する。測距部12は、辺り一面にくまなく照射したレーザ光の測定結果の1つひとつが「点」で表され、「点」を集めることで「点描」の要領でリアルタイムに物体までの距離や位置、形状などを把握することが可能になる。
【0023】
図2に示すように、3D-LiDARである測距部12を備える物体検出装置10は、透光部材である保護カバー11の内部に、警備対象20に一定間隔でレーザ光を放射状に照射する発光部12aと検出エリアA1内の物体で反射されたレーザ光である反射光を検出する受光部12bとを備える。
【0024】
物体検出装置10の周囲には、一定間隔で発光部12aから走査されたレーザ光が到達し、該到達した位置にある移動物体Oで該レーザ光が反射された場合に該反射光が受光部12bに到達して検出され、
図3に示すように、測距部12が移動物体Oを検出することが可能な領域である、検出エリアA1が構成される。
【0025】
図3に示すように、物体検出装置10は、天井90に設置され、警備対象20を見下ろす形で監視する防犯用センサである。
【0026】
物体検出装置10は、例えば2m先の物体から測距可能(機種によって距離は異なる)などとなっており、ある程度の距離を離れないと、物体からの反射を受信することができない。これは、発光部12aによるレーザ光の照射から受光部12bによる反射光の受信への切り替えが間に合わないためである。すなわち、
図3に示すように、物体検出装置10は、直近領域を原理的に物体検出できない非検出エリアA0としている。
【0027】
図4は、物体検出装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、物体検出装置10は、測距部12と、制御部13と、記憶部14と、報知部15と、を備えている。
【0028】
測距部12は、レーザ光を一定間隔で放射状に照射する発光部12aと、検出エリアA1内の物体で反射されたレーザ光である反射光を検出する受光部12bとを備えている。
【0029】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)と、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、ワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)とを備えたコンピュータ構成のものである。制御部13は、CPUがROMに格納されたプログラムを実行するなどして、警備装置40の動作モード等に応じて物体検出装置10による移動物体Oの検出処理のための制御動作や演算処理を行う物体検出部131として機能する。
【0030】
なお、本実施の形態の物体検出装置10の制御部13で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0031】
本実施の形態の物体検出装置10の制御部13で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0032】
さらに、本実施の形態の物体検出装置10の制御部13で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の物体検出装置10の制御部13で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0033】
制御部13の物体検出部131は、測距部12から得られる物体までの距離をもとに検出エリアA1での物体の形状を三次元で把握し、侵入者等の移動物体Oの有無を判断する。より詳細には、物体検出部131は、同じような距離や反射率であり、かつ、一塊で動いていくデータの集合体(点群など)を1つの移動物体Oとして認識する。そして、物体検出部131は、物体有りと判断した場合に、警備装置40へ検出情報を出力する。
【0034】
加えて、物体検出部131は、測距部12により非検出部分X(
図5、
図6参照)が発生している場合には、測距部12と検出エリアA1との間に位置する原理的に物体を検出することができない非検出エリアA0に、移動物体Oが存在すると推測する。これは、非検出エリアA0に物体がある場合には、その背後(物体によりレーザ光の影となる部分)に非検出部分Xが発生するためである。
【0035】
ここで、
図5は移動物体Oの背後に非検出部分Xが発生している例を示す図である。
図5は、侵入者である移動物体Oの頭が非検出エリアA0にある場合を示している。この場合、移動物体Oの頭までの距離は得られないが、移動物体Oの頭の背後に非検出部分Xが発生している。
図5に示すように、物体検出部131は、移動物体Oの頭の背後に発生した非検出部分Xが検出エリアA1と検出エリアA1外との境界に接している場合、非検出エリアA0に移動物体Oが存在すると推測するとともに、移動物体Oを侵入者と判断し、検出情報を出力する。
【0036】
一方、
図6は移動物体Oの背後に非検出部分Xが発生している別の例を示す図である。
図6は、虫(例えば、蛾)などの飛翔体である移動物体Oが非検出エリアA0に侵入している場合を示している。この場合、移動物体Oまでの距離は得られないが、移動物体Oの背後に非検出部分Xが発生している。
図6に示すように、物体検出部131は、移動物体Oの背後に発生した非検出部分Xが検出エリアA1と検出エリアA1外との境界から離れている場合、移動物体Oが存在すると推測するとともに、移動物体Oを虫(例えば、蛾)などの飛翔体と判断し、検出情報を出力しない。
【0037】
物体検出部131は、非検出部分Xの発生を検出し、非検出部分Xが検出エリアA1と検出エリアA1外との境界に接していることから移動物体Oを侵入者と判断した後、非検出部分Xと検出エリアA1とが接しているかを継続して監視し、一時的にでも離れた場合には移動物体Oを虫などの飛翔体と判断し、以後当該非検出部分Xについては、当該非検出部分Xと検出エリアA1とが再度接した場合も虫などの飛翔体によるものと判断しつづけてもよい。なお、このように判断する場合は、侵入者と判断した時点で警報装置40に検出情報を出力し、虫などの飛翔体によるものと判断した時点で先に出力した検出情報を取り消す。
【0038】
記憶部14は、情報の書き換えが可能な記憶部、例えばFlashROMなどである。記憶部14は、移動物体Oの検出処理に使用する各種情報を記憶する。
【0039】
報知部15は、制御部13の出力に基づき報知音を発するスピーカ15aと、制御部13の出力に基づき光を発するLED等の表示部15bとを備えている。
【0040】
以下、物体検出装置10の動作について説明する。
図7は、物体検出装置10の物体検出部131における処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
物体検出部131は、検出エリアA1に非検出部分X(
図5、
図6参照)が発生しているかを判断する(ステップS1)。
【0042】
物体検出部131は、測距部12により検出エリアA1において非検出部分X(
図5、
図6参照)が発生していると判断した場合には(ステップS1のYes)、非検出エリアA0に移動物体Oが存在すると推測する(ステップS2)。
【0043】
なお、物体検出部131は、測距部12により検出エリアA1において非検出部分X(
図5、
図6参照)が発生していない場合には、検出情報を出力せずに終了する(ステップS1のNo)。
【0044】
次いで、物体検出部131は、移動物体Oの背後に発生した非検出部分Xが検出エリアA1の境界に接している場合(ステップS3のYes)、移動物体Oを侵入者と判断し(ステップS4)、警備装置40へ検出情報を出力する(ステップS5)。
【0045】
また、物体検出部131は、移動物体Oの背後に発生した非検出部分Xが検出エリアA1の境界から離れている場合(ステップS3のNo)、移動物体Oを虫(例えば、蛾)などの飛翔体と判断し(ステップS6)、検出情報を出力せずに終了する。
【0046】
このように本実施形態によれば、測距部と測距部による検出エリアとの間に位置する原理的に物体を検出することができない非検出エリアにおいて、物体の存在を推測することで、本来は測距部の検出範囲外である非検出エリアにおける物体検出を可能にすることができる、という効果を奏する。
【0047】
また、移動物体Oを虫(例えば、蛾)などの飛翔体と判断した場合には、検出情報を出力しなかったり、先に出力した検出情報を取り消したりすることで誤報を防止することができる。
【0048】
なお、物体検出装置10は
図7のフローチャートの処理を行うのと同時に、移動物体Oを検出し、当該移動物体Oを侵入者であるか判断する処理を行っている。
【0049】
また、警備装置40は物体検出装置10より受信した検出情報を即時に監視センタ30に通報せず、所定時間継続した場合に通報するようにしてもよい。このように構成することで、所定時間内に物体検出装置10より検出情報が誤報であるとの情報を受信した場合は、監視センタへの誤報を防止することができる。
【0050】
また、上記で説明した実施形態の各機能のうち、物体検出部131は警備装置に備えて、物体検出装置10の測距部12から物体までの距離情報を受信する構成にしてもよい。
【0051】
また、上記で説明した実施形態の各機能(物体検出部131)は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0052】
1 警備システム
10 物体検出装置
12 測距部
40 警備装置
131 物体検出部
A1 検出エリア
A0 非検出エリア
X 非検出部分