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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174261
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ノック式ボールペン
(51)【国際特許分類】
   B43K 7/02 20060101AFI20231130BHJP
   B43K 24/08 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B43K7/02
B43K24/08 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087016
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 敬幸
(72)【発明者】
【氏名】間野 大貴
【テーマコード(参考)】
2C350
2C353
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350HA08
2C350KC05
2C350KC08
2C350KC14
2C353HC04
2C353HG04
(57)【要約】
【課題】インクが使い終わった際に、直ちに替芯としての新しい筆記リフィールの交換を可能にすることで、継続して筆記を可能にするノック式ボールペンを提供すること。
【解決手段】軸筒2内に同一の外形形状を有する複数の筆記リフィール14が、各筆記リフィール同士が軸線方向に当接した状態で収容されると共に、ノック操作によって前記各筆記リフィールが同一方向に移動して、先頭の筆記リフィールの筆記部17を、口先部3から出没可能にするノック操作機構11が備えられる。各筆記リフィール14を構成するインク収容管15の外周面には、それぞれ二次元コード24aが施されていることが望ましい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒内に同一の外形形状を有する複数の筆記リフィールが、各筆記リフィール同士が軸線方向に当接した状態で収容されると共に、ノック操作によって前記各筆記リフィールが同一方向に移動して、先頭の筆記リフィールの筆記部を、口先部から出没可能にするノック操作機構を備えたことを特徴とするノック式ボールペン。
【請求項2】
前記各筆記リフィールを構成するインク収容管の外周面には、それぞれ二次元コードが施されていることを特徴とする請求項1に記載のノック式ボールペン。
【請求項3】
前記各筆記リフィールは、インク収容管の前端部に圧入される継手部材を介して筆記部が取り付けられると共に、インク収容管の後端部には尾栓が圧入により装着され、
前記継手部材におけるインク収容管への圧入部と、前記尾栓におけるインク収容管への圧入部とは、同一の外形形状を構成していることを特徴とする請求項1に記載のノック式ボールペン。
【請求項4】
前記軸筒内の後部に収容される筆記リフィールの筆記部が、当該筆記リフィールの直前に位置する筆記リフィールの後部内に、または前記ノック操作機構を構成する回転子内に挿入されて配置されたことを特徴とする請求項1に記載のノック式ボールペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸筒内に複数の筆記リフィールを、軸線方向に当接させて収容したノック式ボールペンに関する。
【背景技術】
【0002】
軸筒内に筆記リフィールを収容し、この筆記リフィールの先端部に配置された筆記部(ボールペンチップ)を、軸筒の先端部から出没可能にしたノック式ボールペンが知られており、その一例が特許文献1に開示されている。
この例に示すノック式ボールペンは、軸筒内に1本の筆記リフィールが収容される構成であり、筆記リフィールのインクを使い終った時には、新しい筆記リフィールに交換することで、継続して筆記が可能となる。しかし、新しい筆記リフィールを交換用に常備しているユーザは少なく、継続した筆記が一時的に不可能となる場合がある。
【0003】
一方、軸筒の両端部にそれぞれの筆記部を突出させた状態で装着し、二本の筆記リフィールの互いの後端部を向かい合わせるようにして、軸筒内に収容した両頭式のボールペンが、特許文献2に開示されている。
この特許文献2に開示された両頭式のボールペンによると、例えばインクの色を異ならせて使い分けること、或いは筆記ボールの外径を互いに異ならせることで、描線幅を選択的に変更可能であることが記載されている。
【0004】
さらに、二本のノック式ボールペンの軸筒を連結部材によって直線状に連結することで、全長の長い筆記具にすると共に、連結部材を外して各ボールペンを分割することで、それぞれに全長の短い筆記具を単独で利用可能にするボールペンが特許文献3に開示されている。
このボールペンによると、連結部材を利用して全長の長い筆記具を構成した場合には、後側ボールペンのノック操作による筆記部の前進動作に連動させて、前側ボールペンにノック操作を伝達し、結果として前側ボールペンの筆記部を突出させるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-155426号公報
【特許文献2】特開2001-80285号公報
【特許文献3】特開2006-305835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記した特許文献2に示す両頭式のボールペンは、前記したとおり、インク色を異ならせて使い分けたり、筆記ボールの外径を異ならせることにより、描線幅を選択可能にすることを目的とするものである。したがって、特許文献2には両頭式のボールペンを採用するにあたり、一方の筆記リフィールのインクが使い終わった時に、他方の筆記リフィールを使い始めようとする筆記リフィールの交換利用手段については、開示も示唆もなされていない。
【0007】
一方、特許文献3に示すノック式ボールペンも、二本のボールペンを直線状に連結させるか否かにより、全長の長さを選択可能にする筆記具を得ようとするものである。
そして、特許文献3に示す構成によると、連結部材を利用して全長の長い筆記具を構成する場合には、短小に形成された各ノック式ボールペンが有するノック操作による筆記部の出没機構をそれぞれ介して、各ノック式ボールペンの筆記リフィールの移動を連動させる必要がある。
これによると、それぞれのノック式ボールペンに備えられた戻しばねを連動させて収縮させる強い力のノック操作が必要となり、筆記部の出没機構の連動動作に不具合を発生させる要因となる。
【0008】
そこでこの発明は、例えば外出先などにおいてインクが使い終わった際に、直ちに替芯としての新しい筆記リフィールの交換を可能にすることで、継続して筆記を可能にするユーザの利便性に配慮したノック式ボールペンを提供しようとするものである。
さらにこの発明は、ノック操作のフィーリングが変わることなく、ノック操作に基づく筆記部の出没動作の信頼性を確保したノック式ボールペンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るノック式ボールペンは、軸筒内に同一の外形形状を有する複数の筆記リフィールが、各筆記リフィール同士が軸線方向に当接した状態で収容されると共に、ノック操作によって前記各筆記リフィールが同一方向に移動して、先頭の筆記リフィールの筆記部を、口先部から出没可能にするノック操作機構を備えたことを特徴とする。
【0010】
この場合、前記各筆記リフィールを構成するインク収容管の外周面には、それぞれ二次元コードが施されていることが望ましい。
また、前記各筆記リフィールは、インク収容管の前端部に圧入される継手部材を介して筆記部が取り付けられると共に、インク収容管の後端部には尾栓が圧入により装着され、前記継手部材におけるインク収容管への圧入部と、前記尾栓におけるインク収容管への圧入部とは、同一の外形形状を構成していることが望ましい。
【0011】
そして、好ましい実施の形態においては、前記軸筒内の後部に収容される筆記リフィールの筆記部が、当該筆記リフィールの直前に位置する筆記リフィールの後部内に、または前記ノック操作機構を構成する回転子内に挿入されて配置される。
【発明の効果】
【0012】
前記した構成のノック式ボールペンによると、軸筒内に同一の外形形状を有する複数の筆記リフィールが、軸線方向に当接した状態で収容されているので、先頭の筆記リフィールのインクが使い終わった際には、後部側に収容された筆記リフィールと入れ替えることで、筆記を継続することができる。
この場合、筆記リフィールを前後に入れ替えても、複数の筆記リフィールによる有効長さは同一であり、ノック操作によって各筆記リフィールは軸筒内を往復移動する。したがって、筆記リフィールを前後に入れ替えても、ノック操作のフィーリングが変わることなく、新たな先端筆記部を口先部から出没させることが可能な動作の信頼性に優れたノック式ボールペンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明に係るノック式ボールペンの外観構成を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図2図1に示すノック式ボールペンの中央断面図であり、(A)は筆記リフィールを同一方向に向けて収容した状態を示し、(B)は筆記リフィールを逆方向に向けて収容した状態を示す。
図3】筆記リフィールの単品構成を示し、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は正面図、(D)は中央断面図である。
図4】継手部材の単品構成を示し、(A)は前方から見た斜視図、(B)は後方から見た斜視図、(C)は正面図、(D)は中央断面図である。
図5】尾栓の単品構成を示し、(A)は後方から見た斜視図、(B)は前方から見た斜視図、(C)は平面図、(D)は正面図、(E)は中央断面図である。
図6】二本の筆記リフィールを同一方向に向けて連結した状態を示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に係るノック式ボールペンについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1はノック式ボールペンの外観構成を、平面図および正面図で示している。また、図2はこのノック式ボールペンの中央断面図であり、(A)は二本の筆記リフィールの筆記部を同一方向に向けて軸線方向に当接させた状態で軸筒内に収容した状態を示し、(B)は筆記リフィールの筆記部を互いに逆方向に向けて当接させた状態で軸筒内に収容した状態を示している。
【0015】
このノック式ボールペン1の外郭を構成する軸筒2は、樹脂素材により円筒状に構成されており、この実施の形態においては、軸筒2の先端部に軸筒2とは別部材の円錐状に成形された口先部(口プラ)3が、ねじ結合により取り付けられている。なお、前記口先部3は、前記軸筒2の先端部に一体に成形した構成も採用することができる。
また、軸筒2の前半部には、ゴムなどの弾性素材によるグリップ部材4が、軸筒2を捲装した状態で取り付けられている。
【0016】
クリップ5を一体に成形した円筒状の軸体6が、軸筒2の後端部に装着されており、この軸体6の一部は、図2に示すように軸筒2の後半部の内周面に沿って挿入され、軸筒2に嵌合されて取り付けられている。
そして、軸筒2の後端部と前記軸体6との間には、軸筒2または軸体6とは異なった着色がなされた飾りリング7が装着されて、軸筒2の後部にアクセントを加えている。
さらに、軸体6の後端部には棒状のノック操作体8が、軸方向にスライド可能に取り付けられており、このノック操作体8は、後で説明する回転子9などと共に、ノック操作機構11を構成するものとなる。
【0017】
図2に示すように軸筒2内には、筆記リフィール14が収容されており、図示例においては先に説明したとおり、同一の外形形状を有する二本の筆記リフィール14が、各筆記リフィール同士が軸線方向に当接した状態で収容されている。
すなわち、図2(A)は各筆記リフィール14の筆記部(ボールペンチップ)17が、いずれも前方に向けて収容された例を示しており、前方の筆記リフィール14の筆記部17は、口先部3に形成された開口3aから突出して、筆記が可能な状態を示している。
【0018】
また、図2(B)は各筆記リフィール14の筆記部17が、互いに逆方向に向けて収容された例を示しており、前方の筆記リフィール14の筆記部17は、図2(A)と同様に口先部3に形成された開口3aから突出して、筆記が可能な状態を示している。
なお、軸筒2の前端部に螺着された口先部3内には軸スプリング12が収容されており、この軸スプリング12によって、前後の筆記リフィール14には、前記したノック操作機構11に向かう付勢力が与えられている。
【0019】
図3に筆記リフィール14の単品構成が示されている。この筆記リフィール14は、円筒状に成形された例えばポリプロピレンなどの樹脂素材によるインク収容管15の前端部に、継手部材16が圧入されて取り付けられている。また、継手部材16を介して、継手部材16の先端部には金属素材により形成された前記した筆記部(ボールペンチップ)17が嵌合されて取り付けられている。
筆記部(ボールペンチップ)17の先端部には周知のとおり、筆記ボール17a〔図3(D)参照〕が取り付けられており、この例においては筆記部17内には、筆記ボール17aを先端方向に押圧するスプリングを備えた押し棒が収容されている。
【0020】
一方、インク収容管15の後端部には、尾栓18が圧入されて取り付けられており、この尾栓18には、前記した筆記部(ボールペンチップ)17が挿通できる軸孔18a〔図3(D)参照〕が施されている。
なお、筆記リフィール14のインク収容管15内には、インク21とインク追従体(フォロア)22が貯留されており、これらのインク21およびインク追従体22の好ましい組成などについては後で説明する。
【0021】
加えて、筆記リフィール14には、図3(C)に示すように、インク収容管15の周側面にシール24が貼り付けられ、このシール24には、筆記リフィール14の注文サイト(オンラインショップ)などを著す二次元コード24aが施されていることが望ましい。
この場合、前記二次元コード24aは、インク収容管15の周側面に沿って施されている。したがって、この二次元コード24aを、正面から向かって正常に読み取りができるようにするには、インク収容管15の曲率に合わせて、周方向に向かって情報パターンを引き伸ばして印刷することが必要となる。
【0022】
図4は、前記した継手部材16の単品構成を示している。
この継手部材16は、例えば樹脂素材により、長手方向で径が異なる円筒状を構成しており、その前端部には前記した筆記部17を嵌合により取り付けることができる嵌合孔16aが形成されている。また継手部材16の後端部付近には鍔部16bが形成されて、この鍔部16bの後部側の外径が若干太く成形されている。この外径が太い符号16cで示す領域〔図4(C)参照〕が、前記したインク収容管15への圧入部となる。すなわち継手部材16は、前記鍔部16bにインク収容管15の前端部が当接した状態で、インク収容管15に圧入されて保持される。
そして、継手部材16の軸心に沿って、前記嵌合孔16aに連通する開口16dが形成されており、この開口16dを介してインク収容管15内に貯留されたインク21が、筆記部17に向かって送られることになる。
【0023】
図5は、前記した尾栓18の単品構成を示している。
この尾栓18は、前記した継手部材16と同様の樹脂素材により形成されており、円筒状に形成された尾端部に鍔部18bが形成されている。そして、鍔部18bが形成された軸心部分に、筆記部(ボールペンチップ)17が挿通できる前記した軸孔18aが形成されている。
なお、前記軸孔18aに連通する若干内径が大きな空気置換孔18dが軸心に沿って形成されており、その外周面である符号18cで示す領域〔図5(D)参照〕が、インク収容管15の後端部側への圧入部となる。すなわち尾栓18は、前記鍔部18bがインク収容管15の後端部が当接した状態で、インク収容管15に圧入されて保持される。
この場合、図4(C)と図5(D)にそれぞれ示すように、継手部材16におけるインク収容管への圧入部16cと、尾栓18におけるインク収容管への圧入部18cは、同一の外形形状を構成していることが望ましい。
【0024】
図6は、二本の筆記リフィール14の筆記部17を同方向に向けて、前後に接続した状態を示しており、この接続形態は図2(A)に示したノック式ボールペン1と同一の構成となる。
この場合、図6(C)に示すように、後の筆記リフィール14の筆記部17が、前の筆記リフィール14の尾栓18に施された軸孔18aに挿入され、後の筆記リフィール14の継手部材16の先端部が、前の筆記リフィール14の尾栓18の尾端部に当接した状態になされる。
【0025】
一方、図2(B)に示したノック式ボールペン1においては、前後の筆記リフィール14の尾栓18が互いに当接し、後の筆記リフィール14の筆記部17が、前記した回転子9に施された軸孔9aに挿入され、後の筆記リフィール14の継手部材16の先端部が、回転子9の前端部に当接した状態になされる。
すなわち、この実施の形態によると、軸筒2内に挿入される後部側の筆記リフィール14の向きが、図2(A)または図2(B)のいずれであっても、筆記リフィール14の有効長は変わることはない。したがって、次に説明するノック操作機構11の動作による口先部3からの筆記部17の出没動作は、常に円滑に安定したものとなる。
【0026】
この実施の形態に採用されるノック操作機構11は、カーンノック機構として知られた周知技術であり、図2に示すノック操作体8、回転子9、軸体6の内周面に施された図示せぬ複数のカム部材、および軸スプリング12によって構成される。
このノック操作機構11によると、ノック操作体8のノック操作を受けて、前後の筆記リフィール14は回転子9と共に前進し、前側筆記リフィールの筆記部17は口先部3より突出する。この状態で回転子9側に設けられたカム面が、軸体6側に設けられたカム部材に係止して、筆記部17は口先部3より突出した状態を維持し、筆記が可能な状態となる。
【0027】
ノック操作体8の再度のノック操作を受けると、回転子9側のカム面が軸体6側のカム部材の間に落ち込むため、軸スプリング12の付勢作用を受けて前後の筆記リフィール14と共に、回転子9は後退する。これにより、口先部3から突出していた筆記部17は口先部3内に収容され、同時にノック操作体8は軸体6の後部に突出した状態に復帰する。
以上のようにして、ノック操作体8のノック操作の繰り返しにより、筆記部17は口先部3からの出没動作が繰り返されるものとなる。
【0028】
前記した筆記リフィール14に収容される好ましい筆記用インク21およびインク追従体22としては、次に示すものを挙げることができる。
インク21を油性のインク組成物とした場合は、主溶剤(全溶剤の50重量%以上)としては、25℃での蒸気圧が0.001mmHg以上のアルコール、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる溶剤を用いる。このように蒸気圧の高い特定の溶剤を使用することで、筆跡の滑らかな筆感に優れた油性ボールペンを提供することを可能にする。
油性のインク組成物はこのように蒸気圧の高い特定の溶剤を使用した場合に特有の問題を解決することを目的として開発されたものである。主溶剤とは全溶剤の50重量%以上含まれることをいうが、必要に応じて70重量%以上、さらには80重量%以上、特に90重量%以上で用いることができる。
【0029】
具体的にアルコール類としては、炭素数が2以上の脂肪族アルコールであり、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、n-ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2-エチルブタノール、n-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、2-オクタノール、2-エチルヘキサノール、3,5,5-トリメチルヘキサノール、ノナノール、n-デカノール、ウンデカノール、n-デカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコールやその他多種の高級アルコール等が挙げられる。
【0030】
また、多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、3-メチル-1,3-ブンタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の分子内に2個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコールが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテルジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0031】
以上挙げた溶剤の中で特に好ましいのは、炭素数2~7のグリコールエーテルが特に効果が解りやすい。また、安全性及び経口毒性等の点から好ましくはエチレングリコール誘
導体等以外の有機溶剤を使用した方が好ましい。
また、以上に挙げた溶剤の他にリン酸エステルとアミン系化合物の混合物との溶解性や発揮性能を妨げない範囲で以下に挙げる溶剤を添加することも可能である。
それらの例として、多価アルコール類誘導体があり、ソルビタン脂肪酸系、ポリグリセリン高級脂肪酸系、ショ糖脂肪酸系、プロピレングリコール脂肪酸系等の誘導体も挙げられる。
エステル類の溶剤としてはたとえば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、トリメチル酢酸プロピル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、カプリル酸トリグリセライド、クエン酸トリブチルアセテート、オキシステアリン酸オクチル、プロピレングリコールモノリシノレート、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、3-メトキシブチルアセテート等様々なエステルが挙げられる。
【0032】
また、分子内に水酸基を持たない溶剤ジエーテルやジエステルは具体的には、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
着色剤(色材)としては、限定されないが、顔料あるいは顔料と染料併用の形で使用することが好ましい。顔料を用いることで堅牢性に優れる効果がある。顔料としてはカーボンブラックやフタロシアニン系やモノアゾ、ジスアゾ、縮合アゾ、キレートアゾ等の不溶性アゾ系と難溶性アゾ、可溶性アゾ等の溶性アゾを含むアゾ系やキナクリドン系やジケトピロロピロール系やスレン系やジオキサジン系及びイソインドリノン系等の有機顔料を使用することができる。
特にカーボンブラックに関しては、なるべく比表面積の小さなものを使用すべきであり、BET法にて測定した値で100m/g以下のものが好ましい。具体的には、三菱化成製カーボンブラックとして#33、#32、#30、#25、CF9等があり、キャボット社製カーボンブラックとしてREGAL(400R,500R,330R,300R),ELFTEX(8,12),STERLING R等があり、デグサ社製としてPrintex(45,40,300,30,3,35,25,200,A,G),SB(250,200)等があり、コロンビアン社製としてRAVEN(1040,1035,1020,1000,890,890H,850,500,450,420,410,H20,22,16,14)等がある。
【0033】
また、顔料としては、用いる有機溶剤に溶解しにくく分散後の平均粒径が30nm~700nmとなるものが好ましい。顔料の配合量は、インク組成物全量に対し、0.5~25重量%、好ましくは0.5~20重量%までの範囲で必要に応じて配合することができる。
使用できる顔料は、単独又は2種以上の混合で使用することができる。また、必要に応じて無機顔料を用いた分散体や染料等も分散安定性に悪影響を与えない程度で添加することができる。染料を用いると発色性に優れる効果がある。さらに、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレフィン系モノマーを重合して得られる樹脂エマルションや、インク中では膨潤して不定形となる中空樹脂エマルション、又は、これらのエマルション自身を着色剤で染着して得られる染着樹脂粒子からなる有機多色顔料等が挙げられる。
使用する色材が顔料である場合は、顔料分散インク組成物を製造するには、従来から公知の種々の方法が採用できる。たとえば、上記各成分を配合し、ディゾルバー等の撹拌機により混合撹拌することによって、また、ボールミルやロールミル、ビーズミル、サンドミル、ピンミル等によって混合粉砕した後、遠心分離や濾過によって顔料の粗大粒子、及び未溶解物、混入固形物を取り除くことによって容易に得ることができる。
【0034】
これらの顔料に対して併用する染料としては分散系を破壊しないものであれば特に制限なく使用することができる。それらの染料としては、通常の染料インク組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料等や通常の顔料インク組成物に用いられる無機及び有機顔料の中から任意のものを使用することができる。その配合量は、組成物全量当たり1~50重量%の範囲で選ばれる。
油性インク組成物とした場合には樹脂を使用する。油性インク組成物に用いる樹脂は、粘度調整やペン先での摩耗改良などを目的として添加されるが、顔料を含む場合にはその分散剤としても使用される。このような樹脂としては、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン-アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂がある。
これらの樹脂の配合量としては、1~30重量%がよく、より好ましくは1~20重量%である。その配合量が1%重量未満であると粘度調整やペン先での摩耗が困難となり、30重量%超だと樹脂以外の原材料が配合できなくなったり、書き味に悪影響を及ぼすことがある。
【0035】
好ましい実施態様としてインク組成物の色材に顔料を使用する場合、用いる分散剤としては上記に挙げたような樹脂の中から顔料を分散できるものを選択して使用することができ、活性剤やオリゴマーでも目的にあえばどのようなものでも種類を問わない。具体的な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン-マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘導体、スチレン-アクリル酸共重合体等の合成樹脂やPO・EO付加物やポリエステルのアミン系オリゴマー等が挙げることができる。
また、リン酸エステル中和物を含む。リン酸エステル中和物はボール表面のインク凝着物を取り除きやすくする効果を奏し、それによって書き出し時の筆記カスレを抑制する効果を与え、かつポリプロピレングリコールと協働して短時間あるいは長時間の書き出し時の筆記カスレを抑制し、さらに低速で筆記した時のインク転写性を潤滑にする効果を与えるものである。
【0036】
使用されるリン酸エステルは、通常、リン酸モノエステル、ジエステル及び微量のトリエステルからなるものであり、エステル構造も芳香族や脂肪族の2系統がある界面活性剤が主である。リン酸エステル構造を形成し得るアルキル基に関しては、天然及び合成の高級アルコール等から得られるアルキル基を導入している。炭素数10~20のアルキル基と0~50のポリオキシエチレン鎖を有するリン酸エステルが使用される。特に炭素数15~20のアルキル基と0~4個のポリオキシエチレン鎖を有するようなリン酸エステルが好適である。また、中和するためのアミン系物質としてはアルカノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、両性界面活性剤、脂肪アミン系物質などのアミン系化合物で中和することが望ましい。
これらの添加量に関しては、中和による混合物で、インク組成物全量に対し、0.01重量%~15重量%を配合することが好ましいが、より好適には0.1~10重量%である。また、特に好適には0.1~8重量%である。これらは0.01重量%未満だとボール表面のインク凝着物を取り除きやすくする効果が劣り、また15重量%を超えて配合すると描線品位としてボールからはじかれ過ぎて描線割れが生じやすくなる等の不具合を起こしやすくなってしまう場合がある。
【0037】
また、ポリプロピレングリコールを添加することが望ましい。添加により、書き出し時のカスレを生じにくくする効果がある。この現象は金属ボールに対してインクのハジキにより得られるカスレ抑制にさらにインク被膜を形成しにくくすることにより、1~20分の短時間でのカスレも抑制することも可能とする。
ポリプロピレングリコールの分子量は、できるだけ大きい方が添加量を少なくできて描線乾燥性が高くできるので好ましい。分子量(計算分子量)1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、4,000以上がさらに好ましい。
ポリプロピレングリコールの添加量は0.01重量%~10重量%が好適であり、特に好ましくは0.1~10重量%である。この範囲において顔料を使用した乾固しやすいインクは金属ボール上でインクの皮膜形成ができにくくなるため、書き出し時のカスレを生じにくくする効果が大きい。
この添加量の範囲外として0.1重量%未満だとその効果が乏しく、ボールが回転しなくなる場合があり、また10重量%を越えると使用する原材料にもよるが、インク中の不揮発成分が多くなることで描線の乾燥性を低下させたり、裏抜けしやすくなってしまう場合がある。
さらに、必要に応じて、インクに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防黴剤、界面活性剤、潤滑剤及び湿潤剤等を配合することができる。特に脂肪酸などは、潤滑剤として好適に使用できる。また、乾燥抑制用添加剤として製品特性上、悪影響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等も配合することができる。
【0038】
一方、インク追従体22は、油性インクの後端に備え、インク収容管の後端から流出するのを防止するための栓の役割を果たす。インク追従体は、40℃における粘度が200mPa・s以上の合成油であるポリ-α-オレフィンを1種又は2種以上含有し、その総量が全成分の80質量%以上であり、25℃における粘度が1000~40,000mPa・s、剪断速度1~10s-1における剪断減粘指数が0.95以上であり、剪断減粘付与剤を含まないものが好ましい。
【0039】
以上説明したこの発明に係るノック式ボールペンによると、軸筒内に同一の外形形状を有する二本の筆記リフィールが収容されているので、先頭の筆記リフィールのインクが使い終わった際には、後部側に収容された筆記リフィールと入れ替えることで、筆記を継続することができる。
また、筆記リフィールのインク収容管に、例えばオンラインショップの情報等を含む二次元コードが施されることで、新たなインク収容管の発注および補充を円滑に行うことが可能なビジネスモデルを構築することに寄与できるものとなる。
【0040】
なお、以上説明したノック式ボールペンにおいては、軸筒内に同一形状の二本の筆記リフィールを備えた例を示しているが、これは必要に応じて三本以上の複数の筆記リフィールを備えたノック式ボールペンとすることも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ノック式ボールペン
2 軸筒
3 口先部(口プラ)
3a 開口
4 グリップ部材
5 クリップ
6 軸体
7 飾りリング
8 ノック操作体
9 回転子
9a 回転子の軸孔
11 ノック操作機構
12 軸スプリング
14 筆記リフィール
15 インク収容管
16 継手部材
16a 嵌合孔
16b 鍔部
16c 圧入部
16d 開口
17 筆記部(ボールペンチップ)
17a 筆記ボール
18 尾栓
18a 軸孔
18b 鍔部
18c 圧入部
18d 空気置換孔
21 インク
22 インク追従体(フォロア)
24 シール
24a 二次元コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6