(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174098
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086759
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 博志
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS05
5H730AS11
5H730BB13
5H730BB57
5H730CC01
5H730DD04
5H730FD31
5H730FD38
(57)【要約】
【課題】回路構成を簡素化できる電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置12は、電力変換回路21と、ボトム検出回路25と、制御回路22と、マスク回路26とを備える。電力変換回路21は、直流電源20に接続されるスイッチング素子Q1と、巻線L1と、コンデンサC1とを有し、スイッチング素子Q1のスイッチングによりコンデンサC1に並列に接続される発光素子11に出力電流を供給する。ボトム検出回路25は、スイッチング素子Q1のオフ期間中にスイッチング素子Q1の両端電圧の最小電圧点を検出し、検出信号を出力する。制御回路22は、電力変換回路21の出力に応じてスイッチング素子Q1をターンオフし、ボトム検出回路25からの検出信号によりスイッチング素子Q1をターンオンする。マスク回路26は、スイッチング素子Q1がターンオンした時点から所定期間が経過するまでの間、スイッチング素子Q1がターンオンするのを制限する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源に接続されるスイッチング素子と、巻線と、コンデンサとを有し、前記スイッチング素子のスイッチングにより前記コンデンサに並列に接続される発光素子に出力電流を供給する電力変換回路と;
前記スイッチング素子のオフ期間中に前記スイッチング素子の両端電圧の最小電圧点を検出し、検出信号を出力するボトム検出回路と;
前記電力変換回路の出力に応じて前記スイッチング素子をターンオフし、前記ボトム検出回路からの検出信号により前記スイッチング素子をターンオンする制御回路と;
前記スイッチング素子がターンオンした時点から所定期間が経過するまでの間、前記スイッチング素子がターンオンするのを制限するマスク回路と;
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記マスク回路は、前記スイッチング素子がターンオンした時点から計時を開始して所定期間が経過するまで、前記スイッチング素子がターンオンするのを制限するように前記ボトム検出回路から出力される検出信号を無効にする
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
直流電源に接続されるスイッチング素子と、巻線と、コンデンサとを有し、前記コンデンサに並列に接続される発光素子に出力電流を供給する電力変換回路と;
前記スイッチング素子のオフ期間中に前記スイッチング素子の両端電圧の最小電圧点を検出し、検出信号を出力するボトム検出回路と;
前記電力変換回路の出力に応じて前記スイッチング素子をターンオフし、前記ボトム検出回路からの検出信号により前記スイッチング素子をターンオンする制御回路と;
前記スイッチング素子がターンオフした時点から所定期間が経過するまでの間、前記スイッチング素子がターンオンするのを制限するマスク回路と;
ことを特徴とする電源装置。
【請求項4】
前記マスク回路は、前記スイッチング素子がターンオフした時点から計時を開始して所定期間が経過するまで、前記スイッチング素子がターンオンするのを制限するように前記ボトム検出回路から出力される検出信号を無効にする
ことを特徴とする請求項3記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子を点灯させる電源装置では、直流電源に接続されるスイッチング素子と、巻線と、コンデンサとを有し、スイッチング素子のスイッチングによりコンデンサに並列に接続される発光素子に出力電流を供給する電力変換回路を備えたものがある。
【0003】
このような電力変換回路では、スイッチング素子のターンオフ後に、巻線の電流がゼロになると、スイッチング素子の両端電圧に電圧振動が発生する。この電圧振動の最小電圧点を検出してスイッチング素子をターンオンすることにより、スイッチング損失を低減し、効率が向上する。しかし、負荷が軽負荷状態にあると、スイッチング素子のオン期間が短くなってスイッチング周波数が高くなるため、スイッチング素子がオン、オフするときのスイッチング損失の発生回数が大きくなる。
【0004】
また、負荷が軽負荷状態かどうかを判定する負荷判定手段と、軽負荷状態によるボトムスキップ状態が第1所定時間継続したかどうかを判定するボトムスキップ状態判定手段と、軽負荷状態でかつボトムスキップ状態が第1所定時間継続したらボトムスキップ動作と判定し、擬似共振動作から、ボトム検出手段で検出された2回目以降の最小電圧点でスイッチング素子をターンオンさせるボトムスキップ動作に移行させるボトムスキップ動作判定手段と、を備える電源装置がある。
【0005】
この電源装置では、負荷判定手段、ボトムスキップ状態判定手段、およびボトムスキップ動作判定手段などが必要であり、複雑な回路構成となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、回路構成を簡素化できる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の電源装置は、電力変換回路と、ボトム検出回路と、制御回路と、マスク回路とを備える。電力変換回路は、直流電源に接続されるスイッチング素子と、巻線と、コンデンサとを有し、スイッチング素子のスイッチングによりコンデンサに並列に接続される発光素子に出力電流を供給する。ボトム検出回路は、スイッチング素子のオフ期間中にスイッチング素子の両端電圧の最小電圧点を検出し、検出信号を出力する。制御回路は、電力変換回路の出力に応じてスイッチング素子をターンオフし、ボトム検出回路からの検出信号によりスイッチング素子をターンオンする。マスク回路は、スイッチング素子がターンオンした時点から所定期間が経過するまでの間、スイッチング素子がターンオンするのを制限する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の電源装置によれば、回路構成の簡素化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】同上電源装置のスイッチング素子のターンオンした時点からのマスク期間を示し、(a)はスイッチング素子のドレイン電流の波形図、(b)はスイッチング素子の両端電圧の波形図である。
【
図3】同上電源装置のスイッチング素子のターンオフした時点からのマスク期間を示し、(a)はスイッチング素子のドレイン電流の波形図、(b)はスイッチング素子の両端電圧の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1において、10は照明装置で、この照明装置10は、発光素子11と、この発光素子11を点灯させる電源装置12とを備えている。照明装置10は、例えば、天井に設置されるベースライトやダウンライト、その他の照明用の機器のいずれであってもよい。
【0013】
発光素子11は、例えばLEDなどの半導体発光素子である。発光素子11は、1つ以上用いられ、複数用いられる場合には複数の発光素子11が直列または直並列に接続される。
【0014】
また、電源装置12は、直流電力を供給する直流電源20と、この直流電源20から供給される直流電力を発光素子11の点灯電力に変換する電力変換回路21と、この電力変換回路21を制御する制御回路22とを備えている。
【0015】
直流電源20は、直流電力を電力変換回路21に供給するものであって、例えば、交流電源から供給される交流電圧を整流、平滑して直流電圧とし、さらに力率改善のために直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路などを備えるAC/DC回路であってもよい。
【0016】
電力変換回路21は、直流電源20から供給される直流電力を発光素子11の点灯電力に変換するもので、例えば、直流電源20から供給される直流電圧を発光素子11が点灯する直流電圧に降圧する降圧チョッパ回路を備えるDC/DC回路で構成されている。
【0017】
電力変換回路21は、スイッチング素子Q1と、トランスT1と、コンデンサC1と、ダイオードD1と、抵抗R1とを備えている。
【0018】
スイッチング素子Q1は、例えばnチャネル型のMOSFETが用いられる。スイッチング素子Q1は、ドレインが直流電源20の高電位側に接続され、ソースがトランスT1の一端側およびダイオードD1のカソードに接続されてこれらトランスT1およびコンデンサC1を介して電力変換回路21の低電位側に接続され、ゲートが制御回路22に接続されている。
【0019】
トランスT1は、インダクタである一次側の巻線L1と、二次側の巻線L2とを備えている。一次側の巻線L1は、一端側がスイッチング素子Q1のソースに接続され、他端側がコンデンサC1の一端側に接続されている。二次側の巻線L2は、一端側が電力変換回路21の低電位側に接続され、他端側が制御回路22に接続されている。
【0020】
コンデンサC1は、一端側が巻線L1の他端側に接続され、他端側が電力変換回路21の低電位側に接続されている。コンデンサC1の両端に発光素子11が並列に接続されている。発光素子11は、アノードが巻線L1の他端側とコンデンサC1の一端側との間に接続され、カソードがコンデンサC1の他端側に接続されている。
【0021】
ダイオードD1は、カソードがスイッチング素子Q1のソースと巻線L1との間の高電位側に接続され、アノードが直流電源20と抵抗R1との間の低電位側に接続されている。
【0022】
抵抗R1は、発光素子11に流れる電流を検出するためのものであり、電力変換回路21の低電位側でコンデンサC1の他端側とダイオードD1のアノードとの間に接続され、発光素子11に流れる電流に応じた大きさの検出電圧を生じさせる。抵抗R1とコンデンサC1との間が制御回路22に接続されている。
【0023】
電力変換回路21は、スイッチング素子Q1のオン時に、直流電源20の高電位側と低電位側との間にスイッチング素子Q1と巻線L1とコンデンサC1および発光素子11と抵抗R1とによって閉回路が構成され、また、スイッチング素子Q1のオフ時に、巻線L1とコンデンサC1および発光素子11と抵抗R1とダイオードD1とによって閉回路が構成される。
【0024】
制御回路22は、ボトム検出回路25と、マスク回路26と、出力検出回路27と、フリップフロップ28と、ドライバ29とを備えている。制御回路22は、全ての要素をICで構成してもよいし、その要素の一部をIC外に構成してもよい。または、全ての要素をアナログ回路で構成してもよい。
【0025】
ボトム検出回路25は、トランスT1の二次側の巻線L2の他端側が接続され、この巻線L2で検出されるスイッチング素子Q1の両端電圧(ドレイン-ソース間電圧)を監視し、スイッチング素子Q1のオフ期間中にスイッチング素子Q1の両端電圧の最小電圧点を検出し、検出信号をフリップフロップ28のセット端子Sにマスク回路26を通じて出力する。
【0026】
マスク回路26は、制御回路22内でスイッチング素子Q1のターンオン、ターンオフの情報を取得する。マスク回路26は、スイッチング素子Q1がターンオン、またはターンオフした時点から計時を開始するタイマーを備えている。マスク回路26は、スイッチング素子Q1がターンオン、またはターンオフした時点から計時を開始して所定期間(所定時間)であるマスク期間が経過するまでの間、スイッチング素子Q1がターンオンするのを制限する。本実施形態のマスク回路26によるスイッチング素子Q1がターンオンの制限は、間接的に行うもので、例えば、マスク回路26は、ボトム検出回路25とフリップフロップ28のセット端子Sとの間に設けられ、マスク期間中はボトム検出回路25から出力される検出信号がフリップフロップ28のセット端子Sに出力されないように無効とし、マスク期間の経過後にボトム検出回路25から出力される検出信号がフリップフロップ28のセット端子Sに出力されるようにする。マスク期間は、スイッチング素子Q1の所定のスイッチング周波数の1周期の期間よりも少し短い期間となる。
【0027】
出力検出回路27は、例えば比較器が用いられ、抵抗R1とコンデンサC1との間から流れる電流に応じた大きさの検出電圧を入力し、この検出電圧と所定の基準電圧とを比較し、検出電圧が基準電圧を上回ったら、検出信号をフリップフロップ28のリセット端子Rに出力する。なお、出力検出回路27は、上述のように発光素子11に流れる出力電流を検出してもよいし、巻線L1から発光素子11に供給される出力電圧を検出してもよく、電力変換回路21の出力電流または出力電圧を含む出力を検出できればよい。
【0028】
フリップフロップ28は、マスク回路26を通じてボトム検出回路25が接続されるセット端子Sと、出力検出回路27が接続されるリセット端子Rと、ドライバ29に信号を出力する信号出力端子Qとを備えている。フリップフロップ28は、リセット端子Rに出力検出回路27からの検出信号が入力することで信号出力端子QからLレベルの信号をドライバ29に出力し、セット端子Sにマスク回路26を通じてボトム検出回路25からの検出信号が入力することで信号出力端子QからHレベルの信号をドライバ29に出力する。
【0029】
ドライバ29は、フリップフロップ28から入力する信号に応じてスイッチング素子Q1のゲートを駆動してスイッチング素子Q1をスイッチングさせる。ドライバ29は、フリップフロップ28からHレベルの信号を入力することで、スイッチング素子Q1のゲートにHレベルの駆動信号を出力してターンオンさせ、また、フリップフロップ28からLレベルの信号を入力することで、スイッチング素子Q1のゲートにLレベルの駆動信号を出力してターンオフさせる。
【0030】
したがって、制御回路22は、電力変換回路21の出力に応じて、つまり出力検出回路27のから検出信号によりスイッチング素子Q1をターンオフし、ボトム検出回路25からの検出信号によりスイッチング素子Q1をターンオンする。
【0031】
次に、電源装置12の動作を説明する。
【0032】
スイッチング素子Q1がオンすると、直流電源20からの直流電流が巻線L1を通じてコンデンサC1および発光素子11に流れ、発光素子11が点灯する。また、スイッチング素子Q1がオフすると、巻線L1に蓄積された電位が放出されることで、巻線L1からの直流電流が発光素子11に流れるとともにダイオードD1を通じて巻線L1に還流し、発光素子11が点灯する。調光時には、スイッチング素子Q1のオン期間を変更することで、発光素子11の明るさが調整される。
【0033】
そして、
図2および
図3を参照して電源装置12の具体的な動作を説明する。
図2は、ターンオンした時点からのマスク期間mを示し、(a)はスイッチング素子Q1のドレイン電流の波形図、(b)はスイッチング素子Q1の両端電圧(ドレイン-ソース間電圧)の波形図である。
図3は、ターンオフした時点からのマスク期間mを示し、(a)はスイッチング素子Q1のドレイン電流の波形図、(b)はスイッチング素子Q1の両端電圧(ドレイン-ソース間電圧)の波形図である。なお、
図2(a)および
図3(a)にスイッチング素子Q1のオン、オフを示すが、
図2(b)および
図3(b)のスイッチング素子Q1の両端電圧の変化のタイミングも
図2(a)および
図3(a)に示すスイッチング素子Q1のオン、オフに連動している。
【0034】
図2および
図3において、オフ状態のスイッチング素子Q1がターンオンすると、巻線L1のインダクタンス値に応じてドレイン電流が徐々に上昇し、発光素子11に出力電流が流れる。
【0035】
発光素子11に流れる出力電流が所定の電流値となって出力検出回路27により検出される検出電圧が基準電圧を上回ると、出力検出回路27から検出信号をフリップフロップ28のリセット端子Rに出力する。フリップフロップ28のリセット端子Rに検出信号が入力すると、信号出力端子QからLレベルの信号をドライバ29に出力する。ドライバ29は、フリップフロップ28からLレベルの信号を入力することで、スイッチング素子Q1のゲートにLレベルの駆動信号を出力してターンオフさせる。
【0036】
スイッチング素子Q1がターンオフすると、巻線L1に蓄積された電位が放出され始め、巻線L1から電流が発光素子11に流れるとともにダイオードD1を通じて巻線L1に還流し、スイッチング素子Q1の両端電圧が上昇する。
【0037】
巻線L1に蓄積された電位がゼロになると(
図2および
図3のタイミングt1)、巻線L1とMOSFETであるスイッチング素子Q1が有する寄生容量成分との共振動作により、スイッチング素子Q1の両端電圧が上下動する電圧振動が発生する。
【0038】
ボトム検出回路25では、スイッチング素子Q1のオフ期間中に、スイッチング素子Q1の両端電圧を監視し、電圧振動するスイッチング素子Q1の両端電圧の谷底部である最小電圧点を検出する。ボトム検出回路25は、スイッチング素子Q1の両端電圧の最小電圧点を検出すると、フリップフロップ28のセット端子Sへ向けた検出信号を出力する。
【0039】
ここで、マスク回路26を通じてボトム検出部25からの検出信号がフリップフロップ28のセット端子Sに入力した場合、フリップフロップ28はHレベルの信号をドライバ29に出力し、ドライバ29はスイッチング素子Q1のゲートにHレベルの駆動信号を出力してターンオンさせる。
【0040】
このように電圧振動するスイッチング素子Q1の両端電圧の最小電圧点を検出してスイッチング素子Q1をターンオンすることにより、巻線L1の電圧はゼロ、スイッチング素子Q1の両端電圧もゼロに近いため、スイッチング素子Q1のスイッチング損失を低減し、効率を向上できる。
【0041】
図2(a)および
図3(a)に示すようにスイッチング素子Q1のターンオンから次のターンオン(あるいは、図示しないがターンオフから次のターンオフでもよい)までが、スイッチング周波数の1周期tとなる。例えば、スイッチング周波数が50kHzで、1周期tは20μsとなる。
【0042】
また、マスク回路26では、
図2(b)に示すように、スイッチング素子Q1がターンオンした時点から計時を開始して所定のマスク期間mが経過するまでの間、スイッチング素子Q1がターンオンするのを制限する。あるいは、マスク回路26は、
図3(b)に示すように、スイッチング素子Q1がターンオフした時点から計時を開始して所定のマスク期間mが経過するまでの間、スイッチング素子Q1がターンオンするのを制限する。
【0043】
マスク回路26は、ボトム検出回路25とフリップフロップ28のセット端子Sとの間に設けられ、マスク期間m中には、ボトム検出回路25から検出信号が出力されても、その検出信号がフリップフロップ28のセット端子Sに出力されないように遮断するなどによって、検出信号を無効とする。
図2(b)および
図3(b)の例では、マスク期間m中に、ボトム検出回路25によりスイッチング素子Q1の両端電圧の最小電圧点が4回検出され、ボトム検出回路25から検出信号が4回出力されることになるが、その4回の検出信号を無効とする。
【0044】
マスク期間mは、スイッチング素子Q1の初期設定のスイッチング周波数の1周期tの期間よりも短い期間に設定されている。
【0045】
マスク回路26は、マスク期間mが経過した後、ボトム検出回路25から出力される検出信号がフリップフロップ28のセット端子Sに入力されるように通過させるなどによって、検出信号を有効とする。
【0046】
このように、マスク回路26により、スイッチング素子Q1がターンオン、またはターンオフした時点からマスク期間mが経過するまでの間、スイッチング素子Q1がターンオンするのを制限することで、スイッチング周波数が高くなるのを抑制し、スイッチング素子Q1がオン、オフするときのスイッチング損失の発生回数を小さくでき、効率を向上できる。
【0047】
例えば、マスク回路26が無い場合、発光素子11の明るさを50%などに調光すると、スイッチング素子Q1のオン期間が100%の場合よりも短くなってスイッチング周波数が高くなり、スイッチング素子Q1がオン、オフするときのスイッチング損失の発生回数が大きくなる。それに対して、マスク回路26によってマスク期間mを設けた場合、調光したとしても、スイッチング周波数が高くなるのを抑制し、スイッチング素子Q1がオン、オフするときのスイッチング損失の発生回数を小さくでき、効率を向上できる。
【0048】
そして、本実施形態の電源装置12では、マスク回路26により、スイッチング素子Q1がターンオン、またはターンオフした時点からマスク期間mを設けるだけで、このマスク期間mが経過するまでの間、スイッチング素子Q1がターンオンするのを制限できるため、制御回路22の回路構成を簡素化できる。
【0049】
しかも、マスク回路26は、スイッチング素子Q1がターンオンまたはターンオフした時点から計時を開始して所定期間が経過するまでの間、スイッチング素子Q1がターンオンするのを制限するようにボトム検出回路25から出力される検出信号を無効にすることで、制御回路22の回路構成を簡素化できる。
【0050】
このように、電源装置12においては、制御回路22の回路構成を簡素化できるため、制御回路22には、例えば電圧変動するスイッチング素子Q1の最小電圧点をカウントしてボトムスキップを行う場合のようにマイコンなどの高価な部品を用いる必要なく、例えばアナログICなどの安価な部品を用いて実現することができる。
【0051】
また、マスク回路26は、スイッチング素子Q1がターンオンした時点からマスク期間mを設けることで、調光によってスイッチング素子Q1のオン期間が変化しても、スイッチング周波数の変動を抑制できる。
【0052】
また、マスク回路26は、スイッチング素子Q1がターンオフした時点からマスク期間mを設けることで、出力検出回路27から検知信号を取得すればよいため、回路構成を簡素化できる。
【0053】
なお、マスク回路26は、本実施形態では、ボトム検出回路25とフリップフロップ28との間に設けられたが、例えば、ボトム検出回路25に設けたり、巻線L2とボトム検出回路25との間に設けて、マスク期間m中はボトム検出回路25から検出信号を出力しないようにしてもよく、あるいは、フリップフロップ28とドライバ29との間や、ドライバ29や、ドライバ29とスイッチング素子Q1との間に設けて、マスク期間m中はドライバ29からHレベルの駆動信号をスイッチング素子Q1に出力しないようにしてもよい。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
11 発光素子
12 電源装置
20 直流電源
21 電力変換回路
22 制御回路
25 ボトム検出回路
26 マスク回路
C1 コンデンサ
L1 巻線
Q1 スイッチング素子