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<図1>
  • -キャディバッグ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174230
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】キャディバッグ
(51)【国際特許分類】
   A63B 55/00 20150101AFI20231130BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20231130BHJP
【FI】
A63B55/00
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086973
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】517170052
【氏名又は名称】デサントジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】山口 政人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フード開状態におけるスリム化を実現できるキャディバッグを提供する。
【解決手段】キャディバッグ1は、ゴルフクラブWを収容する有底筒状のキャディバッグ本体2と、キャディバッグ本体2の開口部23に取り付けられており、収容されたゴルフクラブWを保護するフード閉状態と、収容されたゴルフクラブWへのアクセスを可能とするフード開状態とに変化し、上下方向に延びてゴルフクラブWを覆う袋状部35と、袋状部35に連続してキャディバッグ本体2の開口部23の周囲に取り付けられる取付部36とを有するフード部3と、を備え、取付部36は、袋状部35に連続する一端部36aが、袋状部35と反対側の他端部36bよりも下方に位置する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブを収容する有底筒状のキャディバッグ本体と、
前記キャディバッグ本体の開口部に取り付けられており、収容されたゴルフクラブを保護するフード閉状態と、収容されたゴルフクラブへのアクセスを可能とするフード開状態とに変化し、上下方向に延びて前記ゴルフクラブを覆う袋状部と、前記袋状部に連続して前記キャディバッグ本体の前記開口部の周囲に取り付けられる取付部とを有するフード部と、
を備え、
前記取付部は、前記袋状部に連続する一端部が、前記袋状部と反対側の他端部よりも下方に位置するキャディバッグ。
【請求項2】
ゴルフクラブを収容する有底筒状のキャディバッグ本体と、
上下方向に延びた袋状部と、前記袋状部に連続して前記キャディバッグ本体の開口部の周囲に取り付けられる取付部とを有し、前記袋状部が前記取付部周りに上方に折り返されたときに前記キャディバッグ本体に収容されるゴルフクラブの周囲を覆うフード部を構成する、収納部と
を備え、
前記取付部は、前記袋状部に連続する一端部が、前記袋状部と反対側の他端部よりも下方に位置する
キャディバッグ。
【請求項3】
前記フード部は、前記キャディバッグ本体に縫着されている請求項1又は請求項2に記載のキャディバッグ。
【請求項4】
前記フード部には、頂部から前記キャディバッグの他側部側に延びるファスナが取り付けられている請求項1又は請求項2に記載のキャディバッグ。
【請求項5】
前記キャディバッグ本体の一側部には、前記キャディバッグを運搬するための把持部が設けられ、
前記フード部の前記一側部側には、フード開状態において、前記把持部を露出させるためのスリット部が設けられている請求項1又は請求項2に記載のキャディバッグ。
【請求項6】
フード開状態において、前記フード部は、前記キャディバッグ本体の円筒部に密着可能に取り付けられる請求項1又は請求項2に記載のキャディバッグ。
【請求項7】
フード開状態で、前記フード部は、前記他側部側において前記ファスナの一部を係合可能である請求項4に記載のキャディバッグ。
【請求項8】
前記収納部には、上下方向に延びて前記収納部を開閉するための収納部用ファスナが設けられている請求項2に記載のキャディバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャディバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ゴルフクラブが収納される有底筒状のキャディバッグ本体と、キャディバッグ本体に収納されるゴルフクラブのヘッド部を保護するフード部とを備えたキャディバッグが開示されている。このフード部は、前部から頂部を介して後部に至る180度のファスナによって接続される左右2分割構造を有し、ファスナが係合されて収容されたゴルフクラブのヘッド部を保護するフード閉状態と、ファスナによる係合が解除されて収容されたゴルフクラブへのアクセスが可能となるフード開状態とに変化する。
【0003】
フード開状態では、ゴルフクラブへのアクセスをより容易にするため、フード部はキャディバッグ本体から取り外される場合がある。フード部をキャディバッグから取り外すとフード部が紛失するおそれがある。このため、特許文献1のキャディバッグでは、フード部をキャディバッグ本体に固着することによりキャディバッグ本体から取り外せないように構成している。特許文献1のフード部は、フード開状態においてキャディバッグ本体の開口部において外周側へ折り返されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-116831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャディバッグは、運搬性やデザイン性等の要請からフード開状態におけるスリム化が求められることがある。しかしながら、特許文献1のフード部は、ゴルフクラブを覆う袋状部と、袋状部に連続してキャディバッグ本体の開口部の内側に固着される取付部とを有し、取付部のうち、袋状部に連続する一端部が、前記袋状部と反対側の他端部よりも上方に位置する。この結果、フード部をフード開状態に折り返すと、一端部に連続する袋状部が、キャディバッグ本体の外周側へ180度湾曲して下方に延びるので、取付部の外周側に袋状部が重複し、キャディバッグ本体の開口部において外周側へ膨出してしまう。
【0006】
本発明は、フード開状態におけるスリム化を実現できるキャディバッグを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、ゴルフクラブを収容する有底筒状のキャディバッグ本体と、前記キャディバッグ本体の開口部に取り付けられており、収容されたゴルフクラブを保護するフード閉状態と、収容されたゴルフクラブへのアクセスを可能とするフード開状態とに変化し、上下方向に延びて前記ゴルフクラブを覆う袋状部と、前記袋状部に連続して前記キャディバッグ本体の前記開口部の周囲に取り付けられる取付部とを有するフード部と、を備え、前記取付部は、前記袋状部に連続する一端部が、前記袋状部と反対側の他端部よりも下方に位置するキャディバッグ。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、取付部のうち、袋状部に連続する一端部が袋状部と反対側の他端部よりも下方に位置するため、フード開状態において、袋状部を折り返す必要がないので、フード部をキャディバッグ本体の周壁部に沿わせやすく、キャディバッグをスリム化できる。より詳しくは、フード開状態において、袋状部を折り返す必要がないので、取付部の他端部から一端部に向かって延びる方向と、一端部に連続する袋状部が延びる方向とが一致する。この結果、上述のような重複部が生じず、キャディバッグ本体の開口部の周囲において、フード部が外周側へ膨出することが抑制され、キャディバッグのスリム化が図られる。
【0009】
本発明の第2の態様は、ゴルフクラブを収容する有底筒状のキャディバッグ本体と、上下方向に延びた袋状部と、前記袋状部に連続して前記キャディバッグ本体の開口部の周囲に取り付けられる取付部とを有し、前記袋状部が前記取付部周りに上方に折り返されたときに前記キャディバッグ本体に収容されるゴルフクラブの周囲を覆うフード部を構成する、収納部とを備え、前記取付部は、前記袋状部に連続する一端部が、前記袋状部と反対側の他端部よりも下方に位置する
キャディバッグ。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の効果が得られる。
【0011】
前記フード部は、前記キャディバッグ本体に縫着されてもよい。
【0012】
本構成によれば、フード部がキャディバッグ本体に縫着されているので、フード部の紛失を抑制できる。また、ホック等によってフード部をキャディバッグ本体に取り付ける場合に比べて、取付部をコンパクトにできるので、キャディバッグをスリム化しやすい。
【0013】
前記フード部には、頂部から前記キャディバッグの他側部側に延びるファスナが取り付けられてもよい。
【0014】
本構成によれば、フード部は、キャディバッグ本体の他側部側から頂部にかけて分割されており、一側部側では周方向に連続しているので、ファスナが一側部側まで延びてフード部が2分割されている場合に比べて、フード部が筒状に維持されやすく(広がりにくく)、フード開状態においてキャディバッグ本体の周壁部に沿わせやすい。
【0015】
前記キャディバッグ本体の一側部には、前記キャディバッグを運搬するための把持部が設けられ、前記フード部の前記一側部側には、フード開状態において、前記把持部を露出させるためのスリット部が設けられていてもよい。
【0016】
本構成によれば、フード開状態においても把持部を使用することができるので、キャディバッグの可搬性が向上できる。
【0017】
フード開状態において、前記フード部は、前記キャディバッグ本体の円筒部に密着可能に取り付けられてもよい。
【0018】
本構成によれば、フード開状態において、フード部をキャディバッグ本体の外周側に沿わせやすく、フード開状態におけるキャディバッグの外側への広がりが抑制されやすい。また、キャディバッグ本体の上部側に収納部等の外側に膨出する部分が設けられていないので、フード閉状態においてもキャディバッグのスリム化が図られている。
【0019】
フード開状態で、前記フード部は、前記他側部側において前記ファスナの一部を係合可能であってもよい。
【0020】
本構成によれば、フード開状態でファスナを係合させることで、フード部の取付部側(開口部の周囲)の広がりを抑制できる。
【0021】
前記収納部には、上下方向に延びて前記収納部を開閉するための収納部用ファスナが設けられてもよい。
【0022】
本構成によれば、収納部用ファスナが上下方向に延びるので、上下方向に延びる縦長な収納部に収納されたゴルフ用品が、収納部の下方側に収納された場合でも取り出しやすい。
【発明の効果】
【0023】
本発明のキャディバッグでは、フード開状態におけるスリム化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係るキャディバッグのフード開状態の正面斜視図。
図2】本発明に係るキャディバッグのフード閉状態の斜視図。
図3】収納部を構成する複数の生地が縫着される前の展開状態の模式。
図4】本発明に係るキャディバッグのフード開状態の背面斜視図。
図5】本発明に係るキャディバッグのフード開状態の平面図。
図6】本発明に係るキャディバッグのフード開状態の側面図。
図7】本発明に係るキャディバッグのフード開状態の正面図。
図8図4の矢印VIIIで示す部分の部分拡大図。
図9図8のIX-IX線に沿った断面の模式図。
図10】取付部の変形例を示す図9に対応する模式図。
図11】本発明に係るキャディバッグの正面斜視図。
図12】本発明に係るキャディバッグの背面斜視図。
図13】本発明に係るキャディバッグの正面図。
図14】本発明に係るキャディバッグの背面図。
図15】本発明に係るキャディバッグの平面図。
図16】本発明に係るキャディバッグの底面図。
図17】本発明に係るキャディバッグの側面図。
図18】本発明に係るキャディバッグのフード閉状態の正面斜視図。
図19】本発明に係るキャディバッグのフード閉状態の正面図。
図20】本発明に係るキャディバッグのショルダーベルト使用時の正面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0026】
図1に示すように、キャディバッグ1は、ゴルフクラブを収納する有底筒状のキャディバッグ本体2と、キャディバッグ本体2に取り付けられた収納部3とを備える。収納部3は、後述するようにキャディバッグ1のフード部としても機能する(図2参照)。より詳しくは、収納部(フード部)3は、図1に示されるように、ファスナによる係合が解除されて内側に収容されたゴルフクラブへのアクセスが可能となるフード開状態と、ファスナが係合されて収容されたゴルフクラブのヘッド部を保護するフード閉状態(図2参照)とに変化可能である。なお、本実施形態において、フード開閉状態に関わらず、収納部をフード部ということもある。また、本実施形態の収納部(フード部)3の特徴については、特に断わりがない場合は、フード開状態を基準として説明する。
【0027】
キャディバッグ本体2は、底部21と、周壁部22と、開口部23とを有する。底部21は、例えば、樹脂製であって、平面視で概ね円形状である。周壁部22は、底部21の周縁から上方に立ち上がり、円筒状である。周壁部22は、例えば、樹脂製の筒からなり、外表面部分に布等の化粧材が貼付けられている。底部21は、周壁部22の下端部に固定されている。開口部23は、周壁部22の底部21と反対側の端部に設けられている。本実施形態では、キャディバッグ本体2は、底部21が円筒状であることを説明したが、キャディバッグ本体2は有底筒状であればよい。有底筒状とは、底部と底部から立ち上がる周壁部を有し、底部と反対側に開口を有する形状をいう。例えば、キャディバッグ本体2の底部が四角形からなる四角筒状であってもよいし、底部がその他の多角形ないし楕円形等からなる筒状であってもよい。また、周壁部の断面形状は限定されず、周壁部は、上下方向に傾斜していてもよい。
【0028】
図2は、キャディバッグ本体2の収納部3をフード部として使用した状態(フード閉状態)のキャディバッグ1を示す斜視図である。
【0029】
図1図2を参照すると、キャディバッグ本体2の周壁部22には、キャディバッグ1を運搬するためのショルダーベルト24及びハンドル(把持部)25と、手袋やゴルフボール等を収納する本体側収納部26が設けられている。ショルダーベルト24及びハンドル25は、キャディバッグ本体2の上側部分(開口部23側)に配置され、本体側収納部26は、キャディバッグ本体2の下側部分(底部21側)に配置されている。本実施形態において、キャディバッグ本体2は、ショルダーベルト24及びハンドル25が設けられる一側部側をフロント側、フロント側と反対側を背面側、フロント側と背面側間で前後方向に延びる直線と上下方向に延びる直線とに直交する側を側面側とする。
【0030】
図2に示されるように、ショルダーベルト24は、例えばナイロン製で、上下方向に延びる帯状である。ショルダーベルト24は、キャディバッグ本体2に対して着脱可能である。ショルダーベルト24は、キャディバッグ本体2に固定されている上側固定部24aと下側固定部24bを介してキャディバッグ本体2に取り付けることができる。上側固定部24aは、開口部23に配置され、下側固定部24bは、キャディバッグ本体2の上下方向における中間部(本体側収納部26よりも上方)に設けられている。ショルダーベルト24の一端部と他端部とに取り付けられた係合部材(例えば、カラビナ等)24cが、上側固定部24a及び下側固定部24bにそれぞれ着脱可能に係合されている。
【0031】
ハンドル25は、キャディバッグ本体2の上部に取り付けられている。ハンドル25は、上下方向に延び、キャディバッグ本体2の外周側に概ね円弧状に膨出している。ハンドル25の上端部25aは、開口部23及び上側固定部24aの下方で、例えば、リベット等によって固定されている。ハンドル25の下端部25bは、ショルダーベルト24の下側固定部24bよりも上方で、例えば、リベット等によって固定されている。言い換えると、ハンドル25は、ショルダーベルト24の上側固定部24aと下側固定部24bの間で、上側固定部24a側に配置されている。
【0032】
本体側収納部26は、キャディバッグ本体2のフロント側で、ショルダーベルト24の下側固定部24bよりも下方に設けられている。本体側収納部26は、キャディバッグ本体2の外周側に膨出するように形成されている。
【0033】
図1に示すように、キャディバッグ本体2の周壁部22には、収納部3が取り付けられている。収納部3は、収納部3の下端部が上方に向かって折り返されると、収納部3の少なくとも一部が、ゴルフクラブWのヘッド部を保護するフード部を構成する(図2参照)。
【0034】
図3には、収納部3を構成する複数の生地が縫着される前の展開状態の模式図が示されている。図3を参照すると、収納部3は、例えば、ポリエステル製で、収納部3は、表生地31と、裏生地32と、一対の接続生地33とを備える。
【0035】
表生地31は、展開状態(キャディバッグ本体2に取り付けられる前の状態)で、上下及び左右方向に延びる概ね四角形状である。図1図3に示すように、表生地31は、キャディバッグ本体2の左右側面側に配置される左側面部31aと、右側面部31bと、フロント面側に配置される前面部31cとを有する。
【0036】
図3に示すように、左右側面部31a,31bのフロント面側の部分には、上下方向に延びる一対の収納部用ファスナ31dが設けられている。収納部用ファスナ31dの係合を解除すると、表生地31と裏生地32との間に設けられた収納空間と外部とが連通される。収納部用ファスナ31dは、上端部から下端部に向かって前面部31c側に近づくように傾斜している。
【0037】
前面部31cには、上下方向に延びるスリット部31eが設けられている。スリット部31eは、表生地31の幅方向中央で、上側に向かって開口するU字状に形成されている。スリット部31eは、ハンドル25を露出させるために設けられている(図1参照)。前面部31cには、スリット部31eの下端から表生地31の下端まで延びる補強部材が縫着されている。
【0038】
図1図3に示すように、裏生地32は、表生地31に対応する形状で、表生地31同様に、左側面部32aと、右側面部32bと、前側面部32cと、スリット部32eとを有する。表生地31と裏生地32とを重ね合わせた状態で、周縁部分を縫着することで、表生地31と裏生地32との間が袋状に形成されている。表生地31と裏生地32は、パイピング部材によって周縁部分を挟み込んだ状態で縫着されてもよい。
【0039】
図3に示すように、一対の接続生地33は、展開状態で、上下方向に延びる帯状である。各接続生地33は、表生地31及び裏生地32よりも高い強度を有する。各接続生地33は、図3に破線で示されるように、互いに縫着された表生地31と裏生地32の左右両端3bから下端部3cにかけて縫着される。接続生地33と表生地31及び裏生地32とは、周縁部分同様に、3つの生地をパイピング部材で挟み込んだ状態で縫着されてもよい。各接続生地33の上端33bは、表生地31及び裏生地32の上端部3aに対して下方にずらした位置から縫合されている。各接続生地33の幅方向外側には、各接続生地の上端から下端にかけて、互いに係合されるファスナ33aが取り付けられている。
【0040】
図2を参照すると、収納部3の下端部3cが上方に折り返されたフード閉状態で、ファスナ33aが係合されると、一対の接続生地33は、キャディバッグ本体2の背面側から頂部側にかけて延びて、側面視において略逆L字状となる。ファスナ33aは、フード閉状態で、フード部3の頂部から背面(他側部)側に延びている。ファスナ33aが係合されると、表生地31、裏生地32及び一対の接続生地33によって周方向及び頂部を有し、上下方向に延びて内側(表生地31側)にゴルフクラブを収容する袋状の収容空間が形成される。
【0041】
図1図4及び図5を参照すると、収納部3は、キャディバッグ本体2の開口部23の外周を取り囲むように全周にわたって配置されている。収納部3は、収納部3の上端部3aを開口部23に巻き付けた状態で、キャディバッグ本体2に取り付けられている。
【0042】
図6を参照すると、収納部3は、フード閉状態で、上下方向に延びてゴルフクラブWを覆う袋状部35と、袋状部35に連続してキャディバッグ本体2の開口部23の周囲に取り付けられる取付部36とを有する。袋状部35によって、前述の収容空間が形成される。収納部3は、フード開状態で、キャディバッグ本体2の周壁部22に沿って開口部23から下方に向かって、本体側収納部26の上方まで延びている。
【0043】
収納部3の上下方向の寸法L1は、フード開状態において、開口部23から本体側収納部26までの寸法と概ね一致している。言い換えると、本体側収納部26は、収納部3よりも底部21側に設けられている。フード閉状態では、収納部3の開口部23から頂部までの寸法L2は、キャディバッグ本体2に収納されるゴルフクラブWの開口部23からの突出量L3よりも長くなるように設定されている。収納部3の上下方向の寸法L1は、収納部3の開口部23から頂部までの寸法L2よりも大きくなるように設定されている。本体収納部26の上端からキャディバッグ本体2の下端部までの寸法L4は、収納部3の上下方向の寸法L1よりも小さくなるように設定されている。
【0044】
図7に示すように、フロント側には、本体側収納部26、ハンドル25、及びショルダーベルト24が配置されているので、フロント側に立った状態で、本体側収納部26に収納されるゴルフ用具の出し入れができ、さらに、キャディバッグ1の運搬もできる。
【0045】
図8及び図9を参照しながら、収納部3のキャディバッグ本体2への取り付けについて説明する。図8に示すように、本実施形態において、収納部3は、キャディバッグ本体2の開口部23の外周部に縫着されている。図9に模式的に示すように、収納部3の上端部(表生地31及び裏生地32の上端部)3aが、キャディバッグ本体2の開口部23に、開口部23の内側から外側に跨って配置される縁部材27に挟み込まれた状態で縫着されている。フード開状態では、表生地31側に収納部3とキャディバッグ本体2との縫い目Sが外側に露出した状態となり、フード閉状態では、収納部3の下端部3cが上方に折り返されるため、縫い目Sが隠れた状態となる。
【0046】
図8に示されるように、各接続生地33の上端33bは、表生地31及び裏生地32の上端部3aよりも下方に位置している。各接続生地33の上端33bは、キャディバッグ本体2に縫着されていない。したがって、図5に示すように、一対の接続生地33が配置されているキャディバッグ本体2の背面側と、スリット部31e,32eが設けられたフロント面側を除いた概ね両側部において、収納部3は、キャディバッグ本体2に縫着されている。
【0047】
図8及び9を参照すると、取付部36は、袋状部35に連続する一端部36aが、袋状部35と反対側の他端部36bよりも下方に位置する。フード開状態では、袋状部35は、取付部36の一端部36aから下方に向かって延び、フード閉状態では、図9に二点鎖線で示されるように、取付部36周りに上方に折り返されて、取付部36の一端部36aから上方に向かって延びる。
【0048】
本実施形態において、取付部36の一端部36aは、フード閉状態において袋状部35が上方に折り返されたときの折れ曲がる縫い目Sである。一端部36aは、フード閉状態において、取付部36と袋状部35とが重複する重複部Pの下端P1であってもよい。言い換えると、一端部36aは、フード開状態からフード閉状態に変化する際に、取付部36に対する袋状部35の延びる方向が変化する基端部としてもよい。本実施形態において、取付部36の他端部36bは、収納部3の上端部(表生地31及び裏生地32の上端部)3aである。
【0049】
図9に示すように、フード開状態において、収納部3は、裏生地32がキャディバッグ本体2の周壁部22に対向し、表生地31がキャディバッグ1の外表面に露出されている。表生地31の外表面ないし裏生地32の内表面側に意匠を配置することで、フード開状態及びフード閉状態のいずれの状態においても美観を向上させることができる。
【0050】
次に、本実施形態のキャディバッグ1の使用方法(フード開状態からフード閉状態への変更方法)について説明する。
【0051】
収納部3をフード開状態からフード閉状態に変更する際には、まず、図4に示すように収納部3のファスナ33aの一部が係合されている状態である場合は、ファスナ33aの係合を解除する。これにより、収納部3が周壁部22に沿った状態から周壁部22の外側に離間しやすい状態となる。
【0052】
そして、図6に示すように、フード開状態では、本体側収納部26の上方に位置している収納部3の下端部3cを上方に向かって折り返すと、収納部3のうち開口部23から上方に位置する部分によってゴルフクラブWのヘッド部が覆われる。言い換えると、収納部3によってゴルフクラブWの開口部23から突出するヘッド部が保護され、収納部3がフード部として機能する状態(フード閉状態)となる。その後、ファスナ33aを係合させて、フード部(収納部)3の一対の接続生地33を閉じることで、キャディバッグ本体2の開口部23をフード部3で覆うことができる。
【0053】
収納部3の下端部3cが上方に向かって折り返されることで、図1に示すようにフード開状態で外側に露出していた表生地31が、フード閉状態では、キャディバッグ本体2の内側に配置される。一方、フード開状態で周壁部22に対向していた裏生地32が、フード閉状態では、図2に示されるように外側に露出した状態となる。
【0054】
フード閉状態では、図2及び図9に示すように、収納部3とキャディバッグ本体2の縫着部の縫い目Sが収納部3の内側に被覆されて、隠れた状態となる。このとき、図9に示すように、折り返し部には、表生地31の外表面同士が幅方向に重複する重複部Pが生じる。一方、フード開状態では、図1及び図9に示すように、縫い目Sが外側に露出した状態となり、重複部Pが生じず、収納部3が周壁部22に沿った状態となる。
【0055】
フード部(収納部)3をフード閉状態からフード開状態に変更する際には、まず、フード部3のファスナ33aの係合を解除する。これにより、フード部3が、ゴルフクラブWを覆うように袋状に形成された状態から、フード部3の頂部から背面側にかけて開放されて、ゴルフクラブWを露出させた状態となる。
【0056】
そして、図6に示すように、フード閉状態では、開口部23よりも上方に位置する収納部3の下端部3cを下方に向かって折り返すと、開口部23からゴルフクラブWのヘッド部が露出する。フード開状態では、フード部3が周壁部22に沿った状態になり、フード閉状態で内側に位置していた表生地31は、外側に露出される。その後、ファスナ33aを係合させて、フード部(収納部)3の一対の接続生地33の一部を閉じることで、フード部3を周壁部23に沿わせやすくなっている。
【0057】
収納部3の下端部3cが下方に向かって折り返されることで、図2及び図9に示すようにフード閉状態で外側に露出していた裏生地32が、フード開状態では、キャディバッグ本体2の周壁部23に対向配置される。一方、フード閉状態でキャディバッグ本体2の内側に配置されていた表生地31が、フード開状態では図1及び図9に示されるように外側に露出した状態となる。
【0058】
このように構成したキャディバッグ1は、以下の特徴を有する。
【0059】
図9に示すように、取付部36のうち、袋状部35に連続する一端部36aが袋状部35と反対側の他端部36bよりも下方に位置するため、フード開状態において、袋状部35を折り返す必要がないので、フード部3をキャディバッグ本体2の周壁部23に沿わせやすく、キャディバッグ1をスリム化できる。
【0060】
例えば、袋状部に連続する一端部が、袋状部と反対側の他端部よりも上方に位置するように、フード部をキャディバッグ本体に取り付けた場合、フード部をフード開状態に折り返すと、一端部に連続する袋状部が、キャディバッグ本体の外周側へ180度湾曲して下方に延びる。この結果、フード部が折り返されたときに、開口部の近傍に、取付部と該取付部の外周側に重複する袋状部とによって重複部が生じ、キャディバッグ本体の開口部において、フード部が外周側へ膨出してしまう。
【0061】
これに対して、上述の構成によれば、フード開状態において、袋状部35を折り返す必要がないので、取付部36の他端部36bから一端部36aが延びる方向と、一端部36aに連続する袋状部35が延びる方向とが一致する。この結果、上述のような重複部が生じず、キャディバッグ本体2の開口部23において、フード部3が外周側へ膨出することが抑制され、キャディバッグ1のスリム化が図られる。
【0062】
フード部3は、キャディバッグ本体2に縫着されているので、フード部3の紛失を抑制できる。また、ホック等によって収納部3をキャディバッグ本体2に取り付ける場合に比べて、取付部36をコンパクトにできるので、キャディバッグ1をスリム化しやすい。
【0063】
収納部(フード部)3は、キャディバッグ本体2の他側部(背面側)で分割されており、一側部側(フロント側)では周方向に連続しているので、ファスナ33aが一側部側まで延びて収納部が2分割されている場合に比べて、収納部3が筒状に維持されやすく(広がりにくく)、キャディバッグ本体2の周壁部22に沿わせやすい。
【0064】
収納部3の一側部側には、収納部3使用時に、把持部25を露出させるためのスリット部31e,32eが設けられているので、収納部3使用時においても把持部25ないしショルダーベルト24を使用することができ、キャディバッグ1の可搬性を向上できる。
【0065】
より詳しくは、収納部3のスリット部31e,32eは、キャディバッグ本体2のハンドル25が配置されている部分に対応する位置に設けられているので、図5及び図6に示すように、スリット部31e,32eからハンドル25が露出されるようになっている。スリット部31e,32eは、上端部25aからハンドル25の下端部25b近傍まで延びて、収納部3が周壁部22に沿いやすいため、周壁部22から膨出するハンドル25がスリット部31e,32eから外側に突出しやすくなっている。また、図1に示すように、スリット部31e,32eからショルダーベルト24を引き出して使用することもできる。
【0066】
フード開状態において、収納部(フード部)3は、キャディバッグ本体2の周壁部(円筒部)23に密着可能に取り付けられるので、フード開状態において、収納部3をキャディバッグ本体2の外周側に沿わせやすく、フード開状態におけるキャディバッグ1の外側への広がりが抑制されやすい。
【0067】
本体側収納部26は、キャディバッグ本体2の収納部3よりも底部21側に設けられているので、キャディバッグ本体2の開口部23側に本体側収納部が設けられている場合に比べて、フード開状態におけるキャディバッグ1の外側への広がりを抑制できる。言い換えると、図2に示すように、キャディバッグ本体2の周壁部22の本体側収納部26よりも上方部分には、収納部等の周壁部22から外側に突出する部分が存在しないので、フード開状態において、収納部3を周壁部22に沿わせやすく、キャディバッグ1のスリム化が図られている。
【0068】
図4に示すように、収納部3は、フード開状態で、背面側(他側部側)においてファスナ33aの一部を係合させることができるので、収納部3の取付部36側(開口部23の周囲)の広がりを抑制できる。なお、図4に二点鎖線で示されるように、ファスナ33aの係合を解除した状態で使用することもできる。ファスナ33aの係合を解除した場合には、収納部3を外側に広げることで、ゴルフで使用されるゴルフ用品をより多く収納することもできる。
【0069】
左右側面部31a,31bのフロント面側の部分には、上下方向に延びる一対の収納部用ファスナ31dが上下方向に延びるように設けられているので、図7に示すように、キャディバッグ1のフロント側に立った状態で収納部用ファスナ31dの係合及び係合解除を操作できるようになっている。一対の収納部用ファスナ31dは、上端部が下端部よりも両側面部31a,31b側に設けられているので、図6に示すように、側方からも収納部用ファスナ31dが操作できるようになっている。
【0070】
収納部3は、ナイロン製であるので、収納部3を折り曲げやすくフード閉状態においては自立させることができる。収納部3は、ポリエステル製に限らず、折り返しやすく、かつ、自立させやすい所定の剛性を備えた素材であればよい。収納部3は、例えば、表生地31がポリエステル製、裏生地32をポリウレタン製とするなど変更が可能である。
【0071】
本実施形態においては、図7に示すように、収納部用ファスナ31dが、収納部3の下端部側よりも開口部23側に配置されている構成について説明したが、これに限られるものではなく、収納部用ファスナ31dは、キャディバッグ本体2の開口部23の周方向に沿って設けられてもよいし、複数本の収納部用ファスナを配置してもよい。
【0072】
また、例えば、図7に二点鎖線で示されるように、収納部用ファスナ131dは、フード開状態において、ハンドル24と上下方向位置がオフセットして配置されていてもよい。収納部用ファスナ131dは、ハンドル24の下端よりも下方に配置されていてもよい。このように、収納部用ファスナをハンドル24とオフセットした位置に設けることで、例えば、キャディバッグ1をカート等に搭載する際に、ハンドル24にベルト等を挿通させて、キャディバッグ1をカートに保持させる場合においても、収納部用ファスナ131dがハンドル24よりも下方に配置されているので、収納部用ファスナ131dを開閉することができる。言い換えると、収納部用ファスナは、キャディバッグ1をカートに保持するためのベルトと干渉しない位置に配置されればよく、収納部用ファスナは、少なくともハンドル24のうち前記ベルトが挿通される部分と上下方向位置がオフセットしていればよい。
【0073】
本実施形態においては、収納部3がキャディバッグ本体2に縫着される構成について説明したが、収納部3は、例えば、フックやスナップボタン、ファスナ等の係合部材ないし面ファスナ等によって、キャディバッグ本体2に着脱可能に取り付けられていてもよい。フックやスナップボタンを用いる場合は、図9の縫い目Sに対応する部分にフックやスナップボタンを取り付ければよい。この場合、縫着時と同様に、取付部36のうち袋状部35に連続する側の一端部36aは、袋状部135と反対側の他端部36bよりも下方に位置する。
【0074】
例えば、図10の変形例に示されるように、収納部3は、キャディバッグ本体に取り付けられる取付部136を有する第1部分137と、第2部分135とを備え、第1部分137と第2部分135とがファスナFを介して着脱可能に構成されてもよい。第1部分137は、フード開状態において、ファスナFよりも上方の部分でキャディバッグ本体2に縫着されている。
【0075】
図10を参照すると、取付部136は、第1部分137のうち、フード開閉状態によらず、キャディバッグ本体2に密着する部分である。言い換えると、取付部136は、第1部分137のうち、第1部分137がキャディバッグ本体2に縫着された部分(縫い目S1)よりも上側の部分である。取付部136の一端部136aは、フード閉状態において袋状部135が上方に折り返されたときの折れ曲がる縫い目S1である。本変形例において、袋状部は、第2部分135と第1部分137のうち取付部分136を除く部分である。具体的には、袋状部は、第1部分137の取付部136を除く部分と、ファスナFと第2部分135とを備える。
【0076】
図10に示すように、取付部136のうち袋状部135に連続する側の一端部136aは、袋状部135と反対側の他端部136bよりも下方に位置する。フード開状態では、袋状部135は、取付部136の一端部136aから下方に向かって延び、フード閉状態では、取付部136周りに上方に折り返されて、取付部136の一端部136aから上方に向かって延びる。
【0077】
なお、本発明のキャディバッグは、上述の実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 キャディバッグ
2 キャディバッグ本体
3 収納部(フード部)
3c 下端部
21 底部
22 周壁部
23 開口部
25 ハンドル(把持部)
26 本体側収納部
31d 収納部用ファスナ
31e スリット部
32e スリット部
33a ファスナ
35 袋状部
36 取付部
36a 一端部
36b 他端部
W ゴルフクラブ
図1
図2
図3
図4
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