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特開2023-174255移動端末、伝送速度の予測方法、プログラム、および、学習データの共有システム
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  • 特開-移動端末、伝送速度の予測方法、プログラム、および、学習データの共有システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174255
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】移動端末、伝送速度の予測方法、プログラム、および、学習データの共有システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20231130BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20231130BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20231130BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20231130BHJP
   H04M 1/725 20210101ALI20231130BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W88/06
H04W48/16 132
H04W64/00
H04M1/725
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087002
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 武久
【テーマコード(参考)】
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD20
5K067DD30
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE34
5K067FF18
5K067FF23
5K127BA03
5K127GA22
5K127HA09
5K127JA05
5K127JA14
5K127JA23
(57)【要約】
【課題】時刻または/および位置に基づいて伝送速度を予測する。
【解決手段】移動端末1は、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データ16を収集して分析する分析部11と、分析部11が分析した学習データ16に基づき、通信の上りまたは下りの伝送速度を予測する予測部12と、予測部12が予測した伝送速度を出力する出力部13と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データを収集して分析する分析部と、
前記分析部が分析した学習データに基づき、通信の上りまたは下りの伝送速度を予測する予測部と、
前記予測部が予測した伝送速度を出力する出力部と、
を備える移動端末。
【請求項2】
前記出力部は、前記予測部が予測した伝送速度を表示する、
請求項1の移動端末。
【請求項3】
前記予測部は、伝送速度の低下の要因を予測し、
前記出力部は、前記要因に対する改善案を出力する、
請求項1の移動端末。
【請求項4】
前記出力部は、前記予測部が予測した伝送速度にて、使用可能なアプリケーションの提案を出力する、
請求項1から3のうち何れか1項に記載の移動端末。
【請求項5】
前記出力部は、前記予測部が予測した伝送速度では使用に適さないアプリケーションの提案を出力する、
請求項1から3のうち何れか1項に記載の移動端末。
【請求項6】
前記出力部は、前記アプリケーションが使用に適さない要因を出力する、
請求項5に記載の移動端末。
【請求項7】
他の移動端末との間で前記学習データを共有する共有部、
を更に備える請求項1から3のうち何れか1項に記載の移動端末。
【請求項8】
通信の上りまたは下りの伝送速度を測定する測定部と、
前記予測部が予測した伝送速度が、前記測定部が測定した伝送速度と乖離しているとき、その旨を基地局の管理者に通知する通知部と、
を更に備える請求項1から3のうち何れか1項に記載の移動端末。
【請求項9】
夫々異なる通信方式で通信する複数の通信モジュールと、
通信方式ごとに、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データを収集して分析する分析部と、
前記分析部が分析した学習データに基づき、通信方式ごとに通信の上りまたは下りの伝送速度を予測する予測部と、
通信方式の切り替えにより伝送速度の改善が予測される場合に、前記複数の通信モジュールのうち伝送速度の改善が予測される通信方式で通信する通信モジュールに切り替える切替部と、
を備える移動端末。
【請求項10】
前記予測部が予測した伝送速度に応じて、通信プロトコルを変更する、
請求項9に記載の移動端末。
【請求項11】
分析部が、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データを収集して分析するステップと、
予測部が、前記分析部が分析した前記学習データに基づき、通信の上りまたは下りの伝送速度を予測するステップと、
出力部が、前記予測部が予測した伝送速度を出力するステップと、
を含む伝送速度の予測方法。
【請求項12】
コンピュータに、
通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データを収集して分析する手順、
分析した前記学習データに基づき、通信の上りまたは下りの伝送速度を予測する手順、
予測した伝送速度を出力する手順、
を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項1に記載の複数の移動端末から、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む前記学習データを収集する収集部と、
前記収集部が収集した前記学習データを統合する統合部と、
前記統合部が統合した前記学習データを前記複数の移動端末に配信する配信部と、
を備える通信システム。
【請求項14】
収集部が、請求項1に記載の複数の移動端末から、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む前記学習データを収集するステップ、
統合部が、前記収集部が収集した前記学習データを統合するステップと、
配信部が、前記統合部が統合した前記学習データを前記複数の移動端末に配信するステップと
を含む学習データの共有システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末、伝送速度の予測方法、プログラム、および、学習データの共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンに代表される携帯端末は3G(第3世代)以前の携帯電話の表示を踏襲し、電波強度の受信レベルに応じてアンテナ受信レベルを表示する仕組みである。つまり携帯端末は、通話が主であり、繋がりやすさに意味があった。しかしながら4G(第4世代)から、sub6/ミリ波を用いる5G(第5世代)への通信手段の進化に伴い、通話以上にデータ量を受信または送信することが多くなっている。また、公的ネットワークでは、4Gに加えて、地域限定の5Gまたは、私営のローカルな5G等より高速かつ低遅延を謳う通信網が整備されている。そして、ユーザのニーズに合わせてそれらの回線網を使用することを前提としたアプリケーションも整備されてきている。
【0003】
特許文献1には、各移動物体の予測移動経路と、各移動物体の大きさとに基づいて、通信エリアの通信品質分布を予測する発明が記載されている。特許文献2には、予測誤差分布および予測値に基づいて、将来時刻において通信障害が発生する可能性を示すリスク値を取得する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-197622号公報
【特許文献2】特開2021-129206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動端末では、電波強度が十分でもアンテナとの位置関係(近すぎるとか)によるマルチパス等の影響で送受信スループットが出ない場合がある。基地局に対する端末の同時接続数や基地局から公の光ファイバー網を経由するネットワーク経路や負荷の影響により、移動端末は、ユーザが期待した性能(スループットや低遅延性能)を享受することが困難な場合もある。
【0006】
そこで、本発明は、時刻または/および位置に基づいて伝送速度を予測することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の上記課題は、下記の構成により解決される。
(1) 通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データを収集して分析する分析部と、
前記分析部が分析した学習データに基づき、通信の上りまたは下りの伝送速度を予測する予測部と、
前記予測部が予測した伝送速度を出力する出力部と、
を備える移動端末。
【0008】
(2) 前記出力部は、前記予測部が予測した伝送速度を表示する、
請求項1の移動端末。
【0009】
(3) 前記予測部は、伝送速度の低下の要因を予測し、
前記出力部は、前記要因に対する改善案を出力する、
請求項1の移動端末。
【0010】
(4) 前記出力部は、前記予測部が予測した伝送速度にて、使用可能なアプリケーションの提案を出力する、
請求項1から3のうち何れか1項に記載の移動端末。
【0011】
(5) 前記出力部は、前記予測部が予測した伝送速度では使用に適さないアプリケーションの提案を出力する、
請求項1から3のうち何れか1項に記載の移動端末。
【0012】
(6) 前記出力部は、前記アプリケーションが使用に適さない要因を出力する、
請求項5に記載の移動端末。
【0013】
(7) 他の移動端末との間で前記学習データを共有する共有部、
を更に備える請求項1から3のうち何れか1項に記載の移動端末。
【0014】
(8) 通信の上りまたは下りの伝送速度を測定する測定部と、
前記予測部が予測した伝送速度が、前記測定部が測定した伝送速度と乖離しているとき、その旨を基地局の管理者に通知する通知部と、
を更に備える請求項1から3のうち何れか1項に記載の移動端末。
【0015】
(9) 夫々異なる通信方式で通信する複数の通信モジュールと、
通信方式ごとに、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データを収集して分析する分析部と、
前記分析部が分析した学習データに基づき、通信方式ごとに通信の上りまたは下りの伝送速度を予測する予測部と、
通信方式の切り替えにより伝送速度の改善が予測される場合に、前記複数の通信モジュールのうち伝送速度の改善が予測される通信方式で通信する通信モジュールに切り替える切替部と、
を備える移動端末。
【0016】
(10) 前記予測部が予測した伝送速度に応じて、通信プロトコルを変更する、
請求項9に記載の移動端末。
【0017】
(11) 分析部が、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データを収集して分析するステップと、
予測部が、前記分析部が分析した前記学習データに基づき、通信の上りまたは下りの伝送速度を予測するステップと、
出力部が、前記予測部が予測した伝送速度を出力するステップと、
を含む伝送速度の予測方法。
【0018】
(12) コンピュータに、
通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データを収集して分析する手順、
分析した前記学習データに基づき、通信の上りまたは下りの伝送速度を予測する手順、
予測した伝送速度を出力する手順、
を実行させるためのプログラム。
【0019】
(13) 請求項1に記載の複数の移動端末から、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む前記学習データを収集する収集部と、
前記収集部が収集した前記学習データを統合する統合部と、
前記統合部が統合した前記学習データを前記複数の移動端末に配信する配信部と、
を備える通信システム。
【0020】
(14) 収集部が、請求項1に記載の複数の移動端末から、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む前記学習データを収集するステップ、
統合部が、前記収集部が収集した前記学習データを統合するステップと、
配信部が、前記統合部が統合した前記学習データを前記複数の移動端末に配信するステップと
を含む学習データの共有システム。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、時刻または/および位置に基づいて伝送速度を予測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】通信システムの概略を示す構成図である。
図2】或る居室の伝送速度ヒートマップである。
図3】或る居室の電波強度のヒートマップである。
図4】或る場所への訪問者数とスループットの関係を示すグラフである。
図5】第1実施形態の移動端末を示す機能ブロック図である。
図6】移動端末のハードウェア構成を示す図である。
図7】伝送速度の予測処理のフローチャートである。
図8】移動端末の表示画面を示す図である。
図9】第2実施形態の移動端末を示す機能ブロック図である。
図10】サーバを示す機能ブロック図である。
図11】サーバのハードウェア構成を示す図である。
図12A】伝送速度の予測処理のフローチャートである。
図12B】伝送速度の予測処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、通信システムの概略を示す構成図である。
通信システムは、基地局3と通信可能な複数の移動端末1と、この基地局3と、基地局3に接続されて移動端末1に学習データを配信するサーバ2と、ネットワーク9を介して通信可能なアプリケーションサーバ6を含んで構成される。
【0024】
比較例において移動端末1は、電波強度(RSRP: Reference Signal Received Power)を基準にアンテナレベルを表示し、電波品質や伝送速度に関する表示は行わない。しかし、移動端末1上で動作するアプリケーションが普及するにつれて、通話以外に大量データを受信(ダウンロード)する機会が増えている。このような場合、ユーザは、大量データのダウンロードに時間が掛かっている理由を意識することが無かった。
【0025】
4G(第4世代)の移動端末の通信では、通話と、アプリケーション等のリアルタイム性を必要としないデータのダウンロードが主であった。低遅延性が謳われている5Gの普及に伴い、リアルタイム性を必要とするデータについて、ダウンロードとアップロードの両方の性能が求められるようになっている。
【0026】
その際、今までの指標である電波強度によるものだけではなく、受信電波強度自体の最適化、5G基地局を含むネットワークの最適化と使用方法やタイミングが重要になってきている。なお、基地局と端末間では、ネットワークスライシングなどリソースを最適化する手法/案などが策定されている。
【0027】
図2は、或る居室5の伝送速度のヒートマップである。
居室5のうち位置52に、ミリ波の基地局のアンテナが設置されている。繋がり易く伝送速度が高い箇所は、濃いハッチングで示されている。繋がりにくく伝送速度が低い箇所は、薄いハッチングで示されている。
【0028】
端末が1台の場合、伝送速度は、アンテナの設置場所と端末の位置との条件に依存し、測定時刻に依存することはあまりない。よって、各端末の位置と伝送速度情報とを学習することで、端末の位置に基づいて高い再現性で伝送速度を予測することができる。
【0029】
図3は、或る居室5の電波強度のヒートマップである。
図3は、図2と同一の居室5にて、位置52に設置されたミリ波の基地局のアンテナから送信される電波の強度を示すヒートマップである。図2図3を比較すると、電波強度が良好なところは伝送速度が高い傾向はあるものの、位置51のように、所定の電波強度を有している場所でありながら、数メートル移動するたけで伝送速度が変動する場所がある。
【0030】
図4は、或る場所への訪問者数と伝送速度の関係を示すグラフである。
その場所が混雑すればするほど、基地局3に対して、より多くの移動端末1が同時に接続する可能性が高くなり、その場所における伝送速度が低下する。基地局3の場所辺りの伝送速度性能は、その場所に位置する移動端末1の台数の逆数となる。つまり、その場所における移動端末1の台数のグラフを反転したものが、その場所における伝送速度性能となる。
【0031】
移動端末1で動作するアプリケーションによっては、インターネット上のサーバ2にアクセスするものがある。例えばポケモンGo(登録商標)、または、位置情報に連携するアプリケーションで場所によりトラフィックが発生するものなどである。その場合、移動端末1からサーバ2までの経路のトラフィックにより、伝送速度のパフォーマンスが変化する。
【0032】
このような場合、移動端末1は、アプリケーション動作時の時間情報、GPS(Global Positioning System)による位置情報、伝送速度(スループット)を取得し、学習データ16を蓄積する。この学習データ16により、移動端末1は、位置と時間と、そのアプリケーションの種別に基づき、伝送速度を予測することができる。
【0033】
《第1の実施形態》
伝送速度は、位置情報によって決定される。そして、伝送速度は、その位置の基地局と通信する端末数の逆数で決定される。第1の実施形態の移動端末は、時刻情報および、実際の伝送速度情報との対応を学習することで、通信することなく、現状の伝送速度予測値を表示し、ユーザに通信方法やアプリを選択させると共に、消費電力辺りの伝送速度や利用効率を向上させるものである。
【0034】
図5は、第1実施形態の移動端末1を示す機能ブロック図である。
移動端末1は、機能部として、分析部11と、予測部12と、出力部13と、切替部14と、学習データ16とを含んで構成される。
【0035】
分析部11は、通信時における測位情報または/および時刻情報と、その状況の伝送速度情報を含む学習データ16を収集して分析する機能部である。予測部12は、学習データ16に基づき、通信の上りまたは下りの伝送速度を予測する機能部である。出力部13は、予測部12が予測した伝送速度、または、伝送速度の低下要因を出力する機能部である。
【0036】
切替部14は、通信方式の切り替えにより伝送速度の改善が予測される場合に、図6に示す5G通信部105および4G通信部106の通信モジュールのうち、伝送速度の改善が予測される通信方式で通信する通信モジュールに切り替える機能部である。
【0037】
学習データ16は、通信時における位置の測位情報または/および時刻情報と、その状況における伝送速度情報との関係を学習したデータである。学習データ16は更に、通信時における電波強度情報を含んでいてもよい。
【0038】
図6は、移動端末1のハードウェア構成を示す図である。
移動端末1は、CPU(Central Processing Unit)101と、表示部102と、操作部103と、GPSユニット104と、5G通信部105と、4G通信部106と、記憶部107とを含んで構成される。
【0039】
CPU101は、中央処理装置であり、例えば記憶部107に格納された制御プログラム1072を実行することで、図5に示す各機能部を具現化する。またCPU101は、記憶部107に格納されたアプリケーションプログラム1071を実行する。
【0040】
表示部102は、例えば液晶ディスプレイであり、文字や図形や画像を表示するものである。操作部103は、例えばタッチパネルであり、入力された位置情報を入力するものである。表示部102と操作部103は、タッチパネルディスプレイであってもよい。
【0041】
GPSユニット104は、GPS電波を受信して位置を測位するものである。
5G通信部105は、第5世代の通信規格に準拠した通信モジュールである。4G通信部106は、第4世代の通信規格に準拠した通信モジュールである。
記憶部107は、例えばフラッシュメモリであり、制御プログラム1072と、アプリケーションプログラム1071と、学習データ16とを格納する。
【0042】
図7は、伝送速度の予測処理のフローチャートである。
最初、分析部11は、通信方式ごとに、通信時における測位情報または/および時刻情報と、伝送速度情報との対応を含む学習データ16を収集して分析する(ステップS10)。つまり分析部11は、位置と時刻と、5G(第5世代)の通信規格における伝送速度との対応を収集し、4G(第4世代)の通信規格における伝送速度との対応を収集する。
【0043】
そして予測部12は、この学習データ16に基づき、通信方式ごとに上りまたは下りの伝送速度を予測する(ステップS11)。
【0044】
ステップS12において、予測部12は、現在通信している通信方式の伝送速度が所定値よりも低下することを予測したか否かを判定する。予測部12は、伝送速度が所定値よりも低下すると予測したならば(Yes)、ステップS13に進み、伝送速度が所定値よりも低下しないと予測したならば(No)、図7の処理を終了する。
【0045】
ステップS13にて、予測部12は、通信方式ごとに伝送速度の低下要因を予測する。そして、ステップS14にて、予測部12は、通信方式の切り替えで伝送速度が改善されるか否かを判定する。予測部12は、通信方式の切り替えで伝送速度が改善されると判定したならば(Yes)、ステップS15に進み、通信方式の切り替えでも伝送速度が改善されないと判定したならば(No)、図7の処理を終了する。
【0046】
ステップS15にて、切替部15は、伝送速度の改善が予測される通信方式の通信モジュールに切り替える。そして出力部13は、この伝送速度では使用に適さないアプリケーションの提案を出力すると(ステップS16)、図7の処理を終了する。
【0047】
図8は、移動端末1の表示画面を示す図である。
この移動端末1の表示部102には、画面4が表示されている。この画面4には、伝送速度アイコン41と、場所警告42と、時刻警告43が表示されている。
【0048】
伝送速度アイコン41は、アップロード速度とダウンロード速度を示すアイコンである。なお、筒形状から上側に延びる線は、アップロード速度を示す。筒形状から下側に延びる線は、ダウンロード速度を示す。場所警告42は、現在の場所が伝送速度の低下の要因であることを示す警告である。時刻警告43は、現在の時刻が伝送速度の低下の要因であることを示す警告である。なお出力部13は、伝送速度の低下の要因に加えて、その要因の改善案として、「○○メートル北方向に移動してください」などを通知してもよい。
【0049】
《第1の実施形態の効果》
移動端末は、使用時の学習データとして、自身の位置と、その時刻と、電波強度と、伝送速度(アップロード/ダウンロード)を収集分析する。これにより、通信するよりも前にスループットを予測して、ユーザに対応策を提案したり、内部処理を最適化する。これにより、ユーザ利便性を向上させるとともに、無駄な通信モジュールへの通電を最小限に抑制することで電力消費を低減させることができる。
【0050】
《第2の実施形態》
第2の実施形態の移動端末とサーバとを備えるシステムは、時刻情報および、実際の伝送速度情報との対応を学習した学習データを複数の移動端末間で共有することで、より正確な伝送速度を予測する。そして、伝送速度の測定値と予測値を比較して、測定値と予測値とが乖離しているときに、移動端末または基地局の故障を警告する。
【0051】
図9は、第2実施形態の移動端末1Aを示す機能ブロック図である。
第2実施形態の移動端末1Aは、第1実施形態の移動端末1と同様な機能部に加えて、共有部17と、通知部18と、測定部19とを備えている。
【0052】
測定部19は、通信の上りまたは下りの伝送速度を測定する。測定部19が測定した伝送速度と、予測部12が予測した伝送速度との乖離を判定することで、基地局3の故障または移動端末1の故障を検知可能である。
【0053】
共有部17は、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データ16を、他の移動端末1との間で共有する。具体的にいうと、共有部17は、学習データ16を基地局3のサーバ2に送信し、このサーバ2から学習データ16の配信を受け取る。これにより、複数の移動端末1が収集した学習データを統合して活用できるので、伝送速度の予測精度が向上する。
【0054】
通知部18は、予測部12が予測した伝送速度が、測定部19が測定した伝送速度と乖離しているとき、その旨を基地局3の管理者にメールなどで通知する。これにより、基地局3の管理者は、基地局3の設備の故障をいち早く検知可能である。
【0055】
図10は、サーバ2を示す機能ブロック図である。
サーバ2は、機能部として、収集部21と、統合部22と、配信部23とを含んで構成される。このサーバ2は、複数の移動端末1の学習データ16を共有させる機能を有している。
【0056】
収集部21は、複数の移動端末1から、通信時における測位情報または/および時刻情報と伝送速度情報の対応を含む学習データ16を収集する。これにより、移動端末1は、各位置情報と時刻情報とを網羅的に収集した学習データを活用できる。
【0057】
統合部22は、収集部21が収集した学習データ16を統合する。配信部23は、統合部22が統合した学習データ16を各移動端末1に配信する。このように、複数の移動端末1が学習した学習データ16を収集・統合して、各移動端末1に配信することで、より精度よく伝送速度を予測できる。
【0058】
図11は、サーバ2のハードウェア構成を示す図である。
サーバ2は、CPU201と、RAM202と、ROM203と、通信部204と、記憶部205とを備えている。記憶部205は、サービスプログラム2051を格納している。
【0059】
CPU201は、中央処理装置であり、サービスプログラム2051を実行することにより、図10の各機能部を具現化する。
RAM202は、揮発性メモリであり、サービスプログラム2051の各変数などが格納される。ROM203は、不揮発性メモリであり、例えばBIOS(Basic I/O System)などを格納する。
【0060】
通信部204は、ネットワークインタフェースカードであり、ネットワーク9を介して他の装置と通信する。記憶部205は、例えばハードディスクやフラッシュメモリなどであり、サービスプログラム2051を格納する。
【0061】
図12A図12Bは、伝送速度の予測処理のフローチャートである。
最初、分析部11は、通信方式ごとに、通信時における測位情報または/および時刻情報と、伝送速度情報との対応を含む学習データ16を収集して分析する(ステップS20)。つまり分析部11は、位置と時刻と、5G(第5世代)の通信規格における伝送速度との対応を収集し、4G(第4世代)の通信規格における伝送速度との対応を収集する。
【0062】
共有部17は、他の移動端末との間で学習データ16を共有する(ステップS21)。なお、本実施形態では、サーバ2を仲介として学習データ16を共有しているが、ピア・ツー・ピアで学習データ16を共有してもよく、限定されない。
そして予測部12は、この学習データ16に基づき、通信方式ごとに上りまたは下りの伝送速度を予測する(ステップS22)。
測定部19は、通信方式ごとに上りまたは下りの伝送速度を測定する(ステップS23)。
【0063】
ステップS24において、通知部18は、伝送速度の予測値と測定値が乖離しているか否かを判定する。通知部18は、伝送速度の予測値と測定値が乖離しているならば(Yes)、ステップS25に進み、伝送速度の予測値と測定値が乖離していないならば(No)、ステップS26に進む。
【0064】
ステップS25において、通知部18は、伝送速度の予測値と測定値が乖離していることを基地局3の管理者に通知する。
【0065】
ステップS26にて、予測部12は、現在通信している通信方式の伝送速度が所定値よりも低下することを予測したか否かを判定する。予測部12は、伝送速度が所定値よりも低下すると予測したならば(Yes)、ステップS27に進み、伝送速度が所定値よりも低下しないと予測したならば(No)、図12Bの処理を終了する。
【0066】
ステップS27にて、予測部12は、通信方式ごとに伝送速度の低下要因を予測する。そして、ステップS28にて、予測部12は、通信方式の切り替えで伝送速度が改善されるか否かを判定する。予測部12は、通信方式の切り替えで伝送速度が改善されると判定したならば(Yes)、ステップS29に進み、通信方式の切り替えでも伝送速度が改善されないと判定したならば(No)、図12Bの処理を終了する。
【0067】
ステップS29にて、切替部15は、伝送速度の改善が予測される通信方式の通信モジュールに切り替える。そして出力部13は、この伝送速度では使用に適さないアプリケーションの提案を出力すると(ステップS30)、図12Bの処理を終了する。
【0068】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)~(c)のようなものがある。
【0069】
(a) 移動端末の出力部は、アプリケーションが使用に適さない要因を出力する。アプリケーションが使用に適さない要因とは、例えば、伝送速度がどのくらい不足するかという情報などである。
(b) 移動端末の出力部は、アプリケーションが使用に適さないと判断した状況を出力する。
【0070】
(c) 移動端末の切替部は、予測部が予測した伝送速度に応じて、通信プロトコルを変更してもよい。通信プロトコルの変更とは、例えばデータを再送する通信プロトコルからデータを再送しない通信プロトコルへの変更である。
【符号の説明】
【0071】
1 移動端末
101 CPU
102 表示部
103 操作部
104 GPSユニット
107 記憶部
1071 アプリケーションプログラム
1072 制御プログラム
11 分析部
12 予測部
13 出力部
14 切替部
16 学習データ
17 共有部
18 通知部
19 測定部
2 サーバ
21 収集部
22 統合部
23 配信部
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 通信部
205 記憶部
2051 サービスプログラム
3 基地局
41 伝送速度アイコン
42 場所警告
43 時刻警告
5 居室
6 アプリケーションサーバ
9 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B