(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174151
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電波時計
(51)【国際特許分類】
G04R 60/10 20130101AFI20231130BHJP
G04G 19/00 20060101ALI20231130BHJP
G04G 21/04 20130101ALI20231130BHJP
G04C 9/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G04R60/10
G04G19/00 B
G04G21/04
G04C9/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086849
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 彬允
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕之
【テーマコード(参考)】
2F002
2F101
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AB02
2F002AB03
2F002AB06
2F002AC01
2F002AC03
2F002BB04
2F002FA16
2F101CJ12
(57)【要約】
【課題】金属製の文字板30を有する電波時計において、受信感度が低下することを抑制する。
【解決手段】電波時計1は、金属製の文字板30と、文字板30の下側に設けられるアンテナユニット40と、指針を駆動させる駆動機構を少なくとも含むムーブメント20と、を有し、アンテナユニット40は、アンテナコア41と、アンテナコア41に巻回されるコイル42と、アンテナコア41の端部に磁気的に結合されており、ムーブメント20の内側に配置される一対の内側アンテナエレメント44と、アンテナコア41の端部に磁気的に結合されており、ムーブメント20の外側に配置されると共に、平面視において文字板30と少なくとも一部が重ならないように配置される一対の外側アンテナエレメント45と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の文字板と、
前記文字板の下側に設けられるアンテナユニットと、
指針を駆動させる駆動機構を少なくとも含むムーブメントと、
を有し、
アンテナユニットは、
アンテナコアと、
前記アンテナコアに巻回されるコイルと、
前記アンテナコアの端部に磁気的に結合されており、前記ムーブメントの内側に配置される一対の内側アンテナエレメントと、
前記アンテナコアの端部に磁気的に結合されており、前記ムーブメントの外側に配置されると共に、平面視において前記文字板と少なくとも一部が重ならないように配置される一対の外側アンテナエレメントと、
を有する電波時計。
【請求項2】
前記アンテナコアの端部に接続される一対の接続ブロックを有し、
前記ムーブメントは、その外形を構成する側壁を有すると共に、前記駆動機構を保持する地板を含み、
前記内側アンテナエレメントは、前記側壁の内側で前記接続ブロックに接続されると共に、前記外側アンテナエレメントは、前記側壁の外側で前記接続ブロックに接続される、
請求項1に記載の電波時計。
【請求項3】
前記外側アンテナエレメントは、前記側壁を介して前記内側アンテナエレメントと離間するように設けられている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項4】
平面視において、前記文字板の中心と前記外側アンテナエレメントの先端とを結ぶ直線と、前記文字板の中心と前記外側アンテナエレメントの末端とを結ぶ直線とが成す角は、平面視において、前記文字板の中心と前記内側アンテナエレメントの先端とを結ぶ直線と、前記文字板の中心と前記内側アンテナエレメントの末端とを結ぶ直線とが成す角よりも大きい、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項5】
平面視において、前記内側アンテナエレメントの全体が、前記外側アンテナエレメントと、前記文字板の中心と前記外側アンテナエレメントの先端とを結ぶ直線と、前記文字板の中心と前記外側アンテナエレメントの末端とを結ぶ直線とから成る扇状領域と重なっている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項6】
前記外側アンテナエレメントは、上下方向において前記文字板と離間するように配置されている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項7】
環状の胴を含む外装ケースを有し、
前記ムーブメントは、その外形を構成する非金属製の側壁を有すると共に、前記駆動機構を保持する地板を含み、
前記外側アンテナエレメントは、前記胴と前記ムーブメントとの間に設けられており、
前記外側アンテナエレメントと前記胴の内壁との間の距離は、前記外側アンテナエレメントと前記ムーブメントの側壁との間の距離よりも長い、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項8】
前記内側アンテナエレメントは、板状であり、その面が上下方向を向くように配置されており、
前記外側アンテナエレメントは、板状であり、その面が上下方向に垂直な方向を向くように配置されている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項9】
平面視において前記文字板の縁に沿うように配置される金属製であって環状の見返しリングを有し、
前記文字板は、前記見返しリングと径方向において離間するように配置されている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項10】
平面視において前記文字板の縁に沿うように配置される金属製であって環状の見返しリングを有し、
前記文字板は、前記見返しリングと上下方向において離間するように配置されている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項11】
平面視において前記文字板の縁に沿うように配置される非金属製であって環状の見返しリングを有し、
前記見返しリングは、平面視において、前記外側アンテナエレメントと重なるように設けられている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項12】
外光を受光することで発電する太陽電池を有し、
前記外側アンテナエレメントは、平面視において、前記太陽電池と重ならないように配置されている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項13】
前記太陽電池は、前記文字板よりも径の大きい環状であって、
前記外側アンテナエレメントは、径方向において前記太陽電池よりも内側に設けられている、
請求項12に記載の電波時計。
【請求項14】
外光を受光することで発電する太陽電池を有し、
前記太陽電池は、前記文字板よりも径の大きい環状であって、
前記外側アンテナエレメントは、径方向において前記太陽電池よりも外側に設けられると共に、その上端が前記太陽電池の下端よりも高い位置に設けられている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項15】
前記ムーブメントは、その外形を構成する非金属製の側壁を有すると共に、前記駆動機構を保持する地板を含み、
前記外側アンテナエレメントは、シート状であって、少なくとも一部が前記内側アンテナエレメントの延伸方向に沿うように前記側壁に張り付けられている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項16】
環状のベゼルを含む外装ケースを有し、
前記ベゼルは、径方向内側に突出することで、平面視において、少なくとも一部が前記文字板と重なる庇部を有し、
前記文字板と前記庇部の間には非金属製のスペーサが設けられている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項17】
前記文字板は、非金属製である外縁部を含み、
前記外側アンテナエレメントは、平面視において、少なくとも一部が前記外縁部に重なるように設けられている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【請求項18】
外光を受光することで発電する太陽電池を有し、
前記太陽電池は、平面視において、少なくとも一部が前記外縁部に重なるように設けられている、
請求項17に記載の電波時計。
【請求項19】
前記文字板を支持すると共に、前記文字板よりも径の大きい非金属製の支持体を有し、
前記外側アンテナエレメントは、平面視において、前記文字板に重ならず、かつ少なくとも一部が前記支持体に重なるように設けられている、
請求項1又は2に記載の電波時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アンテナと集磁部材を備える電波修正時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電波時計において、デザイン性を向上するため金属製の文字板を用いるとよい。しかしながら、例えば特許文献1に開示される電波修正時計に金属製の文字板を採用した場合、電波が金属の影響を受け、アンテナにおける受信感度が低下してしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、金属製の文字板を有する電波時計において、受信感度が低下することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)金属製の文字板と、前記文字板の下側に設けられるアンテナユニットと、指針を駆動させる駆動機構を少なくとも含むムーブメントと、を有し、アンテナユニットは、アンテナコアと、前記アンテナコアに巻回されるコイルと、前記アンテナコアの端部に磁気的に結合されており、前記ムーブメントの内側に配置される一対の内側アンテナエレメントと、前記アンテナコアの端部に磁気的に結合されており、前記ムーブメントの外側に配置されると共に、平面視において前記文字板と少なくとも一部が重ならないように配置される一対の外側アンテナエレメントと、を有する電波時計。
【0007】
(2)(1)において、前記アンテナコアの端部に接続される一対の接続ブロックを有し、前記ムーブメントは、その外形を構成する側壁を有すると共に、前記駆動機構を保持する地板を含み、前記内側アンテナエレメントは、前記側壁の内側で前記接続ブロックに接続されると共に、前記外側アンテナエレメントは、前記側壁の外側で前記接続ブロックに接続される、電波時計。
【0008】
(3)(1)又は(2)において、前記外側アンテナエレメントは、前記側壁を介して前記内側アンテナエレメントと離間するように設けられている、電波時計。
【0009】
(4)(1)~(3)のいずれかにおいて、平面視において、前記文字板の中心と前記外側アンテナエレメントの先端とを結ぶ直線と、前記文字板の中心と前記外側アンテナエレメントの末端とを結ぶ直線とが成す角は、平面視において、前記文字板の中心と前記内側アンテナエレメントの先端とを結ぶ直線と、前記文字板の中心と前記内側アンテナエレメントの末端とを結ぶ直線とが成す角よりも大きい、電波時計。
【0010】
(5)(1)~(3)のいずれかにおいて、平面視において、前記内側アンテナエレメントの全体が、前記外側アンテナエレメントと、前記文字板の中心と前記外側アンテナエレメントの先端とを結ぶ直線と、前記文字板の中心と前記外側アンテナエレメントの末端とを結ぶ直線とから成る扇状領域と重なっている、電波時計。
【0011】
(6)(1)~(5)のいずれかにおいて、前記外側アンテナエレメントは、上下方向において前記文字板と離間するように配置されている、電波時計。
【0012】
(7)(1)~(6)のいずれかにおいて、環状の胴を含む外装ケースを有し、前記ムーブメントは、その外形を構成する非金属製の側壁を有すると共に、前記駆動機構を保持する地板を含み、前記外側アンテナエレメントは、前記胴と前記ムーブメントとの間に設けられており、前記外側アンテナエレメントと前記胴の内壁との間の距離は、前記外側アンテナエレメントと前記ムーブメントの側壁との間の距離よりも長い、電波時計。
【0013】
(8)(1)~(7)のいずれかにおいて、前記内側アンテナエレメントは、板状であり、その面が上下方向を向くように配置されており、前記外側アンテナエレメントは、板状であり、その面が上下方向に垂直な方向を向くように配置されている、電波時計。
【0014】
(9)(1)~(8)のいずれかにおいて、平面視において前記文字板の縁に沿うように配置される金属製であって環状の見返しリングを有し、前記文字板は、前記見返しリングと径方向において離間するように配置されている、電波時計。
【0015】
(10)(1)~(8)のいずれかにおいて、平面視において前記文字板の縁に沿うように配置される金属製であって環状の見返しリングを有し、前記文字板は、前記見返しリングと上下方向において離間するように配置されている、電波時計。
【0016】
(11)(1)~(8)のいずれかにおいて、平面視において前記文字板の縁に沿うように配置される非金属製であって環状の見返しリングを有し、前記見返しリングは、平面視において、前記外側アンテナエレメントと重なるように設けられている、電波時計。
【0017】
(12)(1)~(11)のいずれかにおいて、外光を受光することで発電する太陽電池を有し、前記外側アンテナエレメントは、平面視において、前記太陽電池と重ならないように配置されている、電波時計。
【0018】
(13)(12)において、前記太陽電池は、前記文字板よりも径の大きい環状であって、前記外側アンテナエレメントは、径方向において前記太陽電池よりも内側に設けられている、電波時計。
【0019】
(14)(1)~(11)のいずれかにおいて、外光を受光することで発電する太陽電池を有し、前記太陽電池は、前記文字板よりも径の大きい環状であって、前記外側アンテナエレメントは、径方向において前記太陽電池よりも外側に設けられると共に、その上端が前記太陽電池の下端よりも高い位置に設けられている、電波時計。
【0020】
(15)(1)~(14)のいずれかにおいて、前記ムーブメントは、その外形を構成する非金属製の側壁を有すると共に、前記駆動機構を保持する地板を含み、前記外側アンテナエレメントは、シート状であって、少なくとも一部が前記内側アンテナエレメントの延伸方向に沿うように前記側壁に張り付けられている、電波時計。
【0021】
(16)(1)~(15)のいずれかにおいて、環状のベゼルを含む外装ケースを有し、前記ベゼルは、径方向内側に突出することで、平面視において、少なくとも一部が前記文字板と重なる庇部を有し、前記文字板と前記庇部の間には非金属製のスペーサが設けられている、電波時計。
【0022】
(17)(1)~(16)のいずれかにおいて、前記文字板は、非金属製である外縁部を含み、前記外側アンテナエレメントは、平面視において、少なくとも一部が前記外縁部に重なるように設けられている、電波時計。
【0023】
(18)(17)において、外光を受光することで発電する太陽電池を有し、前記太陽電池は、平面視において、少なくとも一部が前記外縁部に重なるように設けられている、電波時計。
【0024】
(19)(1)~(16)のいずれかにおいて、前記文字板を支持すると共に、前記文字板よりも径の大きい非金属製の支持体を有し、前記外側アンテナエレメントは、平面視において、前記文字板に重ならず、かつ少なくとも一部が前記支持体に重なるように設けられている、電波時計。
【発明の効果】
【0025】
上記本発明の(1)~(19)の側面によれば、金属製の文字板を有する電波時計において、受信感度が低下することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態に係る電波時計の胴及びアンテナユニットを示す平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る電子時計の外装ケース及び文字板を示す平面図である。
【
図3】
図1のIII-III切断線で切り取った断面を示す断面図である。
【
図4】本実施形態におけるアンテナユニットを下側から見た様子を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態におけるアンテナユニットの断面を示す断面斜視図である。
【
図6】第2実施形態におけるアンテナユニット及び太陽電池を示す平面図である。
【
図7】
図6のVII-VII切断線で切り取った切断面を示す断面図である。
【
図8】第2実施形態の第1変形例におけるアンテナユニット及び太陽電池を示す平面図である。
【
図9】
図8のIX-IX切断線で切り取った切断面を示す断面図である。
【
図10】第2実施形態の第2変形例に係る電波時計の断面の一部を示す断面図である。
【
図11】第2実施形態の第3変形例に係る電波時計の断面の一部を示す断面図である。
【
図12】第3実施形態に係る電波時計の断面の一部を示す断面図である。
【
図13】第3実施形態における文字板の一例を示す平面図である。
【
図14】第3実施形態の第1変形例における文字板を示す平面図である。
【
図15】第3実施形態の第2変形例における文字板及び支持板の構成例を示す断面図である。
【
図16】第2実施形態に係る電波時計の断面の一部を示す断面図であって、環状の太陽電池の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の各実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0028】
[電波時計1の概要]
まず、
図1~3を参照して、第1実施形態に係る電波時計1の概要を説明する。
図1は、第1実施形態に係る電波時計の胴及びアンテナユニットを示す平面図である。
図2は、第1実施形態に係る電子時計の外装ケース及び文字板を示す平面図である。
図3は、
図1のIII-III切断線で切り取った断面を示す断面図である。
【0029】
図1においては、アンテナユニット40の構成及び配置を示すため、外装ケース10のうち胴11のみを図示している。
図1においては、文字板30及び文字板30上で駆動する指針の図示を省略するが、指針が取り付けられる指針軸が配置される文字板30の中心Oを示している。
図3においては、アンテナコア41、コイル42、及び外側アンテナエレメント45を通る切断線で切り取った切断面を示している。
【0030】
電波時計1は、アンテナユニット40において受信される時刻情報に基づいて時刻を修正する機能を有する腕時計であるとよい。アンテナユニット40は、例えば、30~80KHz程度の長波標準波を受信可能に設計されているとよい。アンテナユニット40の構成の詳細については後述する。
【0031】
電波時計1は、少なくとも、外装を構成する外装ケース10、ムーブメント20、文字板30、アンテナユニット40、太陽電池50、及び風防90を含む。
【0032】
外装ケース10は、胴11、ベゼル12、見返しリング13、裏蓋14を含む。胴11は、環状であって、その内側にムーブメント20等を収容する。ベゼル12は、風防90を保持すると共に胴11に固定されている。見返しリング13は、文字板30の縁に沿うように設けられる環状の部材であって、ベゼル12に固定されている。裏蓋14は、胴11の下側を密閉するように胴11に固定される。
【0033】
胴11、ベゼル12、及び裏蓋14は、金属製であって、例えば、ステンレスやチタン合金等から成るとよい。見返しリング13は、金属製であって、例えば、真鍮から成るとよい。
【0034】
第1実施形態において、電波時計1を装着するユーザの視認側を上側とし、その反対側を下側とする。すなわち、
図3において風防90が配置される側が上側であり、裏蓋14が配置される側が下側である。なお、
図1~
図3で示す外装ケース10の形状は一例であってこれに限られるものではない。
【0035】
ムーブメント20は、アンテナユニット40、指針を駆動させる駆動機構、計時機能を担う制御回路等が、地板21と呼ばれる枠に一体に組付けられて構成される。ムーブメント20は、文字板30の下側に配置されている。なお、
図1、
図3においては、ムーブメント20のうち地板21の外形のみを破線で示しており、地板21に組付けられる各種部品については図示を省略している。
【0036】
第1実施形態において、文字板30は金属製である。文字板30を金属製にすることにより高級感を演出することができ、デザイン性が向上する。文字板30は、例えば、真鍮から成るとよい。
【0037】
太陽電池50は、外光を受光することにより発電する発電機である。太陽電池50は、
図3に示すように、文字板30の下側に配置されている。太陽電池50は、円板状であるとよい。太陽電池50は、例えば、半導体層と、半導体層を挟む一対の電極層と含むとよい。太陽電池50の半導体層は、入射光を電気に変換する機能を有する層であり、例えば、アモルファスシリコン等から成るとよい。ただし、これに限られるものではなく、結晶シリコン等、他の半導体を半導体層として用いてもよい。一対の電極層は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、FTO(Fluorine-doped Tin Oxide)、Al(アルミニウム)、Au(金)、Ag(銀)等から成るとよい。
【0038】
太陽電池50は、分割線を介して互いに隣接して配置される複数の扇状のソーラセルを含む構成であってもよい。また、太陽電池50は、周方向の一部に切り欠きを有していてもよい。
【0039】
第1実施形態において、文字板30が金属製であることより、文字板30に入射された外光は文字板30を透過することなく反射されてしまう。そこで、
図2に示すように、文字板30に光透過部30hを形成した。光透過部30hは、文字板30のインダイアル、日窓、指針軸が挿通される軸孔等に対応する部分である。インダイアルは、文字板30の一部であって、例えば、小針による時刻表示、午前又は午前を示す表示、曜日を示す表示、二次電池の残量を示す表示等の機能表示を行う部分である。
【0040】
光透過部30hは、文字板30に形成される貫通孔であるとよい。また、図示は省略するが、光透過部30hには、インダイアル等を構成する非金属製の部材が配置されているとよい。このように、文字板30に光透過部30hを形成することにより、文字板30に下側に配置される太陽電池50に外光が入射されることとなる。なお、
図2に示す光透過部30hの形状や配置は一例であり、これに限られるものではない。
【0041】
第1実施形態において、文字板30及び地板21の平面形状はほぼ円形である。地板21の周方向の少なくとも一部には、地板21の外形を構成すると共に所定の厚みを有する側壁21Wが設けられている。なお、地板21のうち少なくとも側壁21Wは、非金属製であるとよく、例えば合成樹脂製から成るとよい。
【0042】
なお、第1実施形態においては、太陽電池50を有する例を説明するが、これに限られず、電波時計1は太陽電池50を有しない構成であってもよい。その場合、文字板30には光透過部30hが形成されていなくてもよい。
【0043】
[アンテナユニット40]
次に、
図1~
図5を参照して、第1実施形態におけるアンテナユニット40の構成について説明する。
図4は、本実施形態におけるアンテナユニットを下側から見た様子を示す斜視図である。
図5は、本実施形態におけるアンテナユニットの断面を示す断面斜視図である。
【0044】
アンテナユニット40は、アンテナコア41と、アンテナコア41に巻回されるコイル42と、アンテナコア41の両端部にそれぞれ接続される一対の接続ブロック43と、一対の接続ブロック43のそれぞれに接続される一対の内側アンテナエレメント44と、一対の接続ブロック43にそれぞれ接続される一対の外側アンテナエレメント45と、を含む。アンテナコア41は、コイル42が巻回されて成るアンテナ巻芯であるとよい。また、アンテナユニット40は、コイル42と共に共振回路を構成する不図示のコンデンサを有しているとよい。なお、コイル42は、線状の部材がアンテナコア41に複数回巻き付けられて成るものであるとよいが、各図においては簡略化して図示している。
【0045】
アンテナコア41及びコイル42は、
図1に示すように、平面視において9時位置に配置されている。より詳細には、アンテナコア41は0時位置と6時位置とを結ぶ方向に平行な方向に延伸するように配置されており、アンテナコア41の延伸方向の中心位置が周方向における9時位置とほぼ一致している。アンテナコア41及びコイル42が9時位置に配置されることにより、3時位置に配置される不図示の竜頭及び巻き芯の配置に影響が出ることが抑制される。
【0046】
アンテナコア41及びコイル42は、平面視において地板21に重なるように地板21の内部に組付けられている。すなわち、アンテナコア41及びコイル42は、地板21の側壁21Wの内側に配置されている。
【0047】
アンテナコア41の両端部はコイル42が巻回されておらず、露出している。アンテナコア41の両端部には、一対の接続ブロック43の下面43Bがそれぞれ接続されている。
【0048】
一対の接続ブロック43はアンテナコア41を中心として対称に配置されている。一対の接続ブロック43は、フェライト等の磁性材料から成るとよく、アンテナの受信端子として機能する。一対の接続ブロック43は、平面視において、内側アンテナエレメント44が接続される部分は地板21に重なり、外側アンテナエレメント45が接続される部分は地板21に重ならないように配置されている。すなわち、一対の接続ブロック43は、地板21の側壁21Wの内側に配置される部分と外側に配置される部分を含むように設けられている。なお、地板21の側壁21Wには、例えば、一対の接続ブロック43が挿通される一対の開口が形成されているとよい。
【0049】
内側アンテナエレメント44と外側アンテナエレメント45は、共に板状(又は帯状)の金属から成り、磁束を引き寄せる集磁性を有するものであるとよい。内側アンテナエレメント44と外側アンテナエレメント45は、例えば、10~100[μm]の厚みを有するアモルファス薄板であるとよい。
【0050】
一対の内側アンテナエレメント44はそれぞれ、コイル42の受信端子である接続ブロック43及びアンテナコア41と磁気的に結合するように、その末端部が一対の接続ブロック43の上面43Uに固定されている。このように、内側アンテナエレメント44を接続ブロック43の上面43Uに固定することで、内側アンテナエレメント44は電波時計1内において比較的上側に配置されることになる。そのため、内側アンテナエレメント44において電波を受けやすくすることができる。
【0051】
また、一対の内側アンテナエレメント44はアンテナコア41を中心として対称に配置されている。内側アンテナエレメント44は、少なくとも一部が地板21の側壁21Wに沿うように延伸している。また、内側アンテナエレメント44は、平面視において、その全体が地板21に重なるように地板21の内側に設けられている。すなわち、内側アンテナエレメント44は、地板21の側壁21Wの内側に設けられている。なお、
図1においては、内側アンテナエレメント44の一部が地板21の側壁21Wに沿うように延伸する例を示すが、これに限られず、内側アンテナエレメント44は、その全体が地板21の側壁21Wに沿う形状であってもよい。
【0052】
一対の外側アンテナエレメント45はそれぞれ、コイル42の受信端子である接続ブロック43及びアンテナコア41と磁気的に結合するように、その末端部が一対の接続ブロック43の側面43Sに固定されている。一対の外側アンテナエレメント45はそれぞれ、平面視において円弧状であって、アンテナコア41を中心として対称に配置されている。外側アンテナエレメント45は、その全体が地板21の側壁21Wに沿うように延伸している。ただし、これに限られず、外側アンテナエレメント45は、少なくとも一部が地板21の側壁に沿うように延伸しているとよい。また、外側アンテナエレメント45は、平面視において、その全体が地板21に重ならないように地板21の外側に設けられている。すなわち、外側アンテナエレメント45は、地板21の側壁21Wの外側において、側壁21Wを介して内側アンテナエレメント44と離間するように設けられている。
【0053】
また、内側アンテナエレメント44は、その面が上下方向を向くように配置されている。一方、外側アンテナエレメント45は、その面が上下方向に対して垂直になるように配置されている。すなわち、外側アンテナエレメント45は、その面が内側アンテナエレメント44の面に対して垂直になるように配置されている。地板21の外側に配置される外側アンテナエレメント45をこのような向きで配置することにより、アンテナユニット40が径方向に大型化することを抑制できる。
【0054】
本実施形態のアンテナユニット40においては、内側アンテナエレメント44がコイル42と磁気的に結合していることより、内側アンテナエレメント44が電波の磁力を受けることで、コイル42に誘導起電力が生じる。同様に、外側アンテナエレメント45がコイル42と磁気的に結合していることより、外側アンテナエレメント45が電波の磁力を受けることで、コイル42に誘導起電力が生じる。このような構成により、内側アンテナエレメント44及び外側アンテナエレメント45のいずれか一方のみを有する構成と比較して、受信感度を向上することができる。
【0055】
ここで、上述のように、第1実施形態において、文字板30は金属製である。アンテナユニット40の上側に設けられる金属製の文字板30は、アンテナユニット40における受信感度に影響を与える場合がある。そこで、第1実施形態においては、外側アンテナエレメント45が平面視において文字板30に重ならないように配置される構成を採用する。これにより、外側アンテナエレメント45において電波を受けやすくなる。なお、外側アンテナエレメント45は、平面視において、少なくとも一部が文字板30に重ならないように配置されているとよい。
【0056】
また、第1実施形態においては、
図3に示すように、外側アンテナエレメント45を、上下方向及び径方向において外装ケース10と離間するように配置した。具体的には、外側アンテナエレメント45を、上下方向においてベゼル12及び見返しリング13と離間し、かつ裏蓋14と離間するように配置した。また、外側アンテナエレメント45を、径方向において胴11と離間するように配置した。具体的には、外側アンテナエレメント45と胴11の内壁との間の距離L1を、外側アンテナエレメント45とムーブメント20の側壁21Wとの間の距離L2よりも長くした。このような構成により、外側アンテナエレメント45において、金属製の外装ケース10による受信感度の影響を抑制することができる。
【0057】
また、第1実施形態においては、
図1に示すように、外側アンテナエレメント45の延伸方向における長さ(円弧長)を、内側アンテナエレメント44の延伸方向における長さ(円弧長)よりも長くした。言い換えると、平面視において、内側アンテナエレメント44の全体が、外側アンテナエレメント45と、文字板30の中心Oと外側アンテナエレメント45の先端とを結ぶ直線と、文字板30の中心Oと外側アンテナエレメント45の末端とを結ぶ直線とから成る扇状領域と重なることとした。
【0058】
より詳細には、外側アンテナエレメント45の中心角θ1を、内側アンテナエレメント44の中心角θ2よりも大きくした。ここで、中心角θ1とは、平面視において、文字板30の中心Oと外側アンテナエレメント45の先端とを結ぶ直線と、文字板30の中心Oと外側アンテナエレメント45の末端とを結ぶ直線とが成す角である。また、中心角θ2とは、平面視において、文字板30の中心Oと内側アンテナエレメント44の先端とを結ぶ直線と、文字板30の中心Oと内側アンテナエレメント44の末端とを結ぶ直線とが成す角である。
【0059】
[隙間G]
さらに、本実施形態においては、金属製の文字板30と、金属製の見返しリング13との間に形成される隙間G(
図3参照)から電波が侵入可能な構成を採用した。具体的には、文字板30の径を見返しリング13の内径以下とした。ただし、これに限られず、少なくとも文字板30と見返しリング13との間に隙間Gが形成される構成であればよい。例えば、文字板30の径を見返しリング13の内径よりも大きくすると共に、文字板30を上下方向において見返しリング13と離間するように配置することにより隙間を形成するとよい。
【0060】
文字板30と見返しリング13との間の隙間Gから侵入した電波の磁束は、集磁性を有する外側アンテナエレメント45に引き寄せられる。そのため、電波の磁束が隙間Gから侵入した後、金属製の胴11やベゼル12に影響を受けることが抑制される。その結果、外装ケース10が金属製であることに起因する過電流損失が抑制され、アンテナユニット40における受信感度の低下が抑制される。
【0061】
なお、第1実施形態においては、外装ケース10のうち見返しリング13の内径が最も小さい例を示したが、これに限られず、胴11又はベゼル12の内径が最も小さくてもよい。その場合、文字板30の径は、胴11又はベゼル12の内径以下であるとよい。
【0062】
また、第1実施形態においては、上述のように、外側アンテナエレメント45の中心角θ1が、内側アンテナエレメント44の中心角θ2よりも大きいことより、内側アンテナエレメント44の全体が外側アンテナエレメント45により囲まれている。そのため、周方向において内側アンテナエレメント44が設けられる全域において、外装ケース10が金属製であることに起因する過電流損失が抑制される。そのため、外側アンテナエレメント45に加えて、内側アンテナエレメント44も電波を受けやすくなる。その結果、アンテナユニット40における受信感度の低下が抑制される。
【0063】
[その他]
第1実施形態においては、円板状の太陽電池50の径を文字板30の径よりも小さくすると共に、太陽電池50の中心が文字板30の中心Oに一致する構成とした。このような構成により、一対の外側アンテナエレメント45は、平面視において、太陽電池50に重ならない。そのため、太陽電池50の影響によりアンテナユニット40における受信感度が低下することが抑制される。
【0064】
[第2実施形態]
次に、
図6、
図7を参照して、第2実施形態に係る電波時計について説明する。
図6は、第2実施形態におけるアンテナユニット及び太陽電池を示す平面図である。
図7は、
図6のVII-VII切断線で切り取った切断面を示す断面図である。
図7においては、ムーブメント20のうち地板21の外形のみを破線で示しており、地板21に組付けられる各種部品については図示を省略している。なお、第1実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については同じ符号を用いて、その説明の詳細については省略する。
【0065】
第2実施形態に係る電波時計は、上述の第1実施形態に係る電波時計1が備える円板状の太陽電池50の代わりに、環状(リング状)の太陽電池150を有している。太陽電池150は、外光を受光することにより発電する発電機である。なお、図示は省略するが、電波時計は、ムーブメント20に組み付けられると共に、太陽電池150により発電された電力を蓄積する二次電池を有しているとよい。
【0066】
また、第2実施形態において、外装ケース10は、ベゼル112と、上側見返しリング1131と、下側見返しリング1132とを含む。
【0067】
ベゼル112は、径方向内側に突出すると共に、平面視において太陽電池150及び文字板30と重なるように設けられる庇部112aを有している。
【0068】
上側見返しリング1131は、環状であって、ベゼル112の上面に固定されている。下側見返しリング1132は、文字板30の縁に沿う環状であって、上下方向において文字板30とベゼル112の庇部112aとの間に設けられている。
【0069】
また、第2実施形態に係る電波時計は、下側見返しリング1132及び太陽電池150を支持する環状の中枠70を有している。下側見返しリング1132は中枠70の内側に配置されており、太陽電池150は中枠70の外側に配置されている。第2実施形態において、太陽電池150の径は、地板21の径及び下側見返しリング1132の径よりも大きい。
【0070】
また、第2実施形態においては、太陽電池150は、外側アンテナエレメント45よりも径方向外側に設けられている。そのため、太陽電池150は、平面視において、外側アンテナエレメント45と重ならないように設けられている。
【0071】
第2実施形態において、下側見返しリング1132及び中枠70は、非金属製であるとよい。下側見返しリング1132及び中枠70は、例えば、光透過性を有する樹脂等から成るとよい。それにより、太陽電池150は、文字板30の表面に対して傾斜する方向に入射される外光を受光することができる。また、電波は、非金属製の下側見返しリング1132を通過して、電波時計の内部に侵入する。このため、アンテナユニット40において受信感度の低下を抑制できる。
【0072】
なお、第2実施形態においては、環状の太陽電池150を支持する中枠70を下方に延ばすと共に、中枠70の内面に外側アンテナエレメント45を固定してもよい。例えば、中枠70を、上下方向においてその下端が少なくともアンテナコア41の下端よりも下方に位置する形状にするとよい。これにより、外側アンテナエレメント45の姿勢を安定させることができ、受信感度の向上が見込まれる。また、そのように中枠70を下方に延ばした構成において、中枠70に、接続ブロック43の一部が嵌められる凹部を形成してもよい。それにより、接続ブロック43の姿勢が安定し、その結果、外側アンテナエレメント45の姿勢が安定する。
【0073】
また、中枠70は、径方向において環状の太陽電池150と外装ケース10との隙間を埋めると共に、径方向においてムーブメント20と外装ケース10との隙間を埋めるスペーサとして用いられてもよい。この場合、環状の太陽電池150は中枠70に支持されているとよい。具体的には、中枠70には環状の溝が形成されており、その溝に環状の太陽電池150の下部が嵌められるとよい。
【0074】
また、
図16に示すように、環状の太陽電池150は、環状の発電部150aと、ムーブメント20に電気的に接続される接続部150bとを備える構成であってもよい。
図16に示すように、接続部150bは、ムーブメント20の側壁21Wに沿う方向に延びると共にムーブメント20の底面に沿うように屈曲する配線と、その配線を支持する可撓性基板(不図示)とを含むものであるとよい。接続部150bは、
図16に示すような形状及び配置であることより、内側アンテナエレメント44及び外側アンテナエレメント45の直上に配置されていない。そのため、接続部150bの影響によりアンテナユニット40における受信感度が低下することが抑制される。なお、接続部150bは、その先端においてねじ等の固定具によりムーブメント20に固定されているとよい。
【0075】
接続部150bは、例えば、
図6に示す接続位置Cでムーブメント20に接続されているとよい。すなわち、平面視において、内側アンテナエレメント44及び外側アンテナエレメント45と重ならない位置でムーブメント20に接続されているとよい。竜頭が設けられる電波時計においては、3時位置から中心に向けて延伸する巻き芯(不図示)がムーブメント20内に配置される。そのため、
図6に示すように、接続部150b、平面視において3時位置を回避する位置においてムーブメント20と接続されているとよい。
【0076】
[第2実施形態の第1変形例]
次に、
図8、
図9を参照して、第2実施形態の第1変形例について説明する。
図8は、第2実施形態の第1変形例におけるアンテナユニット及び太陽電池を示す平面図である。
図9は、
図8のIX-IX切断線で切り取った切断面を示す断面図である。
【0077】
第2実施形態の第1変形例は、アンテナユニットの構成が異なることを除いて
図6、
図7を参照して説明した第2実施形態と同様である。なお、第2実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については同じ符号を用いて、その説明の詳細については省略する。
【0078】
第2実施形態の第1変形例においては、アンテナユニット140は、アンテナコア41と、アンテナコア41に巻回されるコイル42と、アンテナコア41の両端部にそれぞれ接続される一対の接続ブロック243と、一対の接続ブロック243のそれぞれに接続される一対の内側アンテナエレメント44と、一対の接続ブロック243にそれぞれ接続される一対の外側アンテナエレメント245と、を含む。
【0079】
一対の接続ブロック243は、平面視において、その全体がムーブメント20と重なるように設けられている。すなわち、一対の接続ブロック243は、その全体がムーブメント20の内側に設けられている。
【0080】
一対の外側アンテナエレメント245はそれぞれ、接続ブロック243に接続されると共に径方向外側に延びる延伸部245aと、地板21の側壁21Wに沿って延びる円弧状の円弧部245bとを有している。円弧部245bは、
図9に示すように、ベゼル112の庇部112aの直下まで上下方向に延びる形状であるとよい。具体的には、円弧部245bの上端が太陽電池150の下端よりも高い位置に設けられると共に、円弧部245bの上端は径方向においてベゼル112と太陽電池150との間に位置している。このような外側アンテナエレメント245を採用することで、受信面を大きくとることができ、受信感度を向上させることができる。
【0081】
[第2実施形態の第2変形例]
次に、
図10を参照して、第2実施形態の第2変形例に係る電波時計について説明する。
図10は、第2実施形態の第2変形例に係る電波時計の断面の一部を示す断面図である。なお、第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については同じ符号を用いて、その説明の詳細については省略する。
【0082】
第2実施形態の第2変形例においては、アンテナユニット40が、板状の金属から成る外側アンテナエレメント45の代わりに、外側アンテナエレメントである磁性シート345を有している。磁性シート345は、例えば、アモルファス磁性シートであるとよい。磁性シート345は、地板21の側壁21Wに貼り付けられているとよい。なお、磁性シート345は側壁21Wに貼り付けられるものに限られず、少なくとも地板21の外側において内側アンテナエレメント44に沿うように設けられているとよい。例えば、中枠70を、上下方向においてその下端が少なくともアンテナコア41の下端よりも下方に位置する形状にすると共に、中枠70の内面に磁性シート345を貼り付けてもよい。
【0083】
なお、第2実施形態、第1及び第2変形例においては、その受光面が径方向の内側を向く環状の太陽電池150を例に挙げて説明したが、これに限られず、その受光面が上側を向く環状の太陽電池であってもよい。また、電波時計は、第1実施形態で示した平板状の太陽電池50と、第2実施形態で示した環状の太陽電池150の両方を有していてもよい。
【0084】
[第2実施形態の第3変形例]
次に、
図11を参照して、第2実施形態の第3変形例に係る電波時計について説明する。
図11は、第2実施形態の第3変形例に係る電波時計の断面の一部を示す断面図である。なお、第2実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については同じ符号を用いて、その説明の詳細については省略する。
【0085】
第2実施形態の第3変形例に係る電波時計は、太陽電池150を有していない。太陽電池150を有していない分、文字板30及びムーブメント20を上方に配置することができる。ムーブメント20を上方に配置することに伴いアンテナユニット40も上方に配置することができる。アンテナユニット40を上方に配置することにより、受信感度を向上することができる。
【0086】
ここで、文字板30がベゼル112の庇部112aに接触して配置されると、文字板30とベゼル112とが体積の大きい一体の金属部材を構成することとなり、電波への影響が大きくなるおそれがある。そこで、第2実施形態の第3変形例においては、文字板30と庇部112aとの間に非金属製のスペーサSを設けた。スペーサSは樹脂等から成るとよい。このような構成を採用することで、電波が金属製の文字板30及びベゼル112の影響を受けることを抑制できる。また、電波はスペーサSを通じて電波時計の内部に侵入することとなる。その結果、アンテナユニット40における受信感度の低下を抑制できる。
【0087】
[第3実施形態]
次に、
図12、
図13を参照して、第3実施形態に係る電波時計について説明する。
図12は、第3実施形態に係る電波時計の断面の一部を示す断面図である。
図13は、第3実施形態における文字板の一例を示す平面図である。なお、第1実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については同じ符号を用いて、その説明の詳細については省略する。
【0088】
第3実施形態において、文字板530は、非金属製の外縁部530aを含んでいる。すなわち、文字板530は、金属製の部分と、金属製の部分を囲む非金属製の部分を含む。外縁部530aは、環状であって、例えば光透過性を有する樹脂等から成るとよい。
【0089】
外縁部530aは、平面視において、外側アンテナエレメント45と重なるように設けられている。また、外縁部530aは、平面視において、少なくとも一部が内側アンテナエレメント44と重なるように設けられている。また、外縁部530aの径は、見返しリング13の内径よりも大きい。そのため、外縁部530aは、平面視において、見返しリング13と重なるように設けられている。
【0090】
第3実施形態においては、外縁部530aは見返しリング13に接触して設けられている。すなわち、見返しリング13と外縁部530aとの間に隙間が形成されていない。しかしながら、外縁部530aは電波を通過させる樹脂製であるため、電波は外縁部530aを通じて電波時計の内部に侵入可能である。このような構成とすることで、見返しリング13を金属製とした場合であっても、アンテナユニット40における受信感度の低下を抑制することができる。
【0091】
また、外縁部530aは、平面視において、平板状の太陽電池50と重なるように設けられている。そのため、外光は外縁部530aを通過し、太陽電池50に入射される。このような構成により、文字板において
図2で示した光透過部30hを設けない場合においても、太陽電池50における発電量を確保することが可能となる。
【0092】
[第3実施形態の第1変形例]
次に、
図14を参照して、第3実施形態の第1変形例について説明する。
図14は、第3実施形態の第1変形例における文字板を示す平面図である。なお、第1実施形態及び第3実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については同じ符号を用いて、その説明の詳細については省略する。
【0093】
図13で示した文字板530においてはその全周に非金属製の部材を含む例を説明したが、第3実施形態の第1変形例においては、アンテナユニット40が配置される9時位置に、少なくとも非金属製の外縁部530aを含む構成とした。このような構成により、アンテナユニット40における受信感度の低下を抑制すると共に、文字板530において金属製の部分の割合を大きくすることができる。
【0094】
[第3実施形態の第2変形例]
次に、
図15を参照して、第3実施形態の第2変形例について説明する。
図15は、
図15は、第3実施形態の第2変形例における文字板及び支持板の構成例を示す断面図である。なお、第1実施形態及び第3実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については同じ符号を用いて、その説明の詳細については省略する。
【0095】
上述の
図12においては、文字板530における金属製の部分と非金属製の部分が同層である例を示したが、これに限られず、金属製の部分と非金属製の部分が異なる層に設けられていてもよい。具体的には、電波時計は、金属製の文字板630と、文字板630を支持する非金属製の支持体である支持板730とを有するとよい。支持板730は、例えば、光透過性を有する樹脂から成るとよい。本例において、外側アンテナエレメント45は、平面視において、文字板630に重ならず、かつ支持板730に重なるように設けられているとよい。
【0096】
図15(a)に示すように、支持板730の径は文字板630の径よりも大きいとよい。このような構成により、
図12で示した構成と同等の受信感度を得ることができる。また、
図15(b)に示すように、支持板730には凹部730rが形成されており、その凹部730rに文字板630が嵌められる構成であってもよい。また、
図15(c)に示すように、文字板630は支持板730の中心部に配置されるものに限られない。
【0097】
[その他]
上記各実施形態及び各変形例においては、アンテナコア41及びコイル42が平面視において9時位置に配置される例を示したが、これに限られない。アンテナコア41及びコイル42は、少なくとも竜頭及び巻き芯が配置される位置を回避して配置されていればよく、例えば6時位置や0時位置に配置されてもよい。
【0098】
上記各実施形態及び各変形例においては、立方体状の接続ブロック43を示したが、これに限られず、接続ブロック43のうち外側アンテナエレメント45が固定される側面43Sは曲面であってもよい。側面43Sを、外側アンテナエレメント45の形状に沿った曲面とすることにより、側面43Sに対する外側アンテナエレメント45の接着面の面積を大きくすることができる。これにより、コイル42の受信端子である接続ブロック43と外側アンテナエレメント45との磁気的な結合を安定させることができる。
【0099】
上記各実施形態及び各変形例で説明した見返しリング13、上側見返しリング1131、及び下側見返しリング1132は、非金属製の樹脂等から成るものであってもよい。これら見返しリングを非金属製とすることにより、アンテナユニット40に対する受信感度に影響を抑制することができる。なお、これら見返しリングを非金属製とした場合において、デザイン性の観点から見返しリングの表面上に薄膜金属を設けてもよい。
【0100】
上記各実施形態及び各変形例においては、アナログ式の腕時計を例に挙げて説明したが、これに限られず、電波時計1はデジタル表示を行うデジタル式の腕時計であってもよい。また、電波時計1は腕時計に限られず、置時計や懐中時計であってもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 電波時計、10 外装ケース、11 胴、12,112 ベゼル、112a 庇部、13 見返しリング、1131 上側見返しリング、1132 下側見返しリング、14 裏蓋、20 ムーブメント、21 地板、21W 側壁、30,530,630,730 文字板、40 アンテナユニット、41 アンテナコア、42 コイル、43,243 接続ブロック、44 内側アンテナエレメント、45,245 外側アンテナエレメント、50,150 太陽電池、70 中枠、90 風防。