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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174153
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H02N2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086851
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 充
(72)【発明者】
【氏名】川井 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】二本 正昭
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681BB08
5H681DD30
5H681EE10
(57)【要約】
【課題】製造が容易な発電装置1を提供する。
【解決手段】発電装置1は、軟磁性板10と、軟磁性板10に磁界を印加する永久磁石30と、軟磁性板10の少なくとも一部に巻回されるコイル20と、を有し、軟磁性板10のうち磁界が印加される部分は、外力に応じてコイル20を通過する磁束を変化させるように、磁界による磁力線に対する角度が可変となるように設けられている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性部材と、
前記軟磁性部材に磁界を印加する永久磁石と、
前記軟磁性部材の少なくとも一部に巻回されるコイルと、
を有し、
前記軟磁性部材のうち前記磁界が印加される部分は、外力に応じて前記コイルを通過する磁束を変化させるように、前記磁界による磁力線に対する角度が可変となるように設けられている、
発電装置。
【請求項2】
前記軟磁性部材は、その末端部において支持されており、
前記永久磁石は、前記軟磁性部材の先端部に前記磁界を印加するように設けられている、
請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記軟磁性部材は、前記外力に応じて前記末端部に対して前記先端部が変位するように湾曲可能に設けられている、
請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記永久磁石は、第1永久磁石と、前記軟磁性部材を介して前記第1永久磁石の反対側に配置される第2永久磁石と、を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項5】
前記軟磁性部材は、前記外力に応じて前記磁力線に対する角度が可変となるように設けられている基板と、当該基板上に設けられる軟磁性材料体と、を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項6】
前記外力を生じさせる駆動源を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項7】
前記軟磁性部材は平板状であり、
前記永久磁石は、前記外力が働いていない状態における前記軟磁性部材の面に対して垂直方向に前記磁界を印加するように配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の発電装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、逆磁歪に基づく発電が可能な素子を備える磁歪発電デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-103940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に開示される逆磁歪方式を用いた発電デバイスにおいては、磁歪定数の大きい結晶方位が応力を印加する方向となるように切り出した単結晶の板を使用する必要がある。また、磁歪材料として例えば鉄ガリウム合金が知られているが、鉄とガリウムの融点は大きく異なるため、組成が均一な単結晶のインゴットを形成することは容易ではない。このように、磁歪発電デバイスにおいては特殊な材料を用いる必要があることから、製造コストがかかることとなり、量産が難しいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、製造が容易な発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)軟磁性部材と、前記軟磁性部材に磁界を印加する永久磁石と、前記軟磁性部材の少なくとも一部に巻回されるコイルと、を有し、前記軟磁性部材のうち前記磁界が印加される部分は、外力に応じて前記コイルを通過する磁束を変化させるように、前記磁界による磁力線に対する角度が可変となるように設けられている、発電装置。
【0008】
(2)(1)において、前記軟磁性部材は、その末端部において支持されており、前記永久磁石は、前記軟磁性部材の先端部に前記磁界を印加するように設けられている、発電装置。
【0009】
(3)(2)において、前記軟磁性部材は、前記外力に応じて前記末端部に対して前記先端部が変位するように湾曲可能に設けられている、発電装置。
【0010】
(4)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記永久磁石は、第1永久磁石と、前記軟磁性部材を介して前記第1永久磁石の反対側に配置される第2永久磁石と、を含む、発電装置。
【0011】
(5)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記軟磁性部材は、前記外力に応じて前記磁力線に対する角度が可変となるように設けられている基板と、当該基板上に設けられる軟磁性材料体と、を含む、発電装置。
【0012】
(6)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記外力を生じさせる駆動源を有する、発電装置。
【0013】
(7)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記軟磁性部材は平板状であり、前記永久磁石は、前記外力が働いていない状態における前記軟磁性部材の面に対して垂直方向に前記磁界を印加するように配置されている、発電装置。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の(1)~(7)の側面によれば、製造が容易な発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る発電装置の全体構成を模式的に示す図である。
図2】本実施形態の軟磁性板の特性を示すグラフである。
図3】本実施形態の軟磁性板に生じる磁界成分を説明する模式図である。
図4】本実施形態に係る発電装置に対して継続して振動を生じさせた場合の出力電圧を示すグラフである。
図5】本実施形態の変形例に係る発電装置の全体構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という)について図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
[発電装置の全体構成の概要]
図1を参照して、本実施形態に係る発電装置1の全体構成の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る発電装置の全体構成を模式的に示す図である。図1において、矢印Z1が示す方向を上方、矢印Z2が示す方向を下方と定義する。後述の図3においても同様とする。
【0018】
発電装置1は、振動による軟磁性板10の変形に応じてコイル20に生じる誘導電流に基づいて電力を取り出す発電装置である。図1に示すように、発電装置1は、軟磁性部材である軟磁性板10と、コイル20と、永久磁石30とを含む。
【0019】
軟磁性板10は、軟磁性材料から成る板状の部材である。軟磁性板10は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれらの合金から成るとよい。また、軟磁性板10は、例えば、ホウ素、アルミニウム、シリコン、又はこれらと鉄を含む合金から成ってもよい。具体的には、軟磁性板10は、例えば、純鉄板、無方向性ケイ素鋼板、方向性ケイ素鋼板、鉄基アモルファス薄帯等であるとよい。軟磁性板10は、その末端部が支持体50に支持されている。図1においては、軟磁性板10の末端部が固定具である螺子51により支持体50に対して締結されている例を示している。本実施形態においては、軟磁性板10のうち支持体50により支持される部分を末端部と呼び、軟磁性板10の延伸方向における末端部と反対側を先端部と呼ぶ。なお、先端部とは、軟磁性板10をその延伸方向において3分割した場合における先端面を含む部分であるとよい。
【0020】
コイル20は、軟磁性板10に巻回されている。コイル20は、軟磁性板10の延伸方向(コイル20の中心軸方向)において、軟磁性板10の少なくとも一部に巻回されているとよい。
【0021】
永久磁石30は、軟磁性板10の先端部の直上及び直下において、軟磁性板10から離間してそれぞれ配置されている。すなわち、永久磁石30は、軟磁性板10の先端部を挟むように2つ設けられている。永久磁石30は、外部から磁場や電流の供給を受けることなく磁石としての性質を保持する物体である。永久磁石30は、例えば、フェライト磁石、ネオジウム磁石、サマリウム・コバルト磁石、アルニコ磁石等であるとよい。
【0022】
本実施形態において、永久磁石30は、軟磁性板10の先端部に磁界を印加するように設けられている。永久磁石30は、振動に応じて変位しないように固定して設けられているとよい。
【0023】
また、軟磁性板10は、磁界が印加される部分が振動に応じて磁界による磁力線に対する角度が可変となるように設けられている。具体的には、軟磁性板10は、その末端部において支持体50により片持ち支持されており、振動に応じて末端部に対して先端部が変位するように湾曲可能に設けられている。
【0024】
[軟磁性板10の特性]
ここで、図2を参照して、軟磁性材料から成る軟磁性板10の特性について説明する。図2は、本実施形態の軟磁性板の特性を示すグラフである。図2において、縦軸は磁束密度[T(テスラ)]を示しており、横軸は磁界[A(アンペア)/m]を示している。
【0025】
軟磁性板10は高い透磁率を有している。透磁率とは、磁束密度の変化の度合いである。軟磁性板10は、図2に示すように、磁界が0[A/m]からプラス又はマイナスにずれると、磁束密度が大きく変化すると共にその大きさが飽和するという性質を有している。本実施形態においては、図3を参照して後述するように、振動に応じて軟磁性板10の先端部が上側に変位した場合と下側に変位した場合とで軟磁性板10に働く磁界成分の向きが変わる。そのため、磁束密度が、振動に応じてその上限と下限との間で交互に変化することとなる。
【0026】
図2においては、軟磁性板10が、磁束密度が約-2.5~+2.5[T]の範囲で変化する鉄コバルトから成る例を示している。従来例で示した逆磁歪方式においては、磁性材料自体は磁束密度が-1.5~+1.5[T]の範囲で変化可能であるが、そのうち+0.3~1.5[T]の範囲程度でしか磁束密度を変化させることができない。すなわち、逆磁歪方式においては、磁束密度の変化量は1[T]程度である。一方、軟磁性材料の磁束密度は約-2.5~+2.5[T]の範囲で変化可能であって、本実施形態においては、その全ての範囲で磁束密度を変化させることができる。すなわち、軟磁性板10においては、磁束密度の変化量は約5[T]であり、従来例よりも磁束密度の変化量が十分に大きい。本実施形態においては、このように透磁率が高い軟磁性材料を用いることで、コイル20を通過する磁束変化を大きくすることができる。そのため、コイル20に大きな誘導電流が生じ、大きな電力を取り出すことができる。
【0027】
[発電原理]
次に、図1図3を参照して、発電装置1における発電原理について説明する。図3は、本実施形態の軟磁性板に生じる磁界成分を説明する模式図である。なお、図3においては、図1の破線で囲まれる部分を拡大して示している。また、図3においてはコイル20の図示を省略している。
【0028】
上述のように、軟磁性板10は、支持体50により片持ち支持されている。そのため、軟磁性板10に振動が与えられた場合、軟磁性板10は、その末端部を支点として上下振動することとなる。この際にコイル20を通過する磁束が時間的に変化することによりコイル20に誘導電流が生じる。なお、以下の説明において、振動が与えられていない状態における軟磁性板10の姿勢を基本姿勢と呼ぶ。図1は、軟磁性板10が基本姿勢にある様子を示している。
【0029】
図3(a)は、軟磁性板10の先端部が、磁界による磁力線に対して傾斜するように下側に変位した様子を示している。図3(b)は、軟磁性板10の先端部が、磁界による磁力線に対して傾斜するように上側に変位した様子を示している。図1図3(a)、図3(b)においては、永久磁石30が軟磁性板10に対して印加する磁界により、基本姿勢にある軟磁性板10に対して垂直方向に働く磁力Fを実線矢印で示している。
【0030】
図3(a)に示すように、軟磁性板10の先端部が下側に変位した状態において、軟磁性板10には、軟磁性板10の面方向に働く面内磁界成分F1と、軟磁性板10の面に対して垂直方向に働く垂直磁界成分F2とが発生する。
【0031】
面内磁界成分F1により、面内磁界成分F1と同じ向きに軟磁性板10内の磁束を揃えようとする作用が働くこととなる。それにより、図3(a)に示す状態の軟磁性板10において、その先端部から末端部に向けて流れる磁束が生じることとなる。言い換えると、軟磁性板10の先端部から末端部に向けて連続して磁束が生じることとなる。このように、軟磁性板10が基本姿勢から図3(a)に示す状態になることにより、コイル20内を通過する磁束が変化することとなる。その結果、コイル20に誘導電流が発生することとなる。
【0032】
図3(b)に示すように、軟磁性板10の先端部が上側に変位した状態において、軟磁性板10には、軟磁性板10の面方向に働く面内磁界成分F3と、軟磁性板10の面に対して垂直方向に働く垂直磁界成分F4とが発生する。面内磁界成分F3は、面内磁界成分F1と同じ大きさであって、上述の面内磁界成分F1と逆方向に生じる磁界成分である。
【0033】
面内磁界成分F3により、面内磁界成分F3と同じ向きに軟磁性板10内の磁束を揃えようとする作用が働くこととなる。それにより、図3(b)に示す状態の軟磁性板10において、その末端部から先端部に向けて流れる磁束が生じることとなる。このように、軟磁性板10が基本姿勢から図3(b)に示す状態になることにより、コイル20内を通過する磁束が変化することとなる。その結果、コイル20に誘導電流が発生することとなる。
【0034】
軟磁性板10は、振動により、その先端部が繰り返し上下に変位する。すなわち、図3(a)に示す状態と、図3(b)に示す状態を交互に繰り返すこととなる。本実施形態に係る発電装置1においては、軟磁性板10の先端部が上下に変位する度にコイル20に誘導電流が生じ、電力を取り出すことができる。
【0035】
[実施例]
次に、図4を参照して、本実施形態の実施例を説明する。図4は、本実施形態の実施例に係る発電装置に対して継続して振動を生じさせた場合の出力電圧を示すグラフである。
【0036】
本実施例においては、平面形状が50×8[mm]の矩形であって、厚みが0.35[mm]である軟磁性板10を用いた。また、軟磁性板10として無方向性ケイ素鋼板を用いた。そして、その軟磁性板10を138[Hz]の振動周波数により振動させて、出力電圧を検出した。
【0037】
また、永久磁石30を、軟磁性板10の末端部、先端部、及び末端部と先端部の間の部分(以下、中央部という)を挟むように2つ配置した場合のそれぞれにおける出力電圧を検出した。図4の破線は、永久磁石30を、軟磁性板10の先端部を挟むように2つ配置した場合の電圧波形を示している。図4の細実線は、永久磁石30を、軟磁性板10の末端部を挟むように2つ配置した場合の電圧波形を示している。図4の太実線は、永久磁石30を、軟磁性板10の中央部を挟むように2つ配置した場合の電圧波形を示している。
【0038】
図4に示すように、永久磁石30を、軟磁性板10の先端部を挟むように2つ配置した場合、5.96[V]の出力電圧が得られた。また、永久磁石30を、軟磁性板10の末端部を挟むように2つ配置した場合、0.258[V]の出力電圧が得られた。永久磁石30を、軟磁性板10の中央部を挟むように2つ配置した場合、2.54[V]の出力電圧が得られた。このように、軟磁性板10のうち振動に応じた変位量が大きい部分を挟むように永久磁石30を2つ配置した場合、大きな出力電圧を得られる結果となった。
【0039】
以上説明した本実施形態に係る発電装置1においては、振動の対象である軟磁性板10の材料として汎用の軟磁性材料を用いることができることより、製造が容易であり、かつ材料選択の幅が広い。また、装置全体を安価に製造することが可能である。また、本実施形態に係る発電装置1においては、従来の逆磁歪方式の発電装置のように振動の対象の先端部に錘を配置する必要が無いため、装置の軽量化及び小型化を実現できる。さらに、本実施形態に係る発電装置1においては、透磁率が高いという軟磁性板10の特性を利用しているため、コイル20を通過する磁束変化を大きくすることができる。そのため、大きな発電量を得ることができる。
【0040】
[変形例]
上記本実施形態においては、軟磁性板10が振動に応じて撓むことにより、その先端部が変位する例を示した。しかしながら、軟磁性板10は、振動に伴って撓むものに限られない。すなわち、軟磁性板10は剛性の高い材料から成るものであってもよい。この場合、例えば、軟磁性板10は、その末端部が支持体50において回動可能に支持されることにより、永久磁石30の磁界による磁力線に対する先端部の角度が可変となるように設けられているとよい。または、例えば、軟磁性板10は、その末端部がバネ等の弾性体に支持されており、弾性体の弾性変形に伴って、永久磁石30の磁界による磁力線に対する先端部の角度が可変となるように設けられていてもよい。このような構成とした場合であっても、軟磁性板10内に面内磁界が生じることとなり、コイル20を通過する磁束を変化させることができる。そのため、コイル20に誘導電流が生じ、電力を取り出すことができる。
【0041】
また、軟磁性板10は、図5に示すように、それ自体が軟磁性材料から成るものに限られず、外力に応じて永久磁石30の磁界による磁力線に対する角度が可変となるように設けられている基板10aに、軟磁性材料体10bを貼り合わせて成るもの、又は軟磁性材料体10bが薄膜状に設けられて成るものであってもよい。薄膜状の軟磁性材料体10bは、例えば、基板に塗布、メッキ、蒸着、スパッタリング等により形成されるものであるとよい。
【0042】
また、本実施形態においては、軟磁性板10の先端部が上下方向にのみ変位する例を示したが、これに限られない。例えば、板状ではなく、棒状の軟磁性部材を用いて、上下方向のみではなく上下方向に対して交差する方向の変位に基づいて発電を行う構成であってもよい。この場合、変位する方向に応じて永久磁石30を追加で設けるとよい。
【0043】
また、本実施形態においては、永久磁石30が軟磁性板10の先端部を挟むように2つ設けられている。これにより、永久磁石30間に働く磁界を強くすることができ、軟磁性板10に大きな磁界を与えることできる。その結果、面内磁界成分に基づく磁束変化を大きくすることができる。ただし、これに限られるものではなく、図1に示される2つの永久磁石30のうち、いずれか1つのみを有する構成であってもよい。
【0044】
また、永久磁石30により生じる磁界を強めるために、永久磁石30と共に磁路を形成する磁性材料から成るヨークを設けてもよい。
【0045】
また、本実施形態においては、永久磁石30を軟磁性板10の先端部付近に配置する例を示したが、これに限られない。少なくとも、永久磁石30は軟磁性板10のいずれかの部分に対向するように配置されているとよい。
【0046】
また、軟磁性板10に与えられる振動は、発電装置1の外部で生じた振動でもよいし、発電装置1が備える振動源による振動でもよい。すなわち、発電装置1は振動源を有しており、発電装置1内部であって軟磁性板10の外部で生じる振動に基づいて軟磁性板10を振動させる構成であってもよい。この場合、発電装置1は、例えば、支持体50を振動させる振動源を有しているとよい。このように振動源を備える構成を採用することで、安定的かつ必要に応じた電力を得ることが可能となる。
【0047】
また、振動に限らず、瞬間的な衝撃等の何らかの外力が働き、それに応じて軟磁性板10のうち永久磁石30により磁界が印加される部分が変位するものであってもよい。
【0048】
[その他]
本実施形態に係る発電装置1の適用範囲は多種多様であり、例えば、道路、線路、橋、トンネルの内壁等の構造物に設けることにより、車両の通過による振動を利用した発電を行うことができる。また、例えば、照明器具を常時点灯させるために用いてもよいし、各種電気デバイスに瞬間的に電力を供給するためのスイッチに用いてもよい。また、発電装置1にコンデンサを接続することで蓄電可能としてもよい。
【0049】
また、本実施形態においては、永久磁石30とコイル20が共に固定して設けられる例を説明したが、これに限られるものではなく、永久磁石30とコイル20は変位可能に設けられていてもよい。永久磁石30とコイル20が変位可能に設けられる場合であっても、少なくとも、軟磁性板10のうち永久磁石30により磁界が印加される部分が、外力に応じてコイル20を通過する磁束を変化させるように、当該磁界による磁力線に対する相対的な角度が可変となるように設けられる構成であればよい。
【0050】
以上、本発明に係る実施形態及びその変形例について説明したが、本実施形態に及びその変形例で示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態及び変形例を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0051】
1 発電装置、10 軟磁性板、20 コイル、30 永久磁石、50 支持体、51 螺子。

図1
図2
図3
図4
図5