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特開2023-174266包装用容器及び包装用容器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174266
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】包装用容器及び包装用容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/34 20060101AFI20231130BHJP
   B65D 25/02 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B65D1/34
B65D25/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087022
(22)【出願日】2022-05-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和4年2月16日から18日に開催された「スーパーマーケット・トレードショー2022」に出展 2.令和4年3月14日から6月30日まで開催されている自社常設展示会場に展示 3.令和4年3月18日にインターネットサイト(Youtube)において動画配信 (URL「https://www.youtube.com/watch?v=Mgt5cyK7Kc8」) 4.令和4年2月16日に発行した「CHUO NewCollection 中央化学株式会社 新商品シリーズ特別号2022」の29ないし30頁に掲載 5.令和4年5月27日に頒布した「製品説明書」に掲載 6.令和4年4月28日に自社のウェブサイトに掲載 (URL「https://www.chuo-kagaku.co.jp/products_/catalog2022/」) 7.令和4年4月28日に発行した「CHUO GUIDE 2022-2023 中央化学 食品包装容器 総合ガイド」の181頁に掲載 8.令和4年5月16日に自社のウェブサイトに掲載 (URL「https://www.chuo-kagaku.co.jp/exhibition2022_afterreport/biomass/index.html」) 9.令和4年5月16日に発行した「中央化学 展示商談会2022 出展報告書」の13頁に掲載 10.令和4年5月13日に頒布した「鮮魚秋冬 定番提案書 ~簡便・鍋・おつまみ~」の1、3ないし6頁に掲載 11.令和4年5月13日に頒布した「鮮魚秋冬 定番提案書 ~刺身・柵~」の1、3、9、10頁に掲載
(71)【出願人】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】守田 藍子
【テーマコード(参考)】
3E033
3E062
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA22
3E033BB08
3E033DA08
3E033DD01
3E033DD09
3E033EA09
3E033FA04
3E033GA03
3E062AA03
3E062AB14
3E062AC02
3E062DA06
3E062JA01
3E062JA07
3E062JB04
3E062JC02
3E062JD10
(57)【要約】
【課題】単一の製品によって様々な印象や雰囲気を演出することができる包装用容器及び包装用容器の製造方法を提供する。
【解決手段】包装用容器1において、各柄24,25,26,27の種類は、少なくとも、対向した部位である第一側面部位18と第二側面部位19とで異なり、第三側面部位20と第四側面部位21とで異なっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部の周縁から立ち上がると共に互いに向きの異なっている複数の部位が周方向に連接された側面部を有する基材層と、柄を有して前記基材層に貼り付けられたフィルム層と、を有し、前記部位に対する前記柄の位置が、前記部位毎に予め定められた位置に配置されている包装用容器であって、
前記柄の種類が、対向した前記部位毎に異なり、
隣接した前記柄が、種類ごとに区切られている、
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
高さ方向に対する前記側面部の角度が、120度以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載された包装用容器。
【請求項3】
対向した前記部位同士における前記柄の色の割合が、同じ又は同程度である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された包装用容器。
【請求項4】
前記フィルム層が、前記底面部において予め定められた位置に配置される単一の注目表示を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された包装用容器。
【請求項5】
前記側面部の上端部にある開口部に着脱される蓋を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された包装用容器。
【請求項6】
請求項1に記載された包装用容器を製造する方法であって、
前記包装用容器に対する前記柄の位置が、予め定められた位置に配置されるように、前記柄をラミネートフィルムに印刷する手順と、
前記ラミネートフィルムを基材シートに貼り付けて成型シートを作製する手順と、
前記包装用容器に対する前記柄の位置が、予め定められた位置に配置されるように、前記成型シートに対する成型位置を決定する手順と、を含む、
ことを特徴とする包装用容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器及び包装用容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サラダや惣菜等の調理済食品は、スーパーマーケット等で販売される際、プラスチック製の容器に収容された状態で陳列されている。容器は、調理済食品の印象や売り場の雰囲気を演出するために、様々な柄(がら)で彩られている。柄は、容器が金型によって成型される前に印刷され、具体的には、予め柄が印刷されたラミネートフィルムが、シート状の基材に貼り付けられる。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載された包装用容器(以下、「公知文献1発明」と記す)は、縦長の基材に二色の縞模様が描かれており、縞(しま)の境界部分が含まれるように、容器が成型される。したがって、例えば、四角い容器であれば、片方の縞が左右の側壁に配置され、もう片方の縞が底と上下の側壁に配置される。公知文献1発明におけるラミネートフィルムは、「幅定位置」印刷仕様と称されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-165477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、公知文献1発明は、柄が単調であるうえ、何れの方向から視しても、柄による演出に大差がない。すなわち、内容物によって容器の底は覆われることから、視認し得るのは左右の側壁か上下の側壁であるところ、左右の側壁には片方の縞、上下の側壁にはもう片方の縞が見えるだけである。したがって、仮に、演出の変化が求められた場合、異なった柄の容器に交換せざるを得ず、新たな柄の創作、容器の作成、交換に要する作業、既存の容器の在庫等、経済的な不利益が生じる。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。本発明は、単一の製品によって様々な印象や雰囲気を演出することができる包装用容器及び包装用容器の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る包装用容器は、底面部の周縁から立ち上がると共に互いに向きの異なっている複数の部位が周方向に連接された側面部を有する基材層と、柄を有して前記基材層に貼り付けられたフィルム層と、を有し、前記部位に対する前記柄の位置が、前記部位毎に予め定められた位置に配置されている包装用容器であって、前記柄の種類が、対向した前記部位毎に異なり、隣接した前記柄が、種類ごとに区切られている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る包装用容器は、高さ方向に対する前記側面部の角度が、120度以下である、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る包装用容器は、対向した前記部位同士における前記柄の色の割合が、同じ又は同程度である、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る包装用容器は、前記フィルム層が、前記底面部において予め定められた位置に配置される単一の注目表示を有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る包装用容器は、前記側面部の上端部にある開口部に着脱される蓋を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る包装用容器の製造方法は、前記包装用容器に対する前記柄の位置が、予め定められた位置に配置されるように、前記柄をラミネートフィルムに印刷する手順と、前記ラミネートフィルムを基材シートに貼り付けて成型シートを作製する手順と、前記包装用容器に対する前記柄の位置が、予め定められた位置に配置されるように、前記成型シートに対する成型位置を決定する手順と、を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る包装用容器は、底面部の周縁から立ち上がると共に互いに向きの異なっている複数の部位が周方向に連接された側面部を有する基材層と、柄を有して基材層に貼り付けられたフィルム層とを有し、部位に対する柄の位置が、部位毎に予め定められた位置に配置されたものであって、柄の種類が、対向した部位毎に異なり、隣接した柄が、種類ごとに区切られている。すなわち、側面部の各部位に対する柄の位置が、部位毎に予め定まっているため、部位毎に異なった柄を選択することが可能である。例えば、各部位の柄が異なっていれば、部位毎に印象や雰囲気が生じるため、包装用容器が置かれる向きに応じて利用者への魅せ方が変わる。したがって、単一の製品で、様々な印象や雰囲気を演出することができる。
【0014】
本発明に係る包装用容器は、高さ方向に対する側面部の角度が、120度以下である。高さ方向に対する側面部の角度が所定の範囲であれば、部位毎の柄を効果的に魅せることができる。すなわち、利用者の視線方向における手前側の部位が、適度に立っていれば、内面の柄が見え辛いため、奥側の部位の柄から生じる印象や雰囲気のみが、利用者に伝わる。なお、高さ方向に対する側面部の角度が過度に大きい場合、側面部が過度に倒れて容器全体が扁平に近いものとなることから、利用者から、すべての部位の柄が見えるため、容器の向きが変わっても魅せ方がさほど変わらない。
【0015】
本発明に係る包装用容器は、対向した部位同士における柄の色の割合が、同じ又は同程度である。したがって、対向する部位の柄同士における色彩のバランスが保たれ、容器全体として、色彩のバランスが適当となる。なお、部位同士における色の割合が過度に異なると、容器全体としての柄のバランスが崩れる場合がある。
【0016】
本発明に係る包装用容器は、フィルム層が、底面部において予め定められた位置に配置される単一の注目表示を有している。すなわち、予め任意に定められ位置に、例えば、バイオマスを活用していることを証明するためのマークやイベントロゴ等の注目表示を配置することができる。本発明は、側面部の定まった位置に柄が配置されるものであるため、フィルム層が基材層に貼り付けられたときに、底面部等の定まった位置に注目表示が配置されるように、フィルム層に対する注目表示の位置を選択することができる。
【0017】
本発明に係る包装用容器は、側面部の上端部にある開口部に着脱される蓋を有している。開口部が蓋で閉じられていても、柄の見え方は変わりがなく、単一の製品で、様々な印象や雰囲気を演出することができる。
【0018】
本発明に係る包装用容器の製造方法は、包装用容器に対する柄の位置が、予め定められた位置に配置されるように、柄をラミネートフィルムに印刷する手順と、ラミネートフィルムを基材シートに貼り付けて成型シートを作製する手順と、包装用容器に対する柄の位置が、予め定められた位置に配置されるように、成型シートに対する成型位置を決定する手順とを含んでいる。したがって、側面部の各部位に対する柄の位置を、部位毎に予め定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態に係る包装用容器の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る包装用容器の上面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る包装用容器の側面図である。
図4図4は、本発明の第一実施例に係る包装用容器の柄を上方から視した柄説明図である。
図5図5は、本発明の第二実施例に係る包装用容器の柄を上方から視した柄説明図である。
図6図6は、本発明の第二実施形態に係る包装用容器の斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る包装用容器の製造方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下は、本発明の実施形態に係る包装用容器及び包装用容器の製造方法の説明である。本実施形態に係る包装用容器は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリエチレン(PE:polyethylene)等のオレフィン系樹脂等、ポリスチレン(PS:polystyrene)等のスチレン系樹脂等であるプラスチック製である。これらを素材とする合成樹脂の基材シートに、柄が印刷されたラミネートフィルムが貼り付けられることで成型シートが作製され、この成型シートから所望の器(うつわ)の形が成型される。したがって、完成した包装用容器は、基材シートから成型された基材層と、この基材層に貼り付けられている柄付きのフィルム層とを有している。
【0021】
ここで、基材シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよい。基材シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.25~1ミリメートルであればよく、好ましくは0.3~0.8ミリメートル、さらに好ましくは0.35~0.6ミリメートルである。発泡倍率が1.5~3倍の低発泡樹脂製の場合は、0.5~3ミリメートルであればよく、好ましくは1~2ミリメートルである。また、ポリスチレンペーパー(PSP)のような発泡倍率が5~15倍の高発泡樹脂製の場合は1.5~5ミリメートルであればよく、好ましくは2~4ミリメートルであり、より好ましくは2.5~3.5ミリメートルである。なお、発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡シート)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。
【0022】
ラミネートフィルムは、例えば、無延伸ポリスチレンフィルム、二軸延伸ポリスチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム等である。柄は、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷又はフレキソ印刷等の方法によってラミネートフィルムに印刷される。基材シートをラミネートフィルムに貼り付ける方法は、例えば、所定の接着剤を介して両者を圧着するドライラミネート法、両者を重ね合わせて熱溶着する共押出法、熱ロールを通して両者を熱溶着させる熱ラミネート法等である。また、成型は、例えば、真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等の方法である。なお、成型工程において、基材シートの加熱と成型とが別々である真空成型と比較して、基材シートの加熱と成型とが同時である圧空成型の方が、歪みが少ないため、好ましい。
【0023】
本発明の実施形態に係る包装用容器の製造方法では、包装用容器に対する柄の位置が、予め定められた位置に配置されるように成型される。すなわち、柄は、成型される包装用容器の形状に合わせて、ラミネートフィルムに配置されて印刷され、柄に合わせて包装用容器の成型位置が厳密に決定される。したがって、例えば、容器の底だけが赤色、容器の側面だけが黒色である態様や、特定の側面だけに所定の柄が配置される態様等が可能である。このようなラミネートフィルムは「完全定位置」印刷仕様と称されることもある。
【0024】
完全定位置印刷仕様のラミネートフィルムを用いた包装用容器の製造方法では、少なくとも次の手順を経る。図7には、包装用容器の製造方法に用いられる成型シート36が示されている。図7に示されているとおり、成型シート36は、五行六列で三十の区域39に区切られて、区域39毎に一つの包装用容器が成型される。したがって、この成型シート36によれば、四角形の包装用容器が三十個同時に成型される。なお、成型シート36の原反は長尺のロール状であるが、図7では、平面視においてほぼ四角形の所定のシートとして表わされている。
【0025】
始めに、包装用容器に対する柄の位置が、予め定められた位置に配置されるように、柄がラミネートフィルムに印刷される。次いで、ラミネートフィルムが基材シートに貼り付けられて成型シートが作製される。次いで、包装用容器に対する柄の位置が、予め定められた位置に配置されるように、成型シートに対する成型位置が決定される。図7に示されているとおり、各区域39は、非柄領域38と、この非柄領域38の周囲にある柄領域37とに区分される。包装用容器は、成型機によって、区域毎に成型されるため、非柄領域38が容器の底に配置され、柄領域37が容器の四方の側面に配置される。換言すれば、隣接する区域39に跨った非想定域N1非想定域N2で成型されることがないよう、成型機に対する成型シートの位置が制御されている。
【0026】
参考として、本発明の成型方法と異なる他の成型方法に言及する。例えば、ラミネートフィルムに印刷された柄が、平面方向に連続した模様であり、このラミネートフィルムが貼り付けられた基材が、適当な位置で成型された場合、包装用容器に対して、柄の位置柄は定まらない。すなわち、このような連続した模様は、成型される包装用容器の形状に合わせて採択されるものではないし、模様に合わせて成型位置が決定されるものでもない。したがって、一枚のラミネートフィルムの複数個所で、同時に複数の包装用容器が成型される以上、製品毎に模様の種類は同じとなるが、製品毎に模様の配置が異なる。このようなラミネートフィルムは「エンドレス」印刷仕様と称されることもある。
【0027】
以下、本実施形態を、図面に基づいて詳説する。図1ないし3には、包装用容器1の外観が示されている。図4及び5には、実施例に係る包装用容器1の柄が表れている。なお、図1ないし3では、フィルム層3が省略されているため、厳密には基材層2であるが、包装用容器1として説明する。図4及び5では、包装用容器1の輪郭が省略されている。図4及び5に示されているのは、柄が異なる別個の実施例であるが、同一の実施形態として説明する。
【0028】
図1ないし3に示されているとおり、包装用容器1は、ほぼ長方形の器(うつわ)であり、底面部4と、この底面部4の周縁から立ち上がった側面部5とを有している。側面部5の上端部には、フランジ部6が形成され、開口部35が形成されている。フランジ部6は、側面部5の上端部から、外側に向かうと共に折り返されて斜め下方に向けて伸びている。包装用容器1は、対角線上にある一対の隅部である第一隅部7及び第二隅部8が、内側に屈曲し、各隅部7,8に段部11が形成され、他の対角線上にある一対の隅部である第三隅部9及び第四隅部10が、外側に向けて直角に出張っている。底面部4は、段部11を無視できたとすれば、ほぼ四角形であり、底面部4の周縁は、互いに対峙した長辺である第一辺部12及び第二辺部13と、互いに対峙した短辺である第三辺部14及び第四辺部15と、段部11を形成した第一隅辺部16及び第二隅辺部17とを有している。
【0029】
側面部5は、互いに向きの異なる複数の部位が、各辺部12,13,14,15,16,17に連接されると共に周方向に連接されたことで形成されている。第一辺部12には、第一側面部位18が連接され、第二辺部13には、第二側面部位19が連接され、第三辺部14には、第三側面部位20が連接され、第四辺部15には、第四側面部位21が連接され、第一隅辺部16には、第一側隅部位22が連接され、第二隅辺部17には、第二側隅部位23が連接されている。第一側面部位18と第一側隅部位22とは、隣接して周方向に連接され、第一側隅部位22と第四第側面部位21とは、隣接して周方向に連接され、第四側面部位21と第二側面部位19とは、第四隅部10を介して隣接して周方向に連接され、第二側面部位19と第二側隅部位23とは、隣接して周方向に連接され、第二側隅部位23と第三側面部位20とは、隣接して周方向に連接され、第三側面部位20と第一側面部位18とは、第三隅部9を介して隣接して周方向に連接されている。
【0030】
各部位18,19,20,21,22,23の内面は、包装用容器1の内側を向いているが、正確には、図2において、第一側面部位18の内面は、奥側から手前側に向けられ(図2紙面において上から下)、第二側面部位19は、手前側から奥側に向けられ(図2紙面において下から上)、第三側面部位20は、左方から右方に向けられ、第四側面部位21は、右方から左方に向けられ、第一側隅部位22は、右奥側から左手前に向けられ、第二側隅部位23は、左手前から右奥側に向けられている。
【0031】
包装用容器1の高さ方向に対する側面部5の角度θは、120度以下であり(図3参照)、好ましくは、約110度以下である。
【0032】
図4及び5に示されているとおり、柄の種類は様々である。柄は、各部位18,19,20,21,22,23に配置され、各部位18,19,20,21,22,23に対する柄の位置は、部位毎に予め定められた位置に配置されている。すなわち、第一側面部位18には、第一柄24が配置され、第二側面部位19には、第二柄25が配置され、第三側面部位20には、第三柄26が配置され、第四側面部位21には、第四柄27が配置されている。また、第一側隅部位22には、第一繋ぎ柄28が配置され、第二側隅部位23には、第二繋ぎ柄29が配置されている。
【0033】
なお、各柄24,25,26,27,28,29は、各部位18,19,20,21,22,23から各辺部12,13,14,15,16,17に渡って配置され、又は、各部位18,19,20,21,22,23から各辺部12,13,14,15,16,17及び底面部4の一部に渡って配置されていてもよい。したがって、この場合、第一柄24は、第一側面部位18、第一辺部12(及び第一辺部12近傍の底面部4の一部)に渡って配置され、第二柄25は、第二側面部位19、第二辺部13(及び第二辺部13近傍の底面部4の一部)に渡って配置され、第三柄26は、第三側面部位20、第三辺部14(及び第三辺部14近傍の底面部4の一部)に渡って配置され、第四柄27は、第四側面部位21、第四辺部15(及び第四辺部15近傍の底面部4の一部)に渡って配置される。また、第一繋ぎ柄28は、第一側隅部位22、第一隅辺部16(及び第一隅辺部16近傍の底面部4)に配置され、第二繋ぎ柄29は、第二側隅部位23、第二隅辺部17(及び第二隅辺部17近傍の底面部4)に渡って配置される。
【0034】
各柄24,25,26,27の種類は、部位毎に異なっているため、第一柄24、第二柄25、第三柄26及び第四柄27は、それぞれ異なるし、対向した部位同士においても異なっている。また、各柄24,25,26,27の種類は、対向した部位同士において同じ属性に属しており、隣接した部位同士において異なっている。すなわち、また、対向した第一柄24及び第二柄25は、共通の属性である第一属性に属し、対向している第三柄26及び第四柄27は、共通の属性である第二属性に属しているが、隣接した第一柄24の第一属性と第四柄27の第二属性とは異なっており、隣接した第四柄27の第二属性と第二柄25の第一属性とは異なっており、隣接した第二柄25の第一属性と第三柄26の第二属性とは異なっており、隣接した第三柄26の第二属性と第一柄24の第一属性とは異なっている。
【0035】
具体的には、図4に示されているとおり、各柄24,25,26,27は、それぞれ種類が異なっており、例えば、幾何学模様、伝統模様等である。伝統模様には、青海波模様、麻の葉模様、市松模様、亀甲模様、籠目模様、唐草模様等が含まれる。対向した第一柄24及び第二柄25は、種類が異なるが、第一属性に属しているため、何れも幾何学模様である。対向した第三柄26及び第四柄27は、種類が異なるが、第二属性に属しているため、何れも伝統模様である。隣接した第一柄24の幾何学模様と第四柄27の伝統模様とは、属性が異なり、隣接した第四柄27の伝統模様と第二柄25の幾何学模様とは、属性が異なり、隣接した第二柄25の幾何学模様と第三柄26の伝統模様とは、属性が異なり、隣接した第三柄26の伝統模様と第一柄24の幾何学模様とは、属性が異なっている。
【0036】
同様に、図5に示されているとおり、各柄24,25,26,27は、それぞれ種類が異なっており、例えば、植物の具象模様、自然画模様、風景画模様、植物をモチーフとした連続模様等である。対向した第一柄24及び第二柄25は、種類が異なるが、第一属性に属しているため、何れも具象模様である。対向した第三柄26及び第四柄27は、種類が異なるが、第二属性に属しているため、何れも植物をモチーフとした連続模様である。隣接した第一柄24の具象模様と第四柄27の連続模様とは、属性が異なり、隣接した第四柄27の連続模様と第二柄25の具象模様とは、属性が異なり、隣接した第二柄25の具象模様と第三柄26の連続模様とは、属性が異なり、隣接した第三柄26の連続模様と第一柄24の具象模様とは、属性が異なっている。
【0037】
隣接した各柄24,25,26,27は、種類毎に区切られている。すなわち、第一柄24と第四柄27とは、第一隅部7において区切られ、第四柄27と第二柄25とは、第四隅部10において区切られ、第二柄25と第三柄26とは、第二隅部8において区切られ、第三柄26と第一柄24とは、第三隅部9において区切られている。したがって、各柄24,25,26,27は、各部位18,19,20,21の範囲内で完結し、独立している。
【0038】
隣接した各柄24,25,26,27の境界には、各柄24,25,26,27を区切るための境界領域が在る。すなわち、第一隅部7には第一境界部30が在り、第二隅部8には第二境界部31が在り、第三隅部9には第三境界部32が在り、第四隅部10には第四境界部33が在る。各境界部30,31,32,33は、原則として柄を有していないが(図5参照)、段部11が形成された第一隅部7及び第二隅部8には、柄が配置される場合もある(図4参照)。すなわち、図4に示されているとおり、第一境界部30には、第一柄24と第四柄27とに跨る第一繋ぎ柄28が配置される。同様に、第二境界部31には、第二柄25と第三柄26とに跨る第二繋ぎ柄29が配置される。なお、第一繋ぎ柄28及び第二繋ぎ柄29の有無は、任意である。
【0039】
対向した部位同士において、柄の色の割合は、同じであるか、又は同程度である。ここで、色の割合(以下、「色割合」と記す。)とは、単一の部位において、当該部位の面積に対して柄が占有する割合であり、柄が二色以上であれば、当該柄に対して各色が占有する割合である。例えば、色割合が70パーセントであれば、プラスマイナス15パーセント程度の範囲である55ないし85パーセントは、同程度の色割合である。なお、色の種類は任意であるが、三色以下が好ましい。
【0040】
図4及び5に示されているとおり、互いに対向し、共通する第一属性に属する第一柄24の色割合と第二柄25の色割合とは、同じであるか、又は同程度であり、互いに対向し、共通する第二属性に属する第三柄26の色割合と第四柄27の色割合とは、同じであるか、又は同程度である。隣接した第一属性の第一柄24の色割合と第二属性の第四柄27の色割合とは、同程度以上に異なっており、隣接した第二属性の第四柄27の色割合と第二属性の第二柄25の色割合とは、同程度以上に異なっており、隣接した第一属性の第二柄25の色割合と第二属性の第三柄26の色割合とは、同程度以上に異なっており、隣接した第二属性の第三柄26の色割合と第一属性の第一柄24の色割合とは、同程度以上に異なっている。
【0041】
フィルム層3には、底面部4において予め定められた位置に配置される単一の注目表示34が印刷されている。すなわち、注目表示34の数は、包装用容器1において、ひとつのみである。具体的には、注目表示34は、底面部4のほぼ中央に配置されている。ここで、注目表示34とは、例えば、バイオマスを活用していることを証明するためのマーク、イベントロゴ、社名、商品名、規格・品質を表す表示、商標等が含まれる。
【0042】
上記のとおり、本実施形態が構成されている。
【0043】
次に、本実施形態に係る効果を説明する。
【0044】
上記したとおり、包装用容器1では、各柄24,25,26,27の種類は、少なくとも、対向した部位である第一側面部位18と第二側面部位19とで異なっているし、第三側面部位20と第四側面部位21とで異なっている(図4及び5参照)。すなわち、第一側面部位18の第一柄24と、第二側面部位19の第二柄25とは、柄の種類が異なるし、第三側面部位20の第三柄26と、第四側面部位21の第四柄27とでも、柄の種類が異なる。柄が異なる各部位18,19,20,21から、それぞれ異なる印象や雰囲気が生じるため、包装用容器1が置かれる向きに応じて利用者への魅せ方が変わる。したがって、単一の製品で、様々な印象や雰囲気を演出することができる。
【0045】
包装用容器1では、高さ方向に対する側面部5の角度が、120度以下である(図3参照)。高さ方向に対する側面部5の角度が所定の範囲であれば、部位毎の柄を効果的に魅せることができる。例えば、図1に示されているとおり、手前側の第二側面部位19が、適度に立っていることから、内面の第二柄25が見え辛いため、奥側の第一側面部位18の第一柄24から生じる印象や雰囲気のみが、利用者に伝わる。
【0046】
包装用容器1では、隣接した各柄24,25,26,27の境界に、各柄24,25,26,27を区切るための各境界部30,31,32,33が在ることで、隣接した各柄24,25,26,27が、種類毎に区切られている。この構成により、各柄24,25,26,27が、隣接する柄から独立し、異なる種類であることが、明確である。したがって、柄毎の印象や雰囲気を、利用者に明確に伝えることができる。
【0047】
包装用容器1では、対向した部位同士において、柄の色割合は、同じであるか、又は同程度である。したがって、対向した第一側面部位18の第一柄24と第二側面部位19の第二柄25(同様に、対向した第三側面部位20の第三柄26と第四側面部位21の第四柄27)とにおいて、色彩のバランスが保たれ、包装用容器1全体として、色彩のバランスが適当となる。また、色の種類が三色以下であれば、インキに要する費用が抑えられ、経済的である。
【0048】
包装用容器1では、フィルム層3に、底面部4において予め定められた位置に配置される単一の注目表示34が印刷されている(図4及び5参照)。したがって、予め任意に定められ位置に、例えば、バイオマスを活用していることを証明するためのマークやイベントロゴ等の注目表示34を配置することができる。
【0049】
次に、本発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。図6には、第二実施形態に係る包装用容器201が示されている。なお、以下では、第一実施形態に係る包装用容器1と異なる点が主に説明され、包装用容器1と同一の構成は、説明が適宜省略されている。
【0050】
図6に示されているとおり、包装用容器201は、包装用容器1と異なり、蓋40を有している。蓋40は、開口部35の形状に応じた形状の蓋口部41を有し、蓋口部41が開口部35に嵌合する。蓋40は、フランジ部6の上面全体を覆うことから、包装用容器201は、いわゆる外嵌合式である。蓋40の材料は、透明又は半透明のプラスチックであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリエチレン(PE:polyethylene)等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS:polystyrene)等のスチレン系樹脂等である。
【0051】
開口部35が蓋40で閉じられていても、柄の見え方は変わりがなく、単一の製品で、様々な印象や雰囲気を演出することができる。
【0052】
本発明に係る他の実施形態では、包装用容器の形状は、任意である。したがって、形状には、例えば、三角形、正方形、五角以上の多角形、円形、又は楕円形等が含まれる。何れの実施形態も、側面部の各部位は、互いに向きが異なっている。
他の実施形態では、対向する第一側隅部位と第二側隅部位とで柄の種類が異なっている。
他の実施形態では、側面部において、対向する部位同士で柄の種類が異なる態様を含んでいる。すなわち、側面部のうち、少なくとも一対の対向する部位同士で柄の種類が異っていれば、他の一対の対向する部位同士の柄の種類は、同一でもよい。
他の実施形態は、段部を有していない。
他の実施形態では、柄の種類及び属性は任意である。
他の実施形態では、対向した柄同士の属性が異なる。
他の実施形態では、第四隅部に、第二柄と第四柄とに跨る第三繋ぎ柄が配置され、第三隅部に、第一柄と第三柄とに跨る第四繋ぎ柄が配置されている。
他の実施形態では、柄の色が四色以上である。
他の実施形態では、部位同士における柄の色割合が、同程度以上に顕著に異なる。
他の実施形態では、隣接した部位同士における柄の色割合が、同じ又は同程度である。
他の実施形態は、複数の注目表示を有している。
他の実施形態では、任意の位置に注目表示が配置されている。したがって、例えば、注目表示は、底面部の中央からずれた位置や側面部等に配置されている。
他の実施形態は、注目表示を有していない。
他の実施形態は、いわゆる内嵌合式である。
他の実施形態は、側面部の角度が120度以上である。
【0053】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1、201 包装用容器
2 基材層
3 フィルム層
4 底面部
5 側面部
6 フランジ部
7 第一隅部
8 第二隅部
9 第三隅部
10 第四隅部
11 段部
12 第一辺部
13 第二辺部
14 第三辺部
15 第四辺部
16 第一隅辺部
17 第二隅辺部
18 第一側面部位
19 第二側面部位
20 第三側面部位
21 第四側面部位
22 第一側隅部位
23 第二側隅部位
24 第一柄
25 第二柄
26 第三柄
27 第四柄
28 第一繋ぎ柄
29 第二繋ぎ柄
30 第一境界部
31 第二境界部
32 第三境界部
33 第四境界部
34 注目表示
35 開口部
36 成型シート
37 柄領域
38 非柄領域
39 区域
40 蓋
41 蓋口部
1、N2 非想定域
θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7