(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174068
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】補助吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/475 20060101AFI20231130BHJP
A61F 13/495 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A61F13/475 111
A61F13/495
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086710
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 哲宏
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200BB03
3B200CA11
3B200DA02
3B200DB27
3B200DC05
3B200DC06
3B200DC07
3B200DC09
(57)【要約】
【課題】軟便の漏れを適切に防止できる、低コストの補助吸収性物品を提供すること。
【解決手段】吸収性物品50に取り付けられる補助吸収性物品40であって、長さが450mm以上650mm以下であり、幅が150mm以上230mm以下であり、第1層10と、第1層10を長さ方向に亘って覆い、第1層10の肌側表面の一部を開口OP1するように端部を折り返して固定した第1折り返し部22を有する第2層20と、第2層20を長さ方向に亘って覆い、第1層10の肌側表面の一部を開口OP2するように端部を折り返して固定した第2折り返し部33を有する第3層30と、を有し、第1折り返し部22の幅の合計Bが、第2折り返し部33の幅の合計Cより大きい、補助吸収性物品40。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品に取り付けられる補助吸収性物品であって、
長さが450mm以上650mm以下であり、幅が150mm以上230mm以下であり、
第1層と、
前記第1層を長さ方向に亘って覆い、前記第1層の肌側表面の一部を開口するように端部を折り返して固定した第1折り返し部を有する第2層と、
前記第2層を長さ方向に亘って覆い、前記第1層の肌側表面の一部を開口するように端部を折り返して固定した第2折り返し部を有する第3層と、を有し、
前記第1折り返し部の幅の合計が、前記第2折り返し部の幅の合計より大きい、補助吸収性物品。
【請求項2】
前記開口は、前記第1層の幅方向の中央部分の肌側表面に設けられ、前記第1折り返し部及び前記第2折り返し部は、幅方向で前記開口の両側にそれぞれ設けられた、請求項1に記載の補助吸収性物品。
【請求項3】
前記第1層の幅と、前記第1折り返し部の幅の合計と、前記第2折り返し部の幅の合計との比率が、1:0.6~0.7:0.3~0.4である、請求項1または2に記載の補助吸収性物品。
【請求項4】
前記第1層は、エアスルー不織布を含み、前記エアスルー不織布の坪量が30g/m2以上60g/m2以下、前記エアスルー不織布を構成する繊維の太さが4.0dtex以上6.0dtex以下であり、
前記第2層と前記第3層は、それぞれ、スパンボンド不織布にパルプ繊維ウェブを含む複合型不織布であり、含まれるパルプ繊維ウェブの坪量が35g/m2以上である、請求項1に記載の補助吸収性物品。
【請求項5】
前記第1層の非肌側表面を覆う前記第2層における幅方向の中央部分で、かつ長さ方向の中央部分に、前記第2層を貫通するスリットが設けられた、請求項1に記載の補助吸収性物品。
【請求項6】
前記スリットの長さが前記補助吸収性物品の長さに対し50%以上70%以下であり、前記スリットの幅が前記補助吸収性物品の幅に対し10%以上20%以下である、請求項5に記載の補助吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
アウターとしての吸収性物品は、外装体の肌側に、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシート間に保持される吸収体とからなる吸収部材を配したものが知られている。
吸収性物品は、この吸収部材により尿や軟便を吸収、保持する。また、軟便が吸収性物品から漏れないように工夫された種々の提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、表面シートから吸収体までを厚み方向に貫通する貫通孔が形成され、吸収体と裏面シートとの間に、不織布又は発泡体からなり且つ肌当接面に凹凸構造が形成されている拡散層を有し、拡散層が貫通孔の底部をなし、底部が肌当接面側において露出している吸収性物品が記載されている。
【0004】
特許文献2には、表面の両側部を付け根部分として表側に突出する立体ギャザーを備え、少なくとも股間部の前端よりも後側の範囲内における、立体ギャザーの突出部位より側方に延在する部分に、表面側から見てカップ状に窪んだカップ部が設けられているパッドタイプ使い捨ておむつが記載されている。
【0005】
特許文献3には、トップシートの上面に、トップシート側から順に便受け下シートおよび便受けシートをさらに備え、便受け下シートの軟便透過速度が便受けシートの軟便透過速度よりも大きい吸収性物品が記載されている。
【0006】
特許文献4には、臀部当接部に排泄物を収納保持する便ポケットが設けられ、便ポケットの開口部をメッシュシートにより被覆するとともに、メッシュシートの少なくとも排尿部を含む中間領域に親水剤塗布による表面処理が施されている吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許2016-112232号公報
【特許文献2】特許2014-45980号公報
【特許文献3】特許2009-22460号公報
【特許文献4】特許2007-90056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1乃至4に記載の吸収性物品やパッドタイプ使い捨ておむつは、軟便の漏れを防止するものであるものの、吸収性物品で軟便の漏れを防止しようとするものであるため、複雑な加工が必要であり、コストが比較的高いものとなっている。
【0009】
本発明の目的は、吸収性物品に取り付けられる補助吸収性物品であって、軟便の漏れを適切に防止できる、低コストの補助吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、吸収性物品に取り付けられる補助吸収性物品において、補助吸収性物品の寸法を所定の範囲に調整した上で、第2層の第1折り返し部と第3層の第2折り返し部を設け、第2層の第1折り返し部の幅の合計と、第3層の第2折り返し部の幅の合計との関係を所定の範囲に調整することで、軟便の漏れを適切に防止できる、低コストの補助吸収性物品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、下記の補助吸収性物品に係る。
【0011】
(1)吸収性物品に取り付けられる補助吸収性物品であって、長さが450mm以上650mm以下であり、幅が150mm以上230mm以下であり、第1層と、前記第1層を長さ方向に亘って覆い、前記第1層の肌側表面の一部を開口するように端部を折り返して固定した第1折り返し部を有する第2層と、前記第2層を長さ方向に亘って覆い、前記第1層の肌側表面の一部を開口するように端部を折り返して固定した第2折り返し部を有する第3層と、を有し、前記第1折り返し部の幅の合計が、前記第2折り返し部の幅の合計より大きい、補助吸収性物品。
【0012】
(2)前記開口は、前記第1層の幅方向の中央部分の肌側表面に設けられ、前記第1折り返し部及び前記第2折り返し部は、幅方向で前記開口の両側にそれぞれ設けられた、上記(1)の補助吸収性物品。
【0013】
(3)前記第1層の幅と、前記第1折り返し部の幅の合計と、前記第2折り返し部の幅の合計との比率が、1:0.6~0.7:0.3~0.4である、上記(1)または(2)の補助吸収性物品。
【0014】
(4)前記第1層は、エアスルー不織布を含み、前記エアスルー不織布の坪量が30g/m2以上60g/m2以下、前記エアスルー不織布を構成する繊維の太さが4.0dtex以上6.0dtex以下であり、前記第2層と前記第3層は、それぞれ、スパンボンド不織布にパルプ繊維ウェブを含む複合型不織布であり、含まれるパルプ繊維ウェブの坪量が35g/m2以上である、上記(1)の補助吸収性物品。
【0015】
(5)前記第1層の非肌側表面を覆う前記第2層における幅方向の中央部分で、かつ長さ方向の中央部分に、前記第2層を貫通するスリットが設けられた、上記(1)の補助吸収性物品。
【0016】
(6)前記スリットの長さが前記補助吸収性物品の長さに対し50%以上70%以下であり、前記スリットの幅が前記補助吸収性物品の幅に対し10%以上20%以下である、上記(5)の補助吸収性物品。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、軟便の漏れを適切に防止できる、低コストの補助吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る補助吸収性物品をテープ止め型吸収性物品に配置した構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示すX1-X1切断線における模式断面図である。
【
図3】本実施形態に係る補助吸収性物品を模式的に示す図である。(a)は本実施形態に係る補助吸収性物品を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示すX2-X2切断線における模式断面図である。
【
図4】本実施形態に係る補助吸収性物品を模式的に示す
図3(b)の拡大断面図である。
【
図5】本実施形態に係る補助吸収性物品を模式的に示す
図3(b)の拡大断面図であって、軟便の横漏れを防ぐ状態を示した図である。
【
図6】本実施形態の変形例に係る補助吸収性物品を模式的に示す図である。(a)は本実施形態の変形例に係る補助吸収性物品を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示すX3-X3切断線における模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、吸収性物品の着用とは、体液の吸収前後を問わず、吸収性物品を身体に着用した状態をいう。吸収性物品において、長さ方向とは吸収性物品を身体に着用したときに着用者の股間部を介して身体の前後に亘る、図中Yに示す方向であり、幅方向とは長さ方向に対して直交する、図中Xに示す方向であり、厚さ方向とは各構成部材又は構成要素を積層する、図中Zに示す方向である。肌側表面とは、吸収性物品を着用したときに、着用者の肌に当接する表面及び肌を臨む表面であり、非肌側表面とは、着用者の衣服に接触する表面又は衣服を臨む表面である。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0020】
<テープ止め型吸収性物品>
以下、図面を参照しつつ、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50及び補助吸収性物品40について説明する。なお、これらの図面は、テープ止め型吸収性物品50及び補助吸収性物品40中の各構成吸収性物品部材の形状や寸法、大小関係等を規定するものではない。
【0021】
図1は、本実施形態に係る補助吸収性物品をテープ止め型吸収性物品に配置した構成を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1に示すX1-X1切断線における模式断面図である。
図1に示すように、本実施形態の吸収性物品50は、テープ止め型吸収性物品50であり、着用者の主に下腹部に当接する前身頃60と、着用者の主に股間部に当接する股部70と、着用者の主に臀部に当接する後身頃80とが長さ方向にこの順に連接された外装体91で構成されたテープ止め型吸収性物品(アウター)50である。外装体91の肌側表面に、着用者の股間部を身体の前後から覆うように股部70を中心に前身頃60と後身頃80に亘り吸収部材90が配置され、さらに肌側表面に、後述する平面視で長さ方向に細長い略長方形を呈する補助吸収性物品(インナーパッド)40が配置されている。外装体91の肌側表面の幅方向両側には、長さ方向を前身頃60から股部70を経て後身頃80に延びる一対の立体ギャザー100が配置されている。また、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、長さが700mm以上1100mm以下、最大幅が700mm以上1500mm以下である。この寸法サイズはテープ止め型吸収性物品50のS、M、Lの商品サイズに相当するものである。吸収性物品50は、テープ止め型吸収性物品50に限られず、パンツ型の吸収性物品でもよい。なお、
図1では、立体ギャザー100が配置される位置を符号100で示している。
【0022】
また、テープ止め型吸収性物品50は、後身頃80の幅方向両端から外方に延出された一対のサイドフラップ62と、サイドフラップ62の幅方向途中部に固定され、幅方向両外方に延出された一対のサイドパネル63と、サイドパネル63の二股に分かれたつまみしろに配設された一対のファスニングテープ64と、前身頃60の長さ方向端部付近において幅方向中央付近に帯状に設けられ、テープ止め型吸収性物品50を着用するときにファスニングテープ64が固定されるターゲットテープ(不図示)と、を含む。本実施形態では、前身頃60から股部70を介して後身頃80に至る一体化した外装体91によりテープ止め型吸収性物品50の外形を構成しているが、これに限定されず、前身頃60、及び後身頃80を別体とし、これらを吸収部材90により連結して一体化したテープ止め型吸収性物品50としてもよい。また、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、幅方向両側の一対の立体ギャザー100の長さ方向両端部に、立体ギャザー100の吸収部材90への固定性を向上させるために、エンドシール部(不図示)を設けてもよい。
【0023】
前身頃60の幅方向の寸法は例えば380mm以上790mm以下の範囲であり、後身頃80の幅方向の寸法(最大幅寸法)は例えば300mm以上500mm以下の範囲であり、股部70の幅方向の寸法は例えば250mm以上320mm以下の範囲、又は270mm以上310mm以下の範囲である。前身頃60、股部70及び後身頃80の各寸法を上述の範囲に調整することで、吸収部材90、補助吸収性物品40を適正に配置できるテープ止めタイプのテープ止め型吸収性物品50が得られる。
【0024】
以下、
図1、
図2を用いて、前身頃60、股部70、後身頃80、サイドフラップ62、ターゲットテープ、吸収部材90などの各構成部材についてさらに詳しく説明する。
【0025】
<前身頃、股部、及び後身頃>
前身頃60及び後身頃80は、吸収部材90の前側端部(腹側端部)及び後方端部(背側端部)に、それぞれ、不織布等を含む外装体素材により形成されたものである。また、股部70は、前身頃60と後身頃80との間に介在し、これらと同様に、不織布等を含む外装体素材により形成されたものである。
【0026】
前身頃60、股部70及び後身頃80は、それぞれ、着用者の非肌側に位置する外装不織布シート(不図示)と、着用者の肌側に位置するバックシートフィルム(不図示)と、を備える。外装不織布シート及びバックシートフィルムからなる外装体素材を、吸収部材90、補助吸収性物品40が内側(肌側)となるように吸収部材90、補助吸収性物品40の長さ方向の中心線で股部70を二つ折りにして、下腹部及び臀部の両側縁が接続される。これにより、外装不織布シートは、伸縮性のウエスト開口部と、一対の脚開口部とを形成し、テープ止め型吸収性物品50を全体として着脱可能なパンツ状に構成する。そして、テープ止め型吸収性物品50を着用すると、前身頃60が着用者の腹側で腰部を覆い、後身頃80が着用者の背側で腰部を覆う。
【0027】
外装不織布シートの内側には、例えば、バックシートフィルムが積層されており、前身頃60、後身頃80及び股部70の強度を高めている。外装不織布シートには、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる繊維を含む不織布を使用できる。該不織布の具体例としては、例えば、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が好ましい。不織布の坪量は、例えば、15g/m2以上40g/m2以下の範囲である。バックシートフィルムとしては樹脂フィルムを特に限定なく使用でき、例えば、ポリエチレンフィルム等が挙げられる。バックシートフィルムの坪量は、例えば、10g/m2以上40g/m2以下である。
【0028】
<サイドフラップ及びターゲットテープ>
本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、バックシートフィルムの下腹部及び臀部の幅方向両側端部に形成された一対のサイドフラップ62と、後身頃80における各サイドフラップ62の、幅方向の外側端部である、自由端側の幅方向側端部に設けられたサイドパネル63と、サイドパネル63の幅方向の外側端部である、自由端側の幅方向側端部に設けられた二股のファスニングテープ64とを有している。
【0029】
テープ止め型吸収性物品50は、サイドフラップ62、サイドパネル63及びファスニングテープ64を有しない実施形態をも包含する。また、サイドパネル63とファスニングテープ64とは、別々の部材により形成されたものでも、両者が一体となって形成されたものでもよい。また、本実施形態において、一のサイドパネル63上の2つのファスニングテープ64は、テープ止め型吸収性物品50の長さ方向に離間して設けられていてもよい。ファスニングテープ64は肌側表面に、下腹部と背側部とを締結するための面ファスナーを構成するフック部材からなる締結手段を備えるとともに、各ファスニングテープ64の幅方向の外側端部の先端部には、2股に分かれたつまみしろを設けてもよい。サイドパネル63には分割可能となるミシン目66を付与してもよい。一方、下腹部の衣類側表面には、面ファスナーを構成するループ部材で形成されたターゲットテープを設けてもよい。
【0030】
着用者がテープ止め型吸収性物品50を着用するときは、各ファスニングテープ64が、ループ部材で構成されたターゲットテープに固定される。これに限定されず、ウエスト部において前身頃60と後身頃80とを幅方向端部で連結し、パンツ状に一体化したテープ止め型吸収性物品50としてもよい。また、サイドパネル63上の長さ方向の略中央又はその近傍を手で切断分割できるミシン目66を付与することができる。これによりミシン目66からタブ部を長く分割することができ、係合位置をより広く自由に選択することが可能になる。体型によりテープ止め型吸収性物品50と着用者の身体とを適切に密着させる張力を着用時に発現させることができる。
【0031】
なお、サイドフラップ62の基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなる不織布が挙げられ、これらの基材を単独で、又は複数組み合わせてもよい。また、サイドパネル63及びファスニングテープ64の基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなる樹脂フィルムや不織布が挙げられ、これらの基材を単独で、又は複数組み合わせてもよい。また、フック部材とは、面ファスナーを構成する部材のうち、フック状突起からなる部材を指し、ループ部材とは、フック部材と対を成す部材であって、ループ状に密集して起毛された部材を指す。面ファスナーは、このフック部材とループ部材とが対となって構成されている。テープ止め型吸収性物品50は、例えば、後身頃80を着用者の臀部及び背部にあてた状態で、前身頃60を着用者の腹部側に持っていき、ファスニングテープ64をターゲットテープに締結することで、着用できる。また、ミシン目66はサイドパネル63の長さ方向略中央に等間隔の切れ目を入れて設けることができる。
【0032】
<立体ギャザー>
立体ギャザー100は、例えば、テープ止め型吸収性物品50の着用者が排泄した体液の横漏れを防止するために、吸収部材90の幅方向両端付近で吸収部材90の長さ方向に沿って吸収部材90の肌側表面に固定される。立体ギャザー100は、弾性伸縮部材100aと、撥水性及び/又は防水性のシート部材100bと、を含む。
【0033】
<エンドシール部>
テープ止め型吸収性物品50の肌側表面の長さ方向端部近傍、より具体的には一対の立体ギャザー100の各端部(四隅)には、エンドシール部を設けることができる。エンドシール部は、例えば、吸収部材90の各肌側表面に対し立体ギャザー100を固定する。エンドシール部は、例えば、ホットメルト接着剤等で構成される。エンドシール部の平面視形状としては、例えば、方形(四角形)、円形、三角形、六角形等が挙げられる。
【0034】
<吸収部材>
吸収部材90は、トップシート94とバックシート92と、トップシート94とバックシート92との間に保持される吸収体93を含む。また、吸収部材90は、テープ止め型吸収性物品50の外装体91の肌側表面に、着用者の股間部を身体の前後から覆うように股部70を中心に前身頃60と後身頃80に亘り配置される。
【0035】
<トップシート>
トップシート94は、吸収体に向けて体液を速やかに通過させる液透過性のシート状基材である。トップシート94は、着用者の肌に当接する場合あることから、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。
【0036】
トップシート94には、液透過性を向上させる観点から、エンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート94は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有してもよい。トップシート94の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m2以上40g/m2以下の範囲である。トップシート94の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体へと誘導するために必要とされる、吸収体の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0037】
<吸収体>
吸収体93は、肌側に位置するトップシート94と、非肌側に位置するバックシート92との間に配置されるものであり、トップシート94を透過してきた体液を吸収及び保持する。本実施形態の吸収体93は、主に外装体91の股部70の肌側表面に支持され、後身頃80の肌側表面に延在し、前身頃60の肌側表面に延在していてもよい。本実施形態において、吸収体93の後身頃80に延在する領域は、最大幅が300mm以上600mm以下であり、長さ方向の長さが180mm以上375mm以下であり、かつ面積が380cm2以上1000cm2以下である。
【0038】
吸収体93は、その長さ方向の寸法(最大長さ)が、例えば、100mm以上800mm以下の範囲、150mm以上500mm以下の範囲、又は270mm以上500mm以下の範囲である。吸収体93の幅方向の寸法(最大幅)は、例えば、50mm以上500mm以下の範囲、60mm以上400mm以下の範囲、又は70mm以上105mm以下の範囲である。また、吸収体93の平面視形状が砂時計型である場合は、長さ方向寸法が180mm以上800mm以下の範囲、着用者の腹部及び背部にそれぞれ当接する腹側部及び背側部の幅方向寸法がともに60mm以上400mm以下の範囲であり、着用者の股間部に当接する股部の幅方向寸法が90mm以上250mm以下の範囲である。吸収体93の全面又は一部にエンボス加工を施してもよい。吸収体93の平面視形状としては、例えば、砂時計型、Iの字状、長方形、4角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。吸収体93は、上層(肌側)に配置された上層吸収体と、下層(非肌側)に配置された下層吸収体との積層体でもよい。
【0039】
吸収体93は、例えば、吸収基材として、吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)と、を含有する。
【0040】
<吸収性繊維>
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ(以下単に「フラッフ」ともいう)、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等の綿状解繊物等が挙げられる。吸収体に吸収性繊維としてフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、例えば100g/m2以上800g/m2以下の範囲又は325g/m2以上615g/m2以下の範囲である。これにより、肌触りを損なわずに、より多くの体液を吸収できる。
【0041】
<高吸収性ポリマー>
高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0042】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体93が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマーの中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は100μm以上500μm以下の範囲である。
【0043】
吸収体93中のSAPの坪量は、例えば、60g/m2以上450g/m2以下の範囲、又は245g/m2以上445g/m2以下の範囲である。SAPの坪量を前述の数値範囲内とすることで、吸収体93におけるゲルブロッキングを防止し、かつ、吸収体93に多量の体液を吸収させることができる。また、吸収体93において、吸収体全体の重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、高吸収性ポリマーの重量/吸収体93全体の重量×100(%)は、例えば、15重量%以上の範囲、又は15重量%以上70重量%以下の範囲である。
【0044】
吸収体93において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。
【0045】
<バックシート>
バックシート92は、吸収体93が保持する体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0046】
バックシート92の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば15g/m2以上60g/m2以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート92には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート92に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート92にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0047】
<吸収部材の製造方法>
吸収部材90は、公知の製造方法により製造できるが、例えば、トップシート94とバックシート92との間に吸収体93を配置する工程と、トップシート94の縁辺とバックシート92の縁辺とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定する工程と、を含む製造方法が挙げられる。必要に応じて、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を設けることができる。
【0048】
<テープ止め型吸収性物品の製造方法>
テープ止め型吸収性物品50の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用でき、例えば、前身頃60、股部70、及び後身頃80の所定の形状を有する外装不織布シート及びバックシートフィルムを用意する工程と、外装不織布シートとバックシートフィルムとを含む外装体素材の肌側表面に吸収部材90を配設し、さらに立体ギャザー100を配設する工程と、前身頃60のターゲットテープと後身頃80のファスニングテープ64とを接続する工程と、を含む製造方法等が挙げられる。ファスニングテープ64は、あらかじめ、サイドパネル63の基材表面に締結手段を接着し、所定の形状に切断してサイドパネル63とし、これをサイドフラップ62に接合してもよい。
【0049】
次に、
図3~
図5を用いて、補助吸収性物品40について詳しく説明する。
図3は、本実施形態に係る補助吸収性物品を模式的に示す図である。(a)は本実施形態に係る補助吸収性物品を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示すX2-X2切断線における模式断面図である。
図4は、本実施形態に係る補助吸収性物品を模式的に示す
図3(b)の拡大断面図である。
図5は、本実施形態に係る補助吸収性物品を模式的に示す
図3(b)の拡大断面図であって、軟便の横漏れを防ぐ状態を示した図である。
【0050】
<補助吸収性物品>
補助吸収性物品40は、テープ止め型吸収性物品50と併用されるものであり、テープ止め型吸収性物品50の外装体91の肌側表面に配置された吸収部材90のさらに肌側表面に配置されるものである。例えば、補助吸収性物品40は、テープ止め型吸収性物品50の吸収部材90の肌側表面において、立体ギャザー100の内側へ収納されることにより取り付けられる。また、補助吸収性物品40は、便がやわらかいときなどの必要なときだけ、テープ止め型吸収性物品50に取り付けることもできる。
【0051】
図3~
図5に示すように、補助吸収性物品40は、平面視で長さ方向に細長い略長方形を呈しており、その長さ方向の寸法L(最大長さ)は450mm以上650mm以下であり、幅方向の寸法A(最大幅)は150mm以上230mm以下である。補助吸収性物品40は、例えば、テープ止め型吸収性物品50に配置した際に、平面視で吸収部材90からはみ出ることがなく、吸収部材90の範囲内に納まる大きさである。補助吸収性物品40は、第1層10と、第1層10を長さ方向に亘って覆い、第1層10の肌側表面の一部を開口OP1するように端部20Eを折り返して固定した第1折り返し部22を有する第2層20と、第2層20を長さ方向に亘って覆い、第1層10の肌側表面の一部を開口OP2するように端部30Eを折り返して固定した第2折り返し部33を有する第3層30と、を有する。また、第1折り返し部22の幅の合計Bが、第2折り返し部33の幅の合計Cより大きくなっている。
【0052】
<第1層>
第1層10は、不織布からなり、平面視で長さ方向に細長い略長方形を呈する。本実施形態の第1層10の不織布としては、嵩高さを得やすいエアスルー不織布が用いられる。このエアスルー不織布の坪量は30g/m2以上60g/m2以下であり、エアスルー不織布を構成する繊維の太さは4.0dtex以上6.0dtex以下である。このように、上記の数値範囲内で第1層10のエアスルー不織布の坪量、エアスルー不織布を構成する繊維の太さを調整することにより、繊維の繊度が高い不織布で、軟便の固形分を確実に保持することが可能となる。
【0053】
<第2層>
第2層20は、不織布からなり、平面視で長さ方向に長い略長方形を呈する。
第2層20は、第1層10の非肌側表面10Cと、第1層10の幅方向の両端部10B、10Bを第1層10の長さ方向の全長に亘って覆うとともに、第1層10の肌側表面10Aの一部を第1層10の長さ方向の全長に亘って覆っている。
第2層20は、第1層10の肌側表面10Aにおいて、第1層10の幅方向の中央部分を中心Cに開口OP1するように、第1層10の幅方向の両側部を覆っており、第2層20の両端部20E、20Eは、開口OP1を形成するように折り返して、第1層10の幅方向の両側部を覆っている第2層20の上に重ねて、第1層10の幅方向の両側部を覆っている。つまり、第1層10の幅方向の両側部は、第1層10の幅方向の両側部を覆っている下側第2層と、第2層20の両端部20E、20Eを、開口OP1を形成するように折り返して、下側第2層を覆っている上側第2層とにより形成された第1折り返し部22により二重に覆われている。
第2層20は、上述したように第1折り返し部22によって折り畳まれた状態で第1層10を覆うため、第2層20の総面積は第1層10に比して広いものとなっている。
【0054】
そして、第1層10の幅方向の両側部を二重に覆っている第2層20は、第2層20間、すなわち、下側第2層と上側第2層の間をホットメルト接着剤HMにより固定されている。
図3(a)に示すように、ホットメルト接着剤HMは、第2層20の長さ方向の両端部に設けられている。より具体的には、幅方向右側の下側第2層と上側第2層の間に、第2層20の長さ方向における後側端部(背側端部)と、前側端部(腹側端部)の2か所に設けられている。また、幅方向左側の下側第2層と上側第2層の間に、第2層20の長さ方向における後側端部(背側端部)と、前側端部(腹側端部)の2か所に設けられている。
第2層は、下側第2層と第1層10の肌側表面10Aとの間には接着された部分(不図示)を有するが、
図5に示すように、第1層10と下側第2層との間で軟便を保持できるように上側(肌側)に変形可能となっている。
【0055】
本実施形態の第2層20の不織布としては、スパンボンド不織布にパルプ繊維ウェブを含む複合型不織布が用いられている。この複合型不織布に含まれるパルプ繊維ウェブの坪量は35g/m2以上である。
なお、本実施形態では、第2層20は、第1層10の長さ方向の全長に亘って覆っているが、全長に亘って覆っていなくてもよい。
【0056】
<複合型不織布>
複合型不織布は、スパンボンド不織布を用いることによって、パルプ繊維ウェブに対する支持性、並びに複合型不織布の全体の強度、柔らかさ、及び風合い等が優れたものとなる。このような観点から、スパンボンド不織布は、スパンボンド不織布の材質が、ポリアミド(ナイロン(商標名)等)、ビニロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1つの合成樹脂を好ましく用いることができる。例えば、スパンボンド不織布は、これらの材質からなる合成樹脂繊維から構成されるものを用いることができ、2種以上の合成樹脂繊維から構成されているものを用いることもできる。
【0057】
スパンボンド不織布の坪量は、7g/m2以上20g/m2以下の範囲であることが好ましい。この下限は10g/m2以上であることがより好ましい。また、この上限は17g/m2以下であることがより好ましい。そして、パルプ繊維ウェブの坪量は、均一性、触感、吸収性等の観点から、30g/m2以上50g/m2以下の範囲であることが好ましい。この下限は35g/m2以上であることがより好ましい。また、この上限は45g/m2以下であることがより好ましい。スパンボンド不織布及びパルプ繊維ウェブの各坪量を、このような範囲とすることにより、複合型不織布の坪量を、適切な範囲に調整することが容易になる。
【0058】
パルプ繊維ウェブは、良好な体液吸収性を有することから、例えば、スパンボンド不織布を局所的に通過した体液を素早く拡散させ、第2層20の全領域に体液を容易に拡散させることができる。
また、パルプ繊維ウェブは、パルプ繊維を主体とする不織布を特に限定なく用いることができる。パルプ繊維としては、特に限定されないが、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サウザンパイン、ロッジポールパイン、スプルース、ダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP)であることが好ましい。N-BKPは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
<第3層>
第3層30は、不織布からなり、平面視で長さ方向に長い略長方形を呈する。
第3層30は、第2層20の非肌側表面20Cと、第2層20の幅方向の両端部20B、20Bを第2層20の長さ方向の全長に亘って覆うとともに、第2層20の肌側表面20Aの一部を第2層20の長さ方向の全長に亘って覆っている。
したがって、本実施形態では、第1層10と第2層20と第3層30の長さはともに等しくなっている。
第3層30は、第2層20の上側第2層の肌側表面20Aにおいて、第2層20の幅方向の中央部分を中心Cに開口OP2するように、第2層20の上側第2層の幅方向の両側部を覆っており、第3層30の両端部30E、30Eは、開口OP2を形成するように折り返して、第2層20の幅方向の両側部を覆っている第3層30の上に重ねて、第2層20の上側第2層の幅方向の両側部を覆っている。
つまり、第2層20の幅方向の両側部は、第2層20の上側第2層の幅方向の両側部を覆っている下側第3層と、第3層30の両端部30E、30Eを、開口OP2を形成するように折り返して、下側第3層を覆っている上側第3層とにより形成された第2折り返し部33により二重に覆われている。
第3層30は、上述したように第2折り返し部33によって折り畳まれた状態で第2層20を覆うため、第3層30の総面積は第1層10に比して広いものとなっている。
【0060】
そして、第2層20の上側第2層の幅方向の両側部を二重に覆っている第3層30は、第3層30間、すなわち、下側第3層と上側第3層の間をホットメルト接着剤HMにより固定されている。
図3(a)に示すように、ホットメルト接着剤HMは、第3層30の長さ方向の両端部に設けられている。より具体的には、幅方向右側の下側第3層と上側第3層の間に、第3層30の長さ方向における後側端部(背側端部)と、前側端部(腹側端部)との2か所に設けられている。また、幅方向左側の下側第3層と上側第3層の間に、第3層30の長さ方向における後側端部(背側端部)と、前側端部(腹側端部)の2か所に設けられている。
第3層30は、下側第3層と第2層20の上側第2層との間には接着された部分(不図示)を有するが、
図5に示すように、下側第3層と上側第2層の肌側表面との間で軟便を保持できるように上側(肌側)に変形可能となっている。
【0061】
本実施形態の第3層30の不織布としては、第2層20と同様の、スパンボンド不織布にパルプ繊維ウェブを含む複合型不織布が用いられている。この複合型不織布に含まれるパルプ繊維ウェブの坪量は第2層20と同様に35g/m2以上である。
なお、本実施形態では、第3層30は、第2層20の長さ方向の全長に亘って覆っているが、全長に亘って覆っていなくてもよい。
【0062】
<第1折り返し部の幅及び第2折り返し部の幅>
図3(b)、
図4に示すように、上述した第1折り返し部22は、開口OP1の幅方向左側の第1折り返し部22と、開口OP1の幅方向右側の第1折り返し部22とを有する。そして、幅方向左側の第1折り返し部22の幅B1と、幅方向右側の第1折り返し部22の幅B2は等しくなっている。
幅方向左側の第1折り返し部22の幅B1は、幅方向左側の第1折り返し部22の開口OP1側の第1折り返し端部22Cと、第1層10の幅方向左側の端部10Bとの間の寸法を示す。また、幅方向右側の第1折り返し部22の幅B2は、幅方向右側の第1折り返し部22の開口OP1側の第1折り返し端部22Cと、第1層10の幅方向右側の端部10Bとの間の寸法を示す。
【0063】
図3(b)、
図4に示すように、上述した第2折り返し部33は、開口OP2の幅方向左側の第2折り返し部33と、開口OP2の幅方向右側の第2折り返し部33とを有する。そして、幅方向左側の第2折り返し部33の幅C1と、幅方向右側の第2折り返し部33の幅C2は等しくなっている。
幅方向左側の第2折り返し部33の幅C1は、幅方向左側の第2折り返し部33の開口OP2側の第2折り返し端部33Cと、第1層10の幅方向左側の端部10Bとの間の寸法を示す。また、幅方向右側の第2折り返し部33の幅C2は、幅方向右側の第2折り返し部33の開口OP2側の第2折り返し端部33Cと、第1層10の幅方向右側の端部10Bとの間の寸法を示す。
【0064】
開口OP1と開口OP2の幅方向の中心Cは一致しており、中心Cと幅方向左側の第1折り返し部22の開口OP1側の第1折り返し端部22Cとの間の寸法と、中心Cと幅方向右側の第1折り返し部22の開口OP1側の第1折り返し端部22Cとの間の寸法は等しくなっている。また、中心Cと幅方向左側の第2折り返し部33の開口OP2側の第2折り返し端部33Cとの間の寸法と、中心Cと幅方向右側の第2折り返し部33の開口OP2側の第2折り返し端部33Cとの間の寸法は等しくなっている。
【0065】
本実施形態の補助吸収性物品40は、第1折り返し部22の幅B1、B2の合計Bが、第2折り返し部33の幅C1、C2の合計Cより大きくなっている。また、第1層10の幅Aと、第2層20における幅方向左側の第1折り返し部22の幅B1と幅方向右側の第1折り返し部22の幅B2の合計の幅Bと、第3層30における幅方向左側の第2折り返し部33の幅C1と幅方向右側の第2折り返し部33の幅C2の合計の幅Cとの比率が、1:0.6~0.7:0.3~0.4である。
【0066】
本実施形態の補助吸収性物品40では、排泄された軟便は、
図5に示すように、第1折り返し部22が上側(肌側)に変形して防壁となり、第1層10と第1折り返し部22の間に保持されるため軟便の横漏れを防止できる。さらに、排泄された軟便は、
図5に示すように、第2折り返し部33が上側(肌側)に変形して防壁となり、第1折り返し部22と第2折り返し部33の間に保持されるためさらに軟便の横漏れを防止できる。このように、本実施形態の補助吸収性物品40は、第1折り返し部22と第2折り返し部33の二重の防壁により軟便の横漏れを確実に防止できる。この結果、排泄された軟便は、補助吸収性物品40から漏れることがない。
【0067】
本実施形態の補助吸収性物品40では、第2層20の第1折り返し部22と第3層30の第2折り返し部33の二重の防壁としたが、さらに複数の層を設け、複数の防壁としてもよい。例えば、第4層を、平面視で長さ方向に長い略長方形を呈する不織布で構成し、第4層により、第3層30の非肌側表面と、第3層30の幅方向の両端部を第3層30の長さ方向の全長に亘って覆うとともに、第3層30の肌側表面の一部を第3層30の長さ方向の全長に亘って覆ってもよい。この場合、第4層は、第3層30の上側第3層の肌側表面において、第3層30の幅方向の中央部分を中心Cに開口するように、第3層30の上側第3層の幅方向の両側部を覆い、第4層の両端部は、開口を形成するように折り返して、第3層30の幅方向の両側部を覆う第3層30の上に重ねて、第3層30の上側第3層の幅方向の両側部を覆う。つまり、第3層30の幅方向の両側部は、第3層30の上側第3層の幅方向の両側部を覆う下側第4層と、第4層の両端部を、開口を形成するように折り返して、下側第4層を覆う上側第4層とにより形成された第3折り返し部により二重に覆われるようにしてもよい。この場合、中心Cと第3折り返し部の開口側の第3折り返し端部との寸法は、上記と同様に、左右で等しくなっている。
これにより、第1折り返し部22と第2折り返し部33と第3折り返し部の三重の防壁により軟便の横漏れをさらに確実に防止できる。
【0068】
上述したように、本実施形態の補助吸収性物品40は、第1層10と、上述の第1折り返し部22を有する第2層20と、上述の第2折り返し部33を有する第3層30と、を有し、第1折り返し部22の幅B1、B2の合計Bが、第2折り返し部33の幅C1、C2の合計Cより大きい。換言すれば、第2層20により形成される開口OP1の幅より第3層30により形成される開口OP2の幅が大きい。
このため、排泄された軟便は、第2折り返し部33の大きい開口OP2に入りやすく、第1折り返し部22の小さい開口OP1に達した後、第1折り返し部22と第2折り返し部33により受け止められて、軟便の横漏れを確実に防止できる。なお、軟便などに含まれる水分は、速やかに下方(非肌側)に導かれ、併用するテープ止め型吸収性物品50の吸収部材90により吸収される。
このように補助吸収性物品40を薄型で軟便を受け止めるに特化した構成としたため、併用するテープ止め型吸収性物品50の吸収量を活用することにより、軟便の漏れを適切に防止できる、低コストの補助吸収性物品40を提供することができる。
【0069】
本実施形態の補助吸収性物品40は、開口OP1、OP2が、それぞれ、第1層10の幅方向の中央部分の肌側表面10Aに設けられ、第1折り返し部22及び第2折り返し部33が、幅方向で開口OP1、OP2の両側にそれぞれ設けられている。
このため、開口OP1、OP2から入り込んだ軟便を、第1折り返し部22と第2折り返し部33に幅方向で均等に保持できる。これにより、軟便が偏ることなく、軟便の漏れを確実に防止できる。また、補助吸収性物品40が、テープ止め型吸収性物品50に対して幅方向に多少ずれて配置されても、軟便を第3層30の上側(肌側)で受け止めることなく、確実に開口OP1、OP2から補助吸収性物品40内に入り込ませることができるため、さらに軟便の漏れを確実に防止できる。
【0070】
本実施形態の補助吸収性物品40は、第1層10の幅Aと、第1折り返し部22の幅B1、B2の合計の幅Bと、第2折り返し部33の幅C1、C2の合計の幅Cとの比率が、1:0.6~0.7:0.3~0.4である。
この比率を上記範囲に調整することにより、排泄された軟便は、第1折り返し部22と第2折り返し部33により受け止められて、軟便の横漏れをさらに確実に防止できる。
【0071】
本実施形態の補助吸収性物品40では、第1層10は、エアスルー不織布を含み、エアスルー不織布の坪量が30g/m2以上60g/m2以下、エアスルー不織布を構成する繊維の太さが4.0dtex以上6.0dtex以下であり、第2層20と第3層30は、それぞれ、スパンボンド不織布にパルプ繊維ウェブを含む複合型不織布であり、含まれるパルプ繊維ウェブの坪量が35g/m2以上である。
したがって、第1層10のエアスルー不織布の坪量、エアスルー不織布を構成する繊維の太さを、それぞれ上記の数値範囲内で調整することにより、第1層10の繊維の繊度が高いエアスルー不織布で、排泄された軟便の固形分を確実に保持し、水分を下方に透過させることが可能となる。また、第2層20と第3層30のパルプ繊維ウェブの坪量を上記の数値範囲内で調整したスパンボンド不織布を用いることによって、パルプ繊維ウェブに対する支持性、並びに複合型不織布の全体の強度、柔らかさ、及び風合い等が優れたものとなる。
【0072】
次に、本実施形態の変形例に係る補助吸収性物品40について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態の変形例に係る補助吸収性物品を模式的に示す図である。(a)は本実施形態の変形例に係る補助吸収性物品を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示すX3-X3切断線における模式断面図である。
先の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、先の実施形態と異なる部分について説明する。
なお、本実施形態の変形例も先の実施形態と同様に、下側第2層と上側第2層の間がホットメルト接着剤HMにより固定され、下側第3層と上側第3層の間がホットメルト接着剤HMにより固定されているが図示を省略している。
【0073】
第1層10の非肌側表面10Cを覆う第2層20の非肌側表面20Cにおける幅方向の中央部分で、かつ長さ方向の中央部分に、第2層20を貫通するスリット25が設けられている。
スリット25は、幅方向左側の第1折り返し部22の第1折り返し端部22Cと、幅方向右側の第1折り返し部22の第1折り返し端部22Cとの間、すなわち平面視で開口OP1の幅方向の範囲内にスリット25の幅Dが収まるように設けられている貫通孔である。
また、スリット25は、第2層20の長さ方向の中心から、長さ方向の端部が、それぞれ前側(腹側)、後側(背側)に同じ寸法だけ延びた平面視で細長い長円形を呈している。スリット25の前側端部(腹側端部)と後側端部(背側端部)は角のない丸い曲線状に形成されている。スリット25は、第2層20の幅方向中心とスリット25の幅方向左側端部の寸法と、第2層20の幅方向中心とスリット25の幅方向右側端部の寸法は同じである。
そして、スリット25の長さlは、補助吸収性物品40の長さLに対し50%以上70%以下であり、スリット25の幅Dは、補助吸収性物品40の幅Aに対し10%以上20%以下である。
【0074】
このように、本実施形態の変形例では、上述のスリット25を設けたので、スリット25が下層、すなわち、テープ止め型吸収性物品50の外装体91に配置した吸収部材90へ軟便などに含まれる水分の引き込みを促進できる。また、スリット25の長さl、幅Dを上記の数値範囲内で調整することにより、軟便などに含まれる水分の引き込みをさらに促進できる。なお、軟便などに含まれる水分は、速やかに下方(非肌側)に導かれ、併用するテープ止め型吸収性物品50の吸収部材90により吸収される。
このように、補助吸収性物品40を薄型で軟便を受け止めるに特化した構成としたため、併用するテープ止め型吸収性物品50の吸収量を活用することにより、軟便の漏れを適切に防止できる、低コストの補助吸収性物品40を提供することができる。また、テープ止め型吸収性物品50の吸収量を使い切った状態で排便後に交換時期を設定することで交換の経済性を高め、薄く広いため簡便な交換性の補助吸収性物品40を得ることができる。
【0075】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0076】
10 第1層
20 第2層
20E 端部
22 第1折り返し部
25 スリット
30 第3層
30E 端部
33 第2折り返し部
40 補助吸収性物品
50 テープ止め型吸収性物品
60 前身頃
62 サイドフラップ
63 サイドパネル
64 ファスニングテープ
66 ミシン目
70 股部
80 後身頃
90 吸収部材
91 外装体
92 バックシート
93 吸収体
94 トップシート
100 立体ギャザー
A 第1層の幅
B 第1折り返し部の幅の合計
C 第2折り返し部の幅の合計
OP1、OP2 開口