(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174168
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】試験治具、試験装置及び試験方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/34 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
G01N3/34 S
G01N3/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086871
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100174285
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮山 聰
(72)【発明者】
【氏名】森 悠輝
(72)【発明者】
【氏名】早川 守
(72)【発明者】
【氏名】中山 英介
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AA02
2G061AB05
2G061BA15
2G061CA01
2G061CB01
2G061CC13
2G061DA16
2G061DA19
(57)【要約】
【課題】疲労試験の試験片の軸芯調整を高精度に行うことができる試験治具を提供する。
【解決手段】試験治具は、疲労試験に用いられる試験治具であって、試験片に負荷を付与する方向(x方向)を軸方向とし、前記試験片の軸方向の一方側に取り付けられる試験片ホルダ10Bを備え、試験片ホルダ10Bは、前記試験片が設置される面である試験片設置面1211を含み、試験片ホルダ10Bには、試験片設置面1211を通り、軸方向と垂直な方向に延びる貫通孔1211b又は貫通スリット1211aが形成されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疲労試験に用いられる試験治具であって、
試験片に負荷を付与する方向を軸方向とし、前記試験片の軸方向の一方側に取り付けられる試験片ホルダを備え、
前記試験片ホルダは、前記試験片が設置される面である試験片設置面を含み、
前記試験片ホルダには、前記試験片設置面を通り、前記軸方向と垂直な方向に延びる貫通孔又は貫通スリットが形成されている、試験治具。
【請求項2】
請求項1に記載の試験治具であって、
前記試験片は、標点長さが0.9mm以下、かつ、平行部の断面積が0.25mm2以下である、試験治具。
【請求項3】
請求項1に記載の試験治具であって、
前記試験片が板状試験片であり、
前記貫通孔又は貫通スリットは、前記試験片の厚さ方向に延びて形成されており、
前記試験片の軸方向及び厚さ方向の両方に垂直な方向を幅方向とし、前記試験片ホルダは、前記試験片の幅方向の位置を規制するガイド壁を有する、試験治具。
【請求項4】
請求項3に記載の試験治具であって、
前記ガイド壁は、前記試験片設置面と平行な端面を有し、
前記試験片ホルダには、前記ガイド壁の端面と重なる位置に形成され、前記幅方向に延びる第2の貫通孔又は第2の貫通スリットが形成されている、試験治具。
【請求項5】
請求項1に記載の試験治具であって、
前記貫通孔又は貫通スリットは、前記試験片の端面と重なる位置に形成されている、試験治具。
【請求項6】
請求項1に記載の試験治具であって、
前記試験片ホルダと外部機器から延びるシャフトとを連結するカップリングをさらに備え、
前記カップリングには、前記シャフトを挿入するための孔が形成されており、
前記カップリングは、前記シャフトの軸方向の2箇所以上の位置の各々において、前記シャフトの周方向の4方向以上の方向から前記シャフトを支持するねじを備える、試験治具。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の試験治具と、
投影画像測定器と、を備える、試験装置。
【請求項8】
請求項7に記載の試験装置を用いた試験方法であって、
前記投影画像測定器を用いて前記貫通孔又は貫通スリットの位置を測定し、前記貫通孔又は貫通スリットの位置に基づいて前記試験片ホルダの位置を調整する工程を備える、試験方法。
【請求項9】
請求項4に記載の試験治具と、投影画像測定器と、を備える試験装置を用いた試験方法であって、
前記投影画像測定器を用いて前記ガイド壁の端面の位置を測定し、前記ガイド壁の端面の位置に基づいて前記試験片ホルダの位置を調整する工程を備える、試験方法。
【請求項10】
請求項5に記載の試験治具と、投影画像測定器と、を備える試験装置を用いた試験方法であって、
疲労試験中に前記投影画像測定器を用いて前記試験片の端面の位置を測定する工程を備える、試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験治具、試験装置及び試験方法に関し、より詳しくは疲労試験に用いる試験治具及び試験装置、並びに疲労試験の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属材料の低サイクル疲労試験法として、試験片の評点間距離、ひいてはひずみを荷重試験中に測定し、試験片の破断寿命や繰返し硬化特性等を評価する試験が行われている。
【0003】
特許第3304551号公報には、小型試験片の疲労試験装置が記載されている。同公報には、全長が30mm、直径が2mm、検出長さGLが2mm程度の試験片の低サイクル試験を行うことができる試験装置が記載されている。
【0004】
特開2005-326357号公報には、引張負荷部材と、圧縮負荷部材とからなる超小型試験片用疲労試験治具が記載されている。同公報には、断面が0.3mm×0.3mm、平行部長さが0.5mm、全長が2.4mmといった寸法の試験片を対象とする試験治具が記載されている。
【0005】
特開2018-69360号公報には、ツール軸とシャンクとの芯ずれを調整することができる軸連結調整機構が記載されている。
【0006】
ひずみの測定技術に関する文献として、特開平8-240517号公報、特開平10-89950号公報、特開2003-130610号公報、特開昭64-35203号公報、特開2008-224341号公報等がある。
【0007】
非特許文献1には、疲労試験中に発生するクラックをその場観察したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3304551号公報
【特許文献2】特開2005-326357号公報
【特許文献3】特開2018-69360号公報
【特許文献4】特開平8-240517号公報
【特許文献5】特開平10-89950号公報
【特許文献6】特開2003-130610号公報
【特許文献7】特開昭64-35203号公報
【特許文献9】特開2008-224341号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Takashi Sumigawa et. al, "In situ observation on formation process of nanoscale cracking during tension-compression fatigue of single crystal copper micron-scale specimen", Acta Materialia, 153 (2018), 270-278
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
疲労試験の試験片の軸芯調整は通常、試験片の平行部に複数枚のひずみゲージを貼り付け、曲げひずみを測定することによって行われる。しかし、試験片が非常に小さい場合(例えば、標点長さが0.9mm以下、かつ、平行部の断面積が0.25mm2以下の場合)、汎用のひずみゲージを貼り付けることができず、適切な軸芯調整を行うことができない。
【0011】
本発明の課題は、疲労試験の試験片の軸芯調整を高精度に行うことができる試験治具、試験装置、及び試験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による試験治具は、疲労試験に用いられる試験治具であって、試験片に負荷を付与する方向を軸方向とし、前記試験片の軸方向の一方側に取り付けられる試験片ホルダを備え、前記試験片ホルダは、前記試験片が設置される面である試験片設置面を含み、前記試験片ホルダには、前記試験片設置面を通り、前記軸方向と垂直な方向に延びる貫通孔又は貫通スリットが形成されている。
【0013】
本発明の一実施形態による試験装置は、上記の試験治具と、投影画像測定器と、を備える。
【0014】
本発明の一実施形態による試験方法は、上記の試験装置を用いた試験方法であって、前記投影画像測定器を用いて前記貫通孔又は貫通スリットの位置を測定し、前記貫通孔又は貫通スリットの位置に基づいて前記試験片ホルダの位置を調整する工程を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、疲労試験の試験片の軸芯調整を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による試験装置の全体の構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、試験片の構成の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、試験治具から試験片ホルダ及びカップリングを抜き出して示す斜視図である。
【
図4】
図4は、試験片ホルダ及びカップリングの構成を説明するための分解斜視図である。
【
図5】
図5は、引張負荷治具の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図6】
図6は、ガイド治具のステージを拡大して示す斜視図である。
【
図8】
図8は、試験片ホルダの、試験片を含む平面における断面図である。
【
図9A】
図9Aは、カップリングの機構を説明するための模式図である。
【
図9B】
図9Bは、カップリングの機構を説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、試験片ホルダの近傍の構成を模式的に示す平面図である。
【
図11B】
図11Bは、試験片ホルダのy方向の位置、及びxy面内の傾きを調整した後の投影画像である。
【
図12】
図12は、試験片ホルダの近傍の構成を模式的に示す側面図である。
【
図13B】
図13Bは、試験片ホルダのz方向の位置、及びxz面内の傾きを調整した後の投影画像である。
【
図14】
図14は、試験片ホルダの構成から、ステージ、座屈防止治具及びスペーサを抜き出して示す分解斜視図である。
【
図15】
図15は、試験片の端面の近傍の投影画像を模式的に示す図である。
【
図16A】
図16Aは、クロスヘッド変位から求めたひずみに基づくヒステリシスループである。
【
図16B】
図16Bは、投影画像測定器によって試験片の端面を観察して測定した変位から求めたひずみに基づくヒステリシスループである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0018】
[試験装置]
図1は、本発明の一実施形態による試験装置1の全体の構成を模式的に示す側面図である。試験装置1は、試験治具100、クロスヘッド31、ロードセル32、YZステージ33及び投影画像測定器40を備えている。
【0019】
試験装置1は、対象材料から採取した試験片50に一軸方向の引張負荷及び圧縮負荷を繰り返し付与して、対象材料の疲労特性を評価するための装置である。試験装置1は、試験片50に負荷を加える方向が水平面と平行になるように構成されている。以下の説明では、試験片50に負荷を加える方向をx方向、水平面内でx方向と垂直な方向をy方向、x方向及びy方向の両方に垂直な方向(すなわち鉛直方向)をz方向と呼ぶ。なお、試験片50の形状に基づき、x方向を「軸方向」、y方向を「幅方向」、z方向を「厚さ方向」と呼ぶ場合がある。また、x方向において、試験片50の中心に近づく方向を「x方向内側」、これと反対の方向を「x方向外側」という場合がある。
【0020】
試験治具100は、試験片ホルダ10A及び10B、並びにカップリング20A及び20Bを備えている。試験片ホルダ10Aは試験片50の軸方向の一方側に取り付けられ、試験片ホルダ10Bは試験片50の軸方向の他方側に取り付けられる。カップリング20Aは試験片ホルダ10Aとクロスヘッド31(より詳しくは、クロスヘッド31から延びるシャフト311)とを連結し、カップリング20Bは試験片ホルダ10Bとロードセル32(より詳しくは、ロードセル32から延びるシャフト321)とを連結する。試験治具100の詳しい構成は後述する。
【0021】
クロスヘッド31は、図示しないモータ等の駆動手段によってx方向に沿って移動する。クロスヘッド31が移動することにより、カップリング20A及び試験片ホルダ10Aが連動して移動し、試験片50に引張負荷又は圧縮負荷が付与される。ロードセル32は、このとき試験片50に加わる荷重を測定する。
【0022】
YZステージ33は、ロードセル32に連結されており、ロードセル32をy方向及びz方向の各々に沿って平行移動できるように構成されている。ロードセル32はカップリング20Bを介して試験片ホルダ10Bと連結されているため、ロードセル32を平行移動させることにより、試験片ホルダ10Bを連動して平行移動させることができる。
【0023】
投影画像測定器40は、光源41と、二次元センサ42とを備えている。投影画像測定器40は、光源41から測定対象物に光を照射し、測定対象物によって遮られなかった光を二次元センサ42によって検出することで、測定対象物の形状、寸法、変位等を高精度に測定することができる装置である。投影画像測定器40としては例えば、株式会社キーエンス社製二次元高速測定器TM-3000シリーズ、センサヘッドTM-006を使用することができる。レンズとして、株式会社ミュートロン社製の両側テレセントリックレンズを用いることができる。また、光源41は平行光源であることが好ましい。
【0024】
本実施形態では後述するように、試験片ホルダ10A及び10Bの各々に貫通孔又は貫通スリットを設け、この貫通孔又は貫通スリットの位置を投影画像測定器40によって測定する。測定した貫通孔又は貫通スリットの位置に基づいて試験片ホルダ10A及び10Bの位置や傾きを調整することで、試験片50の軸芯を調整する。
【0025】
図1では、光源41と二次元センサ42とをz方向に沿って配置した場合を図示している。より具体的には、光源41を試験片ホルダ10A及び10Bのz方向下側に配置し、二次元センサ42を試験片ホルダ10A及び10Bのz方向上側に配置した場合を図示している。この配置の場合、試験片ホルダ10A及び10Bをz方向に貫通する貫通孔又は貫通スリットを通過する光を検出して、当該貫通孔又は貫通スリットのxy面内の位置を測定することができる。
【0026】
本実施形態では、
図1の配置に加えて、光源41と二次元センサ42とをy方向に沿って配置して測定を行う場合がある。より具体的には、光源41を試験片ホルダ10A及び10Bのy方向の一方側に配置し、二次元センサ42を試験片ホルダ10A及び10Bのy方向の他方側に配置して測定を行う場合がある。この配置の場合、試験片ホルダ10A及び10Bをy方向に貫通する貫通孔又は貫通スリットを通過する光を検出して、当該貫通孔又は貫通スリットのxz面内の位置を測定することができる。
【0027】
[試験片]
図2は、試験片50の構成の一例を示す平面図である。試験片50は、板状試験片である。試験片50は、平行部51と、平行部51の両側に設けられた掴み部52と、平行部51と掴み部52との間に設けられた肩部53とを備えている。
【0028】
本実施形態による試験治具100、試験装置1及び試験装置1を用いた試験方法は、試験片50が微小な試験片である場合に特に好適である。具体的には、標点長さL2が0.9mm以下、かつ、平行部51の断面積が0.25mm2以下である場合に特に好適である。試験片50がこのような微小な試験片である場合、汎用のひずみゲージを貼り付けて軸芯調整を行うことが困難なためである。試験片50の全長L1は、特に限定されないが、例えば5.0mm以下である。
【0029】
[試験治具]
図3は試験治具100(
図1)から試験片ホルダ10A及びカップリング20Aを抜き出して示す斜視図であり、
図4は試験片ホルダ10A及びカップリング20Aの構成を説明するための分解斜視図である。試験片ホルダ10Aと試験片ホルダ10Bと、及びカップリング20Aとカップリング20Bとはそれぞれ同一の構成を有するため、以下では試験片ホルダ10A及びカップリング20Aの構成について説明する。
【0030】
[試験片ホルダ]
試験片ホルダ10Aは、引張負荷治具11、ガイド治具12、圧縮負荷治具13、座屈防止治具14及びスペーサ15(
図4)の5つの部品から構成されている。これら5つの部品は、試験時にはねじ等の締結部品によって一体的に固定された状態で使用される。
【0031】
図5は、引張負荷治具11の一部を拡大して示す斜視図である。引張負荷治具11は、y方向に向かい合って配置された一対の爪部111を有している。爪部111の間には隙間111aが形成されており、また、爪部111の後方(x方向外側)には空間111bが形成されている。引張負荷治具11は、試験片50(
図2)の平行部51を隙間111aに通した状態で掴み部52を空間111bに収納できるように構成されている。
【0032】
引張負荷治具11には、y方向に延び、引張負荷治具11をy方向に貫通する貫通孔11a(第2の貫通孔)が形成されている。貫通孔11aは、引張負荷治具11とガイド治具12とが組み付けられたとき、xz面において、後述するガイド壁1212(
図6)の端面1212aと重なる位置に形成されている。貫通孔11aの機能は後述する。
【0033】
ガイド治具12(
図4)は、ステージ121と、ベース122とを含んでいる。ステージ121は、板状のベース122からz方向に突出するように形成されている。試験片50は、ガイド治具12のステージ121の上に設置される。
【0034】
図6は、ステージ121を拡大して示す斜視図である。ステージ121は、z方向と垂直な面であって、試験片50が設置される面である試験片設置面1211を有している。試験片設置面1211のy方向の両側には、試験片設置面1211よりも高い位置まで形成されたガイド壁1212が設けられている。試験片設置面1211の幅w2(二つのガイド壁1212の間の距離)は、試験片50の幅w1(
図2)と概ね同じ大きさに形成されている。また、ガイド壁1212は、試験片設置面1211と平行な端面1212aを有している。
【0035】
試験片50が試験片設置面1211に設置されることにより、試験片50のz方向の位置、x軸の周りの傾き、及びy軸の周りの傾きが規制されるとともに、ガイド壁1212により、試験片50のy方向の位置、及び試験片50のz軸の周りの傾きが規制される。
【0036】
試験片設置面1211には、二つの貫通スリット1211a及び一つの貫通孔1211bが形成されている。これらの貫通スリット1211a及び貫通孔1211bの各々は、z方向に延び、ステージ121だけではなく、ベース122(
図4)を含めたガイド治具12の全体をz方向に貫通するように形成されている。二つの貫通スリット1211aは、試験片設置面1211のx方向内側の端部において、y方向の両側の端部に形成されている。二つの貫通スリット1211aの各々は、U字型の平面形状(xy面の形状)を有している。貫通孔1211bは、試験片設置面1211の中心付近に形成されている。貫通孔1211bは、x方向に延びた、角が丸い長方形の平面形状(xy面の形状)を有している。貫通孔1211bはまた、xy面において、試験片50(
図2)の端面52aと重なる位置に形成されている。貫通スリット1211a及び貫通孔1211bの機能は後述する。
【0037】
圧縮負荷治具13(
図4)は、x方向に突出した圧縮負荷突起131を有している。圧縮負荷治具13は、引張負荷治具11に組み付けられたときに、圧縮負荷突起131がスペーサ15を間に挟んで試験片50の端面52a(
図2)に対向する位置になるように構成されている。
【0038】
座屈防止治具14(
図4)は、z方向に突出した突起部141を有している。突起部141は、試験片支持面1411を有している。座屈防止治具14は、引張負荷治具11に組み付けられたときに、試験片支持面1411がガイド治具12の試験片設置面1211(
図6)と平行になり、かつ試験片50の表面(z方向に垂直な面)に当接するように構成されている。試験片50は、試験片支持面1411と試験片設置面1211とによって、z方向の両側から挟まれる。これによって、試験片50にx方向の負荷を加えたときに、試験片50に座屈が発生するのを抑制することができる。
【0039】
座屈防止治具14には、z方向に延び、座屈防止治具14をz方向に貫通する貫通孔14aが形成されている。貫通孔14aは、xy面において、試験片50(
図2)の端面52aと重なる位置に形成されている。貫通孔14aの機能は後述する。
【0040】
スペーサ15(
図4)は、圧縮負荷治具13の圧縮負荷突起131と試験片50との間に配置される。
図7は、スペーサ15の斜視図である。スペーサ15には、試験片50の端面52aと接する端部に、スペーサ15をz方向に貫通する貫通スリット15aが形成されている。貫通スリット15aは、半円形状の平面形状(xy面の形状)を有している。貫通スリット15aは、xy面において、ステージ121(
図6)の貫通孔1211b及び座屈防止治具14の貫通孔14aと重なる位置に形成されている。貫通スリット15aの機能は後述する。
【0041】
図8は、試験片ホルダ10A及び10Bの、試験片50を含む平面における断面図(xy断面図)である。試験片ホルダ10Aがx方向外側に移動すると、引張負荷治具11の爪部111が試験片50の肩部53(
図2)に引っかかり、試験片50に引張負荷が付与される。また、試験片ホルダ10Aがx方向内側に移動すると、圧縮負荷治具13の圧縮負荷突起131がスペーサ15を介して試験片50の端面52a(
図2)を押圧し、試験片50に圧縮負荷が付与される。
【0042】
[カップリング]
カップリング20A(
図4)と試験片ホルダ10Aとは、ねじ等の締結部品によって一体的に固定された状態で使用される。カップリング20Aには、シャフト311(
図1)を挿入するための孔であって、x方向に延び、x方向外側の端面で開口した孔20aが形成されている。カップリング20Aにはさらに、外周面の8箇所にx方向と垂直な方向に延びるねじ孔20bが形成されている。ねじ孔20bは、x方向の2箇所の位置の各々において、周方向の4箇所の位置に90°間隔で形成されている。ねじ孔20bの各々は、孔20aと連続している。ねじ孔20bの各々には、ねじ21が締結される。ねじ21は、シャフト311(
図1)の軸方向の2箇所の位置の各々において、シャフト311の周方向の4方向からシャフト311の外周面に当接して、シャフト311を支持する。
【0043】
図9A及び
図9Bは、カップリング20A及び20Bの機構を説明するための模式図である。
図9Aでは、シャフト321が延びる方向がxy面内においてx方向から傾いている場合を図示している。
【0044】
カップリング20A及びカップリング20Bは、既述のとおり、試験片ホルダ10A及び10Bと外部機器から延びるシャフト(クロスヘッド31から延びるシャフト311又はロードセル32から延びるシャフト321)とを連結する部品である。カップリング20A及び20Bはそれぞれ、シャフト311及びシャフト321が延びる方向に対する試験片ホルダ10A及び10Bの傾きを調整できるように構成されている。
【0045】
シャフト321は、y方向に対向して配置されたねじ21(1)及びねじ22(2)、並びにねじ21(3)及びねじ21(4)に挟まれて支持されている。ねじ21(1)及びねじ21(2)と、ねじ21(3)及びねじ21(4)とは、シャフト321が延びる方向の2箇所の位置でシャフト321を支持している。そのため、ねじ21(1)~21(4)の締結度合を調整することで、カップリング20Bの方向をシャフト321が延びる方向に対して傾斜させることができる。
【0046】
具体的には例えば、
図9Aに白抜きの矢印で示すように、ねじ21(1)及びねじ22(4)を緩め、ねじ21(2)及びねじ22(3)を締め付けることで、カップリング20Bをz軸の周りに回転させることができる。これによって、
図9Bに示すように、試験片ホルダ10Bの長手方向をx方向と一致させることができる。カップリング20Bを反対方向に回転させる場合、ねじ21(1)及びねじ22(4)を締め付け、ねじ21(2)及びねじ22(3)を緩めればよい。
【0047】
図示は省略するが、ねじ21(1)~21(4)の位置からx軸の周りに90°回転させた位置に配置されたねじの締結度合を調整することによって、カップリング20Bをy軸の周りに回転させることもできる。
【0048】
このように、カップリング20A及び20Bの構成によれば、試験片ホルダ10A及び10Bをz軸及びy軸の周りに回転させることができる。
【0049】
カップリング20A及び20Bの各々は、8本よりも多くのねじを備えていてもよい。すなわち、カップリング20A及び20Bの各々は、シャフト311又は321の軸方向の2箇所以上の位置の各々において、当該シャフトの周方向の4方向以上の方向から当該シャフトを支持するねじを備えていればよい。
【0050】
[試験方法]
次に、試験装置1(
図1)を用いた試験方法を説明する。
【0051】
[軸芯の調整]
本実施形態による試験方法は、試験装置1(
図1)を用いた試験方法であって、投影画像測定器40を用いて試験片設置面1211(
図6)の貫通孔1211b又は貫通スリット1211aの位置を測定し、貫通孔1211b又は貫通スリット1211aの位置に基づいて試験片ホルダ10A又は試験片ホルダ10Bの位置を調整する工程を備えることができる。
【0052】
図10は、試験片ホルダ10A及び10Bの近傍の構成を模式的に示す平面図(xy平面図)である。
図10では、試験片ホルダ10Aのy方向の位置と試験片ホルダ10Bのy方向の位置とが一致しておらず、かつ、試験片ホルダ10Aの傾きと試験片ホルダ10Bの傾きとが一致していない場合を図示している。この状態から、試験片ホルダ10Bのy方向の位置、及びxy面内の傾きを調整する方法の一例を説明する。
【0053】
この調整は、試験片ホルダ10A及び10Bから、座屈防止治具14(
図4)を取り外した状態で実施する。また、この調整は、試験片50及びスペーサ15を配置せずに実施する。この状態において、投影画像測定器40(
図1)の光源41と二次元センサ42とをz方向に沿って配置して、試験片ホルダ10A及び10Bの投影画像を取得する。より具体的には、光源41を試験片ホルダ10A及び10Bのz方向の一方側に配置し、二次元センサ42を試験片ホルダ10A及び10Bのz方向の他方側に配置して、投影画像を取得する。
【0054】
図11Aは、
図10の一点鎖線の部分の投影画像を模式的に示す図である。
図11Aにおいて、ハッチングを付した部分は光が試験片ホルダ10A及び10Bによって遮られた部分を表しており、白抜きの部分は光が遮られなかった部分(以下「透過部」という。)を表している(後述する
図13A、
図13B及び
図15においても同様である。)。
【0055】
図11Aに示すように、この投影画像では、貫通スリット1211aに対応する部分、貫通孔1211bに対応する部分、及び引張負荷治具11間の隙間の部分が透過部となる。なお、
図10ではステージ121と引張負荷治具11との間にも隙間があるように見えるが、z方向の奥側にベース122(
図4)があるためこの部分は透過部とはならない。
【0056】
この投影画像を見ながら、試験片ホルダ10Bのy方向の位置、及びxy面内の傾きを調整する。具体的には例えば、試験片ホルダ10Bの貫通スリット1211aの位置が試験片ホルダ10Aの貫通スリット1211aの位置と一致するように、YZステージ33(
図1)を操作して、試験片ホルダ10Bをy方向に移動させる。また、試験片ホルダ10Bの貫通スリット1211aが試験片ホルダ10Aの貫通スリット1211aと平行になるように、カップリング20B(
図1)を操作して、試験片ホルダ10Bをz軸の周りに回転させる。
図11Bに、試験片ホルダ10Bのy方向の位置、及びxy面内の傾きを調整した後の投影画像を示す。
【0057】
上記では、貫通スリット1211aの位置に基づいて試験片ホルダ10Bのy方向の位置、及びxy面内の傾きを調整する場合を説明したが、貫通孔1211bの位置に基づいて調整するようにしてもよい。
【0058】
本実施形態による試験方法は、投影画像測定器40を用いてガイド壁1212(
図6)の端面1212aの位置を測定し、端面1212aの位置に基づいて試験片ホルダ10A又は試験片ホルダ10Bの位置を調整する工程を備えていてもよい。試験片ホルダ10A及び試験片ホルダ10Bは、以下に説明するように、投影画像測定器40によってガイド壁1212の端面1212aを観察できるように構成されている。
【0059】
図12は、試験片ホルダ10A及び10Bの近傍の構成を模式的に示す側面図(xz側面図)である。
図12では、試験片ホルダ10Aのz方向の位置と試験片ホルダ10Bのz方向の位置とが一致しておらず、かつ、試験片ホルダ10Aの傾きと試験片ホルダ10Bの傾きとが一致していない場合を図示している。この状態から、試験片ホルダ10Bのz方向の位置、及びxz面内の傾きを調整する方法の一例を説明する。
【0060】
この調整は、試験片ホルダ10A及び10Bから、座屈防止治具14(
図4)を取り外した状態で実施する。また、この調整は、試験片50及びスペーサ15を配置せずに実施する。この状態において、投影画像測定器40(
図1)の光源41と二次元センサ42とをy方向に沿って配置して、試験片ホルダ10A及び10Bの投影画像を取得する。より具体的には、光源41を試験片ホルダ10A及び10Bのy方向の一方側に配置し、二次元センサ42を試験片ホルダ10A及び10Bのy方向の他方側に配置して、投影画像を取得する。
【0061】
図13Aは、
図12の一点鎖線の部分の投影画像を模式的に示す図である。
図13Aに示すように、この投影画像では、貫通孔11aに対応する部分のうちガイド壁1212と重ならない部分、及び引張負荷治具11間の隙間の部分が透過部となる。
【0062】
この投影画像を見ながら、試験片ホルダ10Bのz方向の位置、及びxz面内の傾きを調整する。具体的には例えば、試験片ホルダ10Bの端面1212aの位置が試験片ホルダ10Aの端面1212aの位置と一致するように、YZステージ33(
図1)を操作して、試験片ホルダ10Bをz方向に移動させる。また、試験片ホルダ10Bの端面1212aが試験片ホルダ10Aの端面1212aと平行になるように、カップリング20B(
図1)を操作して、試験片ホルダ10Bをy軸の周りに回転させる。
図13Bに、試験片ホルダ10Bのz方向の位置、及びxz面内の傾きを調整した後の投影画像を示す。
【0063】
[試験片の変位測定]
本実施形態による試験方法は、疲労試験中に投影画像測定器40(
図1)を用いて試験片50の端面52a(
図2)の位置を測定する工程を備えていてもよい。試験片ホルダ10A及び試験片ホルダ10Bは、以下に説明するように、投影画像測定器40によって試験片50の端面52aを観察できるように構成されている。
【0064】
図14は、試験片ホルダ10Aの構成から、ステージ121、座屈防止治具14及びスペーサ15を抜き出して示す分解斜視図である。ステージ121の貫通孔1211b及び座屈防止治具14の貫通孔14aは、xy面において試験片50の端面52aと重なる位置に形成されている。また、ステージ121の貫通孔1211b、座屈防止治具14の貫通孔14a及びスペーサ15の貫通スリット15aは、xy面において互いに重なる位置に形成されている。
【0065】
投影画像測定器40(
図1)の光源41を試験片ホルダ10A及び10Bのz方向の一方側に配置し、二次元センサ42を試験片ホルダ10A及び10Bのz方向の他方側に配置して、投影画像を取得しながら、疲労試験を実施する。より具体的には、投影画像を取得しながら、試験片50に引張負荷又は圧縮負荷を加える。
【0066】
図15は、試験片50の端面52aの近傍の投影画像を模式的に示す図である。
図15に示すように、この投影画像では、ステージ121の貫通孔1211b、座屈防止治具14の貫通孔14a及びスペーサ15の貫通スリット15aが重なる部分が透過部となる。ステージ121の貫通孔1211b及び座屈防止治具14の貫通孔14aは試験片50の端面52aと重なる位置に形成されているため、この投影画像から試験片50の端面52aのx方向の位置を測定することができる。これによって、疲労試験中の試験片50の変位を直接測定することができる。
【0067】
[本実施形態の効果]
以上、本発明の一実施形態による試験治具100、試験装置1及び試験装置1を用いた試験方法を説明した。
【0068】
本実施形態による試験治具100は、それぞれ試験片50の軸方向の一方側及び他方側に取り付けられる試験片ホルダ10A及び10Bを備えている。試験片ホルダ10A及び10Bの各々は、試験片50が設置される試験片設置面1211(
図6)を含んでおり、試験片ホルダ10A及び10Bの各々には、試験片設置面1211を通り、軸方向と垂直な方向に延びる貫通スリット1211a及び貫通孔1211bが形成されている。
【0069】
この構成によれば、投影画像測定器40(
図1)を用いて貫通スリット1211a又は貫通孔1211bの位置を測定することで、試験片設置面1211のxy面における位置や傾きを高精度に測定することができる。
【0070】
図10及び
図12では、試験片ホルダ10Bの全体が試験片設置面1211に連動して傾いているように図示しているが、実際には、試験片設置面1211が試験片ホルダ10Bの外形に対して傾いていたり、試験片設置面1211の中心と試験片ホルダ10Bの中心とが一致していなかったりする場合がある。そのため、試験片ホルダ10Bの外形や爪部111(
図5)の隙間111a等を基準に位置や傾きを調整しても、試験片設置面1211は本来の位置からずれていたり、本来の方向から傾いていたりする場合がある。
【0071】
本実施形態では、試験片設置面1211を通る貫通スリット1211a及び貫通孔1211bの位置を測定することで、試験片設置面1211の位置を直接測定することができる。試験片50の位置及び傾きを規制する試験片設置面1211の位置を測定することで、試験片50の軸芯をより高精度に調整することができる。
【0072】
また、y方向に沿って投影画像測定器40を配置し、ガイド壁1212(
図6)の端面1212aの位置を測定することで、試験片設置面1211のxz面における位置や傾きを高精度に測定することができる。この測定では、試験片設置面1211の位置を直接測定している訳ではないが、試験片設置面1211に隣接したガイド壁1212の端面1212aの位置を測定しているので、試験片ホルダ10Bの外形等を基準に調整する場合と比較して、試験片設置面1211のxz面における位置や傾きをより高精度に測定することができる。
【0073】
本実施形態ではさらに、貫通孔1211bは、試験片50の端面52aと重なる位置に形成されている。この構成によれば、疲労試験中に投影画像測定器40(
図1)を用いて試験片50の端面52aの位置を測定することができる。従来、試験片50の変位はクロスヘッド31(
図1)の変位から推定するしかなかったが、本実施形態によれば、試験片50の変位を直接測定することができる。クロスヘッド31の変位には、試験片50の変位以外に、試験治具100の変形等による成分が含まれている。本実施形態による試験治具100は、試験片50の変位を直接測定することができるので、試験片50の変位をより高精度に測定することができる。そのため試験治具100は、低サイクル疲労試験用の試験治具として特に好適である。
【0074】
上記では、試験片ホルダ10Aが、引張負荷治具11、ガイド治具12、圧縮負荷治具13、座屈防止治具14及びスペーサ15の5つの部品から構成されている場合を説明した。この構成は例示であり、試験片ホルダ10Aは、同様の機能を果たす構成を有していればよく、4つ以下の部品から構成されていてもよいし、6つ以上の部品から構成されていてもよい。
【0075】
試験片ホルダ10Aは、より具体的には、試験片50を設置する面である試験片設置面1211(
図6)に相当する部分(同様の機能を果たす部分。以下同じ。)、試験片50に引張負荷を付与する爪部111(
図5)に相当する部分、試験片50に圧縮負荷を付与する圧縮負荷突起131(
図4)に相当する部分、試験片設置面1211と反対側から試験片50を支持する試験片支持面1411(
図4)に相当する部分、及び試験片50と圧縮負荷突起131との隙間を埋めるスペーサ15(
図7)に相当する部分を備えていればよい。
【0076】
試験片ホルダ10Aは、これらの部分の全てを備えている必要はなく、実施する疲労試験の条件等によっては、これらの部分の幾つかを備えていなくてもよい。例えば、圧縮負荷を加えない場合には、試験片ホルダ10Aは、圧縮負荷突起131(
図4)に相当する部分を備えていなくてもよい。試験片ホルダ10Aは、少なくとも試験片設置面1211(
図6)に相当する部分を備えていればよい。
【0077】
また、上記で貫通孔として説明した部分を貫通スリットに変更してもよいし、上記で貫通スリットとして説明した部分を貫通孔に変更してもよい。例えば、貫通孔11a(第2の貫通孔)を貫通スリット(第2の貫通スリット)に変更してもよい。
【0078】
上記では、試験片50に引張及び圧縮の繰り返し負荷を加える場合を説明した。圧縮を含む疲労試験では座屈がより起こりやすく、軸芯をより高精度に調整する必要がある。そのため、本実施形態による試験治具100、試験装置1及び試験装置1を用いた試験方法は、圧縮を含む疲労試験により好適に用いることができる。しかし、本実施形態による試験治具100、試験装置1及び試験装置1を用いた試験方法は、圧縮を含まない疲労試験に用いることもできる。
【0079】
また、上記では、試験片50が板状試験片である場合を説明したが、本実施形態による試験治具100、試験装置1及び試験装置1を用いた試験方法は、例えば棒状試験片に対しても適用可能である。
【実施例0080】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
【0081】
図2に示した形状の板状試験片を用いて、引張-圧縮の疲労試験を行った。試験片のサイズは、全長L1が2.4mm、標点長さL2が0.5mm、平行部の断面積が0.09mm
2、幅w1が1.6mm、厚さが0.3mmであった。
【0082】
試験片の軸芯調整を上述した方法によって行った。最大伸びを±1μmから±15μmまで5サイクル毎に1.5μm刻みで増加させるひずみ漸増条件で疲労試験を行い、ヒステリシスループ(繰返し応力-ひずみ曲線)を取得した。ひずみ速度は0.003/s(変位速度:1.5μm/s)とした。この試験では試験片に1.0%相当のひずみを負荷したが、試験後の試験片に目立った座屈や面外変形は見られなかった。
【0083】
図16Aは、クロスヘッド変位から求めたひずみに基づくヒステリシスループであり、
図16Bは、投影画像測定器によって試験片の端面を観察して測定した変位から求めたひずみに基づくヒステリシスループである。
図16Aでは異常な折れ曲がり点が生じているが、
図16Bでは安定したヒステリシスループが得られている。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を説明した。上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。