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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174224
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】積層鉄心の製造方法および搬送治具
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H02K15/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086964
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 仁
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615PP01
5H615PP02
5H615PP06
5H615SS59
(57)【要約】
【課題】積層鉄心の搬送工程において載置面と把持部との接触を抑制すること。
【解決手段】積層鉄心の製造方法は、積層鉄心を把持部で把持しながら搬送する搬送工程、を含む。また、把持部は、積層鉄心の下面よりも上の部位を把持する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層鉄心を把持部で把持しながら搬送する搬送工程、を含み、
前記把持部は、前記積層鉄心の下面よりも上の部位を把持する
積層鉄心の製造方法。
【請求項2】
前記把持部は、前記積層鉄心と向かい合う把持面を有し、
前記把持面の一部が前記積層鉄心と接触する
請求項1に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項3】
前記把持部は、前記積層鉄心の下面から1(mm)以上の部位を把持する
請求項1に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項4】
前記把持部は、前記積層鉄心の鉛直方向における中央よりも下部のみを把持する
請求項1~3のいずれか一つに記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項5】
搬送された前記積層鉄心を載置する載置工程、をさらに含み、
前記積層鉄心は、前記搬送工程において積厚寸法が変化した前記把持部に接触する部分から前記積層鉄心の下面までの範囲を、前記載置工程において前記積層鉄心の自重により元に戻す
請求項4に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項6】
前記把持部は、三爪チャックである
請求項1~3のいずれか一つに記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項7】
積層鉄心の搬送中に前記積層鉄心を把持する把持部を備え、
前記把持部は、前記積層鉄心の下面よりも上の部位を把持する
搬送治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、積層鉄心の製造方法および搬送治具に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の電磁鋼板から金型によって所定の形状に打ち抜いて形成された鉄心片を積層する積層鉄心の製造方法が知られている。この製造方法において、たとえば、積層鉄心の内側に形成される貫通孔の内壁面を搬送治具の把持部で把持しながら、積層鉄心を搬送する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-298755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、積層鉄心の搬送工程では、積層鉄心を把持する際などに載置面(たとえば、載置台の上面)と把持部とが接触する場合があった。これにより、把持部などが破損する恐れがあった。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、積層鉄心の搬送工程において載置面と把持部との接触を抑制することができる積層鉄心の製造方法および搬送治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る積層鉄心の製造方法は、積層鉄心を把持部で把持しながら搬送する搬送工程、を含む。また、前記把持部は、前記積層鉄心の下面よりも上の部位を把持する。
【0007】
また、実施形態の一態様に係る搬送治具は、積層鉄心の搬送中に前記積層鉄心を把持する把持部を備える。また、前記把持部は、前記積層鉄心の下面よりも上の部位を把持する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、積層鉄心の搬送工程において載置面と把持部との接触を抑制することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る積層鉄心の一例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る積層鉄心の製造工程の手順の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、実施形態に係る搬送装置の構成の一例を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る把持部の構成および動作の一例を示す上面図である。
図5図5は、実施形態に係る把持部の構成および動作の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する積層鉄心の製造方法および搬送治具について説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0011】
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0012】
<積層鉄心>
最初に、実施形態に係る積層鉄心1の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る積層鉄心1の一例を示す斜視図である。積層鉄心1は、たとえば、固定子積層鉄心であり、固定子(ステータ)の一部である。
【0013】
なお、固定子は、積層鉄心1に巻線が取り付けられたものである。この固定子に回転子(ロータ)が組み合わされることによって、モータが構成される。
【0014】
図1に示すように、積層鉄心1は、円筒形状を呈している。すなわち、積層鉄心1の中央部分には、中心軸Axに沿って延びる貫通孔1a(中心孔)が設けられている。貫通孔1a内には、回転子が配置可能である。
【0015】
積層鉄心1は、複数の鉄心片Wが積み重ねられた積層体である。鉄心片Wは、帯状の電磁鋼板が所定形状に打ち抜かれた板状体である。
【0016】
なお、実施形態に係る積層鉄心1は、いわゆる転積によって構成されていてもよい。この「転積」とは、鉄心片W同士の角度を相対的にずらしつつ、複数の鉄心片Wを積層することをいう。転積は、主に積層鉄心1の板厚偏差を相殺することを目的に実施される。転積の角度は、任意の大きさに設定してもよい。
【0017】
積層鉄心1は、ヨーク部2と、複数のティース部3と、複数のカシメ部4とを含む。ヨーク部2は、円環状を呈しており、中心軸Axを囲むように延びている。ヨーク部2の径方向における幅、内径、外径および厚さはそれぞれ、モータの用途および性能に応じて種々の大きさに設定し得る。
【0018】
各ティース部3は、ヨーク部2の内縁から中心軸Ax側に向かうようにヨーク部2の径方向に沿って延びている。すなわち、各ティース部3は、ヨーク部2の内縁から中心軸Ax側に向けて突出している。
【0019】
たとえば、図1の例では、12個のティース部3がヨーク部2に一体的に形成されている。各ティース部3は、ヨーク部2の周方向において、略等間隔で並んでいる。隣り合うティース部3の間には、巻線(図示せず)を配置するための空間として機能するスロット5が画定されている。
【0020】
カシメ部4は、ヨーク部2に設けられていてもよいし、各ティース部3に設けられていてもよいし、ヨーク部2および各ティース部3の双方に設けられていてもよい。高さ方向において隣接する鉄心片W同士は、カシメ部4によって締結されている。
【0021】
具体的には、カシメ部4は、積層鉄心1の最下層以外をなす鉄心片Wに形成されたカシメ(図示せず)と、積層鉄心1の最下層をなす鉄心片Wに形成された貫通孔(図示せず)とを含む。
【0022】
カシメの凸部は、隣り合う他のカシメの凹部または貫通孔と接合される。貫通孔は、積層鉄心1を連続して製造する際、すでに製造された積層鉄心1に対し、続いて形成された鉄心片Wがカシメによって締結されるのを防ぐ機能を有する。
【0023】
なお、実施形態に係る積層鉄心1において、複数の鉄心片W同士は、カシメ部4に代えて、種々の公知の方法にて締結されてもよい。たとえば、複数の鉄心片W同士が、接着剤または樹脂材料を用いて互いに接合されてもよいし、溶接によって互いに接合されてもよい。
【0024】
あるいは、鉄心片Wに仮カシメを設け、仮カシメを介して複数の鉄心片Wを締結して積層体を得た後、仮カシメをこの積層体から除去することによって、積層鉄心1を得てもよい。なお、「仮カシメ」とは、複数の鉄心片Wを一時的に一体化させるのに使用され、かつ製品(積層鉄心1または固定子)を製造する過程において取り除かれるカシメを意味する。
【0025】
<製造工程>
つづいて、実施形態に係る積層鉄心1の製造工程について、図2を参照しながら説明する。図2は、実施形態に係る積層鉄心1の製造工程の手順の一例を示すフローチャートである。
【0026】
図2に示すように、製造装置のコントローラは、まず、送出装置などを制御して、電磁鋼板をプレス加工装置内で順送り方向に沿って所定のピッチだけ順送りする(ステップS1)。
【0027】
また、かかるステップS1の工程と並行して、プレス加工工程(ステップS2)および鉄心片形成工程(ステップS3)がこの順に実施される。
【0028】
プレス加工工程(ステップS2)では、コントローラが、プレス加工装置を制御して、上型を下降させて上型と下型とで電磁鋼板を挟持し、電磁鋼板にプレス加工を施す。これにより、鉄心片W(図1参照)においてティース部3(図1参照)やカシメ部4(図1参照)などが形成される。
【0029】
鉄心片形成工程(ステップS3)では、コントローラが、プレス加工装置を制御して、上型を下降させて上型と下型とで電磁鋼板を挟持し、電磁鋼板を打ち抜いて鉄心片Wを形成する。
【0030】
次に、コントローラは、プレス加工装置を制御して、複数の鉄心片Wを積層させて積層鉄心1を形成する(ステップS4)。なお、かかるステップS4の際に、鉄心片Wに形成されたカシメ部4の凸部が、隣り合う他のカシメ部4の凹部または貫通孔と接合される。
【0031】
そして、コントローラは、後述する搬送装置10を制御して、形成された積層鉄心1を所定の箇所に搬送し(ステップS5)、搬送された積層鉄心1を所定の箇所に載置して(ステップS6)、一連の製造工程を終了する。
【0032】
<搬送装置>
つづいて、実施形態に係る搬送装置10の詳細について、図3を参照しながら説明する。図3は、実施形態に係る搬送装置10の構成の一例を示す斜視図である。搬送装置10は、搬送治具の一例である。
【0033】
図3に示すように、搬送装置10は、支柱11と、リニアガイド12と、装置ガイド部13と、エアシリンダ14と、ピストン15と、把持部20とを備える。
【0034】
リニアガイド12は、支柱11によって水平状態に支持される。装置ガイド部13は、リニアガイド12の上を水平方向に移動可能に構成される。エアシリンダ14は、装置ガイド部13に対して垂直方向に支持される。
【0035】
ピストン15は、エアシリンダ14に対して鉛直方向に伸縮する。把持部20は、ピストン15の下端に吊されるように支持される。
【0036】
搬送装置10の動作は、たとえば、次のようになる。搬送装置10は、載置台Tの載置面Taに載置された積層鉄心1の直上に、把持部20を移動させる。そして、搬送装置10は、エアシリンダ14のピストン15を伸長させることで把持部20を下降させ、かかる把持部20を積層鉄心1の貫通孔1aに挿入する。
【0037】
次に、搬送装置10は、貫通孔1aの内部で把持部20を拡幅させ、貫通孔1aの内壁面1b(図4参照)を把持部20で把持する。そして、搬送装置10は、その状態でエアシリンダ14のピストン15を縮小させることで積層鉄心1を吊り上げ、その吊り上げた状態で装置ガイド部13を駆動させて指定された位置の直上に積層鉄心1を移動させる。
【0038】
次に、搬送装置10は、エアシリンダ14のピストン15を伸長させることで積層鉄心1を下降させ、載置面Taの指定された位置に積層鉄心1を載置する。そして、搬送装置10は、貫通孔1aの内部で把持部20を縮小させ、把持部20の把持状態を解除する。最後に、搬送装置10は、その状態でエアシリンダ14のピストン15を縮小させることで把持部20を吊り上げ、一連の搬送処理が終了する。
【0039】
<把持部の構成および動作>
つづいて、把持部20の構成および動作について、図4および図5を参照しながら説明する。図4は、実施形態に係る把持部20の構成および動作の一例を示す上面図であり、図5は、実施形態に係る把持部20の構成および動作の一例を示す断面図である。
【0040】
図4および図5に示すように、実施形態に係る把持部20は、支持部21と、軸部22と、拡幅部23とを有する。支持部21は、ピストン15(図3参照)の下端に吊り下げられるように支持されるとともに、軸部22を支持する。
【0041】
軸部22は、支持部21に対して下方向に支持される。また、軸部22の内部には、コントローラからの指示に応じて、拡幅部23を駆動する駆動機構(図示せず)が収容される。
【0042】
拡幅部23は、軸部22に支持されるとともに、軸部22に対して水平方向に伸縮可能に構成される。図4に示すように、拡幅部23は、たとえば、平面視で軸部22に対して周方向に120(°)間隔で3方向に伸縮可能である。
【0043】
また、拡幅部23は、外周部に平面視で円弧状の把持面23aを有する。かかる把持面23aは、積層鉄心1における貫通孔1aの内壁面1bと向かい合う。
【0044】
そして、実施形態に係る把持部20は、駆動機構を動作させて拡幅部23を3方向に伸長させ、把持面23aで貫通孔1aの内壁面1bを押圧する。これにより、把持部20は、積層鉄心1を搬送可能に把持することができる。
【0045】
ここで、実施形態では、図5に示すように、把持部20が、積層鉄心1の下面1cよりも上の部位を把持する。これにより、エアシリンダ14(図3参照)のピストン15(図3参照)を伸長させることで把持部20を下降させる際に、把持部20が鉛直方向に位置ズレした場合でも、載置面Taと把持部20との接触を抑制することができる。なぜなら、把持部20が鉛直方向に位置ズレした場合でも、把持部20と載置面Taとのギャップを確保できるからである。
【0046】
したがって、実施形態によれば、積層鉄心1の搬送工程において載置面Taと把持部20との接触を抑制することができる。たとえば、実施形態では、把持部20が、積層鉄心1の下面1cから2(mm)以上の部位を把持するように設定するとよい。
【0047】
通常、搬送装置10では、把持部20の鉛直方向における位置制御に誤差が1(mm)程度生じる。そこで、たとえば、把持部20が積層鉄心1の下面1cから2(mm)以上の部位を把持するように設定することで、把持部20は積層鉄心1の下面1cから1(mm)以上の部位を確実に把持する。これにより、載置面Taと把持部20との接触をより確実に抑制することができる。
【0048】
また、実施形態では、図5に示すように、把持部20が、積層鉄心1の下部のみを把持するとよい。たとえば、実施形態では、把持部20が、積層鉄心1の鉛直方向における中央1dよりも下部のみを把持するとよい。
【0049】
仮に、把持部20が積層鉄心1の上部を含めて把持した場合、複数の鉄心片Wが水平方向にずれたり、真円度が変化しながら積層されていると、積層鉄心1の上部のみに把持部20が接触して把持してしまう場合がある。
【0050】
そしてこの場合には、積層鉄心1の下部にある鉄心片Wが把持部20に直接把持されず、上部を介してぶら下がるように把持されてしまうため、搬送時に積層鉄心1の積厚寸法が延びるように変化してしまう恐れがある。
【0051】
一方で、実施形態では、把持部20が積層鉄心1の下部のみを把持することで、下部にある鉄心片Wが上部を介してぶら下がるように把持されることを抑制できるため、積層鉄心1の積厚寸法の変化を抑制することができる。
【0052】
たとえば、実施形態では、把持部20が、積層鉄心1の下面1cから所定の距離(たとえば、下面1cから1(mm))だけ上方に離れた位置から、20(mm)~30(mm)上方までの範囲を把持するとよい。
【0053】
なお、把持部20が積層鉄心1に接触する部分から下面1cまでの範囲において、鉄心片Wのぶら下がりにより積厚寸法の変化が発生する。しかし、その範囲は非常に小さいものであるため、積層鉄心1を載置すると、変化した積層寸法が積層鉄心1の自重により元に戻る。
【0054】
また、実施形態では、把持部20が、平面視で軸部22に対して周方向に120(°)間隔で3方向に伸縮可能である、いわゆる三爪チャックであるとよい。これにより、積層鉄心1の下面1cよりも上方、かつ中央1dよりも下方の部位を精度よく把持することができる。
【0055】
なお、図4および図5の例では、把持部20が三爪チャックである例について示したが、本開示はかかる例に限られず、その他の方式のチャック(たとえば、エアー圧によって袋体を水平方向に拡張させて積層鉄心1を把持するチャック)などであってもよい。
【0056】
また、実施形態では、積層鉄心1を把持部20で把持する際に、把持面23aの一部が積層鉄心1の内壁面1bと接触してもよい。これにより、把持面23aから積層鉄心1にかかる圧力が、全面で接触するよりも部分的に大きくなる。よって、把持部20が積層鉄心1を(たとえばエアー圧等により)把持するために必要となる(全体としての)力をより小さくすることができ、積層鉄心1の変形を抑制することができる。
【0057】
なお、本開示では、把持面23aの全体が積層鉄心1の内壁面1bと接触してもよい。
【0058】
また、実施形態では、把持面23aが樹脂で覆われているとよい。このように、把持面23aが耐摩耗性の高い材料で覆われることで、積層鉄心1を把持する際に把持面23aが擦れて積層鉄心1が汚染されることを抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の実施形態では、積層鉄心1の内壁面1bを把持部20で把持する例について示したが、本開示はかかる例に限られず、把持部20が積層鉄心1の外壁面を把持してもよいし、内壁面1bと外壁面の両面から把持するようにしてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、積層鉄心1が固定子(ステータ)の一部である例について示したが、本開示の搬送装置10で搬送される積層鉄心は固定子の一部に限られず、回転子(ロータ)の一部である積層鉄心を搬送してもよい。
【0061】
以上のように、実施形態に係る積層鉄心1の製造方法は、積層鉄心1を把持部20で把持しながら搬送する搬送工程(ステップS5)、を含む。また、把持部20は、積層鉄心1の下面1cよりも上の部位を把持する。これにより、積層鉄心1の搬送工程において載置面Taと把持部20との接触を抑制することができる。
【0062】
また、実施形態に係る積層鉄心1の製造方法において、把持部20は、積層鉄心1と向かい合う把持面23aを有する。また、把持面23aの一部が積層鉄心1と接触する。これにより、積層鉄心1の変形を抑制することができる。
【0063】
また、実施形態に係る積層鉄心1の製造方法において、把持部20は、積層鉄心1の下面1cから1(mm)以上の部位を把持する。これにより、載置面Taと把持部20との接触をより確実に抑制することができる。
【0064】
また、実施形態に係る積層鉄心1の製造方法において、把持部20は、積層鉄心1の鉛直方向における中央1dよりも下部のみを把持する。これにより、積層鉄心1の積厚寸法の変化を抑制することができる。
【0065】
また、実施形態に係る積層鉄心1の製造方法は、搬送された積層鉄心1を載置する載置工程(ステップS6)、をさらに含む。また、積層鉄心1は、搬送工程(ステップS5)において積厚寸法が変化した把持部20に接触する部分から積層鉄心1の下面1cまでの範囲を、載置工程(ステップS6)において積層鉄心1の自重により元に戻す。これにより、積層鉄心1の変形を抑制することができる。
【0066】
また、実施形態に係る積層鉄心1の製造方法において、把持部20は、三爪チャックである。これにより、積層鉄心1の下面1cよりも上方、かつ中央1dよりも下方の部位を精度よく把持することができる。
【0067】
また、実施形態に係る搬送治具(搬送装置10)は、積層鉄心1の搬送中に積層鉄心1を把持する把持部20を備える。また、把持部20は、積層鉄心1の下面1cよりも上の部位を把持する。これにより、積層鉄心1の搬送工程において載置面Taと把持部20との接触を抑制することができる。
【0068】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 積層鉄心
1a 貫通孔
1b 内壁面
1c 下面
1d 中央
10 搬送装置(搬送治具の一例)
20 把持部
21 支持部
22 軸部
23 拡幅部
23a 把持面
Ta 載置面
W 鉄心片
図1
図2
図3
図4
図5