(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017417
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】位置ずれ算出装置及び位置ずれ算出方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121675
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】武田 博樹
(72)【発明者】
【氏名】梶田 大毅
(72)【発明者】
【氏名】前田 真彰
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA17
2F065BB05
2F065DD06
2F065FF04
2F065FF61
2F065JJ03
2F065PP25
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065RR05
2F065SS09
2F065SS14
2F065UU05
(57)【要約】
【課題】製造ライン内の設備の改修時における設計上の理想値に対する実機上の設置位置姿勢誤差(位置ずれ)の調整作業工数を削減する。
【解決手段】演算部と、記憶部と、を有する位置ずれ算出装置であって、記憶部は、設備、作業対象物及びそれらの配置の設計情報を保持し、演算部は、設計情報に基づいて、設備の作業対象物との接触部分を抽出し、接触部分から、それぞれが所定の形状のいずれかに該当する1以上の位置決め要素を抽出し、各位置決め要素の形状に基づいて、各位置決め要素の位置決め方向を算出し、実際の設備の測定結果に基づいて、設計情報によって特定される各位置決め要素の位置に対する、実際の設備の各位置決め要素の位置決め方向の位置ずれ量を算出し、測定された各位置決め要素の位置決め方向の位置ずれ量に基づいて、設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算部と、記憶部と、を有する位置ずれ算出装置であって、
前記記憶部は、設備の構成要素の寸法及び形状を示す設備設計情報と、前記設備による作業対象物の寸法及び形状を示す作業対象物設計情報と、前記設備と前記作業対象物との配置を示す配置設計情報と、を保持し、
前記演算部は、
前記設備設計情報、前記作業対象物設計情報及び前記配置設計情報に基づいて、前記設備の前記作業対象物との接触部分を抽出し、
前記接触部分から、それぞれが所定の形状のいずれかに該当する1以上の位置決め要素を抽出し、
前記各位置決め要素の形状に基づいて、前記各位置決め要素の位置決め方向を算出し、
実際の前記設備の測定結果に基づいて、前記設備設計情報、前記作業対象物設計情報及び前記配置設計情報によって特定される前記各位置決め要素の位置に対する、実際の前記設備の前記各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量を算出し、
測定された前記各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量に基づいて、前記設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出することを特徴とする位置ずれ算出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置ずれ算出装置であって、
前記演算部は、前記設備設計情報、前記作業対象物設計情報及び前記配置設計情報に基づいて、前記設備のうち、前記作業対象物との距離が所定の閾値より小さい部分を前記接触部分として抽出し、
前記所定の形状は、円筒面、平面、直線及び点を含み、
前記演算部は、前記接触部分から、それぞれが円筒面、平面、直線及び点に該当する1以上の位置決め要素を抽出することを特徴とする位置ずれ算出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の位置ずれ算出装置であって、
前記演算部は、
前記各位置決め要素に対応する前記作業対象物の接触部分を、被位置決め要素として抽出し、
前記位置決め要素の形状が円筒面である場合、前記円筒面に対応する円筒軸に直交する方向を前記位置決め方向として算出し、
前記位置決め要素の形状が平面である場合、前記平面の法線方向を前記位置決め方向として算出し、
前記位置決め要素の形状が直線又は点である場合、当該位置決め要素に対応する被位置決め要素の法線方向を前記位置決め方向として算出することを特徴とする位置ずれ算出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の位置ずれ算出装置であって、
前記演算部は、前記測定された各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量を全て満たす前記設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出することを特徴とする位置ずれ算出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の位置ずれ算出装置であって、
前記各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量、及び、前記設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を表示する表示部をさらに有することを特徴とする位置ずれ算出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の位置ずれ算出装置であって、
前記記憶部は、前記作業対象物を前記設備に設置するロボットの配置を示すロボットは位置情報と、前記ロボットが前記作業対象物を前記設備に設置するときの目標位置及び姿勢を示すロボット目標位置姿勢情報と、をさらに保持し、
前記演算部は、前記設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、前記目標位置及び姿勢を修正することを特徴とする位置ずれ算出装置。
【請求項7】
請求項1に記載の位置ずれ算出装置であって、
実際の前記設備を測定する測定部をさらに有し、
前記測定部は、前記設備及び前記作業対象物を撮影する光学カメラ、並びに、前記設備及び前記作業対象物までの距離を測定する測距センサの少なくともいずれかを含むことを特徴とする位置ずれ算出装置。
【請求項8】
演算部と、記憶部と、を有する計算機システムが実行する位置ずれ算出方法であって、
前記記憶部は、設備の構成要素の寸法及び形状を示す設備設計情報と、前記設備による作業対象物の寸法及び形状を示す作業対象物設計情報と、前記設備と前記作業対象物との配置を示す配置設計情報と、を保持し、
前記位置ずれ算出方法は、
前記演算部が、前記設備設計情報、前記作業対象物設計情報及び前記配置設計情報に基づいて、前記設備の前記作業対象物との接触部分を抽出する第1手順と、
前記演算部が、前記接触部分から、それぞれが所定の形状のいずれかに該当する1以上の位置決め要素を抽出する第2手順と、
前記演算部が、前記各位置決め要素の形状に基づいて、前記各位置決め要素の位置決め方向を算出する第3手順と、
前記演算部が、実際の前記設備の測定結果に基づいて、前記設備設計情報、前記作業対象物設計情報及び前記配置設計情報によって特定される前記各位置決め要素の位置に対する、実際の前記設備の前記各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量を算出する第4手順と、
前記演算部が、測定された前記各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量に基づいて、前記設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する第5手順と、を含むことを特徴とする位置ずれ算出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の位置ずれ算出方法であって、
前記第1手順において、前記演算部は、前記設備設計情報、前記作業対象物設計情報及び前記配置設計情報に基づいて、前記設備のうち、前記作業対象物との距離が所定の閾値より小さい部分を前記接触部分として抽出し、
前記所定の形状は、円筒面、平面、直線及び点を含み、
前記第2手順において、前記演算部は、前記接触部分から、それぞれが円筒面、平面、直線及び点に該当する1以上の位置決め要素を抽出することを特徴とする位置ずれ算出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の位置ずれ算出方法であって、
前記第2手順において、前記演算部は、前記各位置決め要素に対応する前記作業対象物の接触部分を、被位置決め要素として抽出し、
前記第3手順において、前記演算部は、
前記位置決め要素の形状が円筒面である場合、前記円筒面に対応する円筒軸に直交する方向を前記位置決め方向として算出し、
前記位置決め要素の形状が平面である場合、前記平面の法線方向を前記位置決め方向として算出し、
前記位置決め要素の形状が直線又は点である場合、当該位置決め要素に対応する被位置決め要素の法線方向を前記位置決め方向として算出することを特徴とする位置ずれ算出方法。
【請求項11】
請求項8に記載の位置ずれ算出方法であって、
前記第5手順において、前記演算部は、前記測定された各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量を全て満たす前記設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出することを特徴とする位置ずれ算出方法。
【請求項12】
請求項8に記載の位置ずれ算出方法であって、
前記計算機システムは、表示部をさらに含み、
前記位置ずれ算出方法は、前記表示部が、前記各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量、及び、前記設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を表示する手順をさらに含むことを特徴とする位置ずれ算出方法。
【請求項13】
請求項8に記載の位置ずれ算出方法であって、
前記記憶部は、前記作業対象物を前記設備に設置するロボットの配置を示すロボットは位置情報と、前記ロボットが前記作業対象物を前記設備に設置するときの目標位置及び姿勢を示すロボット目標位置姿勢情報と、をさらに保持し、
前記位置ずれ算出方法は、前記演算部が、前記設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、前記目標位置及び姿勢を修正する手順をさらに含むことを特徴とする位置ずれ算出方法。
【請求項14】
請求項8に記載の位置ずれ算出方法であって、
前記計算機システムは、実際の前記設備を測定する測定部をさらに有し、
前記測定部は、前記設備及び前記作業対象物を撮影する光学カメラ、並びに、前記設備及び前記作業対象物までの距離を測定する測距センサの少なくともいずれかを含むことを特徴とする位置ずれ算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造ラインにおける設備等の位置ずれを算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業では、疫病の流行や自然災害の発生などの生産環境変動に即応するため、製造ライン内の設備の短期改修が求められている。設備には設計上の理想値に対する実機上の設置位置誤差(位置ずれ)がある。設備の位置ずれを調整せずに製造ラインを稼働させた場合、設備内に配置して作業するワークにも位置ずれが生じ、作業品質低下等の問題に繋がる。そのため、設備の改修時には都度設備の位置ずれの調整工数がかかることが課題となる。
【0003】
設備の位置ずれを調整するには、設備の設計情報からワークの配置を決める設備の位置決め要素を抽出し、抽出した位置決め要素の位置ずれを実機にて測定し、調整内容を確定する。これらの調整作業を自動化し調整工数を削減するため、3D-CADデータ等の設計情報から設備の位置決め要素を自動的に抽出するには、設備とワークとの接触部を抽出し、接触部の形状を解析することで位置決め要素を同定する必要がある。
【0004】
3D-CADデータ等の設計情報から部品間の接触部を抽出する方法として特開2007-316032号公報(特許文献1)に記載の技術がある。この公報には、「複数の部品からなる構造物の3次元設計データから2つの部品の端面が互いに接する接触面を抽出する抽出部と、接触面の接触状態を設定する接触状態設定部と、接触面の接触状態に応じた、当該接触面の熱抵抗を得るための熱抵抗情報を予め保持する保持部と、この保持部に保持された、接触状態設定部によって設定された接触面の接触状態に対応する熱抵抗情報に基づいて、当該接触面の熱伝導率を算出する熱伝導率算出部と、この熱伝導率算出部によって算出された熱伝導率を含む解析データを生成する生成部とをそなえて構成する。」という記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の方式は、複数の部品からなる構造物の設計情報から部品間の接触部を抽出し、接触部の面積を計算しているが、接触部の形状は解析しておらず、位置決め要素を同定することはできない。位置決め要素の位置決め方向は設備のワークとの接触部の形状によって異なるため、位置ずれ算出には接触部の形状解析が必要となるためである。
【0007】
そこで本発明は、位置決め要素の位置ずれを自動的に算出することで、設備の位置ずれの調整工数を削減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、演算部と、記憶部と、測定部と、を有する位置ずれ算出装置であって、前記記憶部は、設備の構成要素の寸法及び形状を示す設備設計情報と、前記設備による作業対象物の寸法及び形状を示す作業対象物設計情報と、前記設備と前記作業対象物との配置を示す配置設計情報と、を保持し、前記演算部は、前記設備設計情報、前記作業対象物設計情報及び前記配置設計情報に基づいて、前記設備の前記作業対象物との接触部分を抽出し、前記接触部分から、それぞれが所定の形状のいずれかに該当する1以上の位置決め要素を抽出し、前記各位置決め要素の形状に基づいて、前記各位置決め要素の位置決め方向を算出し、前記測定部は、前記設備設計情報、前記作業対象物設計情報及び前記配置設計情報によって特定される前記各位置決め要素の位置に対する、実際の前記設備の前記各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量を測定し、前記演算部は、測定された前記各位置決め要素の前記位置決め方向の位置ずれ量に基づいて、前記設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、設計情報から位置決め要素を抽出し、設備の位置ずれを自動的に算出でき、設備の位置ずれの調整工数を削減することができる。
【0010】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1における位置ずれ算出装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2A】本発明の実施例1における設備設計情報記憶部に記憶される設備設計情報の一例を示す説明図である。
【
図2B】本発明の実施例1における設備設計情報に基づいて描画される設備の一例を示す説明図である。
【
図3A】本発明の実施例1におけるワーク設計情報記憶部に記憶されるワーク設計情報の一例を示す説明図である。
【
図3B】本発明の実施例1におけるワーク設計情報に基づいて描画されるワークの一例を示す説明図である。
【
図4A】本発明の実施例1における配置設計情報記憶部に記憶される配置設計情報の一例を示す説明図である。
【
図4B】本発明の実施例1における設備設計情報に基づく設備及びワーク設計情報に基づくワークを、配置設計情報に基づいて配置し描画した図の一例を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施例1における位置ずれ算出装置が実行する位置ずれ算出手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例1における位置決め要素抽出部が位置決め要素を抽出する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例1における位置決め方向算出部が位置決め方向を算出する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施例1における設備位置ずれ測定部が設備の位置ずれを算出する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例1における表示部に表示される位置決め要素位置ずれ情報及び設備位置ずれ情報の一例を示す説明図である。
【
図10】本発明の実施例1における位置決め要素位置ずれ情報記憶部に記憶される位置決め要素位置ずれ情報の一例を示す説明図である。
【
図11】本発明の実施例1における設備位置ずれ情報記憶部に記憶される設備位置ずれ情報の一例を示す説明図である。
【
図12】本発明の実施例2における位置ずれ算出装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】本発明の実施例2におけるロボット配置情報記憶部に記憶されるロボット配置情報の一例を示す説明図である。
【
図14】本発明の実施例2におけるロボット目標位置姿勢情報記憶部に記憶されるロボット目標位置姿勢情報の一例を示す説明図である。
【
図15】本発明の実施例2における位置ずれ算出装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の実施例2におけるロボット目標位置姿勢修正部がロボット目標位置姿勢を修正する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17】本発明の実施例2におけるロボット目標位置姿勢修正案情報記憶部に記憶されるロボット目標位置姿勢修正案情報の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る位置ずれ算出装置について、図面を参照しつつ、実施形態に基づいて説明する。以下に説明する実施例において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例0013】
図1は、本発明の実施例1における位置ずれ算出装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、位置ずれ算出装置100は、入力部110、記憶部111、演算部112、位置決め要素位置ずれ測定部200、出力部210、及び表示部220を含む。
【0015】
入力部110は、記憶部111に格納する情報を入力する。記憶部111は、入力情報を格納する設備設計情報記憶部120、ワーク設計情報記憶部130及び配置設計情報記憶部140、並びに、出力情報を格納する位置決め要素位置ずれ情報記憶部150及び設備位置ずれ情報記憶部160を含む。設備設計情報記憶部120は、設備の構成要素の寸法、形状などの設備設計情報を記憶する。ワーク設計情報記憶部130は、設備内に配置され、所定の作業がなされるワークの寸法及び形状などのワーク設計情報を記憶する。配置設計情報記憶部140は、設備内におけるワークの配置を示す配置設計情報を記憶する。位置決め要素位置ずれ情報記憶部150は、位置決め要素の位置ずれを記憶する。設備位置ずれ情報記憶部160は、設備の位置ずれを記憶する。
【0016】
演算部112は、位置決め要素抽出部170、位置決め方向算出部180及び設備位置ずれ算出部190を含む。これらは、例えば、記憶部111に格納されたプログラムを演算部112が実行することによって実現されてもよい。位置決め要素抽出部170は、記憶部111に格納された情報を用い、設備の形状要素のうち、ワークと接触することでワークの配置を決める機能を有する形状要素である位置決め要素を抽出する。位置決め方向算出部180は、抽出した位置決め要素の位置決め方向を算出する。設備位置ずれ算出部190は、実機にて測定した位置決め要素の位置ずれを算出し、設備位置ずれを算出する。
【0017】
位置決め要素位置ずれ測定部200は、設備位置ずれ算出部190が設備位置ずれを算出する際に必要な位置決め要素の位置ずれを実機にて測定する。例えば、位置決め要素位置ずれ測定部200は、設備及びワークを計測するセンサと、センサから得られたデータを処理して位置ずれ量を算出する演算部112の機能と、によって実現されてもよい。センサは、例えば、設備及びワークを撮影する光学カメラ、設備及びワークまでの距離を計測する測距センサ、又はその他の種類のセンサの少なくともいずれかであってもよい。
【0018】
出力部210は、演算部112が算出した位置決め要素位置ずれ及び設備位置ずれを出力し、位置決め要素位置ずれ情報記憶部150及び設備位置ずれ情報記憶部160に格納する。表示部220は、出力部210が位置決め要素位置ずれ情報記憶部150及び設備位置ずれ情報記憶部160に格納した位置決め要素位置ずれ及び設備位置ずれを表示する。
【0019】
図2Aは、本発明の実施例1における設備設計情報記憶部120に記憶される設備設計情報の一例を示す説明図である。
【0020】
設備設計情報テーブル121は、ID欄122、配置位置姿勢欄123、及び形状欄124を含む。
【0021】
ID欄122には、設備を構成する部品を識別するための番号が格納される。
【0022】
配置位置姿勢欄123には、各部品の配置位置姿勢を表す情報が格納される。
【0023】
形状欄124には、各部品の形状を表すポリゴンメッシュ情報が格納される。例えば、形状欄124は、面番号欄125、頂点番号欄126及び頂点座標欄127を含む。
【0024】
面番号欄125には、ポリゴンメッシュを構成する面を識別するための番号が格納される。
【0025】
頂点番号欄126には、各面を構成する3頂点を識別するための番号が格納される。
【0026】
頂点座標欄127には、各頂点の座標を表す情報が格納される。
【0027】
図2Bは、本発明の実施例1における設備設計情報に基づいて描画される設備の一例を示す説明図である。
【0028】
図2Bに例示する図形128は、設備のうち少なくとも一つの位置決め要素を含む部分を設備設計情報に基づいて描画したものである。
図2Bの例では、設備のうち、円柱状の位置決めピンと、円形以外の形状の底面を有する柱状の位置決めピン(例えば、角のある形状の底面を有する、いわゆるダイヤピン)とを含む部分が描画されている。この場合、例えば、それぞれの位置決めピンの側面の少なくとも一部、及び、位置決めピンが設置された基部の上面の少なくとも一部が位置決め要素となる。
【0029】
本実施例では、設備を構成する部品のID、配置位置姿勢、及び形状を設備設計情報として記載したが、設備設計情報に対して必要に応じて情報の追加及び削除を行ってもよい。本実施例は、設備設計情報として記載する情報を限定するものではない。
【0030】
図3Aは、本発明の実施例1におけるワーク設計情報記憶部130に記憶されるワーク設計情報の一例を示す説明図である。
【0031】
ワーク設計情報テーブル131は、ID欄132、配置位置姿勢欄133、及び形状欄134を含む。
【0032】
ID欄132には、ワークを構成する部品を識別するための番号が格納される。
【0033】
配置位置姿勢欄133には、各部品の配置位置姿勢を表す情報が格納される。
【0034】
形状欄134には、各部品の形状を表すポリゴンメッシュ情報が格納される。例えば、形状欄134は、面番号欄135、頂点番号欄136及び頂点座標欄137を含む。
【0035】
面番号欄135には、ポリゴンメッシュを構成する面を識別するための番号が格納される。
【0036】
頂点番号欄136には、各面を構成する3頂点を識別するための番号が格納される。
【0037】
頂点座標欄137には、各頂点の座標を表す情報が格納される。
【0038】
図3Bは、本発明の実施例1におけるワーク設計情報に基づいて描画されるワークの一例を示す説明図である。
【0039】
図3Bに例示する図形138は、ワークのうち、少なくとも、設備に設置されるときに位置決め要素に対応する部分を描画したものである。図形138は、例えば、図形128に示した円柱状の位置決めピンが挿入される穴と、ダイヤピンが挿入される穴とを含む。
【0040】
本実施例では、ワークを構成する部品のID、配置位置姿勢、及び形状をワーク設計情報として記載したが、ワーク設計情報に対して必要に応じて情報の追加及び削除を行ってもよい。本実施例は、ワーク設計情報として記載する情報を限定するものではない。
【0041】
図4Aは、本発明の実施例1における配置設計情報記憶部140に記憶される配置設計情報の一例を示す説明図である。
【0042】
配置設計情報テーブル141は、設備配置位置姿勢欄142及びワーク配置位置姿勢欄143を含む。
【0043】
設備配置位置姿勢欄142には、設備の配置位置姿勢を表す情報が格納される。
【0044】
ワーク配置位置姿勢欄143には、ワークの配置位置姿勢を表す情報が格納される。
【0045】
図4Bは、本発明の実施例1における設備設計情報に基づく設備及びワーク設計情報に基づくワークを、配置設計情報に基づいて配置し描画した図の一例を示す説明図である。
【0046】
具体的には、
図4Bに示す図形144は、設備の図形128と、ワークの図形138とを配置設計情報に基づいて配置したものである。
【0047】
本実施例では、設備配置位置姿勢及びワーク配置位置姿勢を配置設計情報として記載したが、配置設計情報に対して必要に応じて情報の追加及び削除を行ってもよい。本実施例は、配置設計情報として記載する情報を限定するものではない。
【0048】
図5は、本発明の実施例1における位置ずれ算出装置100が実行する位置ずれ算出手順の一例を示すフローチャートである。
【0049】
以下、
図1および
図5を参照しながら、位置ずれ算出装置100における処理の流れについて、説明する。
【0050】
<位置決め要素抽出>
図5に示す第一の手順では、位置ずれ算出装置100が処理を開始すると、設備設計情報、ワーク設計情報、及び設備に対するワークの配置設計情報を入力として、位置決め要素抽出部170が、設備に対するワークの位置を決める機能を有する位置決め要素を抽出する(S171)。
【0051】
図6は、本発明の実施例1における位置決め要素抽出部170が位置決め要素を抽出する処理S171の流れの一例を示すフローチャートである。
【0052】
まず、位置決め要素抽出部170は、設備のワークとの接触部を抽出する(S172)。なお、設備のワークとの接触部とは、例えば設備の形状を表すポリゴンメッシュを構成する面のうち、ワークとの距離が閾値未満になる面の集まりである。
【0053】
次に、位置決め要素抽出部170は、抽出した接触部のうち、設備側の接触部を、円筒面、平面、直線、点等の基本形状へと分割し、それぞれを位置決め要素として抽出する(S173)。なお、円筒面とは、接触部を構成する面のうち、環状に隣接する面の法線の全てが円筒軸直線を通るような面の集まりである。また、平面とは、接触部を構成する面のうち、隣接する面の法線の互いになす角度が閾値未満となるような面の集まりである。
【0054】
次に、位置決め要素抽出部170は、抽出したそれぞれの位置決め要素に対応するワーク側接触部を被位置決め要素として抽出する(S174)。なお、ワーク側の接触部とは、ワークの形状を表すポリゴンメッシュを構成する面のうち、位置決め要素との距離が閾値未満になる面の集まりである。
【0055】
以上の処理により、設備に対するワークの位置を決める機能を有する位置決め要素を自動的に抽出することができる。
【0056】
<位置決め方向算出>
図5に示す第二の手順では、位置決め方向算出部180が、位置決め要素の位置決め方向を算出する(S181)。
【0057】
図7は、本発明の実施例1における位置決め方向算出部180が位置決め方向を算出する処理S181の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
まず、位置決め方向算出部180は、位置決め要素の形状が円筒面か否かを判定する(S182)。位置決め要素が円筒面の場合には、位置決め方向算出部180は、円筒面の形状を解析して円筒軸を抽出し、位置決め方向として円筒軸と垂直な2方向を算出する(S183)。ここで、円筒軸とは、円筒面を構成する全ての面の法線が通る直線である。
【0059】
位置決め要素の形状が円筒面でない場合には、位置決め方向算出部180は、位置決め要素の形状が平面か否かを判定する(S184)。さらに、位置決め要素が平面の場合には、位置決め方向算出部180は、平面の形状を解析して平面の法線方向を抽出し、位置決め方向として平面の法線方向を算出する(S185)。その理由は、平面で設備と接触するワークは、その平面の法線方向に固定されるためである。
【0060】
位置決め要素が平面でない場合には、位置決め方向算出部180は、位置決め方向としてワーク側の被位置決め要素の法線方向を算出する(S186)。ここで、位置決め方向の算出にワーク側の被位置決め要素を用いる理由は、設備側の位置決め要素が線または点の場合にはその法線方向が決定せず、位置決め方向が一意に定まらないためである。設備側の位置決め要素の形状が点または線の場合、それに対応するワーク側の被位置決め要素は面であり、この面の法線方向にワークは位置決めされる。そのため、位置決め方向算出部180は、位置決め方向としてワーク側の被位置決め要素の法線方向を算出する。
【0061】
以上の処理により、位置決め要素の位置決め方向を自動的に算出することができる。
【0062】
<設備位置ずれ算出>
図5に示す第三の手順では、設備位置ずれ算出部190が、設備の位置ずれを算出する(S191)。
【0063】
図8は、本発明の実施例1における設備位置ずれ算出部190が設備の位置ずれを算出する処理S191の流れの一例を示すフローチャートである。
【0064】
まず、設備位置ずれ算出部190は、位置決め要素位置ずれ測定部200が位置決め要素の位置決め方向の位置ずれ量を実機にて測定した結果に基づいて、測定した位置ずれ量を位置決め要素位置ずれ量として算出する(S192)。なお、位置ずれ量の測定においては、位置決め要素位置ずれ測定部200を構成するセンサの種類に応じてセンサの向きを適切に設定する必要がある。例えばセンサとしてカメラを用いる場合には2D撮影画像内で位置ずれをセンシングするために、位置決め方向と垂直な方向を視線方向とすることが望ましい。また、センサとして測距センサを用いる場合には、位置決め方向と超音波又はレーザーの発射方向とを平行にすることが望ましい。
【0065】
次に、設備位置ずれ算出部190は、位置決め要素の設計上の配置を、測定した位置ずれの分だけ移動させることで、実際の位置決め要素の配置を算出する(S193)。
【0066】
次に、設備位置ずれ算出部190は、全ての位置決め要素が設計上の配置から実際の配置へ移動するような設備の平行移動量及び回転移動量を算出し、算出した移動量を設備位置ずれとして取得する(S194)。この計算には、ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズム等に代表される位置合わせ手法を用いても良い。
【0067】
最後に、設備位置ずれ算出部190は、算出した位置決め要素位置ずれ及び設備位置ずれを位置決め要素位置ずれ情報記憶部150及び設備位置ずれ情報記憶部160に格納する。
【0068】
図9は、本発明の実施例1における表示部220に表示される位置決め要素位置ずれ情報及び設備位置ずれ情報の一例を示す説明図である。
【0069】
まず、設備設計情報記憶部120に記憶された設備設計情報をもとに構成した設備の外観を表す画像上に、設備位置ずれ情報記憶部160に記憶された設備位置ずれ方向及び設備位置ずれ量が表示される(設備位置ずれ表示部221)。
図9の例では直交座標系における各座標軸方向の位置ずれ量及び各座標軸まわりの回転量によって姿勢を表しているが、例えば円筒座標系等の他の座標系、又は、クォータニオン等の他の姿勢表現を用いても良い。
【0070】
また、設備設計情報記憶部120に記憶された設備設計情報をもとに構成した設備の外観を表す画像上に、位置決め要素を抽出する処理S171で抽出した一以上の位置決め要素が強調表示される。
図9の例では、第一の位置決め要素(位置決め要素位置ずれ表示部222)、第二の位置決め要素(位置決め要素位置ずれ表示部223)、第三の位置決め要素(位置決め要素位置ずれ表示部224)、第四の位置決め要素(位置決め要素位置ずれ表示部225)が網掛けによって強調して表示され、さらに、各位置決め要素について、位置決め要素位置ずれ情報記憶部150に記憶されたそれぞれの位置決め要素位置ずれ方向及び設備位置ずれ量が表示される。
【0071】
設備位置ずれを調整する際には、表示部220に表示された設備位置ずれ量及び位置決め要素位置ずれ量をゼロにするように設備の配置を修正する。特に人手により設備位置ずれを調整する際には、修正の容易な位置決め要素を調整する作業を、設備位置ずれが所定の閾値未満になるまで繰り返す。
【0072】
図10は、本発明の実施例1における位置決め要素位置ずれ情報記憶部150に記憶される位置決め要素位置ずれ情報の一例を示す説明図である。
【0073】
位置決め要素位置ずれ情報テーブル151は、位置決め要素番号欄152、位置決め要素位置ずれ方向欄153、及び位置決め要素位置ずれ量欄154を含む。
【0074】
位置決め要素番号欄152には、抽出した位置決め要素を識別するための番号が格納される。
【0075】
位置決め要素位置ずれ方向欄153には、算出した位置決め要素の位置ずれ方向を表す情報が格納される。
【0076】
位置決め要素位置ずれ量欄154には、算出した位置決め要素の位置ずれ量を表す情報が格納される。
【0077】
図10には、例として、
図9に示した位置決め要素1~4の位置ずれ方向及び位置ずれ量が格納された位置決め要素位置ずれ情報テーブル151を示している。
【0078】
本説明では、位置決め要素番号、位置決め要素位置ずれ方向及び位置決め要素位置ずれ量を位置決め要素位置ずれ情報として記載したが、位置決め要素位置ずれ情報に対して必要に応じて情報の追加及び削除を行ってもよい。本実施例は位置決め要素位置ずれ情報として記載する情報を限定するものではない。
【0079】
図11は、本発明の実施例1における設備位置ずれ情報記憶部160に記憶される設備位置ずれ情報の一例を示す説明図である。
【0080】
設備位置ずれ情報テーブル161は、設備位置ずれ量欄162を含む。
【0081】
設備位置ずれ量欄162には、算出した設備の位置ずれ量を表す情報が格納される。
【0082】
図11には、例として、
図9に示した設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量が格納された設備位置ずれ情報テーブル161を示している。
【0083】
本実施例では、設備位置ずれ量を設備位置ずれ情報として記載したが、設備位置ずれ情報テーブル161に対して必要に応じて情報の追加及び削除を行ってもよい。本実施例は設備位置ずれ情報テーブル161に記載する情報を限定するものではない。
【0084】
ここで、
図9から
図11を参照して、位置決め要素位置ずれ及び設備位置ずれの具体例について説明する。
図9の位置決め要素位置ずれ表示部222~225には、
図2Bに示す設備に、
図3Bに示すワークが、
図4Bに示すように配置された場合の、設計情報から特定される各位置決め要素の位置に対する実機で測定された各位置決め要素の位置のずれの方向及び量の例を示す。また、設備位置ずれ表示部221には、上記の位置決め要素の位置ずれから特定される設備の位置ずれの方向及び量の例を示す。
【0085】
位置決め要素位置ずれ表示部222には、第一の位置決め要素の位置ずれ方向及び位置ずれ量が表示される。第一の位置決め要素は、円柱状のピンの円筒形の側面(円筒面)である。位置決め要素が円筒面である場合、位置決め方向は、円筒軸に直交する平面内のいずれかの方向(
図9の例ではXY平面内のいずれかの方向)である。
図10に示すように、第一の位置決め要素の位置ずれ方向は、位置決め方向であるXY平面内の方向のうち、X=0.71、Y=-0.72の方向であり、位置ずれ量は+4.2mmである。
【0086】
位置決め要素位置ずれ表示部223には、第二の位置決め要素の位置ずれ方向及び位置ずれ量が表示される。第二の位置決め要素は、位置決めピンの基部の上面である。位置決め要素が平面である場合、位置決め方向は、平面に直交する方向(
図9の例ではZ軸方向)である。
図10に示すように、第二の位置決め要素の位置ずれ方向はZ軸のプラス方向であり、位置ずれ量は+0.1mmである。
【0087】
位置決め要素位置ずれ表示部224には、第三の位置決め要素の位置ずれ方向及び位置ずれ量が表示される。第三の位置決め要素は、ダイヤピンの複数の平面状の側面のうちの一つである。位置決め要素が平面である場合、位置決め方向は、平面に直交する方向(
図9の例ではY軸方向)である。
図10に示すように、第三の位置決め要素の位置ずれ方向はY軸のマイナス方向であり、位置ずれ量は+0.6mmである。
【0088】
位置決め要素位置ずれ表示部225には、第四の位置決め要素の位置ずれ方向及び位置ずれ量が表示される。第四の位置決め要素は、ダイヤピンの複数の平面状の側面のうちの別の一つである。位置決め要素が平面である場合、位置決め方向は、平面に直交する方向(
図9の例ではY軸方向)である。
図10に示すように、第四の位置決め要素の位置ずれ方向はY軸のマイナス方向であり、位置ずれ量は+0.6mmである。
【0089】
設備位置ずれ表示部221には、上記の第一から第四の位置決め要素の位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて算出された設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量が表示される。
図11に示すように、設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量は、X軸方向に+3.0mm、Y軸方向に-3.1mm、Z軸方向に+0.1mm、X軸まわりに+0.1°、Y軸まわりに+0.2°、Z軸まわりに+1.3°である。
【0090】
これらは、位置決め要素位置ずれ表示部222~225に表示されたすべての位置決め要素の位置ずれ方向及び位置ずれ量を満足するように算出される。言い換えると、設備位置ずれ表示部221に表示された位置ずれを設備に与えた場合に、当該設備の各位置決め要素の位置ずれ方向及び位置ずれ量が位置決め要素位置ずれ表示部222~225に表示された通りになる。
【0091】
以上に説明したように、本実施例によれば、設計情報から算出した位置決め要素と、実機において測定された位置決め要素の位置ずれと、に基づいて、設備の位置ずれを自動的に算出でき、設備の位置ずれの調整工数を削減することができる。
ロボット目標位置姿勢修正部330は、ロボット配置情報記憶部310に記憶された設備に対するロボットの配置に関する情報と、ロボット目標位置姿勢記憶部320に記憶されたロボット目標位置姿勢とをもとに、ロボット目標位置姿勢記憶部320に記憶されたロボット目標位置姿勢を、設備の位置ずれを考慮したロボット目標位置姿勢へと修正する。
ロボット配置位置姿勢欄312には、ロボットの配置位置姿勢を表す情報が格納される。例えば、ロボット配置位置姿勢欄312には、ロボットの配置位置として直交座標系における座標値が格納され、ロボットの配置姿勢として直交座標系における各座標軸まわりの回転量が格納されてもよい。
本実施例では、ロボットの配置位置姿勢をロボット配置情報として記載したが、ロボット配置情報に対して必要に応じて情報の追加及び削除を行ってもよい。本実施例はロボット配置情報として記載する情報を限定するものではない。
ロボット目標位置姿勢欄322には、ロボットの手先の目標位置姿勢を表す情報が格納される。例えば、ロボット目標位置姿勢欄322には、ロボットの手先の目標位置として直交座標系における座標値が格納され、ロボットの手先の目標姿勢として直交座標系における各座標軸まわりの回転量が格納されてもよい。
本実施例では、ロボットの手先の目標位置姿勢をロボット目標位置姿勢情報として記載したが、ロボット目標位置姿勢情報に対して必要に応じて情報の追加及び削除を行ってもよい。本実施例はロボット目標位置姿勢情報として記載する情報を限定するものではない。
まず、ロボット目標位置姿勢修正部330は、ロボット配置情報記憶部310に記憶された設備に対するロボットの配置に関する情報を用いて、設備位置ずれ情報記憶部160に格納された設備位置ずれをロボット座標系へ変換し、ロボット座標系における設備位置ずれとして算出する(S332)。
次に、ロボット目標位置姿勢修正部330は、ロボット目標位置姿勢記憶部320に記憶されたロボット目標位置姿勢を、算出したロボット座標系における設備位置ずれの分だけ移動させ、移動後のロボット目標位置姿勢を、ロボット目標位置姿勢修正案として算出する(S333)。
ロボット目標位置姿勢修正案欄342には、算出したロボットの手先の目標位置姿勢修正案を表す情報が格納される。例えば、ロボット目標位置姿勢修正案欄342には、ロボットの手先の目標位置の修正案として、直交座標系における各座標軸方向の移動量が格納され、ロボットの手先の目標姿勢の修正案として、直交座標系における各座標軸まわりの回転量が格納されてもよい。
本実施例では、ロボットの手先の目標位置姿勢修正案をロボット目標位置姿勢修正案情報として記載したが、ロボット目標位置姿勢修正案情報に対して必要に応じて情報の追加及び削除を行ってもよい。本実施例はロボット目標位置姿勢修正案情報として記載する情報を限定するものではない。
以上の処理によって、設備の位置ずれを人手で調整するのでなく、位置ずれに合わせてロボット側で目標位置姿勢を自動的に修正することができるため、設備の位置ずれの調整工数を削減することができる。
以上に説明したように、本実施例によれば、設計情報から位置決め要素を抽出し、設備の位置ずれを自動的に算出でき、設備の位置ずれの調整工数を削減することができる。
(1)演算部(例えば演算部112)と、記憶部(例えば記憶部111)と、を有する位置ずれ算出装置(例えば位置ずれ算出装置100又は300)であって、記憶部は、設備の構成要素の寸法及び形状を示す設備設計情報と、設備による作業対象物の寸法及び形状を示す作業対象物設計情報(例えばワーク設計情報)と、設備と作業対象物との配置を示す配置設計情報と、を保持し、演算部は、設備設計情報、作業対象物設計情報及び配置設計情報に基づいて、設備の作業対象物との接触部分を抽出し(例えばS171、S172)、接触部分から、それぞれが所定の形状のいずれかに該当する1以上の位置決め要素を抽出し(例えばS171、S173)、各位置決め要素の形状に基づいて、各位置決め要素の位置決め方向を算出し(例えばS181)、実際の設備の測定結果に基づいて、設備設計情報、作業対象物設計情報及び配置設計情報によって特定される各位置決め要素の位置に対する、実際の設備の各位置決め要素の位置決め方向の位置ずれ量を算出し(例えばS191、S192)、測定された各位置決め要素の位置決め方向の位置ずれ量に基づいて、設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する(例えばS191、S193~S195)。
これによって、設備とワークの設計情報及び設備に対するワークの配置設計情報から接触部の形状を解析して位置決め要素を抽出し、設備の位置ずれを自動的に算出することができ、それによって設備の位置ずれの調整工数を削減することができる。
(2)上記(1)において、演算部は、設備設計情報、作業対象物設計情報及び配置設計情報に基づいて、設備のうち、作業対象物との距離が所定の閾値より小さい部分を接触部分として抽出し、所定の形状は、円筒面、平面、直線及び点を含み、演算部は、接触部分から、それぞれが円筒面、平面、直線及び点に該当する1以上の位置決め要素を抽出する。
(3)上記(2)において、演算部は、各位置決め要素に対応する作業対象物の接触部分を、被位置決め要素として抽出し(例えばS171、174)、位置決め要素の形状が円筒面である場合、円筒面に対応する円筒軸に直交する方向を位置決め方向として算出し(例えばS183)、位置決め要素の形状が平面である場合、平面の法線方向を位置決め方向として算出し(例えばS185)、位置決め要素の形状が直線又は点である場合、当該位置決め要素に対応する被位置決め要素の法線方向を位置決め方向として算出する(例えばS186)。これによって、それぞれの位置決め要素に対して適切な位置決め方向を決定することができる。
(4)上記(1)において、演算部は、測定された各位置決め要素の位置決め方向の位置ずれ量を全て満たす設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する(例えばS194)。
(5)上記(1)において、各位置決め要素の位置決め方向の位置ずれ量、及び、設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量を表示する表示部(例えば表示部220)をさらに有する。
(6)上記(1)において、記憶部は、作業対象物を設備に設置するロボットの配置を示すロボットは位置情報と、ロボットが作業対象物を設備に設置するときの目標位置及び姿勢を示すロボット目標位置姿勢情報と、をさらに保持し、演算部は、設備の位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、目標位置及び姿勢を修正する(例えばS331)。
これによって、設備の位置ずれを人手で調整するのでなく、位置ずれに合わせてロボット側で目標位置姿勢を自動的に修正することができるため、設備の位置ずれの調整工数を削減することができる。
(7)上記(1)において、位置ずれ算出装置は、実際の前記設備を測定する測定部(例えば位置決め要素位置ずれ測定部200)をさらに有し、測定部は、設備及び作業対象物を撮影する光学カメラ、並びに、設備及び作業対象物までの距離を測定する測距センサの少なくともいずれかを含む。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したものであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。