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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174140
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】棚構造
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20231130BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A47F3/04 L
A47F5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086824
(22)【出願日】2022-05-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏幸
【テーマコード(参考)】
3B110
3B118
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110BA05
3B110CA10
3B118FA22
(57)【要約】
【課題】棚本体に設置されている物品の落下を防ぎながら、より簡便且つ手早く物品を取り出すことができる、棚構造を提供する。
【解決手段】本発明の棚構造16は、上面が物品の載置面17とされた棚本体18と、載置面17に載置された物品の落下を防ぐことを目的として、棚本体18の前端に設けられた落下防止具19とを備える。落下防止具19は、載置面17より上方に位置する突出姿勢と、載置面17よりも下方に位置する退避姿勢との間で変位可能に構成され、突出姿勢において物品の落下防止を担う防止具本体20と、棚本体18に対して防止具本体20を回動可能に支持するヒンジ体22と、防止具本体20を退避姿勢側から突出姿勢側に向かって付勢する付勢体23とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が物品の載置面(17)とされた棚本体(18)と、
載置面(17)に載置された物品の落下を防ぐことを目的として、棚本体(18)の前端に設けられた落下防止具(19)と、
を備え、
落下防止具(19)は、載置面(17)より上方に位置する突出姿勢と、載置面(17)よりも下方に位置する退避姿勢との間で姿勢変位可能に構成されて、突出姿勢において物品の落下防止を担う防止具本体(20)と、棚本体(18)に対して防止具本体(20)を回動可能に支持するヒンジ体(22)と、防止具本体(20)を退避姿勢側から突出姿勢側に向かって付勢する付勢体(23)と、を備え、
防止具本体(20)が、突出姿勢における上端部が前方に回動することで、突出姿勢から退避姿勢に変位するように構成されていることを特徴とする棚構造。
【請求項2】
ヒンジ体(22)は、棚本体(18)に固定される第1ヒンジ部材(42)と、防止具本体(20)に固定される第2ヒンジ部材(43)と、両ヒンジ部材(42・43)を相対回動自在に連結する水平軸であるヒンジ軸(44)とを備え、
付勢体(23)が、ヒンジ体(22)に組み込まれて、第1ヒンジ部材(42)と第2ヒンジ部材(43)とをヒンジ軸(44)のまわりに相対的に回動付勢するばね(45)で構成されている請求項1に記載の棚構造。
【請求項3】
落下防止具(19)は、防止具本体(20)を着脱可能に保持する取付体(21)を含み、この取付体(21)に第2ヒンジ部材(43)が固定されている請求項2に記載の棚構造。
【請求項4】
棚本体(18)は、上面が載置面(17)とされる天壁(24)と、天壁(24)の前縁部から下向きに伸びる縦壁(26)と、縦壁(26)の下端から後向きに伸びる底壁(27)とを備え、
取付体(21)は、上片(51)及び下片(52)と、上下片(51・52)の前端どうしを接続する前片(53)とを備え、防止具本体(20)が突出姿勢にあるとき、棚本体(18)の底壁(27)の前方に下片(52)が位置しており、
底壁(27)に第1ヒンジ部材(42)が固定され、下片(52)に第2ヒンジ部材(43)が固定されており、
底壁(27)及び下片(52)よりも下方にヒンジ軸(44)が配置されている請求項3に記載の棚構造。
【請求項5】
取付体(21)に、棚本体(18)に接触して落下防止具(19)の突出姿勢を規定する当接片(54)が設けられており、
棚本体(18)と当接片(54)とが面接触状に接触するように構成されている請求項3に記載の棚構造。
【請求項6】
落下防止具(19)が、防止具本体(20)を退避姿勢で保持する保持機構(62)を備える、請求項1に記載の棚構造。
【請求項7】
保持機構(62)が、ヒンジ体(22)に組み込まれて、付勢体(23)の付勢力に抗して第1ヒンジ部材(42)と第2ヒンジ部材(43)との相対位置を保持するストッパー(63)で構成されている請求項6に記載の棚構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚本体の前端に、棚本体に載置された物品の前方への落下を防止する落下防止具を備える棚構造に関する。本発明の棚構造は、冷蔵ショーケースやゴンドラ(登録商標)と称される陳列棚などに適用される。
【背景技術】
【0002】
この種の棚構造の従来例としては、例えば特許文献1(発明の名称:落下防止具)を挙げることができる。特許文献1に記載の落下防止具は、平板状の滑り出し防止部材と、同部材を支持する平蝶番型の蝶番とで構成される。蝶番は、2枚の羽根と、2枚の羽根を回動可能に連結する水平軸である角度可変軸とを備える。蝶番の一方の羽根が棚板(棚本体)の前端面に固定され、他方の羽根が滑り出し防止部材の上下方向の中央部に固定される。角度可変軸は、棚板の前上のコーナー部の近傍に位置している。常態における滑り出し防止部材は、自重で垂直な起立姿勢となるように構成されている。この起立姿勢において、滑り出し防止部材の上半部は、載置面(棚板の上面)よりも上方に突出している。また、この起立姿勢において、蝶番を構成する2枚の羽根は、両羽根の遊端側が下方に指向する略平行姿勢となっている。
【0003】
棚板に載置された物品が前方に移動して起立姿勢にある滑り出し防止部材に接触したとき、同部材の上端は角度可変軸のまわりに前方側(棚板から遠ざかる方向)に僅かに回動するものの、羽根どうしが干渉することで、その回動は規制され、同部材は若干前方に傾く前傾姿勢で保持される。また、前傾姿勢にある滑り出し防止部材は、その上半部が依然として載置面よりも上方に突出しており、これにより棚板に載置されている物品の前方へ移動は阻止される。物品が棚板から落下することも防止される。逆に、滑り出し防止部材が起立姿勢にある状態から、同部材の上端を角度可変軸のまわりに奥側(棚板に近づく方向)に回動させることで、水平な横伏姿勢とすることができる。横伏姿勢にある滑り出し防止部材の上側面は載置面よりも上方に位置するものの、当該載置面と面一状となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-11178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の棚構造において棚板に梱包箱などの物品を載置する際には、作業者は起立姿勢にある滑り出し防止部材に対して物品の後端部を上方から載せる。これにより、同部材を梱包箱の重みで角度可変軸のまわりに回動させて、横伏姿勢とすることができる。横伏姿勢となった滑り出し防止部材の上側面と載置面とは略面一状となるため、物品を後方側へスライドさせるように押し込むことで、作業者は物品を棚板に載置することができる。滑り出し防止部材の上面を物品が通り過ぎると、滑り出し防止部材は自重で横伏姿勢から起立姿勢へ自動的に復帰する。
【0006】
逆に、棚板から物品を取り出すときには、作業者は、まず滑り出し防止部材を横伏姿勢として、滑り出し防止部材による落下防止機能を解除する。次いで、作業者は、横伏姿勢にある滑り出し防止部材の上方に位置するまで物品を前方に引き出して、物品の重みで同部材を横伏姿勢に保持させ、この状態から前方手前側にスライドさせるように物品を引き出すことで、物品を棚板から取り出すことができる。このように、特許文献1の棚構造では、物品を必要以上に持ち上げることなく、棚板上をスライドさせて、物品を棚板に載置する作業と、物品を棚板から取り出す作業とを進めることができる。しかし、特許文献1の棚構造において、物品を棚板から取り出す際には、作業者は、例えば左手で滑り出し防止部材を起立姿勢から横伏姿勢に手動で変位させてから、右手で物品を前方にスライド移動させるなどの作業が必要であり、それぞれの手で異なる操作を行うことが必要であり、簡便且つ手早く物品を取り出すことができない点に不利があった。
【0007】
本発明は、棚本体に設置されている物品の落下を防ぎながら、より簡便且つ手早く物品を取り出すことができる、棚構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る棚構造は、上面が物品の載置面17とされた棚本体18と、載置面17に載置された物品の落下を防ぐことを目的として、棚本体18の前端に設けられた落下防止具19とを備える。落下防止具19は、載置面17より上方に位置する突出姿勢と、載置面17よりも下方に位置する退避姿勢との間で変位可能に構成されて、突出姿勢において物品の落下防止を担う防止具本体20と、棚本体18に対して防止具本体20を回動可能に支持するヒンジ体22と、防止具本体20を退避姿勢側から突出姿勢側に向かって付勢する付勢体23とを備える。防止具本体20は、突出姿勢における上端部が前方に回動することで、突出姿勢から退避姿勢に変位するように構成されている。
【0009】
ヒンジ体22は、棚本体18に固定される第1ヒンジ部材42と、防止具本体20に固定される第2ヒンジ部材43と、両ヒンジ部材42・43を相対回動自在に連結する水平軸であるヒンジ軸44とを備える。付勢体23は、ヒンジ体22に組み込まれて、第1ヒンジ部材42と第2ヒンジ部材43とをヒンジ軸44のまわりに相対的に回動付勢するばね45で構成されている。
【0010】
落下防止具19は、防止具本体20を着脱可能に保持する取付体21を含み、この取付体21に第2ヒンジ部材43が固定されている。
【0011】
棚本体18は、上面が載置面17とされる天壁24と、天壁24の前縁部から下向きに伸びる縦壁26と、縦壁26の下端から後向きに伸びる底壁27とを備える。取付体21は、上片51及び下片52と、上下片51・52の前端どうしを接続する前片53とを備え、防止具本体20が突出姿勢にあるとき、棚本体18の底壁27の前方に下片52が位置している。底壁27に第1ヒンジ部材42が固定され、下片52に第2ヒンジ部材43が固定されており、底壁27及び下片52よりも下方にヒンジ軸44が位置している。
【0012】
取付体21に、棚本体18に接触して落下防止具19の突出姿勢を規定する当接片54が設けられている。棚本体18と当接片54とが面接触状に接触するように構成されている。
【0013】
落下防止具19は、防止具本体20を退避姿勢で保持する保持機構62を備える。
【0014】
保持機構62は、ヒンジ体22に組み込まれて、付勢体23の付勢力に抗して第1ヒンジ部材42と第2ヒンジ部材43との相対位置を保持するストッパー63で構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の棚構造のように、棚本体18の前端に設けられた落下防止具19が、載置面17より上方に位置する突出姿勢と、載置面17よりも下方に位置する退避姿勢との間で変位可能に構成されて、突出姿勢において物品の落下防止を担う防止具本体20と、棚本体18に対して防止具本体20を回動可能に支持するヒンジ体22と、防止具本体20を退避姿勢側から突出姿勢側に向かって付勢する付勢体23とを備えるものとしていると、常態においては付勢体23からの付勢力を受けて防止具本体20を突出姿勢とすることができる。つまり、防止具本体20に対して退避姿勢側に回動する方向に作用する回動トルクが付勢体23の付勢力を超えるまでは、防止具本体20を突出姿勢に維持することができる。したがって、本発明の棚構造によれば、棚本体18に載置されている物品が前方に移動して防止具本体20に接触したときでも、当該防止具本体20に対して付勢体23の付勢力を超える回動トルクが作用するまでは、防止具本体20は突出姿勢に維持され、これにより物品が棚本体18の前端から不用意に落下することを防ぐことができる。
【0016】
本発明の棚構造において、棚本体18に物品を載置するときには、まず、作業者は物品を持ち上げて、これを棚本体18の前端に乗せる。つまり、作業者は物品を棚本体18の前端に設けられた落下防止具19上に乗せる。これにより、物品の重みで(物品の下面に押されて)、落下防止具19を構成する防止具本体20を突出姿勢から退避姿勢に姿勢を変位させることができる。このように防止具本体20を退避姿勢に変位させたのちに、作業者は棚本体18上で物品を後方側にスライドさせて押し込む。これにより物品の全体を棚本体18の載置面17上に載置することができる。防止具本体20と物品の下面との接触状態が解除されると、防止具本体20は付勢体23の付勢力により突出姿勢へと自動的に復帰し、落下防止具19は落下防止機能を発揮する。
【0017】
棚本体18から物品を取り出すときには、作業者は片手或いは両手で物品を手前側にスライドさせて引き出す。突出姿勢にある防止具本体20に物品が接触し、防止具本体20に付勢体23の付勢力を上回る回動トルクが作用すると、防止具本体20は、その上端部が前方に回動することで、突出姿勢から退避姿勢に自動的に姿勢が変位し、落下防止具19の落下防止機能が解除される。このように本発明の棚構造においては、作業者は片手或いは両手で物品を手前側に引出すだけで、落下防止具19に対する操作を行うことなく、落下防止具19の落下防止機能を自動的に解除して、物品を棚本体18から取り出すことができる。つまり、特許文献1に記載の棚構造のように、左手で滑り出し防止部材を起立姿勢から横伏姿勢に手動で変位させてから、右手で物品を前方にスライド移動させるなどのように、左右の手で異なる操作を行う必要はなく、より作業効率よく物品を取り出すことができる。以上のように本発明の棚構造によれば、棚本体18に設置されている物品の落下を防ぎながら、より簡便且つ手早く物品を取り出すことができる。
【0018】
ヒンジ体22が、棚本体18に固定される第1ヒンジ部材42と、防止具本体20に固定される第2ヒンジ部材43と、両ヒンジ部材42・43を相対回動自在に連結する水平軸であるヒンジ軸44とを備え、付勢体23が、ヒンジ体22に組み込まれて、第1ヒンジ部材42と第2ヒンジ部材43とをヒンジ軸44のまわりに相対的に回動付勢するばね45で構成されていると、棚本体18と防止具本体20との間に、ヒンジ体22と付勢体23とを個別に取り付ける必要がない分、棚構造16の組立に要する作業工程の短縮を図ることができる。構造が煩雑化することも防ぐことができる。また、この種のヒンジ体22は、スプリング蝶番と称される市販品として、種々のサイズ及びばね定数のものが流通しており、これら市販品を使用することで棚構造16の使用用途に適したヒンジ体22を適宜選択して取り付けることができるので、様々なバリエーションの棚構造16を容易に提供できる利点もある。
【0019】
落下防止具19は、防止具本体20を着脱可能に保持する取付体21を含み、この取付体21に第2ヒンジ部材43が固定されていると、例えば防止具本体20をプライスカードの保持構造を備えるカードレールとする、或いは電子式の価格表示装置を掛け止めることができる枠体で構成されるカードレールとするなど、防止具本体20の形態を変更するだけで、棚構造16の表示態様や表示機能を簡便に変更することができる。
【0020】
棚本体18の底壁27及び取付体21の下片52よりも下方に、ヒンジ軸44が配置されていると、棚本体18の縦壁26と取付体21との間にヒンジ体22を配するための領域を設ける必要がない分、棚本体18の前後方向の寸法を大きくすることができる。したがって、物品を陳列する載置面17のスペースを大きくすることができる。
【0021】
取付体21に、棚本体18に接触して落下防止具19の突出姿勢を規定する当接片54が設けられており、棚本体18と当接片54とが面接触状に接触するように構成されていると、付勢体23の付勢力で突出姿勢へと復帰する際の棚本体18に対する取付体21の衝撃を、当接片54で分散させて棚本体18に受け止めさせることができる。これにより、衝撃により棚本体18或いは落下防止具19が破損することを防ぐことができる。
【0022】
落下防止具19が、防止具本体20を退避姿勢で保持する保持機構62を備えるものとしていると、防止具本体20を付勢体23の付勢力に抗して退避姿勢側へ回動させ保持機構62で保持しておくことで、意図的に落下防止具19による落下防止機能を解除することができる。したがって、保持機構62による防止具本体20の保持後は、物品を押し当てて防止具本体20の姿勢を退避姿勢に変位させる必要がなく、より簡便且つ手早く物品を取り出すことができる。
【0023】
保持機構62が、ヒンジ体22に組み込まれて、付勢体23の付勢力に抗して第1ヒンジ部材42と第2ヒンジ部材43との相対位置を保持するストッパー63で構成されていると、棚本体18と防止具本体20との間に、ヒンジ体22と保持機構62とを個別に取り付ける必要がない分、棚構造16の組立に要する作業工程の短縮を図ることができる。構造が煩雑化することも防ぐことができる。また、この種のストッパー付きのヒンジ体は、クリックヒンジと称される市販品として、種々のサイズ及び保持されたときの両ヒンジ部材42・43の相対位置が異なるものが流通しており、これら市販品を使用することで、棚構造16の使用用途に適したストッパー付きのヒンジ体を適宜選択して取り付けることができるので、様々なバリエーションの棚構造16を容易に提供できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係る棚構造の要部を示す縦断側面図であり、落下防止具が突出姿勢の状態を示している。
図2】同棚構造が適用された冷蔵ショーケースの縦断側面図である。
図3】棚板と落下防止具との連結部分を示す底面図である。
図4】落下防止具が退避姿勢へと回動された状態を示す側面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る棚構造の要部を示す縦断側面図であり、落下防止具が突出姿勢の状態を示している。
図6】棚板と落下防止具との連結部分を示す底面図である。
図7】保持機構の構造を示す断面図である。
図8】落下防止具が退避姿勢へと回動された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態) 図1から図4に、本発明に係る棚構造をオープン型の冷蔵ショーケースに適用した第1実施形態を示す。棚構造には、輸送時に商品が収容される段ボール製の梱包箱Bごと商品が載置される。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1などに示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。なお、第2実施形態においても同様とする。
【0026】
図2に示すように、冷蔵ショーケースは、前面開口を有する断熱箱体からなる本体ケース1を備える。本体ケース1で囲まれる庫内2は、内ケース3により商品を冷蔵陳列する陳列室4と通気ダクト5とに区画されている。通気ダクト5には、冷凍サイクルを構成する蒸発器6と、庫内2で循環する空気流を形成する循環ファン7とが設置されている。循環ファン7が駆動されると、陳列室4の前端上部に設けられた吹出口8から前端下部に設けられた吸込口9へ向かって循環空気が吹き出され、前面開口にエアカーテンが形成される。循環ファン7は、冷蔵ショーケースの運転中は常時駆動され、形成されるエアカーテンで陳列室4への外気の侵入を抑制する。庫内2は、蒸発器6で熱交換された循環空気で冷却される。本体ケース1の下側に配される機械室10には、通気ダクト5に配された蒸発器6とともに冷凍サイクルを構成する圧縮機11及び凝縮器12と、これら両者11・12を冷却するための冷却ファン13などが設置されている。
【0027】
陳列室4には、食品や飲料などの商品(物品)を載置するための棚構造16が上下多段状に設置される。棚構造16は、上面が載置面17とされる棚本体18と、棚本体18の前端に設けられる落下防止具19とで構成される。落下防止具19は、落下防止機能を担う防止具本体20と、防止具本体20を着脱可能に保持する取付体21と、棚本体18に対して防止具本体20及び取付体21を回動可能に支持するヒンジ体22と、防止具本体20を上方に向かって付勢する付勢体23とを備える。防止具本体20は、載置面17より上方に突出する突出姿勢と、突出姿勢における上端部が棚本体18から遠ざかる方向(図2に向かって反時計方向)に回動して、落下防止具19の全体が載置面17よりも下側に退避する退避姿勢との間で変位できるようになっており、付勢体23によって、退避姿勢側から突出姿勢側に向かって付勢されている。付勢体23による突出姿勢側への回動が棚本体18で受け止められることによって、常態において防止具本体20は突出姿勢に保持される。
【0028】
棚本体18は、左右に長い長方形状の天壁24と、天壁24の四周縁の下側に一体に形成される周枠25とで、上下に偏平で左右に長い下面が開口する四角箱状に形成されている。図1に示すように周枠25の各辺部は、天壁24の縁部から下向きに伸びる縦壁26と、縦壁26の下端から内向きに伸びる底壁27とでそれぞれ断面L字状に形成されている。図1において符号28は、天壁24を補強するための補強枠であり、補強枠28は、棚本体18の左右端に亘って設けられている。
【0029】
図2に示すように棚本体18は、左右一対のブラケット29で本体ケース1に支持されている。各ブラケット29は、周枠25の左右辺部の後側にそれぞれ連結されており、陳列室4の奥側左右に立設される棚柱30に設けられるブラケット装着孔(図示していない)に装着される。棚柱30には上下方向に複数のブラケット装着孔が設けられており、任意のブラケット装着孔を利用して陳列室4に棚本体18を設置することができる。
【0030】
防止具本体20は、プライスカードなどを保持する保持レール部35と、取付体21への取り付けを担う取付レール部36とを備える。つまり、本実施形態の防止具本体20はカードレールとしての機能も備える。保持レール部35は、直線部が密着する断面U字状に形成されており、プライスカードは対向する壁間に差し込まれて挟持保持される。取付レール部36は、保持レール部35を支持する垂直壁からなる支持壁37と、支持壁37の後面に一体に形成される断面逆L字状の挟持壁38と、支持壁37の下端から後向きに伸びる抜止壁39とで形成される。防止具本体20は弾性変形可能な透明な樹脂素材の押出し成形品からなる。
【0031】
図1及び図3に示すようにヒンジ体22は、棚本体18に固定される第1ヒンジ羽根(第1ヒンジ部材)42と、取付体21に固定される第2ヒンジ羽根(第2ヒンジ部材)43と、両ヒンジ羽根42・43を相対回動自在に連結するヒンジ軸44とを備える。本実施形態のヒンジ体22は、第1ヒンジ羽根42と第2ヒンジ羽根43とをヒンジ軸44のまわりに相対的に回動付勢するねじりコイル形のばね45が組み込まれる、スプリング蝶番と称される市販品の平蝶番からなる。ばね45は、ヒンジ軸44の中央部分に外嵌装着されており、ねじりコイルの各終端に設けられる一対の作用アーム46の一方が第1ヒンジ羽根42に接し、他方が第2ヒンジ羽根43に接している。棚本体18と落下防止具19との間には、複数個のヒンジ体22が左右方向に等間隔置きに設けられる。
【0032】
取付体21は、一体に固定されるベース枠49と前枠50とを備える。ベース枠49は、上片51及び下片52と、上下片51・52の前端どうしを接続する前片53と、上片51の後端から下向きに伸びる当接片54とで断面略C字状に形成される。前枠50は、横片55と、横片55の先端から上向きに伸びる縦片56と、縦片56の左右端からそれぞれ後向きに伸びる側片57・57とを備える。取付体21の左右長さは、棚本体18の左右長さよりも僅かに短く形成されている。
【0033】
ベース枠49と前枠50とは、下片52と横片55とが上下に重畳する状態で連結されて一体化されている。これら両枠49・50が一体化された状態において、その前片53と縦片56との間には間隙が設けられており、当該間隙は防止具本体20を取り付けるための左右横長の取付溝58を構成する。取付溝58は上方に開口しており、その左右の溝端は、それぞれ側片57で塞がれている。
【0034】
取付体21への防止具本体20の取り付けは、支持壁37と挟持壁38との間隔を広げた状態で、これら両壁37・38の間に縦片56が入り込むように上方から防止具本体20を差込む。このとき、挟持壁38は取付溝58内に挿入され、抜止壁39が縦片56の下端を乗り越えると、防止具本体20自身の弾性力で抜止壁39が横片55に被さるように支持壁37が復元する。これにて、支持壁37と挟持壁38とで縦片56が前後に挟持され、さらに抜止壁39が横片55に引っ掛かることで上方への抜け止めが図られて、防止具本体20は取付体21に取り付けられる。取付体21に取り付けられた防止具本体20は、支持壁37を弾性変形させて横片55に対する抜止壁39の引っ掛かりを解除することで上方へと分離できる。
【0035】
図1及び図3に示すようにヒンジ体22は、底壁27及び下片52よりも下方にヒンジ軸44が位置する状態で、第1ヒンジ羽根42が周枠25の前枠部分の底壁27の下側にビス59で締結固定されており、第2ヒンジ羽根43が取付体21の下片52と横片55との重畳部分の下側にビス59で締結固定されている。ヒンジ軸44の軸心の前後方向の位置は、棚本体18の前端位置、換言すれば周枠25の前辺部分の縦壁26の前面位置よりも僅かに後側に配される。本実施形態においては、ヒンジ体22が備えるばね45が、落下防止具19を突出姿勢に向かって付勢する付勢体23を構成している。図1において、ヒンジ体22のばね45は右回り方向に付勢力を発揮しており、当該付勢力により防止具本体20はヒンジ軸44を回動中心として時計回り方向に回動される。
【0036】
ばね45で付勢される防止具本体20は、ベース枠49の当接片54が周枠25の前枠部分の縦壁26に接触することで回動が規制される。このように防止具本体20は、取付体21が棚本体18に受け止められて突出姿勢が規定される。回動が規制された防止具本体20は、その両レール部35・36の上半部が載置面17よりも上方に突出しており、この状態が突出姿勢となる。取付体21が棚本体18で受け止められた突出姿勢では、当接片54は縦壁26に対して面接触状に接触しており、ばね45による付勢力は分散された状態で縦壁26(棚本体18)に作用する。なお、当接片54と縦壁26との接触面の少なくともいずれか一方にクッション材を設けることができ、これによれば、両者(当接片54と縦壁26)間の衝撃をクッション材で緩和できる。
【0037】
図1において突出姿勢にある防止具本体20の上端部を、ばね45(付勢体23)の付勢力に抗して棚本体18から遠ざかる方向、つまりヒンジ軸44を回動中心として防止具本体20を反時計回り方向に回動させると、防止具本体20は、その全部が載置面17よりも下側に位置する退避姿勢となる。本実施形態では、ヒンジ体22で支持される防止具本体20は、第2ヒンジ羽根43が第1ヒンジ羽根42に接触するまで回動することができる。したがって、防止具本体20が載置面17よりも下方に退避した位置から第2ヒンジ羽根43が第1ヒンジ羽根42に接触する回動限界位置までが、防止具本体20の退避姿勢となっている。図1において、二点鎖線は防止具本体20が反時計方向に90度回動した状態を示している。
【0038】
防止具本体20が退避姿勢にある状態において、防止具本体20をばね45の付勢力に抗して回動させる操作力を解除すると、防止具本体20はばね45の付勢力でヒンジ軸44を回動中心として時計方向に回動し、当接片54が周枠25に接触した時点で回動が規制され突出姿勢へと復帰する。防止具本体20が突出姿勢へと復帰するとき、取付体21が棚本体18で受け止められる衝撃は、面接触状に接触する縦壁26と当接片54とにより分散される。
【0039】
上記の防止具本体20の回動時において、取付体21の回動軌跡は載置面17の高さ位置よりも下側に配されるように構成されている。詳しくは、防止具本体20が突出姿勢にある状態において、ベース枠49の上片51が水平状かつ載置面17よりも下方に配されるようにし、さらに棚本体18の前端位置よりも僅かに後側にヒンジ軸44の軸心を配したヒンジ体22で回動可能に支持するので、取付体21の回動時、上片51は突出姿勢の位置から上側へ移動することはない。したがって、取付体21が載置面17よりも上方に突出することはない。
【0040】
ここで、棚本体18に対する商品が収容された梱包箱Bの載置方法と、取出方法(棚本体18から梱包箱Bを降ろす方法)を説明する。載置時においては、作業者は、梱包箱Bの後端を突出姿勢にある落下防止具19の防止具本体20の上端にあてがい、この状態で梱包箱Bを降ろす。これにより、防止具本体20は、梱包箱B及び商品の重量で反時計方向に回動して退避姿勢側へと自動的に姿勢が変位される。図4に示すように梱包箱Bが載置面17に接すると、梱包箱Bは棚本体18で支持される。このとき、防止具本体20の両レール部35・36の接続部分が梱包箱Bの底面に押されて、突出姿勢から退避姿勢へと変位する。次いで、作業者が、梱包箱Bを後側にスライドさせるように押し込むことで、梱包箱Bの全部を棚本体18上に載置させることができる。防止具本体20と梱包箱Bの底面との接触状態が解除されると、防止具本体20は、ばね45の付勢力で突出姿勢へと自動的に復帰する。突出姿勢にある防止具本体20は、ばね45(付勢体23)の付勢力を上回る反時計方向の回転トルクが防止具本体20に作用するまではその姿勢が保持される。したがって、防止具本体20が不用意に退避姿勢側(反時計方向)に回動されることはなく、梱包箱Bは落下防止具19で受け止められて落下防止が図られる。
【0041】
棚本体18から梱包箱Bを取り出すときには、作業者は、片手或いは両手で梱包箱Bを手前側にスライドさせるように引き出し、防止具本体20に接触させ、さらに梱包箱Bを手前側に引き出すようにする。このとき、ばね45の付勢力を上回る反時計方向の回転トルクが落下防止具19に作用すると、防止具本体20はばね45の付勢力に抗して反時計方向(退避姿勢側)へと回動し、梱包箱Bの底面先端が防止具本体20を乗り越えた時点で、落下防止具19の姿勢が退避姿勢へと自動的に変位される。防止具本体20が退避姿勢へと姿勢が変位されたのちは、さらに梱包箱Bを手前側に引き出すことで、梱包箱Bを棚本体18から取り出す(梱包箱Bを棚本体18から降ろす)ことができる。棚本体18から梱包箱Bが取り出されると、防止具本体20は、ばね45の付勢力により突出姿勢へと自動的に復帰する。
【0042】
以上のように、本実施形態の棚構造16によれば、棚本体18に載置されている梱包箱Bが前方に移動して防止具本体20に接触したときでも、当該防止具本体20に対して付勢体23の付勢力を超える回動トルクが作用するまでは、防止具本体20は突出姿勢に維持され、これにより梱包箱Bが棚本体18の前端から不用意に落下することを防ぐことができる。
【0043】
また、棚本体18に梱包箱Bを載置するときには、作業者は梱包箱Bを棚本体18の前端に乗せ、防止具本体20を退避姿勢に姿勢を変位させることができ、次いで、作業者が棚本体18上で梱包箱Bを後方側にスライドさせて押し込むことで、梱包箱Bの全体を棚本体18の載置面17上に載置することができる。防止具本体20と梱包箱Bの下面との接触状態が解除されると、防止具本体20は付勢体23の付勢力により突出姿勢へと自動的に復帰して、落下防止機能を発揮する。棚本体18から梱包箱Bを取り出すときには、作業者は片手或いは両手で梱包箱Bを手前側にスライドさせて引き出すことで、防止具本体20を退避姿勢に自動的に姿勢変位させて、落下防止機能を解除することができるので、梱包箱Bをさらに前方に引出すことで、棚本体18から梱包箱Bを取り出す(梱包箱Bを降ろす)ことができる。以上のように、本実施形態の棚構造16によれば、特許文献1に記載の棚構造のように、左手で滑り出し防止部材を起立姿勢から横伏姿勢に手動で姿勢を変位させてから、右手で物品を前方にスライド移動させるなどのように、左右の手で異なる操作を行う必要はなく、より作業効率よく物品(梱包箱B)を取り出すことができる。したがって、棚本体18に設置されている梱包箱Bの落下を確実に防ぎながら、より簡便且つ手早く梱包箱Bを取り出すことができる。
【0044】
ヒンジ体22を、棚本体18に固定される第1ヒンジ羽根42と、取付体21に固定される第2ヒンジ羽根43と、両ヒンジ羽根42・43を相対回動自在に連結する水平軸であるヒンジ軸44とを備えるものとし、付勢体23をヒンジ体22に組み込まれて、第1ヒンジ羽根42と第2ヒンジ羽根43とをヒンジ軸44のまわりに相対的に回動付勢するばね45で構成したので、棚本体18と取付体21との間に、ヒンジ体22と付勢体23とを個別に取り付ける必要がない分、棚構造16の組立に要する作業工程の短縮を図ることができる。構造が煩雑化することも防ぐことができる。また、この種のヒンジ体22は、スプリング蝶番と称される市販品として、種々のサイズ及びばね定数のものが流通しており、これら市販品を使用することで棚構造16の使用用途に適したヒンジ体22を適宜選択して取り付けることができるので、様々なバリエーションの棚構造16を容易に提供することができる。
【0045】
落下防止具19は、防止具本体20を着脱可能に保持する取付体21を含むものとし、この取付体21に第2ヒンジ羽根43を固定したので、例えば防止具本体20をプライスカードの保持構造を備えるカードレールとする、或いは電子式の価格表示装置を掛け止めることができる枠体で構成されるカードレールとするなど、取付体21に保持される防止具本体20の形態を変更するだけで、棚構造16の表示態様や表示機能を簡便に変更することができる。
【0046】
棚本体18の底壁27及び取付体21の下片52よりも下方に、ヒンジ軸44を配置したので、棚本体18の縦壁26と取付体21との間にヒンジ体22を配するための領域を設ける必要がない分、棚本体18の前後方向の寸法を大きくすることができる。したがって、物品を陳列する載置面17のスペースを大きくすることができる。
【0047】
取付体21に、棚本体18に接触して落下防止具19の突出姿勢を規定する当接片54を設け、棚本体18と当接片54とが面接触状に接触するように構成したので、付勢体23の付勢力で突出姿勢へと復帰する際の棚本体18に対する取付体21の衝撃を、当接片54で分散させて棚本体18に受け止めさせることができる。これにより、衝撃により棚本体18或いは落下防止具19が破損することを防ぐことができる。
【0048】
(第2実施形態) 本発明に係る棚構造の第2実施形態を図5から図8に示す。本実施形態の棚構造16では、付勢体23による回動付勢に抗して防止具本体20を退避姿勢で保持する保持機構62を備える点が第1実施形態の棚構造と相違する。図5及び図6に示すようにヒンジ体22は、棚本体18に固定される第1ヒンジ羽根(第1ヒンジ部材)42と、取付体21に固定される第2ヒンジ羽根(第2ヒンジ部材)43と、両ヒンジ羽根42・43を相対回動自在に連結するヒンジ軸44とを備える。ヒンジ体22の第1ヒンジ羽根42と第2ヒンジ羽根43とは、ヒンジ軸44に装着されたねじりコイル形のばね45により、相対的に回動付勢されている。また、第1ヒンジ羽根42と第2ヒンジ羽根43との相対位置は、ヒンジ体22に組み込まれたストッパー63で保持されるようになっている。本実施形態のヒンジ体22は、ストッパー付きスプリング蝶番、或いはクリックヒンジと称される市販品の平蝶番で構成される。
【0049】
ばね45は、ヒンジ軸44に外嵌装着される状態で第1ヒンジ羽根42に内蔵されており、ねじりコイルの各終端に設けられる一対の作用アーム46の一方が第1ヒンジ羽根42に接し、他方が第2ヒンジ羽根43に接している。棚本体18と落下防止具19との間には、複数個のヒンジ体22が左右方向に等間隔置きに設けられている。本実施形態においても、ヒンジ体22が備えるばね45が、防止具本体20を突出姿勢に向かって付勢する付勢体23を構成している。
【0050】
ヒンジ体22に組み込まれたストッパー63が保持機構62を構成しており、ストッパー63は、両ヒンジ羽根42・43の間に設けられている。具体的には、図7に示すように、第1ヒンジ羽根42の摺動面64と第2ヒンジ羽根43の摺動面65との間にストッパー63が設けられている。ストッパー63は、第1ヒンジ羽根42の摺動面64に凹み形成されたすり鉢状の凹部66と、第2ヒンジ羽根43の摺動面65に凹み形成されたボール穴67に挿入されるボール68と、ボール穴67からボール68を押し出し付勢する押出ばね69とで構成されている。
【0051】
ボール68がボール穴67に収納されて第1ヒンジ羽根42の摺動面64と接している状態では、ボール68は転動或いは摺動して両ヒンジ羽根42・43は相対的に回動することができる。また、凹部66とボール穴67とが正対して、ボール穴67から押し出されたボール68が凹部66に落ち込んでいる状態では、ボール68は凹部66に引っ掛かり両ヒンジ羽根42・43はその相対的な回動が規制される。凹部64は、落下防止具19が突出姿勢から反時計方向に120度回動した位置と170度回動した位置とでストッパー63が機能するように、ヒンジ軸44のまわりにおいて2ヶ所に設けられている(図5の二点鎖線参照)。他は第1実施形態と同様であるので、同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0052】
本実施形態においても、棚本体18に対する梱包箱Bの載置、或いは取り出しは先の第1実施形態と同様に行うことができる。そのうえで、本実施形態では、保持機構62(ストッパー63)を設けたので、防止具本体20を退避姿勢に保持することができる。したがって、図8に示すように、予め防止具本体20を退避姿勢としておき、この状態で梱包箱Bの載置作業や、取出作業を進めることができる。
【0053】
保持機構62を、ヒンジ体22に組み込まれて、付勢体23(ばね45)の付勢力に抗して第1ヒンジ羽根42と第2ヒンジ羽根43との相対位置を保持するストッパー63で構成したので、棚本体18と防止具本体20との間に、ヒンジ体22と保持機構62とを個別に取り付ける必要がない分、棚構造16の組立に要する作業工程の短縮を図ることができる。構造が煩雑化することも防ぐことができる。また、この種のヒンジ体22は、ストッパー付きスプリング蝶番、或いはクリックヒンジと称される市販品として、種々のサイズ及び保持されたときの両ヒンジ羽根42・43の相対位置が異なるものが流通しており、これら市販品を使用することで棚構造16の使用用途に応じたヒンジ体22を適宜選択して取り付けることができるので、様々なバリエーションの棚構造16を容易に提供することができる。
【0054】
上記の各実施形態では、ヒンジ体22に組み込まれるばね45はねじりコイル形のもので構成したが、ばね45は板ばねで構成することもできる。付勢体23は、ヒンジ体22に組み込まれるねじりコイル形のばね45で構成したが、付勢体23はヒンジ体22と別体に設けた板ばねなどのばね体やロータリーダンパーなどで構成することができる。第2実施形態の保持機構62もヒンジ体22と別体に設けた、例えば磁気吸着による保持構造であってもよい。防止具本体20は、カードレール以外に丸棒を四角枠状に成形した転び止め枠や左右に長い板体からなる転び止め板で構成することもできる。この場合には丸棒の直径或いは板体の厚み寸法を取付溝58の前後寸法に一致させれば、転び止め枠或いは転び止め板を取付溝58に差込むだけで取付体21に取り付けることができる。上記の実施形態では、棚構造16に商品が収容された梱包箱Bを載置することについて説明したが、棚構造16には梱包箱から取り出した商品を載置(陳列)することもできる。本発明の棚構造16は、冷蔵(冷凍)或いは温蔵のショーケースだけでなく、冷蔵機能や温蔵機能を具備しない、商品を陳列するためのゴンドラと称される陳列棚に適用することもできる。
【符号の説明】
【0055】
17 載置面
18 棚本体
19 落下防止具
20 防止具本体
21 取付体
22 ヒンジ体
23 付勢体
24 天壁
26 縦壁
27 底壁
42 第1ヒンジ部材(第1ヒンジ羽根)
43 第2ヒンジ部材(第2ヒンジ羽根)
44 ヒンジ軸
45 ばね
51 上片
52 下片
53 前片
54 当接片
62 保持機構
63 ストッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8