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  • 特開-ヒンジカバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174055
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ヒンジカバー
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20231130BHJP
   E05D 11/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B60J5/04 L
E05D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086677
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598059675
【氏名又は名称】株式会社ヴイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 功
(72)【発明者】
【氏名】河上 泰章
【テーマコード(参考)】
2E032
【Fターム(参考)】
2E032AA06
(57)【要約】
【課題】組み付け性をより向上できるヒンジカバーを開示する。
【解決手段】ヒンジカバー40であって、ドアヒンジ16は、ボディ14に締結された固定ブラケット20と、前記車両のドアに締結される可動ブラケット28と、を有しており、前記ヒンジカバー40は、前記固定ブラケット20を車幅方向外側から覆う外壁42と、前記外壁42の上下方向両端から車幅方向内側に延びる上壁44および下壁46と、を有する本体部41であって、その車両前後方向両端および車幅方向内側端の3方向が開口された本体部41と、前記上壁44および前記下壁46の末端から上下方向内側に突出する一対の組付爪50であって、前記固定ブラケット20と前記ボディ14との隙間に入り込む一対の組付爪50と、を備え、前記ヒンジカバー40は、前記固定ブラケット20に対して、後方側および前方側のいずれからも組み付け可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアヒンジの一部を隠すヒンジカバーであって、
前記ドアヒンジは、前記車両のボディに締結された固定ブラケットと、前記車両のドアに締結されるとともに前記固定ブラケットに対して回動可能な可動ブラケットと、を有しており、
前記ヒンジカバーは、
前記固定ブラケットを車幅方向外側から覆う外壁と、前記外壁の上下方向両端から車幅方向内側に延びる上壁および下壁と、を有する本体部であって、その車両前後方向両端および車幅方向内側端の3方向が開口された本体部と、
前記上壁および前記下壁の末端から上下方向内側に突出する一対の組付爪であって、前記固定ブラケットと前記ボディとの隙間に入り込む一対の組付爪と、
を備え、前記ヒンジカバーは、前記固定ブラケットに対して、後方側および前方側のいずれからも組み付け可能である、
ことを特徴とするヒンジカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、車両のドアヒンジの一部を覆って隠すヒンジカバーを開示する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の側部のドアは、ドアヒンジにより回動可能に保持されている。ドアヒンジは、車両のボディに締結された固定ブラケットと、ドアに締結されるとともに当該固定ブラケットに対して回転可能な可動ブラケットと、を有する。
【0003】
ここで、通常、車両前部の側部ドアを保持するドアヒンジの固定ブラケットは、側方視で、フェンダーパネルと側部ドアとの双方に跨る位置に取り付けられることが多い。この場合、フェンダーパネルと側部ドアとの間の隙間から固定ブラケットおよびこれを締結するボルトの頭部が見えてしまい、車両の見栄えが低下する。
【0004】
そこで、一部では、固定ブラケットを、車幅方向外側から覆って隠すヒンジカバーを設けることが提案されている。例えば、特許文献1には、ヒンジ取付ベース(固定ブラケットに対応)を、袋状ヒンジカバーで包み込む技術が開示されている。袋状ヒンジカバーは、その車幅方向内側端および後端の2方向のみが開口した形状であり、クリップを用いてヒンジ取付ベースに締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実全昭62-030922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のヒンジカバーは、ヒンジカバーをクリップで締結しており、その締結作業が面倒であった。そこで、締結部材を用いず、ヒンジカバーを、固定ブラケットに対してスライド移動させて、ヒンジカバーの一部を固定ブラケットに係合させるスライド組み付けを行うことも考えられる。しかし、特許文献1のように、ヒンジカバーの車両前後方向の一端(特許文献1の場合、後端)しか開口していない場合、スライド組み付けする際の組み付け方向が一方向(特許文献1の場合、前方から後方に向かう向き)に限定されてしまう。この場合、組付け作業性が悪くなる。
【0007】
そこで、本明細書では、組み付け性をより向上できるヒンジカバーを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示するヒンジカバーは、車両のドアヒンジの一部を隠すヒンジカバーであって、前記ドアヒンジは、前記車両のボディに締結された固定ブラケットと、前記車両のドアに締結されるとともに前記固定ブラケットに対して回動可能な可動ブラケットと、を有しており、前記ヒンジカバーは、前記固定ブラケットを車幅方向外側から覆う外壁と、前記外壁の上下方向両端から車幅方向内側に延びる上壁および下壁と、を有する本体部であって、その車両前後方向両端および車幅方向内側端の3方向が開口された本体部と、前記上壁および前記下壁の末端から上下方向内側に突出する一対の組付爪であって、前記固定ブラケットと前記ボディとの隙間に入り込む一対の組付爪と、を備え、前記ヒンジカバーは、前記固定ブラケットに対して、後方側および前方側のいずれからも組み付け可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示するヒンジカバーによれば、ヒンジカバーを固定ブラケットにスライドまたは押し込んで、一対の組付爪を固定ブラケットとボディとの間に入り込ませれば、ヒンジカバーを固定ブラケットに組み付けできる。換言すれば、クリップ等の締結部材が不要となるため、ヒンジカバーの組み付け性が向上する。また、本明細書で開示するヒンジカバーは、前端および後端の双方に開口が設けられているため、固定ブラケットの前方および後方のいずれからも組み付けが可能となる。結果として、ヒンジカバーの組み付け性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ヒンジカバーの斜視図である。
図2】ヒンジカバーを車幅方向内側からみた図である。
図3】固定ブラケットおよびヒンジカバーを図2のA-A線で切断した断面図である。
図4】固定ブラケットおよびヒンジカバーを図2のB-B線で切断した断面図である。
図5】ドアヒンジの斜視図である。
図6】車両前部付近の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照してヒンジカバー40の構成について説明する。図1は、ヒンジカバー40の斜視図であり、図2は、ヒンジカバー40を車幅方向内側からみた図である。また、図3は、固定ブラケット20およびヒンジカバー40を図2のA-A線で切断した断面図であり、図4は、固定ブラケット20およびヒンジカバー40を図2のB-B線で切断した断面図である。なお、以下の各図において、「Fr」、「Up」、「Out」は、それぞれ、車両前方、車両上方、車幅方向外側を示している。ヒンジカバー40は、ドアヒンジ16の一部を車幅方向外側から覆って隠す部材である。
【0012】
このヒンジカバー40の説明の前に、ドアヒンジ16について図5図6を参照して説明する。図5は、ドアヒンジ16の斜視図であり、図6は、車両前部付近の斜視図である。本例のドアヒンジ16は、フロントドア10を回動自在に保持する。
【0013】
ドアヒンジ16は、図5に示すように、車両のボディ14に締結される固定ブラケット20と、フロントドア10の前端に締結される可動ブラケット28と、を有している。固定ブラケット20は、さらに、ボディ14に締結される締結部22と、立ち上がり部24と、に大別される。締結部22は、ボディ14と厚み方向に重ねられるプレート状である。この締結部22の上下方向両端は、車幅方向外側に折り返された折り返し部22aとなる。立ち上がり部24は、締結部22の後端から車幅方向外側に延びる部位である。この立ち上がり部24の末端近傍には、回転軸(図示せず)が挿通される回転軸孔34が形成されている。
【0014】
可動ブラケット28は、回転軸を介して固定ブラケット20に回動可能に連結されている。この可動ブラケット28は、車両側方視で、横に倒したハットのような形状であり、ハットの鍔に対応する部分には、連結孔36が形成されている。可動ブラケット28は、この連結孔36に挿通されるボルト(図示せず)により、フロントドア10に連結される。そして、これにより、可動ブラケット28およびフロントドア10が、固定ブラケット20、ひいては、ボディ14に対して回動可能となる。
【0015】
ここで、固定ブラケット20は、車両側方視で、フェンダーパネル12とフロントドア10の双方に跨る位置、すなわち、図6における位置Pに取り付けられる。フェンダーパネル12とフロントドア10との境界には、僅かながら隙間が存在している。そのため、後に詳説するヒンジカバー40を設けない場合、この隙間から、固定ブラケット20あるいは締結ボルト30が見えてしまい、車両の見栄えが低下する。そこで、本例では、固定ブラケット20を車幅方向外側から覆うヒンジカバー40を設けている。
【0016】
ヒンジカバー40は、樹脂等からなる略トンネル状の本体部41を有する。本体部41は、固定ブラケット20の締結部22を車幅方向外側から覆う外壁42と、外壁42の上端から車幅方向内側に延びる上壁44と、外壁42の下端から車幅方向内側に延びる下壁46と、外壁42の前端から車幅方向内側に延びる前壁48と、に大別される。このうち、前壁48の車幅方向寸法は、上壁44および外壁42の車幅方向寸法よりも十分に小さく、ヒンジカバー40の前端には、前壁48で覆われない開口が存在している。換言すれば、ヒンジカバー40の本体部41は、その前端、後端、および、車幅方向内側端が大きく開いた略トンネル状である。
【0017】
外壁42の後端近傍は、固定ブラケット20の立ち上がり部24との干渉を避けるべく、車両後方に進むにつれて車幅方向外側に向かうように、急激にせり出している。外壁42の裏面(車幅方向内側に向いた面)からは、固定ブラケット20の補強のために、三つのリブ52f,52s,52tが突出している。三つのリブ52f,52s,52tは、外壁42の上下方向中央において、車両前後方向に間隔を開けて並んでいる。このうち、中間に位置する第二リブ52sの後端面は、図4に示す通り、車幅方向内側に進むにつれて、車両前方に進む傾斜部(以下「第一傾斜部54」と呼ぶ)となっている。
【0018】
上壁44および下壁46の末端からは、組付爪50が、上下方向内側に突出している。この組付爪50は、図3に示すように、固定ブラケット20の締結部22とボディ14との間に入り込み、締結部22を上下方向両側から抱え込む。図2に示すように、この組付爪50の後端は、上下方向内側に進むにつれて車両前方に進む第二傾斜部56となっている。また、組付爪50の前端は、上下方向内側に進むにつれて車両後方に進む第三傾斜部58となっている。
【0019】
図1に示す通り、前壁48には、一対の補助切欠60が形成されている。かかる補助切欠60を設けることで、固定ブラケット20全体が容易に撓みやすくなり、ひいては、一対の組付爪50の間隔を容易に広げることができる。
【0020】
次に、こうしたヒンジカバー40を、固定ブラケット20に組み付ける手順について説明する。ヒンジカバー40は、固定ブラケット20をボディ14に締結した後、固定ブラケット20に組み付けられる。ヒンジカバー40の組み付け方向としては、図4における第一方向D1と、第二方向D2と、がある。第一方向D1は、ヒンジカバー40を、締結部22の前側から後側に向かってスライド移動させて組み付ける方向である。第二方向D2は、ヒンジカバー40を、締結部22の斜め後ろ側から締結部22に嵌め込んで組み付ける方向である。第二方向D2からの組み付けは、フロントドア10の組み付け前に実行される。第一方向D1および第二方向D2のいずれを採用するかは、他部材、特にフェンダーパネル12との位置関係、ひいては、車種によって異なる。フェンダーパネル12の形状が、ヒンジカバー40を車両前側からスライド移動させる手指と干渉しやすい形状の場合、第二方向D2の組み付け方向が採用される。一方、フェンダーパネル12の形状が、ヒンジカバー40を斜め後ろ方向から嵌め込もうとする手指と干渉しやすい形状の場合、第一方向D1の組み付け方向が採用される。
【0021】
ヒンジカバー40を第一方向D1に沿ってスライドさせる場合、最初に、組付爪50の後端が、締結部22の前端に当接する。この組付爪50の後端は、上述した通り、傾斜形状、すなわち、第二傾斜部56となっている。この第二傾斜部56が、締結部22の前端に当接した状態で、ヒンジカバー40を後方にスライド移動させると、スライド方向の力の一部は、一対の組付爪50の間隔を広げる方向の力(図3における力F1)に変換される。そして、これにより、一対の組付爪50で締結部22の上下方向両端を容易かつ確実に挟持することができる。
【0022】
また、図4から明らかな通り、ヒンジカバー40を固定ブラケット20の前方から第一方向D1に沿ってスライドさせる場合、そのスライドの過程で、第二リブ52sが、前方側の締結ボルト30fの頭部を乗り越える必要がある。本例では、第二リブ52sの後端を傾斜部、すなわち、第一傾斜部54としている。そのため、スライド移動に伴い、第二リブ52sが、締結ボルト30fの頭部を容易に乗り越えることができる。
【0023】
次に、第二方向D2での組み付けについて説明する。ヒンジカバー40を第二方向D2に沿って後外側から嵌め込む場合、最初に、組付爪50の前端、すなわち、第三傾斜部58が、締結部22の折り返し部22aの末端に干渉する。その状態で、ヒンジカバー40を、さらに、前内側に押し付けると、上壁44および下壁46が撓み、一対の組付爪50の間隔が広がる。上述した通り、本例では、前壁48に一対の補助切欠60を設けているため、こうした上壁44および前壁48の撓みが容易に発生する。そして、この状態で、さらに、ヒンジカバー40を前内側に押し付け続けることで、最終的には、図3に示すように、一対の組付爪50が、締結部22とボディ14との隙間に入り込み、締結部22が一対の組付爪50で挟持される。
【0024】
以上の説明で明らかな通り、本例によれば、ヒンジカバー40をスライドまたは押し付けるだけで、ヒンジカバー40を固定ブラケット20に取り付けることができる。換言すれば、クリップ等の締結部材を別途用意する必要がないため、ヒンジカバー40を容易に組み付けることができる。また、本例によれば、ヒンジカバー40を、固定ブラケット20の前方および後方のいずれからでも組み付けることができる。その結果、同種のヒンジカバー40を、様々な車種に用いることができ、ヒンジカバー40の汎用性が向上する。
【符号の説明】
【0025】
10 フロントドア、12 フェンダーパネル、14 ボディ、16 ドアヒンジ、20 固定ブラケット、22 締結部、22a 折り返し部、24 立ち上がり部、28 可動ブラケット、30 締結ボルト、34 回転軸孔、36 連結孔、40 ヒンジカバー、41 本体部、42 外壁、44 上壁、46 下壁、48 前壁、50 組付爪、52f,52s,52t リブ、54 第一傾斜部、56 第二傾斜部、58 第三傾斜部、60 補助切欠。
図1
図2
図3
図4
図5
図6