(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174080
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電源用半導体装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H02M3/155 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086738
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 直史
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA16
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】電源装置において様々なアプリケーションに効率良く適応する。
【解決手段】第1端子及び中間端子間に設けられた第1トランジスタ(11)と、第2端子及び中間端子間に設けられた第2トランジスタ(12)と、第1及び第2トランジスタを制御及び駆動するよう構成された制御駆動回路(13)と、を有するスイッチング回路(10)を複数チャネル分備える。各チャネルにおいて、制御駆動回路は、第1トランジスタ及び第2トランジスタをスイッチングさせることで入力電圧から出力電圧を生成する電力変換を実行する。チャネルごとに、スイッチング回路を降圧型又は昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として切り替え動作させることが可能に構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子、中間端子、及び、前記第1端子よりも低電位が加わるよう構成された第2端子を有する端子群と、
前記第1端子及び前記中間端子間に設けられた第1トランジスタと、
前記第2端子及び前記中間端子間に設けられた第2トランジスタと、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを制御及び駆動するよう構成された制御駆動回路と、を有するスイッチング回路を複数チャネル分備え、
各チャネルにおいて、前記制御駆動回路は、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタをスイッチングさせることで入力電圧から出力電圧を生成する電力変換を実行し、
チャネルごとに、前記スイッチング回路を降圧型スイッチングレギュレータ用の回路又は昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として切り替え動作させることが可能に構成され、
各チャネルにおいて、前記スイッチング回路が前記降圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するときには前記入力電圧が降圧されることで前記出力電圧が生成され、前記スイッチング回路が前記昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するときには前記入力電圧が昇圧されることで前記出力電圧が生成される
、電源用半導体装置。
【請求項2】
切替制御情報に基づき、チャネルごとに前記スイッチング回路を前記降圧型スイッチングレギュレータ用の回路又は前記昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として切り替え動作させる動作切替回路を更に備える
、請求項1に記載の電源用半導体装置。
【請求項3】
各チャネルにおける前記第1端子、前記中間端子及び前記第2端子は、当該電源用半導体装置の筐体から露出する外部端子である
、請求項1に記載の電源用半導体装置。
【請求項4】
第1電圧から前記第1電圧よりも低い第2電圧を生成して前記第2電圧を出力端子から出力するよう構成されたリニアレギュレータを更に備え、
前記リニアレギュレータは、何れかのチャネルの前記第1端子に接続され、接続された前記第1端子から前記第1電圧を受ける
、請求項1に記載の電源用半導体装置。
【請求項5】
前記リニアレギュレータは、第1電極、第2電極及び制御電極を有する出力トランジスタと、前記第2電圧に基づき前記制御電極の電位を制御するよう構成されたリニア制御回路と、を有し、
前記出力トランジスタの前記第1電極は、何れかのチャネルの前記第1端子に接続されて当該第1端子における電圧を前記第1電圧として受け、
前記出力トランジスタの前記第2電極は、前記出力端子に接続される
、請求項4に記載の電源用半導体装置。
【請求項6】
前記複数チャネルは第1~第nチャネルを有し、nは2以上の整数を表し、
前記出力トランジスタの前記第1電極は、当該電源用半導体装置の内部配線を介して第jチャネルの前記第1端子に接続され、jはn以下の自然数を表し、
前記第jチャネルにおいて前記第1トランジスタは前記第1端子に接続される電極を有し、
前記第jチャネルにおける前記第1トランジスタの前記電極と、前記出力トランジスタの前記第1電極とは、共通の半導体領域を用いて形成される
、請求項5に記載の電源用半導体装置。
【請求項7】
各チャネルにおける前記第1端子、前記中間端子及び前記第2端子、並びに、前記出力端子は、当該電源用半導体装置の筐体から露出する外部端子である
、請求項4に記載の電源用半導体装置。
【請求項8】
各チャネルにおいて、前記端子群は、前記出力電圧又は前記出力電圧に応じた電圧を帰還電圧として受けるよう構成された帰還端子を更に有し、
各チャネルにおいて、前記制御駆動回路は、前記帰還電圧に基づき前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを制御する
、請求項1~7の何れかに記載の電源用半導体装置。
【請求項9】
前記複数チャネルの何れかである対象チャネルにおいて、前記電力変換により、前記対象チャネルでの前記入力電圧である対象入力電圧から前記対象チャネルでの前記出力電圧である対象出力電圧が生成され、
前記対象チャネルにおいて前記スイッチング回路が前記降圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するとき、前記対象チャネルにおいて、前記第1端子に前記対象入力電圧が加わり、前記中間端子に対して出力インダクタの第1端が接続され、前記対象チャネルでの前記帰還電圧に基づく前記電力変換により、前記出力インダクタの第2端に前記対象入力電圧を降圧した電圧が前記対象出力電圧として生じ、
前記対象チャネルにおいて前記スイッチング回路が前記昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するとき、前記対象チャネルにおいて、前記対象入力電圧を受ける第1端を有する入力インダクタの第2端が前記中間端子に接続され、前記対象チャネルでの前記帰還電圧に基づく前記電力変換により、前記第1端子に前記対象入力電圧を昇圧した電圧が前記対象出力電圧として生じる
、請求項8に記載の電源用半導体装置。
【請求項10】
各チャネルにおいて、前記第1トランジスタが前記第1端子及び前記中間端子に接続され且つ前記第2トランジスタが前記第2端子及び前記中間端子に接続されることで、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが互いに直列接続される
、請求項1~7の何れかに記載の電源用半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源用半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスイッチングレギュレータ(DC/DCコンバータ)を構成するための電源ICが実用化されており、当該電源ICはPMIC(Power Management IC)に分類され得る。例えば、降圧用スイッチング回路と昇圧用スイッチング回路が設けられた電源ICを用いれば、電源ICに外付け接続されるディスクリート部品との協働により、降圧型スイッチングレギュレータと昇圧型スイッチングレギュレータを構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、例えば降圧用スイッチング回路と昇圧用スイッチング回路が1つずつ設けられた電源ICでは、降圧用スイッチングレギュレータが2つ必要なアプリケーションや、昇圧用スイッチングレギュレータが2つ必要なアプリケーションに対応できない。電源ICを2つ使用すれば対応可能であるが、無駄が多くなる。
【0005】
本開示は、様々なアプリケーションに効率良く適応可能な電源用半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電源用半導体装置は、第1端子、中間端子、及び、前記第1端子よりも低電位が加わるよう構成された第2端子を有する端子群と、前記第1端子及び前記中間端子間に設けられた第1トランジスタと、前記第2端子及び前記中間端子間に設けられた第2トランジスタと、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを制御及び駆動するよう構成された制御駆動回路と、を有するスイッチング回路を複数チャネル分備え、各チャネルにおいて、前記制御駆動回路は、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタをスイッチングさせることで入力電圧を出力電圧に変換する電力変換を実行し、チャネルごとに、前記スイッチング回路を降圧型スイッチングレギュレータ用の回路又は昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として切り替え動作させることが可能に構成され、各チャネルにおいて、前記スイッチング回路が前記降圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するときには前記入力電圧が降圧されることで前記出力電圧が生成され、前記スイッチング回路が前記昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するときには前記入力電圧が昇圧されることで前記出力電圧が生成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、様々なアプリケーションに効率良く適応可能な電源用半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る電源装置の概略的な構成ブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る電源ICの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る電源装置の構成ブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係る電源ICの内部構成図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係り、電源IC内の1つのスイッチング回路の構成図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に係る電源ICの内部構成図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係る電源装置の構成ブロック図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に係る切替制御情報の構造図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に係り、降圧回路構成を有するスイッチングレギュレータの回路図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に係り、昇圧回路構成を有するスイッチングレギュレータの回路図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、2つのスイッチングレギュレータの構成を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、2つのスイッチングレギュレータの構成を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、2つのスイッチングレギュレータの構成を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、電源ICの一部内部構成図である。
【
図17】
図17は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、降圧型スイッチングレギュレータとリニアレギュレータを示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、昇圧型スイッチングレギュレータとリニアレギュレータを示す図である。
【
図19】
図19は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、2つのトランジスタの断面構造の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。ICとは集積回路(Integrated Circuit)の略称である。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体を用いて形成されて良い。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本開示の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。
【0011】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。また、特に記述なき限り、任意のMOSFETにおいて、バックゲートはソースに短絡されていると考えて良い。
【0012】
任意のトランジスタについて、トランジスタがオン状態となっている期間をオン期間と称することがあり、トランジスタがオフ状態となっている期間をオフ期間と称することがある。以下、任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。
【0013】
任意の回路素子、配線(ライン)、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
【0014】
図1は本開示の実施形態に係る電源装置1の概略的な構成ブロック図である。
図1の電源装置1は、電源用半導体装置である電源IC2と、電源IC2に対して外付け接続される複数のディスクリート部品から成るディスクリート部品群3と、を備える。電源IC2はPMIC(Power Management IC)に分類される電子部品であって良い。
【0015】
図2に電源IC2の外観斜視図を示す。電源IC2は、半導体基板上に形成された半導体集積回路を有する半導体チップと、半導体チップを収容する筐体(パッケージ)と、筐体から電源IC2の外部に対して露出する複数の外部端子と、を備えた電子部品である。半導体チップを樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで電源IC2が形成される。尚、
図2に示される電源IC2の外部端子の数及び電源IC2の筐体の種類は例示に過ぎず、それらを任意に設計可能である。電源装置1に設けられる配線の内、電源IC2の外部に設けられる配線を特に外部配線と称し、電源IC2の内部に設けられる配線を特に内部配線と称する。
【0016】
図3に示す如く、電源装置1には、nチャネル分のスイッチングレギュレータ4が設けられる、即ち、n個のスイッチングレギュレータ4が設けられる。nは2以上の任意の整数を表す。n個のチャネルは第1~第nチャネルから成る。各スイッチングレギュレータ4にはスイッチング回路10が設けられる。各スイッチングレギュレータ4は、入力電圧V
INを降圧することで入力電圧V
INより低い出力電圧V
OUTを生成する降圧型スイッチングレギュレータ、又は、入力電圧V
INを昇圧することで入力電圧V
INより高い出力電圧V
OUTを生成する昇圧型スイッチングレギュレータとして機能する。各チャネルの入力電圧V
IN及び出力電圧V
OUTは正の直流電圧であり、故に、各チャネルのスイッチングレギュレータ4はDC/DCコンバータの一種である。
【0017】
第1~第nチャネルにおける計n個の出力電圧VOUTは互いに異なる直流電圧である。但し、第iAチャネルにおける出力電圧VOUTの値と、第iBチャネルにおける出力電圧VOUTの値とが一致する場合もあり得る。ここで、iA及びiBはn以下の互いに異なる任意の自然数を表す。
【0018】
第1~第nチャネルにおける計n個の入力電圧VINは互いに同じ直流電圧であり得る。即ち、共通の直流電圧が第1~第nチャネルの入力電圧VINとして兼用され得る。第iAチャネルにおける入力電圧VINは第iBチャネルにおける入力電圧VINと同じである場合もあるし、異なる場合もある。第1~第nチャネルの何れかのチャネルの入力電圧VINは電源IC2の電源電圧であって良い。
【0019】
第1~第nチャネルのスイッチング回路10は電源IC2に設けられる。各チャネルにおいて、スイッチング回路10とスイッチング回路10に対して接続されたディスクリート部品にてスイッチングレギュレータ4が形成される。
【0020】
図4に電源IC2の構成を示す。電源IC2はnチャネル分のスイッチング回路10(即ちn個のスイッチング回路10)及び動作切替回路20を備える。電源IC2において、nチャネル分のスイッチング回路10は互いに同じ構成を有する。各スイッチング回路10は、第1端子Ta、第2端子Tb、中間端子Tc及び帰還端子Tdと、トランジスタ11及び12と、制御駆動回路13と、を備える。第1~第nチャネルにおける第1端子Ta、第2端子Tb、中間端子Tc及び帰還端子Tdは、全て、電源IC2に設けられた外部端子である。後述の説明から明らかとなるが、各チャネルにおいて第2端子Tbは第1端子Taよりも低電位が加わる(即ち、第2端子Tbの電位は第1端子Taの電位よりも低い)。
【0021】
各スイッチング回路10において、トランジスタ11はPチャネル型のMOSFETにより形成され、トランジスタ12はNチャネル型のMOSFETにより形成される。各スイッチング回路10において、トランジスタ11及び12は互いに直列接続された一対のトランジスタであり、ハーフブリッジ回路を構成する。各スイッチング回路10において、トランジスタ11のソースは第1端子Taに接続され、トランジスタ11のドレイン及びトランジスタ12のドレインは中間端子Tcに共通接続され、トランジスタ12のソースは第2端子Tbに接続される。
【0022】
各スイッチング回路10において、帰還端子Tdに加わる電圧を帰還電圧と称し、記号“VFB”にて参照する。各スイッチング回路10において、制御駆動回路13は帰還端子Tdに接続されて帰還電圧VFBを受ける。各スイッチング回路10において、制御駆動回路13はトランジスタ11及び12の各ゲートに接続され、帰還電圧VFBに基づいてトランジスタ11及び12の各ゲート電位を制御することにより、トランジスタ11及び12を個別にオン又はオフとする。
【0023】
図5を参照し、各スイッチング回路10において、制御駆動回路13は制御回路13a及び駆動回路13bを備え、駆動回路13bがトランジスタ11及び12のゲートに接続されて、トランジスタ11及び12の各ゲートを駆動する。各スイッチング回路10において、制御回路13aは帰還電圧V
FBに基づいて制御信号CNTを生成し、制御信号CNTを駆動回路13bに与える。各スイッチング回路10において、駆動回路13bが制御信号CNTに基づいてトランジスタ11及び12の各ゲートを駆動することにより(即ち各ゲート電位を制御することにより)トランジスタ11及び12を個別にオン又はオフとする。
【0024】
動作切替回路20は、切替制御情報SSを取得し、切替制御情報SSに基づいて、チャネルごとにスイッチング回路10を降圧型スイッチングレギュレータ用の回路又は昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として切り替え動作させる。即ち、動作切替回路20は、切替制御情報SSに基づいて、第1チャネルのスイッチング回路10を降圧型スイッチングレギュレータ用のスイッチング回路10として動作させるのか、昇圧型スイッチングレギュレータ用のスイッチング回路10として動作させるのかを決定及び制御し、且つ、切替制御情報SSに基づいて、第2チャネルのスイッチング回路10を降圧型スイッチングレギュレータ用のスイッチング回路10として動作させるのか、昇圧型スイッチングレギュレータ用のスイッチング回路10として動作させるのかを決定及び制御する。“n≧3”であれば、第3~第nチャネルのスイッチング回路10についても同様である。
【0025】
以下、説明の具体化及び明確化のため、必要に応じ、
図6に示す如く、第iチャネルにおけるスイッチング回路10、トランジスタ11、トランジスタ12、制御駆動回路13、第1端子Ta、第2端子Tb、中間端子Tc、帰還端子Td、帰還電圧V
FBを、夫々、特にスイッチング回路10[i]、トランジスタ11[i]、トランジスタ12[i]、制御駆動回路13[i]、第1端子Ta[i]、第2端子Tb[i]、中間端子Tc[i]、帰還端子Td[i]、帰還電圧V
FB[i]と表記する。同様に、必要に応じ、
図7に示す如く、第iチャネルにおけるスイッチングレギュレータ4、入力電圧V
IN、出力電圧V
OUTを、夫々、特にスイッチングレギュレータ4[i]、入力電圧V
IN[i]、出力電圧V
OUT[i]と表記する。iはn以下の任意の自然数を表す。
【0026】
図8に示す如く切替制御情報SSは動作指定情報SS[1]~[n]を有する。動作指定情報SS[i]は、スイッチング回路10[i]を降圧型スイッチングレギュレータ用のスイッチング回路10として動作させるのか、昇圧型スイッチングレギュレータ用のスイッチング回路10として動作させるのかを指定する。ここでは、各動作指定情報が“0”又は“1”の値をとるものとする。そして、“0”の動作指定情報SS[i]はスイッチング回路10[i]を降圧型スイッチングレギュレータ用のスイッチング回路10として動作させることを指定する情報であって、且つ、“1”の動作指定情報SS[i]はスイッチング回路10[i]を昇圧型スイッチングレギュレータ用のスイッチング回路10として動作させることを指定する情報であるとする。
【0027】
今、第1~第nチャネルの内、何れか任意の1つチャネルを対象チャネルと称する。対象チャネルが第iチャネルである考えて、対象チャネルにおけるスイッチングレギュレータ4[i]の構成及び動作を説明する。
【0028】
対象チャネルの構成は降圧回路構成及び昇圧回路構成の何れかとなる。
図9に降圧回路構成を有する対象チャネル(第iチャネル)のスイッチングレギュレータ4[i]を示す。
図10に昇圧回路構成を有する対象チャネル(第iチャネル)のスイッチングレギュレータ4[i]を示す。
【0029】
[降圧回路構成]
図9を参照し、対象チャネル(第iチャネル)が降圧回路構成を有するときのスイッチングレギュレータ4[i]を説明する。対象チャネル(第iチャネル)が降圧回路構成を有することと、スイッチングレギュレータ4[i]が降圧回路構成を有することは等価である。降圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]は、電源IC2の外部に設けられるディスクリート部品として出力インダクタLo[i]及び出力コンデンサCo[i]を備える。
【0030】
降圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、第1端子Ta[i]に対し入力電圧V
IN[i]が供給され、故にトランジスタ11[i]のソースに入力電圧V
IN[i]が加わる。降圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、第2端子Tb[i]はグランドに接続される。従って、第2端子Tb[i]の電位は第1端子Ta[i]の電位よりも低い。トランジスタ12[i]のソースは第2端子Tb[i]を介してグランドに接続される。降圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、中間端子Tc[i]は外部配線を通じて出力インダクタLo[i]の一端に接続され、従ってトランジスタ11[i]及び12[i]の各ドレインは出力インダクタLo[i]の一端に接続される。出力インダクタLo[i]の他端は出力ノードND
D[i]に接続される。出力ノードND
D[i]は電源IC2の外部におけるノードであり、出力ノードND
D[i]に出力電圧V
OUT[i]が生じる。降圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、出力コンデンサCo[i]の一端は出力ノードND
D[i]に接続され、出力コンデンサCo[i]の他端はグランドに接続される。
図9において、負荷LD[i]は出力ノードND
D[i]に接続され、出力電圧V
OUT[i]に基づいて駆動する。
【0031】
降圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]に帰還電圧生成回路6D[i]を設けておくことができる。帰還電圧生成回路6D[i]は出力ノードNDD[i]及び帰還端子Td[i]に接続され、出力電圧VOUT[i]に応じた電圧を帰還電圧VFB[i]として帰還端子Td[i]に与える。ここにおける出力電圧VOUT[i]に応じた電圧は、出力電圧VOUT[i]の分圧(従って出力電圧VOUT[i]に比例する電圧)であって良い。例えば、帰還電圧生成回路6D[i]は、出力ノードNDD[i]及びグランド間に設けられた複数の分圧抵抗を用いて出力電圧VOUT[i]の分圧を生成できる。但し、降圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、帰還電圧生成回路6D[i]が省略されても良く、この場合、出力ノードNDD[i]が外部配線を介して帰還端子FB[i]に直接接続されることで、出力ノードNDD[i]における出力電圧VOUT[i]が帰還電圧VFB[i]として帰還端子Td[i]に与えられる。
【0032】
対象チャネルに対する動作指定情報SS[i]の値が“0”であるとき、対象チャネルの構成は降圧回路構成であり、対象チャネルの制御駆動回路13[i]は降圧用動作を行う。制御駆動回路13[i]は、降圧用動作において、帰還電圧VFB[i]に基づきトランジスタ11[i]及び12[i]をスイッチングさせることで入力電圧VIN[i]から出力電圧VOUT[i]を生成する電力変換を実行する。降圧用動作における電力変換では、入力電圧VIN[i]が降圧されることで入力電圧VIN[i]よりも低い出力電圧VOUT[i]が出力ノードNDD[i]に生じる。対象チャネルについて、降圧用動作における電力変換は、スイッチング回路10[i]と出力インダクタLo[i]及び出力コンデンサCo[i]との協働により実現されると解しても良い。
【0033】
降圧用動作の例としてPWMによる降圧用動作を説明する。PWMはパルス幅変調(Pulse Width Modulation)の略称である。降圧用動作において、制御駆動回路13[i]は所定のPWM周期にてトランジスタ11[i]及び12[i]を交互にオン、オフする。PWM周期の逆数はPWM周期であり、PWM周期はトランジスタ11[i]及び12[i]のスイッチング周波数に相当する。制御駆動回路13[i]は、トランジスタ11[i]のオン期間においてトランジスタ12[i]をオフとし、トランジスタ12[i]のオン期間においてトランジスタ11[i]をオフとする。制御駆動回路13[i]は、トランジスタ11[i]及び12[i]を同時にオンさせることは無い。トランジスタ11[i]及び12[i]の内、一方のトランジスタのオン期間と他方のトランジスタのオン期間との間に、トランジスタ11[i]及び12[i]の双方がオフとされる期間(デッドタイム)が介在しうる。
【0034】
図9の降圧回路構成において、トランジスタ11[i]のオン期間では入力電圧V
IN[i]が加わる端子から第1端子Ta[i]、トランジスタ11[i]のチャネル、中間端子Tc[i]及び出力インダクタLo[i]を介し、出力ノードND
D[i]に向けて電流が供給され、この際、出力インダクタLo[i]にエネルギが蓄積される。
図9の降圧回路構成において、トランジスタ12[i]のオン期間では出力インダクタLo[i]の蓄積エネルギに基づき、グランドから第2端子Tb[i]、トランジスタ12[i]のチャネル、中間端子Tc[i]及び出力インダクタLo[i]を介し、出力ノードND
D[i]に向けて電流が供給される。
図9の降圧回路構成において、トランジスタ11[i]及び12[i]の交互のオンにより中間端子Tc[i]に矩形波状の電圧が生じる。この矩形波状の電圧が、出力インダクタLo[i]及び出力コンデンサCo[i]から成る整流平滑回路にて整流及び平滑されることで、出力ノードND
D[i]に出力電圧V
OUT[i]が生じる。
【0035】
制御駆動回路13[i]による降圧用動作において、1PWM周期を占めるトランジスタ11[i]のオン期間の長さの割合は、トランジスタ11[i]のオンデューティと称される。降圧用動作に係る制御駆動回路13[i]は、帰還電圧VFB[i]に基づきトランジスタ11[i]のオンデューティを調整することにより、出力電圧VOUT[i]を所定の目標電圧にて安定化させる。具体的には、降圧用動作に係る制御駆動回路13[i]は、帰還電圧VFB[i]そのもの又は帰還電圧VFB[i]の分圧を所定の基準電圧と比較し、前者が後者(基準電圧)よりも高いときにトランジスタ11[i]のオンデューティを低下させ、前者が後者(基準電圧)よりも低いときにトランジスタ11[i]のオンデューティを上昇させる。
【0036】
[昇圧回路構成]
図10を参照し、対象チャネル(第iチャネル)が昇圧回路構成を有するときのスイッチングレギュレータ4[i]を説明する。対象チャネル(第iチャネル)が昇圧回路構成を有することと、スイッチングレギュレータ4[i]が昇圧回路構成を有することは等価である。昇圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]は、電源IC2の外部に設けられるディスクリート部品として入力インダクタLi[i]及び出力コンデンサCo[i]を備える。
【0037】
昇圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、入力インダクタLi[i]の一端は入力電圧V
IN[i]が加わる端子に接続されて入力電圧V
IN[i]を受け、入力インダクタLi[i]の他端は中間端子Tc[i]に接続される。故に、入力インダクタLi[i]の他端はトランジスタ11[i]及び12[i]の各ドレインに接続されることになる。昇圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、トランジスタ11[i]のソース及び第1端子Ta[i]は外部配線を通じて出力ノードND
U[i]に接続される。出力ノードND
U[i]は電源IC2の外部におけるノードである。出力ノードND
U[i]に入力電圧V
IN[i]の昇圧電圧として出力電圧V
OUT[i]が生じる。昇圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、第2端子Tb[i]はグランドに接続される。従って、第2端子Tb[i]の電位は第1端子Ta[i]の電位よりも低い。トランジスタ12[i]のソースは第2端子Tb[i]を介してグランドに接続される。昇圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、出力コンデンサCo[i]の一端は出力ノードND
U[i]に接続され、出力コンデンサCo[i]の他端はグランドに接続される。
図10において、負荷LD[i]は出力ノードND
U[i]に接続され、出力電圧V
OUT[i]に基づいて駆動する。
【0038】
昇圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]に帰還電圧生成回路6U[i]を設けておくことができる。帰還電圧生成回路6U[i]は出力ノードNDU[i]及び帰還端子Td[i]に接続され、出力電圧VOUT[i]に応じた電圧を帰還電圧VFB[i]として帰還端子Td[i]に与える。ここにおける出力電圧VOUT[i]に応じた電圧は、出力電圧VOUT[i]の分圧(従って出力電圧VOUT[i]に比例する電圧)であって良い。例えば、帰還電圧生成回路6U[i]は、出力ノードNDU[i]及びグランド間に設けられた複数の分圧抵抗を用いて出力電圧VOUT[i]の分圧を生成できる。但し、昇圧回路構成におけるスイッチングレギュレータ4[i]において、帰還電圧生成回路6U[i]が省略されても良く、この場合、出力ノードNDU[i]が外部配線を介して帰還端子FB[i]に直接接続されることで、出力ノードNDU[i]における出力電圧VOUT[i]が帰還電圧VFB[i]として帰還端子Td[i]に与えられる。
【0039】
対象チャネルに対する動作指定情報SS[i]の値が“1”であるとき、対象チャネルの構成は昇圧回路構成であり、対象チャネルの制御駆動回路13[i]は昇圧用動作を行う。制御駆動回路13[i]は、昇圧用動作において、帰還電圧VFB[i]に基づきトランジスタ11[i]及び12[i]をスイッチングさせることで入力電圧VIN[i]を出力電圧VOUT[i]に変換する電力変換を実行する。昇圧用動作における電力変換では、入力電圧VIN[i]が昇圧されることで入力電圧VIN[i]よりも高い出力電圧VOUT[i]が出力ノードNDU[i]に生じる。対象チャネルについて、昇圧用動作における電力変換は、スイッチング回路10[i]と入力インダクタLi[i]及び出力コンデンサCo[i]との協働により実現されると解しても良い。
【0040】
昇圧用動作の例としてPWMによる昇圧用動作を説明する。昇圧用動作において、制御駆動回路13[i]は所定のPWM周期にてトランジスタ11[i]及び12[i]を交互にオン、オフする。制御駆動回路13[i]は、トランジスタ11[i]のオン期間においてトランジスタ12[i]をオフとし、トランジスタ12[i]のオン期間においてトランジスタ11[i]をオフとする。制御駆動回路13[i]は、トランジスタ11[i]及び12[i]を同時にオンさせることは無い。トランジスタ11[i]及び12[i]の内、一方のトランジスタのオン期間と他方のトランジスタのオン期間との間に、トランジスタ11[i]及び12[i]の双方がオフとされる期間(デッドタイム)が介在しうる。
【0041】
図10の昇圧回路構成において、トランジスタ12[i]のオン期間では入力電圧V
IN[i]が加わる端子から入力インダクタLi[i]、中間端子Tc[i]、トランジスタ12[i]のチャネル及び第2端子Tb[i]を介し、グランドに向けて電流が流れ、この際、入力インダクタLi[i]にエネルギが蓄積される。
図10の昇圧回路構成において、トランジスタ11[i]のオン期間では入力インダクタLi[i]の蓄積エネルギに基づき、入力電圧V
IN[i]が加わる端子から入力インダクタLi[i]、中間端子Tc[i]、トランジスタ11[i]のチャネル及び第1端子Ta[i]を介し、出力ノードND
U[i]に向けて電流が流れ、この電流による電荷が出力コンデンサCo[i]に蓄積されることで出力ノードND
U[i]に出力電圧V
OUT[i]が生じる。
【0042】
制御駆動回路13[i]による昇圧用動作において、1PWM周期を占めるトランジスタ12[i]のオン期間の長さの割合は、トランジスタ12[i]のオンデューティと称される。昇圧用動作に係る制御駆動回路13[i]は、帰還電圧VFB[i]に基づきトランジスタ12[i]のオンデューティを調整することにより、出力電圧VOUT[i]を所定の目標電圧にて安定化させる。具体的には、昇圧用動作に係る制御駆動回路13[i]は、帰還電圧VFB[i]そのもの又は帰還電圧VFB[i]の分圧を所定の基準電圧と比較し、前者が後者(基準電圧)よりも高いときにトランジスタ12[i]のオンデューティを低下させ、前者が後者(基準電圧)よりも低いときにトランジスタ12[i]のオンデューティを上昇させる。但し、昇圧用動作において、トランジスタ12[i]のオンデューティには所定の上限が定められる。トランジスタ12[i]のオンデューティが上限を超えて上昇することは無い。
【0043】
制御駆動回路13[i]にて実行可能な降圧用動作及び昇圧用動作は多く部分において共通しており、制御駆動回路13[i]は、共通の回路を用いて降圧用動作及び昇圧用動作を切り替え実行できる。
【0044】
[切替制御情報]
切替制御情報SSの設定方法として以下に第1~第4設定方法を挙げる。第1~第4設定方法の何れが採用されても良い。切替制御情報SSの設定方法は切替制御情報SSの取得方法に相当すると解しても良い。
【0045】
切替制御情報SSの第1設定方法では、電源IC2に1以上の設定端子(不図示)が設けられ、動作切替回路20は設定端子に加わる電圧に基づき切替制御情報SSを取得する。設定端子は電源IC2の外部端子である。例えば、“n=2”である場合、電源IC2に第1及び第2設定端子を設けておく。第1設定端子に加わる電圧が所定電圧よりも低いとき、動作指定情報SS[1]の値は“0”となり、そうでないとき、動作指定情報SS[1]の値は“1”となる。第2設定端子に加わる電圧が所定電圧よりも低いとき、動作指定情報SS[2]の値は“0”となり、そうでないとき、動作指定情報SS[2]の値は“1”となる。“n≧3”の場合も同様である。動作切替回路20において設定端子に加わる電圧を3段階以上に分類して検出することで、1つの設定端子の電圧に複数ビット分の情報を持たせるようにしても良い。この場合、動作切替回路20は、例えば、1つの設定端子の電圧に基づき動作指定情報SS[1]及びSS[2]を取得することができる。
【0046】
切替制御情報SSの第2設定方法では、電源IC2に不揮発性メモリ(不図示)を設けておき、不揮発性メモリに切替制御情報SSを不揮発的に記憶させておく。この場合、動作切替回路20は、電源IC2の起動時において電源IC2に内蔵された不揮発性メモリから切替制御情報SSを読み出すことで切替制御情報SSを取得する。電源IC2の製造又は出荷段階にて切替制御情報SSを不揮発性メモリに記憶させておいて良い。切替制御情報SSの書き換えが不要であるならば、記憶情報の書き換えが不能なタイプのメモリであって良い。但し、情報の書き換えが可能な不揮発性メモリを電源IC2に設けておいても良く、この場合、電源IC2に外部接続されたホスト装置(不図示)からのコマンドに基づき、不揮発性メモリに記憶される切替制御情報SSを書き換え可能である。
【0047】
切替制御情報SSの第3設定方法では、電源IC2にRAM(Random access memory)に分類されるレジスタ(不図示)を設けておき、レジスタ内に切替制御情報SSを記憶させる。電源IC2の起動直後に実行される初期動作において、電源IC2に外部接続されたホスト装置(不図示)からのコマンドにて切替制御情報SSが指定され、指定された切替制御情報SSが上記レジスタに保持される。その後、動作切替回路20はレジスタから切替制御情報SSを読み出す。
【0048】
切替制御情報SSの第4設定方法では、電源IC2の外部に不揮発性メモリ(不図示;例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory))を設けておく。この場合、動作切替回路20は、電源IC2の起動時において電源IC2の外部に設けられた不揮発性メモリから切替制御情報SSを読み出すことで切替制御情報SSを取得する。
【0049】
[第1参考例]
ここで、電源ICを用いて複数のスイッチングレギュレータを構成する第1参考例を説明する。
図11に第1参考例に係る電源装置の構成を示す。
図11の電源装置は電源IC1002を有する。電源IC1002は、降圧用制御駆動回路及びハーフブリッジ回路を有する降圧用スイッチング回路1010[1]と、昇圧用制御駆動回路及びハーフブリッジ回路を有する昇圧用スイッチング回路1010[2]と、を備える。降圧用スイッチング回路1010[1]と必要なディスクリード部品にて降圧型スイッチングレギュレータが形成され、昇圧用スイッチング回路1010[2]と必要なディスクリード部品にて昇圧型スイッチングレギュレータが形成される。つまり、電源IC1002を用いた電源装置では、常に、降圧型スイッチングレギュレータ及び昇圧型スイッチングレギュレータが1つずつ形成される。
【0050】
このため、単体の電源IC1002では、降圧型スイッチングレギュレータを2つ形成したい或いは昇圧型スイッチングレギュレータを2つ形成したいといった要望に応えることができない。降圧型スイッチングレギュレータを2つ形成するには電源IC1002を2つ用意する必要があり、この際、昇圧型スイッチングレギュレータが不要であるならば、昇圧用スイッチング回路1010[2]が無駄となる。或いは例えば、3つの降圧型スイッチングレギュレータと1つの昇圧型スイッチングレギュレータを要するアプリケーションに電源IC1002を適用する場合、電源IC1002を3つ用意する必要があり、この際、2つの電源IC1002における昇圧用スイッチング回路1010[2]が無駄となる。
【0051】
これに対し、本開示に係る電源IC2では、様々なアプリケーションに柔軟に対応可能であると共に、無駄を極力排除することができる。即ち、様々なアプリケーションに効率良く適応できる。
【0052】
以下、複数の実施例の中で、電源装置1に関わる幾つかの具体的な構成例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される(但し
図11に対応する第1参考例を除く)。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0053】
[第1実施例]
本開示の第1実施例を説明する。
【0054】
例えば、“n=2”である場合において、降圧型スイッチングレギュレータのみを2つ形成する第1アプリケーションでは、
図12に示す如く、スイッチングレギュレータ4[1]及び4[2]の夫々に降圧回路構成(
図9参照)を持たせ、動作指定情報SS[1]及びSS[1]に共に“0”の値を設定することで制御駆動回路13[1]及び13[2]に降圧用動作を行わせれば良い。尚、
図12では帰還電圧生成回路6
D[i](
図9参照)が無いと仮定されているが、帰還電圧生成回路6
D[i]の設置の有無は任意である。
【0055】
逆に例えば、“n=2”である場合において、昇圧型スイッチングレギュレータのみを2つ形成する第2アプリケーションでは、
図13に示す如く、スイッチングレギュレータ4[1]及び4[2]の夫々に昇圧回路構成(
図10参照)を持たせ、動作指定情報SS[1]及びSS[1]に共に“1”の値を設定することで制御駆動回路13[1]及び13[2]に昇圧用動作を行わせれば良い。尚、
図13では帰還電圧生成回路6
U[i](
図10参照)が無いと仮定されているが、帰還電圧生成回路6
U[i]の設置の有無は任意である。
【0056】
或いは例えば、“n=2”である場合において、降圧型スイッチングレギュレータと昇圧型スイッチングレギュレータを1つずつ形成する第3アプリケーションでは、
図14に示す如く、スイッチングレギュレータ4[1]に降圧回路構成(
図9参照)を持たせる一方でスイッチングレギュレータ4[2]に昇圧回路構成(
図10参照)を持たせれば良い。その上で、動作指定情報SS[1]に“0”の値を設定することで制御駆動回路13[1]に降圧用動作を行わせ、且つ、動作指定情報SS[2]に“1”の値を設定することで制御駆動回路13[2]に昇圧用動作を行わせれば良い。尚、
図14では帰還電圧生成回路6
D[i]及び6
U[i](
図9及び
図10参照)が無いと仮定されているが、帰還電圧生成回路6
D[i]及び6
U[i]の設置の有無は任意である。第3アプリケーションにおいて、スイッチングレギュレータ4[1]に昇圧回路構成を持たせる一方でスイッチングレギュレータ4[2]に降圧回路構成を持たせても良く、この際には、“(SS[1],SS[2])=(1,0)”とされる。
【0057】
また例えば、“n=2”である場合において、3つの降圧型スイッチングレギュレータと1つの昇圧型スイッチングレギュレータが必要とされる第4アプリケーションでは、2つの電源IC2を用意し、一方の電源IC2を用いて
図12の回路を構成すると共に他方の電源IC2を用いて
図14の回路を構成すれば良い。
【0058】
“n≧3”である場合には更に多くの組み合わせを実現できる。例えば、“n=4”である場合において、上記第4アプリケーションでは、特に図示しないが、スイッチングレギュレータ4[1]~4[3]に降圧回路構成(
図9参照)を持たせ且つスイッチングレギュレータ4[4]に昇圧回路構成(
図10参照)を持たせれば良い。その上で、動作指定情報SS[1]~SS[3]に“0”の値を設定することで制御駆動回路13[1]~13[3]に降圧用動作を行わせ、且つ、動作指定情報SS[4]に“1”の値を設定することで制御駆動回路13[4]に昇圧用動作を行わせれば良い。
【0059】
[第2実施例]
図11の第1参考例に係る電源IC1002に対し、
図15に示す如く、リニアレギュレータ1030が追加されることがある。リニアレギュレータ1030を有する電源IC1002は第2参考例に係る電源IC1002である。
図15の電源IC1002では、リニアレギュレータ1030用に2つの外部端子が追加される。追加された2つの外部端子の内、一方の外部端子にリニアレギュレータ1030をおける入力電圧が供給され、他方の外部端子からリニアレギュレータ1030の出力電圧が出力される。
【0060】
本開示に係る電源IC2にもリニアレギュレータが追加され得る。リニアレギュレータが追加された電源IC2の実施例を第2実施例として説明する。
図16に、第2実施例に係る電源IC2の一部内部構成を示す。電源IC2はリニアレギュレータ30を備える。リニアレギュレータ30はLDO (Low Drop Out)レギュレータに分類されるものであって良い。リニアレギュレータ30は、出力トランジスタ31及びリニア制御回路32を備える。リニアレギュレータ30に対して出力端子Teが接続される。出力端子Teはリニアレギュレータ30の構成要素に含まれると解しても良い。出力端子Teは電源IC2の外部端子の1つである。出力トランジスタ31はPチャネル型のMOSFETにより形成される。
【0061】
図16には、スイッチング回路10[1]~10[n]の内の何れか1つであるスイッチング回路10[j]が示される。jは1以上且つn以下の何れかの整数値をとる。トランジスタ11[1]~11[n]の内、何れか1つのトランジスタ11のソースが電源IC2の内部において出力トランジスタ31のソースに接続される。出力トランジスタ31のソースに接続されたソースを有するトランジスタ11がトランジスタ11[j]であり、トランジスタ11[j]を含んで構成されるスイッチング回路10がスイッチング回路10[j]である。
【0062】
出力トランジスタ31及びトランジスタ11[j]のソース同士は互いに接続され、電源IC2の内部配線WRcを介して第1端子Ta[j]に接続される。第1端子Ta[j]における電圧がリニアレギュレータ30への入力電圧VINLであり、出力トランジスタ31は自身のソースにて入力電圧VINLを受ける。出力トランジスタ31のドレインは出力端子Teに接続される。電源IC2の外部に出力コンデンサCopが設けられる。出力端子Teは外部配線を通じて出力ノードNDLに接続される。出力ノードNDLは電源IC2の外部におけるノードである。出力端子Te及び出力ノードNDLにリニアレギュレータ30の出力電圧VOUTLが加わる。出力コンデンサCopの一端は出力ノードNDLに接続され(従って出力端子Teに接続され)、出力コンデンサCopの他端はグランドに接続される。
【0063】
リニア制御回路32は出力トランジスタ31のゲートに接続されると共に出力端子Teに接続される。リニア制御回路32は出力端子Teの電圧(即ち出力電圧VOUTL)に基づき、出力トランジスタ31のゲート電位を制御することにより、第1端子Ta[j]から出力トランジスタ31を介して出力端子Teに供給される電流の大きさを制御し、これによって出力電圧VOUTLを所定の目標電圧(リニアレギュレータ30に対して設定された目標電圧)にて安定化させる。出力電圧VOUTLは入力電圧VINLよりも低い。即ち、リニアレギュレータ30は、第1端子Ta[j]の電圧を入力電圧VINLとし、入力電圧VINLから入力電圧VINLよりも低い出力電圧VOUTLを生成して出力端子Teから出力する。
【0064】
このように、スイッチング回路10[j]における第1端子Ta[j](換言すればスイッチングレギュレータ4[j]における第1端子Ta[j])をリニアレギュレータ30の入力端子として兼用することにより、
図15の第2参考例と比べて、電源IC2の外部端子数を削減することができる。外部端子数の削減はパッケージサイズの低減につながり、コスト削減に繋がる。
【0065】
図17に示す如く、スイッチング回路10[j]を備えるスイッチングレギュレータ4[j]において降圧回路構成(
図9参照)が採用されて良い。尚、
図17では帰還電圧生成回路6
D[i](
図9参照)が無いと仮定されているが、帰還電圧生成回路6
D[i]の設置の有無は任意である。或いは、
図18に示す如く、スイッチング回路10[j]を備えるスイッチングレギュレータ4[j]において昇圧回路構成(
図10参照)が採用されて良い。尚、
図18では帰還電圧生成回路6
U[i](
図10参照)が無いと仮定されているが、帰還電圧生成回路6
U[i]の設置の有無は任意である。
【0066】
スイッチングレギュレータ4[j]を降圧型スイッチングレギュレータとするか、昇圧型スイッチングレギュレータとするかで、多彩なアプリケーションを実現できる。入力電圧VIN[j]は安定した直流電圧であって良いが、入力電圧VIN[j]の値は時として変動しうる。或いは、入力電圧VIN[j]の値は一定の電圧範囲内の何れかの値に設定される。今、入力電圧VIN[j]が3.3Vから5.5Vまでの電圧範囲内の値を持つことを想定する。
【0067】
この場合において、例えばリニアレギュレータ30の出力電圧VOUTLに対する目標電圧が1.8Vであるならば、スイッチングレギュレータ4[j]を降圧型スイッチングレギュレータとすれば良い(即ち第jチャネルのスイッチングレギュレータ4を降圧型スイッチングレギュレータとして用いれば良い)。これにより、スイッチングレギュレータ4[j]を昇圧型スイッチングレギュレータとするよりも、高い効率が得られる(リニアレギュレータ30での損失が小さくなる)。
【0068】
或いは例えば、例えばリニアレギュレータ30の出力電圧VOUTLに対する目標電圧が3.3Vであるならば、スイッチングレギュレータ4[j]を昇圧型スイッチングレギュレータとすれば良い(即ち第jチャネルのスイッチングレギュレータ4を昇圧型スイッチングレギュレータとして用いれば良い)。これにより、3.3Vよりも高い電圧をリニアレギュレータ30の入力電圧VINLとして確保することができるため、リニアレギュレータ30の安定動作が担保される。
【0069】
まとめると、入力電圧VIN[j]の変動範囲の最小値(例えば3.3V)と比べてリニアレギュレータ30の出力電圧VOUTLに対する目標電圧(例えば1.8V)が低い場合には、第jチャネルのスイッチングレギュレータ4を降圧型スイッチングレギュレータとして用いれば良く、そうでない場合には、第jチャネルのスイッチングレギュレータ4を昇圧型スイッチングレギュレータとして用いれば良い。
【0070】
また、トランジスタ11[j]のソース及び出力トランジスタ31のソースを、共通の半導体領域を用いて形成すると良い。これによりチップ面積を低減することができる。これについて説明を加える。
【0071】
図19にトランジスタ11[j]及び出力トランジスタ31の断面構造の例を示す。n型の半導体基板300上に互いに分離したp
+型の半導体領域301、302及び303を形成することで、トランジスタ11[j]及び出力トランジスタ31が構成される。
半導体領域301はトランジスタ11[j]のドレインとして機能し、半導体領域303は出力トランジスタ31のドレインとして機能する。半導体領域302は、半導体領域301と半導体領域303との間に設けられ、トランジスタ11[j]及び出力トランジスタ31の双方のソースとして機能する。即ち、トランジスタ11[j]のソース及び出力トランジスタ31のソースが共通の半導体領域302を用いて形成される。半導体領域301及び302間に位置するn型の半導体領域304は、トランジスタ11[j]のゲートとして機能する。半導体領域302及び303間に位置するn型の半導体領域305は、出力トランジスタ31のゲートとして機能する。
【0072】
トランジスタ11[j]及び出力トランジスタ31に、DMOSFET(double-diffused metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)等の構造を持たせる場合においても、トランジスタ11[j]のソース及び出力トランジスタ31のソースを共通の半導体領域を用いて形成するができる。
【0073】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。第3実施例では、上述の内容に対する補足事項又は変形技術を説明する。
【0074】
各実施形態に示されたFET(電界効果トランジスタ)のチャネルの種類は例示である。上述の主旨を損なわない形で、任意のFETのチャネルの種類はPチャネル型及びNチャネル型間で変更され得る。
【0075】
従って例えば、各チャネルにおいてトランジスタ11をNチャネル型のMOSFETにて形成しても良い。この場合、各チャネルにおいてトランジスタ11のドレインが第1端子Taに接続され、トランジスタ11のソースが中間端子Tcに接続される。
【0076】
第2実施例において(
図16参照)、第jチャネルのトランジスタ11[j]がNチャネル型のMOSFETにて形成される場合、出力トランジスタ31もNチャネル型のMOSFETにて形成されて良い。そして、この場合には、トランジスタ11[j]及び出力トランジスタ31のドレイン同士が電源IC2内で互いに共通接続され、内部配線WRcを介して第1端子Ta[j]に接続される。トランジスタ11[j]及び出力トランジスタ31がNチャネル型のMOSFETにて形成される場合、トランジスタ11[j]のドレインと出力トランジスタ31のドレインとが、共通の半導体領域を用いて形成されると良い。
【0077】
電源IC2内にリニアレギュレータ30が複数設けられていても良い。この場合、リニアレギュレータ30ごとに第2実施例に示す技術が適用されて良い。
【0078】
図1の電源装置1を複数備えた電源システムを構成しても良い。例えば“n=4”である場合において、3つの電源IC2を有する電源システムを構成しても良い。この場合、電源システム内で最大12個のスイッチングレギュレータを構成でき、スイッチングレギュレータごとに当該スイッチングレギュレータを降圧型スイッチングレギュレータ又は昇圧型スイッチングレギュレータとするかを任意に設定できる。
【0079】
不都合が生じない限り、上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタを、不都合が生じない限り、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0080】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0081】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0082】
本開示の一側面に係る電源用半導体装置は、第1端子(Ta)、中間端子(Tc)、及び、前記第1端子よりも低電位が加わるよう構成された第2端子(Tb)を有する端子群と、前記第1端子及び前記中間端子間に設けられた第1トランジスタ(11)と、前記第2端子及び前記中間端子間に設けられた第2トランジスタ(12)と、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを制御及び駆動するよう構成された制御駆動回路(13)と、を有するスイッチング回路(10)を複数チャネル分備え、各チャネルにおいて、前記制御駆動回路は、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタをスイッチングさせることで入力電圧(VIN)から出力電圧(VOUT)を生成する電力変換を実行し、チャネルごとに、前記スイッチング回路を降圧型スイッチングレギュレータ用の回路又は昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として切り替え動作させることが可能に構成され、各チャネルにおいて、前記スイッチング回路が前記降圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するときには前記入力電圧が降圧されることで前記出力電圧が生成され、前記スイッチング回路が前記昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するときには前記入力電圧が昇圧されることで前記出力電圧が生成される構成(第1の構成)である。
【0083】
これにより、様々なアプリケーションに効率良く適応できる。
【0084】
上記第1の構成に係る電源用半導体装置において、切替制御情報(SS)に基づき、チャネルごとに前記スイッチング回路を前記降圧型スイッチングレギュレータ用の回路又は前記昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として切り替え動作させる動作切替回路(20)を更に備える構成(第2の構成)であっても良い。
【0085】
上記第1又は第2の構成に係る電源用半導体装置において、各チャネルにおける前記第1端子、前記中間端子及び前記第2端子は、当該電源用半導体装置の筐体から露出する外部端子である構成(第3の構成)であっても良い。
【0086】
上記第1~第3の構成の何れかに係る電源用半導体装置において、第1電圧(VINL)から前記第1電圧よりも低い第2電圧(VOUTL)を生成して前記第2電圧を出力端子(Te)から出力するよう構成されたリニアレギュレータ(30)を更に備え、前記リニアレギュレータは、何れかのチャネル(第jチャネル)の前記第1端子に接続され、接続された前記第1端子から前記第1電圧を受ける構成(第4の構成)であっても良い。
【0087】
これにより、リニアレギュレータ専用の入力端子(入力電圧(第1電圧)を受ける端子)を設ける必要が無くなる。
【0088】
上記第4の構成に係る電源用半導体装置において、前記リニアレギュレータは、第1電極、第2電極及び制御電極を有する出力トランジスタ(31)と、前記第2電圧に基づき前記制御電極の電位を制御するよう構成されたリニア制御回路(32)と、を有し、前記出力トランジスタの前記第1電極は、何れかのチャネルの前記第1端子に接続されて当該第1端子における電圧を前記第1電圧として受け、前記出力トランジスタの前記第2電極は、前記出力端子に接続される構成(第5の構成)であっても良い。
【0089】
上記第5の構成に係る電源用半導体装置において、前記複数チャネルは第1~第nチャネルを有し、nは2以上の整数を表し、前記出力トランジスタの前記第1電極は、当該電源用半導体装置の内部配線(WRc)を介して第jチャネルの前記第1端子(Ta[j])に接続され、jはn以下の自然数を表し、前記第jチャネルにおいて前記第1トランジスタは前記第1端子に接続される電極を有し、前記第jチャネルにおける前記第1トランジスタの前記電極と、前記出力トランジスタの前記第1電極とは、共通の半導体領域(302;
図19)を用いて形成される構成(第6の構成)であっても良い。
【0090】
これにより、チップ面積の低減が期待される。
【0091】
上記第4~第6の構成の何れかに係る電源用半導体装置において、各チャネルにおける前記第1端子、前記中間端子及び前記第2端子、並びに、前記出力端子は、当該電源用半導体装置の筐体から露出する外部端子である構成(第7の構成)であっても良い。
【0092】
上記第1~第7の構成の何れかに係る電源用半導体装置において、各チャネルにおいて、前記端子群は、前記出力電圧又は前記出力電圧に応じた電圧を帰還電圧(VFB)として受けるよう構成された帰還端子(Td)を更に有し、各チャネルにおいて、前記制御駆動回路は、前記帰還電圧に基づき前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを制御する構成(第8の構成)であっても良い。
【0093】
上記第8の構成に係る電源用半導体装置において、前記複数チャネルの何れかである対象チャネル(第iチャネル)において、前記電力変換により、前記対象チャネルでの前記入力電圧である対象入力電圧(V
IN[i])から前記対象チャネルでの前記出力電圧である対象出力電圧(V
OUT[i])が生成され、前記対象チャネルにおいて前記スイッチング回路が前記降圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するとき(
図9参照)、前記対象チャネルにおいて、前記第1端子に前記対象入力電圧が加わり、前記中間端子に対して出力インダクタ(Lo[i])の第1端が接続され、前記対象チャネルでの前記帰還電圧に基づく前記電力変換により、前記出力インダクタの第2端に前記対象入力電圧を降圧した電圧が前記対象出力電圧として生じ、前記対象チャネルにおいて前記スイッチング回路が前記昇圧型スイッチングレギュレータ用の回路として動作するとき(
図10参照)、前記対象チャネルにおいて、前記対象入力電圧を受ける第1端を有する入力インダクタ(Li[i])の第2端が前記中間端子に接続され、前記対象チャネルでの前記帰還電圧に基づく前記電力変換により、前記第1端子に前記対象入力電圧を昇圧した電圧が前記対象出力電圧として生じる構成(第9の構成)であっても良い。
【0094】
上記第1~第9の構成の何れかに係る電源用半導体装置において、各チャネルにおいて、前記第1トランジスタが前記第1端子及び前記中間端子に接続され且つ前記第2トランジスタが前記第2端子及び前記中間端子に接続されることで、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが互いに直列接続される構成(第10の構成)であっても良い。
【符号の説明】
【0095】
1 電源装置
2 電源IC
3 ディスクリート部品群
4、4[1]~4[n] スイッチングレギュレータ
10、10[1]~10[n] スイッチング回路
11、11[1]~11[n] トランジスタ(第1トランジスタ)
12、12[1]~12[n] トランジスタ(第2トランジスタ)
13、13[1]~13[n] 制御駆動回路
13a 制御回路
13b 駆動回路
Ta、Ta[1]~Ta[n] 第1端子
Tb、Tb[1]~Tb[n] 第2端子
Tc、Tc[1]~Tc[n] 中間端子
Td、Td[1]~Td[n] 帰還端子
20 動作切替回路
VIN、VIN[1]~VIN[n] 入力電圧
VOUT、VOUT[1]~VOUT[n] 出力電圧
VFB、VFB[1]~VFB[n] 帰還電圧
SS 切替制御情報
SS[1]~SS[n] 動作指定情報
Lo[i]、Lo[1]、Lo[2] 出力インダクタ
Co[i]、Co[1]、Co[2] 出力コンデンサ
Li[i]、Li[1]、Li[2] 入力インダクタ
6D[i]、6U[i] 帰還電圧生成回路
NDD[i]、NDU[i] 出力ノード
LD[i] 負荷
30 リニアレギュレータ
31 出力コンデンサ
32 リニア制御回路
VINL 入力電圧
VOUTL 出力電圧
NDL 出力ノード
Te 出力端子
WRc 内部配線
Cop 出力コンデンサ
300 半導体基板
301~305 半導体領域