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  • 特開-フォーカルプレーンシャッタ 図1
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  • 特開-フォーカルプレーンシャッタ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017427
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】フォーカルプレーンシャッタ
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/08 20210101AFI20230131BHJP
【FI】
G03B9/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121697
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 康孝
【テーマコード(参考)】
2H081
【Fターム(参考)】
2H081AA23
2H081AA29
2H081BB02
2H081BB39
2H081CC28
(57)【要約】
【課題】羽根の駆動に伴う衝撃が外部に伝わりにくく、コンパクトな構造を実現できるフォーカルプレーンシャッタを提供する。
【解決手段】フォーカルプレーンシャッタ1は、開口Sが形成された地板10と、地板10の開口Sを開閉するように移動可能な羽根31,32と、羽根31,32に連結された羽根アーム41~44と、羽根31,32を駆動する駆動ユニット20とを備える。駆動ユニット20は、基部21と、基部21に取り付けられる駆動軸22,23と、羽根アーム41~44に連結されるアーム連結部71C,72Cを有し、駆動軸22,23を中心として回転可能な駆動レバー71,72とを含む。フォーカルプレーンシャッタ1は、地板10と駆動ユニット20の基部21との間に配置される衝撃吸収部材80をさらに備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成された地板と、
前記地板の前記開口を開閉するように移動可能な少なくとも1枚の羽根と、
前記少なくとも1枚の羽根に連結されたアーム部と、
前記少なくとも1枚の羽根を駆動する駆動ユニットであって、
基部と、
前記基部に取り付けられる駆動軸と、
前記アーム部に連結されるアーム連結部を有し、前記駆動軸を中心として回転可能な駆動レバーと
を含む駆動ユニットと、
前記地板と前記駆動ユニットの前記基部との間に配置される衝撃吸収部材と
を備える、フォーカルプレーンシャッタ。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材は、前記駆動ユニットの前記駆動レバーに当たって該駆動レバーの停止時の衝撃を緩和するダンパ部を有する、請求項1に記載のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項3】
前記駆動ユニットは、前記基部に取り付けられる少なくとも1つの固定軸をさらに含み、
前記衝撃吸収部材には、前記少なくとも1つの固定軸を通過させて前記地板に固定させるための逃げ部が形成される、
請求項1又は2に記載のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項4】
前記地板は、前記駆動ユニットの前記基部に向かって突出する少なくとも1つの位置決め突起を有し、
前記衝撃吸収部材には、前記地板の前記少なくとも1つの位置決め突起を収容する位置決め孔が形成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項5】
前記地板には凹部が形成され、
前記衝撃吸収部材は、前記地板の前記凹部内に収容される、
請求項1から4のいずれか一項に記載のフォーカルプレーンシャッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカルプレーンシャッタに係り、特に少なくとも1つの羽根を有する撮像装置用フォーカルプレーンシャッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラなどの撮像装置においては、シャッタ羽根を高速で移動させることによって露光開口を開閉し、撮像素子に対する露光を行っている。従来から、シャッタ羽根を駆動する羽根駆動装置として、シャッタ羽根をアクチュエータによって一方向に高速で移動させるフォーカルプレーンシャッタが知られている。このようなフォーカルプレーンシャッタにおいては、シャッタ羽根を高速で駆動させる際の衝撃でシャッタ羽根が大きくバウンドしたり破損したりすることを防止するために、シャッタ羽根を駆動する駆動部の移動経路の終端部に緩衝部材を配置することもなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような緩衝部材を配置した場合においても、シャッタ羽根を高速で駆動させる際の衝撃がアクチュエータの駆動軸を通じてフォーカルプレーンシャッタの地板からカメラの筐体に伝わってしまうことを十分に抑制することは難しい。カメラ本体に衝撃が加わると、撮影される画像に悪影響を与えてしまうことから、このような衝撃がカメラの筐体に伝わることを低減するために、フォーカルプレーンシャッタとカメラ筐体との間に衝撃を緩和する機構を設けることも考えられるが、この場合にはカメラ全体のサイズが大きくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-64559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、羽根の駆動に伴う衝撃が外部に伝わりにくく、コンパクトな構造を実現できるフォーカルプレーンシャッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、羽根の駆動に伴う衝撃が外部に伝わりにくく、コンパクトな構造を実現できるフォーカルプレーンシャッタが提供される。このフォーカルプレーンシャッタは、開口が形成された地板と、上記地板の上記開口を開閉するように移動可能な少なくとも1枚の羽根と、上記少なくとも1枚の羽根に連結されたアーム部と、上記少なくとも1枚の羽根を駆動する駆動ユニットとを備える。上記駆動ユニットは、基部と、上記基部に取り付けられる駆動軸と、上記アーム部に連結されるアーム連結部を有し、上記駆動軸を中心として回転可能な駆動レバーとを含む。上記フォーカルプレーンシャッタは、上記地板と上記駆動ユニットの上記基部との間に配置される衝撃吸収部材をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態におけるフォーカルプレーンシャッタを示す正面図である。
図2図2は、図1に示すフォーカルプレーンシャッタの分解斜視図である。
図3図3は、図1に示すフォーカルプレーンシャッタの一部の構成要素を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るフォーカルプレーンシャッタの実施形態について図1から図3を参照して詳細に説明する。図1から図3において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図3においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態におけるフォーカルプレーンシャッタ1を示す正面図である。図1に示すように、本実施形態におけるフォーカルプレーンシャッタ1は、矩形状の開口Sが形成された地板10と、この地板10と図示しないカバー板との間に形成される空間(羽根室)に収容される6枚の羽根31,32と、これらの羽根31,32を駆動(移動)するための駆動ユニット20とを含んでいる。カバー板には地板10の開口Sと略同一の形状の開口が形成されており、地板10の開口Sとカバー板の開口により露光開口が形成されている。このフォーカルプレーンシャッタ1は、CCDやCMOSセンサなどの撮像素子(図示せず)を備えたカメラに組み込まれるものであり、例えばネジを固定孔2に挿通することによりカメラ本体(図示せず)に固定される。図1のフォーカルプレーンシャッタ1の紙面手前側に撮像素子が位置しており、被写体からの光は、上述した露光開口を通過して、紙面手前側の撮像素子に入射するようになっている。
【0010】
羽根31,32のそれぞれは、全体としてX方向に延びる薄板状の部材である。本実施形態では、3枚の羽根31が、Z方向に重ねられてフォーカルプレーンシャッタ1の後幕(後羽根)を構成している。また、3枚の羽根32が、Z方向に重ねられてフォーカルプレーンシャッタ1の先幕(先羽根)を構成している。
【0011】
また、フォーカルプレーンシャッタ1は、後羽根31に連結される後羽根アーム41,42(アーム部)を含んでいる。それぞれの後羽根31は、連結部51により後羽根アーム41,42とそれぞれ互いに回転可能に連結されている。後羽根アーム41は支軸61を中心として回転可能に構成され、後羽根アーム42は支軸62を中心として回転可能に構成される。このような構成により、それぞれの後羽根31と後羽根アーム41,42とによってリンク機構が構成されている。
【0012】
同様に、フォーカルプレーンシャッタ1は、先羽根32に連結される先羽根アーム43,44(アーム部)を含んでいる。それぞれの先羽根32は、連結部52により先羽根アーム43,44とそれぞれ互いに回転可能に連結されている。先羽根アーム43は支軸63を中心として回転可能に構成され、先羽根アーム44は支軸64を中心として回転可能に構成される。このような構成により、それぞれの先羽根32と先羽根アーム43,44とによってリンク機構が構成されている。
【0013】
図2は、フォーカルプレーンシャッタ1の分解斜視図である。図2に示すように、フォーカルプレーンシャッタ1の駆動ユニット20は、板状の基部21と、基部21から+Z方向に延びる駆動軸22,23及び回転軸24と、駆動軸22に回転可能に取り付けられる後羽根駆動レバー71と、駆動軸23に回転可能に取り付けられる先羽根駆動レバー72と、回転軸24に対して回転可能に取り付けられ、後羽根駆動レバー71と先羽根駆動レバー72の回転を制御可能な制御レバー73と、後羽根駆動レバー71、先羽根駆動レバー72、及び制御レバー73を覆うカバー板74と、カバー板74に取り付けられた固定軸75とを含んでいる。駆動軸22は支軸61(図1参照)と同軸に設けられており、駆動軸23は支軸63(図1参照)と同軸に設けられている。
【0014】
駆動ユニット20の基部21と地板10との間には、ブチルゴムやエラストマーなどの柔軟な材料から形成される衝撃吸収部材80が配置されている。地板10には、この衝撃吸収部材80の形状に対応した形状の凹部12が形成されており、衝撃吸収部材80は地板10の凹部12内に収容されるようになっている。例えば、衝撃吸収部材80の大部分のZ方向に沿った厚さは0.5mm程度であり、地板10の凹部12のZ方向に沿った深さは0.5mm程度である。
【0015】
図2に示すように、カバー板74に取り付けられた固定軸75は、基部21に形成された軸孔27に挿通され、基部21から-Z方向に突出するようになっている。衝撃吸収部材80には、基部21から-Z方向に延びる固定軸75を通過させるための逃げ部86,87が形成されている。図3に示すように、この衝撃吸収部材80の逃げ部86,87によって基部21から-Z方向に延びる固定軸75は、衝撃吸収部材80と接触することなく地板10に固定される。例えば地板10の円形孔17には-Z方向側からネジ(図示せず)が挿通され、このネジを固定軸75の-Z方向側の端部に螺合させることにより、駆動ユニット20が地板10に固定される。このように、固定軸75を柔軟な衝撃吸収部材80と接触させることなく地板10に固定することができるので、地板10に対する駆動ユニット20の固定を強固なものとすることができる。
【0016】
後羽根駆動レバー71は、駆動軸22が挿通される軸部71Aと、図示しない電磁石に吸着される吸着部71Bと、後羽根アーム41に形成されたレバー孔41A(図1参照)に挿入されて後羽根アーム41と連結されるアーム連結部71Cとを有している。基部21には駆動軸22を中心とする円弧に沿った円弧孔25が形成されており、地板10にも駆動軸22を中心とする円弧に沿った円弧孔13が形成されている。また、衝撃吸収部材80にも駆動軸22を中心とする円弧に沿った円弧孔81が形成されている。後羽根駆動レバー71のアーム連結部71Cは、これらの円弧孔25,81,13を通って後羽根アーム41のレバー孔41Aに連結されている。
【0017】
先羽根駆動レバー72は、駆動軸23が挿通される軸部72Aと、図示しない電磁石に吸着される吸着部72Bと、先羽根アーム43に形成されたレバー孔43A(図1参照)に挿入されて先羽根アーム43と連結されるアーム連結部72Cとを有している。基部21には駆動軸23を中心とする円弧に沿った切欠き26が形成されており、地板10には駆動軸23を中心とする円弧に沿った円弧孔14が形成されている。また、衝撃吸収部材80にも駆動軸23を中心とする円弧に沿った切欠き82が形成されている。先羽根駆動レバー72のアーム連結部72Cは、これらの切欠き26,82及び円弧孔14を通って先羽根アーム43のレバー孔43Aに連結されている。
【0018】
このような構成において、後羽根駆動レバー71を駆動軸22周りに回転させると、後羽根駆動レバー71のアーム連結部71Cに連結された後羽根アーム41が支軸61を中心として回転する。後羽根アーム41が支軸61を中心として回転すると、上述したリンク機構によって、後羽根アーム42も支軸62を中心として回転し、後羽根31が互いに重なる領域を変化させつつ、XY平面上を主として±Y方向に移動するようになっている。
【0019】
後羽根駆動レバー71は、制御レバー73によって+Y方向側のチャージ位置に回転され、チャージ位置で吸着部71Bが電磁石に吸着されることによって後羽根駆動レバー71がチャージ位置に保持される。その後、制御レバー73が初期位置へ復帰して電磁石への通電が遮断されると、後羽根駆動レバー71は、図示しない駆動バネの力によって羽根走行完了位置に向かって回転し、これに伴い後羽根31が主として-Y方向に移動するようになっている。
【0020】
同様に、先羽根駆動レバー72を駆動軸23周りに回転させると、先羽根駆動レバー72のアーム連結部72Cに連結された先羽根アーム43が支軸63を中心として回転する。先羽根アーム43が支軸63を中心として回転すると、上述したリンク機構によって、先羽根アーム44も支軸64を中心として回転し、先羽根32が互いに重なる領域を変化させつつ、XY平面上を主として±Y方向に移動するようになっている。
【0021】
先羽根駆動レバー72は、制御レバー73によって+Y方向側のチャージ位置に回転され、チャージ位置で吸着部72Bが電磁石に吸着されることによって先羽根駆動レバー72がチャージ位置に保持される。その後、制御レバー73が初期位置へ復帰して電磁石への通電が遮断されると、先羽根駆動レバー72は、図示しない駆動バネの力によって羽根走行完了位置に向かって回転し、これに伴い先羽根32が主として-Y方向に移動するようになっている。
【0022】
駆動レバー71,72がそれぞれチャージ位置から羽根走行完了位置に回転する際には、駆動軸22,23に特に強い衝撃が加わることが知られている。この衝撃は駆動軸22,23が設けられている基部21に伝わるが、本実施形態では、基部21と地板10との間に衝撃吸収部材80が配置されているため、基部21に伝わった衝撃が、衝撃吸収部材80に吸収されて地板10に伝わりにくい。このため、駆動レバー71,72の駆動に伴う衝撃が地板10から外部(カメラ本体)に伝わりにくくなっており、撮影される画像に悪影響を与えることも少なくなる。また、フォーカルプレーンシャッタ1の内部で駆動レバー71,72の駆動に伴う衝撃を緩和することができるので、フォーカルプレーンシャッタ1の外部に衝撃を緩和する機構を設ける必要がなく、カメラ全体の構造をコンパクトにすることができる。
【0023】
また、フォーカルプレーンシャッタ1の外部に衝撃を緩和する機構を設けた場合には、衝撃を受けたフォーカルプレーンシャッタの地板と衝撃が緩和されたカメラの撮像素子との間で位置ずれが生じ、撮影される画像に悪影響を与える可能性があるが、本実施形態では、フォーカルプレーンシャッタ1の地板10に伝わる衝撃が緩和されるため、フォーカルプレーンシャッタ1の地板10とカメラの撮像素子との間で位置ずれが生じることが抑制される。
【0024】
図2に示すように、衝撃吸収部材80に形成された円弧孔81の端部は肉厚に形成されており、円弧孔81の終端部に円弧状のダンパ部83が形成されている。羽根走行完了位置に向かって回転する後羽根駆動レバー71のアーム連結部71Cがこのダンパ部83に当たることで、後羽根駆動レバー71の停止時の衝撃がダンパ部83に吸収され緩和されるため、地板10に伝わる衝撃をさらに低減することができる。なお、地板10に形成された円弧孔13の-Y方向側の端部及び基部21に形成された円弧孔25の-Y方向側の端部には、それぞれ衝撃吸収部材80のダンパ部83を収容するダンパ収容部13A,25Aが形成されている。
【0025】
同様に、衝撃吸収部材80に形成された切欠き82の端部は肉厚に形成されており、切欠き82の終端部に円弧状のダンパ部84が形成されている。羽根走行完了位置に向かって回転する先羽根駆動レバー72のアーム連結部72Cがこのダンパ部84に当たることで、先羽根駆動レバー72の停止時の衝撃がダンパ部84に吸収され緩和されるため、地板10に伝わる衝撃をさらに低減することができる。なお、地板10に形成された円弧孔14の-Y方向側の端部及び基部21に形成された切欠き26の-Y方向側の端部には、それぞれ衝撃吸収部材80のダンパ部84を収容するダンパ収容部14A,26Aが形成されている。
【0026】
また、これらのダンパ部83,84は衝撃吸収部材80の一部として構成されているため、駆動レバー71,72の駆動に伴う衝撃がダンパ部83,84だけではなく、衝撃吸収部材80の他の部分でも吸収されるため、駆動レバー71,72の駆動に伴う衝撃をより効果的に緩和することができる。
【0027】
また、本実施形態における地板10は、駆動ユニット20の基部21に向かって突出する2つの位置決め突起15を有している。これに対応して、衝撃吸収部材80には、地板10の位置決め突起15を収容する位置決め孔85が形成されている。このような構成によれば、地板10に形成された位置決め突起15を衝撃吸収部材80の位置決め孔85に合わせて地板10の位置決め突起15を衝撃吸収部材80の位置決め孔85に挿入するだけで、地板10に対して衝撃吸収部材80を正確に位置決めすることができる。
【0028】
また、上述したように、本実施形態における衝撃吸収部材80は、地板10に形成された凹部12内に収容されているため、フォーカルプレーンシャッタ1のZ方向の厚みを過度に大きくすることなく、衝撃吸収部材80を駆動ユニット20の基部21と地板10との間に配置することができる。
【0029】
なお、上述した衝撃吸収部材80の材質や形状、大きさ、厚さ、駆動ユニット20の基部21及び地板10との圧着の程度などは、フォーカルプレーンシャッタ1の露出開口の大きさや羽根31,32の速度などのパラメータに合わせて適宜変更することができる。
【0030】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、羽根の駆動に伴う衝撃が外部に伝わりにくく、コンパクトな構造を実現できるフォーカルプレーンシャッタが提供される。このフォーカルプレーンシャッタは、開口が形成された地板と、上記地板の上記開口を開閉するように移動可能な少なくとも1枚の羽根と、上記少なくとも1枚の羽根に連結されたアーム部と、上記少なくとも1枚の羽根を駆動する駆動ユニットとを備える。上記駆動ユニットは、基部と、上記基部に取り付けられる駆動軸と、上記アーム部に連結されるアーム連結部を有し、上記駆動軸を中心として回転可能な駆動レバーとを含む。上記フォーカルプレーンシャッタは、上記地板と上記駆動ユニットの上記基部との間に配置される衝撃吸収部材をさらに備える。
【0031】
このような構成によれば、駆動レバーが駆動する際に生じる強い衝撃は駆動ユニットの基部に伝わるが、地板と基部との間に衝撃吸収部材が配置されているため、基部に伝わった衝撃が、衝撃吸収部材に吸収されて地板に伝わりにくい。このため、駆動レバーの駆動に伴う衝撃が地板から外部(カメラ本体など)に伝わりにくい構造となっている。このように、フォーカルプレーンシャッタの内部で駆動レバーの駆動に伴う衝撃を緩和することができるので、フォーカルプレーンシャッタの外部に衝撃を緩和する機構を設ける必要がなく、コンパクトな構造を実現することができる。
【0032】
上記衝撃吸収部材は、上記駆動ユニットの上記駆動レバーに当たって該駆動レバーの停止時の衝撃を緩和するダンパ部を有することが好ましい。このようなダンパ部に駆動レバーが当たることで、駆動レバーの停止時の衝撃がダンパ部に吸収され緩和されるため、地板に伝わる衝撃をさらに低減することができる。特に、ダンパ部が衝撃吸収部材の一部として構成されているため、駆動レバーの駆動に伴う衝撃がダンパ部だけではなく、衝撃吸収部材の他の部分でも吸収されるため、駆動レバーの駆動に伴う衝撃をより効果的に緩和することができる。
【0033】
上記駆動ユニットは、上記基部に取り付けられる少なくとも1つの固定軸をさらに含んでいてもよい。この場合において、上記衝撃吸収部材には、上記少なくとも1つの固定軸を通過させて上記地板に固定させるための逃げ部が形成されていることが好ましい。このような衝撃吸収部材の逃げ部によって、基部に取り付けられた固定軸を衝撃吸収部材と接触させることなく地板に固定することができるので、地板に対する駆動ユニットの固定を強固なものとすることができる。
【0034】
上記地板は、上記駆動ユニットの上記基部に向かって突出する少なくとも1つの位置決め突起を有していてもよい。また、上記衝撃吸収部材には、上記地板の上記少なくとも1つの位置決め突起を収容する位置決め孔が形成されていてもよい。このような構成によれば、地板に形成された突起を衝撃吸収部材の位置決め孔に合わせて地板の突起を衝撃吸収部材の位置決め孔に挿入するだけで、で地板に対して衝撃吸収部材を正確に位置決めすることができる。
【0035】
また、上記地板には凹部が形成され、上記衝撃吸収部材は、上記地板の上記凹部内に収容されていてもよい。このように衝撃吸収部材を地板に形成した凹部に収容することで、フォーカルプレーンシャッタの厚みを過度に大きくすることなく、衝撃吸収部材を駆動ユニットの基部と地板との間に配置することができる。
【0036】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1 フォーカルプレーンシャッタ
10 地板
12 凹部
13,14 円弧孔
15 位置決め突起
20 駆動ユニット
21 基部
22,23 駆動軸
24 回転軸
25 円弧孔
26 切欠き
27 軸孔
31 後羽根
32 先羽根
41,42 後羽根アーム(アーム部)
43,44 先羽根アーム(アーム部)
51,52 連結部
61~64 支軸
71 後羽根駆動レバー
71A 軸部
71B 吸着部
71C アーム連結部
72 先羽根駆動レバー
72A 軸部
72B 吸着部
72C アーム連結部
73 制御レバー
74 カバー板
75 固定軸
80 衝撃吸収部材
81 円弧孔
82 切欠き
83,84 ダンパ部
85 位置決め孔
86,87 逃げ部
S 開口
図1
図2
図3