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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174162
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】圃場制御システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20231130BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20231130BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20231130BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20231130BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20231130BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20231130BHJP
   A01G 13/08 20060101ALI20231130BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231130BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A01G7/00 603
B64C39/02
B64C27/08
B64D47/08
B64F1/36
B64C13/18 Z
A01G13/08
G08G1/09 F
G08G5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086862
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】土屋 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC02
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】飛行するドローンの登録義務化に向かっている状況に鑑み、ドローンには、各種センサ、及び/又は、撮影用カメラの機器を装備し、圃場を、農業分野で定められた要件に基づき飛行し、圃場の高度ごとの温度分布を計測し、この温度(気温)計測データを、前記圃場に設けられた中央制御盤に送信する構成とした圃場制御システム。
【解決手段】中央制御盤に、防霜ファンの制御を図る計測データを取込み、この計測データと、個別の(各防霜ファンの)各制御盤の蓄積基準値とを演算処理し、例えば、各計測データ(逆転層の状況とか、風の向き、方向等の計測データ)を基準に、防霜ファンの稼働(運転)・停止(運転停止)・活用制御(防霜ファンの俯角、角度、回転数の制御)、及び/又は、防霜ファンの送風制御、或いは、必要により、グループ制御等の各種制御を図り、例えば、防霜効果、又は生育促進、花芽等の保護と生育促進を達成することである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンには、距離検知、物体有無検知、及び物体の動体検知用超音波センサ、高さ測定用気圧センサ、物体の傾き及び振動検知用加速度センサ、傾き検知用ジャイロセンサ、前記ドローンの傾き検出用の磁気方位センサ(ジャイロ)、ドローン位置情報用GPS、及び/又は、撮影用カメラの機器を装備し、
前記ドローンは、圃場を法規制に基づき飛行し、
前記ドローンには、温度センサ、又は赤外線センサを設け、前記圃場の高さごと、及び/又は、前記圃場の地形(谷間、平地、又は傾斜)ごとの温度分布を計測し、この計測データを、前記圃場に設けられた中央制御盤に送信する構成とした圃場制御システム。
【請求項2】
前記ドローンは、前記圃場を飛行し、前記ドローンに配置された前記温度センサ、又は前記赤外線センサから送られた前記計測データにより、前記圃場の逆転層の高さ、横幅、及び厚みの状態を数値で把握し、前記圃場の前記高さごと、及び/又は、前記圃場の前記地形(谷間、平地、又は傾斜)ごとの温度分布データ、を作成可能とする構成とした請求項1に記載の圃場制御システム。
【請求項3】
前記圃場を飛行する前記ドローンにより、
前記圃場において温度(気温)を計測し、この計測値を前記中央制御盤に送り、前記中央制御盤において、演算、判定の処理をし、前記逆転層の有無、又は前記逆転層の前記高さ、前記横幅、及び前記厚みの状態を、前記計測データとし、
前記計測データを、前記中央制御盤より、各防霜ファン制御用の各制御盤に送り、前記防霜ファンを、稼働し、前記防霜ファンから前記圃場に向かって、前記逆転層の暖気を送風し、
前記圃場で栽培する茶樹、茶葉、又は作物の降霜被害を回避可能とすること、又は前記防霜ファンの稼働状態を、次のようにすること、を特徴とする構成とした請求項1に記載の圃場制御システムであって、
1) 前記防霜ファンの送風方向調整(複数の前記各防霜ファンの首振り位置の調整を行い、降霜の危険性有りの処、又は防霜の効果が少ない処に、集中的に前記逆転層の暖気を送風する)、
2) 前記防霜ファンの俯角調整(前記圃場内での所定面積ごとの温度(気温)に応じて個々の前記各防霜ファンの俯角を調整し、前記圃場に前記逆転層の暖気を送風し、降霜の危険性有りの処、又は防霜の効果が少ない状態を補完する)、
3) 前記防霜ファンの回転数の調整(前記圃場に前記逆転層の暖気を送風し、降霜の危険性有りの処、又は防霜の効果が少ない状態を補完する)、
の何れかを選択可能とする請求項1に記載の圃場制御システム。
【請求項4】
前記圃場の一定区画毎に設置された前記各防霜ファンを、グループとし、このグループ毎に前記各制御盤に連携するか、又は、このグループ毎に、前記逆転層の有無、又は前記逆転層の前記高さ、前記横幅、及び前記厚みの状態を計測した前記計測データを、グループ毎の前記計測データとし、制御可能とする構成とした請求項3に記載の圃場制御システム。
【請求項5】
前記逆転層有り、かつ前記圃場の温度上昇有り、及び/又は、降霜の可能性無し、の場合であって、
前記防霜ファンを通常より低い回転数で稼働し、かつ前記逆転層の暖気を送風し、前記圃場温度をさらに上昇させることにより、前記茶葉、又は花芽の育成を可能とする構成とした請求項3に記載の圃場制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローンを用いた圃場制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
防霜ファンの活用は、逆転現象(接地逆転現象)の把握と、この逆転現象の把握に基づいた防霜ファンの制御である。逆転現象を正確に捉える方法として、近時、ドローンで観測する文献が挙げられる。
【0003】
例えば、「ドローン技術を活用した霧の鉛直気象情報の観測、西原 大貴(岡山理科大)他、環境情報科学 学術研究論文集 34(2020)」がある。要旨は、広島県の三次盆地では、西日本で最大規模の放射霧が形成される。本研究では江の川の河川敷と高谷山の斜面の計3地点で、ドローンを利用した放射霧の鉛直観測を実施した。………………………………(中間省略)また、霧層が厚く発達する日は、高度100m~150mに気温の逆転層が前日の夕方または夜間に形成されている共通性が確認された。本研究の結果から、ドローンが鉛直方向の大気情報を取得するツールとして有効であることが明らかとなった、との報告である(非特許文献1)。
【0004】
特許文献に於いては、特開2018-000015号公報の「ドローンを用いた自動防霜システム」が挙げられる(特許文献1)。発明の内容は、ドローン等の無人航空機を用いて農作物全体の防霜を効率よく行う防霜システムの提供であり、例えば、第1実施形態の図1では、ネットワークを介して相互に通信を行い、茶畑等の農作物の防霜飛行を実行する無人航空機(ドローン)と、ドローンの飛行制御等を行う管理サーバを含み、ドローンを動作させた際の気流を利用して、農作物の防霜を行い、特に茶畑における防霜を行うシステムであって、ドローンと管理サーバは、ローカルなネットワークで接続され、管理サーバにより、ドローンを制御する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】研究論文 ドローン技術を活用した霧の鉛直気象情報の観測、西原 大貴(岡山理科大)他、環境情報科学 学術研究論文集 34(2020)
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-000015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記非特許文献1においては、ドローンの飛行を、また、前記特許文献1においては、ドローンの飛行と、圃場に関して開示している。
【0008】
非特許文献1では、江の川の河川敷と高谷山の斜面の計3地点で、ドローンを利用した放射霧の鉛直観測を実施した。標高の異なる3地点で測定された気象計測データを鉛直方向に接合し、霧層全体の大気情報を取得することにある。さらに、特許文献1では、降霜条件とは、天候、風速、気温であって、例えば、晴天、無風(風速1m/s未満)、かつ予想最低気温が5度未満であり、ドローンの飛行で、防霜を達成できる条件を把握することにある。
【0009】
従って、本発明が意図する、下記の内容に関する技術の開示はない。
【0010】
即ち、請求項1、2等に示した、[ ドローンには、距離検知、物体有無検知、及び物体の動体検知用超音波センサ、高さ測定用気圧センサ、物体の傾き及び振動検知用加速度センサ、傾き検知用ジャイロセンサ、ドローンの傾き検出用の磁気方位センサ(ジャイロ)、ドローン位置情報用GPS、及び/又は、撮影用カメラの機器を装備し、圃場を、前記ドローンが、農業分野で定められた規定(例えば、登録に向かっている無人航空機)に基づき飛行し、前記ドローンには、温度センサ、又は赤外線センサを設け、前記圃場の高さごと、及び/又は、前記圃場の地形(谷間、平地、又は傾斜)ごとの温度(気温)分布を計測し、この温度(気温)計測データを、前記圃場に設けられた中央制御盤に送信する構成した圃場制御システム]である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題の解決手段は、飛行するドローンの登録義務化に向かっている状況に鑑み、例えば、中央制御盤に、防霜ファンの制御を図る計測データを取込み、この計測データと、個別の(各防霜ファンの)各制御盤の蓄積基準値とを演算処理し、例えば、各計測データ(例えば、逆転層の状況/有無、その他、風の向き、方向等の気象条件を含めた計測データ)を基準に、防霜ファンの稼働(運転)・停止(運転停止)・活用制御(防霜ファンの俯角、角度、回転数の制御)、及び、必要により、グループ制御等の各種制御を図り、例えば、防霜効果、及び降霜回避を図ること、或いは、逆転層の暖気を活用し、例えば、生育促進、花芽等の保護と育成を達成することである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は、下記のア)-オ)である。
【0013】
ア) ドローンによる計測を介して、圃場の防霜ファンの各種制御を司る。即ち、圃場を飛行するドローンには、距離検知、物体有無検知、及び物体の動体検知用超音波センサ、高さ測定用気圧センサ、物体の傾き検知用加速度センサ、傾き検知用ジャイロセンサ、ドローンの傾き検出用の磁気方位センサ(ジャイロ)、ドローン位置情報用GPS、及び/又は、撮影用カメラ、或いは温度センサ、又は赤外線センサの機器を設置し、これらの機器を利用し、圃場の測定ポイント(例えば、圃場上空、空間域)において、それぞれの温度を計測し(各所定位置の温度、又は高さによる、「温度分布の計測データとする」)、前記ドローンは、圃場の葉面領域の高さから、少なくとも、圃場の逆転層領域の高さまでの、温度分布を計測し、
この各計測データを、圃場に設けた中央制御盤に送信し、中央制御盤において、圃場の地形計測データと比較検討し、少なくとも、逆転層の有無、又は逆転層の高さ、横幅、厚みの状態と、温度分布の計測データ(逆転層計測データ)を、確認し、
各防霜ファンの各種制御を図る、
構成とした圃場制御システムである。
【0014】
このア)は、請求項全体と、殊に、請求項1、2において、開示している。
【0015】
イ) 圃場に設置した防霜ファンの制御を行う各制御盤を配備し、この各制御盤の制御信号により、防霜ファンの各種制御を行う圃場制御システムにおいて、圃場全体の3D地図、及びこの地図における防霜ファンの立設位置計測データを、記憶装置に入力する。飛行可能なドローンで所定ポイントの温度分布(気象)の計測データを計測する。この気象計測データを、飛行経路を飛行中に(予め決められた位置で)中央制御盤に送信する。そして、中央制御盤から各制御盤に、例えば、逆転層有りで、気温5度未満、及び降霜の危険性/降霜の可能性有りと判定されると、降霜被害発生の状況により、下記1~3の信号、すなわち、1)(どの方向に送風するかを指令する)送風方向信号、2)(どのくらいの傾きで風を送るかを指令する)俯角指示信号、3)(特に低温の処に適宜な風を送るかを指令する)ファン回転数信号、また、その他回動等の信号を、防霜ファンに送り、対応する防霜ファンの送風態様を決定し、送風態様に合致する送風の稼働を開始する(稼働・停止、援助の動作、「各種制御」をする)。
【0016】
このイ)は、請求項3において、開示している。
【0017】
ウ) その他、圃場の一定区画毎のグループで、グループ毎に防霜ファン、及び各制御盤を設置し、この計測データを、中央制御盤に送信し、中央制御盤で、グループ毎に、解析演算される。逆転層有りと判定されると、グループ毎に、中央制御盤から個別の各制御盤に送信された信号によって、各防霜ファン送風開始時のファンの方向(方向性)、俯角(俯角調整)、及び回転数(回転数調整)を定め、稼働を開始する。
【0018】
このウ)は、少なくとも、請求項4のグループ毎に関する説明で、開示している。
【0019】
エ) 圃場で生育する茶葉の栽培促進とか、逆転層の暖気(温かい空気)の有効利用で、逆転層が確認され、かつ圃場の温度が上昇、及び/又は、降霜の可能性が無くなった場合であっても、規定の条件設定とは異なり、生育ステージの変更を目的とし、低速回転で防霜ファンの稼働を継続し、茶樹・葉面等の育成・保護を図るために送風を継続する。
【0020】
このエ)は、少なくとも、請求項5において、開示している。
【0021】
オ) 圃場の地形(谷間、平地、又は傾斜)や、圃場の作物に応じて、例えば、圃場が茶畑である場合に、ドローンの飛行は、茶畝方向か、茶畝直行方向等を適宜選択する飛行で、圃場の温度分布の計測データにより、前述した逆転層の有無、又は逆転層の高さ、横幅、厚みの状態を計測した計測データを、確認し、防霜ファンの各種制御を図る構成とした圃場制御システムである。
【0022】
このオ)は、主に請求項2において、開示している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ドローンの一例を示す図
図2-1】圃場と防霜ファン装置の一例を示す模式図
図2-2】圃場域の状態の模式図で、破線はドローンが飛行するルートを示している
図3】ドローン、センサ、制御盤を含めた全体の構成図
図4-1】ドローンの飛行ルートの一例の模式図、圃場の広さ方向を区切り飛行する一例である(広域領域)
図4-2】ドローンの飛行ルートの一例の模式図、圃場の高さ方向を区切り飛行する一例である(積層段数)
図5-1】ドローンの飛行ルートの他の一例の模式図、圃場の広さ方向を区切り飛行する一例である(広域領域)
図5-2】ドローンの飛行ルートの他の一例の模式図、広域領域の平面視した図
図6】本発明の圃場制御システムにおける、ドローンと中央制御盤の関係を示したフローチャート
図7】降霜危険領域との関係を説明する一例の図
図8】圃場地形の変化、例えば、圃場に窪みがある地形を仮定した模式図
図9】中央制御盤における、逆転層の有無の判定と、防霜ファン稼働、及び/又は、停止等の信号発信の流れ、その他の一例を示すフローチャート
図10】圃場における、逆転層の厚みや熱量の条件における、防霜ファンの稼働、及び/又は、停止等の信号の流れと、その他の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施例、及び、ドローン3(飛行体の一例である)、その飛行可能領域、規則等の、必要とする規制を説明する。これらは、好ましい一例であり、各実施例、及び/又は、規則等の説明、及び/又は、図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造、又は同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【0025】
ドローン3による撮影・計測データの取得の基本は、例えば、圃場1(不陸計測となる)をドローン3で撮影・計測データを取得する。この撮影・計測データの取得は、例えば、イ) ドローン3による飛行計画の策定方法、ロ) 自動操縦アプリの設定方法、ハ) 飛行・撮影・計測データの取得であり、かつドローン3を安全に運用するための注意事項を、遵守する(説明は割愛する)。
【0026】
以下、好ましい一例を、各図面を参考として、順次、説明する。
【0027】
(第1実施例)
図2-1において、圃場1に立設した多数本の建柱4には、防霜ファン2がそれぞれ設けられている。この防霜ファン2は、地面100に対し、俯角調整自在、かつ首振り角度・首振り方向調整自在である。図2-2は、圃場1の一部である効果領域B1~Bnを示した模式図であり、かつ防霜ファン2が稼働している状態を示す。
【0028】
図中3は、図1に示すドローンである。ドローン3には、保護として、図示しない放射除けを備えたセンサ300、又はカメラ301等の計測機器を付設する。また、一般の機種と同様に、羽根3a、飛行用の機器(図示しない)等を備える。
【0029】
このドローン3は、圃場1における、例えば、茶樹等の葉面近傍の高さ(葉面領域)から、逆転層6が発生する圃場1上空101(逆転層領域)の高さまでの間を飛行し、圃場1の各所・高さ等の、温度分布等を計測する。そして、ドローン3は、圃場1を、巡回し、例えば、図4-1、図4-2~図5-1、図5-2に示したルートで飛行するが、限定されない。
【0030】
後述するように、図4-1~図5-2においては、圃場1等の全て、又は近辺を隈なく飛行し、望ましくは、正確で、かつ全体の温度(各高さ・地形・傾斜・方向等における温度であり、例えば、気温)を把握することが必要であり、温度(場合により、湿度・風の流れ・分布・持続性を含む)を計測し、温度分布の計測データとして捉える。この計測データは、後述する中央制御盤5に送る。
【0031】
計測データは、圃場1、農地、地形、気候、又はその他の状況(谷間、平地、傾斜等)で、個別か、グループ単位で計測され、この計測データを中央制御盤5に送信し、この中央制御盤5から、各防霜ファン2稼働・停止用の各制御盤50に送ることで、防霜ファン2を制御する(稼働か停止である)。そして、逆転層6の有無の確認を行う。さらに、場合により、図2-2と図7の如く、圃場1を部分的に区画した圃場領域B1~Bn(効果領域)の状況を把握し、細やかで、実効性のある生育と、生育保護、又は防霜を図る。
【0032】
本発明の圃場制御システムにおける、中央制御盤5は、
圃場1(例えば、葉面領域の高さから、逆転層6が発生する圃場1上空101(逆転層領域)の高さまで)を飛行するドローン3により計測する。逆転層6の有無、又は逆転層6の高さ、横幅、及び厚みの状態を計測した(捉えた)計測データを、圃場1に設けた中央制御盤5に送信する。かつ基準値と比較検討(演算処理)し、中央制御盤5から各制御盤50を介して、防霜ファン2に指令を送り、防霜ファン2の以下1)~3)の制御を図る。つまり、各制御盤50に、中央制御盤5から指令を出し、各防霜ファン2をコントロールする。そして、必要時に於いては、1)~3)の制御は個別制御の場合も有り得る。
1) 防霜ファン2の送風方向調整(複数の防霜ファン2の首振り位置の調整を行い、降霜の危険性有りの処、又は防霜の効果が少ない処に、集中的に逆転層6の暖気を送風する)、
2) 防霜ファン2の俯角調整(複数の防霜ファン2の俯角調整を行い、降霜の危険性有りの処、又は防霜の効果が少ない処に、集中的に逆転層6の暖気を送風する。)、
3) 防霜ファン2の回転数の制御(複数の防霜ファン2の回転数の制御を行い、降霜の危険性有りの処、又は防霜の効果が少ない処に、集中的に逆転層6の暖気を送風する。)、
4) 或いは、後述する応援防霜ファン2a~2nにも前記1)-3)の制御を行う。
【0033】
尚、図4-1~図5-2に示した如く、一例では、ドローン3は、圃場1の温度の計測を目的とし、積層段(図4-2の積層段数01~0n)を基準に、望ましくは、葉面領域、又は葉面近傍の高さから、逆転層領域・圃場1上空101(空中を含む)の高さで、必要により、隈なく飛行する(図4-1と、図5-1~図5-2)。これにより、例えば、確実な防霜とか、防霜ファン2の効率的な動き(稼働と停止)を図り、又は防霜ファン2の節約稼働による電力消費軽減、経済性向上等を図る。
【0034】
ドローン3の飛行は、搭載する機器で異なり、赤外線カメラ等では広域的で、かつ速やかな計測ができ、かつ短時間計測に有効である。
【0035】
この図4-2に示した如く、圃場1の高さ方向Iに於いては、積層段数01~0nとするが一例である。圃場1の広さ面積IIに於いては、広域領域P1~Pnとするが、例えば、畝方向Q1~Qnの飛行、及び/又は、畝方向Q1~Qnと交差方向の飛行の組合せとするが一例である。換言すると、高さ方向I、及び/又は、畝方向Q1~Qnにおいて、隈なく、かつ満遍なく飛行し、計測データを集積する。これにより、例えば、ドローン3は、決められた範囲内での飛行自由性を利用しつつ、逆転層6の厚み、及び/又は、広さ(容積)とか、温度分布等の計測を行うことで、防霜ファン2を利用した暖気活用と、防霜効果(降霜回避)が期待できる。又、防霜効果と、有益な成育環境維持、低コスト化、機器の保守管理の容易化、省資源化等に役立つ。図中の黒丸(●)は、測定ポイントD1~Dnを示している。尚、図5-1等は、前述した図4-1等に準ずる。又、この図4-2には、葉面領域(作物の葉面の高さ)と、逆転層領域(上空に形成される逆転層の高さ)を、夫々示している。
【0036】
(第2実施例)
図2-2、図7において、圃場1には、降霜の危険性有りの処、又は防霜の効果が少ない処に、近傍の稼働中の他の防霜ファン2a、2b~2n(応援防霜ファン2a、2b~2n)により、暖気を送風し、この状態を回避する手段、及び/又は、操作を中央制御盤5から指令を出す。図7を詳細に説明すると、網掛け領域が、降霜の危険性有りの処、又は防霜の効果が少ない処(降霜危険領域B1’~その他の降霜危険領域Bn’)と判定された場合、例えば、稼働中の他の防霜ファン2a、2bに応援を頼む。即ち、稼働中の他の防霜ファン2a、2bの送風方向(首振り位置)を変更、及び/又は、俯角を調整、及び/又は、回転数を調整して、暖気を、集中的に、前記降霜危険領域B1’に吹降ろすことで(暖気の送風で)、この降霜危険領域B1’の降霜回避を図る手段、及び/又は、操作を中央制御盤5から指令を出す。その他は、第1実施例に準ずる。図中Xは回動位置調整を、Yは防霜ファン効果領域を示す。
【0037】
(第3実施例)
図8は、圃場1に窪み8がある地形で、特例であって、気圧、空気の流れ、温度に異変、滞り、又は、降霜の危険性有り、また防霜の効果が少なくなる場合がある。この処に近傍の稼働中の他の防霜ファン2a~2n一基、又は必要により複数基の稼働中の他の防霜ファン2a~2nによる暖気を送風し、この状態を回避する。例えば、中央制御盤5から指令を発し対処する。その他は第1・2実施例に準ずる。
【0038】
(第4実施例)
前記各例に示した如く、1) ドローン3による計測データは、温度であって、例えば、温度分布とする。その他、気圧の高低等により、風の方向、及び/又は、温度を計測し、防霜ファン2の回転数、俯角、又は首振り等の調整を図り、所期の目的を達成する。殊に、防霜ファン2の暖気の流れを選択し、防霜効果の優位性を達成できる。2) 各部位の温度、及び/又は、気圧を、無線等の通信手段(ドローン3)を介し、中央制御盤5に送信し、計測データとして蓄積する。この計測データを利用し、逆転層6の有無を検知する。これらのデータを各制御盤50に送信することにより、各制御盤50(それぞれの制御盤)の指令で、各防霜ファン2の制御を図る。
【0039】
(第5実施例)
前述の各実施例においては、ドローン3の飛行により、圃場1の高さを計測し(把握し)、計測した各高さの結果を温度分布の計測データとして、中央制御盤5に入力する。この計測データを基にした指令を、各制御盤50を介して、防霜ファン2に送り、防霜ファン2の制御、及び/又は、稼働を図る。これにより、例えば、ドローン3の測定ポイントD1~Dnが少ない場合でも(計測データが少ない場合でも)、過去の計測データと照らし合わせて、防霜ファン2の稼働等を行うことができる。また、計測データの蓄積により、圃場1の一部の防霜ファン2の稼働等を行う場合も有り得る。
【0040】
尚、図3は防霜ファン2の稼働システムを示すブロック図である。この図3を基に説明すると、本発明の防霜ファン2の稼働システムは、圃場1内外を飛行しながら、測定ポイントD1~Dnで、環境計測データ(例えば、温度、湿度、気圧等)の計測を行うドローン3と、ドローン3から送信される計測データ等から、圃場B1~Bn(グループ)毎に、逆転層6の有無の判定や、防霜ファン2の稼働、及び/又は、停止、その他の操作等の信号を発信、かつ制御する中央制御盤5からの指令によって作動する、圃場1内に複数基配置されている防霜ファン2と、各制御盤50等の圃場1の情報を確認・管理するコントローラ51により構成される。図示のように、各制御盤50は、コントローラ51を有し、このコントローラ51には、例えば、受信部51a、計測データの入力部51bと、演算部51c、メモリ51d、及び出力部51eを有する。この出力部51eの指令で、例えば、
1) 防霜ファン2の送風方向、
2) 防霜ファン2の俯角、
3) 防霜ファン2の回転数、
4) 応援防霜ファン2a~2nの1)-3)
5) その他の、防霜ファン2の1)-3)外における制御、
を行う。
【0041】
ドローン3には、距離検知、物体有無検知、物体の動体検知用超音波センサ300(以下同じ)、高さ測定用気圧センサ300、傾き及び振動検知用加速度センサ300や、傾き検知用ジャイロセンサ、ドローンの傾き検出用磁気方位センサ300(ジャイロ)、ドローン位置情報用GPS、及び/又は、撮影用カメラ301とか、温度センサ、又は赤外線センサの機器を装備しており、例えば、ドローン3は、圃場1を、法規制に基づき飛行するが、適宜変更、又は修復可能とする。この各センサ300、カメラ301等の計測結果を中央制御盤5へ送信する通信部を有する。
【0042】
また、図4-1~図5-2に示したように、例えば、ドローン3は、少なくとも、圃場1の畝に沿った飛行経路と、圃場1の畝に直交する飛行経路を有する。これらの飛行経路において、葉面近傍の低い高度から逆転層6上方付近の高い高度に亘る、複数の高度において、飛行(積層段数01~0n)、及び/又は、広域領域P1~Pn、及び/又は、必要により、ホバリングを行い、必要な環境計測データを読み取ることも有り得る。
【0043】
図6は、ドローン3の動きと、中央制御盤5の関連を説明した図であり、好ましい一例で、以下に説明する(ST-1)~(ST-5)は、ドローン3の動きを、(ST-10)~(ST-18)は中央制御盤5の動作の一例である。
【0044】
地上での風速、風向を計測(ST-1)、及び、この計測結果により風速、風向を判定(ST-2)した後、ドローン3は、前述した、図4-1~図5-2に示したルートの各測定ポイントD1~Dnまで飛行する(ST-3)。そして、必要に応じてホバリングを行うことも有り得る(行わない場合も有り得る)。この飛行で取得した、温度分布の計測データ(温度であるが、場合により、湿度、気圧など)を読み取る(ST-4)。この計測データを中央制御盤5に送信する(ST-5)。
【0045】
そして、中央制御盤5は、ドローン3による計測データ等を受信する(ST-10)。この計測データと、地形計測データとの演算により、温度分布を読み取り、かつ逆転層6の確認と、圃場1の状況を確認する(ST-11)。例えば、逆転層6が有りとは、原則として、逆転層6の厚み、逆転層6の広がり、又は地上からの高さを読み取り、判定し、併せて、地上における風速、風向を読み取る(ST-12)。この風速、風向の計測データと、蓄積基準値から、風速強弱を判定する(ST-13)。判定の結果で、例えば、風速計測データが弱である場合、温度分布及び逆転層6発生の可能性の有無を判定する(ST-14)。(ST-14)において逆転層6発生有りの場合には、降霜の危険性の有無を確認する(ST-15)。降霜の危険性有りの場合、又は防霜効果の少ない処が有る場合、降霜の危険性有りの処の防霜ファン2を稼働し、また、周囲の応援防霜ファン2a等による補助送風を行うことも有り得る(ST-16-1)。そして、必要により、該当する防霜ファン2、及び/又は、応援防霜ファン2aの送風方向、俯角調整、回転数の調整を行い、適所へ効率よく送風することができる。又、(ST-15)において、降霜の危険性無しの場合は、圃場1内のすべての防霜ファン2を、既定送風方向、既定俯角、既定回転数にて稼動させる(ST-16-2)。一方、(ST-13)で風速が強と判定された場合、及び/又は、(ST-14)において逆転層6無しと判定された場合、圃場1内の防霜ファン2を停止する(ST-17)。
(ST-14)と(ST-15)において、逆転層6有りの場合で、かつ圃場1の温度上昇により、降霜の可能性無しの場合で、例えば、設定条件(例えば、花芽がつく頃等の生育段階、圃場1の風速、病気の予防等)の例では、防霜ファン2の稼働を継続(ST-18)し、逆転層6の暖気を吹き下ろす(送風する)ことにより、茶、作物等の育成促進を図る。
【0046】
他にも、圃場1では、逆転層6有りの場合には、イ) 応援防霜ファン2a等の働きか、ロ) 逆転層6の再確認か、ハ) 図示しない、暖房手段の活用か、ニ) 全防霜ファン2の稼働等、イ)~ニ)の何れかの手段で、降霜危険個所を保護援助する。
【0047】
前記操作と各判定・動作等の履歴は、通年に亘り蓄積し、かつ活用することで、圃場1の各防霜ファン2による、次のような効果が期待できると考えられる。
【0048】
本発明の圃場制御システムでは、圃場1の地形に関係なく、例えば、谷部、凹部、傾斜地、山間部等の特異な地形においても、防霜ファン2の効果が認められた。防霜ファン2による送風では葉面近傍の昇温が認められ、防霜ファン2設置後の降霜は、無送風側斜地等と比較しても、全体に被害発生がなく、かつ送風側斜面は谷部で軽微な降霜が見られたほかは被害が見られなかった。その他、送風による防霜が不適とされる窪み8とか、図示しないが、凹地を有する圃場1とか、傾斜地でも、斜面上方からの連続送風による、防霜ファン2の相乗効果により防霜効果、降霜回避等が期待でき、その効果は事前の調査により予測でき得るものと考えられる。
【0049】
図9は、ドローン3と中央制御盤5の関連において、別の一例を示すフローチャートであって、例えば、中央制御盤5における、逆転層6の有無の判定と、防霜ファン2の稼働、及び/又は、停止等の信号の流れの一例を示すフローチャートである。中央制御盤5は、ドローン3が取得、及び送信した計測データを受信(ST-100)した後、これらの計測データを、グループ毎の各制御盤50へ送信し(ST-101)、これらの計測データから、逆転層6等の解析、及び演算(ST-102)と、逆転層6、及び/又は、降霜が起きる可能性の有無判定を行う(ST-103、及びST-104)。先ず、降霜の可能性有りの場合(ST-104、YESの場合)、防霜ファン2に稼働信号を発信し(ST-105)、防霜ファン2を稼働する。さらに、防霜ファン2(応援防霜ファン2a~2nを含む、以下同様とする。)の送風方向(風向き変更)(ST-106-1)、及び/又は、防霜ファン2の俯角(ST-106-2)、及び/又は、防霜ファン2の回転数(ST-106-3)の指令を出す。この時、圃場B1~Bnの温度(気温)に関わらず、防霜ファン2を継続(ST-107)し、例えば、茶の育成促進、又は耐凍性の向上等を図る。一方、逆転層6無しの場合(ST-104、NOの場合)には、防霜ファン2に稼働停止信号を発信し(ST-108)、防霜ファン2の稼働(運転)を停止する。
【0050】
図10は、圃場1における、逆転層6の厚みや熱量等の条件における、防霜ファン2の稼働、及び/又は、停止等の指令と、これらの計測データ発信の流れの一例を示すフローチャートで、逆転層6有りの場合を仮定した一例を示す。ドローン3が取得、及び発信した計測データと、計測を行った測定ポイントD1~Dn(計測箇所)の各計測データを受信する(ST-200)。中央制御盤5において、逆転層6の厚み、及び熱量等を演算する(ST-201)。また、この状況下で、例えば、逆転層6の熱量に余裕がある等の場合(ST-202、YESの場合)は、防霜ファン2(応援防霜ファン2a等を含む、以下同様)の稼働を継続する(ST-203)。さらに、周囲の防霜ファン2の送風方向(ST-204-1)、及び/又は、周囲の防霜ファン2の俯角(ST-204-2)、及び/又は、周囲の防霜ファン2の回転数(ST-204-3)の指令を出す。一方、逆転層6の熱量が設定値未満の場合(ST-202、NOの場合)、防霜ファン2の停止信号を送り、稼働を停止する(ST-205)。
【0051】
その他の、本発明の意図は、下記イ)~ヘ)の如く、前述とは別の他の各実施例を説明する。
【0052】
イ) 圃場1に所定間隔に立設された各建柱4の上部の各々に、俯角調整、方向調整、回転数調整可能なファン200を設けた防霜ファン2と、この各防霜ファン2を制御する各制御盤50と、各制御盤50の管理を行う中央制御盤5と、で構成された防霜ファンシステムにおいて、
GPS、温度、気圧、風向、及び風速の各センサ300を備えたドローン3を、圃場1の同じ航路を、異なる高度で複数回飛行させ、各計測データ(例えば、位置情報、温度、気圧、風向、及び風速の各計測データ)を計測し、この計測データを中央制御盤5へ送信し、さらに、中央制御盤5から各制御盤50に送信し、各制御盤50から各防霜ファン2に指令を出し、各防霜ファン2の稼働、停止、俯角、方向、及び回転数の調整信号を発する構成とした圃場制御システムである。
【0053】
ロ) 圃場1に所定間隔に立設された各建柱4の上部の各々に、俯角調整、送風方向調整、回転数調整可能なファン200を設けた防霜ファン2と、この防霜ファン2からの送風の影響を受けにくい最上流側の地表(又は、圃場の茶樹、果樹の葉面)付近に設けたLセンサと、中央制御盤5からの各調整信号と、で個別の防霜ファン2(各防霜ファン2)の制御を行う構成とした第1防霜ファンシステムと、
GPS、温度、気圧、風向、及び風速の各センサを備えたドローン3を、圃場1の同じ航路を、異なる高度(葉面領域-逆転層領域「符号なし」)で複数回飛行させ、各計測データ(例えば、位置情報、温度、気圧、風向、及び風速の各計測データ)を計測し、この計測データを中央制御盤5へ送信し、さらに、中央制御盤5から各制御盤50に送信し、各制御盤50から各々の防霜ファン2の稼働、停止、俯角、方向、及び回転数の調整信号を発する構成とした第2防霜ファンシステムと、
であって、中央制御盤5の判定により、第2防霜ファンシステムで取得した各計測データのみで、防霜ファン2の制御可能であると判定した場合には、常時、第2防霜ファンシステムのみで、防霜ファン2の制御を行うことを特徴とした圃場制御システムである。
【0054】
ハ) 前記ドローン3の飛行高度は、このドローン3と同一航路で栽培される茶、果樹の葉面近傍の位置(領域)・葉面領域から、防霜ファン2の上空数mの高度まで飛行させ、
葉面領域の高度から、少しずつ高度を上げて(逆転層領域で)、順次、飛行、及び計測を行い、温度分布の計測データが、前の逆転層領域の計測データ以上の場合には、この計測時の高度を境界高度とし、ドローン3の飛行高度を、この境界高度以上に設定することで、逆転層6の大きさ(上下方向、横方向、幅等)を計測可能である構成とした圃場制御システムである。又は防霜ファン2の活用システムである。
【0055】
ニ) ドローン3による蓄積データ(計測データ)、又は、複数回のドローン3の飛行で得られた計測データから、特に葉面近傍の温度低下が大きい、又は、降霜の危険性有りと予測される場合であり、かつ、所定の大きさの逆転層6が確認される場合には、中央制御盤5から各制御盤50を介して、応援防霜ファン2a等の稼動信号、及び各調整信号(送風方向調整、俯角調整、回転数調整)を発信し、防霜ファン2により、逆転層6の暖気を、降霜の危険領域に送風する構成とした圃場制御システムである。又は圃場1に、逆転層6の暖気を送風し、例えば、防霜ファン2の各種制御をする。その中で、回転数の制御(低速)で、省エネ対応とする構成も有り得る。
【0056】
ホ) ドローン3の複数回の飛行により得られた計測データを基に、中央制御盤5が、降霜の危険性がないと判断した場合であっても、場合によっては、圃場1に逆転層6が確認される場合には、逆転層6が減少するまで、中央制御盤5から、各防霜ファン2に備えた個別の各制御盤50に、防霜ファン2の稼動信号、前記各制御信号を発信する構成とした圃場制御システムである。
【0057】
ヘ) ドローン3の複数回の飛行により、逆転層6が確認された状況下で、かつ、圃場1の温度上昇、及び/又は、降霜の可能性が低くなった場合であっても、中央制御盤5が、逆転層6が大きいと判定した時は、所定時間、低速回転で防霜ファン2の稼動状態を継続する構成とした圃場制御システムである。
【0058】
前記イ)~ヘ)において、記述した圃場制御システムは、本発明の別の実施例であり、審査の際に、ご配慮していただきたく切望します。
【0059】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態、及び、変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 圃場
100 地面
101 上空
2 防霜ファン
2a~2n 稼動中の他の防霜ファン(応援防霜ファン)
200 ファン
3 ドローン
3a 羽根
300 センサ
301 カメラ
4 建柱
5 中央制御盤
6 逆転層
8 窪み
50 各制御盤
51 コントローラ
51a 受信部
51b 入力部
51c 演算部
51d メモリ
51e 出力部
60 風速計
I 高さ方向
II 広さ面積
B1~Bn 効果領域(圃場)
B1’~Bn’ 降霜危険領域
D1~Dn 測定ポイント
X 回動位置調整
Y 防霜ファン効果領域
01~0n 積層段数
P1~Pn 広域領域
Q1~Qn 畝方向
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9
図10