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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174137
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086817
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 寿章
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA01
4M118CA34
4M118FA06
4M118GA02
4M118GC07
4M118GD03
4M118GD04
4M118HA22
4M118HA23
4M118HA25
4M118HA30
4M118HA31
(57)【要約】
【課題】画素領域よりも外周側に入射された光を起因とするフレアを抑制する。
【解決手段】光検出装置は、光電変換を行う複数の画素が配置された画素領域を有する半導体基板を備える。前記半導体基板は、前記画素領域よりも外周側に配置され、前記画素領域よりも低い高さを有するとともに複数の辺に沿って延びる溝部と、前記溝部よりも外周側に配置され、前記溝部よりも高い高さを有するとともに前記複数の辺に沿って延びる凸部と、前記複数の辺のうち、少なくとも一つの辺における前記凸部の光入射面側の表面の全域を覆う被覆膜と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行う複数の画素が配置された画素領域を有する半導体基板を備え、
前記半導体基板は、
前記画素領域よりも外周側に配置され、前記画素領域よりも低い高さを有するとともに複数の辺に沿って延びる溝部と、
前記溝部よりも外周側に配置され、前記溝部よりも高い高さを有するとともに前記複数の辺に沿って延びる凸部と、
前記複数の辺のうち、少なくとも一つの辺における前記凸部の光入射面側の表面の全域を覆う被覆膜と、を有する、光検出装置。
【請求項2】
前記被覆膜の反射率は、前記半導体基板の反射率より低い、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記溝部は、前記画素領域を取り囲むように配置され、
前記凸部は、前記溝部を取り囲むように配置される、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記凸部の外周側には、前記半導体基板のダイシングされた切断面が配置される、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記半導体基板が有する複数の辺のうち、前記被覆膜で覆われる辺は、ワイヤボンディング用のパッドが配置されない辺である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記画素領域と前記溝部との間隔は、前記半導体基板における複数の辺のうち、少なくとも二つの辺で異なる、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
ワイヤボンディング用のパッドが配置される辺における前記間隔は、ワイヤボンディング用のパッドが配置されない辺における前記間隔よりも大きく、
前記被覆膜で覆われる辺は、ワイヤボンディング用のパッドが配置されない辺を含む、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記凸部の高さは、前記画素領域の高さと同一である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記被覆膜で覆われる辺の一部に配置されるテスト端子を備え、
前記被覆膜は、前記テスト端子が配置された辺の表面を覆う、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記溝部と接する箇所の前記凸部の側壁は、前記溝部の底面から前記凸部の上面まで延びる面であり、この面は凹凸構造を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記溝部と接する箇所の前記凸部の側壁は、前記溝部の底面から前記凸部の上面まで延びる平坦面である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記溝部と接する箇所の前記凸部の側壁は、段差を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記被覆膜は、前記半導体基板の反射率よりも低い反射率の酸化膜を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記被覆膜は、
樹脂を含む平坦化膜と前記酸化膜とを積層させた積層体である、請求項13に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記平坦化膜は、前記画素領域の上に配置されるカラーフィルタ層の上面を平坦化する膜と同じ材料である、請求項14に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記被覆膜の膜厚は、50nm以上で120nm以下である、請求項1に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハからダイシングされた個々の固体撮像装置のスクライブ領域と画素領域との間に、画素領域を取り囲む溝部を設けるとともに、溝部の側壁面に凹凸構造を設けて、溝部の側壁面からの反射光を抑制して、画素領域への不要光の入射によるフレアを防止する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2020/054272A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、スクライブ領域は画素領域と同様の例えばシリコンで形成されており、反射率が高い。よって、スクライブ領域の上面に入射された光が反射されて迷光となり、レンズモジュール等でさらに反射されて画素領域に入射され、フレアが発生するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示では、画素領域よりも外周側に入射された光を起因とするフレアを抑制可能な光検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、
光電変換を行う複数の画素が配置された画素領域を有する半導体基板を備え、
前記半導体基板は、
前記画素領域よりも外周側に配置され、前記画素領域よりも低い高さを有するとともに複数の辺に沿って延びる溝部と、
前記溝部よりも外周側に配置され、前記溝部よりも高い高さを有するとともに前記複数の辺に沿って延びる凸部と、
前記複数の辺のうち、少なくとも一つの辺における前記凸部の光入射面側の表面の全域を覆う被覆膜と、を有する、光検出装置が提供される。
【0007】
前記被覆膜の反射率は、前記半導体基板の反射率より低くてもよい。
【0008】
前記溝部は、前記画素領域を取り囲むように配置され、
前記凸部は、前記溝部を取り囲むように配置されてもよい。
【0009】
前記凸部の外周側には、前記半導体基板のダイシングされた切断面が配置されてもよい。
【0010】
前記半導体基板が有する複数の辺のうち、前記被覆膜で覆われる辺は、ワイヤボンディング用のパッドが配置されない辺であってもよい。
【0011】
前記画素領域と前記溝部との間隔は、前記半導体基板における複数の辺のうち、少なくとも二つの辺で異なってもよい。
【0012】
ワイヤボンディング用のパッドが配置される辺における前記間隔は、ワイヤボンディング用のパッドが配置されない辺における前記間隔よりも大きく、
前記被覆膜で覆われる辺は、ワイヤボンディング用のパッドが配置されない辺を含んでもよい。
【0013】
前記凸部の高さは、前記画素領域の高さと同一であってもよい。
【0014】
前記被覆膜で覆われる辺の一部に配置されるテスト端子を備え、
前記被覆膜は、前記テスト端子が配置された辺の表面を覆ってもよい。
【0015】
前記溝部と接する箇所の前記凸部の側壁は、前記溝部の底面から前記凸部の上面まで延びる面であり、この面は凹凸構造を有してもよい。
【0016】
前記溝部と接する箇所の前記凸部の側壁は、前記溝部の底面から前記凸部の上面まで延びる平坦面であってもよい。
【0017】
前記溝部と接する箇所の前記凸部の側壁は、段差を有してもよい。
【0018】
前記被覆膜は、前記半導体基板の反射率よりも低い反射率の酸化膜を有してもよい。
【0019】
前記被覆膜は、
樹脂を含む平坦化膜と前記酸化膜とを積層させた積層体であってもよい。
【0020】
前記平坦化膜は、前記画素領域の上に配置されるカラーフィルタ層の上面を平坦化する膜と同じ材料であってもよい。
【0021】
前記被覆膜の膜厚は、50nm以上で120nm以下であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態に係る光検出装置の概略構成を示すブロック図。
図2】第1ウエハの一部分の模式的な平面図。
図3】切断された1個の第1チップの模式的な平面図。
図4】カメラモジュールの断面構造を示す図。
図5】第1チップのパッドが配置されていない辺のスクライブ領域を拡大した模式的な平面図。
図6図5のA-A線方向の断面図。
図7】凸部の側壁面に段差を設ける場合の断面図。
図8】テーパ状の溝部を設ける場合の断面図。
図9】テスト端子を設ける場合の断面図。
図10】被覆膜の膜厚と反射率の関係を示すグラフ。
図11】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図12】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、光検出装置の実施形態について説明する。以下では、光検出装置の主要な構成部分を中心に説明するが、光検出装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0024】
図1は一実施形態に係る光検出装置1の概略構成を示すブロック図である。図1の光検出装置1は、裏面照射型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
【0025】
図1の光検出装置1は、画素領域2と、垂直駆動回路3と、カラム信号処理回路4と、水平駆動回路5と、出力回路6と、制御回路7とを備えている。図1の光検出装置1は、固体撮像装置とも呼ばれる。
【0026】
画素領域2は、半導体基板上の二次元方向(行方向及び列方向)に配置された複数の画素8を有する。半導体基板は例えばシリコン基板である。画素8は、図1では不図示の光電変換素子と画素回路とを有する。画素回路は、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタ、増幅トランジスタなどを有し、光電変換素子で光電変換された電荷量に応じた電圧信号である画素信号を生成する。
【0027】
垂直駆動回路3は、例えばシフトレジスタを有し、列方向に並ぶ複数の行選択線L1を順次に駆動する。このように、垂直駆動回路3は、画素領域2内の各画素8を行単位で選択する。
【0028】
カラム信号処理回路4は、列方向に配置された画素列ごとに配置されている。具体的には、画素列ごとに垂直信号線L2が配置されていろ、カラム信号処理回路4は、対応する垂直信号線L2ごとに設けられている。カラム信号処理回路4は、各画素8のリセットレレベルと画素信号レベルとの電位差を検出して画素固有の固定パターンノイズを除去するCDS(Correlated Double Sampling)処理、及びアナログ-デジタル変換処理などの信号処理を行う。カラム信号処理回路4は、デジタル画素信号を出力する。
【0029】
水平駆動回路5は、例えばシフトレジスタを有する。水平駆動回路5は、カラム信号処理回路4から出力されたデジタル画素信号を順次に水平信号線に転送する。水平信号線には出力回路6が接続されている。出力回路6は、水平信号線上のデジタル画素信号に対して種々の信号処理を行った上で出力する。出力回路6が行う信号処理は、例えば、バッファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正などである。
【0030】
制御回路7は、垂直同期信号、水平同期信号、及びマスタクロック信号に基づいて、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、及び水平駆動回路5などの動作の基準となるクロック信号と制御信号を生成する。制御回路7は、生成されたクロック信号と制御信号を、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、及び水平駆動回路5などに出力する。
【0031】
図1の光検出装置1の全体は、一つの半導体基板上に形成されてもよいし、2以上の半導体基板上に形成されて、これら半導体基板が積層されてもよい。複数の半導体基板を積層する際には、Cu-Cu接合、バンプ、ビアなどで電気的な導通と基板間の接合が行われる。
【0032】
積層構造の光検出装置1の一例は、画素領域2が配置される第1半導体基板と、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、水平駆動回路5、出力回路6、及び制御回路7が配置される第2半導体基板とを積層することである。なお、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、水平駆動回路5、出力回路6、及び制御回路7の少なくとも一部を第1半導体基板に配置してもよい。以下、第1半導体基板を第1チップ、第2半導体基板を第2チップと呼ぶことがある。
【0033】
第1チップは、第1ウエハから切り出された1個のチップである。第1ウエハには、複数の第1チップが形成されており、ダイシングブレードで個々の第1チップに個片化される。同様に、第2チップは、第2ウエハから切り出された1個のチップである。第2ウエハには、複数の第2チップが形成されており、ダイシングブレードで個々の第2チップに個片化される。
【0034】
図2は第1ウエハ11の一部分の模式的な平面図である。第1ウエハ11には、二次元方向に複数の第1チップ12が一定間隔で配置されており、隣接する2つの第1チップ12の間には、スクライブ領域13が格子状に設けられている。スクライブ領域13とは、不図示のダイシングブレードによりウエハを切断する領域である。より具体的には、スクライブ領域13内の太線領域13aに沿って第1ウエハ11が切断される。
【0035】
スクライブ領域13には、スクライブ領域13の長手方向に沿って延びる溝部13bが格子状に配置されている。溝部13bは、切断面を示す太線領域13aよりも画素領域2側に配置されている。スクライブ領域13内の太線領域13aに沿ってダイシングブレードでウエハを切断すると、ウエハの切断面付近に亀裂(クラック)が入ったり、一部の層が剥離するおそれがある。このようなクラックや剥離が画素領域2に到達しないように、スクライブ領域13には、画素領域2と切断面の間に溝部13bが設けられている。スクライブ領域13に溝部13bを設けることで、切断面のクラックや剥離が画素領域2まで及ばなくなる。
【0036】
図2は、第1ウエハ11の平面図を示しているが、第2ウエハも同様に、隣接する2つの第2チップの間に、溝部13bを有するスクライブ領域13が格子状に配置されている。
【0037】
図3は、切断された1個の第1チップ12の模式的な平面図である。図3に示す第1チップ12は、矩形状であり、中央部に画素領域2が配置され、対向する2辺(以下、第1辺SD1及び第2辺SD2)に沿って、ワイヤボンディング用の複数のパッド14が配置されている。また、90度異なる方向の対向する2辺(以下、第3辺SD3及び第4辺SD4)には、パッド14は配置されていない。
【0038】
上述したスクライブ領域13は、第1チップ12の第1~第4辺SD1~SD4に設けられているが、スクライブ領域13と画素領域2との間隔は、第1辺SD1及び第2辺SD2側と、第3辺SD3及び第4辺SD4側とでは異なっている。より具体的には、第1辺SD1及び第2辺SD2側におけるスクライブ領域13と画素領域2との間隔は、第3辺SD3及び第4辺SD4側におけるスクライブ領域13と画素領域2との間隔よりも大きい。
【0039】
第1辺SD1及び第2辺SD2側におけるスクライブ領域13と画素領域2との間隔を大きくする理由は、ボンディングワイヤに入射されて反射された光が画素領域2に入り込まないようにするためである。
【0040】
このように、ワイヤボンディング用のパッド14が配置される第1辺SD1及び第2辺SD2側と、パッド14が配置されない第3辺SD3及び第4辺SD4側では、画素領域2とスクライブ領域13との距離が異なるため、スクライブ領域13で反射された光に起因とするフレアの発生状況が異なる。
【0041】
具体的には、画素領域2とスクライブ領域13との間隔が小さい場合には、スクライブ領域13に入射されて反射された光は、カメラモジュール内の何らかの障害物に当たって反射されて画素領域2に入射されるおそれが高くなる。一方、画素領域2とスクライブ領域13との間隔が離れている場合には、スクライブ領域13で反射された光が何らかの障害物で反射されても、画素領域2に入り込むおそれは低くなる。
【0042】
そこで、本実施形態では、スクライブ領域13を構成する複数の辺のうち、ワイヤボンディング用のパッド14が配置されていない辺SD3、SD4側についてフレア対策を施す。なお、スクライブ領域13内のワイヤボンディング用のパッド14が配置されている辺SD1、SD2側についても、パッド14が配置されていない辺と同様にフレア対策を施してもよい。
【0043】
後述するように、本実施形態が採用するフレア対策は、スクライブ領域13の少なくともパッド14が配置されていない辺SD3、SD4の上面の全域を被覆膜で覆うことである。被覆膜として、いわゆる反射防止膜を採用することにより、スクライブ領域13に入射された光の反射を抑制でき、画素領域2内に光が入り込まなくなる。
【0044】
図3では、矩形状の第1チップ12が有する4辺のうち、2辺(第1辺SD1及び第2辺SD2)にパッド14を配置しているが、パッド14が配置される辺は必ずしも対向する2辺とは限らない。場合によっては、1辺だけにパッド14が配置されたり、3辺にパッド14が配置される場合もありうる。上述したように、本実施形態では、スクライブ領域13内の少なくともパッド14が配置されていない辺の全域を被覆膜で覆う。
【0045】
第1チップ12に積層される第2チップは、光入射方向の反対側に配置され、また画素領域2を持たない。よって、第2チップのスクライブ領域13を被覆する必要はない。
【0046】
積層された第1チップ12及び第2チップは、例えばカメラモジュール20に組み込まれる。図4はカメラモジュール20の断面構造を示す図である。図4のカメラモジュール20は、積層された第1チップ12及び第2チップ15の上方に、複数の撮影レンズ21を配置した構造を備えている。複数の撮影レンズ21は、レンズホルダ22によって支持されている。図4では省略しているが、少なくとも一部の撮影レンズ21を焦点調節のために光軸方向に移動させるレンズバレルを設けてもよい。レンズホルダ22又はレンズバレルに撮影レンズ21を固定する接着部材などの障害物に光が入射されると、反射される。その際の反射方向は、光の入射方向と障害物の表面形状に依存し、場合によっては画素領域2に入り込む。障害物で反射された光の進行方向を事前に把握して反射方向を制御するのは困難であり、画素領域2への光の入射を抑制するには、スクライブ領域13での光の反射を抑制するのが効果的である。
【0047】
図4において、第1チップ12の周辺領域内のスクライブ領域13に入射された光は反射されて、破線で示すように、カメラモジュール20内のレンズホルダ22等の障害物でさらに反射されて、画素領域2に入り込む可能性がありうる。画素領域2に入り込んだ光はフレアの要因になる。本実施形態による光検出装置1は、スクライブ領域13に光が入射されても、スクライブ領域13からの反射光を抑制するようなフレア対策を施すことを特徴とする。
【0048】
図5は、第1チップ12のパッド14が配置されていない辺のスクライブ領域13を拡大した模式的な平面図である。また、図6図5のA-A線方向の断面図である。図6は、第1チップ12と第2チップ15を積層した積層体での断面構造を示している。
【0049】
本明細書では、図5に示すように、画素領域2の外周側を周辺領域16と呼ぶ。周辺領域16には、上述したようにスクライブ領域13が設けられている。スクライブ領域13は、図3に示すように第1チップ12の各辺に沿って環状に配置されており、一定の幅を有する。また、スクライブ領域13には、図6に示すように溝部13bと凸部13cとが設けられている。画素領域2には、第1半導体基板12aの上にカラーフィルタ層17が配置され、その上にオンチップレンズ8aが配置されている。このように、溝部13bは画素領域2を取り囲むように配置され、凸部13cは、溝部13bを取り囲むように配置されている。凸部13cの外周側に、第1チップ12のダンシングされた切断面が配置されている。
【0050】
図6に示すように、第1チップ12は、第1半導体基板12aと第1配線層12bとを積層した積層体である。また、第2チップ15は、第2半導体基板15aと第2配線層15bとを積層した積層体である。溝部13bは、例えばシリコンからなる半導体基板を部分的に削ることで形成される。図6の例では、溝部13bの底面が第1配線層12bに達しており、溝部13bでは第1半導体基板12aが全て除去されている。一変形例として、第1半導体基板12aの一部が残存するように溝部13bを形成してもよい。
【0051】
溝部13bの高さは、画素領域2の高さよりも低い。凸部13cは、第1半導体基板12aを有し、凸部13cの高さは、溝部13bの高さよりも高い。凸部13cの高さは画素領域2の高さと同一である。なお、図6に示すように、凸部13cの外周側の第1半導体基板12aは少なくとも一部が除去されており、凸部13cよりも高さが低くなっている。
【0052】
凸部13cが溝部13bに接する箇所の凸部13cの側壁面13dには、図5に示すように凹凸構造13eが設けられている。図5では、平面形状が三角形の凹凸構造13eを設ける例を示しているが、凹凸構造13eの具体的な形状及びサイズは問わない。凹凸構造13eを設けることで、側壁面13dへの入射光を散乱させることができ、側壁面13dからの反射光に基づく光が画素領域2に入りこむおそれを回避できる。
【0053】
凸部13cの側壁面13dは、必ずしも凹凸構造13eを有する必要はなく、平坦面でもよい。また、図7に示すように、凸部13cの側壁面13dに段差を設けてもよい。段差を設ける場合、段差状になった各面に凹凸構造13eを設けてもよい。凸部13cの側壁面13dに段差を設けることで、凸部13cの上面の面積を狭くすることができる。凸部13cの上面の面積が狭くなるほど、凸部13cの上面に光が入射されにくくなり、凸部13cの上面からの反射光を抑制できる。
【0054】
さらに、凸部13cの側壁面13dは、図8に示すように、光入射面の法線方向に対して斜め方向に延びるテーパ状であってもよい。側壁面13dを斜め方向に延ばすことで、凸部13cの上面の面積を狭くすることができる。なお、図8の場合も、凸部13cの上面は被覆膜23で覆われる。また、側壁面13dには、図6と同様に、凹凸構造13eを設けてもよい。
【0055】
図6図8に示すように、凸部13cの上面は被覆膜23で覆われている。被覆膜23の反射率は、凸部13cを構成する半導体基板の反射率より低い。被覆膜23の反射率を半導体基板の反射率より低くすることで、被覆膜23に入射された光の反射を抑制でき、被覆膜23で反射された光を起因とする反射光が画素領域2に入り込まなくなり、フレアを抑制できる。
【0056】
被覆膜23は、例えば積層構造であってもよい。図6図8の被覆膜23は、二層構造の例を示している。図6の被覆膜23は、平坦化膜23aの上に酸化膜23bを積層した積層構造である。平坦化膜23aは、例えばアクリル系の熱硬化樹脂からなる膜である。この平坦化膜23aは、画素領域2の第1半導体基板12a上のカラーフィルタ層17の上面を平坦化する平坦化膜18と同じ材料であり、カラーフィルタ層17上に平坦化膜18を配置する工程で、スクライブ領域13の上面に平坦化膜23aが配置される。
【0057】
酸化膜23bは、例えば、低温工程で形成される酸化膜であり、LTO(Low Temperature Oxide)とも呼ばれる。画素領域2の平坦化膜18の上にLTO19を形成する工程の中で、スクライブ領域13内の平坦化膜23aの上にLTOからなる酸化膜23bが形成される。
【0058】
このように、スクライブ領域13に設けられる被覆膜23は、画素領域2内の第1半導体基板12a上のカラーフィルタ層17の上に平坦化膜23aとLTOを積層する工程にて形成されるため、追加の工程が不要であり、製造コストが増加するおそれがない。
【0059】
スクライブ領域13内の凸部13cを覆う被覆膜23を構成する酸化膜23bの反射率は、シリコンからなる半導体基板の反射率の1/4~1/5程度である。例えば、シリコンからなる半導体基板の反射率が40~50%程度とすると、酸化膜23bを有する被覆膜23の反射率は0~10%程度である。
【0060】
このように、スクライブ領域13内の凸部13cの上面を反射率の低い被覆膜23で覆うため、凸部13cで反射された光を要因とするフレアの発生を抑制できる。
【0061】
図9に示すように、スクライブ領域13のパッド14が配置されていない辺には、一つ又は複数のテスト端子24が設けられている場合がある。テスト端子24は、検査工程時に不図示のプローブを接触させて、光検出装置1内の対応する信号ノードの波形を検査するために設けられている。
【0062】
テスト端子24には、プローブが繰り返し着脱されるため、テスト端子24の周囲を保護するために、被覆膜23が形成される。本実施形態では、パッド14が配置されていない辺の全域を被覆膜23で覆うため、テスト端子24の周囲も被覆膜23で覆うことになり、テスト端子24の周囲を被覆膜23で覆うための別個の工程が不要となる。
【0063】
図6図8に示したように、スクライブ領域13の断面構造には複数の候補があり、いずれを採用してもよい。凸部13cの幅は10μm以上が望ましい。あるいは、凸部13cの幅は、第1チップの溝部13b側の端部から第1チップ12の切断面までの距離の1/2以上にするのが望ましい。また、凹凸構造13eを設ける場合、凹凸構造13e上にも被覆膜23が形成されていても良いが、設けていなくても良い。
【0064】
また、被覆膜23の膜厚が薄すぎると、光を吸収又は散乱できずに反射してしまうおそれがある。本発明者のシミュレーションによると、被覆膜23の膜厚は10nm以上が望ましい。特に、被覆膜23の膜厚が50nm以上あれば、被覆膜23を構成する材料本来の反射率が得られ、半導体基板に比べて反射率を抑制できる。
【0065】
図10は被覆膜23の膜厚と反射率の関係を示すグラフであり、被覆膜23を構成するLTO23bと平坦化膜23aの膜厚を種々に変化させた場合の被覆膜23の反射率のシミュレーション結果を示している。図10の横軸はLTO23bの膜厚、縦軸は反射率である。図10には、平坦化膜23aの基準の膜厚をk[nm]として、1.0k~3.0kまで11通りの膜厚の平坦化膜23aのそれぞれについて、LTO23bの膜厚を0~300nm[nm]まで変化させたときの被覆膜23の反射率が図示されている。反射率はLTO23bの膜厚が変化するに従って周期的に変化する傾向にあるが、LTO23bの膜厚が50~120[nm]の範囲のときに反射率が最も低くなる。この結果から、LTO23bの膜厚は50~120[nm]が望ましいことがわかる。
【0066】
このように、本実施形態では、スクライブ領域13内の溝部13bよりも外周側の凸部13cの上面を被覆膜23で覆い、被覆膜23の反射率を半導体基板の反射率の1/4~1/5程度にするため、凸部13cに入射された光がほとんど反射しなくなり、凸部13cに入射された光が障害物で反射されて画素領域2に入射されるおそれを防止でき、フレアの発生を抑制できる。
【0067】
(応用例)
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0068】
図11は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図11に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0069】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図11では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0070】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0071】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0072】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0073】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0074】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0075】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0076】
ここで、図12は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0077】
なお、図12には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0078】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0079】
図11に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0080】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0081】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0082】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0083】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0084】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0085】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0086】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0087】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0088】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0089】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0090】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0091】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0092】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図11の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0093】
なお、図11に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0094】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)光電変換を行う複数の画素が配置された画素領域を有する半導体基板を備え、
前記半導体基板は、
前記画素領域よりも外周側に配置され、前記画素領域よりも低い高さを有するとともに複数の辺に沿って延びる溝部と、
前記溝部よりも外周側に配置され、前記溝部よりも高い高さを有するとともに前記複数の辺に沿って延びる凸部と、
前記複数の辺のうち、少なくとも一つの辺における前記凸部の光入射面側の表面の全域を覆う被覆膜と、を有する、光検出装置。
(2)前記被覆膜の反射率は、前記半導体基板の反射率より低い、(1)に記載の光検出装置。
(3)前記溝部は、前記画素領域を取り囲むように配置され、
前記凸部は、前記溝部を取り囲むように配置される、(1)又は(2)に記載の光検出装置。
(4)前記凸部の外周側には、前記半導体基板のダイシングされた切断面が配置される、(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(5)前記半導体基板が有する複数の辺のうち、前記被覆膜で覆われる辺は、ワイヤボンディング用のパッドが配置されない辺である、(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(6)前記画素領域と前記溝部との間隔は、前記半導体基板における複数の辺のうち、少なくとも二つの辺で異なる、(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(7)ワイヤボンディング用のパッドが配置される辺における前記間隔は、ワイヤボンディング用のパッドが配置されない辺における前記間隔よりも大きく、
前記被覆膜で覆われる辺は、ワイヤボンディング用のパッドが配置されない辺を含む、(6)に記載の光検出装置。
(8)前記凸部の高さは、前記画素領域の高さと同一である、(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(9)前記被覆膜で覆われる辺の一部に配置されるテスト端子を備え、
前記被覆膜は、前記テスト端子が配置された辺の表面を覆う、(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(10)前記溝部と接する箇所の前記凸部の側壁は、前記溝部の底面から前記凸部の上面まで延びる面であり、この面は凹凸構造を有する、(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(11)前記溝部と接する箇所の前記凸部の側壁は、前記溝部の底面から前記凸部の上面まで延びる平坦面である、(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(12)前記溝部と接する箇所の前記凸部の側壁は、段差を有する、(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(13)前記被覆膜は、前記半導体基板の反射率よりも低い反射率の酸化膜を有する、(1)乃至(12)のいずれか一項に記載の光検出装置。
(14)前記被覆膜は、
樹脂を含む平坦化膜と前記酸化膜とを積層させた積層体である、(13)に記載の光検出装置。
(15)前記平坦化膜は、前記画素領域の上に配置されるカラーフィルタ層の上面を平坦化する膜と同じ材料である、(14)に記載の光検出装置。
(16)前記被覆膜の膜厚は、50nm以上で120nm以下である、(1)乃至(15)のいずれか一項に記載の光検出装置。
【0095】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 光検出装置、2 画素領域、3 垂直駆動回路、4 カラム信号処理回路、5 水平駆動回路、6 出力回路、7 制御回路、8 画素、8a オンチップレンズ、11 第1ウエハ、12 第1チップ、12a 第1半導体基板、12b 第1配線層、13 スクライブ領域、13a 太線領域、13b 溝部、13c 凸部、13d 側壁面、13e 凹凸構造、14 パッド、15 第2チップ、15a 第2半導体基板、15b 第2配線層、16 周辺領域、17 カラーフィルタ層、18 平坦化膜、20 カメラモジュール、21 撮影レンズ、22 レンズホルダ、23 被覆膜、23a 平坦化膜、23b 酸化膜、24 テスト端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12