(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174106
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0352 20060101AFI20231130BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20231130BHJP
【FI】
H01L31/04 340
H01L31/04 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086772
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】手島 良太
(72)【発明者】
【氏名】西尾 佑太
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA03
5F151AA05
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5F251AA03
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5F251CB11
5F251CB12
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5F251DA03
5F251DA10
5F251DA20
5F251GA14
5F251GA15
5F251HA03
5F251JA02
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA06
5F251JA09
(57)【要約】
【課題】太陽電池モジュールにおける軽量化および発電効率の向上を図る。
【解決手段】本開示の太陽電池モジュールは、第1保護層と複数の太陽電池素子と充填材とを備えている。前記第1保護層は、透光性を有する樹脂で構成されており且つ第1面および該第1面とは逆側の第2面を有する。前記複数の太陽電池素子は、前記第2面に対向している状態で位置しており且つ前記第2面に沿って並んでいる。前記充填材は、前記第2面に接しており且つ前記複数の太陽電池素子を覆っている状態で位置している。前記複数の太陽電池素子は、第1方向において並んでいる2つの太陽電池素子を含む。前記複数の太陽電池素子は、1つ以上の太陽電池素子、を含む。該1つ以上の太陽電池素子のそれぞれは、前記第2面に対向している第1素子面と、該第1素子面とは逆側の第2素子面と、を有する。前記第1素子面は、凸状に湾曲している。前記第2素子面は、凹状に湾曲している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する樹脂で構成されており且つ第1面および該第1面とは逆側の第2面を有する第1保護層と、
前記第2面に対向している状態で位置しており且つ前記第2面に沿って並んでいる複数の太陽電池素子と、
前記第2面に接しており且つ前記複数の太陽電池素子を覆っている状態で位置している充填材と、を備え、
前記複数の太陽電池素子は、第1方向において並んでいる2つの太陽電池素子を含み、
前記複数の太陽電池素子は、1つ以上の太陽電池素子、を含み、
該1つ以上の太陽電池素子のそれぞれは、前記第2面に対向している第1素子面と、該第1素子面とは逆側の第2素子面と、を有し、
前記第1素子面は、凸状に湾曲しており、
前記第2素子面は、凹状に湾曲している、太陽電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記複数の太陽電池素子を含む太陽電池部と隣り合っている状態で位置している支持部材、をさらに備え、
該支持部材は、前記第1保護層の前記第2面と対向している状態で位置している第1部分と、該第1部分の前記太陽電池部とは逆側に位置している第2部分と、を含み、
前記充填材は、前記第2面と前記第1部分との間に位置している部分を含む、太陽電池モジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第1面は、前記1つ以上の太陽電池素子のそれぞれの前記第1素子面に沿って凸状に湾曲している、太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第1面は、前記複数の太陽電池素子の上に位置している第1領域と、該第1領域とは異なる第2領域と、を有し、
前記第1面は、前記第2領域に位置している1つ以上の線状凹部を有する、太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の太陽電池モジュールであって、
前記1つ以上の線状凹部は、第1線状凹部と、該第1線状凹部に接続している第2線状凹部とを含み、
前記第1線状凹部は、前記2つの太陽電池素子の間の第1間隙の上において、前記第1方向に交差している第2方向に沿って位置しており、
前記第2線状凹部は、前記第1方向に沿って位置している、太陽電池モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第2線状凹部は、前記第1面のうちの前記第1方向における縁部まで延びている状態で位置している、太陽電池モジュール。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第1面は、前記第1方向の端部に位置している第1端部領域を有し、
該第1端部領域は、前記第1方向に進むにつれて、前記第1保護層の厚さ方向に沿った前記第1面から前記第2面に向かう第3方向に進む形態で曲がっている、太陽電池モジュール。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールであって、
前記充填材のうちの前記第1保護層とは逆側の表面と接している第2保護層、をさらに備え、
前記複数の太陽電池素子は、前記第2面と前記第2保護層との間に位置している、太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
表面側の保護層と裏面側の保護層との間に複数の太陽電池素子が位置している太陽電池モジュールが知られている(例えば、特許文献1の記載を参照)。この太陽電池モジュールでは、複数の太陽電池素子が、平面的に配列された状態で相互に電気的に接続されている。また、複数の太陽電池素子は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とした充填材によって覆われた状態にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池モジュールにおける軽量化および発電効率の向上を図る観点で改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
太陽電池モジュールが開示される。
【0006】
太陽電池モジュールの一態様は、第1保護層と、複数の太陽電池素子と、充填材と、を備えている。前記第1保護層は、透光性を有する樹脂で構成されており且つ第1面および該第1面とは逆側の第2面を有する。前記複数の太陽電池素子は、前記第2面に対向している状態で位置しており且つ前記第2面に沿って並んでいる。前記充填材は、前記第2面に接しており且つ前記複数の太陽電池素子を覆っている状態で位置している。前記複数の太陽電池素子は、第1方向において並んでいる2つの太陽電池素子を含む。前記複数の太陽電池素子は、1つ以上の太陽電池素子、を含む。該1つ以上の太陽電池素子のそれぞれは、前記第2面に対向している第1素子面と、該第1素子面とは逆側の第2素子面と、を有する。前記第1素子面は、凸状に湾曲している。前記第2素子面は、凹状に湾曲している。
【発明の効果】
【0007】
太陽電池モジュールにおける軽量化および発電効率の向上が図られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールを平面視した場合の外観の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の太陽電池モジュールのII-II線に沿った仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1の太陽電池モジュールのIII-III線に沿った仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、太陽電池素子の第1素子面を平面視した場合の構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、太陽電池素子の第2素子面を平面視した場合の構造の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4および
図5の太陽電池素子のVI-VI線に沿った仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールが撓んだ状態の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、太陽電池素子の製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、太陽電池素子の製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、太陽電池素子の製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、太陽電池素子の製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、太陽電池素子の製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る太陽電池モジュールのうちの
図2の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る太陽電池モジュールのうちの
図3の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態に係る太陽電池モジュールを平面視した場合の外観の一例を示す平面図である。
【
図20】
図20は、
図19の太陽電池モジュールのXX-XX線に沿った仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、
図19の太陽電池モジュールのXXI-XXI線に沿った仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、第3実施形態に係る太陽電池モジュールの第1保護層上において雨水が流れる経路の一例を模式的に示す図である。
【
図23】
図23は、第3実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、第3実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、第4実施形態に係る太陽電池モジュールのうちの
図20の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、第4実施形態に係る太陽電池モジュールのうちの
図21の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、第4実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、第4実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法の一具体例における製造途中の仮想的な切断面の状態の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、別の一実施形態に係る太陽電池モジュールのうちの
図21の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図30】
図30は、別の一実施形態に係る太陽電池モジュールのうちの
図21の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、別の一実施形態に係る太陽電池モジュールの第1保護層上において雨水が流れる経路の一例を模式的に示す図である。
【
図32】
図32は、別の一実施形態に係る太陽電池モジュールのうちの
図2の仮想的な切断面に対応する位置における仮想的な切断面の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、別の一実施形態に係る太陽電池モジュールを平面視した場合の外観の一例を示す平面図である。
【
図34】
図34は、別の一実施形態に係る太陽電池モジュールを平面視した場合の外観の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
表面側の保護層と裏面側の保護層との間に複数の太陽電池素子が位置している太陽電池モジュールが知られている。この太陽電池モジュールでは、複数の太陽電池素子が、平面的に配列された状態で相互に電気的に接続されている。また、複数の太陽電池素子は、表面側の保護層と裏面側の保護層との間において、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とした充填材によって覆われた状態にある。
【0010】
ところで、太陽電池モジュールについては、軽量化および発電効率の向上を図る観点で改善の余地がある。
【0011】
そこで、本開示の発明者は、太陽電池モジュールについて、軽量化および発電効率の向上を図ることができる技術を創出した。これについて、以下、第1実施形態から第4実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図面においては同一もしくは略同一の構成および機能を有する部分に同じ符号が付されている。これにより、下記の説明では重複説明が適宜省略される。図面は模式的に示されたものである。
図1から
図34には、右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、太陽電池パネル10の前面10fの長手方向が第1方向としての-Y方向とされている。太陽電池パネル10の前面10fの短手方向が第2方向としての+X方向とされている。-Y方向と+X方向との両方に直交する前面10fに垂直な方向(法線方向ともいう)が+Z方向とされている。+Z方向とは逆の方向が第3方向としての-Z方向とされている。第2方向としての+X方向とは逆の方向が第4方向としての-X方向とされている。第1方向としての-Y方向とは逆の方向が第5方向としての+Y方向とされている。
【0013】
<1.第1実施形態>
<1-1.太陽電池モジュール>
第1実施形態に係る太陽電池モジュール100について、
図1から
図7を参照しつつ説明する。
【0014】
図1から
図3で示されるように、太陽電池モジュール100は、例えば、太陽電池パネル10を備えている。太陽電池パネル10は、例えば、主に光が入射する受光面(前面ともいう)10fと、この前面10fの逆側に位置している裏面10bと、を有する。第1実施形態では、前面10fが、+Z方向を向いている状態にある。裏面10bが、-Z方向を向いている状態にある。屋外などにおいて太陽電池モジュール100を発電に使用する際には、+Z方向は、例えば、南中している太陽に向く方向に設定される。
図1の例では、前面10fが、矩形状の一例としての長方形状の形状を有する。太陽電池モジュール100は、太陽電池パネル10において発電された電力を外部に取り出すための端子ボックス(不図示)をさらに備えていてもよい。
【0015】
図1から
図3で示されるように、太陽電池パネル10は、例えば、第1保護層1と、第2保護層2と、太陽電池部3と、充填材4と、支持部材5と、を備えている。
【0016】
<1-1-1.第1保護層>
図2で示されるように、第1保護層1は、例えば、第1面1fと、第2面1sと、を有する。第1実施形態では、第1面1fは、例えば、太陽電池パネル10の前面10fを構成している状態にある。つまり、第1保護層1は、矩形状の一例としての長方形状の形状を有する。
図1から
図3の例では、第1面1fが、太陽電池モジュール100の外部の空間(外部空間ともいう)200に対して露出している状態にある。また、第2面1sは、第1面1fの逆側の面である。
【0017】
第1保護層1は、例えば、透光性を有する。具体的には、第1保護層1は、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。特定範囲の波長は、例えば、太陽電池部3が光電変換し得る光の波長を含む。特定範囲の波長に、太陽光のうちの照射強度の高い光の波長が含まれていれば、太陽電池モジュール100の光電変換効率が向上し得る。
【0018】
第1保護層1の素材には、例えば、透光性を有する樹脂が適用される。言い換えれば、第1保護層1は、透光性を有する樹脂で構成されている。この透光性を有する樹脂は、耐候性を有していてもよい。ここで、耐候性は、例えば、屋外で使用された場合に、変形、変色および劣化などの変質を起こしにくい性質を意味する。第1保護層1の素材に適用される透光性を有する樹脂は、柔軟性を有していてもよい。ここで、柔軟性は、例えば、柔らかくしなやかな性質を意味する。
【0019】
第1保護層1の素材に樹脂が適用されることで、第1保護層1は、例えば、透湿防水性を有する。透湿防水性は、例えば、太陽電池モジュール100の外部空間200から太陽電池部3へ向けた水滴などの水の浸入を低減するとともに、充填材4から外部空間200へ向けて湿気が通過しやすい性質を意味する。ここで、透光性と耐候性とを有する樹脂は、例えば、フッ素系の樹脂を含む。フッ素系の樹脂は、例えば、フッ化エチレンプロピレン共重合体(Fluorinated Ethylene Propylene:FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(Ethylene Tetrafluoroethylene:ETFE)およびエチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(Ethylene Chlorotrifluoroethylene:ECTFE)などを含む。ここで、例えば、第1保護層1が、2層以上の樹脂で構成されてもよい。この場合には、第1保護層1に適用されるフッ素系の樹脂は、例えば、2種類以上の樹脂であってもよい。このため、例えば、第1保護層1に適用されるフッ素系の樹脂が、FEP、ETFEおよびECTFEのうちの少なくとも1つの樹脂を含む態様が考えられる。
【0020】
第1保護層1の厚さは、例えば、0.05ミリメートル(mm)から0.5mm程度とされる。第1保護層1は、透湿性を有する比較的密度の小さい樹脂で構成されている。また、第1保護層1の厚さは薄い。このため、第1保護層1は軽い。よって、例えば、1mm程度以上の厚さを有する密度の大きなガラスを第1保護層1の代わりに採用した構造に比して、太陽電池モジュール100の軽量化および薄型化を図ることができる。
【0021】
なお、第1保護層1の素材には、フッ素系の樹脂に代えて、あるいは、フッ素系樹脂と共に、フッ素系の樹脂とは異なる樹脂が適用されてもよい。このフッ素系の樹脂とは異なる樹脂には、例えば、アクリル樹脂またはポリカーボネートなどが適用される。この場合には、樹脂の厚さは、例えば、0.03mmから0.6mm程度とされる。第1保護層1は、複数種類の樹脂が積層された構成を有していてもよい。
【0022】
<1-1-2.太陽電池部>
太陽電池部3は、例えば、第1保護層1と第2保護層2との間に位置している。言い換えれば、太陽電池部3は、Z方向において、第1保護層1と対向しているとともに第2保護層2と対向している状態にある。
【0023】
図1から
図3で示されるように、太陽電池部3は、例えば、複数の太陽電池素子31を含む。複数の太陽電池素子31は、第1保護層1の第2面1sと第2保護層2との間に位置している。別の観点から言えば、複数の太陽電池素子31は、第1保護層1の第2面1sに対向している状態で位置している。また、複数の太陽電池素子31は、第1保護層1の第2面1sに沿って並んでいる。言い換えれば、複数の太陽電池素子31は、第1保護層1の第2面1sに沿って平面的に配列されている状態にある。
図1から
図3の例では、複数の太陽電池素子31は、2次元的に並んでいる状態にある。
【0024】
太陽電池部3は、例えば、複数の第1配線材32と、第2配線材33と、第3配線材34と、をさらに含む。
【0025】
太陽電池部3は、例えば、複数の太陽電池ストリング30を含む。
図1から
図3の例では、太陽電池部3は、複数の太陽電池ストリング30として、2つの太陽電池ストリング30を含む。複数の太陽電池ストリング30は、例えば、X方向において並んでいる状態にある。
【0026】
複数の太陽電池ストリング30のそれぞれは、例えば、2つ以上の太陽電池素子31と、複数の第1配線材32と、を含む。
【0027】
第1実施形態では、各太陽電池ストリング30において、2つ以上の太陽電池素子31は、例えば、第1方向としての-Y方向において並んでいる状態にある。
図1から
図3の例では、各太陽電池ストリング30は、2つ以上の太陽電池素子31として、6つの太陽電池素子31を含む。なお、各太陽電池ストリング30は、2つ以上の太陽電池素子31として、2つの太陽電池素子31を含んでいてもよいし、3つ以上の任意の数の太陽電池素子31を含んでいてもよい。言い換えれば、太陽電池モジュール100において、複数の太陽電池素子31は、第1方向としての-Y方向において並んでいる2つの太陽電池素子31を含む。
【0028】
複数の第1配線材32は、例えば、2つ以上の太陽電池素子31のうちの相互に隣り合う2つの太陽電池素子31を電気的に接続している状態にある。第2配線材33は、2つ以上の太陽電池ストリング30のうちの相互に隣り合う2つの太陽電池ストリング30を電気的に接続している状態にある。2つの太陽電池ストリング30のそれぞれに、1つの第3配線材34が接続している。
図1から
図3の例では、太陽電池部3は、最も-X方向の端に位置している太陽電池ストリング30に接続している第3配線材34と、最も+X方向の端に位置している太陽電池ストリング30に接続している第3配線材34と、を含む。2つの第3配線材34のそれぞれは、太陽電池パネル10の外部に引き出された部分を有する。
【0029】
複数の太陽電池素子31のそれぞれは、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。複数の太陽電池素子31のそれぞれは、例えば、板状の形状を有する。複数の太陽電池素子31のそれぞれは、第1素子面31fと、第2素子面31sと、を有する。第1素子面31fは、第1保護層1の第2面1sに対向している面である。第2素子面31sは、第1素子面31fとは逆側の面である。言い換えれば、第2素子面31sは、第2保護層2に対向している。
図2および
図3の例では、第1素子面31fが、+Z方向を向いている状態にあり、第2素子面31sが、-Z方向を向いている状態にある。この場合には、例えば、第1素子面31fは、主として光が入射される面(受光面ともいう)としての役割を有し、第2素子面31sは、主として光が入射されない面(非受光面ともいう)としての役割を有する。第1素子面31fおよび第2素子面31sのそれぞれは、例えば、略正方形状などの矩形状の形状を有する。第1素子面31fおよび第2素子面31sのそれぞれは、角部において隅切りが行われた形態を有していてもよい。第1素子面31fおよび第2素子面31sのそれぞれは、例えば、一辺の長さが100mmから250mm程度である略正方形状の形状を有する。第1素子面31fおよび第2素子面31sのそれぞれは、例えば、略長方形状の形状を有していてもよい。
【0030】
第1実施形態では、
図4および
図5で示されるように、複数の太陽電池素子31のそれぞれは、半導体基板310と、第1電極311と、第2電極312と、第3電極313と、第4電極314と、を有する。
【0031】
半導体基板310には、例えば、結晶シリコンなどの結晶系半導体、アモルファスシリコンなどの非晶質系の半導体、または銅とインジウムとガリウムとセレンの4種類の元素もしくはカドミウムとテルルの2種類の元素などを用いた化合物半導体が適用される。ここで、半導体基板310に結晶シリコンが適用される場合を想定する。この場合には、
図6で示されるように、半導体基板310は、主として第1導電型を有する半導体の領域(第1導電型領域ともいう)310fと、第1導電型とは逆の第2導電型を有する半導体の領域(第2導電型領域ともいう)310sと、を有する。第1導電型領域310fは、例えば、半導体基板310のうちの-Z方向の第2素子面31s側に位置している。第2導電型領域310sは、例えば、半導体基板310のうちの+Z方向の第1素子面31f側の表層部に位置している。ここで、例えば、第1導電型がp型である場合には、第2導電型がn型となる。例えば、第1導電型がn型である場合には、第2導電型がp型となる。これにより、半導体基板310は、第1導電型領域310fと第2導電型領域310sとの界面に位置しているpn接合部を有する。半導体基板310の厚さは、例えば、0.15mmから0.5mm程度とされる。
【0032】
第1電極311および第2電極312は、例えば、半導体基板310のうちの第1素子面31f側の面上に位置している。第1電極311には、例えば、バスバー電極が適用される。第2電極312には、例えば、フィンガー電極が適用される。第1実施形態では、各太陽電池素子31は、複数本の第1電極311および複数本の第2電極312を有する。
図4の例では、半導体基板310の第1素子面31f側に、略平行な複数本の第1電極311と、略平行な多数本の第2電極312と、が位置している。より具体的には、略平行な複数の第1電極311としての5本の第1電極311と、略平行な複数の第2電極312としての多数本の第2電極312とが、略直交している状態で位置している。
図4の例では、複数本の第1電極311のそれぞれは、第1方向としての-Y方向に長い長尺形状を有し、複数本の第2電極312のそれぞれは、第2方向としての+X方向に長い線状の形状を有する。
図4で示されるように、各太陽電池素子31は、例えば、第1素子面31f側において、-X方向の外縁部に沿って位置している第5電極315と、+X方向の外縁部に沿って位置している第5電極315と、を有していてもよい。各第5電極315は、例えば、略平行な多数本の第2電極312を相互に接続している。
【0033】
また、半導体基板310の第2導電型領域310sの上のうち、第1電極311および第2電極312が形成されていない領域には、例えば、反射防止膜317が位置していてもよい。反射防止膜317には、例えば、窒化シリコンなどで構成された絶縁膜が適用される。例えば、
図4および
図6で示されるように、半導体基板310の第2導電型領域310sと反射防止膜317との間に、パッシベーション膜316が存在していてもよい。パッシベーション膜316には、例えば、酸化アルミニウムなどの酸化物または窒化物などで構成された薄膜が適用される。
【0034】
ここで、例えば、第1電極311の主成分が銀である場合には、銀ペーストがスクリーン印刷法などで所望の形状に塗布された後に、この銀ペーストが焼成されることで、第1電極311が形成され得る。主成分とは、物質を構成している成分のうちの含有されている比率(含有率ともいう)が最も大きい(高い)成分のことを意味する。銀ペーストには、例えば、主成分として銀を含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する金属ペーストが適用される。例えば、第2電極312の主成分が銀である場合には、銀ペーストがスクリーン印刷法などで所望の形状に塗布された後に、この銀ペーストが焼成されることで、第2電極312が形成され得る。例えば、第5電極315の主成分が銀である場合には、銀ペーストがスクリーン印刷法などで所望の形状に塗布された後に、この銀ペーストが焼成されることで、第5電極315が形成され得る。第1電極311、第2電極312および第5電極315は、例えば、互いに別工程で形成されてもよいし、同一の工程で形成されてもよい。
【0035】
第3電極313および第4電極314は、例えば、半導体基板310のうちの第2素子面31s側に位置している。第3電極313には、例えば、バスバー電極が適用される。
図5の例では、半導体基板310の第2素子面31s側に、略平行な複数の第3電極313が位置している。より具体的には、半導体基板310の第2素子面31s側に、互いに略平行な5列の第3電極313が位置している。5列の第3電極313のそれぞれは、第1方向としての-Y方向に沿って位置している。より具体的には、5列の第3電極313のそれぞれは、例えば、一列に並んでいる複数の電極部を含む。複数の電極部は、例えば、6つの電極部で構成される。第4電極314は、半導体基板310の第2素子面31s側において、第3電極313と第4電極314とが重畳することで相互に接続されている部分を除き、第3電極313が形成されていない領域の略全面に位置している。なお、第4電極314は、略全面に位置する必要はなく、例えば、格子状に形成されてもよい。
【0036】
また、例えば、
図5および
図6で示されるように、半導体基板310の第1導電型領域310fと第3電極313および第4電極314との間に、パッシベーション膜316が存在していてもよい。パッシベーション膜316には、例えば、酸化アルミニウムなどの酸化物または窒化物などで構成された薄膜が適用される。この場合には、パッシベーション膜316は、第1導電型領域310fと第3電極313および第4電極314との間において、所望のパターンを有する。さらに、パッシベーション膜316と第4電極314との間に、パッシベーション膜316を保護するための膜(保護膜ともいう)318が存在していてもよい。保護膜318には、例えば、酸化シリコンなどの酸化物などで構成された薄膜が適用される。保護膜318は、パッシベーション膜316と第4電極314との間において、所望のパターンを有する。保護膜318は、例えば、
図6で示されるようにパッシベーション膜316と第3電極313との間に存在していなくてもよい。この場合には、保護膜318は、第3電極313が位置している複数の孔部を有する。また、例えば、保護膜318は、パッシベーション膜316と第3電極313との間に存在していてもよい。パッシベーション膜316および保護膜318は、例えば、第4電極314の一部を第1導電型領域310fに接触させるための多数の貫通孔を有する。第1導電型領域310fは、第4電極314と接している表層の部分において、第1導電型領域310fのその他の領域よりも第1導電型のドーパント元素の濃度が高い領域(高濃度領域ともBSF(Back Surface Field)領域ともいう)310tを有する。
【0037】
ここで、例えば、第3電極313の主成分が銀である場合には、銀ペーストがスクリーン印刷法などで所望の形状に塗布された後に、この銀ペーストが焼成されることで、第3電極313が形成され得る。例えば、第4電極314の主成分がアルミニウムである場合には、アルミニウムペーストがスクリーン印刷法などで所望の形状に塗布された後に、このアルミニウムペーストが焼成されることで、第4電極314が形成され得る。アルミニウムペーストには、例えば、主成分としてアルミニウムを含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する金属ペーストが適用される。
【0038】
第1配線材32は、例えば、1つの太陽電池素子31の第1電極311と、この1つの太陽電池素子31の隣の他の1つの太陽電池素子31の第3電極313とを電気的に接続している状態にある。
図4および
図5の例では、太陽電池素子31のそれぞれに取り付けられている複数の第1配線材32の外縁が仮想的に細い2点鎖線で描かれている。
図1から
図5の例では、第1配線材32は、第1方向としての-Y方向に長い長尺状の形状を有する。ここでは、第1配線材32は、例えば、第1電極311および第3電極313に接合された状態にある。より具体的には、例えば、第1配線材32と第1電極311との間には、第1配線材32と第1電極311とを接合している部分(第1接合部分ともいう)321が存在している。このため、例えば、第1配線材32は、1つの太陽電池素子31の第1電極311に第1接合部分321を介して接合している状態にある。また、例えば、第1配線材32と第3電極313との間には、第1配線材32と第3電極313とを接合している部分(第2接合部分ともいう)322が存在している。このため、例えば、第1配線材32は、1つの太陽電池素子31の隣の他の1つの太陽電池素子31の第3電極313に第2接合部分322を介して接合している状態にある。
【0039】
第1配線材32には、例えば、線状もしくは帯状の導電性を有する金属体が適用される。第1接合部分321および第2接合部分322の素材には、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金もしくは低融点の単体の金属などが適用される。より具体的には、例えば、0.1mmから0.2mm程度の厚さと1mmから2mm程度の幅とを有する銅箔が第1配線材32に適用される。この場合には、第1配線材32の全面に半田が被覆された状態にある。第1配線材32は、例えば、半田付けによって、第1電極311および第3電極313に電気的に接続されている状態にある。ここでは、例えば、第1配線材32と第1電極311との間に位置している半田が第1接合部分321を構成している状態にある。また、例えば、第1配線材32と第3電極313との間に位置している半田が第2接合部分322を構成している状態にある。
【0040】
<1-1-3.充填材>
充填材4は、第2面1sに接している状態にある。また、充填材4は、複数の太陽電池素子31を覆っている状態で位置している。第1実施形態では、充填材4は、第1保護層1と第2保護層2との間において、複数の太陽電池素子31を覆っている状態にある。言い換えれば、充填材4は、第1保護層1と第2保護層2との間の領域(間隙領域ともいう)において太陽電池部3を覆っている状態で、この間隙領域に充填されている。別の観点から言えば、充填材4は、第1保護層1の第2面1sに接している状態にある第1保護層1側の面と、第2保護層2に接している状態にある第2保護層2側の面とを有する。
【0041】
充填材4は、例えば、前面10f側に位置している充填材(第1充填材ともいう)41と、裏面10b側に位置している充填材(第2充填材ともいう)42と、を含む。第1充填材41は、例えば、太陽電池部3の第1保護層1側の全面を覆っている状態にある。言い換えれば、第1充填材41は、例えば、第1保護層1と複数の太陽電池素子31との間において、複数の太陽電池素子31を覆っている状態にある。第2充填材42は、例えば、太陽電池部3の第2保護層2側の全面を覆っている状態にある。言い換えれば、第2充填材42は、例えば、第2保護層2と複数の太陽電池素子31との間において、複数の太陽電池素子31を覆っている状態にある。このため、第1実施形態では、太陽電池部3は、例えば、第1充填材41と第2充填材42とによって挟み込まれ且つ囲まれた状態にある。これにより、例えば、充填材4によって太陽電池部3の姿勢が保たれ得る。
【0042】
また、充填材4は、例えば、透光性を有する。ここでは、充填材4は、例えば、上述した特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。例えば、充填材4を構成する第1充填材41および第2充填材42のうち、少なくとも第1充填材41が透光性を有していれば、前面10f側からの入射光が、太陽電池部3まで到達し得る。
【0043】
第1充填材41の素材には、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)などのポリビニルアセタールまたは酸変性樹脂などが適用される。ここで、例えば、第1充填材41の素材に比較的安価なEVAが適用されれば、複数の太陽電池素子31を保護する性能を容易に実現することができる。酸変性樹脂には、例えば、ポリオレフィンなどの樹脂に対する酸によるグラフト変性などで形成することができる変性ポリオレフィン樹脂などが適用される。酸変性樹脂のグラフト変性に使用可能な酸には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸または無水シトラコン酸などが適用される。第2充填材42の素材には、例えば、第1充填材41と同様に、EVA、PVBなどのポリビニルアセタールおよび酸変性樹脂などが適用される。第1充填材41および第2充填材42のそれぞれは、例えば、2種類以上の素材によって構成されていてもよい。
【0044】
第2充填材42には、例えば、顔料が含まれていてもよい。例えば、第2充填材42に白色の顔料が含まれている場合には、太陽電池部3を透過した光を第2充填材42で反射させて、再び太陽電池部3に入射させることができる。これにより、太陽電池モジュール100の発電効率を向上させることができる。
【0045】
なお、充填材4は、第2充填材42を含まず、第1充填材41を含んでいてもよい。この場合には、第1充填材41が、第1保護層1と第2保護層2との間において、太陽電池部3を覆っている状態にある。言い換えれば、第1充填材41が、第1保護層1と第2保護層2との間において、複数の太陽電池素子31を覆っている状態にある。
【0046】
図2で示されるように、例えば、充填材4の厚さは、太陽電池部3を覆っている部分において小さく、太陽電池部3と支持部材5との間において大きくてもよい。この場合には、例えば、太陽電池部3と支持部材5との間における充填材4の厚さの最大値は、複数の太陽電池素子31のうちの隣り合う2つの太陽電池素子31の間における充填材4の厚さの最大値よりも大きい。別の観点から言えば、第1保護層1と第2保護層2との間隔は、太陽電池部3を挟んでいる部分において小さく、太陽電池部3と支持部材5との間の領域を挟んでいる部分において大きくてもよい。言い換えれば、太陽電池部3と支持部材5との間の領域を挟んでいる部分における第1保護層1と第2保護層2との間隔の最大値が、太陽電池部3を挟んでいる部分における第1保護層1と第2保護層2との間隔の最大値よりも大きくてもよい。また、
図2で示されるように、例えば、支持部材5と太陽電池部3との間の少なくとも一部の領域において、充填材4の厚さが、太陽電池部3から支持部材5に向かうにつれて徐々に増大している部分が存在していてもよい。言い換えれば、例えば、支持部材5と太陽電池部3との間の少なくとも一部の領域において、充填材4の厚さが、太陽電池部3から支持部材5に向かうにつれて単調に増加している部分が存在していてもよい。
【0047】
なお、
図2の例では、充填材4は、XY平面に対して互いに線対称となる形状を有するものの、図面は模式的に示されているに過ぎず、必ずしもこれに限らない。
【0048】
<1-1-4.第2保護層>
第2保護層2は、例えば、太陽電池パネル10の裏面10bを構成している状態にある。第2保護層2は、例えば、充填材4のうちの第1保護層1とは逆側の表面と接している。言い換えれば、第2保護層2は、充填材4に対して第1保護層1とは逆側において、充填材4と接している。第1実施形態では、第2保護層2は、太陽電池部3および支持部材5の第1部分51とZ方向において対向している状態で位置している。第1部分51は、X方向において、支持部材5のうち第2部分52よりも太陽電池部3側に位置している部分である。
【0049】
第2保護層2は、例えば、太陽電池部3を裏面10b側から保護することができる。第2保護層2には、例えば、裏面10bを構成するバックシートが適用される。バックシートの厚さは、例えば、0.15mmから0.5mm程度とされる。バックシートの素材には、例えば、樹脂が適用される。この樹脂には、例えば、第1保護層1と同じ素材を適用することができる。第2保護層2は、裏面10b側から平面透視した場合に、第1保護層1と略同一の形状を有する。例えば、裏面10b側から平面透視した場合に、第1保護層1および第2保護層2の双方が長方形状の外形を有する構成が採用される。
【0050】
<1-1-5.支持部材>
支持部材5は、太陽電池パネル10の剛性を向上させるための部材である。例えば、支持部材5は、第1保護層1、第2保護層2および充填材4の全ての剛性よりも高い剛性を有する。言い換えれば、支持部材5には、例えば、高い剛性を有する物体としての剛体が適用される。支持部材5の素材には、例えば、金属が適用され得る。この金属には、例えば、アルミニウムもしくはステンレス鋼などが適用され得る。
【0051】
支持部材5は、太陽電池部3と間隔を空けて隣り合っている状態で位置している。より具体的には、支持部材5は、平面視において、太陽電池部3と間隔を空けて隣り合っている状態で位置している。支持部材5は、第1部分51と、第2部分52と、を含む。平面視については、特に条件が記載されていない場合には、各部を第3方向としての-Z方向に向けて見た平面視を意味する。
【0052】
第1部分51は、第1保護層1と第2保護層2との間において充填材4によって覆われている状態で位置している。言い換えれば、第1部分51は、第1保護層1の第2面1sと対向している状態で位置している。また、第1部分51は、第2保護層2と対向している状態で位置している。
図2の例では、第1部分51は、Z方向において第1保護層1の第2面1sと対向している状態にある。第1部分51は、Z方向において第2保護層2とも対向している状態にある。別の観点から言えば、充填材4は、第1保護層1の第2面1sと第1部分51との間に位置している部分を含む。より具体的には、第1充填材41は、第3方向としての-Z方向において、第1保護層1の第2面1sと第1部分51との間に位置している部分を含む。また、充填材4は、第2保護層2と第1部分51との間に位置している部分を含む。より具体的には、第2充填材42は、第3方向としての-Z方向において、第1部分51と第2保護層2との間に位置している部分を含む。
【0053】
第2部分52は、第1部分51の太陽電池部3とは逆側に位置している。言い換えれば、第2部分52は、第1部分51を覆っている充填材4から太陽電池部3とは逆側に突き出ている形態で、第1部分51から延び出ている状態にある。より具体的には、第2部分52は、平面視において、第1部分51に対して太陽電池部3の反対側(外側ともいう)に位置している。第2部分52は、第1保護層1の第2面1sとは対向していない状態で位置しているとともに、充填材4によって覆われていない状態にある。
図1および
図2の例では、第2部分52は、平面視において、第1部分51から第1保護層1および第2保護層2の外側に突き出ている状態にある。言い換えれば、第2部分52は、Z方向において第1保護層1と対向していない状態にある。第2部分52は、Z方向において第2保護層2とも対向していない状態にある。別の観点から言えば、第1部分51は、平面視において、第2部分52に対して太陽電池部3側(内側ともいう)に位置している。
【0054】
図1および
図2の例では、支持部材5は、板状の形状を有する。より具体的には、支持部材5は、平面視において長方形状の形状を有する。
図2の例では、支持部材5のXZ断面も長方形状の形状を有する。支持部材5の角部は適宜に面取りされていてもよい。支持部材5の長手方向は、例えば、第1保護層1の1辺に沿って位置している。ここでは、支持部材5の長手方向は、Y方向である。また、支持部材5の長手方向は、例えば、1つの太陽電池ストリング30において2つ以上の太陽電池素子31が配列されている方向(配列方向ともいう)に沿って位置している。ここでは、1つの太陽電池ストリング30における複数の太陽電池素子31の配列方向は、Y方向である。別の観点から言えば、支持部材5の長手方向は、例えば、第1配線材32の長手方向に沿って位置している。ここでは、第1配線材32の長手方向は、Y方向である。
【0055】
第1実施形態では、太陽電池パネル10は、2つの支持部材5を含む。2つの支持部材5は、第1の支持部材5と、第2の支持部材5と、を含む。
図1および
図2の例では、第1の支持部材5は、太陽電池パネル10のうちの第4方向としての-X方向の端に位置している。第2の支持部材5は、太陽電池パネル10のうちの第2方向としての+X方向の端に位置している。第1の支持部材5では、第1部分51の第4方向としての-X方向の側に、第2部分52が位置している。第2の支持部材5では、第1部分51の第2方向としての+X方向の側に、第2部分52が位置している。
【0056】
第1の支持部材5は、第1保護層1における第1辺に沿った状態で位置している。第1辺は、第1保護層1のうちの第4方向としての-X方向の端に位置している一辺である。第2の支持部材5は、第1保護層1における第2辺に沿った状態で位置している。第2辺は、第1保護層1のうちの第2方向としての+X方向の端に位置している一辺である。
図1および
図2の例では、第1辺および第2辺のそれぞれは、Y方向に沿って延びている状態で位置している。2つの支持部材5のそれぞれは、長手方向がY方向であり且つ短手方向がX方向である長方形の表裏面を有する。各支持部材5の長手方向の長さは、例えば、第1保護層1の長さと略同一である。各支持部材5の短手方向の長さ(幅ともいう)は、例えば、数十mm以上に設定される。各支持部材5において、第1部分51の短手方向における長さ(幅)は、例えば、支持部材5の幅の20%から80%程度に設定される。これにより、支持部材5は、比較的に高い接着強度で充填材4に接着している。各支持部材5の厚さは、例えば、太陽電池部3の厚さよりも大きい。各支持部材5の厚さは、例えば、1mmから5mm程度に設定される。
【0057】
支持部材5の第2部分52は、例えば、建材などの取り付けの対象となる部分(取付対象部ともいう)に取り付けられる。例えば、第2部分52は、取付孔(不図示)を有していてもよい。この取付孔は、第2部分52をZ方向に貫通している孔(貫通孔ともいう)である。この場合には、ねじ、ボルトまたはビスなどの取付用の部品(取付部品ともいう)が、取付孔に挿通され、この取付部品によって第2部分52が取付対象部に結合され得る。言い換えれば、太陽電池パネル10が取付対象部に取り付けられ得る。
図1および
図2の例では、太陽電池パネル10の第4方向としての-X方向の端および第2方向としての+X方向の端のそれぞれに支持部材5が位置している。このため、太陽電池パネル10のX方向の両端に位置している2つの支持部材5が取付対象部に固定され得る。これにより、太陽電池パネル10が、強固に取付対象部に取り付けられ得る。よって、支持部材5は、太陽電池パネル10を取付対象物に取り付けるための部材(取付用部材ともいう)としての役割を有する。したがって、太陽電池モジュール100は、支持部材5を備えていることで、取付対象部に対して太陽電池モジュール100を容易に安定して固定することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、支持部材5は、太陽電池パネル10のY方向の両側には主として設けられていない。より具体的には、支持部材5は、太陽電池パネル10のうちの-Y方向の端部(第1端部ともいう)E1および+Y方向の端部(第2端部ともいう)E2のそれぞれには実質的には位置していない。第1端部E1および第2端部E2は、それぞれX方向に沿った端部である。このため、
図7で示されるように、外力F1が支持部材5に印加されることで、太陽電池パネル10は、+Y方向に沿って見た場合に、円弧状に撓み得る。例えば、太陽電池パネル10は、半径が数百mm程度の円弧に沿う状態まで撓み得る。ここでは、数百mm程度の円弧が、500mm程度の円弧である場合が考えられる。これにより、太陽電池パネル10は、湾曲状の取付対象部に容易に取り付けられ得る。
【0059】
<1-1-6.太陽電池素子の形状>
図2および
図3の少なくとも一方で示されるように、例えば、太陽電池部3の複数の太陽電池素子31のそれぞれにおいて、第1素子面31fは、凸状に湾曲している。また、例えば、太陽電池部3の複数の太陽電池素子31のそれぞれにおいて、第2素子面31sは、凹状に湾曲している。別の観点から言えば、板状の太陽電池素子31は、第1保護層1の第2面1sに向かって凸状である状態で湾曲している形状を有する。例えば、第1素子面31fおよび第2素子面31sのそれぞれが、半径が数百mmから数千mm程度の仮想的な円弧に沿った状態で円弧状に湾曲している形態が採用される。
【0060】
ここでは、例えば、太陽電池素子31におけるYZ断面およびXZ断面のうちの何れか一方の断面が第2面1sに向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用される。太陽電池素子31におけるYZ断面は、太陽電池素子31についての第1方向としての-Y方向および第3方向としての-Z方向のそれぞれに沿った仮想的な断面である。太陽電池素子31におけるXZ断面は、太陽電池素子31についての第2方向としての+X方向および第3方向としての-Z方向のそれぞれに沿った仮想的な断面である。
【0061】
例えば、
図2で示されるように、第1素子面31fのXZ断面が第2面1sに向かって凸状である状態で湾曲しているとともに、第2素子面31sのXZ断面が第2面1sに向かう方向に凹んでいる状態で湾曲している形態が採用される。第1素子面31fのXZ断面は、第1素子面31fについての第2方向としての+X方向および第3方向としての-Z方向のそれぞれに沿った仮想的な断面である。第2素子面31sのXZ断面は、第2素子面31sについての第2方向としての+X方向および第3方向としての-Z方向のそれぞれに沿った仮想的な断面である。この場合には、例えば、第1素子面31fは、第1仮想円弧面に沿って凸状に湾曲している。第1仮想円弧面は、XZ平面において第3方向としての-Z方向とは逆の+Z方向に向かって凸状に曲がっている円弧を、第1方向としての-Y方向に延ばすことで形成される仮想的な曲面である。XZ平面は、第2方向としての+X方向および第3方向としての-Z方向のそれぞれに沿った仮想的な平面である。例えば、第2素子面31sは、第2仮想円弧面に沿って凹状に湾曲している。第2仮想円弧面は、XZ平面において第3方向としての-Z方向とは逆の+Z方向に向かって凸状に曲がっている円弧を、第1方向としての-Y方向に延ばすことで形成される仮想的な曲面である。第2仮想円弧面は、例えば、第1仮想円弧面に沿って位置している。
【0062】
例えば、
図3で示されるように、第1素子面31fのYZ断面が第2面1sに向かって凸状である状態で湾曲しているとともに、第2素子面31sのYZ断面が第2面1sに向かう方向に凹んでいる状態で湾曲している形態が採用されてもよい。この場合には、例えば、第1素子面31fは、第3仮想円弧面に沿って凸状に湾曲している。第3仮想円弧面は、YZ平面において第3方向としての-Z方向とは逆の+Z方向に向かって凸状に曲がっている円弧を、第2方向としての+X方向に延ばすことで形成される仮想的な曲面である。YZ平面は、第1方向としての-Y方向および第3方向としての-Z方向のそれぞれに沿った仮想的な平面である。例えば、第2素子面31sは、第4仮想円弧面に沿って凹状に湾曲している。第4仮想円弧面は、YZ平面において第3方向としての-Z方向とは逆の+Z方向に向かって凸状に曲がっている円弧を、第2方向としての+X方向に延ばすことで形成される仮想的な曲面である。第4仮想円弧面は、例えば、第3仮想円弧面に沿って位置している。
【0063】
また、例えば、太陽電池素子31におけるYZ断面およびXZ断面の何れも第2面1sに向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用されてもよい。この場合には、例えば、太陽電池素子31は、仮想的な球面に沿った形態で湾曲していてもよい。より具体的には、例えば、第1素子面31fが、第1の仮想的な球面の一部に沿って凸状に湾曲している形状を有していてもよく、第2素子面31sが、第2の仮想的な球面の一部に沿って凹状に湾曲している形状を有していてもよい。第2の仮想的な球面は、例えば、第1の仮想的な球面に沿って位置している。第1の仮想的な球面および第2の仮想的な球面のそれぞれの半径は、例えば、数百mmから数千mm程度に設定される。
【0064】
<1-2.太陽電池モジュールの特性>
第1実施形態では、第1保護層1は、透光性を有する樹脂で構成されている。このため、例えば、第1保護層1の薄型化によって、太陽電池モジュール100の軽量化を図ることができる。
【0065】
一方、第1保護層1の薄型化によって、例えば、落下物および飛来物などの各種の物体が第1保護層1に衝突すると、各種の物体の衝突に起因する衝撃が太陽電池素子31に伝わり易くなる。
【0066】
これに対して、第1実施形態では、太陽電池部3の複数の太陽電池素子31のそれぞれにおいて、第1保護層1の第2面1sに対向している第1素子面31fが、凸状に湾曲している。また、例えば、太陽電池部3の複数の太陽電池素子31のそれぞれにおいて、第1素子面31fとは逆側の第2素子面31sが、凹状に湾曲している。別の観点から言えば、板状の太陽電池素子31は、第1保護層1の第2面1sに向かって凸状である形態で湾曲している形状を有する。
【0067】
このように、例えば、太陽電池素子31が第1保護層1に向けて凸状に湾曲していることで、落下物および飛来物などの各種の物体が第1保護層1に衝突した際に、太陽電池素子31に対する衝撃が緩和され得る。これにより、例えば、太陽電池素子31が割れ難くなる。言い換えれば、太陽電池素子31の耐衝撃性が向上し得る。その結果、太陽電池モジュール100における発電効率が低下し難くなる。したがって、例えば、太陽電池モジュール100における軽量化と発電効率の向上との両立を図ることができる。すなわち、太陽電池モジュール100における軽量化および発電効率の向上を図ることができる。
【0068】
別の観点から言えば、太陽電池素子31が第1保護層1に向けて凸状に湾曲していることで、太陽電池素子31の耐衝撃性が向上し得る。このため、第1保護層1の薄型化によって太陽電池モジュール100の軽量化を図ることが可能となる。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における軽量化と発電効率の向上との両立を図ることができる。
【0069】
<1-3.太陽電池素子の製造方法の具体例>
太陽電池素子31の製造方法の一例について、
図6および
図8から
図12を参照しつつ説明する。例えば、半導体基板310の準備、テクスチャ構造の形成、第2導電型領域310sの形成、パッシベーション膜316の形成、反射防止膜317の形成、保護膜318の形成および電極の形成を、この記載の順に行うことで、太陽電池素子31を製造することができる。
【0070】
<<半導体基板の準備>>
例えば、
図8で示されるように、半導体基板310を準備する。半導体基板310は、第1表面310aと、この第1表面310aの逆側の第2表面310bと、を有する。半導体基板310は、例えば、既存のチョクラルスキー(Czochralski:CZ)法または鋳造法などを用いて形成され得る。ここでは、鋳造法によって作製された第1導電型としてのp型の多結晶シリコンのインゴットを用いた一例について説明する。このインゴットを、例えば、250μm以下の所望の厚さに薄切りにすることで、半導体基板310を作製する。ここで、例えば、半導体基板310の表面に対して、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはフッ硝酸などの水溶液で微量のエッチングを施すことで、半導体基板310のうちの切断面における機械的なダメージを受けた層および汚染された層を除去することができる。
【0071】
<<テクスチャ構造の形成>>
例えば、
図9で示されるように、半導体基板310の第1表面310aに微細な凹凸形状を有する構造(テクスチャ構造ともいう)を形成する。テクスチャ構造は、湿式または乾式のエッチングによって形成され得る。湿式のエッチングは、例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性の水溶液またはフッ硝酸などの酸性の水溶液を用いて実施され得る。乾式のエッチングは、例えば、反応性イオンエッチング (Reactive Ion Etching:RIE)法などを用いて実施され得る。
【0072】
<<第2導電型領域の形成>>
例えば、
図10で示されるように、半導体基板310のうちのテクスチャ構造を有する第1表面310aに、第2導電型としてのn型の半導体の領域である第2導電型領域310sを形成する。より具体的には、半導体基板310のうちのテクスチャ構造を有する第1表面310a側の表層部に、第2導電型としてのn型の半導体の領域である第2導電型領域310sを形成する。第2導電型領域310sは、例えば、塗布熱拡散法または気相熱拡散法などを用いて形成され得る。塗布熱拡散法には、例えば、ペースト状にした五酸化二リン(P
2O
5)を半導体基板310の表面に塗布してリンを熱拡散させる方法が適用される。気相熱拡散法には、例えば、ガス状にしたオキシ塩化リン(POCl
3)を拡散源として用いる方法である。ここでは、例えば、半導体基板310の第2表面310b側にも第2導電型領域310sが形成される場合には、第2表面310b側に形成された第2導電型領域310sをフッ硝酸の水溶液によるエッチングによって除去する。その後、例えば、第2導電型領域310sを形成する際に半導体基板310の第1表面310a側に付着した燐ガラスをエッチングで除去する。ここで、例えば、半導体基板310の第2表面310b側に予め拡散マスクを形成しておき、気相熱拡散法などによって第2導電型領域310sを形成し、続いて拡散マスクを除去してもよい。
【0073】
<<パッシベーション膜の形成>>
例えば、少なくとも半導体基板310の第2表面310b上にパッシベーション膜316を形成する。例えば、
図11で示されるように、半導体基板310における第2表面310bおよび第1表面310aのそれぞれの上に、パッシベーション膜316を形成する。パッシベーション膜316は、例えば、主に酸化アルミニウムを含有する膜などによって構成され得る。
【0074】
パッシベーション膜316は、例えば、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法などによって形成され得る。ALD法によれば、例えば、半導体基板310の端面を含む全周囲にパッシベーション膜316が形成され得る。ALD法によるパッシベーション膜316の形成工程では、まず、成膜装置のチャンバー内に、第2導電型領域310sまでが形成された半導体基板310を載置する。そして、半導体基板310を摂氏100度(100℃)から摂氏250度(250℃)程度の温度域まで加熱した状態で、次の工程Aから工程Dを複数回繰り返し行うことで、酸化アルミニウムを主に含有するパッシベーション膜316を形成する。これにより、所望の厚さを有するパッシベーション膜316が形成される。
【0075】
[工程A]酸化アルミニウムを形成するためのトリメチルアルミニウム(TMA)などのアルミニウム原料を、Arガスまたは窒素ガスなどのキャリアガスとともに、半導体基板310上に供給する。これにより、半導体基板310の全周囲にアルミニウム原料が吸着される。TMAが供給される時間は、例えば、15ミリ秒間から3000ミリ秒間程度に設定される。ここで、工程Aの開始時には、例えば、半導体基板310の表面は水酸基(OH基)で終端されている。この場合には、半導体基板310の表面がSi-O-Hの構造である。この構造は、例えば、半導体基板310に対して希フッ酸による処理と純水による洗浄とをこの記載の順に行うことで、形成され得る。
【0076】
[工程B]窒素ガスによって成膜装置のチャンバー内の浄化を行う。ここでは、チャンバー内のアルミニウム原料を除去するとともに、半導体基板310に物理吸着および化学吸着したアルミニウム原料のうちの原子層レベルで化学吸着した成分以外のアルミニウム原料を除去する。ここで、窒素ガスによってチャンバー内を浄化する時間は、例えば、1秒間から数十秒間程度に設定される。
【0077】
[工程C]水またはオゾンガスなどの酸化剤を、成膜装置のチャンバー内に供給する。これにより、TMAに含まれるアルキル基が除去されてOH基に置換される。これにより、半導体基板310の上に酸化アルミニウムの原子層が形成される。ここで、酸化剤をチャンバー内に供給する時間は、例えば、750ミリ秒間から1100ミリ秒間程度に設定される。ここでは、例えば、チャンバー内に酸化剤ととともに水素を供給して、酸化アルミニウムに水素原子を含有させてもよい。
【0078】
[工程D]窒素ガスによって成膜装置のチャンバー内の浄化を行う。これにより、チャンバー内の酸化剤を除去する。ここでは、例えば、半導体基板310上における原子層レベルの酸化アルミニウムの形成時において反応に寄与しなかった酸化剤などが除去される。ここで、窒素ガスによってチャンバー内を浄化する時間は、例えば、1秒間から数十秒間程度に設定される。
【0079】
<<反射防止膜の形成>>
例えば、
図11で示されるように、パッシベーション膜316の上に、反射防止膜317を形成する。反射防止膜317は、例えば、窒化シリコンの膜などによって構成され得る。
【0080】
反射防止膜317は、例えば、プラズマCVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition:PECVD)法または スパッタリング法などを用いて形成され得る。PECVD法を用いる場合には、反射防止膜317の成膜中の温度よりも高い温度まで半導体基板310を事前に加熱しておく。その後、反応圧力を50パスカル(Pa)から200Pa程度に設定して、窒素ガスで希釈したシランとアンモニアとの混合ガスを、グロー放電分解でプラズマ化させて、加熱された半導体基板310上に堆積させる。これにより、半導体基板310の上に反射防止膜317が形成される。ここでは、成膜温度は、350℃から650℃程度に設定され、半導体基板310の事前の加熱温度は、成膜温度よりも50℃程度高く設定される。グロー放電に必要な高周波電源の周波数として、10キロヘルツ(kHz)から500kHz程度の周波数が採用される。ガスの流量は、反応室の大きさなどによって適宜決定される。例えば、ガスの流量は、150ミリリットル毎分から6000ミリリットル毎分程度の範囲に設定される。ここでは、アンモニアガスの流量Bをシランガスの流量Aで除した値(B/A)は、0.5から1.5の範囲に設定される。
【0081】
<<保護膜の形成>>
例えば、
図12で示されるように、少なくとも半導体基板310の第2表面310b側において、パッシベーション膜316上に、所望のパターンを有する保護膜318を形成する。所望のパターンは、多数の貫通孔などを含む。保護膜318は、例えば、湿式または乾式のプロセスによって形成され得る。湿式のプロセスには、例えば、溶液の塗布などを用いたプロセスが適用される。乾式のプロセスには、例えば、PECVDまたはスパッタリングなどを用いたプロセスが適用される。
【0082】
例えば、溶液の塗布を用いた湿式のプロセスが採用される場合には、少なくとも半導体基板310の第2表面310b側において、パッシベーション膜316上に、所望のパターンを有する形態で溶液を塗布した後に、この溶液を乾燥することで、保護膜318を形成する。所望のパターンは、多数の貫通孔を含む。ここでは、溶液として、例えば、絶縁性ペーストを用いる。絶縁性ペーストとしては、例えば、保護膜318の原料となるシロキサン樹脂、有機溶剤および複数のフィラーを含む絶縁性のペーストが採用される。シロキサン樹脂は、シロキサン結合(Si-O-Si結合)を有するシロキサン化合物である。例えば、シロキサン樹脂には、アルコキシシランまたはシラザンなどを加水分解させて縮合重合させることで生成された、分子量が1万5千以下の低分子量の樹脂が適用される。溶液の塗布は、例えば、スクリーン印刷法などを用いて行われ得る。塗布後の溶液の乾燥は、例えば、ホットプレートまたは乾燥炉などを用いて行われ得る。
【0083】
<<電極の形成>>
例えば、
図6で示されるように、第1電極311、第2電極312、第3電極313および第4電極314を含む電極を形成する。
【0084】
ここでは、例えば、半導体基板310の第1表面310a側に第1電極311および第2電極312を形成するための材料(第1電極用材料ともいう)を所望のパターンで配置する。より具体的には、例えば、第1表面310a上に形成された反射防止膜317上に、所望のパターンで第1電極用材料を配置する。そして、この第1電極用材料を加熱することで、第1電極311および第2電極312を形成する。第2電極312とともに第5電極315を形成してもよい。
【0085】
第1実施形態では、例えば、第1電極用材料として、銀ペーストが採用される。この場合には、第1電極用材料の配置は、例えば、銀ペーストの塗布などによって行われる。銀ペーストの塗布は、例えば、スクリーン印刷法などによって実現され得る。ここで、塗布後の銀ペーストを所定の温度で乾燥させることで、この銀ペースト中の溶剤を蒸散させてもよい。その後、例えば、焼成炉内で、最高温度が600℃から850℃程度であり且つ加熱時間が数十秒間から数十分間程度である条件で、銀ペーストを焼成する。これにより、第1電極311および第2電極312を形成することができる。
【0086】
また、ここでは、例えば、半導体基板310の第2表面310b側に第3電極313および第4電極314を形成するための材料(第2電極用材料ともいう)を所望のパターンで配置する。より具体的には、例えば、保護膜318上、この保護膜318の多数の貫通孔内、および保護膜318の複数の孔部内などに、第3電極313および第4電極314を形成するための材料(第2電極用材料ともいう)を配置する。そして、この第2電極用材料を加熱することで、第3電極313および第4電極314を形成する。
【0087】
第1実施形態では、例えば、第2電極用材料として、銀ペーストおよびアルミニウムペーストが採用される。この場合には、第2電極用材料の配置は、例えば、銀ペーストの塗布およびアルミニウムペーストの塗布などによって行われる。銀ペーストの塗布およびアルミニウムペーストの塗布のそれぞれは、例えば、スクリーン印刷法などによって実現され得る。ここでは、例えば、半導体基板310の第2表面310b側に、所望のパターンで銀ペーストを塗布する。より具体的には、例えば、保護膜318の複数の孔部から露出しているパッシベーション膜316上に、銀ペーストを塗布する。また、例えば、半導体基板310の第2表面310b側に、塗布後の銀ペーストの一部と接触する所望のパターンでアルミニウムペーストを塗布する。より具体的には、例えば、第2表面310b上の保護膜318上、この保護膜318の多数の貫通孔内、および塗布後の銀ペーストの一部の上に、アルミニウムペーストを塗布する。ここで、塗布後の銀ペーストおよびアルミニウムペーストを所定の温度で乾燥させることで、この銀ペーストおよびアルミニウムペースト中の溶剤を蒸散させてもよい。その後、例えば、焼成炉内で、最高温度が600℃から850℃程度であり且つ加熱時間が数十秒間から数十分間程度である条件で、銀ペーストおよびアルミニウムペーストを焼成する。これにより、第3電極313および第4電極314を形成することができる。アルミニウムペーストを焼成する際には、保護膜318の多数の貫通孔内に配されたアルミニウムペーストは、パッシベーション膜316の焼成貫通(ファイヤースルーともいう)を生じて、第1導電型領域310fの表層部にBSF領域310tを形成する。ここでは、例えば、第3電極313および第4電極314を、同時に形成してもよいし、第3電極313の形成後に第4電極314を形成してもよいし、第4電極314の形成後に第3電極313を形成してもよい。
【0088】
ここで、例えば、第1電極311、第2電極312、第3電極313および第4電極314を、各金属ペーストを塗布した後に同時に焼成を施すことで、形成してもよい。
【0089】
ところで、例えば、半導体基板310の主成分としてのシリコンの線膨張係数は、2.60×10-6[1/℃]である。例えば、第1電極311、第2電極312、第3電極313および第5電極315の主成分としての銀の線膨張係数は、1.89×10-5[1/℃]である。例えば、第4電極314の主成分としてのアルミニウムの線膨張係数は、2.31×10-5[1/℃]である。言い換えれば、シリコンの線膨張係数よりも、銀およびアルミニウムの線膨張係数が大きく、アルミニウムの線膨張係数と銀の線膨張係数との間には大きな差がない。このため、第1電極311、第2電極312、第3電極313、第4電極314および第5電極315を、銀ペーストおよびアルミニウムペーストの焼成で形成する工程(電極形成工程ともいう)では、冷却の際に、半導体基板310よりも第1電極311、第2電極312、第3電極313、第4電極314および第5電極315における収縮率が大きい。
【0090】
また、例えば、
図4および
図5で示されるように、第2素子面31sを平面視した場合における第3電極313および第4電極314が占める面積は、第1素子面31fを平面視した場合における第1電極311、第2電極312および第5電極315が占める面積よりも大幅に大きい。特に、例えば、第2素子面31sを平面視した場合における第4電極314が占める面積が、第1素子面31fを平面視した場合における第1電極311、第2電極312および第5電極315が占める面積よりも大幅に大きい。このため、電極形成工程では、冷却の際に、面積の大きな第4電極314の収縮によって、太陽電池素子31は、第1素子面31fが凸状に湾曲するとともに第2素子面31sが凹状に湾曲する反りを生じる。よって、第1素子面31fが凸状に湾曲しており且つ第2素子面31sが凹状に湾曲している太陽電池素子31を製造することができる。
【0091】
<1-4.太陽電池モジュールの製造方法の具体例>
第1実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法の一例について、
図13および
図14を参照しつつ説明する。
【0092】
まず、第1保護層1を準備する。ここでは、例えば、第1保護層1として、長方形状の表裏面、透光性および耐候性を有する樹脂製のフィルムを準備する。透光性および耐候性を有する樹脂として、例えば、フッ素系の樹脂が採用される。フッ素系の樹脂としては、例えば、FEP、ETFEまたはECTFEなどが採用される。ここで、例えば、第1保護層1の片面である第2面1sにコロナ処理またはプラズマ処理などの表面を活性化させるための処理を施す。これにより、後述するラミネート処理において、第1保護層1と充填材4との間における密着性が向上し得る。
【0093】
次に、例えば、
図13および
図14で示されるように、第1保護層1と、第1シート材41sと、太陽電池部3および支持部材5と、第2シート材42sと、第2保護層2とを、この記載の順に積層することで、積層体10sを形成する。
【0094】
積層体10sにおいて、太陽電池部3は、2つの支持部材5の間に位置している。より具体的には、積層体10sにおいて、第1の支持部材5と、太陽電池部3と、第2の支持部材5とは、X方向において間隔を空けて並んでいる。積層体10sでは、例えば、太陽電池部3の第3配線材34のうち、太陽電池パネル10の外部で端子ボックスなどに接続させるための部分が、積層体10sの外部に引き出された状態で配置される。
【0095】
第1シート材41sは、第1充填材41の素になる樹脂製のシート材である。この樹脂製のシート材の素材には、例えば、EVAなどが適用される。積層体10sにおいて、第1シート材41sは、第1保護層1と太陽電池部3との間および第1保護層1と支持部材5との間に位置している。言い換えれば、積層体10sにおいて、第1シート材41sは、第1保護層1の上に位置しており、太陽電池部3および支持部材5は、第1シート材41sの上に位置している。第1シート材41sは、平面視において、矩形形状の一例としての長方形状の形状を有する。積層体10sでは、第1シート材41sは、例えば、第1保護層1と支持部材5との間に位置している厚さが小さな部分(第1シート部分ともいう)と、2つの支持部材5の間に少なくとも一部が位置している厚さが大きな部分(第2シート部分ともいう)とを含んでいてもよい。第1シート材41sは、1枚のシートで構成されていてもよいし、2枚以上のシートが積層された構成を有していてもよい。例えば、第1シート部分が1枚のシートで構成された部分であり、第2シート部分が2枚以上のシートが積層された部分である形態が採用され得る。
【0096】
第2シート材42sは、第2充填材42の素になる樹脂製のシート材である。この樹脂製のシート材の素材には、例えば、EVAなどが適用される。第2シート材42sには、顔料が含まれていてもよい。積層体10sにおいて、第2シート材42sは、第2保護層2と太陽電池部3との間および第2保護層2と支持部材5との間に位置している。言い換えれば、積層体10sにおいて、第2シート材42sの両端のそれぞれが、支持部材5に対向している状態で位置している。第2シート材42sは、平面視において、矩形形状の一例としての長方形状の形状を有する。積層体10sでは、第2シート材42sは、例えば、第2保護層2と支持部材5との間に位置している厚さが小さな部分(第3シート部分ともいう)と、2つの支持部材5の間に少なくとも一部が位置している厚さが大きな部分(第4シート部分ともいう)とを含んでいてもよい。第2シート材42sは、1枚のシートで構成されていてもよいし、2枚以上のシートが積層された構成を有していてもよい。例えば、第3シート部分が1枚のシートで構成された部分であり、第4シート部分が2枚以上のシートが積層された部分である形態が採用され得る。
【0097】
積層体10sにおいて、第2保護層2は、第2シート材42sの上に位置している。
【0098】
次に、例えば、積層体10sを対象としたラミネート処理を行う。このラミネート処理では、例えば、ラミネート装置(ラミネータともいう)を用いて、積層体10sを一体化させる。例えば、ラミネータでは、チャンバー内のヒーター盤上に積層体10sが載置され、チャンバー内の気圧を50パスカル(Pa)から150Pa程度まで減じつつ、積層体10sを100℃から200℃程度まで加熱する。ここでは、第1シート材41sおよび第2シート材42sが加熱によってある程度流動可能な状態となる。この状態で、チャンバー内において、積層体10sを、ダイヤフラムシートなどの押圧体で+Z方向に押圧することで、積層体10sを一体化させることができる。これにより、太陽電池パネル10を作製することができる。
【0099】
ラミネート処理の後には、太陽電池パネル10に、端子ボックスなどを適宜取り付けてもよい。この場合には、例えば、太陽電池部3から太陽電池パネル10の外部に引き出された第3配線材34の一部を、端子ボックス内の端子に適宜接続する。これにより、第1実施形態に係る太陽電池モジュール100を製造することができる。
【0100】
上述の例では、支持部材5を含む太陽電池パネル10がラミネート処理によって作製することができる。このため、支持部材5の代わりに、外部フレーム(不図示)を太陽電池パネル10にネジなどで取り付ける構造に比べて、太陽電池パネル10および太陽電池モジュール100を容易に製造することができる。
【0101】
<1-5.第1実施形態のまとめ>
第1実施形態に係る太陽電池モジュール100では、例えば、第1保護層1が透光性を有する樹脂で構成されている。このため、例えば、第1保護層1の薄型化によって、太陽電池モジュール100の軽量化を図ることができる。また、例えば、太陽電池部3の複数の太陽電池素子31のそれぞれにおいて、第1素子面31fが凸状に湾曲しており、第2素子面31sが凹状に湾曲している。このため、例えば、太陽電池素子31が第1保護層1に向けて凸状に湾曲していることで、落下物および飛来物などの各種の物体が第1保護層1に衝突した際に、太陽電池素子31に対する衝撃が緩和され得る。これにより、例えば、太陽電池素子31が割れ難くなる。その結果、太陽電池モジュール100における発電効率が低下し難くなる。したがって、太陽電池モジュール100における軽量化および発電効率の向上を図ることができる。
【0102】
<1-6.太陽電池素子の配列数>
図1の例では、X方向に沿って太陽電池素子31が配列されている数(配列数ともいう)は、偶数としての2である。言い換えれば、支持部材5の長手方向と直交する方向に沿った太陽電池素子31の配列数は偶数である。また、各太陽電池素子31におけるX方向の幅は互いに略同一である。このため、太陽電池パネル10のX方向の中央には太陽電池素子31が存在していない。言い換えれば、X方向における太陽電池パネル10の中央は太陽電池素子31の間の部分に相当する。
【0103】
ところで、例えば、
図7で示されたように、外力F1によって太陽電池パネル10を撓ませた場合には、太陽電池パネル10のX方向の中央に比較的に大きな応力が印加される。また、例えば、支持部材5が取付対象部に取り付けられた状態では、太陽電池パネル10の前面10fに乗っている積雪などによって荷重が太陽電池パネル10に印加される場合がある。この場合にも、太陽電池パネル10は、+Y方向に沿って見た場合に、円弧状に撓み得る。このような場合でも、太陽電池パネル10のX方向の中央に比較的に大きな応力が印加される。
【0104】
これに対して、
図1の例では、X方向における太陽電池パネル10の中央には太陽電池素子31が存在していない。このため、外力F1もしくは積雪などの荷重が太陽電池パネル10に印加されて太陽電池パネル10が撓む場合においても、各太陽電池素子31に印加される応力は比較的に小さい。したがって、例えば、太陽電池素子31が割れ難くなる。その結果、太陽電池モジュール100における発電効率が低下し難くなる。
【0105】
<2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
【0106】
<2-1.第2実施形態>
<2-1-1.太陽電池モジュール>
上記第1実施形態において、例えば、
図15および
図16の少なくとも一方で示されるように、第1面1fは、太陽電池部3の複数の太陽電池素子31のそれぞれの第1素子面31fに沿って凸状に湾曲していてもよい。なお、ここでいう「第1面1fが第1素子面31fに沿って凸状に湾曲」とは、第1面1fの曲率と、第1素子面31fの曲率が同一である必要はなく、若干異なった場合も含まれる。
【0107】
例えば、屋外において太陽電池モジュール100を発電に使用する場合には、第1面1fが上方または斜め上方に向いている状態で太陽電池モジュール100が設置される。第2実施形態では、例えば、第1面1fが太陽電池素子31に沿って凸状に湾曲している。このため、例えば、凸状の第1面1fに沿って雨水が流れ易く、第1面1fのうちの太陽電池素子31の上方に位置している領域の上において雨水が滞留し難い。これにより、例えば、第1面1fのうちの太陽電池素子31の上方に位置している領域の上において、乾燥する雨水の量が減少し得る。その結果、例えば、第1面1fのうちの太陽電池素子31の上方に位置している領域において、雨水に含まれている砂塵および泥などが付着し難い。言い換えれば、例えば、第1面1fのうちの太陽電池素子31の上方に位置している領域が汚れ難い。よって、例えば、太陽電池素子31への太陽光の入射が第1面1fの汚れによって阻害され難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100における発電効率の向上が図られ得る。
【0108】
第2実施形態では、例えば、第1面1fの第1素子面31fに沿った部分が、半径が数百mmから数千mm程度の仮想的な円弧に沿った状態で円弧状に湾曲している形態が採用される。
【0109】
ここでは、例えば、第1面1fの第1素子面31fに沿った部分におけるYZ断面およびXZ断面のうちの何れか一方の断面が、第1素子面31fから離れる方向に向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用される。第1面1fの第1素子面31fに沿った部分におけるYZ断面は、第1面1fの第1素子面31fに沿った部分についての第1方向としての-Y方向および第3方向としての-Z方向のそれぞれに沿った仮想的な断面である。第1面1fの第1素子面31fに沿った部分におけるXZ断面は、第1面1fの第1素子面31fに沿った部分についての第2方向としての+X方向および第3方向としての-Z方向のそれぞれに沿った仮想的な断面である。
【0110】
例えば、
図15で示されるように、第1面1fの第1素子面31fに沿った部分におけるXZ断面が第1素子面31fから離れる方向に向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用される。この場合には、例えば、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分は、第5仮想円弧面に沿って凸状に湾曲している。第5仮想円弧面は、XZ平面において第3方向としての-Z方向とは逆の+Z方向に向かって凸状に曲がっている円弧を、第1方向としての-Y方向に延ばすことで形成される仮想的な曲面である。
【0111】
例えば、
図16で示されるように、第1面1fの第1素子面31fに沿った部分におけるYZ断面が第1素子面31fから離れる方向に向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用されてもよい。この場合には、例えば、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分は、第6仮想円弧面に沿って凸状に湾曲している。第6仮想円弧面は、YZ平面において第3方向としての-Z方向とは逆の+Z方向に向かって凸状に曲がっている円弧を、第2方向としての+X方向に延ばすことで形成される仮想的な曲面である。
【0112】
また、例えば、第1面1fの第1素子面31fに沿った部分におけるYZ断面およびXZ断面の何れの断面も、第1素子面31fから離れる方向に向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用されてもよい。この場合には、例えば、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分は、仮想的な球面に沿った形態で湾曲していてもよい。より具体的には、例えば、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分が、第3の仮想的な球面の一部に沿って凸状に湾曲している形状を有していてもよい。第3の仮想的な球面の半径は、例えば、数百mmから数千mm程度に設定される。
【0113】
<2-1-2.太陽電池モジュールの製造方法の具体例>
第2実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法の一例について、
図17および
図18を参照しつつ説明する。
【0114】
ここでは、例えば、上記第1実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法をベースとして、
図17および
図18で示されるように、ベース部材400の上に、第1保護層1と、第1シート材41sと、太陽電池部3および支持部材5と、第2シート材42sと、第2保護層2とを、この記載の順に積層することで、積層体10sを形成する。
【0115】
ベース部材400は、積層体10sを対象としたラミネート処理を行う際に、第1面1fにおいて所望の凸状の形状を実現するための金型の役割を果たす部材である。ベース部材400には、例えば、平坦な下面400bと、所望のパターンの凹凸を有する上面400uとを持つ板状の部材が適用される。上面400uは、例えば、凹部400rを有する。
図17および
図18の例では、上面400uは、複数の凹部400rを有する。凹部400rは、ラミネート処理で形成される第1面1fの凸状の形状に対応する凹状の形状を有する。ベース部材400の素材には、例えば、ガラスまたは金属などが適用される。ベース部材400は、例えば、ガラス板を対象とした薬液を用いた溶解、あるいはガラス板もしくは金属板を対象とした研削または研磨などの各種の加工法によって製作され得る。
【0116】
積層体10sを対象としたラミネート処理を行う際には、例えば、ラミネータのチャンバー内のヒーター盤上に、
図18で示されるように積層体10sが載せられたベース部材400を載置する。この状態で、ラミネータのチャンバー内の気圧を減じつつ、積層体10sを加熱し、ダイヤフラムシートなどの押圧体で積層体10sを+Z方向に押圧する。これにより、積層体10sを一体化させる。ここでは、ベース部材400における上面400uの凹凸に応じて、第1保護層1が変形するとともに、第1シート材41sおよび第2シート材42sが流動する。これにより、第1保護層1は、複数の太陽電池素子31のそれぞれの第1素子面31fに沿って凸状に湾曲している第1面1fを有する状態となる。その結果、第2実施形態に係る太陽電池パネル10を作製することができる。そして、例えば、太陽電池パネル10に対する端子ボックスの取り付け、および端子ボックス内の端子への第3配線材34の一部の接続などによって、第2実施形態に係る太陽電池モジュール100を製造することができる。
【0117】
<2-2.第3実施形態>
<2-2-1.太陽電池モジュール>
上記第1実施形態において、例えば、
図19から
図21で示されるように、第1面1fを平面視した場合に、第1面1fは、第1領域A1と第2領域A2を有しているとともに、この第2領域A2に位置している1つ以上の線状凹部1tを有していてもよい。第1領域A1は、第1面1fを平面視した場合に、第1面1fのうちの複数の太陽電池素子31の上に位置している領域である。換言すると、第1領域A1は、太陽電池モジュール100を第1面1f側から平面視した場合に、第1面1fのうちの複数の太陽電池素子31と重なる領域である。第2領域A2は、第1面1fを平面視した場合に、第1領域A1とは異なる領域である。換言すると、第2領域A2は、太陽電池モジュール100を第1面1f側から平面視した場合に、第1面1fのうちの複数の太陽電池素子31と重なっていない領域である。線状凹部1tは、例えば、細長い線状の凹部である。細長い線状の凹部は、直線状の凹部に限られず、曲がっていてもよい。この線状の凹部は、第1領域A1を基準として、充填材4側に凹んでいる。言い換えれば、線状凹部1tは、例えば、第1領域A1を基準として、第3方向としての-Z方向に向けて凹んでいる。第1領域A1を基準とした線状凹部1tの深さは、例えば、0.1mmから2mm程度に設定される。
図19および
図21では、第3実施形態に係る太陽電池モジュール100の一例として、上記第1実施形態に係る太陽電池モジュール100に1つ以上の線状凹部1tが加えられた一例が示されている。
【0118】
例えば、屋外において太陽電池モジュール100を発電に使用する場合には、第1面1fが斜め上方に向いている状態で太陽電池モジュール100が設置され得る。具体的には、例えば、第1端部E1が斜め下方に位置し、第2端部E2が斜め上方に位置している状態で太陽電池モジュール100が設置され得る。第3実施形態に係る太陽電池モジュール100では、例えば、第1面1fは、複数の太陽電池素子31の上方を避けて位置している1つ以上の線状凹部1tを有する。このため、例えば、第1面1fのうちの1つ以上の線状凹部1tにおいて雨水が流れ易く、第1面1fのうちの太陽電池素子31の上方に位置している第1領域A1上において雨水が滞留し難い。これにより、例えば、第1面1fのうちの第1領域A1上において、乾燥する雨水の量が減少し得る。その結果、例えば、雨水に含まれている砂塵および泥などが第1面1fの第1領域A1に付着し難い。言い換えれば、例えば、第1面1fの第1領域A1において、太陽電池モジュール100の第1面1fが汚れ難い。よって、例えば、太陽電池素子31への太陽光の入射が第1面1fの汚れによって阻害され難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100における発電効率の向上が図られ得る。
【0119】
ここで、例えば、第1面1fを平面視した場合に、1つ以上の線状凹部1tが、複数の太陽電池素子31の間の間隙に沿って位置している構成が採用され得る。また、例えば、第1面1fを平面視した場合に、複数の太陽電池素子31の上方の第1領域A1を避けて、太陽電池素子31の外周部に沿って、1つ以上の線状凹部1tが存在している構成が採用され得る。例えば、1つ以上の線状凹部1tは、第1線状凹部1t1と、この第1線状凹部1t1に接続している第2線状凹部1t2とを含む構成が採用される。
【0120】
第1線状凹部1t1は、第1間隙G1の上において、第2方向としての+X方向に沿って位置している細長い線状の凹部である。第1間隙G1は、第1方向としての-Y方向において並んでいる2つの太陽電池素子31の間の間隙である。より具体的には、平面視した場合に、第1方向としての-Y方向において隣り合って並んでいる2つの太陽電池素子31の間の間隙(第1間隙)G1が第2方向としての+X方向に沿って位置している。言い換えれば、第1間隙G1は、第2方向としての+X方向に沿った長手方向を有する。第1線状凹部1t1は、第1保護層1を平面視した場合に、第1間隙G1の上において、第1間隙G1の長手方向に沿って位置している。言い換えれば、第1線状凹部1t1は、第1保護層1を平面視した場合に、第1間隙G1の上において、第2方向としての+X方向に沿って位置している。この第1線状凹部1t1は、第1面1f上において、第2方向としての+X方向に沿って位置している溝を構成している。第1領域A1を基準とした第1線状凹部1t1の深さは、例えば、0.1mmから2mm程度に設定される。
【0121】
図19から
図21の例では、各太陽電池ストリング30における2つ以上の太陽電池素子31について、第1方向としての-Y方向において隣り合って並んでいる2つの太陽電池素子31の間のそれぞれに第1間隙G1が位置している。より具体的には、各太陽電池ストリング30における6つの太陽電池素子31について、5つの第1間隙G1が存在している。そして、各太陽電池ストリング30について、5つの第1線状凹部1t1が存在している。また、
図19から
図21の例では、第2方向としての+X方向において並んでいる2つの第1間隙G1の上にそれぞれ位置している2つの第1線状凹部1t1は、接続している。これにより、第2方向としての+X方向において並んでいる2つの第1間隙G1の上にそれぞれ位置している2つの第1線状凹部1t1が、第2方向としての+X方向に沿って位置している1本の線状の凹部を構成している状態にある。言い換えれば、
図19から
図21の例では、5本の線状の凹部のそれぞれが、第2方向としての+X方向に沿って位置しているとともに、この5本の線状の凹部が、第1方向としての-Y方向において並んでいる。
【0122】
第2線状凹部1t2は、第1方向としての-Y方向に沿って位置している細長い線状の凹部である。例えば、第2線状凹部1t2は、第2間隙G2の上において、第1方向としての-Y方向に沿って位置している。第2間隙G2は、第2方向としての+X方向において並んでいる2つの太陽電池素子31の間の間隙である。より具体的には、平面視した場合に、第2方向としての+X方向において隣り合って並んでいる2つの太陽電池素子31の間の間隙(第2間隙)G2が、第1方向としての-Y方向に沿って位置している。言い換えれば、第2間隙G2は、第1方向としての-Y方向に沿った長手方向を有する。第2線状凹部1t2は、第1保護層1を平面視した場合に、第2間隙G2の上において、第2間隙G2の長手方向に沿って位置している。言い換えれば、第2線状凹部1t2は、第1保護層1を平面視した場合に、第2間隙G2の上において、第1方向としての-Y方向に沿って位置している。この第2線状凹部1t2は、第1面1f上において、第1方向としての-Y方向に沿って位置している溝を構成している。第1領域A1を基準とした第2線状凹部1t2の深さは、例えば、0.1mmから2mm程度に設定される。
【0123】
第2間隙G2は、例えば、第2方向としての+X方向において隣り合って並んでいる2つの太陽電池ストリング30の間の間隙であってもよい。
図19から
図21の例では、2つの太陽電池ストリング30の間に1つの第2間隙G2が存在している。そして、隣り合う2つの太陽電池ストリング30について、1つの第2線状凹部1t2が存在している。
【0124】
また、例えば、第2線状凹部1t2は、第3間隙G3の上において、第1方向としての-Y方向に沿って位置している。第3間隙G3は、第2方向としての+X方向において並んでいる支持部材5と太陽電池部3との間の間隙である。より具体的には、平面視した場合に、第2方向としての+X方向において並んでいる支持部材5と太陽電池部3との間の間隙(第3間隙)G3が、第1方向としての-Y方向に沿って位置している。言い換えれば、第3間隙G3は、第1方向としての-Y方向に沿った長手方向を有する。第2線状凹部1t2は、第1保護層1を平面視した場合に、第3間隙G3の上において、第3間隙G3の長手方向に沿って位置している。言い換えれば、第2線状凹部1t2は、第1保護層1を平面視した場合に、第3間隙G3の上において、第1方向としての-Y方向に沿って位置している。この第2線状凹部1t2は、第1面1f上において、第1方向としての-Y方向に沿って位置している溝を構成している。
【0125】
図19から
図21の例では、第2方向としての+X方向において並んでいる、第1の支持部材5と太陽電池部3との間の第1の第3間隙G3の上において、1つの第2線状凹部1t2が存在している。また、第2方向としての+X方向において並んでいる、太陽電池部3と第2の支持部材5との間の第2の第3間隙G3の上において、1つの第2線状凹部1t2が存在している。このため、
図19から
図21の例では、3つの第2線状凹部1t2が、第2方向としての+X方向において並んでいる。
【0126】
また、例えば、第2線状凹部1t2は、2つ以上の第1線状凹部1t1に接続している。
図19から
図21の例では、第2線状凹部1t2は、第1方向としての-Y方向において並んでいる5つの第1線状凹部1t1にそれぞれ接続している。より具体的には、3つの第2線状凹部1t2のそれぞれが、第1方向としての-Y方向において並んでいる5つの第1線状凹部1t1に接続している。ここでは、複数の第1線状凹部1t1と、複数の第2線状凹部1t2とが交差している形態で接続していることで、一体的な格子状の溝を構成している状態にある。より具体的には、5つの第1線状凹部1t1と、3つの第2線状凹部1t2とが交差している形態で接続していることで、一体的な格子状の溝を構成している状態にある。
【0127】
例えば、屋外において太陽電池モジュール100を発電に使用する場合には、第1面1fが斜め上方に向いている状態で太陽電池モジュール100が設置され得る。具体的には、例えば、第1端部E1が斜め下方に位置し、第2端部E2が斜め上方に位置している状態で太陽電池モジュール100が設置され得る。ここで、上述したように、例えば、第1面1fの線状凹部1tが、第1線状凹部1t1と、この第1線状凹部1t1に接続している第2線状凹部1t2とを含んでいれば、第1面1f上において、太陽電池素子31の上方から第1線状凹部1t1上に流れ込んだ雨水が、第1線状凹部1t1および第2線状凹部1t2に沿って流れ易い。このため、例えば、1つ以上の線状凹部1tに沿った雨水の流れによって、第1面1fの第1領域A1上に雨水が到達し難くなるとともに、第1面1f上からの雨水の排水が促進され得る。これにより、例えば、第1面1fの第1領域A1上において乾燥する雨水の量がより減少し、雨水に含まれている砂塵および泥などが第1面1fの第1領域A1に付着し難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100における発電効率がより向上し得る。
【0128】
より具体的には、例えば、
図22で示されるように、二点鎖線の矢印で示されるように、太陽電池素子31の上方から第1線状凹部1t1上に流れ込んだ雨水は、第1線状凹部1t1に沿って流れるとともに第2線状凹部1t2に流れ込み易く、さらに第2線状凹部1t2に沿って流れ易い。
図22では、第1面1f上において雨水が流れる経路の一例が二点鎖線の矢印で模式的に示されている。また、
図22では、図面の複雑化を避けるために、太陽電池部3の図示が省略されており、複数の太陽電池素子31の外縁が細い破線で描かれている。
【0129】
ここで、例えば、第2線状凹部1t2が、第1面1fのうちの第1方向としての-Y方向における縁部1eまで延びている状態にあれば、第2線状凹部1t2に沿った雨水の流れによって第1面1f上からの雨水の排水がさらに促進され得る。これにより、例えば、第1面1fの第1領域A1上において乾燥する雨水の量がさらに減少し、雨水に含まれている砂塵および泥などが第1面1fの第1領域A1に付着し難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100における発電効率の向上がさらに図られ得る。
【0130】
ここで、例えば、第1面1fを平面視した場合に、第1線状凹部1t1と第2線状凹部1t2とが成す角部が、丸味を帯びた形状を有していてもよいし、隅切りが施された形状を有していてもよい。この角部は、例えば、太陽電池素子31の隅切りが行われた四隅に沿った形態を有していてもよい。この場合には、例えば、第1線状凹部1t1から第2線状凹部1t2へ雨水が流れ易くなる。
【0131】
ここで、例えば、第2線状凹部1t2は、第1面1fのうちの第1方向としての-Y方向における縁部1eまで延びていなくてもよい。この場合であっても、例えば、第2線状凹部1t2に沿って流れた雨水は、第1面1f上の第1領域A1を避けて流れ易い。これにより、例えば、第1面1fの第1領域A1上において乾燥する雨水の量が減少し得る。
【0132】
<2-2-2.太陽電池モジュールの製造方法の具体例>
第3実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法の一例について、
図23および
図24を参照しつつ説明する。
【0133】
ここでは、例えば、上記第1実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法をベースとして、
図23および
図24で示されるように、ベース部材500の上に、第1保護層1と、第1シート材41sと、太陽電池部3および支持部材5と、第2シート材42sと、第2保護層2とを、この記載の順に積層することで、積層体10sを形成する。
【0134】
ベース部材500は、積層体10sを対象としたラミネート処理を行う際に、第1面1fにおいて所望のパターンの1つ以上の線状凹部1tを形成するための金型の役割を果たす部材である。ベース部材500には、例えば、平坦な下面500bと、所望のパターンの凹凸を有する上面500uとを持つ板状の部材が適用される。上面500uは、例えば、凸部500cを有する。
図23および
図24の例では、上面500uは、複数の凸部500cを有する。凸部500cは、ラミネート処理によって形成される1つ以上の線状凹部1tの形状に対応する凸状の形状を有する。ベース部材500の素材には、例えば、ガラスまたは金属などが適用される。ベース部材500は、例えば、ガラス板を対象とした薬液を用いた溶解、あるいはガラス板もしくは金属板を対象とした研削または研磨などの各種の加工法によって製作され得る。
【0135】
積層体10sを対象としたラミネート処理を行う際には、例えば、ラミネータのチャンバー内のヒーター盤上に、
図24で示されるように積層体10sが載せられたベース部材500を載置する。この状態で、ラミネータのチャンバー内の気圧を減じつつ、積層体10sを加熱し、ダイヤフラムシートなどの押圧体で積層体10sを+Z方向に押圧する。これにより、積層体10sを一体化させる。ここでは、ベース部材500における上面500uの凹凸に応じて、第1保護層1が変形するとともに、第1シート材41sおよび第2シート材42sが流動する。これにより、第1保護層1において、第1面1fが1つ以上の線状凹部1tを有する状態となる。その結果、第3実施形態に係る太陽電池パネル10を作製することができる。そして、例えば、太陽電池パネル10に対する端子ボックスの取り付け、および端子ボックス内の端子への第3配線材34の一部の接続などによって、第3実施形態に係る太陽電池モジュール100を製造することができる。
【0136】
<2-3.第4実施形態>
<2-3-1.太陽電池モジュール>
上記第3実施形態において、例えば、
図25および
図26の少なくとも一方で示されるように、第1面1fは、複数の太陽電池素子31のそれぞれの第1素子面31fに沿って凸状に湾曲していてもよい。言い換えれば、第1面1fの各第1領域A1は、第1素子面31fに沿って凸状に湾曲していてもよい。なお、ここでいう「第1面1fが第1素子面31fに沿って凸状に湾曲」とは、第1面1fの曲率と、第1素子面31fの曲率が同一である必要はなく、若干異なった場合も含まれる。
【0137】
例えば、屋外において太陽電池モジュール100を発電に使用する場合には、第1面1fが斜め上方に向いている状態で太陽電池モジュール100が設置され得る。具体的には、例えば、第1端部E1が斜め下方に位置し、第2端部E2が斜め上方に位置している状態で太陽電池モジュール100が設置され得る。第4実施形態に係る太陽電池モジュール100では、例えば、各第1領域A1において、第1面1fが太陽電池素子31に沿って凸状に湾曲している。このため、例えば、第1面1f上において、各第1領域A1から第2領域A2の1つ以上の線状凹部1tに向かって雨水が流れ易い。これにより、例えば、第1面1fの第1領域A1上において、雨水が滞留し難く、乾燥する雨水の量が減少し得る。その結果、例えば、第1領域A1において、雨水に含まれている砂塵および泥などが第1面1fに付着し難い。よって、例えば、太陽電池素子31への太陽光の入射が第1面1fの汚れによって阻害され難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100における発電効率の向上がさらに図られ得る。
【0138】
第4実施形態では、例えば、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分が、半径が数百mmから数千mm程度の仮想的な円弧に沿った状態で円弧状に湾曲している形態が採用される。
【0139】
ここでは、例えば、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分におけるYZ断面およびXZ断面のうちの何れか一方の断面が、第1素子面31fから離れる方向に向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用される。
【0140】
例えば、
図25で示されるように、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分におけるXZ断面が第1素子面31fから離れる方向に向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用される。この場合には、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分は、例えば、上述した第5仮想円弧面に沿って凸状に湾曲している。
【0141】
例えば、
図26で示されるように、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分におけるYZ断面が第1素子面31fから離れる方向に向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用されてもよい。この場合には、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分は、例えば、上述した第6仮想円弧面に沿って凸状に湾曲していてもよい。
【0142】
また、例えば、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分におけるYZ断面およびXZ断面の何れの断面も、第1素子面31fから離れる方向に向かって凸状である状態で湾曲している形態が採用されてもよい。この場合には、例えば、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分は、仮想的な球面に沿った形態で湾曲していてもよい。より具体的には、例えば、第1面1fのうちの第1素子面31fに沿った部分は、上述した第3の仮想的な球面の一部に沿って凸状に湾曲している形状を有していてもよい。
【0143】
<2-3-2.太陽電池モジュールの製造方法の具体例>
第4実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法の一例について、
図27および
図28を参照しつつ説明する。
【0144】
ここでは、例えば、上記第3実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法をベースとして、
図27および
図28で示されるように、ベース部材500の上面500uに凹部500rを加える。
図27および
図28の例では、ベース部材500の上面500uに複数の凹部500rを加える。言い換えれば、ベース部材500は、積層体10sを対象としたラミネート処理を行う際に、第1面1fにおいて、所望のパターンの1つ以上の線状凹部1tおよび所望の凸状の湾曲形状とを実現するための金型の役割を有する。
【0145】
積層体10sを対象としたラミネート処理を行う際には、例えば、ラミネータのチャンバー内のヒーター盤上に、
図28で示されるように積層体10sが載せられたベース部材500を載置する。この状態で、ラミネータのチャンバー内の気圧を減じつつ、積層体10sを加熱し、ダイヤフラムシートなどの押圧体で積層体10sを+Z方向に押圧する。これにより、積層体10sを一体化させる。ここでは、ベース部材500における上面500uの凹凸に応じて、第1保護層1が変形するとともに、第1シート材41sおよび第2シート材42sが流動する。これにより、第1保護層1の第1面1fは、1つ以上の線状凹部1tを有するとともに、各第1素子面31fに沿って凸状に湾曲している形状を有する状態となる。その結果、第4実施形態に係る太陽電池パネル10を作製することができる。そして、例えば、太陽電池パネル10に対する端子ボックスの取り付け、および端子ボックス内の端子への第3配線材34の一部の接続などによって、第4実施形態に係る太陽電池モジュール100を製造することができる。
【0146】
<3.その他の実施形態>
上記各実施形態において、例えば、
図29で示されるように、第1面1fのうちの第1端部領域Ae1が、第1方向としての-Y方向に進むにつれて第3方向としての-Z方向に進む形態で曲がっていてもよい。第1端部領域Ae1は、第1面1fのうちの第1方向としての-Y方向の端部に位置している領域である。言い換えれば、第1面1fは、第1方向としての-Y方向の端部に位置している第1端部領域Ae1を有する。第3方向としての-Z方向は、第1保護層1の厚さ方向に沿った第1面1fから第2面1sに向かう方向に相当する。
図29の例では、第1面1fのうちの第1端部領域Ae1が、第1方向としての-Y方向に進むにつれて第3方向としての-Z方向に単調に曲がっている。この構成は、例えば、ラミネート処理によって積層体10sを一体化させる際に、ラミネータのヒーター盤と積層体10sとの間に第1端部領域Ae1の形状に合わせた形状を有する部材を適宜配置することで実現され得る。
【0147】
例えば、屋外において太陽電池モジュール100を発電に使用する場合には、第1面1fが上方または斜め上方に向いている状態で太陽電池モジュール100が設置される。ここで、例えば、第1面1fのうちの第1端部領域Ae1が、第1方向としての-Y方向に進むにつれて第3方向としての-Z方向に進む形態で曲がっていれば、第1面1f上から雨水が排出され易い。これにより、例えば、雨水が、第1面1f上において滞留し難いため、雨水に含まれている砂塵および泥などが第1面1fに付着し難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100における発電効率の向上が図られ得る。
【0148】
また、例えば、
図29で示されるように、第1面1fのうちの第2端部領域Ae2が、第5方向としての+Y方向に進むにつれて第3方向としての-Z方向に進む形態で曲がっていてもよい。第2端部領域Ae2は、第1面1fのうちの第5方向としての+Y方向の端部に位置している領域である。言い換えれば、第1面1fは、第5方向としての+Y方向の端部に位置している第2端部領域Ae2を有する。
図29の例では、第1面1fのうちの第2端部領域Ae2が、第5方向としての+Y方向に進むにつれて第3方向としての-Z方向に単調に曲がっている。この構成は、例えば、ラミネート処理によって積層体10sを一体化させる際に、ラミネータのヒーター盤と積層体10sとの間に第2端部領域Ae2の形状に合わせた形状を有する部材を適宜配置することで実現され得る。
【0149】
例えば、屋外において太陽電池モジュール100を発電に使用する場合には、第1面1fが上方または斜め上方に向いている状態で太陽電池モジュール100が設置される。ここで、例えば、第1面1fのうちの第2端部領域Ae2が、第5方向としての+Y方向に進むにつれて第3方向としての-Z方向に進む形態で曲がっていれば、第1面1f上から雨水が排出され易い。これにより、例えば、雨水が、第1面1f上において滞留し難いため、雨水に含まれている砂塵および泥などが第1面1fに付着し難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100における発電効率の向上が図られ得る。
【0150】
上記各実施形態において、例えば、支持部材5は、第1方向としての-Y方向において並んでいる2つ以上の支持部材5に置換されてもよい。この場合には、例えば、第1方向としての-Y方向において2つ以上の支持部材5が相互に間隔を空けて並んでいる態様が採用され得る。
【0151】
上記第3実施形態において、例えば、
図30で示されるように、各太陽電池素子31において、第1素子面31fが凸状に湾曲しておらず且つ第2素子面31sが凹状に湾曲していなくてもよい。言い換えれば、各太陽電池素子31は、平坦であってもよい。この場合であっても、例えば、第1保護層1が透光性を有する樹脂で構成されているため、第1保護層1の薄型化によって、太陽電池モジュール100の軽量化を図ることができる。また、例えば、第1面1fが、複数の太陽電池素子31の上方を避けて位置している1つ以上の線状凹部1tを有する。このため、例えば、第1面1fのうちの1つ以上の線状凹部1tにおいて雨水が流れ易く、第1面1fのうちの太陽電池素子31の上方に位置している第1領域A1上において雨水が滞留し難い。これにより、例えば、第1面1fのうちの第1領域A1上において、乾燥する雨水の量が減少し得る。その結果、例えば、雨水に含まれている砂塵および泥などが第1面1fのうちの第1領域A1に付着し難い。よって、例えば、太陽電池素子31への太陽光の入射が第1面1fの汚れによって阻害され難い。したがって、太陽電池モジュール100における軽量化および発電効率の向上を図ることができる。
【0152】
上記第3実施形態および上記第4実施形態において、例えば、1つ以上の第2線状凹部1t2が、第2間隙G2および第3間隙G3のうちの少なくとも1つの間隙の上に位置していてもよい。
【0153】
上記第3実施形態および上記第4実施形態において、例えば、
図31で示されるように、1つ以上の線状凹部1tは、一体的な格子状の溝を構成することなく、複数の溝を構成していてもよい。言い換えれば、第1面1fは、複数の線状の凹部を有していてもよい。ここでは、第1面1fは、例えば、1つ以上の第1線状凹部1t1を有していてもよいし、1つ以上の第2線状凹部1t2を有していてもよい。1つ以上の第1線状凹部1t1は、例えば、第2方向としての+X方向に並んでいる複数の第1線状凹部1t1を含んでいてもよい。1つ以上の第2線状凹部1t2は、例えば、第1方向としての-Y方向に並んでいる複数の第2線状凹部1t2を含んでいてもよい。
【0154】
図31の例では、
図19および
図22で示された各第1線状凹部1t1が、第2方向としての+X方向に並んでいる3つの第1線状凹部1t1に変更された形態を有する。言い換えれば、第1面1fは、3つの第1線状凹部1t1をそれぞれ含む5列の第1線状凹部1t1を有する。また、
図19および
図22で示された各第2線状凹部1t2が、第1方向としての-Y方向に並んでいる5つの第2線状凹部1t2に変更された形態を有する。言い換えれば、第1面1fは、5つの第2線状凹部1t2をそれぞれ含む3列の第2線状凹部1t2を有する。
【0155】
図31の例では、第1面1fを平面視した場合において、第1面1fのうちの第2方向としての+X方向の中央部分では、第1線状凹部1t1と第2線状凹部1t2とがT字状に接続している状態にある。ここでは、第1線状凹部1t1のX方向の中央の部分に第2線状凹部1t2が接続されている形態に限られない。例えば、第1線状凹部1t1のうちの第2方向としての+X方向における任意の部分に第2線状凹部1t2が接続していてもよい。また、例えば、第1線状凹部1t1のうちの第2方向としての+X方向における任意の部分と、第2線状凹部1t2のうちの第1方向としての-Y方向における任意の部分とが十字状に交差している形態で接続していてもよい。
【0156】
また、
図31の例では、第1面1fを平面視した場合において、第1面1fのうちの第4方向としての-X方向の側の部分では、第1線状凹部1t1と第2線状凹部1t2とがL字状に接続している状態にある。また、第1面1fを平面視した場合において、第1面1fのうちの第2方向としての+X方向の側の部分では、第1線状凹部1t1と第2線状凹部1t2とがL字状に接続している状態にある。ここでは、第1線状凹部1t1と第2線状凹部1t2とがL字状に接続している形態に限られない。例えば、第1線状凹部1t1と、第2線状凹部1t2のうちの第1方向としての-Y方向における任意の部分とがT字状に接続している状態であってもよい。
【0157】
例えば、屋外において太陽電池モジュール100を発電に使用する場合には、第1面1fが斜め上方に向いている状態で太陽電池モジュール100が設置され得る。ここでは、例えば、第1端部E1が斜め下方に位置し、第2端部E2が斜め上方に位置している状態で太陽電池モジュール100が設置され得る。ここで、上述したように、例えば、第1面1fの1つ以上の線状凹部1tが、第1線状凹部1t1と、この第1線状凹部1t1に接続している第2線状凹部1t2とを含んでいれば、第1面1f上において、太陽電池素子31の上方から第1線状凹部1t1上に流れ込んだ雨水が、第1線状凹部1t1および第2線状凹部1t2に沿って流れ易い。このため、例えば、1つ以上の線状凹部1tに沿った雨水の流れによって、第1面1fのうちの第1領域A1上に雨水が到達し難く、第1面1f上からの雨水の排水が促進され得る。これにより、例えば、第1面1fのうちの第1領域A1上において乾燥する雨水の量がより減少し、雨水に含まれている砂塵および泥などが第1面1fのうちの第1領域A1に付着し難い。
【0158】
具体的には、例えば、
図31で示されるように、二点鎖線の矢印で示されるように、太陽電池素子31の上方から第1線状凹部1t1上に流れ込んだ雨水は、第1線状凹部1t1に沿って流れるとともに第2線状凹部1t2に流れ込み易く、さらに第2線状凹部1t2に沿って流れ易い。
図31では、第1面1f上において雨水が流れる経路の一例が二点鎖線の矢印で模式的に示されている。また、
図31では、図面の複雑化を避けるために、太陽電池部3の図示が省略されており、複数の太陽電池素子31の外縁が細い破線で描かれている。
【0159】
ここで、例えば、第2線状凹部1t2は、
図31で示されるように第1面1fのうちの第1方向としての-Y方向における縁部1eまで延びていなくてもよいし、第1面1fのうちの第1方向としての-Y方向における縁部1eまで延びていてもよい。また、ここで、例えば、第1線状凹部1t1と第2線状凹部1t2とが接続されて構成されている少なくとも1つの線状の凹部が存在していてもよい。この場合にも、例えば、第1面1f上において、太陽電池素子31の上方から第1線状凹部1t1上に流れ込んだ雨水が、第1線状凹部1t1および第2線状凹部1t2に沿って流れ易い。このため、例えば、1つ以上の線状凹部1tに沿った雨水の流れによって、第1面1fのうちの第1領域A1上に雨水が到達し難く、第1面1f上からの雨水の排水が促進され得る。
【0160】
上記各実施形態において、例えば、
図32で示されるように、支持部材5の第1部分51は、第2保護層2と対向していなくてもよい。この場合には、例えば、第3方向としての-Z方向において、第2充填材42が、第2保護層2と第1部分51との間に位置している部分を含んでいない構成が採用される。
【0161】
上記各実施形態において、例えば、太陽電池モジュール100は、強化繊維部材をさらに含んでいてもよい。ここでは、強化繊維部材は、例えば、太陽電池パネル10のうちの支持部材5が存在していない端部に沿って位置しており、且つ充填材4によって覆われている。例えば、太陽電池パネル10のうちの第1端部E1および第2端部E2の少なくとも一方の端部に沿って、強化繊維部材が位置している態様が考えられる。強化繊維部材には、例えば、ケブラー(登録商標)繊維などのアラミド繊維または炭素繊維などの繊維部材が適用される。強化繊維部材は、太陽電池パネル10の端部に沿った長尺状の形状を有する。また、強化繊維部材は、平面視において太陽電池部3と重ならない状態で位置している。強化繊維部材は変形容易である一方で、高い強度を有する。このため、強化繊維部材の存在によって、太陽電池パネル10の可撓性を低減させることなく、太陽電池パネル10の強度を向上させることができる。
【0162】
上記各実施形態において、例えば、第2配線材33および第3配線材34の幅および厚さを大きくすることで、太陽電池パネル10のうちの第1端部E1および第2端部E2における強度を向上させてもよい。
【0163】
上記各実施形態において、例えば、
図33で示されるように、太陽電池パネル10は、2つの支持部材5に含まれる第1の支持部材5および第2の支持部材5のうちの何れか一方の支持部材5を備えていなくてもよい。この場合であっても、太陽電池モジュール100は、少なくとも1つの支持部材5を備えているため、取付対象部に対して太陽電池モジュール100を容易に安定して固定することができる。また、支持部材5が太陽電池パネル10の3辺に位置していないことで、太陽電池パネル10はより多くの方向で撓み易い。これにより、例えば、太陽電池パネル10の可撓性が向上し得る。
【0164】
また、例えば、太陽電池パネル10は、
図34で示されるように、2つの支持部材5を備えていなくてもよい。
【0165】
上記各実施形態において、例えば、複数の太陽電池素子31のうちの一部の太陽電池素子31において、第1素子面31fが凸状に湾曲しており且つ第2素子面31sが凹状に湾曲していてもよい。言い換えれば、例えば、複数の太陽電池素子31に含まれている1つ以上の太陽電池素子31において、第1素子面31fが凸状に湾曲しており且つ第2素子面31sが凹状に湾曲していてもよい。この場合であっても、例えば、1つ以上の太陽電池素子31において、第1保護層1に向けて凸状に湾曲していることで、落下物および飛来物などの各種の物体が第1保護層1に衝突した際に、太陽電池素子31に対する衝撃が緩和され得る。これにより、例えば、1つ以上の太陽電池素子31が割れ難くなる。
【0166】
ここで、例えば、第1面1fは、複数の太陽電池素子31のうちの一部の太陽電池素子31の第1素子面31fに沿って凸状に湾曲していてもよい。言い換えれば、例えば、第1面1fは、複数の太陽電池素子31に含まれている1つ以上の太陽電池素子31のそれぞれの第1素子面31fに沿って凸状に湾曲していてもよい。この場合であっても、例えば、第1面1fのうちの1つ以上の太陽電池素子31の上方に位置している領域が汚れ難い。これにより、例えば、太陽電池素子31への太陽光の入射が第1面1fの汚れによって阻害され難く、太陽電池モジュール100における発電効率の向上が図られ得る。
【0167】
上記各実施形態において、例えば、太陽電池部3では、複数の太陽電池素子31が1次元的に並んでいてもよい。ここでは、例えば、太陽電池部3は、複数の太陽電池素子31として、第1方向としての-Y方向において並んでいる2つ以上の太陽電池素子31を含んでいてもよい。この場合であっても、太陽電池部3において、複数の太陽電池素子31は、第1方向としての-Y方向において並んでいる2つの太陽電池素子31を含む。
【0168】
上記各実施形態において、例えば、第2保護層2は省略されてもよい。この場合には、例えば、充填材4で生じた酢酸などの遊離酸がガス状態で-Z方向に向かって充填材4から脱離し得る。これにより、例えば、遊離酸による太陽電池部3の不具合が生じ難くなり得る。
【0169】
上記各実施形態において、例えば、2つの支持部材5が太陽電池パネル10のX方向の両側ではなく、Y方向の両側にそれぞれ位置していてもよい。この構成が採用されれば、太陽電池パネル10は、+X方向に沿って見た場合に、円弧状に撓み得る。ここで、例えば、Y方向に沿って太陽電池素子31が配列されている数(配列数)が偶数であれば、太陽電池パネル10のY方向の中央には太陽電池素子31が存在していない。言い換えれば、Y方向における太陽電池パネル10の中央は太陽電池素子31の間の部分に相当する。このため、積雪などの荷重が太陽電池パネル10に印加されて太陽電池パネル10が撓んで、太陽電池パネル10のY方向の中央に比較的に大きな応力が印加されても、各太陽電池素子31に印加される応力は増大し難い。
【0170】
上記各実施形態において、例えば、第1方向と第2方向とは直交することなく、交差していてもよい。言い換えれば、第1方向と第2方向とは、90度の角度を成して交差していてもよいし、90度以外の角度を成して交差していてもよい。90度以外の角度には、例えば、60度から90度未満の角度が適用されてもよいし、70度から90度未満の角度が適用されてもよいし、80度から90度未満の角度が適用されてもよい。
【0171】
上記各実施形態において、例えば、複数の太陽電池素子31には、薄膜系の太陽電池が適用されてもよい。薄膜系の太陽電池は、例えば、ガラス製もしくは樹脂製などの基板上に薄膜系半導体と透明電極とがそれぞれ配置されることで構成され得る。薄膜系半導体は、例えば、シリコン系、化合物系またはその他のタイプの半導体を含む。シリコン系の薄膜系半導体には、例えば、アモルファスシリコンまたは薄膜多結晶シリコンなどを用いた半導体が適用される。化合物系の薄膜系半導体には、例えば、CIS半導体またはCIGS半導体などのカルコパイライト構造を有する化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などの化合物半導体、ケステライト構造を有する化合物半導体、あるいはカドミウムテルル(CdTe)半導体が適用される。CIS半導体は、銅(Cu)、インジウム(In)およびセレン(Se)を含む化合物半導体である。CIGS半導体は、Cu、In、ガリウム(Ga)およびSeを含む化合物半導体である。この場合には、例えば、湾曲させた基板を用いることで、太陽電池素子31を凸状に湾曲させることができる。
【0172】
以上のように、太陽電池モジュールは詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0173】
本開示には、以下の内容が含まれる。
【0174】
一実施形態において、(1)太陽電池モジュールは、透光性を有する樹脂で構成されており且つ第1面および該第1面とは逆側の第2面を有する第1保護層と、前記第2面に対向している状態で位置しており且つ前記第2面に沿って並んでいる複数の太陽電池素子と、前記第2面に接しており且つ前記複数の太陽電池素子を覆っている状態で位置している充填材と、を備え、前記複数の太陽電池素子は、第1方向において並んでいる2つの太陽電池素子を含み、前記複数の太陽電池素子は、1つ以上の太陽電池素子、を含み、該1つ以上の太陽電池素子のそれぞれは、前記第2面に対向している第1素子面と、該第1素子面とは逆側の第2素子面と、を有し、前記第1素子面は、凸状に湾曲しており、前記第2素子面は、凹状に湾曲している。
【0175】
(2)上記(1)の太陽電池モジュールは、前記複数の太陽電池素子を含む太陽電池部と隣り合っている状態で位置している支持部材、をさらに備えることができ、該支持部材は、前記第1保護層の前記第2面と対向している状態で位置している第1部分と、該第1部分の前記太陽電池部とは逆側に位置している第2部分と、を含み、前記充填材は、前記第2面と前記第1部分との間に位置している部分を含んでいてもよい。
【0176】
(3)上記(1)または(2)の太陽電池モジュールにおいて、前記第1面は、前記1つ以上の太陽電池素子のそれぞれの前記第1素子面に沿って凸状に湾曲していてもよい。
【0177】
(4)上記(1)から(3)の何れか1つの太陽電池モジュールにおいて、前記第1面は、前記複数の太陽電池素子の上に位置している第1領域と、該第1領域とは異なる第2領域と、を有し、前記第1面は、前記第2領域に位置している1つ以上の線状凹部を有していてもよい。
【0178】
(5)上記(4)の太陽電池モジュールにおいて、前記1つ以上の線状凹部は、第1線状凹部と、該第1線状凹部に接続している第2線状凹部とを含み、前記第1線状凹部は、前記2つの太陽電池素子の間の第1間隙の上において、前記第1方向に交差している第2方向に沿って位置しており、前記第2線状凹部は、前記第1方向に沿って位置していてもよい。
【0179】
(6)上記(5)の太陽電池モジュールにおいて、前記第2線状凹部は、前記第1面のうちの前記第1方向における縁部まで延びている状態で位置していてもよい。
【0180】
(7)上記(1)から(6)の何れか1つの太陽電池モジュールにおいて、前記第1面は、前記第1方向の端部に位置している第1端部領域を有し、該第1端部領域は、前記第1方向に進むにつれて、前記第1保護層の厚さ方向に沿った前記第1面から前記第2面に向かう第3方向に進む形態で曲がっていてもよい。
【0181】
(8)上記(1)から(7)の何れか1つの太陽電池モジュールは、前記充填材のうちの前記第1保護層とは逆側の表面と接している第2保護層、をさらに備えることができ、前記複数の太陽電池素子は、前記第2面と前記第2保護層との間に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0182】
1 第1保護層
100 太陽電池モジュール
1e 縁部
1f 第1面
1s 第2面
1t 線状凹部
1t1 第1線状凹部
1t2 第2線状凹部
2 第2保護層
3 太陽電池部
31 太陽電池素子
31f 第1素子面
31s 第2素子面
4 充填材
5 支持部材
51 第1部分
52 第2部分
A1 第1領域
A2 第2領域
Ae1 第1端部領域
G1 第1間隙