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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174059
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 451
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086699
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 慶和
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056HA29
2C056HA33
2C056HA34
2C056HA46
2C056HA58
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】加熱部からの熱の影響が読取部に影響し難い画像記録装置を提供すること。
【解決手段】 プリンタ10は、搬送路33に沿って搬送方向PへシートSを搬送する搬送部23と、搬送路33の上方に位置してインクを吐出する記録ヘッド24と、記録ヘッド24の前方かつ搬送路33の下方に位置し、シートSまたはインクの少なくとも一方を加熱するヒータ26と、ヒータ26よりも前方かつ搬送路33の上方に位置し、シートSの画像を読み取るCISユニット30とを備えている。CISユニット30は、基板78を有しており、基板78は、ヒータ26よりも上下方向7における下方に位置する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って搬送方向へシートを搬送する搬送部と、
上記搬送路の上方に位置して液体を吐出する記録ヘッドと、
上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流かつ上記搬送路の下方に位置し、シートまたは液体の少なくとも一方を加熱する加熱部と、
上記加熱部よりも上記搬送方向の下流かつ上記搬送路の上方に位置し、シートの画像を読み取る読取部と、を備えており、
上記読取部は基板を有しており、
上記基板は、上記加熱部よりも上下方向における下方に位置する画像記録装置。
【請求項2】
上記搬送路は、
上記記録ヘッド及び上記加熱部が位置する第1路と、
上記読取部が位置する第2路と、
上記第1路と上記第2路とを連結する第3路と、を有しており、
上記第2路は、上記第1路より上下方向の下方に位置する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第1路に位置しており、上記記録ヘッドに対向して、シートを吸着しつつ上記搬送方向へ搬送する吸着支持部をさらに備えている請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記第3路において上記読取部より上記搬送方向の上流かつ上記第3路の上方に位置する拍車ローラをさらに備える請求項2または3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記搬送部は、第1ローラと、第2ローラと、を有しており、
上記第1ローラは、上記読取部の上記搬送方向における上流に位置しており、
上記第2ローラは、上記読取部の上記搬送方向における下流に位置する請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
筐体の内部空間に位置する開口を有しており、上記開口と上記筐体の外部とを気体が流通可能に連通するエアダクトと、
上記エアダクトを通じて上記筐体の内部空間から外部に送風する送風機と、をさらに備えており、
上記エアダクトの開口は、上記加熱部よりも上方に位置する請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された記録装置は、用紙に測色パターンを記録する記録ヘッドと、記録された用紙の測色パターンを測色する測色機と、測色パターンが記録された用紙を乾燥させて安定した色にする乾燥部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-230171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筐体内において読取部と乾燥部とが近い位置にあると、読取部の基板が熱の影響を受けて動作に不具合が生じ得る。特に、画像記録装置を小型化すると、筐体内において読取部を乾燥部に対して熱の影響がない程度に離すことが難しい。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱部からの熱の影響が読取部に影響し難い画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、搬送路に沿って搬送方向へシートを搬送する搬送部と、上記搬送路の上方に位置して液体を吐出する記録ヘッドと、上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流かつ上記搬送路の下方に位置し、シートまたは液体の少なくとも一方を加熱する加熱部と、上記加熱部よりも上記搬送方向の下流かつ上記搬送路の上方に位置し、シートの画像を読み取る読取部と、を備えており、上記読取部は基板を有しており、上記基板は、上記加熱部よりも上下方向における下方に位置する。
【0007】
上記構成によれば、読取部の基板が、加熱部よりも上下方向における下方に位置しているため、読取部は、加熱部によって熱せられたシートから発生した蒸気の熱による影響を受け難くなる。このため、読取部の読取性能の低下を抑制できる。
【0008】
(2) 好ましくは、上記搬送路は、上記記録ヘッド及び上記加熱部が位置する第1路と、上記読取部が位置する第2路と、上記第1路と上記第2路とを連結する第3路と、を有しており、上記第2路は、上記第1路より上下方向の下方に位置する。
【0009】
上記構成によれば、第2路を第1路よりも上下方向における下方に位置させることで搬送の際にシートをS字状に曲げた状態で搬送することができる。これにより、シートを第1路において加熱部の搬送方向における下流端に近接させてシート又は液体を確実に乾燥できる。さらに、第2路において読取部とシートとの距離のばらつきを抑制でき、読取部による安定した読み取りが可能である。
【0010】
(3) 好ましくは、上記第1路に位置しており、上記記録ヘッドに対向して、シートを吸着しつつ上記搬送方向へ搬送する吸着支持部をさらに備えている。
【0011】
上記構成によれば、シートに記録された画像に接触することなくシートを搬送することができるため、シートを汚すことなく搬送できる。
【0012】
(4) 好ましくは、上記第3路において上記読取部より上記搬送方向の上流かつ上記第3路の上方に位置する拍車ローラをさらに備える。
【0013】
上記構成によれば、加熱部から排出されるシートの先端部分を読取部に案内するとともに、加熱部の搬送方向における下流端に位置する部分をシートに確実に近接させ、第2路において読取部とシートとの距離のばらつきを抑制できる。
【0014】
(5) 好ましくは、上記搬送部は、第1ローラと、第2ローラと、を有しており、上記第1ローラは、上記読取部の上記搬送方向における上流に位置しており、上記第2ローラは、上記読取部の上記搬送方向における下流に位置する。
【0015】
上記構成によれば、読取部の搬送方向における上流と下流の両側に第1ローラ及び第2ローラが位置するため、シートが読取部において安定して支持される。これにより、シートに記録された画像が読取部によって確実に読み取られる。
【0016】
(6) 好ましくは、筐体の内部空間に位置する開口を有しており、上記開口と上記筐体の外部とを気体が流通可能に連通するエアダクトと、上記エアダクトを通じて上記筐体の内部空間から外部に送風する送風機と、をさらに備えており、上記エアダクトの開口は、上記加熱部よりも上方に位置する。
【0017】
上記構成によれば、加熱部によって熱せられたシートから発生した蒸気及び熱を、送風機によってエアダクトから強制的に外部に排出できるため、基板の温度上昇による読取部の読取性能の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、読取性能の低下を抑制できる画像記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(A)は、プリンタ10の外観を模式的に示す斜視図、図1(B)は、筐体カバー13が開位置にあるプリンタ10を模式的に示す斜視図。
図2図2は、図1の線II-IIに沿うプリンタ10の縦断面を示す模式図。
図3図3は、支持機構25周辺を上方から視た模式図。
図4図4は、図1の線II-IIに沿う筐体カバー13の縦断面においてCISユニット30およびヒータ26周辺の拡大図。
図5図5は、図2のCISユニット30の底面を示す斜視図であって、拍車ホルダユニット31が装着された状態を示す図。
図6図6(A)は、図2の線Va-Vaに沿う冷却ユニット32およびその周辺構成の横断面を示す模式図、図6(B)は、図5(A)の線Vb-Vbに沿う冷却ユニット32およびその周辺構成の縦断面を示す模式図。
図7図7は、第1拍車ローラ50に当接する位置まで搬送されたシートSを示す図である。
図8図8は、排出ローラ28Aに当接する位置まで搬送されたシートSを示す図である。
図9図9は、第1路55、第2路56、および第3路57を通過するシートSを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ10について詳説する。なお、下記の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0021】
実施形態では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。プリンタ10が使用可能に設置された状態(図1(A)の状態)を基準として上下方向7が定義される。プリンタ10において排出口16が設けられている側を前側として、前後方向8が定義される。プリンタ10を前方から見て左右方向9が定義される。
【0022】
[プリンタ10の筐体1]
図1図2に示されるように、プリンタ10(画像記録装置の一例)は、インクジェット記録方式でシートSに画像を記録する。
【0023】
プリンタ10において、筐体1は、略直方体形状であり、プリンタ10の内部空間11を外部から区画する。筐体1は、筐体ケース12および筐体カバー13からなる。
【0024】
筐体ケース12の前壁15には、排出口16が形成される。排出口16は、左右に細長い矩形形状の貫通孔である。筐体カバー13は、筐体ケース12の後壁17に、軸受およびシャフト(不図示)により取り付けられる。
【0025】
筐体カバー13は、シャフトの回転軸18(図1(B)参照)の周方向に閉位置(図1(A)に示される位置)および開位置(図1(B)に示される位置)の間で回動する。回転軸18は、左右方向9に平行である。閉位置の筐体カバー13は、筐体ケース12における上端の開口19を閉塞し、開位置の筐体カバー13は、開口19を開放する。なお、図1(B)には、筐体1内の構成は示されていない。また、以下では、特に断り書きが無い場合、用語「筐体カバー13」は、「閉位置の筐体カバー13」を意味する。
【0026】
[プリンタ10の内部構成]
図2に示されるように、プリンタ10は、内部空間11に、ロールホルダ21、テンショナ22、搬送部23、記録ヘッド24、支持機構(吸着支持部の一例)25、ヒータ(加熱部の一例)26、ヒータカバー27、基準板29、CISユニット(読取部の一例)30、拍車ホルダユニット31およびエアダクト32を備える。
【0027】
[ロールホルダ21]
内部空間11内で後方寄り且つ下方寄りには、隔壁36によりシート収容空間37が区画される。ロールホルダ21は、シート収容空間37内でフレーム(不図示)により支持される。ロールホルダ21には、ロール体38が装着され、シートSが芯管に巻回される。ロール体38は、芯管を有さないロール状に巻回されたシートSでもよい。また、シート収容空間37には、シートSとして、長尺のファンフォールド紙、またはカット紙が収容可能であってもよい。隔壁36の後端と、後壁17との間には、シートSが通過する隙間39が形成されている。シートSは、ロール体38から引き出されて隙間39を通ってテンショナ22に向かって延びる。
【0028】
[テンショナ22]
テンショナ22は、隔壁36より上方且つ後壁17付近に位置する。テンショナ22は、内部空間11内で左右両端付近に位置するフレーム(不図示)に支持され、フレーム間で左右方向9に延びる。テンショナ22は、前後方向8に移動可能であり、バネにより後向きに付勢される。テンショナ22は、筐体1の外方を向く湾曲面40を有している。シートSは、湾曲面40に下方から巻き掛けられて湾曲面40の上端を通過して、テンショナ22の前方に位置する搬送ローラ対41に向かって延びる。テンショナ22に巻き掛けられたシートSには、テンションが付与される。
【0029】
[搬送部23]
搬送部23は、シートSを搬送路33に沿って搬送する。搬送部23は、ロール体38から引き出したシートSを排出口16に搬送する。搬送部23は、搬送ローラ対41と、第1拍車ローラ(拍車ローラの一例)50と、第1排出ローラ対(第1ローラの一例)51と、及び第2排出ローラ対(第2ローラの一例)52とを有する。
【0030】
図2において、内部空間11には、シートSの搬送路33が形成される。搬送路33は、ロール体38から上方に延びた後、テンショナ22の上端から前方に延び、ヒータ26の前端付近で湾曲して斜め下方に延びて第1排出ローラ対51のニップ位置において再び湾曲して前方に延び、排出口16に至る。つまり、ロール体38とテンショナ22との間におけるシートSが搬送される搬送方向Pは上方であり、テンショナ22とヒータ26の前端付近と間における搬送方向Pは前方であり、ヒータ26の前端付近と第1排出ローラ対51との間における搬送方向Pは斜め下方に向く前方であり、第1排出ローラ対51と排出口16との間における搬送方向Pは前方である。搬送路33は、第1路55と、第2路56と、第3路57とを有する。
【0031】
第1路55は、搬送ローラ対41よりも前方、且つヒータ26の前端よりも後方に位置して前後方向8に直線状に延びる。第1路55における搬送方向Pの上流には上下方向7における上方に記録ヘッド24が位置し、上下方向7における下方には支持機構25が位置する。第1路55における搬送方向Pの下流には上下方向7における上方にヒータカバー27が位置し、上下方向7における下方にはヒータ26が位置する。
【0032】
第2路56は、第1排出ローラ対51よりも前方、且つ排出口16よりも後方に位置して前後方向8に直線状に延びる。第2路56は、第1路55よりも上下方向7における下方に位置する。第2路56の上下方向7における上方にはCISユニット30が位置し、上下方向7における下方には排出ローラ28A,28B、基準板29が位置する。
【0033】
第3路57は、ヒータ26よりも前方、且つ第1排出ローラ対51よりも後方に位置する。第3路57は、第1路55と第2路56とを連結している。第3路57は、搬送方向Pの上流から下流に向かって斜め下方に直線状に延びる。第3路57の上下方向7における上方には第1拍車ローラ50が位置する。
【0034】
搬送ローラ対41において、駆動ローラ42およびピンチローラ43は、テンショナ22の前方でフレームに支持され、左右方向9に延びる。ピンチローラ43は、駆動ローラ42の上端に上方から当接する。駆動ローラ42は、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転することによって、ピンチローラ43との間にシートSをニップしつつ前方にシートSを搬送する。
【0035】
第1拍車ローラ50は、第1路55から第2路56にシートSを案内する。第1拍車ローラ50の上下方向7における位置は、第1拍車ローラ50の回転中心が第1路55と同じか、それよりも上方に位置するように設定される。第1拍車ローラ50は、フレームにおいて回転可能に支持されている。第1拍車ローラ50は、モータ(不図示)から駆動伝達されて図2における時計回りの一方向に回転する。
【0036】
第1排出ローラ対51は、CISユニット30の後方、且つヒータ26の前方に位置する。第1排出ローラ対51は、シートSの下面に当接する排出ローラ28AとシートSの上面に当接する第2拍車ローラ317Aとを有する。排出ローラ28Aは、フレームに回転可能に支持されている。第2拍車ローラ317Aは、後述の拍車ホルダ313Aに回転可能に支持されている。排出ローラ28Aは、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転することによって、第2拍車ローラ317Aとの間にシートSをニップしつつ前方にシートSを搬送する。
【0037】
第2排出ローラ対52は、CISユニット30の前方、且つ排出口16の後方に位置する。第2排出ローラ対52は、シートSの下面に当接する排出ローラ28BとシートSの上面に当接する第3拍車ローラ317Bとを有する。排出ローラ28Bは、フレームに回転可能に支持されている。第3拍車ローラ317Bは、後述の拍車ホルダ313Bに回転可能に支持されている。排出ローラ28Aは、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転することによって、第3拍車ローラ317Bとの間にシートSをニップしつつ前方にシートSを搬送する。排出ローラ28A,28Bの各上端は、搬送ベルト60の搬送面64よりも上下方向7における下方に位置する。
【0038】
[記録ヘッド24]
記録ヘッド24は、ピンチローラ43の前方且つ支持機構25の上方の位置でフレームに支持される。記録ヘッド24は、記録ヘッド24の下面に形成された複数のノズル70が開口する面であるノズル面71を有しており、ノズル70から支持機構25に支持されたシートSへ向かってインク(液体の一例)を吐出する。これにより、シートSの記録面にインクによる画像が記録される。記録ヘッド24は、インクタンク(不図示)からチューブ(不図示)を介してインクの供給を受ける。インクは、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含有する。
【0039】
[支持機構25]
支持機構25は、搬送ローラ対41より前方、且つ記録ヘッド24の直下に位置し、フレームにより支持される。支持機構25は、搬送ベルト60と、駆動ローラ61と、従動ローラ62と、シート支持部材63を有する。
【0040】
搬送ベルト60は、無端ベルトであり、図2に示されるように、前後方向8に離間する駆動ローラ61および従動ローラ62に張架される。駆動ローラ61は、モータ(不図示)で生成された動力によって回転し、搬送ベルト60および従動ローラ62を回転させる。
【0041】
搬送ベルト60は、図2および図3に示されるように、搬送面64を有している。搬送面64は、搬送ベルト60の上端の矩形状の部分である。搬送面64は、搬送路33を挟んで記録ヘッド24のノズル面71と下方において対向している(図2参照)。搬送面64は、左右方向9においてシートSよりも狭い幅を有しており、搬送ローラ対41とヒータ26の間を搬送されるシートSを下方から支持し、シートSに搬送力を付与する。
【0042】
シート支持部材63は、図3に示されるように、搬送路33を搬送されるシートSを吸着する、左支持部材65および右支持部材66を有している。左支持部材65および右支持部材66は、搬送ベルト60の左隣および右隣にそれぞれ位置する。シート支持部材63は、搬送面64に支持されるシートSを搬送面64の左右両隣で支持する。左支持部材65および右支持部材66には、ポンプ(不図示)が接続されており上面に形成された開口67からシートSの下面を吸着可能に支持する。シートSは、左支持部材65および右支持部材66に吸着されつつ、搬送ローラ対41および搬送ベルト60から付与される搬送力によって搬送される。
【0043】
[ヒータ26]
ヒータ26は、支持機構25より前方でフレームに支持され、左右方向9に延びる。ヒータ26は、伝熱プレート(熱源の一例)73と、フィルムヒータ74と、を有している。伝熱プレート73は、金属製であり、搬送ベルト60の搬送面64と概ね同じ上下位置に、前後左右に拡がる支持面を有する。支持機構25から送り出されたシートSは、伝熱プレート73の支持面上で前方へと搬送される。フィルムヒータ74は、伝熱プレート73の下面に固定されており、コントローラ(不図示)の制御下で発熱する。この熱は、伝熱プレート73を介して、伝熱プレート73上のシートSに伝わる。伝熱プレート73の熱は、シートS、シートSに吐出されたインク、或いはシートSに吐出されてシートSに含浸したインクを加熱して水分を蒸発させる。
【0044】
[ヒータカバー27]
ヒータカバー27は、ヒータ26から上方に若干離れて位置する。ヒータカバー27は、筐体カバー13の左壁14および右壁20(図1(B)参照)の間で前後左右に拡がる。ヒータカバー27は、伝熱プレート73の支持面全域を覆っている。ヒータカバー27内には、3個の第4拍車ローラ75が前後に並んでいる。第4拍車ローラ75の各々は、左右方向9に平行な回転軸周りに回転可能にヒータカバー27に支持される。第4拍車ローラ75の各下端は、ヒータカバー27の下面に形成されたスリット(不図示)から、ヒータカバー27の下面に対し若干下方に突出する。
【0045】
[基準板29]
基準板29は、前後方向8において排出ローラ28A,28Bの間の位置でフレームに支持される。基準板29は、排出ローラ28A,28Bの各上端と概ね同じ上下位置で前後左右に拡がる支持面を有する。支持面は、上方を向いており、白色に着色されている。
【0046】
[CISユニット30]
CISユニット30は、シートSに記録された画像を読み取る。CISユニット30は、ヒータ26よりも前方に位置している。より具体的には、CISユニット30は、前後方向8において排出ローラ28A,28Bの間に位置し、上下方向7において基準板29の直上に位置する。CISユニット30は、図4に示されるように、左右方向9に延びる略直方体の筐体77を有しており、筐体77内に、基板78、LEDアレイ79、ロッドレンズアレイ80、およびラインセンサ81を有する。
【0047】
基板78は、筐体77内において、上下方向7における上寄りに位置している。基板78には、LEDアレイ79、およびラインセンサ81が搭載されている。基板78は、前後方向8および左右方向9に広がる平板形状である。基板78は、ヒータ26よりも上下方向7における下方に位置している。より具体的には、基板78の上端が、伝熱プレート73の下端よりも上下方向7における下方に位置していればよい。
【0048】
LEDアレイ79は、左右方向9に配列された複数のLEDであり、基準板29に向けて線状光を出射する。ラインセンサ81の直下にはロッドレンズアレイ80が位置している。ロッドレンズアレイ80は、左右方向9に配列された複数のロッドレンズであり、基準板29での反射光をラインセンサ81に結像させる。ラインセンサ81は、左右方向9に配列された複数のPDを有しており、各PDへの入射光量に応じたレベルを有するデータを出力する。
【0049】
[拍車ホルダユニット31]
図4図5に示されるように、筐体カバー13の内部空間11において筐体77の直前および直後には、収容空間101A,101Bがそれぞれ形成される。収容空間101Aは、ヒータカバー27より前方に区画される(図4参照)。収容空間101A,101Bの各々は、下向きに開放されている。収容空間101A,101Bには、二個一対の支持部材311A、311Bが筐体カバー13にそれぞれ取り付けられている(図5参照)。二個の支持部材311Aの間、および二個の支持部材311Bの間には、円柱形状のシャフト312A,312Bが左右方向9に平行に架け渡されている。
【0050】
シャフト312A,312Bには、拍車ホルダユニット31が着脱可能に取り付けられている。拍車ホルダユニット31は、シャフト312A,312Bに装着されるとき、収容空間101A,101Bに収容され、排出ローラ28A,28Bの上方に位置する(図4参照)。
【0051】
図5に示されるように、拍車ホルダユニット31は、拍車ホルダ313A,313Bと、連結部材314A,314Bと、嵌合部315A,315Bと、を有する。
【0052】
[拍車ホルダ313A,313B]
拍車ホルダ313A,313Bの各々は、左右方向9に細長く拍車ホルダユニット31がシャフト312A,312Bに装着された時に、収容空間101A,101Bに収容され位置決めされる。拍車ホルダ313A,313Bには、第2拍車ローラ317A、第3拍車ローラ317Bが左右にそれぞれ並んでいる。第2拍車ローラ317Aおよび第3拍車ローラ317Bの各々は、左右方向9に平行な回転軸周りに回転可能に拍車ホルダ313A,313Bに支持される。第2拍車ローラ317Aおよび第3拍車ローラ317Bの各下端は、拍車ホルダ313A,313Bに形成されたスリットから若干突出し、排出ローラ28A,28B(図4参照)の上端に当接する。
【0053】
図5に示されるように、連結部材314Aは、筐体77よりも左方の位置で前後に延びる平板であり、拍車ホルダ313A,313Bの左端同士を互いに連結する。連結部材314Bは、筐体77よりも右方の位置で前後に延びる平板であり、拍車ホルダ313A,313Bの右端同士を互いに連結する。
【0054】
嵌合部315Aは、拍車ホルダ313Aから後方に延びている。嵌合部315Bは、拍車ホルダ313Bから前方に突出している。嵌合部315A,315Bは、シャフト312A,312Bに嵌合する。嵌合部315A,315Bがシャフト312A,312Bに嵌合することで第2拍車ローラ317A、第3拍車ローラ317Bが、CISユニット30の前後に位置する。
【0055】
[エアダクト32]
図2に示されるように、エアダクト32は、内部空間11においてヒータカバー27、CISユニット30および拍車ホルダユニット31の上方に位置する。図6(A)および(B)に示されるように、エアダクト32は、左右に細長い略直方体形状を有しており、排気口110と、ケース111と、排気ファン(送風機の一例)112とを有している。
【0056】
排気口110は、筐体カバー13の左壁14に形成されている。排気口110は、筐体1の外部とケース111との間で空気が流通するように連通する。
【0057】
ケース111は、ヒータカバー27の上方に位置している(図6(B)参照)。ケース111は、後壁113、前壁114、上壁115、下壁116を有している。ケース111は、筐体カバー13の左壁14および右壁20の間に位置している。ケース111は、吸気口(開口の一例)117から排気口110への空気の排気流路118を内部空間11から区画する。
【0058】
後壁113は、上下方向7および左右方向9に拡がっており、下端付近において、伝熱プレート73によって熱せられたシートS等から発生する蒸気を内部空間11から排出するための吸気口117が形成されている。吸気口117は、左右方向9に細長い。吸気口117は、ヒータ26の上下方向7における上方、且つ搬送方向Pの上流側に位置している。前壁114は、ケース111の前側の壁であり、上下方向7および左右方向9に広がる。排気流路118は、矢印92で示されるように、吸気口117から排気口110に至る。
【0059】
排気ファン112は、排気口110を通じて筐体1の内部空間11から外部に送風する。排気ファン112は、吸込口が排気流路118の方を向いており、排気ファン112の吐出口は、排気口110と位置合わせされている。
【0060】
[プリンタ10の動作]
プリンタ10は、プリンタ10と通信可能な情報処理装置(例えばPC)からシートSに記録される画像を示す印刷データを受信すると画像記録を実行する。
【0061】
図2に示されるように、画像記録では、ロールホルダ21、駆動ローラ42、搬送ベルト60、第1拍車ローラ50、排出ローラ28A,28Bが回転する。これにより、シートSは、ロールホルダ21から繰り出されてテンショナ22の方へ搬送される。
【0062】
搬送ローラ対41は、テンショナ22からのシートSをニップし、第1路55へと送り出す。搬送ベルト60は、前方に走行する自身の搬送面64により、搬送ローラ対41から送り出されたシートSをさらに前方へと搬送する。左支持部材65、右支持部材66は、搬送ベルト60の左隣りおよび右隣りで、自身の支持面によりシートSを吸着しつつ支持する。記録ヘッド24は、印刷データに基づいて各ノズル70からインクを支持機構25により支持されるシートSに向けて吐出する。これにより、シートSには、画像が記録される。画像が記録されたシートSは、ヒータ26およびヒータカバー27間へと送られ、ヒータ26の支持面上でさらに前方へと搬送される。シートSには、ヒータ26の伝熱プレート73により熱が加えられる。
【0063】
さらに前方に搬送されたシートSは、図7に示されるように、先端部分が第1拍車ローラ50に当接し、時計回りに回転する第1拍車ローラ50によって上下方向7における下方に曲げられる。このとき、伝熱プレート73上に位置するシートSは曲がった状態でヒータ26における前端に近づくか又は接触する。この熱により、画像が記録されたシートS上またはシートS内の水分が蒸発する。インクが乾燥すると、画像はシートSに定着する。
【0064】
図8に示されるように、第1拍車ローラ50によって下方に曲げられたシートSは、斜め下方へと搬送され先端部分が排出ローラ28Aに当接する。シートSは、排出ローラ28Aの回転によって前方に沿う方向に曲げられ第2拍車ローラ317Aとの間にニップされる。
【0065】
図9に示されるように、シートSは、排出ローラ28Aおよび第2拍車ローラ317Aと、排出ローラ28Bおよび第3拍車ローラ317Bとによりさらに前方へと送られる。このとき、シートSは左右方向9から視てS字状に曲がった状態となる。排出ローラ28A,28Bの間では、シートSは、基準板29上で搬送される。CISユニット30は、シートSに記録された画像を光学的に読み取り、読取結果を示す読取データをコントローラに出力する。コントローラは、読取データに基づいて、シートSに記録された画像の品質を判定する。シートSは、画像が読み取られた後に排出口16から排出される。
【0066】
[エアダクト32による蒸気の流れ]
画像の記録が開始されヒータ26の伝熱プレート73によって画像記録されたシートSが加熱されると、インクおよびシートS自体の水分が蒸発して内部空間11において蒸気が発生する。発生した蒸気は、排気ファン112によって外部に排出される。
【0067】
図6(A)および(B)に示されるように、ヒータ26の加熱によって発生した蒸気は、内部空間11において上下方向7の上方へ移動する。このとき、図6(B)において矢印94で示されるように、蒸気が、排気ファン112によってケース111に形成された吸気口117から排気流路118に流入し、排気流路118内を流れて、排気ファン112を介して排気口110から筐体1の外部へと排出される。
【0068】
[プリンタ10の作用効果]
実施形態では、CISユニット30の基板78が、ヒータ26よりも上下方向7における下方に位置しているため、CISユニット30は、ヒータ26によって熱せられたシートSから発生した蒸気の熱による影響を受け難くなる。このため、CISユニット30の読取性能の低下を抑制できる。
【0069】
実施形態では、第1排出ローラ対51と排出口16の間に位置する第2路56が搬送ローラ対41とヒータ26の前端の間に位置する第1路55よりも上下方向7における下方に位置している。このため、搬送の際にシートSを左右方向9から視てS字状に曲げた状態で搬送することができる。これにより、シートSを第1路55においてヒータ26の前端に近接させてシートS又はインクを確実に乾燥させることができる。さらに、第2路56においてCISユニット30とシートSとの距離がばらつくのを抑制でき、CISユニット30による安定した読み取りが可能である。
【0070】
実施形態では、シートSに記録された画像に直接接触することなく吸着させてシートSを搬送することができるため、シートSを汚すことなく搬送できる。
【0071】
実施形態では、ヒータ26から排出されるシートSの先端部分をCISユニット30に案内するとともに、シートSのヒータ26の前端に位置する部分を確実にヒータ26に近接させ、第2路56においてCISユニット30とシートSとの距離のばらつきを抑制できる。
【0072】
実施形態では、CISユニット30の前方と後方の両側に第1排出ローラ対51及び第2排出ローラ対52が位置するため、シートSがCISユニット30において安定して支持される。これにより、シートSに記録された画像がCISユニット30によって確実に読み取られる。
【0073】
実施形態では、ヒータ26によって熱せられたシートSから発生した蒸気および熱を、排気ファン112によって排気口110から強制的に外部に排出できるため、基板78の温度上昇によるCISユニット30の読取性能の低下を抑制できる。
【0074】
[変形例]
実施形態では、第2路56が第1路55よりも上下方向7における下方に位置し、第1路55に対して平行に延びる搬送路33である。つまり、第1拍車ローラ50によって先端部分が下方に曲げられたシートSが、排出ローラ28Aの回転によって第2拍車ローラ317Aとの間にニップされることによって左右方向9から視てS字状に曲げられる場合を例にあげて説明した。しかしながら、搬送路33は、この構成に限らない。第2路56は、搬送方向Pにおける上流から下流に向かうに従って上下方向7における下方に傾斜するものであってもよく、シートSが略L字状に曲げられるものであってもよい。具体的には、第2路56が、第1路55の延びる方向に対して傾斜するものであって、第3路57の延長線上に延びるものであってもよい。
【0075】
実施形態では、第1拍車ローラ50は、モータから駆動伝達されて時計回りの一方向に回転する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。第1拍車ローラ50は、モータに接続されておらず、単に時計回りの一方向に回転可能に支持されているものであってもよい。この場合、第1拍車ローラ50の上下方向7における位置は、第1拍車ローラ50の回転中心が第1路55よりも上方に位置するように設定される。
【0076】
実施形態では、支持機構25は、左支持部材65および右支持部材66に、ポンプが接続されシートSを吸着しつつ搬送ベルト60で搬送する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。支持機構25は、例えば、サクションベルトを備えるものであってもよい。すなわち、吸着孔が形成された搬送ベルトと、吸着孔を通じて搬送ベルト周辺の空気を吸引するポンプとの組み合わせであってもよく、また、静電吸着方式の搬送ベルトであってもよい。
【0077】
実施形態では、エアダクト32が排気ファン112を有しており、排気ファン112がヒータ26などによって発生する熱を内部空間11から筐体1の外部に排出する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。エアダクト32は、例えば、吸込ファンを有するものであって、外部から取り込んだ空気をCISユニット30に向けて送風して冷却できるものであってもよい。
【0078】
実施形態では、エアダクト32は、後壁113の下端付近に形成された吸気口117から蒸気を取り込み、筐体カバー13の左壁14から排気できる構成を例にあげて説明したが、この構成に限らない。蒸気を取り込む吸気口117は、下壁116に形成されているものであってもよいし、前壁114に形成されているものであってもよい。
【0079】
実施形態では、エアダクト32が直方体形状である場合を例にあげて説明したがこの構成に限らない。エアダクト32は、例えば、内部空間11と外部とを連通する上下方向7に沿って延びる管形状の部材であってもよい。このとき、内部空間11に配置される吸気口117は、ヒータ26の上方に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1・・・筐体
10・・・プリンタ(画像記録装置)
11・・・内部空間
23・・・搬送部
24・・・記録ヘッド
25・・・支持機構(吸着支持部)
26・・・ヒータ(加熱部)
30・・・CISユニット(読取部)
33・・・搬送路
50・・・第1拍車ローラ(拍車ローラ)
55・・・第1路
56・・・第2路
57・・・第3路
78・・・基板
110・・・排気口
112・・・排気ファン(送風機)
117・・・吸気口(開口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9