(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174220
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/335 20220101AFI20231130BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/132 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/223 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/37 20220101ALI20231130BHJP
【FI】
F24H15/335
F24H1/18 J
F24H15/132
F24H15/223
F24H15/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086960
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】599048638
【氏名又は名称】CBC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】林 義久
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA33
3L122AB22
3L122AB64
3L122BB02
3L122DA16
(57)【要約】
【課題】ヒータへのスケールの付着を抑制することができる加熱装置を提供する。
【解決手段】
加熱装置10は、貯水部14と、循環流路16と、遠心ポンプ18と、ヒータ20と、制御部50とを備える。貯水部14は、水を貯留する。循環流路16は、貯水部14の外部に設けられ、貯水部14内の水を循環させる。遠心ポンプ18は、循環流路16に設けられ、貯水部14内の水を循環流路16を介して循環させる。ヒータ20は、循環流路16に設けられ、循環流路16内を流れる水を加熱する。制御部50は、遠心ポンプ18及びヒータ20の動作を制御する。また、制御部50は、ヒータ20による水の加熱中に遠心ポンプ18で水を循環させ、ヒータ20による水の加熱を停止させるとき、遠心ポンプ18で継続して水を循環させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する貯水部と、
前記貯水部の外部に設けられ、前記貯水部内の水を循環させる循環流路と、
前記循環流路に設けられ、前記貯水部内の水を前記循環流路を介して循環させる遠心ポンプと、
前記循環流路に設けられ、前記循環流路内を流れる水を加熱するヒータと、
前記遠心ポンプ及び前記ヒータの動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ヒータによる水の加熱中に前記遠心ポンプで水を循環させ、前記ヒータによる水の加熱を停止させるとき、前記遠心ポンプで継続して水を循環させる、加熱装置。
【請求項2】
前記貯水部に水を供給する給水部をさらに備え、
前記制御部は、前記ヒータによる水の加熱を停止させるとき、前記給水部で水を供給しつつ、前記遠心ポンプで継続して水を循環させる、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記貯水部内の水を排水する際に開かれる排水バルブをさらに備え、
前記制御部は、前記ヒータによる水の加熱を停止させるとき、前記排水バルブを開いた状態とし、前記給水部で水を供給しつつ、前記遠心ポンプで継続して水を循環させる、請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記貯水部内の水の温度を検知する温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記遠心ポンプで継続して水を循環させているときに、前記温度センサで検知される水の温度が閾値以下になった場合、前記遠心ポンプの駆動を停止させ、前記貯水部内の水を排水させる、請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記ヒータは、前記遠心ポンプの上方に配置される、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記遠心ポンプは、前記貯水部の側方に設けられ、前記貯水部から水平方向に向かって前記循環流路内に導入される水を、上方に向かって前記ヒータ側に送液する、請求項5に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1で開示されるような加熱装置は、水を貯留するリザーバと、そのリザーバから供給された水を加熱することで気化させるヒータを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような加熱装置では、ヒータによる水の気化が終了されると、ヒータの表面上に付着している水滴は、そのヒータの余熱により徐々に冷却される。そのため、このような場合、ヒータにスケールが付着する可能性がある。また、ヒータにスケールが付着してしまった場合、ヒータの加熱性能及び寿命が低減する等の悪影響が生じる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ヒータへのスケールの付着を抑制することができる加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る加熱装置は、貯水部と、循環流路と、遠心ポンプと、ヒータと、制御部とを備える。前記貯水部は、水を貯留する。前記循環流路は、前記貯水部の外部に設けられ、前記貯水部内の水を循環させる。前記遠心ポンプは、前記循環流路に設けられ、前記貯水部内の水を前記循環流路を介して循環させる。前記ヒータは、前記循環流路に設けられ、前記循環流路内を流れる水を加熱する。前記制御部は、前記遠心ポンプ及び前記ヒータの動作を制御する。また、前記制御部は、前記ヒータによる水の加熱中に前記遠心ポンプで水を循環させ、前記ヒータによる水の加熱を停止させるとき、前記遠心ポンプで継続して水を循環させる。
【0007】
このような構成によれば、ヒータによる水の加熱を停止させた後も、遠心ポンプによる水の循環が継続される。そのため、この場合、ヒータの余熱に起因するヒータへのスケールの付着を抑制することができる。つまり、加熱装置におけるヒータの加熱性能及び寿命が低減されるのを抑制することができる。また、この場合、直前まで加熱されていた水自体の余熱に起因する循環流路及び貯水部等へのスケールの付着も抑制することができる。
【0008】
(2)前記加熱装置は、給水部をさらに備えてもよい。この場合、前記給水部は、前記貯水部に水を供給してもよい。また、この場合、前記制御部は、前記ヒータによる水の加熱を停止させるとき、前記給水部で水を供給しつつ、前記遠心ポンプで継続して水を循環させてもよい。
【0009】
このような構成によれば、給水部から貯水部に供給される水により、遠心ポンプで継続して循環される水の温度を効率よく低下させることができる。また、この場合、ヒータ等へのスケールの付着の抑制に要する時間、つまり、遠心ポンプによる水の循環を継続する時間を短くすることができる。
【0010】
(3)前記加熱装置は、排水バルブをさらに備えてもよい。この場合、前記排水バルブは、前記貯水部内の水を排水する際に開かれてもよい。また、この場合、前記制御部は、前記ヒータによる水の加熱を停止させるとき、前記排水バルブを開いた状態とし、前記給水部で水を供給しつつ、前記遠心ポンプで継続して水を循環させてもよい。
【0011】
このような構成によれば、貯水部内の水を排水しながら、給水部で水を供給しつつ、遠心ポンプによる水の循環を継続させることができる。また、この場合、直前まで加熱されていた水が給水部から供給される水に徐々に交換されるため、遠心ポンプで継続して循環される水の温度をさらに効率よく低下させることができる。つまり、遠心ポンプによる水の循環を継続する時間をより短くすることができる。
【0012】
(4)前記加熱装置は、温度センサをさらに備えてもよい。この場合、前記温度センサは、前記貯水部内の水の温度を検知してもよい。また、この場合、前記制御部は、前記遠心ポンプで継続して水を循環させているときに、前記温度センサで検知される水の温度が閾値以下になった場合、前記遠心ポンプの駆動を停止させ、前記貯水部内の水を排水させてもよい。
【0013】
このような構成によれば、遠心ポンプによる水の循環は、水の温度がスケールの付着が抑制される温度となるまでしか継続されない。すなわち、効率よくスケールの付着を抑制することができる。
【0014】
(5)前記ヒータは、前記遠心ポンプの上方に配置されてもよい。
【0015】
このような構成によれば、遠心ポンプによる水の循環が終了された直後において、ヒータの位置にまで水が流れてきていたとしても、その水の自重で遠心ポンプのファンが逆回転されるため、結果的に水が逆流する。そのため、ヒータ等にスケールが付着するのをより抑制することができる。
【0016】
(6)前記遠心ポンプは、前記貯水部の側方に設けられ、前記貯水部から水平方向に向かって前記循環流路内に導入される水を、上方に向かって前記ヒータ側に送液してもよい。
【0017】
このような構成によれば、遠心ポンプへ水を導入すること及び逆流する水を貯水部内に戻すことの両方を効率よく行うことが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、加熱装置のヒータへのスケールの付着を抑制することができ、その結果、ヒータの加熱性能及び寿命が低減されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態の加熱装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図2】本実施形態の加熱装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態の加熱装置の循環処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.加熱装置の構成
図1は、本実施形態の加熱装置10の構成の一例を示す概略図である。本実施形態の加熱装置10は、水を加熱する装置である。以下、加熱装置10として、ミスト発生装置を例に挙げて説明するが、加熱装置10は、そのミスト発生装置に限定されない。たとえば、シャワーヘッド等の供給先に温水を供給するための装置として加熱装置10を使用することも可能である。
【0021】
加熱装置10は、貯水部14、循環流路16、遠心ポンプ18、ヒータ20、モータ22、伝達機構24、ファン26、噴霧部28、排出流路30、排水バルブ32、トレイ34、給水流路36、給水部38及び温度センサ40等を備え、これらは、筐体12内に設けられる。なお、噴霧部28については、一部が筐体12外に露出する。
【0022】
貯水部14は、水を貯留する容器である。循環流路16は、貯水部14内の水を循環させるための流路であって、貯水部14の外部に設けられる。
【0023】
循環流路16は、具体的に、貯水部14の側方に設けられる。また、循環流路16の導入口16aは、貯水部14の側面に設けられ、導出口16bは、貯水部14の上面に設けられる。導入口16aの位置は、貯水部14内の水の水位よりも低い位置であればよく、貯水部14の側面に限られるものではない。また、導出口16bの位置は、貯水部14内の水の水位よりも高い位置であればよく、貯水部14の上面に限られるものではない。
【0024】
また、循環流路16には、遠心ポンプ18が設けられる。遠心ポンプ18は、具体的に、貯水部14の側方、さらに、具体的には、導入口16aの側方に設けられる。そのため、導入口16aと遠心ポンプ18との間の循環流路16は水平とされ、貯水部14内の水は、貯水部14から水平方向に向かって循環流路16内に導入される。
【0025】
遠心ポンプ18は、ファン(図示は省略)を備える。遠心ポンプ18に導入される水は、ファンの回転に伴う遠心力によって、その遠心ポンプ18から導出される。つまり、遠心ポンプ18において、水が導入される方向と導出される方向は異なる。したがって、遠心ポンプ18によれば、貯水部14内の水を循環流路16を介して循環させることができる。
【0026】
遠心ポンプ18のファンについては、回転軸が水平方向に延びている。したがって、遠心ポンプ18によれば、貯水部14から水平方向に向かって循環流路16内に導入される水が、上方に向かって送液される。
【0027】
これらのことから、貯水部14内の水は、循環流路16の導入口16a、導出口16bの順にこれらを通過して、貯水部14内に戻される。
【0028】
また、循環流路16には、ヒータ20が設けられる。ヒータ20は、具体的に、循環流路16内において、遠心ポンプ18の上方、つまり、遠心ポンプ18よりも下流側に設けられる。ヒータ20は、鉛直方向に沿って一直線状に延びる棒状の発熱体であり、通電に伴って発熱する。ヒータ20によれば、循環流路16を流れる水が加熱される。
【0029】
したがって、遠心ポンプ18及びヒータ20によれば、貯水部14内の水を循環流路16を介して循環させつつ、その水を加熱することができる。
【0030】
モータ22は、ステッピングモータ等の電気的に制御可能な汎用のモータであり、回転力を付与することができる。伝達機構24は、モータ22の駆動に伴って生じる回転力をファン26に伝達するため機構である。つまり、モータ22、伝達機構24及びファン26によれば、モータ22の駆動に伴ってファン26が回転する。
【0031】
モータ22は、貯水部14の上方に設けられる。また、ファン26は、貯水部14内に設けられる。さらに、ファン26は、導出口16bからの水の導出方向に平行な方向に延びる軸を中心に回転する。さらにまた、ファン26は、循環流路16の導出口16bの下方に位置する。
【0032】
モータ22等によれば、導出口16bから導出される水にファン26が衝突し、その水の一部がミスト状とされる。
【0033】
噴霧部28は、空洞の筒状部材であって、筐体12の外部と貯水部14内を連通させる。噴霧部28によれば、発生したミストが筐体12外に排出される。
【0034】
排出流路30は、貯水部14内の水を排水させるための流路であって、貯水部14の外側に設けられる。排出流路30は、具体的に、貯水部14の下方に設けられる。また、排出流路30の導入口30aは、貯水部14の底面に設けられ、導出口30bは、トレイ34の上方に設けられる。
【0035】
また、排出流路30には、排水バルブ32が設けられる。排水バルブ32は、ソレノイドバルブ等の電気的に制御可能な汎用のバルブである。排水バルブ32によれば、閉状態から開状態に切り替えることで、貯水部14内の水を排水することができる。
図1に示す例では、貯水部14内の水をトレイ34に排水することができる。ただし、貯水部14内の水は、排出流路30を介して、トレイ34以外の排出先に排水されても良い。
【0036】
トレイ34は、水を貯留するための容器である。トレイ34については、筐体12に対する取り付け及び取り外しが適宜行われても良い。
【0037】
給水流路36は、貯水部14内に水を供給するための流路であって、貯水部14の外側に設けられる。給水流路36は、具体的に、貯水部14の側方に設けられる。また、給水流路36の導入口36aは、トレイ34内に設けられ、導出口36bは、貯水部14の側面に設けられる。導入口36aの位置は、トレイ34内の水の水位よりも低い位置であればよい。また、導出口36bの位置は、貯水部14内の水の水位よりも高い位置であればよく、貯水部14の側面に限られるものではない。
【0038】
また、給水流路36には、給水部38が設けられる。給水部38は、電気的に制御可能な汎用のポンプである。給水部38によれば、貯水部14内に水を供給することができる。
図1に示す例では、トレイ34内の水を給水部38で貯水部14内に供給することができる。
【0039】
本実施形態の給水部38は、トレイ34内の水を貯水部14内に供給するが、加熱装置10外の水源を用いて貯水部14内に水を供給してもよい。この場合、給水流路36の導入口36aは、筐体12外の水源に設けられる。筐体12外の水源としては、水道栓又は貯水タンク等を例示できる。
【0040】
また、トレイ34内の水は、筐体12から取り外されたトレイ34に対し、加熱装置10外の水源から供給された水であってもよいし、貯水部14から排水された水であってもよいし、これらが混合された水であってもよい。
【0041】
温度センサ40は、貯水部14内の水の温度を検知するために設けられる。温度センサ40の種類は、貯水部14内の水の温度を検知できるのでれば、特に限定されない。
【0042】
2.加熱装置の電気的構成
図2は、本実施形態の加熱装置10の電気的構成の一例を示すブロック図である。加熱装置10は、遠心ポンプ18等以外に制御部50を備え、これらは、バス等の回路58を介して、互いに電気的に接続される。
【0043】
制御部50は、加熱装置10の全体的な制御を担う。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)52を備える。また、制御部50は、CPU52が直接的にアクセス可能なRAM(Random Access Memory)54及び記憶部56を備える。
【0044】
RAM54は、CPU52のワーク領域及びバッファ領域として用いられる。記憶部56は、ROM(Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。
【0045】
記憶部56には、加熱装置10の動作を制御するためのプログラム(制御プログラム)及び制御プログラムの実行に必要とされるデータ(実行用データ)等が記憶される。なお、記憶部56がRAM54を含むように構成されてもよい。
【0046】
3.加熱装置の動作
本実施形態では、CPU52が制御プログラムを実行することにより、加熱装置10の各種コンポーネントの動作が制御される。そのため、本実施形態の制御部50によれば、遠心ポンプ18、ヒータ20、モータ22、排水バルブ32及び給水部38等の各種コンポーネントの動作が制御される。
【0047】
本実施形態の制御部50は、加熱装置10の使用が開始されるとき、たとえば、加熱装置10の電源をオンにする操作がその加熱装置10で受け付けられるとき、遠心ポンプ18による水の循環及びヒータ20による水の加熱を開始させる。
【0048】
なお、
図1に示す加熱装置10は、ミスト発生装置であることから、遠心ポンプ18及びヒータ20に併せて、モータ22も制御される。この場合、ヒータ20によって加熱された水は、ファン26に衝突することでミスト状とされ、発生したミストは、噴霧部28を介して筐体12外に噴霧される。
【0049】
また、本実施形態の制御部50は、ヒータ20による水の加熱中に遠心ポンプ18で水を循環させるが、加熱装置10の使用が終了されるとき、たとえば、加熱装置10の電源をオフにする操作がその加熱装置10で受け付けられるとき、ヒータ20への通電を停止することにより、ヒータ20による加熱を停止させる。
【0050】
また、加熱装置10として、ミスト発生装置のような貯水部14内の水を消費する装置が用いられる場合、貯水部14内の水の残量が閾値以下となるときを、加熱装置10の使用が終了されるときとみなしてもよい。
【0051】
貯水部14内の水の残量については、たとえば、遠心ポンプ18で水の循環が開始されてからの経過時間に基づいて推定されてもよいし、水位検出器(図示は省略)で検出される貯水部14内の水の水位に基づいて推定されてもよい。
【0052】
さらに、ヒータ20による水の加熱が停止されるとき、水の流れをコントロールするのに必要なコンポーネント以外のコンポーネントの動作も停止する。たとえば、モータ22の駆動等が停止される。
【0053】
また、本実施形態の制御部50は、ヒータ20による水の加熱中に遠心ポンプ18で水を循環させ、ヒータ20による水の加熱を停止させるとき、遠心ポンプ18で継続して水を循環させる。
【0054】
このように、遠心ポンプ18で継続して水を循環させる場合、ヒータ20の余熱に起因するヒータ20へのスケールの付着を抑制することができる。つまり、加熱装置10におけるヒータ20の加熱性能及び寿命が低減されるのを抑制することができる。加えて、直前まで加熱されていた水自体の余熱に起因する循環流路16及び貯水部14等へのスケールの付着も同様に抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態の制御部50は、ヒータ20による水の加熱を停止させるとき、給水部38から水を供給しつつ、遠心ポンプ18で継続して水を循環させる。
【0056】
給水部38で水が供給される場合、遠心ポンプ18で継続して循環される水の温度を効率よく低下させることができる。したがって、ヒータ20等へのスケールの付着の抑制に要する時間、つまり、遠心ポンプ18による水の循環を継続する時間を短くすることができる。
【0057】
さらに、本実施形態の制御部50は、ヒータ20による加熱を停止させるとき、排水バルブ32を開いた状態で給水部38から水を供給しつつ、遠心ポンプ18で継続して水を循環させる。
【0058】
排水バルブ32を開いた状態で給水部38から水を供給する場合、直前まで加熱されていた水が給水部38から供給される水に徐々に交換されるため、遠心ポンプ18で継続して循環される水の温度をさらに効率よく低下させることができる。
【0059】
また、遠心ポンプ18により継続される水の循環は、水の温度が閾値以下になったときに、終了される。そのため、本実施形態の制御部50は、遠心ポンプ18で水の循環を継続させているときに、温度センサ40で検知される貯水部14内の水の温度が閾値以下になったとき、遠心ポンプ18の駆動を停止させ、貯水部14内の水を排水させる。
【0060】
したがって、本実施形態では、遠心ポンプ18による水の循環は、水の温度がスケールの付着が抑制される温度となるまでしか継続されない。すなわち、効率よくスケールの付着を抑制することができる。なお、このように、遠心ポンプ18の駆動が停止され、貯水部14内の水が排水されると、加熱装置10全体の動作も停止される。
【0061】
また、本実施形態では、上述したように、ヒータ20が遠心ポンプ18の上方に配置されることから、遠心ポンプ18による水の循環が終了された直後において、ヒータ20の位置にまで水が流れてきていたとしても、その水の自重で遠心ポンプ18のファンが逆回転されるため、結果的に水が逆流する。そのため、本実施形態では、ヒータ20等へのスケールの付着がより抑制される。
【0062】
さらに、本実施形態では、上述したように、遠心ポンプ18では、貯水部14から水平方向に向かって循環流路16内に導入される水が、上方に向かってヒータ20側に送液されることから、遠心ポンプ18へ水を導入すること及び逆流する水を貯水部14内に戻すことの両方を効率よく行うことが可能とされる。
【0063】
さらにまた、本実施形態では、遠心ポンプ18による水の循環及びヒータ20による水の加熱が開始されてから、遠心ポンプ18による水の循環が終了されるまでの一連の処理は、たとえば、加熱装置10が、その加熱装置10のクリーニングを開始する操作を受け付けることで行われても良い。
【0064】
たとえば、トレイ34に予めクエン酸等の添加剤が添加された水を貯留させておき、加熱装置10のクリーニングが開始されると、所定時間の間、遠心ポンプ18による水の循環及びヒータ20による水の加熱が行われ、その後に、遠心ポンプ18による水の循環が継続されてもよい。このような場合、仮に、ヒータ20等にスケールが付着した場合であっても、そのスケールを除去することができる。
【0065】
また、本実施形態では、水を冷却するため冷却部を別途設けても良い。冷却部としては、たとえば、ペルチェ素子等の電気的に制御可能なものを用いることができる。この場合、冷却部は、循環流路16、貯水部14、トレイ34又は給水流路36等に設けられ、必要に応じて水を冷却することができる。このように、冷却部を別途設けた場合、ヒータ20に加熱された後の水を効率よく冷却することができる。
【0066】
4.フロー
図3は、本実施形態の加熱装置10の循環処理の一例を示すフロー図である。循環処理は、たとえば、加熱装置10の電源がオンにされると開始される。
【0067】
ステップS1では、遠心ポンプ18で水を循環させつつ、ヒータ20で水を加熱する。ステップS2では、ヒータ20による水の加熱を停止させるかどうかを判断する。ステップS2の判断は、ヒータ20による水の加熱を停止させるための操作の有無、たとえば、加熱装置10の電源をオフにする操作の有無に基づいて行われる。ステップS2で“NO”であれば、つまり、ヒータ20による水の加熱を継続させるのであれば、ステップS2に戻る。一方、ステップS2で“YES”であれば、つまり、ヒータ20による水の加熱を停止させるのであれば、ステップS3に進む。
【0068】
ステップS3では、遠心ポンプ18での水の循環を継続させ、ステップS4では、水の温度が閾値以下かどうかを判断する。ステップS4で“NO”であれば、つまり、水の温度が閾値よりも高いのであれば、ステップS4に戻る。一方、ステップS4で“YES”であれば、つまり、水の温度が閾値よりも以下であれば、ステップS5に進む。
【0069】
ステップS5では、遠心ポンプ18での水の循環を終了させる。また、ステップS5で、水の循環が終了されると、循環処理が終了される。遠心ポンプ18での水の循環の終了に伴い、排水バルブ32が閉状態から開状態に切り替えられることにより、貯水部14内の水が排水されてもよい。この場合、貯水部14内の水とともに遠心ポンプ18内の水も排水される。
【0070】
なお、本実施形態で挙げた具体的な構成は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。さらに、本実施形態で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 加熱装置
14 貯水部
16 循環流路
18 遠心ポンプ
20 ヒータ
30 排水流路
32 排水バルブ
34 トレイ
36 給水流路
38 給水部
40 温度センサ
50 制御部