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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174122
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】シート支持装置及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/52 20060101AFI20231130BHJP
   B60N 2/16 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B60N2/52
B60N2/16
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086799
(22)【出願日】2022-05-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 慎二
(72)【発明者】
【氏名】中村 武
(72)【発明者】
【氏名】能登 祐二
(72)【発明者】
【氏名】朴 光▲変▼
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA15
3B087BB22
3B087DD03
3B087DD11
(57)【要約】
【課題】座面が上限位置又は下限位置にある状態において、振動吸収性能を確保する。
【解決手段】シート支持装置は、給気弁棒46Dが押圧されることでエアスプリングに空気を供給可能とされ、排気弁棒46Eが押圧されることでエアスプリングから空気を排出可能とされたバルブ46と、第1軸部60に支持された第1レバー62と、第2軸部64に支持された第2レバー66と、高さ連動部44と、を備えている。高さ連動部44は、アッパフレームのロアフレームに対する位置が上限位置に達している状態で第1軸部60の移動を許容すると共に第2軸部64の移動を制限し、アッパフレームのロアフレームに対する位置が下限位置に達している状態で第2軸部64の移動を許容すると共に第1軸部60の移動を制限する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシート本体をシート下方側から支持するアッパフレームと、
前記アッパフレームのシート下方側に配置され、車体に固定されるロアフレームと、
前記アッパフレームが前記ロアフレームに対してシート上下方向に相対移動可能な状態で前記アッパフレームと前記ロアフレームとを連結する連結部と、
前記アッパフレームと前記ロアフレームとの間に設けられ、内部に供給される空気量に応じてシート上下方向への寸法が変化して、前記アッパフレームと前記ロアフレームとのシート上下方向の間隔を変化させるエアスプリングと、
給気弁棒と、排気弁棒と、を備えると共に、前記給気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングに空気を供給可能とされ、前記排気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングから空気を排出可能とされたバルブと、
前記給気弁棒が押圧される方向及びこの方向とは反対方向へ移動可能に設けられた第1軸部と、
前記第1軸部に回動可能に支持されていると共に第1操作ケーブルが連結され、前記第1軸部の移動が制限された状態で前記第1操作ケーブルが操作されることで回動して前記給気弁棒を押圧し、前記第1軸部の移動が許容された状態で前記第1操作ケーブルが操作されることで前記給気弁棒を押圧不能の状態で回動する第1レバーと、
前記排気弁棒が押圧される方向及びこの方向とは反対方向へ移動可能に設けられた第2軸部と、
前記第2軸部に回動可能に支持されていると共に第2操作ケーブルが連結され、前記第2軸部の移動が制限された状態で前記第2操作ケーブルが操作されることで回動して前記排気弁棒を押圧し、前記第2軸部の移動が許容された状態で前記第2操作ケーブルが操作されることで前記排気弁棒を押圧不能の状態で回動する第2レバーと、
前記アッパフレームと前記ロアフレームとのシート上下方向の間隔に応じた位置に変位すると共に、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が上限位置に達している状態で前記第1軸部の移動を許容すると共に前記第2軸部の移動を制限し、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が下限位置に達している状態で前記第2軸部の移動を許容すると共に前記第1軸部の移動を制限する高さ連動部と、
を備えたシート支持装置。
【請求項2】
前記高さ連動部は、前記第1軸部及び前記第2軸部と隣り合って配置されていると共に回動可能に支持された回動接触部を含んで構成され、
前記回動接触部の外周部の一部には、その回転径方向外側が開放された許容凹部が形成されており、
前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が上限位置に達している状態では、前記第1軸部が前記許容凹部内に配置されることで前記第1軸部の移動が許容され、
前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が下限位置に達している状態では、前記第2軸部が前記許容凹部内に配置されることで前記第2軸部の移動が許容される請求項1に記載のシート支持装置。
【請求項3】
乗員が着座するシート本体と、
前記シート本体をシート下方側から支持するアッパフレームと、
前記アッパフレームのシート下方側に配置され、車体に固定されるロアフレームと、
前記アッパフレームが前記ロアフレームに対してシート上下方向に相対移動可能な状態で前記アッパフレームと前記ロアフレームとを連結する連結部と、
前記アッパフレームと前記ロアフレームとの間に設けられ、内部に供給される空気量に応じてシート上下方向への寸法が変化して、前記アッパフレームと前記ロアフレームとのシート上下方向の間隔を変化させるエアスプリングと、
給気弁棒と、排気弁棒と、を備えると共に、前記給気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングに空気を供給可能とされ、前記排気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングから空気を排出可能とされたバルブと、
前記給気弁棒が押圧される方向及びこの方向とは反対方向へ移動可能に設けられた第1軸部と、
前記第1軸部に回動可能に支持されていると共に第1操作ケーブルが連結され、前記第1軸部の移動が制限された状態で前記第1操作ケーブルが操作されることで回動して前記給気弁棒を押圧し、前記第1軸部の移動が許容された状態で前記第1操作ケーブルが操作されることで前記給気弁棒を押圧不能の状態で回動する第1レバーと、
前記排気弁棒が押圧される方向及びこの方向とは反対方向へ移動可能に設けられた第2軸部と、
前記第2軸部に回動可能に支持されていると共に第2操作ケーブルが連結され、前記第2軸部の移動が制限された状態で前記第2操作ケーブルが操作されることで回動して前記排気弁棒を押圧し、前記第2軸部の移動が許容された状態で前記第2操作ケーブルが操作されることで前記排気弁棒を押圧不能の状態で回動する第2レバーと、
前記アッパフレームと前記ロアフレームとのシート上下方向の間隔に応じた位置に変位すると共に、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が上限位置に達している状態で前記第1軸部の移動を許容すると共に前記第2軸部の移動を制限し、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が下限位置に達している状態で前記第2軸部の移動を許容すると共に前記第1軸部の移動を制限する高さ連動部と、
を備えた車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート支持装置及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用シートを昇降可能に支持するシート支持装置(車両用エアサスペンション式シート支持装置)が開示されている。この文献に記載されたシート支持装置は、シートの座面の高さを調整可能なエアスプリングに対して空気の出し入れを行うバルブを備えており、このバルブの筐体には、第1カム軸及び第2カム軸が設けられている。
【0003】
また、第1カム軸には、一対の翼部とカム部とを備えた第1カムが、第1カム軸に対して回動可能に支持されている。一方、第2カム軸には、一対の押し部と凹部とを備えた第2カムが、第2カム軸に対して回動可能に支持されている。また、第2カムの凹部には、第1カムのカム部が挿入されており、第1カムが回動することで、第2カムも回動し、押し部によって、バルブの給気弁棒又は排気弁棒が押されるようになっている。そして、第2カムによって給気弁棒が押されると、エアスプリングに空気が供給されてシートの座面が上昇し、第2カムによって排気弁棒が押されるとエアスプリング内の空気が排出されてシートの座面が下降するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-213287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載された先行技術では、バルブが圧縮コイルばねで付勢された状態とされている。また、このバルブには、ケーブルが係止されており、このケーブルが引っ張られることで、バルブが圧縮コイルばねを縮める方向に動かされ、このケーブルを引っ張る力が緩められると圧縮コイルばねの伸長によって、バルブが移動するようになっている。
【0006】
一方、ケーブルの操作が行われていない状態において、第1カムの一対の翼部の境界部に設けられた凹部には、所定の位置に配置された位置伝達ピンが係止されている。そして、ケーブルの操作が行われることで、バルブが位置伝達ピンに対して相対移動し、これに伴い第1カムの翼部が位置伝達ピンに押されることで、第1カムが回動し、ひいては第2カムが回動するようになっている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された先行技術では、シートの座面が上限位置まで上昇している状態であっても、ケーブルの操作によって第1カム及び第2カムを回動させてエアスプリングに空気を供給することができる。このため、シートの座面が上限位置まで上昇している状態において、エアスプリング内の圧力が過度に高くなり、エアスプリングによる振動吸収性能を十分に発揮できないことが考えられる。
【0008】
また、上記特許文献1に記載された先行技術では、シートの座面が下限位置まで下降している状態であっても、ケーブルの操作によって第1カム及び第2カムを回動させてエアスプリングから空気を排出することができる。このため、シートの座面が下限位置まで下降している状態において、エアスプリング内の圧力が過度に低くなり、エアスプリングによる振動吸収性能を十分に発揮できないことが考えられる。
【0009】
つまり、上記特許文献1に記載された先行技術では、シートの座面が上限位置又は下限位置にある状態において、振動吸収性能を確保するという点においては、改善の余地がある。
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、座面が上限位置又は下限位置にある状態において、振動吸収性能を確保することができるシート支持装置及び車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様のシート支持装置は、乗員が着座するシート本体をシート下方側から支持するアッパフレームと、前記アッパフレームのシート下方側に配置され、車体に固定されるロアフレームと、前記アッパフレームが前記ロアフレームに対してシート上下方向に相対移動可能な状態で前記アッパフレームと前記ロアフレームとを連結する連結部と、前記アッパフレームと前記ロアフレームとの間に設けられ、内部に供給される空気量に応じてシート上下方向への寸法が変化して、前記アッパフレームと前記ロアフレームとのシート上下方向の間隔を変化させるエアスプリングと、給気弁棒と、排気弁棒と、を備えると共に、前記給気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングに空気を供給可能とされ、前記排気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングから空気を排出可能とされたバルブと、前記給気弁棒が押圧される方向及びこの方向とは反対方向へ移動可能に設けられた第1軸部と、前記第1軸部に回動可能に支持されていると共に第1操作ケーブルが連結され、前記第1軸部の移動が制限された状態で前記第1操作ケーブルが操作されることで回動して前記給気弁棒を押圧し、前記第1軸部の移動が許容された状態で前記第1操作ケーブルが操作されることで前記給気弁棒を押圧不能の状態で回動する第1レバーと、前記排気弁棒が押圧される方向及びこの方向とは反対方向へ移動可能に設けられた第2軸部と、前記第2軸部に回動可能に支持されていると共に第2操作ケーブルが連結され、前記第2軸部の移動が制限された状態で前記第2操作ケーブルが操作されることで回動して前記排気弁棒を押圧し、前記第2軸部の移動が許容された状態で前記第2操作ケーブルが操作されることで前記排気弁棒を押圧不能の状態で回動する第2レバーと、前記アッパフレームと前記ロアフレームとのシート上下方向の間隔に応じた位置に変位すると共に、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が上限位置に達している状態で前記第1軸部の移動を許容すると共に前記第2軸部の移動を制限し、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が下限位置に達している状態で前記第2軸部の移動を許容すると共に前記第1軸部の移動を制限する高さ連動部と、を備えている。
【0012】
第1の態様のシート支持装置によれば、乗員が着座するシート本体が、アッパフレームで支持される。一方、アッパフレームのシート下方側には、ロアフレームが配置されており、当該ロアフレームは、車体に固定される。そして、アッパフレームとロアフレームとは、当該アッパフレームが当該ロアフレームに対してシート上下方向に相対移動可能な状態で、連結部によって連結されている。
【0013】
また、アッパフレームとロアフレームとの間には、エアスプリングが設けられている。エアスプリングは、内部に供給される空気量に応じてシート上下方向への寸法が変化して、アッパフレームとロアフレームとのシート上下方向の間隔を変化させる。これにより、アッパフレームのロアフレームに対する高さが調節される。その結果、シート本体の高さが調節される。
【0014】
一方、エアスプリングへの空気の供給並びに当該エアスプリングからの空気の排出は、バルブによって行われる。このバルブは、給気弁棒と、排気弁棒とを備えており、当該給気弁棒が押圧されることで、エアスプリングに空気が供給され、当該排気弁棒が押圧されることで当該エアスプリングから空気が排出される。
【0015】
ここで、第1軸部の移動が制限された状態で、第1操作ケーブルが操作されると、第1軸部に支持された第1レバーが回動して、当該第1レバーが給気弁棒を押圧する。これにより、エアスプリングに空気が供給される。また、第2軸部の移動が制限された状態で、第2操作ケーブルが操作されると、第2レバーが回動して、当該第2レバーが排気弁棒を押圧する。これにより、エアスプリングから空気が排出される。
【0016】
ところで、エアスプリングに空気が供給され続けると、アッパフレームがロアフレームに対して上限位置まで上昇することとなる。このとき、第1操作ケーブルを操作することによって第1レバーで給気弁棒を押圧し、エアスプリングに空気を供給すると、エアスプリング内の圧力が過度に高くなることが考えられる。また、エアスプリングから空気が排出され続けると、アッパフレームがロアフレームに対して下限位置まで下降することとなる。このとき、第2操作ケーブルを操作することによって第2レバーで排気弁棒を押圧し、エアスプリングから空気を排出すると、エアスプリング内の圧力が過度に低くなることが考えられる。そして、これらのような場合において、エアスプリングによる振動吸収性能を十分に発揮できないことが考えられる。
【0017】
ここで、本発明では、高さ連動部を備えており、当該高さ連動部は、アッパフレームとロアフレームとのシート上下方向の間隔に応じた位置に変位する。そして、アッパフレームのロアフレームに対する位置が上限位置に達している状態では、高さ連動部が第1軸部の移動を許容すると共に第2軸部の移動を制限する。そのため、第1操作ケーブルが操作されて、第1軸部に支持された第1レバーが回動したとしても、当該第1レバーが給気弁棒を押圧することができない。これにより、エアスプリングに空気が供給されることが抑制され、エアスプリング内の圧力が過度に高くなることを抑制することができる。その一方で、アッパフレームのロアフレームに対する位置が下限位置に達している状態では、高さ連動部が第2軸部の移動を許容すると共に第1軸部の移動を制限する。そのため、第2操作ケーブルが操作されて、第2軸部に支持された第2レバーが回動したとしても、当該第2レバーが給気弁棒を押圧することができない。これにより、エアスプリング内の空気が排出されることが抑制され、エアスプリング内の圧力が過度に低くなることを抑制することができる。このように、本発明では、アッパフレームのロアフレームに対する位置が上限位置又は下限位置に達している状態において、すなわち、シート本体の座面の位置が上限位置又は下限位置に達している状態において、エアスプリングの振動吸収性能を確保することができる。
【0018】
第2の態様のシート支持装置は、第2の態様のシート支持装置において、前記高さ連動部は、前記第1軸部及び前記第2軸部と隣り合って配置されていると共に回動可能に支持された回動接触部を含んで構成され、前記回動接触部の外周部の一部には、その回転径方向外側が開放された許容凹部が形成されており、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が上限位置に達している状態では、前記第1軸部が前記許容凹部内に配置されることで前記第1軸部の移動が許容され、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が下限位置に達している状態では、前記第2軸部が前記許容凹部内に配置されることで前記第2軸部の移動が許容される。
【0019】
第2の態様のシート支持装置によれば、回動接触部は、アッパフレームとロアフレームとのシート上下方向の間隔に応じた位置に回動する。そして、アッパフレームのロアフレームに対する位置が上限位置に達している状態では、第1軸部が許容凹部内に配置されることでその移動が許容される。そのため、第1操作ケーブルが操作されて、第1軸部に支持された第1レバーが回動したとしても、当該第1レバーが給気弁棒を押圧することができない。また、アッパフレームのロアフレームに対する位置が下限位置に達している状態では、第2軸部が許容凹部内に配置されることでその移動が許容される。そのため、第2操作ケーブルが操作されて、第2軸部に支持された第2レバーが回動したとしても、当該第2レバーが排気弁棒を押圧することができない。このように、本発明では、回動接触部をアッパフレームとロアフレームとのシート上下方向の間隔に応じた位置に回動させることで、シート本体の座面の位置が上限位置又は下限位置に達している状態において、エアスプリングの振動吸収性能を確保することができる。
【0020】
第3の態様の車両用シートは、乗員が着座するシート本体と、前記シート本体をシート下方側から支持するアッパフレームと、前記アッパフレームのシート下方側に配置され、車体に固定されるロアフレームと、前記アッパフレームが前記ロアフレームに対してシート上下方向に相対移動可能な状態で前記アッパフレームと前記ロアフレームとを連結する連結部と、前記アッパフレームと前記ロアフレームとの間に設けられ、内部に供給される空気量に応じてシート上下方向への寸法が変化して、前記アッパフレームと前記ロアフレームとのシート上下方向の間隔を変化させるエアスプリングと、給気弁棒と、排気弁棒と、を備えると共に、前記給気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングに空気を供給可能とされ、前記排気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングから空気を排出可能とされたバルブと、前記給気弁棒が押圧される方向及びこの方向とは反対方向へ移動可能に設けられた第1軸部と、前記第1軸部に回動可能に支持されていると共に第1操作ケーブルが連結され、前記第1軸部の移動が制限された状態で前記第1操作ケーブルが操作されることで回動して前記給気弁棒を押圧し、前記第1軸部の移動が許容された状態で前記第1操作ケーブルが操作されることで前記給気弁棒を押圧不能の状態で回動する第1レバーと、前記排気弁棒が押圧される方向及びこの方向とは反対方向へ移動可能に設けられた第2軸部と、前記第2軸部に回動可能に支持されていると共に第2操作ケーブルが連結され、前記第2軸部の移動が制限された状態で前記第2操作ケーブルが操作されることで回動して前記排気弁棒を押圧し、前記第2軸部の移動が許容された状態で前記第2操作ケーブルが操作されることで前記排気弁棒を押圧不能の状態で回動する第2レバーと、前記アッパフレームと前記ロアフレームとのシート上下方向の間隔に応じた位置に変位すると共に、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が上限位置に達している状態で前記第1軸部の移動を許容すると共に前記第2軸部の移動を制限し、前記アッパフレームの前記ロアフレームに対する位置が下限位置に達している状態で前記第2軸部の移動を許容すると共に前記第1軸部の移動を制限する高さ連動部と、を備えている。
【0021】
第3の態様の車両用シートによれば、第1の態様のシート支持装置の構成を備えている。これにより、シート本体の座面の位置が上限位置又は下限位置に達している状態において、エアスプリングの振動吸収性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るシート支持装置及び車両用シートは、座面が上限位置又は下限位置にある状態において、振動吸収性能を確保することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態の車両用シートを示す斜視図である。
図2】本実施形態の車両用シートを示す側面図である。
図3】ハイトコントロールユニットを模式的に示す側面図である。
図4】ハイトコントロールユニットを模式的に示す側面図であり、第1操作ケーブルが引かれた状態の第1レバーを二点鎖線で示している。
図5】ハイトコントロールユニットを模式的に示す側面図であり、第2操作ケーブルが引かれた状態の第2レバーを二点鎖線で示している。
図6】ハイトコントロールユニットを模式的に示す側面図であり、第1軸部の移動が許容された状態で第1操作ケーブルが引かれて、第1レバーが回動している状態を示している。
図7】ハイトコントロールユニットを模式的に示す側面図であり、第2軸部の移動が許容された状態で第2操作ケーブルが引かれて、第2レバーが回動している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図3を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、図中に示す矢印FR、矢印UP、矢印RH及び矢印LHは、車両用シート10に着座した乗員から見たシート前方側、上方側、右側及び左側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート左右方向の左右を示すものとする。また、シート左右方向は、シート幅方向と一致している。
【0025】
図1に示されるように、本実施形態の車両用シート10は、車両の乗員が着座するシート本体12と、シート本体12を上下方向に昇降可能に支持するシート支持装置14と、を備えている。
【0026】
シート本体12は、乗員が着座する「座面16A」を備えたシートクッション16と、乗員の背部を支持するシートバック18と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト20とを備えている。そして、シート本体12は、シート支持装置14によって下方側から支持されている。
【0027】
図2に示されるように、シート支持装置14は、アッパフレーム22と、ロアフレーム24と、連結部としてのリンク機構26と、エアスプリング28と、ダンパ30と、を備えている。
【0028】
アッパフレーム22には、シート本体12が固定されている。このアッパフレーム22は、左右方向に間隔をあけて配置された左右一対のレールメンバ22Aと、左右一対のレールメンバ22Aの前端部及び後端部をそれぞれ左右方向につなぐ図示しない前後一対の横メンバと、を含んで構成されている。これにより、アッパフレーム22を上方側から見た形状は矩形枠状になっている。
【0029】
また、左右一対のレールメンバ22Aの前後方向中央部同士は、板厚方向を上下方向とする板状の上側支持板部32を介して連結されている。この上側支持板部32には、後述するように、エアスプリング28が取り付けられている。
【0030】
ロアフレーム24は、アッパフレーム22の下方側に配置されており、図示しない車体のフロアに固定されている。このロアフレーム24は、左右方向に間隔をあけて配置された左右一対のレールメンバ24Aと、左右一対のレールメンバ24Aの前端部及び後端部をそれぞれ左右方向につなぐ図示しない前後一対の横メンバと、を含んで構成されている。これにより、ロアフレーム24を上方側から見た形状は矩形枠状になっている。
【0031】
また、一対のレールメンバ24Aの前後方向中央部同士は、板厚方向を上下方向とする板状の下側支持板部34を介して連結されており、この下側支持板部34には、後述するように、エアスプリング28が取り付けられている。
【0032】
リンク機構26は、左右一対のXリンク36を備えている。左右一対のXリンク36の上端部はアッパフレーム22に係合しており、左右一対のXリンク36の下端部はロアフレーム24に係合している。また、Xリンク36は、前方側から後方側へ向かうにつれて下方側に傾斜している第1リンク部38と、前方側から後方側へ向かうにつれて上方側に傾斜している第2リンク部40と、を備えている。第1リンク部38と第2リンク部40とは、前後方向の中央部において左右方向を軸方向として回動可能に連結されている。そして、第1リンク部38が第2リンク部40に対して相対的に回転することで、アッパフレーム22のロアフレーム24に対する昇降が許容されるようになっている。すなわち、リンク機構26の左右一対のXリンク36は、アッパフレーム22がロアフレーム24に対して昇降可能な状態で、アッパフレーム22とロアフレーム24とを連結している。
【0033】
エアスプリング28は、外形が上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されており、上方側の端部がアッパフレーム22の上側支持板部32に固定されていると共に、下方側の端部がロアフレーム24の下側支持板部34に固定されている。このエアスプリング28には、例えば、車両のエアブレーキ装置の一部を構成するエアコンプレッサ(空気供給源)から圧縮空気が供給されるようになっている。そして、エアスプリング28は、アッパフレーム22を下方側から支持することでシート本体12を下方側から支持しており、シート本体12の上下動に起因する荷重を吸収可能とされている。
【0034】
また、エアスプリング28は、空気が供給されることで上下方向に伸長し、空気が排出されることで上下方向に収縮するようになっている。これにより、本実施形態では、エアスプリング28が伸長することでアッパフレーム22が上方側に移動し、エアスプリング28が収縮することでアッパフレーム22が下方側に移動することとなる。つまり、エアスプリング28は、供給された空気量に応じて上下方向に伸縮することで、アッパフレーム22に支持されたシート本体12の座面16Aの高さを調整可能とされている。
【0035】
ダンパ30は、オイル式のシリンダーダンパとされており、アッパフレーム22とロアフレーム24とを連結している。そして、ダンパ30によってシート本体12に発生する振動を減衰することが可能となっている。
【0036】
ここで、本実施形態では、図3に示されたハイトコントロールユニット42によってエアスプリング28内の空気の量を調整し、シート本体12の座面16Aの高さを調整可能とされている。また、図3に示された高さ連動部44によって、ハイトコントロールユニット42の挙動をアッパフレーム22の高さ(シート本体12の座面16Aの高さ)に応じて変更可能とされている。以下、本実施形態の要部を構成するハイトコントロールユニット42及び高さ連動部44の構成について詳細に説明する。なお、以下では、特に断りのない限り、アッパフレーム22のロアフレーム24に対する高さが、上下方向において上限位置との下限位置の中間である中間位置にあることを前提として、説明を進めていくこととする。
【0037】
図3に示されるように、ハイトコントロールユニット42は、バルブ46、ハウジング48、第1操作ケーブル50、第2操作ケーブル52、第1軸部60、第1レバー62、第2軸部64、第2レバー66を含んで構成されている。
【0038】
バルブ46は、ケーシング46Aと、第1ポート46Bと、第2ポート46Cと、給気弁棒46Dと、排気弁棒46Eと、を含んで構成されている。ケーシング46Aは、一例として金属製とされており、その内側には、空気が流れる流路部が形成されている。ケーシング46Aには、当該ケーシング46A内の流路部と連通可能とされた空気排出孔46Fが設けられている。
【0039】
そして、ケーシング46Aにおいて後述する第1レバー62、第2レバー64とは反対側には、第1ポート46B及び第2ポート46Cが設けられている。また、ケーシング46Aにおいて後述する第1レバー62、第2レバー64側には、給気弁棒46D及び排気弁棒46Eが設けられている。
【0040】
第1ポート46Bは、前述の空気供給源とホース56を介して接続されている。一方、第2ポート46Cは、エアスプリング28(図2参照)とホース58を介して接続されている。
【0041】
給気弁棒46Dは、第1ポート46Bの延長上においてケーシング46Aに対して出し入れ可能とされている。また、ケーシング46Aの内側には、図示しない付勢部材が配置されており、当該付勢部材によって給気弁棒46Dは、ケーシング46Aの外側に向けて付勢された状態となっている。
【0042】
そして、バルブ46は、給気弁棒46Dがケーシング46A側に押圧されることでケーシング46A内に配置された図示しない給気弁が開かれ、流路部を介して第1ポート46Bと第2ポート46Cとが連通されるようになっている。つまり、本実施形態では、給気弁棒46Dが押圧されると、空気供給源からの圧縮空気が、バルブ46を介してエアスプリング28に供給されるようになっている。
【0043】
一方、排気弁棒46Eは、第2ポート46Cの延長上においてケーシング46Aに対して出し入れ可能とされている。また、ケーシング46Aの内側には、図示しない付勢部材が配置されており、当該付勢部材によって排気弁棒46Eは、ケーシング46Aの外側に向けて付勢された状態となっている。
【0044】
そして、バルブ46は、排気弁棒46Eがケーシング46A側に押圧されることでケーシング46A内に配置された図示しない排気弁が開かれ、流路部を介して第2ポート46Cと空気排出孔46Fとが連通されるようになっている。つまり、本実施形態では、排気弁棒46Eが押圧されると、エアスプリング28内の空気が、バルブ46の空気排出孔46Fから排出されるようになっている。
【0045】
ハウジング48は、ベース部48Aと、ベース部48Aを覆うカバー部68と、を含んで構成されている。なお、図3図7においては、カバー部68に形成された第1長孔68A及び第2長孔68Bのみを実線で示している。
【0046】
図3に示されるように、ベース部48Aは、板状に形成されたベース板部48Bを備えている。そして、ベース板部48Bには、バルブ46が固定されていると共に、後述する第1レバー62及び第2レバー66等が支持されている。
【0047】
ベース部48Aのベース板部48B及びカバー部68には、円柱状に形成された第1軸部60の一方側の端部及び他方側の端部がそれぞれ支持される第1長孔68Aが形成されている。第1長孔68Aは、給気弁棒46Dが押圧される方向(矢印B1方向)及びこの方向とは反対方向を長手方向とする長孔状に形成されている。そして、第1軸部60の一方側の端部及び他方側の端部が、ベース板部48Bに形成された第1長孔68A及びカバー部68に形成された第1長孔68Aそれぞれ支持される。これにより、第1軸部60が、第1長孔68Aに沿って給気弁棒46Dが押圧される方向(矢印B1方向)及びこの方向とは反対方向へ移動することが可能となっている。
【0048】
また、ベース部48Aのベース板部48B及びカバー部68には、円柱状に形成された第2軸部64の一方側の端部及び他方側の端部がそれぞれ支持される第2長孔68Bが形成されている。第2長孔68Bは、排気弁棒46Eが押圧される方向(矢印B1方向)及びこの方向とは反対方向を長手方向とする長孔状に形成されている。そして、第2軸部64の一方側の端部及び他方側の端部が、ベース板部48Bに形成された第2長孔68B及びカバー部68に形成された第2長孔68Bそれぞれ支持される。これにより、第2軸部64が、第2長孔68Bに沿って排気弁棒46Eが押圧される方向(矢印B1方向)及びこの方向とは反対方向へ移動することが可能となっている。
【0049】
第1操作ケーブル50は、図示しないアウタチューブと、アウタチューブに挿通された第1コントロールケーブル50Aと、を含んで構成されている。第1コントロールケーブル50Aは、ケーシング46Aにおける第1ポート46B及び給気弁棒46D側に沿って配索されている。
【0050】
第2操作ケーブル52は、図示しないアウタチューブと、アウタチューブに挿通された第2コントロールケーブル52Aと、を含んで構成されている。第2コントロールケーブル52Aは、ケーシング46Aにおける第2ポート46C及び排気弁棒46E側に沿って配索されている。
【0051】
第1レバー62は、バルブ46の給気弁棒46Dと隣接する位置に配置されおり、第1軸部60に回動可能に支持されている。なお、第1レバー62と第1軸部60とは、1つの部品として構成されていてもよいし、2つの部品として構成されていてもよい。詳述すると、第1レバー62は、第1軸部60側から給気弁棒46D側へ向けて延出している第1アーム部62Aを備えている。この第1アーム部62Aは、給気弁棒46Dの先端部と近接して配置される給気弁棒押圧部62Bを備えている。また、第1アーム部62Aにおける第1軸部60とは反対側の端部は、第1コントロールケーブル50Aが係止されるケーブル係止部62Cとなっている。
【0052】
第2レバー66は、バルブ46の排気弁棒46Eと隣接する位置に配置されおり、第2軸部64に回動可能に支持されている。なお、第2レバー66と第2軸部64とは、1つの部品として構成されていてもよいし、2つの部品として構成されていてもよい。詳述すると、第2レバー66は、第2軸部64側から排気弁棒46E側へ向けて延出している第2アーム部66Aを備えている。この第2アーム部66Aは、排気弁棒46Eの先端部と近接して配置される排気弁棒押圧部66Bを備えている。また、第2アーム部66Aにおける第2軸部64とは反対側の端部は、第2コントロールケーブル52Aが係止されるケーブル係止部66Cとなっている。
【0053】
高さ連動部44は、第1レバー62及び第2レバー66に対してバルブ46とは反対側に配置されており、ハウジング48のベース板部48B及びカバー部68に回動可能に支持されている。詳述すると、高さ連動部44は、ベース板部48B及びカバー部68に回動可能に支持される回動接触部44Aを備えている。この回動接触部44Aは、第1軸部60及び第2軸部64と近接して配置されるカム部44Eを備えている。このカム部44Eを回動接触部44Aの回転軸方向から見た形状は、外周部分の一部が軸中心側へ向けて窪んだ略円形状に形成されている。ここで、カム部44Eの外周部において軸中心側へ向けて窪んだ部分を許容凹部44Fと呼ぶことにする。
【0054】
また、高さ連動部44は、回動接触部44Aから第1レバー62及び第2レバー66とは反対側へ向けて延出する連動腕部44Dを備えている。この連動腕部44Dにおける回動接触部44Aとは反対側の端部は、前述のリンク機構26(図2参照)の一部分に連結されている。そして、図2及び図3に示されるように、アッパフレーム22がロアフレーム24に対して昇降することによりリンク機構26が作動すると、高さ連動部44が回動して、当該高さ連動部44がアッパフレーム22とロアフレーム24とのシート上下方向の間隔に応じた位置に配置されるようになっている。ここで、本実施形態では、アッパフレーム22がロアフレーム24に対して上昇すると、高さ連動部44が矢印A1方向に回動するようになっている。これに対して、アッパフレーム22がロアフレーム24に対して下降すると、高さ連動部44が矢印A1とは反対方向に回動するようになっている。
【0055】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0056】
図1図2及び図3に示されるように、本実施形態の車両用シート10では、シート本体12に着座した乗員が第1操作ケーブル50及び第2操作ケーブル52を操作することにより、シート本体12の座面16Aの高さを調節することができる。
【0057】
図2図4及び図5に示されるように、アッパフレーム22のロアフレーム24に対する高さが中間位置に位置している状態では、第1軸部60は、第1長孔68A内における矢印B1方向の端部に位置している。この状態では、第1軸部60の第1長孔68A内における移動が、カム部44Eの外周部によって制限される。すなわち、第1軸部60は、第1長孔68A内における矢印B1方向の端部から矢印B1方向とは反対側へ移動することはできない。これと同様に、アッパフレーム22のロアフレーム24に対する高さが中間位置に位置している状態では、第2軸部64は、第2長孔68B内における矢印B1方向の端部に位置している。この状態では、第2軸部64の第2長孔68B内における移動が、カム部44Eの外周部によって制限される。すなわち、第2軸部64は、第2長孔68B内における矢印B1方向の端部から矢印B1方向とは反対側へ移動することはできない。なお、図4及び図5並びに後の説明で用いる図6及び図7においては、図面の見やすさを考慮して一部の符号を省略している。
【0058】
そして、図2及び図4に示されるように、シート本体12に着座した乗員が第1操作ケーブル50の第1コントロールケーブル50Aを引くと、第1レバー62が一方側(矢印A3方向側)へ回動して、第1レバー62の給気弁棒押圧部62Bが給気弁棒46Dを押圧する。これにより、空気供給源からの圧縮空気が、バルブ46を介してエアスプリング28に供給されて、アッパフレーム22がロアフレーム24に対して上昇する。その結果、シート本体12の座面16Aの高さを高めることができる。
【0059】
その一方で、図2及び図5に示されるように、シート本体12に着座した乗員が第2操作ケーブル52の第2コントロールケーブル52Aを引くと、第2レバー66が一方側(矢印A4方向側)へ回動して、第2レバー54の排気弁棒押圧部66Bが排気弁棒46Eを押圧する。これにより、エアスプリング28内の空気が、バルブ46の空気排出孔46Fから排出されて、アッパフレーム22がロアフレーム24に対して下昇する。その結果、シート本体12の座面16Aの高さを下げることができる。
【0060】
ここで、図2及び図6に示されるように、アッパフレーム22のロアフレーム24に対する位置が上限位置に達している状態では、すなわち、シート本体12の座面16Aが上限位置に達している状態では、高さ連動部44もこれと対応する位置に配置される。この状態では、第1軸部60は、カム部44Eの許容凹部44F内に配置可能な状態となる。これにより、第1軸部60は、第1長孔68A内における矢印B1方向の端部から矢印B1方向とは反対側の端部まで移動可能となる。この状態で、シート本体12に着座した乗員が第1操作ケーブル50の第1コントロールケーブル50Aを引くと、第1レバー62が一方側(矢印A3方向側)へ回動しながら第1軸部60が矢印B1方向とは反対側へ移動する。これにより、第1レバー62の給気弁棒押圧部62Bが給気弁棒46Dを押圧することができないようになっている。その結果、シート本体12の座面16Aが上限位置に達している状態では、エアスプリング28に空気が供給されることが抑制され、エアスプリング28内の圧力が過度に高くなることを抑制することができる。なお、アッパフレーム22のロアフレーム24に対する位置が上限位置に達している状態では、第2軸部64の第2長孔68B内における移動が、カム部44Eの外周部によって制限される。そのため、第2操作ケーブル52の第2コントロールケーブル52Aを引くことにより、第2レバー66を一方側へ回動させて、エアスプリング28内の空気を排出することができる。
【0061】
また、図2及び図7に示されるように、アッパフレーム22のロアフレーム24に対する位置が下限位置に達している状態では、すなわち、シート本体12の座面16Aが下限位置に達している状態では、高さ連動部44もこれと対応する位置に配置される。この状態では、第2軸部64は、カム部44Eの許容凹部44F内に配置可能な状態となる。これにより、第2軸部64は、第2長孔68B内における矢印B1方向の端部から矢印B1方向とは反対側の端部まで移動可能となる。この状態で、シート本体12に着座した乗員が第2操作ケーブル52の第2コントロールケーブル52Aを引くと、第2レバー66が一方側(矢印A4方向側)へ回動しながら第2軸部64が矢印B1方向とは反対側へ移動する。これにより、第2レバー66の排気弁棒押圧部66Bが排気弁棒46Eを押圧することができないようになっている。その結果、シート本体12の座面16Aが下限位置に達している状態では、エアスプリング28内の空気が排出されることが抑制され、エアスプリング28内の圧力が過度に低くなることを抑制することができる。なお、アッパフレーム22のロアフレーム24に対する位置が下限位置に達している状態では、第1軸部60の第1長孔68A内における移動が、カム部44Eの外周部によって制限される。そのため、第1操作ケーブル50の第1コントロールケーブル50Aを引くことにより、第1レバー62を一方側へ回動させて、エアスプリング28内へ空気を供給することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では、アッパフレーム22のロアフレーム24に対する位置が上限位置又は下限位置に達している状態において、すなわち、シート本体12の座面16Aの位置が上限位置又は下限位置に達している状態において、エアスプリング28内の空気の圧力を適切な圧力にすることができる。その結果、エアスプリング28の振動吸収性能を確保することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、回動可能に支持された高さ連動部44によって第1軸部60及び第2軸部64の移動を制限及び許容した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、リンク機構26の動きに連動してスライドする構成の高さ連動部によって第1軸部60及び第2軸部64の移動を制限及び許容してもよい。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
10 車両用シート
12 シート本体
14 シート支持装置
22 アッパフレーム
24 ロアフレーム
26 リンク機構(連結部)
28 エアスプリング
44 高さ連動部
44A 回動接触部
44F 許容凹部
46 バルブ
46D 給気弁棒
46E 排気弁棒
50 第1操作ケーブル
52 第2操作ケーブル
60 第1軸部
62 第1レバー
64 第2軸部
66 第2レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7