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特開2023-174237パラレルリンクロボット及び物品移載装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174237
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】パラレルリンクロボット及び物品移載装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20231130BHJP
   B65B 5/08 20060101ALI20231130BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B25J11/00 D
B65B5/08
B65G47/91 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086981
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北浦 寛斗
【テーマコード(参考)】
3C707
3E003
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS24
3C707BT16
3C707CV09
3C707CX01
3C707CX03
3C707CY01
3C707CY36
3C707DS01
3C707FS01
3C707FU01
3C707HS20
3C707HS27
3C707HT12
3C707HT21
3C707KS03
3C707KS16
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT18
3C707LT06
3C707LV07
3C707MT03
3C707NS02
3C707NS06
3E003AA01
3E003AB01
3E003BC01
3E003BD04
3E003CA02
3E003CB06
3E003DA06
3F072AA06
3F072KA01
3F072KD03
3F072KD23
3F072KD26
(57)【要約】
【課題】物品の移動範囲を確保しつつ、設置面積を小さくすることができるパラレルリンクロボット及びパラレルリンクロボットを用いた物品移載装置を提供する。
【解決手段】物品Obを保持して移動させるパラレルリンクロボット100である。パラレルリンクロボット100は、本体部10に径方向及び上下方向に揺動可能に支持される3個のリンク部21と、物品Obを保持するとともに各リンク部21の下端それぞれが回転可能に取り付けられる保持部30と、を有する。平面視において、2個の支持部11は、リンク部21の揺動軸Sxとリンク部21b及び21cの中心線との交点R2が中心軸Cxを中心とするピッチ円Cp上となるように配置され、残りのリンク部21aの交点R1がピッチ円Cpの内側である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持して移動させるパラレルリンクロボットであって、
本体部と、
前記本体部に径方向及び上下方向に揺動可能に支持される3個のリンク部と、
前記物品を保持するとともに各前記リンク部の下端それぞれが回転可能に取り付けられる保持部と、を有し、
前記本体部は、各前記リンク部をそれぞれ支持する3個の支持部を有し、
前記支持部は、平面視において、上下に延びる中心軸を中心とする周方向に等中心角度で配列されており、
平面視において、2個の前記支持部は、前記リンク部の揺動時の中心である揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記中心軸を中心とする同一半径のピッチ円上となるように配置され、残り1個の前記支持部は前記揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置されるパラレルリンクロボット。
【請求項2】
各前記リンク部は、
一端が前記支持部に支持される上部アームと、
前記上部アームの他端と前記保持部とを連結する下部アームと、を有し、
前記下部アームの上端は前記上部アームと、下端は前記保持部とそれぞれ回転可能に接続し、
平面視において、前記揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部に接続される前記リンク部のすくなくとも上部アームが、他の前記リンク部の前記上部アームよりも長い請求項1に記載のパラレルリンクロボット。
【請求項3】
各前記リンク部は、
前記上部アームを駆動する駆動部と、
前記駆動部の駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を有し、
全ての前記リンク部の前記駆動部は、同じ構成であり、
平面視において、前記揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部に接続される前記リンク部の前記駆動力伝達機構の減速比は、他のリンク部の前記駆動力伝達機構の減速比よりも大きい請求項2に記載のパラレルリンクロボット。
【請求項4】
平面視において、前記揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部は、前記中心軸に対して接近又は離間する方向に一定の移動範囲で移動可能であるとともに、移動範囲内の任意の位置で固定可能である請求項1から請求項3のいずれかに記載のパラレルリンクロボット。
【請求項5】
平面視において、揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部に接続される前記リンク部は、前記物品の移動方向と交差する方向に延びる請求項1から請求項3のいずれかに記載のパラレルリンクロボット。
【請求項6】
請求項5に記載のパラレルリンクロボットと、
前記パラレルリンクロボットに近接して配置されて前記物品を搬送する搬送部と、を有し、前記搬送部にて搬送される前記物品を保持し、別途設けられた収容箱に移し替える物品移載装置であって、
平面視において、前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部に接続される前記リンク部は、前記搬送部による前記物品の搬送方向に沿う方向に延びる物品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を取り扱うパラレルリンクロボット及びパラレルリンクロボットを用いた物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、作業対象物品(以下、物品とする)の三次元空間内における、移動やハンドリングにパラレルリンクロボットの使用が増えている。パラレルリンクロボットは、互いに並列に配置された複数のアームによって下端に配置される保持部を支持するパラレルリンク機構を備える。各アームは、アクチュエータによって駆動される。パラレルリンクロボットでは、アクチュエータの動作を制御することで、各アームの角度を制御することで、保持部を三次元的に移動させることが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述したパラレルリンクロボットでは、保持部で物品を保持し、保持部を移動させることで、物品の移動及びハンドリングを実行する。例えば、コンベヤの搬送方向と交差する方向に物品を移動させることができるようにパラレルリンクロボットが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-104558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパラレルリンクロボットでは、同じ形状の3本のアームが周方向に等間隔で配置されるため、可動部の移動範囲が中心軸を中心とした円形状になる。そのため、物品の移動範囲が一方向に長い場合、移動範囲の最長の長さを直径とする円形の移動範囲を有するパラレルリンクロボットを用いる必要があり、大きな設置面積が必要になる。
【0006】
そこで、本発明は、作業に必要な可動範囲を確保しつつ、従来の構成よりも設置面積を小さくできるパラレルリンクロボットを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、設置面積が小さいパラレルリンクロボットを用いることで、設置面積を小さくできる物品移載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明にかかるパラレルリンクロボットは、物品を保持して移動させる。このパラレルリンクロボット100は、本体部と、前記本体部に径方向及び上下方向に揺動可能に支持される3個のリンク部と、前記物品を保持するとともに各前記リンク部の下端それぞれが回転可能に取り付けられる保持部と、を有する。前記本体部は、各前記リンク部をそれぞれ支持する3個の支持部を有する。前記支持部は、平面視において、上下に延びる中心軸を中心とする周方向に等中心角度で配列される。平面視において、2個の前記支持部は、前記リンク部の揺動時の中心である揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記中心軸を中心とする同一半径のピッチ円上となるように配置され、残り1個の前記支持部は前記揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置される。
【0009】
上記構成のパラレルリンクロボットにおいて、各前記リンク部は、一端が前記支持部に支持される上部アームと、前記上部アームの他端と前記保持部とを連結する下部アームと、を有する。前記下部アームの上端は前記上部アームと、下端は前記保持部とそれぞれ回転可能に接続する。平面視において、前記揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部に接続される前記リンク部のすくなくとも上部アームが、他の前記リンク部の前記上部アームよりも長い。
【0010】
上記構成のパラレルリンクロボットにおいて、各前記リンク部は、前記上部アームを駆動する駆動部と、前記駆動部の駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を有する。全ての前記リンク部の前記駆動部は、同じ構成である。平面視において、前記揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部に接続される前記リンク部の前記駆動力伝達機構の減速比は、他のリンク部の前記駆動力伝達機構の減速比よりも大きい。
【0011】
上記構成のパラレルリンクロボットは、平面視において、前記揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部は、前記中心軸に対して接近又は離間する方向に一定の移動範囲で移動可能であるとともに、移動範囲内の任意の位置で固定可能である。
【0012】
上記構成のパラレルリンクロボットは、平面視において、揺動軸と前記リンク部の中心線との交点が前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部に接続される前記リンク部は、前記物品の移動方向と交差する方向に延びる。
【0013】
本発明にかかる物品移載装置は、上記構成のパラレルリンクロボットと、前記パラレルリンクロボットに近接して配置されて前記物品を搬送する搬送部と、を有する。前記物品移送装置は、前記搬送部にて搬送される前記物品を保持し、別途設けられた収容箱に移し替える。平面視において、前記ピッチ円の内側となるように配置された前記支持部に接続される前記リンク部は、前記搬送路による前記物品の搬送方向に沿う方向に延びる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるパラレルリンクロボットによれば、作業に必要な可動範囲を確保しつつ、従来の構成よりも設置面積を小さくできる。
【0015】
また、本発明にかかる物品移載装置によれば、設置面積が小さいパラレルリンクロボットを用いることで、設置面積を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明にかかるパラレルリンクロボットの正面図である。
図2図1に示すパラレルリンクロボットの平面図である。
図3図2に示すパラレルリンクロボットの可動部の底面図である。
図4図2に示すパラレルリンクロボットの可動部のIV方向から見た側面図である。
図5】パラレルリンクロボットの概略配置を示すブロック図である。
図6】物品移載装置の正面図である。
図7】物品移載装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるパラレルリンクロボット100の正面図である。図2は、図1に示すパラレルリンクロボット100の平面図である。図3は、図2に示すパラレルリンクロボット100の可動部20の底面図である。図4は、図2に示すパラレルリンクロボット100の可動部20の矢線IV方向から見た側面図である。図5は、パラレルリンクロボットの概略構成を示すブロック図である。図2では、本体部を一点鎖線で示している。
【0018】
<パラレルリンクロボット100>
パラレルリンクロボット100は、物品Obを保持して、所定の位置に配置された収容箱Tb(後述の図7参照)に移載する移載機構の一例である。図1図5等に示すように、パラレルリンクロボット100は、本体部10と、可動部20と、保持部30と、制御部40(図5参照)と、を有する。
【0019】
<本体部10>
図2に示すように、本体部10は、平面視において、円形である。本体部10の下部には、3個の支持部11が配置される。平面視において、3個の支持部11のうち2個の支持部11は、上下に延びる中心軸Cxとの距離が等しい。また、残り1個の支持部11は、他の支持部11よりも中心軸Cxからの距離が短い。なお、必要に応じて、中心軸Cxからの距離が短い支持部11を第1支持部11aとし、残りの中心軸Cxからの距離が等しい2個の支持部11を第2支持部11b、第3支持部11cとして説明する場合がある。
【0020】
支持部11には、可動部20のリンク部21が上下に揺動可能に支持される。支持部11の揺動時における中心軸を、揺動軸Sxとする。そして、平面視において、第2支持部11b及び第3支持部11cに接続される後述する第2リンク部21b及び第3リンク部21cの揺動軸Sxと、第2リンク部21b及び第3リンク部21cの後述する上アーム22の中心線との交点R2は、中心軸Cxを中心とするピッチ円Cp上に配置される。また、平面視において、第1支持部11aに接続される後述する第2リンク部21bの揺動軸Sxと、第2リンク部21bの上アーム22の中心線との交点R1は、ピッチ円Cpの内部に配置される。
【0021】
<可動部20>
可動部20は、3個のリンク部21を有する。3個のリンク部21は、平面視において中心軸Cxを中心とする周方向に等中心角度(ここでは、120度)間隔で配置される。上述のとおり、3個のリンク部21は、必要に応じ、第1支持部11aに接続される第1リンク部21a、第2支持部11bに接続される第2リンク部21b、及び、第3支持部11cに接続される第3リンク部21cに分けて説明する。
【0022】
<リンク部21>
次に、リンク部21の詳細について説明する。リンク部21は、上アーム22と、下アーム23と、駆動ヒンジ部24と、上ヒンジ部25と、下ヒンジ部26と、アクチュエータ27と、を有する。
【0023】
上アーム22は、長尺状の部材であり、駆動ヒンジ部24を介して本体部10の下部に配された支持部11に接続される。上アーム22は、支持部11に接続されることで、駆動ヒンジ部24の中心と重なる揺動軸Sxを中心に、上アーム22の先端が径方向及び上下方向に揺動する。そして、平面視において、上アーム22の中心線は、中心軸Cxと直交する線、すなわち、中心軸Cxを中心とする円の半径と重なるように配置される。
【0024】
下アーム23は、平行に並んだ2本の長尺部材を含む。下アーム23の一端(図1において上端)は、上アーム22の先端に上ヒンジ部25を介して接続される。上ヒンジ部25は、ここでは、ユニバーサルボールジョイントであり、下アーム23は、平行を保ちつつ、上アーム22に対して、径方向及び周方向に移動可能である。なお、上ヒンジ部25は、ユニバーサルボールジョイントに限定されず、径方向及び周方向に移動可能に下アーム23を上アーム22に接続することができる自在継手を広く採用することができる。
【0025】
下アーム23の他端(図1において下端)は、保持部30に下ヒンジ部26を介して接続される。下アーム23の他端は、保持部30の後述する保持部本体31の取付部311に下ヒンジ部26を介して接続される。下ヒンジ部26は、上ヒンジ部25と同様の構成を有している。つまり、下アーム23は、上アーム22に対して径方向及び周方向に移動可能であるとともに、保持部30に対して、周方向及び径方向に移動可能である。
【0026】
アクチュエータ27は、本体部10の支持部11に取り付けられる。そして、アクチュエータ27は、制御部40によって駆動制御されている。アクチュエータ27は、モータ271と、減速機272とを有する。モータ271は、ここでは、電流が供給されることで駆動する電動機であり、制御部40によって制御される。なお、モータ271は、電動機に限定されず、空圧モータであってもよい。空圧モータの場合、制御部40によって供給される空圧を調整することで、空圧モータの駆動が制御される。
【0027】
モータ271の不図示のモータシャフトは、揺動軸Sxを中心に回転可能である。モータ271のモータシャフトは、減速機272を介して駆動ヒンジ部24に接続される。モータ271の駆動力は、減速機272を介して、駆動ヒンジ部24に回転可能に支持された上アーム22に伝達される。減速機272から伝達される駆動力によって、上アーム22が駆動される。パラレルリンクロボット100では、各リンク部21に1個の、アクチュエータ27が設けられている。なお、アクチュエータ27は、モータ271の回転軸と揺動軸Sxとが重なるように、配置されているがこれに限定されず、回転軸と揺動軸Sxとがずれて(例えば、上下に)配置されてもよい。この場合、ベルト、チェーン等で駆動力を伝達してもよく、減速機272を用いて伝達するようにしてもよい。
【0028】
図1等に示すように、可動部20において、第2リンク部21b及び第3リンク部21cは、第1リンク部21aの周方向の両側に、中心軸Cxを中心とする等中心角度間隔(ここでは、120度)で配置される。
【0029】
本実施形態にかかるパラレルリンクロボット100において、各リンク部の減速機の減速比は、例えば、同じ回転数でモータ271を動作させたとき、上アーム22の先端の移動速度が略同じになるように設定する。つまり、各リンク部の減速機の減速比は、各リンク部の上アームの長さによって決定され、上アームの長さが長いほど、減速比は大きくなる。
【0030】
図4に示すとおり、第1リンク部21aの上アーム22は、第2リンク部21b及び第3リンク部21cの上アーム22よりも長い(図4参照)。そのため、第1リンク部21aの減速機272の減速比は、第2リンク部21b及び第3リンク部21cの減速機272の減速比よりも大くなるように設定される。このように構成されることで、第1リンク部21aの上アーム22の先端の移動速度を第2リンク部21b及び第3リンク部21cの上アーム22の先端の移動速度に近づけることができる。これにより、アクチュエータ27の制御を簡略化できる。上述した各リンク部の減速機の減速比の決定方法は、一例であり、これに限定されない。各リンク部の減速機の減速比は、各リンク部の設置位置、移動させる物品Obの特徴、移動する距離、方向、位置等を考慮して、設定される。
【0031】
保持部30は、保持部本体31と、吸着ユニット32とを有する。保持部本体31は、板状であり、中心軸Cxを中心に、120度回転することで重なる3回対称体である。保持部本体31は3個の取付部311を有する。3個の取付部311は、保持部本体31の外縁部に、周方向に等間隔を開けて配置されている。3個の取付部311には、それぞれ、別のリンク部21の下ヒンジ部26が配置され、下アーム23が接続される。つまり、保持部本体31には、平面視において、中心軸Cxから周方向に等間隔をなす3方向に延びるように、下アーム23が接続されている。
【0032】
保持部30は、下アーム23の移動によって、保持部本体31が水平を保った状態で、移動される。さらに説明すると、3個のリンク部21は、それぞれ、アクチュエータ27によって上アーム22を動作する。このとき、上アーム22は、上ヒンジ部25を介して下アーム23と接続されており、下アーム23は、上アーム22と連動する。また、下アーム23は、保持部本体31に下ヒンジ部26を介して接続されており、つまり、各リンク部21のアクチュエータ27を制御することで、上アーム22を動作させ、下アーム23から保持部本体31に対して力が作用する。つまり、保持部本体31には各リンク部21の下アーム23からの力が作用しており、各リンク部21の下アーム23からの力を調整することで、保持部本体31の移動が制御される。
【0033】
吸着ユニット32は、保持部本体31の下面から下方に延びる。吸着ユニット32には、吸着機構33(図5参照)が接続される。吸着機構33は、吸着ユニット32と物品Obとで密閉される空間の空気を吸引する。吸着機構33で吸着ユニット32の内部の空気を吸引することで、吸着ユニット32の内部が負圧になる。これにより、吸着ユニット32の下面は、物品Obを吸着する。また、吸着機構33による空気の吸引を停止することで、物品Obが吸着ユニット32から離れる。
【0034】
パラレルリンクロボット100は、吸着ユニット32を用いることで、物品Obを吸着して持ち上げるとともに、移動させることができる。また、保持部30を所定の位置、例えば、収容箱Tbに移動させた後、吸着機構33による空気の吸引を停止することで、物品Obを収容箱Tbに収容することができる。
【0035】
なお、本実施形態にかかるパラレルリンクロボット100では、吸着ユニット32で物品Obを吸着する。そのため、物品Obは、吸着ユニット32と接触したときに、気密性を確保できる程度に滑らかな表面を有する。なお、物品Obが、気密性を保てない粗い表面である場合、例えば、保持部30に、物品を掴む複数本の爪を有するロボットハンド機構を採用してもよい。保持部30に物品Obを確実に保持できる保持構造を有する構成を広く採用することができる。
【0036】
<制御部40>
制御部40は、パラレルリンクロボット100の各部の動作を制御する。図5に示すように、制御部40は、処理回路41と、記憶回路42とを有する。処理回路41は、各種情報を処理する回路であり、CPU、MPU等の演算回路を有する。また、処理回路41は、処理結果に基づいて、上述の各部の駆動を制御する。
【0037】
記憶回路42は、ROM、RAM等の半導体メモリー、フラッシュメモリー等の可搬性を有するメモリーおよびハードディスク等の記憶媒体を含むまたは接続される回路である。記憶回路42に制御プログラム、処理プログラム等の各種プログラムを記憶しておき、必要に応じて処理に対応したプログラムを呼び出すとともに処理回路41でプログラムを動作させて、処理を行うようにしてもよい。
【0038】
図5に示すように、制御部40には、例えば、各リンク部21のアクチュエータ27のモータ271と、吸着ユニット32の吸着機構33と、位置検出部43と、が接続される。制御部40は、モータ271の回転方向、回転速度、出力トルク等を制御する。また、制御部40は、吸着機構33を制御して、吸着ユニット32による物品Obの吸着及び脱離を行う。
【0039】
位置検出部43は、例えば、本体部10の下面に取り付けられた撮像部44を有する。撮像部44は、保持部本体31の下部に配置されて、保持部本体31の下方を撮像する。そして、撮像画像を制御部40に送り、位置検出部43は、撮像画像から物品Obの位置及び保持部30の位置を検出する。そして、位置検出部43は、物品Obの位置及び保持部30の位置を、制御部40に通知する。制御部40は、物品Ob及び保持部30の位置に基づいて、保持部30の吸着ユニット32で物品Obを保持することができるように、各リンク部21のアクチュエータ27を制御する。
【0040】
ここで、パラレルリンクロボット100の動作について説明する。パラレルリンクロボット100では、1つのリンク部21の上アーム22が下方に揺動することで、下アーム23が保持部本体31を上アーム22と反対側に押す。このとき、残りのリンク部21の上アーム22を上方に揺動させることで、保持部本体31は、下方に揺動した上アーム22と反対側に移動する。
【0041】
例えば、第1リンク部21aの上アーム22を下方に移動させ、第2リンク部21b及び第3リンク部21cの上アーム22を上方に移動させる。このとき、保持部本体31は、第1リンク部21aの下アーム23によって押されるとともに、第2リンク部21b及び第3リンク部21cの下アーム23によって引かれる。そのため、保持部本体31は、第1リンク部21aと反対側に押される。
【0042】
また、第2リンク部21b及び第3リンク部21cの上アーム22の揺動量を変更することで、保持部本体31の移動方向及び移動時の角度を調整することが可能である。このように、パラレルリンクロボット100では、3個のリンク部21それぞれの上アーム22の揺動量を調整することで、保持部本体31を移動範囲Mv1内の任意の位置に移動させることができる。なお、移動範囲とは、保持部30が円滑に、且つ、安定した姿勢を維持して移動できる範囲であり、換言すると、物品を保持して物品の移載を確実に行うことができる範囲である。移動範囲Mv1は、リンク部21の形状によって決まる。より詳しくは、パラレルリンクロボット100において、下アーム23が長いほど、平面視における移動範囲Mv1が広くなる。また、上アーム22が長いほど、上下方向の移動可能な範囲を広げることが可能である。
【0043】
例えば、従来のパラレルリンクロボットのように、支持部が中心軸から等距離であるとともに周方向に等間隔に配置される場合、保持部の平面視における移動範囲は、中心軸Cxを中心とする円形である。
【0044】
本実施形態のパラレルリンクロボット100では、平面視において、第1支持部11aの交点R1が、ピッチ円Cpよりも内側に配置されている。そのため、第1支持部11aに支持される第1リンク部21aが保持部本体31を押して移動させることができる範囲は、第1リンク部21aの上ヒンジ部25が中心軸Cxに近づく方向に狭くなる。つまり、平面視における、パラレルリンクロボット100の移動範囲Mv1は、第2リンク部21bの中心線と交差する方向に長い長円形状となる(図7参照)。
【0045】
そして、本実施形態のパラレルリンクロボット100では、中心軸Cxを中心とする中心角度が等しくなるように、リンク部21を配置している。そのため、可動部20全体で見たとき、3個のリンク部21が周方向にバランスよく配置されている。そのため、移動範囲Mv1の端部であっても、可動部20の剛性が低下しにくい。これにより、保持部30が移動範囲Mv1の辺縁部に移動しても、振動したり、傾いたりしにくい。
【0046】
本実施形態にかかるパラレルリンクロボット100では、第1リンク部21aを中心軸Cxに近づけた構成であるため、平面視において、第1リンク部21aの延びる方向の幅が狭くなる。一方で、平面視における移動範囲Mv1の第1リンク部21aの延びる方向と直交する方向の長さは、全てのリンク部を周方向に等間隔で、中心から等距離となるように配置した構成に比べて遜色がない。そのため、本実施形態のパラレルリンクロボット100では、従来のパラレルリンクロボット100と同等に物品Obの移載が可能であるとともに、設置面積を小さくできる。
【0047】
<物品移載装置200>
図6は、物品移載装置200の正面図である。図7は、物品移載装置200の平面図である。物品移載装置200は、例えば、工場、倉庫等において個包装された物品Obを搬送し、搬送されてきた物品Obを箱状の収容箱Tbに移載する物品移載装置200が用いられる。つまり、物品移載装置200は、物品搬送部300によって搬送される物品Obを、箱搬送部400によって搬送される収容箱Tbに収容して、搬出(出荷)する装置である。物品移載装置200は、物品Obを搬送する物品搬送部300と、収容箱Tbを搬送する箱搬送部400と、複数機(ここでは、4機)のパラレルリンクロボット100と、を有する。
【0048】
<物品搬送部300>
本実施形態の物品移載装置200において、物品Obは、物品搬送部300にて搬送方向Tr1に搬送される。ここで、物品搬送部300について説明する。物品搬送部300は、搬送方向Tr1に沿って延びる。物品搬送部300は、例えば、ベルトコンベヤである。
【0049】
物品搬送部300は、ベルト301を有する搬送路Bwの上面に搬送された物品Obを搬送する。このベルト301によって搬送された物品Obは、パラレルリンクロボット100によって、保持された後、箱搬送部400にて搬送される収容箱Tbに収容される。1つの収容箱Tbに、複数個の物品Obが収容される。物品Obの移載の動作の詳細については、後述する。
【0050】
<箱搬送部400>
箱搬送部400は、例えば、配送業者の配送に適した形状の収容箱Tbを搬送する。なお、収容箱Tbは、配送業者の配送に限定されず、別途、設けられた搬送装置による搬送に適した形状の箱であってもよい。本実施形態の物品移載装置200において、収容箱Tbとしては、例えば、段ボール等の紙で形成された蓋つきの箱を用いる。
【0051】
箱搬送部400は、箱体である収容箱Tbを搬送可能なコンベヤであり、ここでは、チェーンコンベヤである。しかしながら、箱搬送部400は、チェーンコンベヤに限定されず、収容箱Tbを正確かつ確実に搬送できる搬送機構を広く採用することができる。
【0052】
物品移載装置200において、箱搬送部400の収容箱Tbを搬送する搬送方向Tr2は、物品搬送部300の搬送方向Tr1に沿って延びる方向である。このようにすることで、物品Obを収容箱Tbに移載する移載領域を搬送方向に沿って複数設けることができ、物品の移載の効率を高めることができる。
【0053】
図6図7に示すように、物品移載装置200では、物品搬送部300及び箱搬送部400の両方に沿って、複数機のパラレルリンクロボット100が並んで配置されている。パラレルリンクロボット100は、移動範囲Mv1が物品搬送部300の搬送方向Tr1及び箱搬送部400の搬送方向Tr2と交差する方向である。そして、物品搬送部300によって搬送される物品Ob及び箱搬送部400によって搬送される収容箱Tbが、各パラレルリンクロボット100の移動範囲Mv1を横切るように配置される。これにより、パラレルリンクロボット100が、物品搬送部300によって搬送される物品Obを確実に取り上げることができる。また、パラレルリンクロボット100が物品Obを収容箱Tbに確実に収容させることができる。
【0054】
ここで、パラレルリンクロボット100の配列方向について説明する。4個のパラレルリンクロボット100は、平面視において、第1リンク部21aが物品搬送部300の搬送方向Tr1及び箱搬送部400の搬送方向Tr2に沿って配置される。上述のとおり、パラレルリンクロボット100の平面視の設置範囲は、第1リンク部21aが延びる方向がその方向に直交する方向に比べて狭い。そのため、上述のように4個のパラレルリンクロボット100を配列することで、物品Obを収容箱Tbに移載するための領域を小さくすることができる。これにより、物品移載装置200の平面視の設置面積を小さくすることができる。
【0055】
なお、4個のパラレルリンクロボット100は、すべて同じ方向に配列されることが好ましい。4個のパラレルリンクロボット100を全て同じ方向に配列することで、隣り合うパラレルリンクロボット100のリンク部21同士が干渉しにくい。これにより、パラレルリンクロボット100同士の接触を抑制し、接触による不具合の発生を抑制できる。
【0056】
図7に示すように、物品搬送部300において、物品Obは、ベルト301よりも大幅に小さい。そして、物品Obは、搬送方向Tr1及び搬送方向Tr1に直交する方向にランダムに配置される場合がある。このような場合でも、パラレルリンクロボット100は、位置検出部43によって、物品搬送部300上の物品Obの位置を正確に検出する。その物品の位置と物品搬送部300の搬送速度に合わせてアクチュエータ27を制御することでリンク部21を動作させ、保持部30で物品Obの動きをとらえる。そして、保持部30の吸着ユニット32を物品Obに接触させるとともに、空気を吸引して吸着ユニット32で物品Obを吸着して保持する。
【0057】
そして、アクチュエータ27を制御することでリンク部21を動作させ、物品Obを持ち上げる。そして、持ち上げた保持部30を収容箱Tbに移動させ、収容箱Tbの内部に収容する。
【0058】
物品移載装置200において、収容箱Tbに所定数の物品Obを収容した後、収容箱Tbの蓋を閉じる。そして、箱搬送部400によって、収容箱Tbを装置の外部に搬出する。
【0059】
なお、収容箱Tbに対する物品Obの収容数が少数の場合、箱搬送部400が収容箱Tbを搬送している状態で、物品Obを収容箱Tbに収容するようにしてもよい。このとき、収容箱Tbに物品Obを収容するときに、収容箱Tbの搬送速度を低下させるようにしてもよい。また、収容箱Tbに対する物品Obの収容数が多数の場合、箱搬送部400を停止させた状態で、物品Obを収容箱Tbに収容した後、収容箱Tbを搬送させてもよい。また、箱搬送部400は、収容箱Tbの蓋部(不図示)を閉じるための閉じ機構を備えていてもよい。
【0060】
本実施形態のパラレルリンクロボット100は、平面視における、一方向の長さが長い移動範囲Mv1を維持しつつ、設置面積を小さくできる。そのため、パラレルリンクロボット100の設置場所の制限が少なくなる。また、設置面積を小さくしたことで、パラレルリンクロボット100を用いた装置、例えば、物品移載装置200の装置全体の設置面積を小さくすることができる。なお、本実施形態において、パラレルリンクロボット100を用いる装置として、物品移載装置200を挙げているが、これに限定されない。例えば、物品Obを搬送部に搬入する搬入装置、物品Obを処理装置に移動させる移動装置等、搬送装置に物品Obを移動させる、搬送装置から物品Obを移動させる等の装置として広く採用することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の物品移載装置は、例えば、飲料、食品等の物品を、包装箱へ詰める箱詰装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 本体部
11 支持部
11a 第1支持部
11b 第2支持部
11c 第3支持部
20 可動部
21 リンク部
21a 第1リンク部
21b 第2リンク部
21c 第3リンク部
22 上アーム
23 下アーム
24 駆動ヒンジ部
25 上ヒンジ部
26 下ヒンジ部
27 アクチュエータ
271 モータ
272 減速機
30 保持部
31 保持部本体
311 取付部
32 吸着ユニット
33 吸着機構
40 制御部
41 処理回路
42 記憶回路
43 位置検出部
44 撮像部
100 パラレルリンクロボット
200 物品移載装置
300 物品搬送部
301 ベルト
Bw 搬送路
400 箱搬送部
Tb 収容箱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7