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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174175
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】付け爪の構造
(51)【国際特許分類】
   A45D 31/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A45D31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086880
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】512012551
【氏名又は名称】霜 佳子
(71)【出願人】
【識別番号】512012562
【氏名又は名称】霜 辰斉
(71)【出願人】
【識別番号】516240709
【氏名又は名称】霜 昌伯
(74)【代理人】
【識別番号】100101605
【弁理士】
【氏名又は名称】盛田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】霜 佳子
(72)【発明者】
【氏名】霜 辰斉
(72)【発明者】
【氏名】霜 昌伯
(72)【発明者】
【氏名】大江 義雄
(57)【要約】
【課題】透かし彫りを設けた爪体を指爪に確実に、かつ安全に装着することができる付け爪の構造を提供する。
【解決手段】付け爪の構造であって、指爪3の表面に貼着されるスペーサ2と、上記スペーサの表面に貼着されるプレート状の爪体1とを備えて構成されており、上記爪体には透かし彫り装飾5が施されているとともに、上記爪体が上記スペーサを介して上記指爪に接合されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付け爪の構造であって、
指爪の表面に貼着されるスペーサと、
上記スペーサの表面に貼着されるプレート状の爪体とを備えて構成されており、
上記爪体には透かし彫り装飾が施されているとともに、
上記爪体が上記スペーサを介して上記指爪に接合されている、付け爪の構造。
【請求項2】
上記爪体は、上記指爪から延出する延出部を備えるとともに、
上記透かし彫り装飾が、少なくとも上記延出部に設けられている、請求項1に記載の付け爪の構造。
【請求項3】
上記スペーサの裏面側の形態が、上記指爪の表面側の形態に対応した形態に形成されているとともに、上記スペーサの表面側の形態が上記爪体の裏面側の形態に対応した形態に形成されており、
上記爪体の裏面の全部又は一部が、上記爪体を変形させることなく、上記スペーサの表面に貼着される、請求項1に記載の付け爪の構造。
【請求項4】
上記スペーサは、少なくとも上記爪体の縁部に沿って設けられる、請求項1又は請求項2に記載の付け爪の構造。
【請求項5】
上記スペーサは、指爪の縁部に沿う枠状部を備える、請求項1又は請求項2に記載の付け爪の構造。
【請求項6】
上記爪体に、上記枠状部の内側開口に対応する開口部が形成されている。請求項5に記載の付け爪の構造。
【請求項7】
付け爪の装着方法であって、
透かし彫り装飾を有する爪体を、上記透かし彫り装飾を設けた領域以外の領域において上記指爪に接合できるスペーサを介して指爪に接合する、付け爪の装着方法。
【請求項8】
透かし彫り装飾を施した特定の爪体を貼着できる共通の表面形態を有するとともに、異なる寸法及び形態の指爪に貼着できる裏面形態を有する複数のスペーサを準備し、
使用者の指爪に適合する裏面形態を有する一の上記スペーサを選択して指爪に貼着するとともに、
上記特定の爪体を、上記スペーサを介して上記指爪に接合する、付け爪の装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、付け爪の構造に関する。詳しくは、透かし彫りを設けた爪体を、スペーサを介して爪体に接合する、付け爪の構造に関する。
【0002】
付け爪は、装着者の指爪の表面に、接着剤を介して爪体を接合することにより形成される。従来の付け爪は、サイズや形態が異なる複数種類の爪体を準備しておき、装着者の指爪のサイズ・形態に応じて爪体を選択して接合する場合が多い。
【0003】
上記爪体は接着剤を介して指爪に接合されるが、指爪は刻々伸びるものであり、付け爪の接合位置がずれていく。しかも、指爪の先端側と基端側の伸長速度が異なる。また、指爪自体の表面形態も変化するため、接合時に応力が作用していなくとも、時間の経過とともに、爪体のひずみや作用する応力が増加する。このため、見栄えが低下するばかりでなく接合強度が低下し、装着期間は長くても数週間程度である。したがって、通常、付け爪は、一回使用で使い捨てられる場合が多い。
【0004】
従来、付け爪には、種々の装飾が施されるが、ペインティングのように、上記付け爪表面に付加的に設けられるものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006-511314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
爪体に装飾を設ける手法として、爪体表面にペインティングを施したり、凹凸状の装飾を設けたりする手法が採られることが多いが、これら装飾は後付けされる場合が多い。また、爪体表面にガラス製の装飾小物を接合する場合もある。さらに、金型等を用いて爪体自体に凹凸模様等を一体的に設けることも考えられる。
【0007】
爪体に透かし彫り状の装飾を設けることが考えられる。透かし彫り状の装飾とは、一般に、板材をくり抜いて図案化された透孔を備える装飾である。なお、本願発明では、図案化された透孔のみからなる装飾のみならず、上記透孔と凹凸模様等の板材の他の装飾形態を含むものを透かし彫り装飾という。透かし彫り状の装飾形態は、これまでの付け爪にはなく、また、美的な効果が高いため、従来から要望されている。ところが、爪体は厚みの小さい板状材料から形成されているため、透かし彫りは一種の切り欠きであるため、強度が低下するのは明らかである。特に、これまで使用されてきた爪体の材料は樹脂製のものが多く、透かし彫りを設けると強度が大きく低下する。また、これまでの樹脂材料は硬度が低い樹脂が多く、精度の高い透かし彫り装飾を形成するのも困難である。
【0008】
特に、手加工やレーザ加工等によって透かし彫りを後加工する場合、材料の強度や硬度が低いと、精度の高い透かし彫りを設けるのが困難になるばかりでなく、透かし彫りの形態によっては、指爪に対する接合強度を確保できなくなる恐れもある。特に、透かし彫り装飾を設けた爪体を従来の手法で指爪に直接接合した場合、指爪の成長によって変形が生じ易く、短期間で指爪から剥がれ落ちる可能性もある。また、上記爪体の変形量が大きくなると、透かし彫り部分に凹凸が出現して、装着者の手指や接触する器物等を傷つける恐れもある。一方、金属等の樹脂に比べて強度や硬度が高い材料を採用した場合、上述した指爪の成長を阻害し、指爪を変形させたり、指爪に割れを発生させたりする恐れもある。
【0009】
また、付け爪に透かし彫りを設けるには手間やコストがかかる。このため、高価な材料を採用した場合、爪体を使い捨てにすることが困難になることも考えられる。
【0010】
本願発明は、上記課題を解決するために案出されたものであって、上記従来の問題を解決し、透かし彫りを設けた爪体を指爪に確実に、かつ安全に装着することができる付け爪の構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明に係る付け爪の構造は、指爪の表面に貼着されるスペーサと、上記スペーサの表面に貼着されるプレート状の爪体とを備えて構成される。上記爪体には透かし彫り装飾が施されているとともに、上記爪体が上記スペーサを介して上記指爪に接合される。
【0012】
一般に、付け爪のような小さな領域に、複雑で精度が高い透かし彫り装飾を設けるには、厚みの小さいプレート材料を採用するのが望ましい。一方、厚みが小さいと強度が低くなる。このため、従来の爪体の材料に比べて強度が高く、また硬質な材料で形成する必要がある。しかも、硬質な材料から形成された爪体には、貼着時には応力が作用していなくとも、指爪の成長によって応力が増大する。この応力は指爪との接合部分に作用して、十分な接合強度を長期間確保するのが困難になり、装着期間が従来の爪体に比べて短くなる。
【0013】
本願発明では、上記透かし彫り装飾を設けた爪体を、上記スペーサを介して、指爪に接合する。使用者の指爪に直接爪体を貼着するのではないため、指爪に直接貼着できない寸法形態の爪体であっても、上記指爪に接合することが可能となる。したがって、寸法形態の異なる指爪に貼着できる貼着面を有する複数のスペーサを準備すれば、1の形態の爪体を、寸法形態が異なる指爪に接合することが可能となる。しかも、透かし彫り装飾を設けた爪体の製造コストは、スペーサの製造コストに比べて遥かに大きく、また、従来の爪体の製造コストに比べても大きい。本願発明では、一の寸法形態の爪体を、種々の寸法形態の指爪に共通して装着できるため、全体としての製造コストが大きく増加することはない。
【0014】
付け爪は指爪の先端から延出するように設けられる場合が多い。そして、本願の透かし彫り装飾は、上記延出する部分に設けるのが効果的である。このため、上記爪体を、上記指爪から延出する延出部を備えて構成するとともに、上記透かし彫り装飾を、少なくとも上記延出部に設けるのが望ましい。なお、指爪に重なる部分に透かし彫り装飾を設けてもスペーサ表面を臨む凹凸模様が形成されるため、これまでにない美的効果を得ることができる。また、スペーサ表面、あるいは爪体表面に着色を施せば、上記着色部分を上記透かし彫り開口からの臨むことができ、これまでにない美的効果を得ることができる。
【0015】
上記スペーサとして、指爪の表面形態に応じた裏面側の形態と、上記爪体の裏面側の形態に対応した表面側の形態を有するものを採用できる。上記構成のスペーサを用いることにより、上記爪体を変形させることなく指爪に接合できる。この結果、十分な接合強度を確保できる。また、上記スペーサを、爪体より変形しやすい材料で形成すると、指爪の成長によって発生する変形(変位)や応力を緩和することができる。
【0016】
特に、従来の付け爪では、使用者の指爪に大きな応力が作用することが多く、指爪を変形させたり、指爪の割れを発生させたりすることもあった。本願発明では、上記スペーサによって、指爪に作用する応力の増加割合を減少させて、指爪の変形や割れを緩和できる。たとえば、上記爪体より変形しやすい材料から上記スペーサを形成すると、上記スペーサが変形や応力を吸収して、上記問題を緩和できる。これにより、指爪への悪影響を緩和できるとともに、爪体の装着可能期間が短くなるのを防止できる。さらに、爪体との貼着部位の形態を爪体の上記変形や上記応力を緩和できる形態で形成することもできる。たとえば、所定の間隔を開けて間欠的に接合部位を設けることによりスペーサと指爪との接合面積を少なくし、指爪に割れを生じさせるような応力が作用した場合、一部の上記接合が解除されるように構成することができる。さらに、金属材料やセラミック材料のような強度や硬度が高い材料を採用しても、上記スペーサが、上記指爪と爪体との間に生じるひずみや応力を緩和できるため、指爪が変形したり割れたりするのを緩和できる。
【0017】
上記スペーサの形態は特に限定されることはない。すなわち、接着剤で所要の接合強度を確保できれば、種々の形態を採用できる。上記スペーサの裏面側の寸法形態は、貼着される指爪の寸法形態に対応して設定される。一方、スペーサの表面側の寸法形態は、特定の一の爪体の裏面側の寸法形態に対応させて設定できる。具体的には、透かし彫り装飾を施した特定の爪体を貼着できる共通の表面側の寸法形態を有するとともに、異なる寸法形態の裏面形態(指爪側形態)を有する複数のスペーサを準備し、使用者の指爪に適合する一の上記スペーサを選択して指爪に貼着するとともに、上記特定の爪体を、上記スペーサを介して上記指爪に接合することができる。
【0018】
また、スペーサと爪体とを、積層される全面にわたって貼着することもできるし、一部において貼着するように構成できる。例えば、上記スペーサを、少なくとも上記指爪や爪体の縁部に沿って設けるように構成できる。爪体の縁部に沿う形態を採用した場合、内側部分において、上記爪体とスペーサの間に隙間が生じることになるが、上記隙間は、そのまま放置してもよいし、樹脂充填剤等で埋めることもできる。また、爪体の縁部に沿う枠状のスペーサを採用できる。上記枠状のスペーサは、指爪表面の縁部の全周あるいは一部に貼着できるように構成できる。
【0019】
上記スペーサの材料は特に限定されることはないが、上記爪体を構成する材料より変形しやすく硬度の低い材料で構成するのが好ましい。たとえば、爪体を金属材料やセラミック材料から形成する場合、上記スペーサを樹脂材料で形成することができる。また、上記爪体と上記スペーサの双方を樹脂材料から形成する場合、上記スペーサを構成する材料として、上記爪体を構成する材料より、硬度や強度の低い材料で形成するのが好ましい。たとえば、上記爪体をポリカーボネート樹脂や硬質ポリエチレン樹脂で形成する一方、上記スペーサを塩化ビニル樹脂やABS樹脂等で形成することができる。なお、スペーサを爪体と同じ樹脂材料で形成する場合であっても、爪体やスペーサの形態によって変形しやすく構成することができる。たとえば、スペーサの表裏に凹凸や溝を設けて、面方向に伸縮しやすくなる形態を採用できる。例えば、指爪の成長方向に直交する方向の溝を所定間隔で設けることにより、指爪の伸長方向の変位を吸収しやすくなる。また、多孔状や網目状の形態のスペーサを採用できる。
【0020】
上記スペーサの厚みを、上記爪体の厚みより大きく設定するのが好ましい。より好ましくは、上記スペーサの厚みを上記爪体の厚みの1.5倍以上に設定するのが好ましい。これにより、上記爪体に変形しにくい硬質な材料を採用した場合であっても、上記スペーサが、指爪の成長により発生する応力やひずみを吸収し、指爪の変形等を緩和できるとともに、付け爪の装着寿命が短くなるのを防止できる。
【0021】
上記爪体を構成する材料は特に限定されることはない。例えば、硬質樹脂材料、セラミック材料、金属材料等から形成することができる。上記爪体を樹脂材料で形成する場合、精度の高い透かし彫りを形成できる硬質樹脂材料から形成するのが好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、硬質ポリエチレン樹脂等を採用できる。なお、精度の高い透かし彫りを設ける場合、従来の樹脂材料より硬度が高く、かつ、厚みの小さなプレート材料を採用するのが好ましい。
【0022】
また、上記爪体を金属材料で形成する場合、硬度が高いため精度の高い透かし彫りを形成できる。ところが、金属材料は厚みが小さくなると保形性が低くなり、爪体としての保形強度を確保するのが困難になる場合がある。本願発明では、上記スペーサをこのような爪体の保形材料として用いることができるため、従来爪体として使用できない小さな厚みの金属プレートから爪体を形成することが可能となる。例えば、透かし彫り装飾を中央部に設け、縁部に沿う枠状のスペーサを採用できる。また、爪体の透かし彫りを設けていない部位の裏面側を補強するように構成したスペーサを採用できる。また、爪体を指爪から延出させる場合、上記スペーサも指爪から延出させ、延出した爪体を裏面側で補強するように構成できる。この場合、上記スペーサを、少なくとも爪体の縁部に沿う形態で指爪から延出させるのが好ましい。また、透かし彫りを設けた裏面全体にスペーサを貼着し、上記透かし彫り部分のスペーサをルータ等により後加工して開口することにより、爪体とスペーサを一体化した積層体に透かし彫りを形成することもできる。
【0023】
上記爪体の透かし彫りを形成する手法は特に限定されることはない。例えば、種々の手工具を用いて、手加工で形成することができる。この場合、金属、セラミック、樹脂等の種々の材料を採用できる。また、樹脂や金属を金型成形することができる。さらに、プレートにレーザ加工を施すことにより形成することができる。
【0024】
また、上記爪体の厚みも特に限定されることはないが、精度の高い透かし彫りを施すには、従来の爪体を構成する材料より薄い材料から形成するのが好ましい。上記透かし彫りを、爪体の全体に設けることもできるし、指爪から延出する部分のみに設けることもできる。縁部に透かし彫り装飾の切り欠き部分が位置する場合、爪体の強度が大きく低下したり、器物に引っかかる恐れがある。このような場合、縁部の裏面に上記スペーサを延出させ、あるいは別途の補強材で裏打ちして、上記切り欠き部分を紫外線硬化樹脂等で埋めることができる。
【0025】
一方、上記指爪に対向する部分に透かし彫りを設ける場合、透かし彫りの開口部分が見えるように、上記開口部分を避けた部分に上記スペーサを設けるのが好ましい。なお、透かし彫り部分の開口部分を覆うようにスペーサを設けた場合であっても、透かし彫り部分とスペーサ部分に段差が生じるため、一定の美的効果を得られる。また、着色されたスペーサを採用すると、透かし彫りの開口部分から、上記スペーサの着色した表面を臨むことができるため、一種の切り絵状の装飾模様を構成できる。なお、この場合、開口部分を避けた部分において、上記爪体と上記スペーサとを、接着剤等で接合するのが好ましい。
【0026】
上記スペーサの内側部に開口部を形成するとともに、上記爪体に、上記開口部に対応する開口部を形成することができる。たとえば、上記枠状のスペーサを採用する場合、上記スペーサ貼着部分の内側に上記開口部を形成できる。上記開口部に種々の装飾を設けることができる。例えば、樹脂充填剤を充填して、表面にペイント装飾を施すことができる。また、上記充填樹脂に、ガラス等の装飾部材を埋め込むことができる。上記開口部は、上記爪体とスペーサの厚み分の空間があるため、装飾部材を大きく突出させることなく設けることができる。上記開口部を設ける位置や形態は特に限定されることはない。
【0027】
なお、上記指爪と上記スペーサと上記爪体の間の接合位置(接着位置)は、必ずしも一致する必要はない。すなわち、上記スペーサの指爪に対する貼着位置と、上記スペーサの爪体に対する貼着位置は一致する必要はない。透かし彫りの形態、スペーサの強度、充填樹脂材料の形態等に応じて最適な部位で接合(接着)することができる。
【発明の効果】
【0028】
本願発明に係る付け爪の構造により、種々の材料に透かし彫りを設けた爪体を確実に指爪に装着できる。また、従来にない美的効果を有する付け爪を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本願発明に係る付け爪の第1の実施形態の全体斜視図である。
図2図1に示す付け爪の構造の分解斜視図である。
図3図1に示す付け爪の構造の平面図である。
図4図3におけるIV-IV線に沿う断面図である。
図5】本願発明に係る付け爪の第2の実施形態の全体斜視図である。
図6図5に示す付け爪の構造の分解斜視図である。
図7図5に示す付け爪の構造の平面図である。
図8図7におけるVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9】本願発明に係る付け爪の第3の実施形態の分解斜視図である。
図10図9におけるX-X線に沿う断面図である。
図11】本願発明に係る付け爪の第3の実施形態の分解斜視図である。
【実施形態】
【0030】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて説明する。 図1及び図2に示すように、本実施形態に係る付け爪の構造は、手指4の指爪3に接合される爪体1と、指爪3と上記爪体1の間に配置されるスペーサ2と、これら部材を接合する図示しない接着剤層とを備えて構成される。なお、接着剤層は従来の付け爪を接合するのと同様の接着剤を採用できるため説明及び図示は省略する。
【0031】
上記爪体を構成する材料は特に限定されることはない。上記爪体1に樹脂材料を採用する場合は、従来の樹脂材料より、強度及び硬度の高い樹脂材料を採用するのが好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、アセテート樹脂、ポリフェニルサルフォン、ポリアミド、ポリエーテルイミド等の硬質樹脂を採用するのが好ましい。特に、機械加工で透かし彫りを形成する場合、爪体の厚みが小さいため、精度の高い透かし彫りを設けるには硬質の材料を採用する必要がある。
【0032】
本実施形態に係る爪体1は、平板プレート状の樹脂材料に、プレス成型等によって透かし彫り5を設けるとともに、上記スペーサ2の表面側の形態に応じて曲面成形を行い、爪型に打ち抜くことにより形成されている。なお、上記爪体1の形成方法はこれに限られることはない。たとえば、上記透かし彫りを設けていない指爪形態の爪体1を準備し、ルータ等を用いて上記透かし彫りを手加工で設けることができる。また、平板状のプレート部材にレーザ加工等により透かし彫りを設け、その後プレス成型によって、指爪の湾曲形態に熱セットして打ち抜く等して形成することもできる。
【0033】
また、金属材料で形成する場合も、指爪形態に成形した爪体に手加工によって透かし彫りを設けることができる。また、鍛造成形や金属射出成型によって、上記透かし彫りを形成した爪体を一体的に形成することもできる。
【0034】
上記スペーサ2は、裏面側が使用者の指爪の表面側形態に形成されている一方、表面側が上記爪体1の裏面側形態に形成されている。上記スペーサ2は、表面に露出するものでないため、安価な樹脂で形成することができる。このため、異なる指爪形態に対応する複数種類のスペーサに、特定の爪体の裏面形態に対応する表面形態を共通して形成することができる。使用者の指爪の形態に適合する裏面側形態のスペーサを選択して指爪に貼着するとともに、特定の爪体1を、上記スペーサ2を介して異なる形態の指爪3に接合することが可能となる。また、上記スペーサ2を介して装着することにより、これまで採用されなかった高価な材料から爪体を形成し、スペーサ2を交換することにより、この爪体1を繰り返し使用することが可能になる。例えば、白金等の貴金属で形成された爪体を採用することも可能になる。
【0035】
本実施形態では、上記スペーサ2を、上記指爪3の縁部に沿う枠状に形成している。また、上記爪体1を指爪3の先端から延出させるとともに、上記透かし彫り装飾5を、上記スペーサ2の貼着領域を避けて形成している。これにより、上記爪体1の指爪3からの延出部分の透かし彫り部分は、反対側を透視できる一方、上記指爪3に対向する部分は、上記スペーサの厚みに対応する隙間を開けて指爪3の表面を臨むように構成される。
【0036】
上記構成を採用することにより、これまでにない装飾効果を得ることができるとともに、爪体1を指爪3に確実に保持させることができる。
【0037】
図5から図8に本願発明の第2の実施形態を示す。第2の実施形態では、爪体21の基端部に、上記スペーサ2の開口部6に対応する開口部22を形成し、上記爪体21と上記スペーサ2の開口部6,22を紫外線硬化樹脂23で埋めるとともに、ガラス製の装飾小物24をこの開口部に埋め込んでいる。図8に示すように、本実施形態では、上記爪体21と上記スペーサ2の厚みに対応する厚みの埋め込み樹脂層を形成できるため、装飾小物24を確実に保持できる。また、装飾小物を爪体21の表面から大きく突出させることなく保持できるため見栄えが良く、また、器物に接触して外れるのを防止できるばかりでなく、安全性も高い。
【0038】
図9及び図10に本願発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、爪体31を指爪3の先端部から延出させるとともに、上記爪体31延出部分31aの裏面に、上記スペーサ32を延出させて、上記爪体31延出部分31aをバックアップすることにより補強構造を構成したものである。
【0039】
本実施形態では、上記スペーサの先端側に爪体の縁部に沿う枠状の延出部分31aを設けている。これにより、爪体31の強度が高まる。また、上記爪体31の延出部分31aには、上記スペーサ32の延出部分36に貼着される縁部を除く部分に透かし彫り装飾が施されている。
【0040】
上記構成を採用することにより、厚みが小さく保形性が低い材料から爪体31を形成しても所要の保形強度を確保できる。
【0041】
爪体は種々の手法で形成することができる。例えば、平板状のプレートに連続するパターンで透かし彫り装飾を設け、これを指爪に適合する形態に打ち抜くとともに、湾曲させて爪体を形成できる。この場合、図11に示すように、透かし彫り装飾の切り欠き部分51が爪体41の縁部に位置することが考えられる。このような場合、そのままでは、上記切り欠き部51が、使用者の皮膚や器物に接触すると危険である。
【0042】
図11に示す実施形態では、スペーサ42を、上記切り欠き部51を含む爪体41の裏面全体に設けるともに、上記切り欠き部51に紫外線硬化樹脂を充填し、縁部を滑らかに研削している。これにより、切り欠き部51が縁部に配置された場合にも上記不都合を回避できる。
【0043】
さらに、本実施形態では、上記スペーサ42を爪体41の裏面全体に貼着するとともに、上記スペーサ42の上記透かし彫り装飾5を設けた部分を、ルータ等で除去し、上記爪体41と上記スペーサ42の一体化した積層体に透かし彫り装飾5を形成している。上記スペーサ42の除去作業は、上記爪体41が積層されているため所要の強度を確保できる。これにより、スペーサ42の硬度が低い場合であってもスペーサ42に精度高く透かし彫りを後加工することが可能となる。
【0044】
本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
透かし彫り装飾を設けた爪体を採用した付け爪の構造を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 爪体
2 スペーサ
3 指爪
4 手指
5 透かし彫り装飾

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11