(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174144
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】DCDC回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086837
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テー チェンコン
(72)【発明者】
【氏名】畢 特
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS05
5H730BB03
5H730BB11
5H730BB57
5H730DD04
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】変換効率を向上させることができる。
【解決手段】 実施形態のDCDC回路は、キャパシタ網と、第1のコイルと、第2のコイルと、前記第1のコイルの他端及び前記第2のコイルの他端と基準電位点との間に接続される平滑用キャパシタと、を具備し、前記キャパシタ網は、前記複数のスイッチにより、入力電圧が印加される入力ノードと前記第1のコイルの一端との間の配線経路上に前記第1のキャパシタを接続し、前記配線経路上の前記第1のキャパシタ同士の接続点と基準電位点との間に前記第2のキャパシタを接続する第1の状態と、前記第2のコイルの一端に前記第2のキャパシタを接続し、前記第2のキャパシタの一端と基準電位点との間及び前記第2のキャパシタの他端と基準電位点との間にそれぞれ前記第1のキャパシタを接続する第2の状態とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個以上の第1のキャパシタと1個以上の第2のキャパシタと複数のスイッチとを含むキャパシタ網と、
一端が前記キャパシタ網に接続される第1のコイルと、
一端が前記キャパシタ網に接続される第2のコイルと、
前記第1のコイルの他端及び前記第2のコイルの他端と基準電位点との間に接続される平滑用キャパシタと、を具備し、
前記キャパシタ網は、前記複数のスイッチにより、入力電圧が印加される入力ノードと前記第1のコイルの一端との間の配線経路上に前記第1のキャパシタを接続し、前記配線経路上の前記第1のキャパシタ同士の接続点と基準電位点との間に前記第2のキャパシタを接続する第1の状態と、前記第2のコイルの一端に前記第2のキャパシタを接続し、前記第2のキャパシタの一端と基準電位点との間及び前記第2のキャパシタの他端と基準電位点との間にそれぞれ前記第1のキャパシタを接続する第2の状態とを有する、
DCDC回路。
【請求項2】
前記キャパシタ網は、前記複数のスイッチにより、前記第1のコイルの一端及び前記第2のコイルの一端を基準電位点に接続する第3の状態を有する、
請求項1に記載のDCDC回路。
【請求項3】
前記キャパシタ網は、前記複数のスイッチにより、前記第1の状態、前記第3の状態、前記第1の状態及び前記第3の状態を循環的に繰り返す、
請求項2に記載のDCDC回路。
【請求項4】
前記キャパシタ網は、前記複数のスイッチにより、前記第1の状態において、前記第1のコイルの一端と基準電位点との間に前記第2のキャパシタを更に接続し、前記第2の状態において、前記第2のキャパシタと前記前記第2のコイルとの間に前記第2のキャパシタを更に接続する、
請求項1に記載のDCDC回路。
【請求項5】
前記キャパシタ網は、前記複数のスイッチにより、前記第1のコイルの一端及び前記第2のコイルの一端を基準電位点に接続する第3の状態を有し、
前記キャパシタ網は、前記複数のスイッチにより、前記第1の状態、前記第3の状態、前記第1の状態及び前記第3の状態を循環的に繰り返す、
請求項4に記載のDCDC回路。
【請求項6】
第1から第3のキャパシタと第1から第8スイッチとを含むキャパシタ網と、
一端が前記キャパシタ網に接続される第1のコイルと、
一端が前記キャパシタ網に接続される第2のコイルと、
前記第1のコイルの他端及び前記第2のコイルの他端と基準電位点との間に接続される平滑用キャパシタと、を具備し、
前記キャパシタ網は、前記第1から第8スイッチにより、入力電圧が印加される入力ノードと前記第1のコイルの一端との間の配線経路上に前記第1及び第3のキャパシタを接続し、前記配線経路上の前記第1のキャパシタと前記第3のキャパシタとの接続点と基準電位点との間に前記第2のキャパシタを接続する第1の状態と、前記第2のコイルの一端に前記第2のキャパシタを接続し、前記第2のキャパシタの一端と基準電位点との間に前記第1のキャパシタを接続し前記第2のキャパシタの他端と基準電位点との間に前記第3のキャパシタを接続する第2の状態とを有する、
DCDC回路。
【請求項7】
前記第1から第4スイッチは、それぞれ、入力電圧が印加される入力ノードと第1ノードとの間、前記第1ノードと第2ノードとの間、前記第2ノードと第3ノードとの間及び前記第3ノードと前記第2のコイルの一端との間に接続され、
前記第1のキャパシタは、前記第1ノードと第4ノードとの間に接続され、
前記第2のキャパシタは、前記第2ノードと前記第2のコイルの一端との間に接続され、
前記第3のキャパシタは、前記第3ノードと前記第1のコイルの一端との間に接続され、
前記第5スイッチは、前記第4ノードと前記第3ノードとの間を接続し、
前記第6スイッチは、前記第4ノードと前記第1のコイルの一端との間を接続し、
前記第7スイッチは、前記第1のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第8スイッチは、前記第2のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第1,3,5スイッチは、同時にオン、オフし、前記第2,4,6スイッチは、前記第1,3,5スイッチとは異なるタイミングで同時にオン、オフし、前記第7及び第8スイッチは、相互に異なるタイミングでオン、オフする、
請求項6に記載のDCDC回路。
【請求項8】
前記キャパシタ網は、第9及び第10スイッチを更に具備し、
前記第1から第4スイッチは、それぞれ、入力電圧が印加される入力ノードと第1ノードとの間、前記第1ノードと第2ノードとの間、前記第2ノードと第3ノードとの間及び前記第3ノードと前記第2のコイルの一端との間に接続され、
前記第1のキャパシタは、前記第1ノードと第4ノードとの間に接続され、
前記第2のキャパシタは、前記第2ノードと第5ノードとの間に接続され、
前記第3のキャパシタは、前記第3ノードと前記第1のコイルの一端との間に接続され、
前記第5スイッチは、前記第4ノードと前記第2ノードとの間を接続し、
前記第6スイッチは、前記第4ノードと基準電位点との間を接続し、
前記第7スイッチは、前記第5ノードと基準電位点との間を接続し、
前記第8スイッチは、前記第5ノードと前記第3ノードとの間を接続し、
前記第9スイッチは、前記第1のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第10スイッチは、前記第2のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第1,3,5,7スイッチは、同時にオン、オフし、前記第2,4,6,8スイッチは、前記第1,3,5,7スイッチとは異なるタイミングで同時にオン、オフし、前記第9及び第10スイッチは、相互に異なるタイミングでオン、オフする、
請求項6に記載のDCDC回路。
【請求項9】
前記第1から第4スイッチは、それぞれ、入力電圧が印加される入力ノードと第1ノードとの間、前記第1ノードと第2ノードとの間、前記第2ノードと第3ノードとの間及び前記第3ノードと前記第2のコイルの一端との間に接続され、
前記第1のキャパシタは、前記第1ノードと第4ノードとの間に接続され、
前記第2のキャパシタは、前記第2ノードと前記第2のコイルの一端との間に接続され、
前記第3のキャパシタは、前記第3ノードと前記第1のコイルの一端との間に接続され、
前記第5スイッチは、前記第4ノードと前記第2ノードとの間を接続し、
前記第6スイッチは、前記第4ノードと基準電位点との間を接続し、
前記第7スイッチは、前記第1のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第8スイッチは、前記第2のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第1,3,5スイッチは、同時にオン、オフし、前記第2,4,6スイッチは、前記第1,3,5スイッチとは異なるタイミングで同時にオン、オフし、前記第7及び第8スイッチは、相互に異なるタイミングでオン、オフする、
請求項6に記載のDCDC回路。
【請求項10】
第1から第4のキャパシタと第1から第11スイッチとを含むキャパシタ網と、
一端が前記キャパシタ網に接続される第1のコイルと、
一端が前記キャパシタ網に接続される第2のコイルと、
前記第1のコイルの他端及び前記第2のコイルの他端と基準電位点との間に接続される平滑用キャパシタと、を具備し、
前記キャパシタ網は、前記第1から第11スイッチにより、入力電圧が印加される入力ノードと前記第1のコイルの一端との間の配線経路上に前記第1及び第3のキャパシタを接続し、前記配線経路上の前記第1のキャパシタと前記第3のキャパシタとの接続点と基準電位点との間に前記第2のキャパシタを接続し、前記第2のコイルの一端と基準電位点との間に前記第4のキャパシタを接続する第1の状態と、前記第2のコイルの一端に前記第4のキャパシタ及び第2のキャパシタを直列に接続し、前記第2のキャパシタの一端と基準電位点との間に前記第1のキャパシタを接続し前記第2のキャパシタの他端と基準電位点との間に前記第3のキャパシタを接続する第2の状態とを有する、
DCDC回路。
【請求項11】
前記第1から第5スイッチは、それぞれ、入力電圧が印加される入力ノードと第1ノードとの間、前記第1ノードと第2ノードとの間、前記第2ノードと第3ノードとの間、前記第3ノードと第4ノードとの間及び前記第3ノードと前記第1のコイルの一端との間に接続され、
前記第1のキャパシタは、前記第1ノードと第5ノードとの間に接続され、
前記第2のキャパシタは、前記第2ノードと第6ノードとの間に接続され、
前記第3のキャパシタは、前記第3ノードと前記第1のコイルの一端との間に接続され、
前記第4のキャパシタは、前記第4ノードと前記第2のコイルの一端との間に接続され、
前記第6スイッチは、前記第5ノードと前記第1のコイルの一端との間を接続し、
前記第7スイッチは、前記第5ノードと前記第2ノードとの間を接続し、
前記第8スイッチは、前記第6ノードと前記第4ノードとの間を接続し、
前記第9スイッチは、前記第6ノードと前記第2のコイルの一端との間を接続し、
前記第10スイッチは、前記第1のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第11スイッチは、前記第2のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第1,3,5,7,9スイッチは、同時にオン、オフし、前記第2,4,6,8スイッチは、前記第1,3,5,7,9スイッチとは異なるタイミングで同時にオン、オフし、前記第10及び第11スイッチは、相互に異なるタイミングでオン、オフする、
請求項10に記載のDCDC回路。
【請求項12】
前記キャパシタ網は、第12及び第13スイッチを更に具備し、
前記第1から第5スイッチは、それぞれ、入力電圧が印加される入力ノードと第1ノードとの間、前記第1ノードと第2ノードとの間、前記第2ノードと第3ノードとの間、前記第3ノードと第4ノードとの間及び前記第3ノードと前記第1のコイルの一端との間に接続され、
前記第1のキャパシタは、前記第1ノードと第5ノードとの間に接続され、
前記第2のキャパシタは、前記第2ノードと第6ノードとの間に接続され、
前記第3のキャパシタは、前記第3ノードと第7ノードとの間に接続され、
前記第4のキャパシタは、前記第4ノードと前記第2のコイルの一端との間に接続され、
前記第6スイッチは、前記第5ノードと基準電位点との間を接続し、
前記第7スイッチは、前記第5ノードと前記第2ノードとの間を接続し、
前記第8スイッチは、前記第6ノードと前記第3ノードとの間を接続し、
前記第9スイッチは、前記第6ノードと前記基準電位点との間を接続し、
前記第10スイッチは、前記第7ノードと基準電位点との間を接続し、
前記第11スイッチは、前記第7ノードと前記第4ノードとの間を接続し、
前記第12スイッチは、前記第1のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第13スイッチは、前記第2のコイルと基準電位点との間を接続し、
前記第1,3,5,7,9,11スイッチは、同時にオン、オフし、前記第2,4,6,8,10スイッチは、前記第1,3,5,7,9,11スイッチとは異なるタイミングで同時にオン、オフし、前記第10及び第11スイッチは、相互に異なるタイミングでオン、オフする、
請求項10に記載のDCDC回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、DCDC回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DCDC回路として、コイル及びキャパシタとスイッチを用いた降圧型の回路が知られている。このDCDC回路は、スイッチのスイッチング動作により、コイルに印加する入力電圧のデューティ比を変化させることで、所望の出力電圧を得る。
【0003】
しかしながら、入力電圧に対して出力電圧を比較的大きく低下させる場合、例えば、出力電圧Voutと入力電圧Vinとの関係を、Vout<0.1×Vinにした場合には、スイッチングのオン時間が極めて短くなり、スイッチング損失が増大して変換効率が悪化するという欠点がある。
【0004】
また、トランスを利用して入力電圧を低下させた後、コイルに印加することにより、変換効率を向上させる方法も考えられる。しかしながら、この場合には、トランスが必要となり、DCDC回路の体積が増大するという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態は、変換効率を向上させることができるDCDC回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のDCDC回路は、2個以上の第1のキャパシタと、1個以上の第2のキャパシタと、複数のスイッチとを含むキャパシタ網と、一端が前記キャパシタ網に接続される第1のコイルと、一端が前記キャパシタ網に接続される第2のコイルと、前記第1のコイルの他端及び前記第2のコイルの他端と基準電位点との間に接続される平滑用キャパシタと、を具備し、前記キャパシタ網は、前記複数のスイッチにより、入力電圧が印加される入力ノードと前記第1のコイルの一端との間の配線経路上に前記第1のキャパシタを接続し、前記配線経路上の前記第1のキャパシタ同士の接続点と基準電位点との間に前記第2のキャパシタを接続する第1の状態と、前記第2のコイルの一端に前記第2のキャパシタを接続し、前記第2のキャパシタの一端と基準電位点との間及び前記第2のキャパシタの他端と基準電位点との間にそれぞれ前記第1のキャパシタを接続する第2の状態とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るDCDC回路を示す回路図。
【
図2】制御信号φ1,φ2,/φ1,/φ2を説明するためのタイミングチャート。
【
図3】各Step1~Step4におけるキャパシタ網Cnの接続関係を示す説明図。
【
図4】各Step1~Step4におけるキャパシタ網Cnの各キャパシタC1~C3とコイルL1,L2との接続関係を、スイッチSを省略して示す説明図。
【
図6】本実施形態における出力及び効果を説明するための説明図。
【
図10】制御信号φ1,φ2,/φ1,/φ2を説明するためのタイミングチャート。
【
図11】各Step1~Step4におけるキャパシタ網Cn11の各キャパシタC11~C14とコイルL1,L2との接続関係を、スイッチSを省略して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るDCDC回路を示す回路図である。本実施形態は、複数のキャパシタによるスイッチトキャパシタ回路を利用することで、変換効率を改善するものである。
【0011】
図1に示すように、DCDC回路1は、3つのキャパシタC1,C2,C3を含むキャパシタ網Cn、2つのコイルL1,L2及びコイルL1,L2と共に平滑回路を構成するキャパシタCsを含む。また、キャパシタ網Cnは、各キャパシタC1~C3とコイルL1,L2との接続関係を変更するためのスイッチS1p_1,S1p_2,S1p_3(以下、これらを区別しない場合には、スイッチS1pという),スイッチS2p_1,S2p_2,S2p_3(以下、これらを区別しない場合には、スイッチS2pという)及びスイッチS1n,S2nを有する。以下、スイッチS1p,S2p,S1n,S2nを総称して、スイッチSという。
【0012】
スイッチS1pは、制御信号φ1に基づいて、オン,オフし、スイッチS2pは、制御信号φ2に基づいて、オン,オフする。また、スイッチS1nは、制御信号φ1を反転させた制御信号/φ1に基づいて、オン,オフし、スイッチS2nは、制御信号φ2を反転させた制御信号/φ2に基づいて、オン,オフする。なお、スイッチSとしては、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタやGaN(窒化ガリウム)トランジスタ等の各種スイッチを採用することができる。
【0013】
DCDC回路1は、制御回路2によって制御されるようになっている。制御回路2は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたプロセッサによって構成されていてもよい。制御回路2は、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。制御回路2は、制御信号φ1,φ2,/φ1,/φ2(以下、これらを代表して制御信号φという)を生成し、生成した制御信号φを各スイッチSに供給して各スイッチSのオン,オフを制御するようになっている。制御回路2には、出力電圧Voutが入力される。制御回路2は、出力電圧Voutが所望の電圧となるように、制御信号φのデューティ比を調整するようになっている。
【0014】
(キャパシタ網Cnの構成)
入力電圧Vinが供給されるノード(以下、ノードNinという)とコイルL2の一端に接続されるノード(以下、ノードNL2という)との間には、スイッチS1p_1,S2p_1,S1p_2,S2p_2が直列に接続される。スイッチS1p_1とスイッチS2p_1との接続点をノードN1といい、スイッチS2p_1とスイッチS1p_2との接続点をノードN2といい、スイッチS1p_2とスイッチS2p_2との接続点をノードN3という。
【0015】
ノードN1は、キャパシタC1及びスイッチS2p_3を介してコイルL1の一端に接続されるノード(以下、ノードNL1という)に接続される。ノードNL1は、スイッチS1nを介して基準電位点に接続される。キャパシタC1とスイッチS2p_3との接続点(以下、ノードN4という)は、スイッチS1p_3を介してノードN3に接続され、ノードN3は、キャパシタC3を介してノードNL1に接続される。
【0016】
ノードN2は、キャパシタC2を介してノードNL2に接続され、ノードNL2は、スイッチS2nを介して基準電位点に接続される。
【0017】
コイルL1の他端及びコイルL2の他端は共通接続されて、出力電圧Voutを出力するノード(以下、ノードNoutという)に接続されると共に、キャパシタCsを介して基準電位点に接続される。
【0018】
(各ステップにおける接続状態)
図2は制御信号φ1,φ2,/φ1,/φ2を説明するためのタイミングチャートである。
【0019】
なお、以下の説明では、スイッチS1pは制御信号φ1のハイレベル(以下、Hレベルという)でオンし、ロウレベル(以下、Lレベルという)でオフするものとする。また、スイッチS2pは制御信号φ2のHレベルでオンし、Lレベルでオフするものとする。また、スイッチS1nは制御信号/φ1のHレベルでオンし、Lレベルでオフするものとする。また、スイッチS2nは制御信号/φ2のHレベルでオンし、Lレベルでオフするものとする。
【0020】
本実施形態においては、制御回路2は、制御信号φにより4つのステップ(Step1~Step4)を設定する。
図2のSt1~St4はそれぞれ4つのStep1~Step4の期間を示している。制御信号φ1は、期間St1においてHレベルであり、他の期間はLレベルである。制御信号/φ1は、期間St1においてLレベルであり、他の期間はHレベルである。制御信号φ2は、期間St3においてHレベルであり、他の期間はLレベルである。制御信号/φ2は、期間St3においてLレベルであり、他の期間はHレベルである。なお、Step1の期間St1とStep3の期間St3とは位相が180度ずれており、同様に、Step2の期間St2とStep4の期間St4とは位相が180度ずれている。
【0021】
従って、Step1の期間St1には、スイッチS1p,S2nがオンで、スイッチS2p,S1nがオフである。Step2の期間St2には、スイッチS1n,S2nがオンで、スイッチS1p,S2pがオフである。Step3の期間St3には、スイッチS2p,S1nがオンで、スイッチS1p,S2nがオフである。Step4の期間St4には、スイッチS1n,S2nがオンで、スイッチS1p,S2pがオフである。
【0022】
図3は各Step1~Step4におけるキャパシタ網Cnの接続関係を示す説明図である。
図3では太線によって、いずれのスイッチSが接続状態であるかを示している。
【0023】
図3の左上欄に示すように、Step1では、スイッチS1p,S2nがオンとなって、太線で示す接続が行われる。
図3の右上欄に示すように、Step2では、スイッチS1n,S2nがオンとなって、太線に示す接続が行われる。
図3の左下欄に示すように、Step3では、スイッチS2p,S1nがオンとなって、太線で示す接続が行われる。
図3の右下欄に示すように、Step4では、スイッチS1n,S2nがオンとなって、太線に示す接続が行われる。
【0024】
図4は各Step1~Step4におけるキャパシタ網Cnの各キャパシタC1~C3とコイルL1,L2との接続関係を、スイッチSを省略して示す説明図である。
【0025】
Step1においては、
図4の左上欄に示すように、ノードNinは、キャパシタC1を経由しノードN2~N4に接続され、更にキャパシタC3を介してコイルL1の一端(ノードNL1)に接続される。即ち、キャパシタ網Cnのうち、ノードNinとノードNL1との間には、奇数番のキャパシタC1,C3が直列に接続される。キャパシタC1,C3相互の接続点であるノードN2~N4と基準電位点との間には、偶数番のキャパシタC2が接続される。なお、コイルL2に接続されたノードNL2は、基準電位点に接続される。
【0026】
Step2においては、
図4の右上欄に示すように、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。
【0027】
Step3においては、
図4の右下欄に示すように、ノードN1,N2は、キャパシタC2を経由しノードN3,NL2を介してコイルL2の一端に接続される。即ち、キャパシタ網Cnのうち、ノードN1,N2とノードNL2との間には、偶数番のキャパシタC2が直列に接続される。ノードN1,N2と基準電位点との間には、奇数番のキャパシタC1が接続され、ノードN3,NL2と基準電位点との間には、奇数番のキャパシタC3が接続される。なお、コイルL1に接続されたノードNL1は、基準電位点に接続される。
【0028】
Step4においては、
図4の左下欄に示すように、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。
【0029】
(作用)
次に、このように構成された実施形態の作用について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は比較例を示す回路図であり、
図6は本実施形態における出力及び効果を説明するための説明図である。なお、
図6において、矢印は電流の向きを示している。
【0030】
図5の比較例は一般的なDCDC回路を示している。比較例のDCDC回路は、電源PとコイルLの一端との間にスイッチSW1が設けられると共に、コイルLの一端がスイッチSW2を介して基準電位点に接続される。コイルLの他端はコンデンサCを介して基準電位点に接続される。コイルLの他端から出力Voutが得られる。
【0031】
スイッチSW1,SW2は、交互にオンオフする。電源Pに発生する電圧Vinは、スイッチSW1により断続的にコイルLに印加される。SW1のオン期間には、電源PからスイッチSW1及びコイルLを経由して出力端に電流が流れる。この期間にはコイルLにエネルギが蓄積される。SW1のオフ期間には、コイルLの逆起電力によって、基準電位点からコイルLを経由して出力端に電流が流れる。コイルL及びキャパシタCによって、入力電圧Vinは平滑されて出力電圧Voutが得られる。
【0032】
スイッチSW1の切換周期におけるオン期間の割合(デューティ比)をDutyaとすると、Vout=Vin×Dutyaが成立する。つまり、Dutya=Vout/Vinとなる。
【0033】
図6の左上欄に示すStep1において、ノードNinからの入力電圧Vinにより、ノードNinからキャパシタ網Cnを経由してコイルL1に電流が流れる。これにより、コイルL1にエネルギが蓄積される。Step2において、コイルL1,コイルL2の一端は基準電位点に接続される。Step2では、コイルL1,L2に発生する逆起電力によって、基準電位点からコイルL1,L2を経由してノードNoutに電流が流れる。
【0034】
Step3においては、キャパシタ網CnはコイルL2に接続され、キャパシタ網Cnの充電電圧により、コイルL2に電流が流れる。これにより、コイルL2にエネルギが蓄積される。Step4において、コイルL1,コイルL2の一端は基準電位点に接続される。この場合には、コイルL1,L2に発生する逆起電力によって、基準電位点からコイルL1,L2を経由してノードNoutに電流が流れる。
【0035】
制御回路2は、制御信号φ1,φ2,/φ1,/φ2を発生して、各スイッチSを制御することで、Step1,Step2,Step3,Step4,Step1,…を循環的に繰り返す。これにより、ノードNoutから、入力電圧Vin及びスイッチSの周期に応じた出力電圧Voutが得られる。
【0036】
いま、定常状態において、キャパシタC1とキャパシタC3との接続点(ノードN2~N4)の電圧をVaとし、コイルL1の一端の電圧をVcとする。キャパシタC1の端子電圧をVb、キャパシタC3の端子電圧をVdとする。Step1において、ノードNinに入力電圧Vinが与えられて、キャパシタ網Cnの各キャパシタC1,C2,C3は充電される。Step3においては、キャパシタC1~C3の充電電圧により、コイルL1,L2に電流が流れる。
キャパシタC1~C3について電荷保存則により、下記(1)~(3)式が成立する。
Vin-Va=Vb …(1)
Va =Vb-Vd …(2)
Va-Vc =Vd …(3)
いま、Step1~Step4の周期を1として、Step1の期間、即ち、入力電圧Vinにより、コイルL1,L2に電流が流れる期間をDutyとすると、Step1の期間とStep1以外の期間とにおけるコイルL1についての磁束変化率保存則(Volt-Second-Balance-Principle)により、下記(4)式が成立する。
Duty×(Vc-Vout)=(1-Duty)×Vout
Duty×Vc=Vout …(4)
また、Step3の期間もStep1の期間と同じDutyであるものとする。コイルL2についての磁束変化率保存則により、下記(5)式が成立する。
Duty×(Vd-Vout)=(1-Duty)×Vout
Duty×Vd=Vout …(5)
上記(4),(5)式により、下記(6)式が得られる。
Vc=Vd …(6)
上記(1)~(3),(6)式により、下記(7)式が得られる。
Vin=5×Vc …(7)
上記(4),(7)式によって、下記(8)式が得られる。
Duty=5×(Vout/Vin) …(8)
上記(8)は比較例におけるDutyaに対して、本実施形態のDutyは、5倍の時間であることが分かる。即ち、本実施形態は、比較例と同一の入力電圧Vin及び出力電圧Voutの関係を得る場合において、比較例よりもスイッチのオン時間を5倍にすることが可能である。従って、スイッチング損失を低減して、高効率のDCDC回路を得ることができる。
【0037】
なお、実使用時には、制御回路2は、現在の出力電圧Voutが目標となる出力電圧Voutに一致するように、制御信号φのオン時間(デューティ比)を調整すればよい。
【0038】
なお、
図1において、ノードN4は、2つのスイッチS2p_3,S1nを介して基準電位点に接続される。また、ノードN4は、2つのスイッチS1p_3,S1P_2を介してノードN2に接続される。従って、ノードN4を1つのスイッチによって基準電位点又はノードN2に接続する場合に比べて、スイッチS2p_3,S1p_3の耐圧を下げることが可能である。
【0039】
このように本実施形態においては、入力電圧をキャパシタ網を経由してコイルに供給しており、入力電圧をスイッチを経由してコイルに供給する場合に比べて、必要な出力を得るためのスイッチのオン時間を長くすることができる。これにより、スイッチング損失を低減することが可能であり、高効率のDCDC回路を得ることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態を示す回路図である。
図7において
図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
本実施形態においては、キャパシタ網Cn1を採用する。キャパシタ網Cn1は、スイッチS1p_4,S2p_4を追加すると共に、スイッチS1p_3,S2p_3の接続先を変更した点が、
図1のキャパシタ網Cnと異なる。
【0042】
スイッチS1p_1,S1p_2,S1p_3及びS1p_4(以下、これらを区別しない場合には、スイッチS1pという)は、制御信号φ1によってオン,オフし、スイッチS2p_1,S2p_2,S2p_3及びS2p_4(以下、これらを区別しない場合には、スイッチS2pという)は、制御信号φ2によってオン,オフする。また、スイッチS1p,S2p,S1n,S2nを総称して、スイッチSという。スイッチSとしては、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタやGaN(窒化ガリウム)トランジスタ等の各種スイッチを採用することができる。
【0043】
ノードN4は、スイッチS2p_3を介して基準電位点に接続されると共に、スイッチS1p_3を介してノードN2に接続される。ノードN2は、キャパシタC2及びスイッチS1p_4を介して基準電位点に接続される。キャパシタC2とスイッチS1p_4との接続点(以下、ノードN5という)は、スイッチS2p_4を介してノードN3に接続される。
【0044】
このように構成された実施形態においても、各スイッチSに対する制御回路2の制御は、第1実施形態と同様である。即ち、制御回路2は、
図2に示す制御信号φを各スイッチSに与えてオン,オフ制御する。Step1では、スイッチS1p,S2nがオンとなる。Step2では、スイッチS1n,S2nがオンとなる。Step3では、スイッチS2p,S1nがオンとなる。Step4では、スイッチS1n,S2nがオンとなる。
【0045】
即ち、Step1においては、ノードNinは、キャパシタC1を経由しノードN2~N4に接続され、更にキャパシタC3を介してコイルL1の一端(ノードNL1)に接続される。即ち、キャパシタ網Cnのうち、ノードNinとノードNL1との間には、奇数番のキャパシタC1,C3が直列に接続される。キャパシタC1,C3相互の接続点であるノードN2は、偶数番のキャパシタC2の一端が接続され、キャパシタC2の他端は、スイッチS1p_4を経由して基準電位点に接続される。なお、コイルL2に接続されたノードNL2は、基準電位点に接続される。即ち、
図4の左上欄と同じ接続状態となる。
【0046】
Step2においては、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。即ち、
図4の右上欄と同じ接続状態となる。
【0047】
Step3においては、ノードN1,N2は、キャパシタC2を経由しノードN5,N3,NL2を介してコイルL2の一端に接続される。即ち、キャパシタ網Cnのうち、ノードN1,N2とノードNL2との間には、偶数番のキャパシタC2が直列に接続される。ノードN1,N2と基準電位点との間には、奇数番のキャパシタC1が接続され、ノードN2,N3,NL2と基準電位点との間には、奇数番のキャパシタC3が接続される。なお、コイルL1に接続されたノードNL1は、基準電位点に接続される。即ち、
図4の右下欄と同じ接続状態となる。
【0048】
Step4においては、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。即ち、
図4の左下欄と同じ接続状態となる。
【0049】
即ち、本実施形態においても、各Step1~Step4は、第1の実施形態と同じ接続状態となる。従って、本実施形態においても、入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの関係は、上記(8)式で与えられる。つまり、比較例に対して、必要な出力を得るためのスイッチのオン時間を長くすることができる。これにより、スイッチング損失を低減することが可能であり、高効率のDCDC回路を得ることができる。
【0050】
このように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態を示す回路図である。
図8において
図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
本実施形態においては、キャパシタ網Cn2を採用する。キャパシタ網Cn2は、スイッチS1p_3によりノードN4とノードN3との間を接続するのではなく、スイッチS1p_3によりノードN4とノードN2とを接続すると共に、ノードN4をスイッチS2p_3を経由してノードNL1に接続するのではなく、N4をスイッチS2p_3を介して基準電位点に接続するようにした点が、
図1のキャパシタ網Cnと異なる。
【0053】
このように構成された実施形態においても、各スイッチSに対する制御回路2の制御は、第1実施形態と同様である。即ち、制御回路2は、
図2に示す制御信号φを各スイッチSに与えてオン,オフ制御する。Step1では、スイッチS1p,S2nがオンとなる。Step2では、スイッチS1n,S2nがオンとなる。Step3では、スイッチS2p,S1nがオンとなる。Step4では、スイッチS1n,S2nがオンとなる。
【0054】
即ち、Step1においては、ノードNinは、キャパシタC1を経由しノードN2~N4に接続され、更にキャパシタC3を介してコイルL1の一端(ノードNL1)に接続される。即ち、キャパシタ網Cnのうち、ノードNinとノードNL1との間には、奇数番のキャパシタC1,C3が直列に接続される。キャパシタC1,C3相互の接続点であるノードN2~N4は、偶数番のキャパシタC2の一端が接続され、キャパシタC2の他端は、スイッチS2nを経由して基準電位点に接続される。なお、コイルL2に接続されたノードNL2は、基準電位点に接続される。即ち、
図4の左上欄と同じ接続状態となる。
【0055】
Step2においては、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。即ち、
図4の右上欄と同じ接続状態となる。
【0056】
Step3においては、ノードN1,N2は、キャパシタC2を経由しノードNL2を介してコイルL2の一端に接続される。即ち、キャパシタ網Cnのうち、ノードN1,N2とノードNL2との間には、偶数番のキャパシタC2が直列に接続される。ノードN1,N2と基準電位点との間には、奇数番のキャパシタC1が接続され、ノードN3,NL2と基準電位点との間には、奇数番のキャパシタC3が接続される。なお、コイルL1に接続されたノードNL1は、基準電位点に接続される。即ち、
図4の右下欄と同じ接続状態となる。
【0057】
Step4においては、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。即ち、
図4の左下欄と同じ接続状態となる。
【0058】
即ち、本実施形態においても、各Step1~Step4は、第1の実施形態と同じ接続状態となる。従って、本実施形態においても、入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの関係は、上記(8)式で与えられる。つまり、比較例に対して、必要な出力を得るためのスイッチのオン時間を長くすることができる。これにより、スイッチング損失を低減することが可能であり、高効率のDCDC回路を得ることができる。
【0059】
このように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(第4の実施形態)
図9は本発明の第4の実施形態を示す回路図である。
図9において
図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
図9に示すように、DCDC回路10は、4つのキャパシタC11,C12,C13,C14を含むキャパシタ網Cn11、2つのコイルL1,L2及びコイルL1,L2と共に平滑回路を構成するキャパシタCsを含む。また、キャパシタ網Cn11は、各キャパシタC11~C14とコイルL1,L2との接続関係を変更するためのスイッチS1p_11~S1p_16(以下、これらを区別しない場合には、スイッチS1pという)、スイッチS2p_11~S2p_16(以下、これらを区別しない場合には、スイッチS2pという)及びスイッチS1n,S2nを有する。以下、スイッチS1p,S2p,S1n,S2nを総称して、スイッチSという。
【0062】
スイッチS1pは、制御信号φ1に基づいて、オン,オフし、スイッチS2pは、制御信号φ2に基づいて、オン,オフする。また、スイッチS1nは、制御信号φ1を反転させた制御信号/φ1に基づいて、オン,オフし、スイッチS2nは、制御信号φ2を反転させた制御信号/φ2に基づいて、オン,オフする。なお、スイッチSとしては、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタやGaN(窒化ガリウム)トランジスタ等の各種スイッチを採用することができる。
【0063】
DCDC回路10は、制御回路2によって制御されるようになっている。制御回路2は、制御信号φを生成し、生成した制御信号φを各スイッチSに供給して各スイッチSのオン,オフを制御するようになっている。
【0064】
入力電圧Vinが供給されるノードNinとコイルL1の一端に接続されるノード(ノードNL1)との間には、スイッチS1p_11,S2p_11,S1p_12,S2p_12,S1p_13が直列に接続される。スイッチS1p_11とスイッチS2p_11との接続点をノードN11といい、スイッチS2p_11とスイッチS1p_12との接続点をノードN12といい、スイッチS1p_12とスイッチS2p_12との接続点をノードN13といい、スイッチS2p_12とスイッチS1p_13との接続点をノードN14という。
【0065】
ノードN11は、キャパシタC11及びスイッチS1p_14を介してノードN12に接続される。キャパシタC11とスイッチS1p_14との接続点(以下、ノードN15という)は、スイッチS2p_14を介して基準電位点に接続される。
【0066】
ノードN12は、キャパシタC12及びスイッチS2p_15を介してノードN13に接続される。キャパシタC12とスイッチS2p_15との接続点(以下、ノードN16という)は、スイッチS1p_15を介して基準電位点に接続される。
【0067】
ノードN13は、キャパシタC13及びスイッチS1p_16を介してノードN14に接続される。キャパシタC13とスイッチS1p_16との接続点(以下、ノードN17という)は、スイッチS2p_16を介して基準電位点に接続される。
【0068】
ノードN14は、キャパシタC14を介してコイルL2の一端に接続されるノード(ノードNL2)に接続され、ノードNL2は、スイッチS2nを介して基準電位点に接続される。
【0069】
ノードNL1は、スイッチS1nを介して基準電位点に接続される。コイルL1の他端及びコイルL2の他端は共通接続されて、出力電圧Voutを出力するノード(以下、ノードNoutという)に接続されると共に、キャパシタCsを介して基準電位点に接続される。
【0070】
(各ステップにおける接続状態)
図10は制御信号φ1,φ2,/φ1,/φ2を説明するためのタイミングチャートである。
【0071】
本実施形態においても、各スイッチSは、制御信号φのHレベルでオンし、制御信号φのLレベルでオフするものとする。また、本実施形態においても、制御回路2は、制御信号φにより4つのステップ(Step1~Step4)を設定する。
図10のSt1~St4はそれぞれ4つのStep1~Step4の期間を示している。制御信号φ1は、期間St1においてHレベルであり、他の期間はLレベルである。制御信号/φ1は、期間St1においてLレベルであり、他の期間はHレベルである。制御信号φ2は、期間St3においてHレベルであり、他の期間はLレベルである。制御信号/φ2は、期間St3においてLレベルであり、他の期間はHレベルである。
【0072】
従って、本実施形態においても、Step1の期間St1には、スイッチS1p,S2nがオンで、スイッチS2p,S1nがオフである。Step2の期間St2には、スイッチS1n,S2nがオンで、スイッチS1p,S2pがオフである。Step3の期間St3には、スイッチS2p,S1nがオンで、スイッチS1p,S2nがオフである。Step4の期間St4には、スイッチS1n,S2nがオンで、スイッチS1p,S2pがオフである。
【0073】
図11は各Step1~Step4におけるキャパシタ網Cn11の各キャパシタC11~C14とコイルL1,L2との接続関係を、スイッチSを省略して示す説明図である。
【0074】
Step1では、スイッチS1p,S2nがオンとなる。これにより、ノードNinは、キャパシタC11を経由しノードN15からノードN12,N13を介してキャパシタC12,C13に接続される。キャパシタC12は、スイッチS1p_15を介して基準電位点に接続される。また、キャパシタC13は、ノードN17,N14を介してキャパシタC14に接続されると共にノードNL1を介してコイルL1の一端に接続される。キャパシタC14は、スイッチS2nを介して基準電位点に接続される。即ち、
図11の左上欄に示すように、ノードNinとコイルL1に接続されるノードNL1との間に、奇数番のキャパシタC11,C13が接続され、キャパシタC13の両端と基準電位点との間には、それぞれ偶数番のC12,キャパシタC14が接続される。
【0075】
Step2では、スイッチS1n,S2nがオンとなる。これにより、
図11の右上欄に示すように、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。
【0076】
Step3では、スイッチS2p,S1nがオンとなる。これにより、キャパシタC11の一端は、ノードN11,N12を介してキャパシタC12に接続される。キャパシタC11の他端は、スイッチS2p_14を介して基準電位点に接続される。キャパシタC12は、ノードN16,N13を介してキャパシタC13に接続され、キャパシタC13は、スイッチS2p_16を介して基準電位点に接続される。また、ノードN13は、ノードN14を介してキャパシタC14の一端に接続され、キャパシタC14の他端はノードNL2を介してコイルL2の一端に接続される。また、コイルL1の一端はスイッチS1nを介して基準電位点に接続される。即ち、
図11の右下欄に示すように、ノードN12,N15とコイルL2に接続されるノードNL2との間には、偶数番のキャパシタC12,C14が接続され、キャパシタC12の両端と基準電位点との間には、それぞれキャパシタC11,C13が接続される。
【0077】
Step4では、スイッチS1n,S2nがオンとなる。これにより、
図11の左下欄に示すように、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。
【0078】
(作用)
次に、このように構成された実施形態の作用について
図11を参照して説明する。なお、
図11において、矢印は電流の向きを示している。
【0079】
各Step1~Step4における動作は、第1の実施形態と同様である。本実施形態においては、入力電圧Vinに対して出力電圧Voutを得るために必要なオン時間が第1の実施形態と異なる。即ち、Step1~Step4の周期を1として、Step1の期間、即ち、入力電圧Vinにより、コイルL1,L2に電流が流れる期間をDuty2とすると、Duty2は、入力電圧Vinと出力電圧Voutを用いて下記(9)式により表される。
Duty2=8×(Vout/Vin) …(9)
上記(8)は比較例におけるDutyaに対して、本実施形態のDuty2は、6倍の時間であることが分かる。即ち、本実施形態は、比較例と同一の入力電圧Vin及び出力電圧Voutの関係を得る場合において、比較例よりもスイッチのオン時間を8倍にすることが可能である。従って、スイッチング損失を低減して、高効率のDCDC回路を得ることができる。
【0080】
このように本実施形態においては、ノードNinとコイルL1に接続されるノードNL1との間に奇数番の2つのキャパシタを接続し、この接続ラインと基準電位点との間に偶数番の2つのキャパシタを接続するキャパシタ網によって、入力電圧Vinを降圧した後コイルL1に印加することが可能である。これにより、入力電圧をスイッチを経由してコイルに供給する場合に比べて、必要な出力を得るためのスイッチのオン時間をより長くすることができる。このように、本実施形態においても上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
(第5の実施形態)
図12は本発明の第5の実施形態を示す回路図である。
図12において
図9と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0082】
図12に示すように、DCDC回路20は、スイッチS1p_16,S2p_16を省略すると共に、ノードN15をスイッチS2p_14を介してノードNL1に接続し、ノードN16をスイッチS1p_15を介してノードNL2に接続し、ノードN16をスイッチS2p_15を介してノードN14に接続し、ノードN13をキャパシタC13を介してノードNL1に接続した点が、
図9のDCDC回路10と異なる。
【0083】
Step1では、スイッチS1p,S2nがオンとなる。これにより、ノードNinは、キャパシタC11を経由しノードN15からノードN12,N13を介してキャパシタC12,C13に接続される。キャパシタC12は、スイッチS1p_15,S2nを介して基準電位点に接続される。また、キャパシタC13は、ノードNL1,N14を介してキャパシタC14に接続されると共にノードNL1を介してコイルL1の一端に接続される。キャパシタC14は、スイッチS2nを介して基準電位点に接続される。即ち、Step1においては、
図11の左上欄に示すように、ノードNinとコイルL1に接続されるノードNL1との間に、奇数番のキャパシタC11,C13が接続され、キャパシタC13の両端と基準電位点との間には、それぞれ偶数番のC12,キャパシタC14が接続される。
【0084】
Step2では、スイッチS1n,S2nがオンとなる。これにより、
図11の右上欄に示すように、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。
【0085】
Step3では、スイッチS2p,S1nがオンとなる。これにより、キャパシタC11の一端は、ノードN11,N12を介してキャパシタC12に接続される。キャパシタC11の他端は、スイッチS2p_14,S1nを介して基準電位点に接続される。キャパシタC12は、ノードN16,N14,N13を介してキャパシタC13の一端に接続され、キャパシタC13の他端は、スイッチS1nを介して基準電位点に接続される。また、キャパシタC13は、ノードN13,N14を介してキャパシタC14に接続され、キャパシタC14はノードNL2を介してコイルL2の一端に接続される。また、コイルL1の一端はスイッチS1nを介して基準電位点に接続される。即ち、
図11の右下欄に示すように、ノードN12,N15とコイルL2に接続されるノードNL2との間には、偶数番のキャパシタC12,C14が接続され、キャパシタC12の両端と基準電位点との間には、それぞれキャパシタC11,C13が接続される。
【0086】
Step4では、スイッチS1n,S2nがオンとなる。これにより、
図11の左下欄に示すように、コイルL1の一端に接続されたノードNL1及びコイルL2の一端に接続されたノードNL2は、いずれも基準電位点に接続される。
【0087】
このように、本実施形態においては、各Step1~Step4における接続状態は
図11と同じとなる。従って、本実施形態においても、第4の実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0088】
なお、ノードN15は、2つのスイッチS2p_14,S1nを経由して基準電位点に接続されており、
図9の例に比べてスイッチS2p_14の耐圧を低下させることが可能である。
【0089】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0090】
1…DCDC回路、2…制御回路、C1~C3,Cs,C11~C14…キャパシタ、Cn…キャパシタ網、L1,L2…コイル、S,S1n,S1p,S2n,S2p…スイッチ。