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  • 特開-車両管理システム 図1
  • 特開-車両管理システム 図2
  • 特開-車両管理システム 図3
  • 特開-車両管理システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174223
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】車両管理システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20231130BHJP
   B60R 25/30 20130101ALI20231130BHJP
【FI】
H04M11/00 302
B60R25/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086963
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長島 孝介
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201CC02
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED05
5K201EE14
(57)【要約】
【課題】ユーザーの実際の利用に合わせた車載装置の提供が可能な車両管理システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る車両管理システムは、携帯端末と、前記携帯端末と通信が可能な車載装置と、を有し、前記携帯端末と前記車載装置との接続方式に対応する時間情報を記憶する記憶部と、前記携帯端末と前記車載装置との接続方式に対応する時間情報に基づき、前記車載装置の電源がOFFする時間を変更する変更部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、
前記携帯端末と通信が可能な車載装置と、
を有し、
前記携帯端末と前記車載装置との接続方式に対応する時間情報を記憶する記憶部と、
前記携帯端末と前記車載装置との接続方式に対応する時間情報に基づき、前記車載装置の電源がOFFする時間を変更する変更部と、
を有する車両管理システム。
【請求項2】
前記変更部は、
車両の電源OFFを検知する検知部を有し、
前記車両の電源OFFを検知してから、前記携帯端末と前記車載装置との接続方式に対応する前記時間情報が示す時間の経過後に、前記車載装置に電源OFFを指示する、
請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記変更部は、前記車両の電源OFFが検知された時間を起点とする経過時間が設定時間に更に前記時間情報の時間を追加した時間を満たした場合に前記車載装置に電源OFFを指示する、
請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記時間情報を有する車外装置をさらに備え、
前記車載装置は、前記車外装置から取得した前記時間情報を前記記憶部で記憶する、
請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが携帯端末で利用可能なサービスは様々であり、車載装置と通信して利用するサービスも年々増加している。例えばコネクティッドサービスは、ユーザーが車両を降車した後に、窓の閉め忘れ、ヘッドライトの切り忘れ、あるいはドアロックの閉め忘れなど、ユーザーによる操作し忘れがあった箇所を検知し、検知結果をユーザーに通知するなどの車両サービスを提供する。このサービスでは、携帯端末と車載装置とが通信を維持することにより、ユーザーによる操作し忘れの箇所の通知を行う。
【0003】
特許文献1には、車両外部にて車両の状態を通知する車両管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-205063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車載装置は、電源をOFFする場合、車載装置に決められている時間で電源をOFFする。これにより、車両を降車した後のサービスなど、利用可能なサービスが多様化しても、車載装置に決められている時間があるため、実際にはユーザーが特定のサービスしか利用できなくなるなどの制限が生じてしまうという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、ユーザーの実際の利用に合わせた車載装置の提供が可能な車両管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る車両管理システムは、携帯端末と、前記携帯端末と通信が可能な車載装置と、を有し、前記携帯端末と前記車載装置との接続方式に対応する時間情報を記憶する記憶部と、前記携帯端末と前記車載装置との接続方式に対応する時間情報に基づき、前記車載装置の電源がOFFする時間を変更する変更部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーの実際の利用に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態にかかる車両管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、車両と車両電源との接続関係の一例を示した図である。
図3図3は、変更時間情報Tの一例を示す図である。
図4図4は、車載器の電源OFFの延命を行う制御フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付図面を参照し、本発明の実施形態である車両管理システムについて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0011】
<実施形態>
図1は、実施形態にかかる車両管理システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示される車両管理システム1は、携帯端末10と、車載器20と、外部サーバ30とを有する。ここで、車載器20は「車載装置」に相当し、図2に示されるように、車両100に搭載され、車両100の電源である車両電源101のONとOFFとを検知部25で検知する。なお、車両電源101は、車両100本体の制御装置102に電源ONと電源OFFとを指示する要素、例えばON/OFFスイッチや、通信部などである。また、外部サーバ30は、車両100の外にある「車外装置」の一例である。
【0012】
携帯端末10は、ユーザーが携帯するはスマートフォンなどである。車載器20が起動している間、携帯端末10と車載器20との通信が可能になる。例えば車両100にユーザーが乗車中に携帯端末10と車載器20との間で通信する。
【0013】
携帯端末10は、車載器20と連携動作を行う制御部11と通信部12とを有する。制御部11は連携動作を行うアプリケーションを実行する。通信部12は、無線接続または有線接続で車載器20と通信を行う。通信部12と車載器20との通信は、例えばBluetooth(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、またはWi-Fi(登録商標)などの通信方式で行う。
【0014】
携帯端末10は、その他、モバイル通信部や、通話部や、音声アシスタントや、地図ナビゲーションや、メールやメッセンジャーなどを有し、それらのうちアプリケーションで許可された機能が、連携により車載器20側で利用可能になる。モバイル通信部は、インターネットにアクセスしてサービスの提供サーバなどと通信を行うこともできる。
【0015】
車載器20は、ユーザーによる各種操作に基づき機能を提供する。例えば、車載器20がタッチ入力式の表示画面を備える場合、ユーザーによるタッチ操作に基づき機能を提供する。また、車載器20は、起動後において、車内などの通信範囲内にあるユーザーの携帯端末10と通信接続すると、その携帯端末10と連携して機能を提供する。例えば、車載器20は携帯端末10の所定の機能や所定の登録データなどを利用して各種機能を提供する。また、車載器20は、携帯端末10に情報を通知するものでもよい。
【0016】
具体的に、車載器20は、制御部21、記憶部22、外部通信部23、通信部24、検知部25、入出力部26および電源部27などを有する。
【0017】
制御部21は、各部(記憶部22、外部通信部23、通信部24、検知部25、入出力部26および電源部27)を制御して、車載器20の各種機能の実行や、携帯端末10との連携などを行う。また、制御部21は入出力部26を介して車両100本体の各部の情報を随時収集する。
【0018】
制御部21は、携帯端末10と連携において、通信部24を介して携帯端末10の通信部12と通信接続する。また、制御部21は、検知部25で車両電源101の電源OFFが検知されると、携帯端末10との接続方式に対応する変更時間を設定して電源部27に電源OFFを指示する「変更部」などとして機能する。
【0019】
記憶部22は、変更時間情報Tを記憶する。変更時間情報Tは、車載器20と携帯端末10との間の接続方式別に有する「時間情報」である。接続方式とは、車載器20と携帯端末10との間の通信接続方式などの接続方式に関する情報を指す。変更時間情報Tは、車載器20に予め設定されている時間を延命する実質的には延命時間を示す情報であり、一例では接続方式別の延命時間を示す定数を記憶する。
【0020】
車載器20は、電源部27から電力供給を受けて起動する。電源部27の電力は車両100のバッテリなどから供給される。
【0021】
検知部25は、車両電源101の電源ONと、電源OFFとを検知する。
【0022】
入出力部26は、車両100本体の制御装置(例えばECU(Electronic Control Unit))102に配線ケーブルなどを介して接続される。入出力部26は、車両100の状態を示す情報、例えば走行情報や、窓の閉め忘れ、ヘッドライトの切り忘れ、あるいはドアロックの閉め忘れなど、ユーザーによる操作し忘れを示す情報などを、制御装置102から取得する。
【0023】
外部通信部23は、外部サーバ30と通信する。外部サーバ30は、例えばインターネットなどのネットワーク200を介して外部サーバ30と通信する。外部サーバ30は、例えばクラウドなどに設けられており、変更時間情報Tなどを記憶する。なお、外部サーバ30の変更時間情報Tは、設定が固定であってもよいし、管理者の端末から更新や追加を可能にしてもよい。また、外部サーバ30は、変更時間情報Tを管理する専用の管理サーバであってもよいし、各種サービスの提供サーバであってもよい。
【0024】
具体的に、車載器20は、外部サーバ30と通信中に外部サーバ30から変更時間情報(この例では延命時間を示す定数)を取得して記憶部22に記憶する。そして、車載器20は、車両100本体の電源がOFFされると、記憶部22の変更時間情報(延命時間を示す定数)を基に携帯端末10との接続方式に対応する延命時間まで車載器20の電源OFFの時間を延ばす延命の制御を行う。
【0025】
図3は、変更時間情報Tの一例を示す図である。上述したように、延命時間は接続方式別に設定する。図3は、接続方式が第1の接続方式、第2の接続方式、・・・の場合における各延命時間の設定例である。第1の接続方式は延命時間Taが対応し、第2の接続方式は延命時間Tbが対応する。
【0026】
なお、第1の接続方式に延命時間Taを設定し、それ以外の接続方式は延命時間を設定しないようにすることも可能である。例えばBluetooth接続方式を第1の接続方式として延命時間Taを設定し、それ以外の接続方式には延命しない設定とする。
【0027】
図4は、車載器20(制御部21)の電源OFFの延命を行う制御フローの一例を示す図である。まず制御部21は、起動後において外部サーバ30から変更時間情報T(この例では延命時間)を取得する(S1)。具体的に、制御部21は、外部通信部23により外部サーバ30と通信し、外部サーバ30から変更時間情報Tを取得して記憶部22に記憶する。外部サーバ30から変更時間情報Tを取得する回数は、初回の起動時の1回でもよいし、定期的に毎回取得して記憶部22の延命時間の追加または更新を行ってもよい。
【0028】
その後、車両電源101がOFFされると、制御部21は、その車両電源101のOFFを検知部25により検知し(S2)、車載器20と携帯端末10との接続方式に該当する延命時間(定数)を記憶部22の変更時間情報Tから読み取って設定時間に適用する(S3)。
【0029】
続いて、制御部21は、車両電源101の電源OFFを検知した時間を起点に経過時間をカウントし(S4)、経過時間が上記設定時間から更に延命時間を追加した適用後の時間を満たしたか、一例として達したかを判定する(S5)。
【0030】
制御部21は、経過時間が延命時間の適用後の時間に達していないと判定した場合(S5:No判定)、カウントが達するまで待つ。
【0031】
そして、制御部21は、経過時間が延命時間の適用後の時間に達したと判定した場合(S5:Yes判定)、電源部27に電源OFFを指示し、車載器20を停止させる(S6)。
【0032】
このように、接続方式に対応する延命時間を適用することで車載器20の電源OFFを設定よりも延命することができる。ユーザーが利用可能なサービスを携帯端末10との接続方式を調べることで識別し、それに該当する延命時間を適用することでサービスの利用の制限を解除することができる。
【0033】
例えば、サービスとしてコネクティッドサービスをユーザーが利用しているとする。コネクティッドサービスのサービスの一つに、車両100を降車した後に、窓の閉め忘れ、ヘッドライトの切り忘れ、あるいはドアロックの閉め忘れなど、ユーザーによる操作し忘れがあった箇所を通知するサービスがある。このサービスを利用する場合、車両電源101がOFFされた後において車載器20は車両状態を検出する所定の時間だけ起き続ける必要があるが、車載器20の種類によっては設定時間が短いものもある。これは、車載器20が起き続けることにより車両100のバッテリの無駄な消費につながるため、予め開発段階などに決められている。しかし、ユーザーの実際の利用は、開発段階の想定とは異なる。このためユーザーが利用するサービスが、設定時間の制限で受けられなくなる。本実施形態にかかる車両管理システム1によれば、車載器20の時間が短い設定のものであっても、車載器20が携帯端末10との接続方式に基づき設定時間を接続方式に対応する時間に延ばして、停止する。このように接続方式により延命時間が適用されるため、ユーザーの利用に合わせ制限を解除することができる。
【0034】
以上のようにして、ユーザーが車載器20の設定を特に意識することなく、車載器20の設定に依存するサービス等の利用制限を適宜解除することができるようになる。
【0035】
なお、コネクティッドサービスは、車載器20の設定時間の延命が必要なケースの一例であり、時間の変更を、このサービスに限定するものではない。車載器20の時間の変更が必要なケースであれば適宜適用してよい。
【0036】
また、接続方式としてBluetooth接続、USB接続、Wi-Fi接続などを例に挙げたが、接続方式をこれに限定するものではない。また、接続方式は、これら通信の接続方式に限らず、例えばOSの種類や通信接続状態などの機器情報や、イベントの有無なども含めて分類してもよい。
【0037】
また、車載器20は、車両電源101がONに切り替えられたかOFFに切り替えられたかを有線ケーブルを介して検知部25で検知する例を示したが、近距離無線通信などの無線通信を介して検知するように構成してもよい。
【0038】
また、外部サーバ30から変更時間情報Tを取得する例を示した。このように、外部サーバ30上の延命時間の定数値は必要に応じ変更が可能であり、外部サーバ30から延命時間の定数を取得できることで車載器20の停止までの時間を可変にすることができる。よって、車両や車載器の販売後も実際の市場ユーザーの使い方に基づき、多くのユーザーをカバーできる車載器の提供が可能になる。また、時間を可変にすることで車両100のバッテリの負荷低減にも貢献する。
【0039】
また、変更時間情報Tの取得を外部サーバ30からの取得に限定するものではない。外部サーバ30と通信することなく、車載器20の記憶部22に変更時間情報Tを予め設定しておいて利用するようにしても勿論よい。
【符号の説明】
【0040】
1 車両管理システム
10 携帯端末
11 制御部
12 通信部
20 車載器
21 制御部
22 記憶部
23 外部通信部
24 通信部
25 検知部
26 入出力部
27 電源部
30 外部サーバ
100 車両
101 車両電源
102 制御装置
200 ネットワーク
T 変更時間情報
図1
図2
図3
図4