(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174279
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】搬送ロボットおよびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20231130BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20231130BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B25J15/00 E
B25J9/06 D
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087041
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】實政 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 亮介
(72)【発明者】
【氏名】原田 修
(72)【発明者】
【氏名】小宮路 修
(72)【発明者】
【氏名】柿原 正伸
(72)【発明者】
【氏名】本田 祐規
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS15
3C707CX01
3C707CY36
3C707DS08
3C707ES17
3C707HS28
3C707NS13
5F131CA38
5F131DB04
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB99
(57)【要約】
【課題】アームの小型化を図ること。
【解決手段】搬送ロボットは、複数のハンドと、複数のハンド駆動モータと、1つのアームとを備える。複数のハンドは、被搬送物を保持可能であり、1つの旋回軸においてそれぞれ旋回する。複数のハンド駆動モータは、旋回軸に沿う向きにおいて、複数のハンドがそれぞれ接続されたモータ軸が旋回軸に対して同心となるように並んで配置され、複数のハンドをそれぞれ直接駆動する。1つのアームは、複数のハンド駆動モータを内蔵する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を保持可能であり、1つの旋回軸においてそれぞれ旋回する複数のハンドと、
前記旋回軸に沿う向きにおいて、前記複数のハンドがそれぞれ接続されたモータ軸が前記旋回軸に対して同心となるように並んで配置され、前記複数のハンドをそれぞれ直接駆動する複数のハンド駆動モータと、
前記複数のハンド駆動モータを内蔵する1つのアームと
を備えることを特徴とする搬送ロボット。
【請求項2】
前記複数のハンド駆動モータは、
前記モータ軸に沿う向きにおける一方側の面にそれぞれエンコーダを備え、前記エンコーダ同士が対向する姿勢で前記1つのアームに内蔵されること
を特徴とする請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記1つのアームは、
複数の前記ハンド側において前記モータ軸に沿って分解可能な複数のサブフレームを有し、
前記複数のサブフレームは、
前記複数のハンド駆動モータをそれぞれ1つずつ内蔵すること
を特徴とする請求項2に記載の搬送ロボット。
【請求項4】
前記複数のサブフレームは、
それぞれが前記複数のハンド側の前記1つのアームの外形を構成する外面を有すること
を特徴とする請求項3に記載の搬送ロボット。
【請求項5】
前記エンコーダは、
前記ハンド駆動モータのロータの端面に固定される円板状のディスク部と、
前記ハンド駆動モータのステータまたは前記アームに固定され、前記ディスク部の端面と端面が対向するとともに、前記円板状の前記ディスク部を等分した半円板状の外形に収まる形状の検知部と
を含み、
前記複数のハンド駆動モータは、
それぞれが備える前記エンコーダ同士について、前記ディスク部の端面同士が前記検知部を挟んで対向し、かつ、前記検知部の側面同士が前記モータ軸を挟んで対向する姿勢で、前記1つのアームに内蔵されること
を特徴とする請求項2に記載の搬送ロボット。
【請求項6】
前記ハンド駆動モータは、
ロータに接続され、前記モータ軸に沿って延伸された中空シャフトを含み、いずれかの前記ハンド駆動モータの前記中空シャフトが、他の前記中空シャフトに挿入された姿勢で、前記1つのアームに内蔵されること
を特徴とする請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項7】
外側の前記中空シャフトが上側の前記ハンドを旋回させ、内側の前記中空シャフトが下側の前記ハンドを旋回させること
を特徴とする請求項6に記載の搬送ロボット。
【請求項8】
前記ハンド駆動モータは、
アキシャルギャップ型のモータであること
を特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の搬送ロボット。
【請求項9】
前記ハンド駆動モータは、
前記モータ軸に沿う中空部を有する円板状のステータと、
前記ステータの端面と端面が対向し、前記中空部を有する円板状のロータと、
前記ロータの前記中空部と連通するように前記ロータに接続され、前記モータ軸に沿って延伸された中空シャフトと
を備えることを特徴とする請求項8に記載の搬送ロボット。
【請求項10】
複数の前記ハンド駆動モータの少なくとも1つは、
前記中空シャフトが当該ハンド駆動モータにおける前記ステータの中空部を貫通して延伸され、
その他の前記ハンド駆動モータの少なくとも1つは、
前記中空シャフトが当該ハンド駆動モータにおける前記ステータから離れる向きに延伸され、
前記ステータから離れる向きに延伸された前記中空シャフトが、前記ステータの中空部を貫通して延伸された前記中空シャフトを貫通する姿勢で、前記1つのアームに内蔵されること
を特徴とする請求項9に記載の搬送ロボット。
【請求項11】
請求項1に記載の搬送ロボットと、
前記搬送ロボットの動作を制御する制御装置と
を備えることを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、搬送ロボットおよびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物を保持するハンドを移動させることで被搬送物を搬送する水平多関節ロボットなどの搬送ロボットが知られている。
【0003】
また、搬送ロボットのアームを小型化するために、アーム一体型のビルトインモータを採用した搬送ロボットも提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術では、モータと、モータの駆動力をハンドへ伝達するベルトとを、ハンドを支持するアームに内蔵しており、アームの小型化の観点からは改善の余地がある。
【0006】
実施形態の一態様は、アームの小型化を図ることができる搬送ロボットおよびロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る搬送ロボットは、複数のハンドと、複数のハンド駆動モータと、1つのアームとを備える。複数のハンドは、被搬送物を保持可能であり、1つの旋回軸においてそれぞれ旋回する。複数のハンド駆動モータは、前記旋回軸に沿う向きにおいて、前記複数のハンドがそれぞれ接続されたモータ軸が前記旋回軸に対して同心となるように並んで配置され、前記複数のハンドをそれぞれ直接駆動する。1つのアームは、前記複数のハンド駆動モータを内蔵する。
【0008】
実施形態の一態様に係るロボットシステムは、上記した搬送ロボットと、制御装置とを備える。制御装置は、前記搬送ロボットの動作を制御する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、アームの小型化を図ることができる搬送ロボットおよびロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、搬送ロボットの概要を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1アーム、第2アームおよびハンドの側面模式図である。
【
図4A】
図4Aは、複数のハンド駆動モータを組み合わせた状態の側面模式図である。
【
図4B】
図4Bは、複数のハンド駆動モータを組み合わせた状態の上面模式図である。
【
図5A】
図5Aは、モータ内蔵のサブフレームを示す側面模式図である。
【
図6】
図6は、モータを内蔵しないサブフレームを示す斜視模式図である。
【
図7】
図7は、第1モータユニットの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、第2モータユニットの分解斜視図である。
【
図9】
図9は、組立後の第2アームの側断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する搬送ロボットおよびロボットシステムを詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
また、以下に示す実施形態では、「平行」や、「鉛直」、「対称」、「円」、「半円」、「同じ」といった表現を用いる場合があるが、厳密にこれらの状態を満たすことを要しない。すなわち、上記した各表現は、製造精度、設置精度、処理精度、検出精度などのずれを許容するものとする。
【0013】
まず、実施形態に係る搬送ロボット10の概要について
図1を用いて説明する。
図1は搬送ロボット10の概要を示す模式図である。なお、
図1には、搬送ロボット10を斜め上方からみた斜視図を示しており、第2アーム12の透過側面図をあわせて示している(
図1のS1参照)。
【0014】
また、
図1では、説明をわかりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸、ハンドを支持するアームの延伸向きに沿い、ハンドを支持する先端側を正方向とするX軸、X軸およびZ軸と直交するY軸の3次元の直交座標系を示している。かかる直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。なお、「直交」とは、お互いに「垂直」で、かつ、「交差」することを指す。
【0015】
図1に示すように、搬送ロボット10は、床面などに設置される本体部15と、本体部15に対して昇降する昇降部16とを備える。昇降部16は、水平リンク式のアームである第1アーム11および第2アーム12を昇降させる。また、第2アーム12の先端側には複数のハンド13が設けられる。具体的には、複数のハンド13を支持するアームである第2アーム12は、2つのハンド13を先端側の上面で支持する。
【0016】
複数のハンド13は、半導体用の基板などの被搬送物をそれぞれ保持可能であり、モータ軸AHまわりに同軸でそれぞれ旋回する。つまり、複数のハンド13は、1つの旋回軸においてそれぞれ旋回する。ここで、複数のハンド13を区別する場合には、最も第2アーム12に近いハンド13から順に、符号の末尾にA、Bの順で大文字のアルファベットを付加することとする。
【0017】
なお、
図1には、2つのハンド13を示したが、ハンド13を3つ以上としてもよい。また、
図1には水平リンク式のアームとして2つのアーム(第1アーム11および第2アーム12)を示したが、水平リンク式のアームを1つとしてもよく、3つ以上としてもよい。
【0018】
図1のS1に示したように、第2アーム12は、2つのハンド13をそれぞれ直接駆動する2つのハンド駆動モータMを、モータ軸AHを同心としてモータ軸AHに沿う向きに並んだ姿勢で内蔵する。つまり、2つのハンド駆動モータMは、ハンド13の旋回軸に沿う向きにおいて、ハンド13がそれぞれ接続されたモータ軸AHが、ハンド13の旋回軸に対して同心となるように並んで配置される。また、各ハンド駆動モータMは、接続されたハンド13をそれぞれ直接駆動する。なお、複数のハンド駆動モータMを区別する場合には、M1、M2のように符号の末尾に数字を付加することとする。
【0019】
このように、ハンド駆動モータMは、いわゆる、ダイレクトドライブモータであり、ハンド13をそれぞれ直接駆動する。そして、複数のハンド駆動モータMを、モータ軸AHを同心としてモータ軸AHに沿う向きに並んだ姿勢でアームに内蔵することによって、モータの収容スペースを小さくすることができる。また、ハンド駆動モータMをダイレクトドライブモータとすることで、駆動用ベルトを省略することができる。これらのことから、アームの小型化を図ることが可能となる。
【0020】
また、
図1のS1に示したように、各ハンド駆動モータMは、エンコーダMEと、中空シャフトMSとを備える。ここで、各ハンド駆動モータMは、モータ軸AHに沿って貫通する中空部が設けられた、いわゆる、中空モータである。エンコーダMEは、モータ軸AHに沿う向きにおける一方側の面(一方側の端面)に設けられる。
【0021】
また、中空シャフトMSは、ハンド駆動モータMのロータに接続されており、モータ軸AHに沿って延伸されるとともに、モータ軸AHまわりに回転する。なお、ハンド駆動モータMの中空部は、中空シャフトMSの中空部と連通しており、エンコーダMEは、中空部を避けた位置に設けられる。
【0022】
図1に示した例では、ハンド駆動モータM2の中空シャフトMS2は、ハンド駆動モータM1および中空シャフトMS1を貫通する。また、第2アーム12は、中空シャフトMS1および中空シャフトMS2が第2アーム12の上面側に突出する姿勢で、ハンド駆動モータM1およびハンド駆動モータM2を内蔵する。なお、中空シャフトMS1にはハンド13Aが、中空シャフトMS2にはハンド13Bが、それぞれ接続される。つまり、内側の中空シャフトMSである中空シャフトMS2は、上側のハンド13であるハンド13Bを旋回させ、外側の中空シャフトMSである中空シャフトMS1は、下側のハンド13であるハンド13Aを旋回させる。すなわち、下側のハンド駆動モータMであるハンド駆動モータM2が上側のハンド13であるハンド13Bを旋回させ、上側のハンド駆動モータMであるハンド駆動モータM1が下側のハンド13であるハンド13Aを旋回させるということもできる。
【0023】
つまり、ハンド駆動モータM1はハンド13Aを、ハンド駆動モータM2はハンド13Bを、ベルト等の駆動力を伝達する機構を介することなく、それぞれ直接駆動する。なお、ハンド13を3つ以上とする場合には、ハンド13と同数のハンド駆動モータMがモータ軸AHを同心として第2アーム12に内蔵されることになる。
【0024】
ここで、ハンド駆動モータMは、いわゆる、ラジアルギャップモータであっても、アキシャルギャップモータであってもよい。ラジアルギャップモータとは、モータ軸AHの放射向きにロータと、ステータとが対向するモータを指す。また、アキシャルギャップモータとは、モータ軸AHに沿う向きにロータと、ステータとが対向するモータを指す。なお、アキシャルギャップモータのほうがラジアルギャップモータよりもモータの厚みを薄くする、すなわち、モータの低背化を図ることができるので、第2アーム12の薄型化を図るうえでは好ましい。
【0025】
また、ハンド駆動モータMをラジアルギャップ型のビルトインモータとする場合には、モータのステータをアームに焼き嵌めすることが通常である。一方、ハンド駆動モータMをアキシャルギャップ型のビルトインモータとすれば、モータのステータをモータ軸AHに沿う向きにボルト等でアームに固定することができる。したがって、組み立て工数の削減の観点からもハンド駆動モータMをアキシャルギャップモータとすることが好ましい。
【0026】
なお、ハンド駆動モータMは、ロータおよびステータを覆うケースを有するモータであってもよく、ケースを有さずに第2アーム12のフレームに直接取り付けられる、いわゆる、ビルトインモータであってもよい。
【0027】
また、
図1のS1に示したように、第2アーム12は、複数のハンド駆動モータMをエンコーダME同士が対向する姿勢で内蔵する。つまり、複数のハンド駆動モータMは、モータ軸AHに沿う向きにおける一方側の面にそれぞれエンコーダMEを備えており、エンコーダME同士が対向する姿勢で1つのアームに内蔵される。このように、ハンド駆動モータMの端面に設けられるエンコーダME同士が対向する姿勢で複数のハンド駆動モータMを配置することで、エンコーダMEの配線同士を近傍に集めることができる。また、配線に要するスペースを削減することができる。したがって、アームの小型化を図ることが可能となる。
【0028】
また、第2アーム12は、いずれかのハンド駆動モータMの中空シャフトMSが、他のハンド駆動モータMの中空シャフトMSに挿入された姿勢で、複数のハンド駆動モータMをそれぞれ内蔵する。つまり、複数のハンド駆動モータMは、ロータに接続されモータ軸AHに沿って延伸された中空シャフトMSを含み、いずれかのハンド駆動モータMの中空シャフトMSが、他の中空シャフトMSに挿入された姿勢で、1つのアームに内蔵される。
【0029】
このように、複数のハンド駆動モータMの中空シャフトMSを入れ子配置とすることで、ハンド駆動モータMの収容スペースを小さくすることができる。したがって、アームの小型化を図ることが可能となる。
【0030】
なお、ハンド駆動モータMをアキシャルギャップモータとする場合については、
図7~
図9を用いて後述することとする。
【0031】
次に、搬送ロボット10の構成について
図2を用いてさらに説明する。
図2は、搬送ロボット10の斜視図である。同図に示すように、搬送ロボット10は、本体部15と、昇降部16と、第1アーム11と、第2アーム12と、複数のハンド13とを備える。
【0032】
なお、
図2には、2つのハンド13A,13Bを備える搬送ロボット10を例示しているが、ハンド13の個数は任意の個数としてもよい。また、同図に示す昇降軸A0、第1軸A1、第2軸A2およびモータ軸AHは、それぞれ平行であることが好ましい。
【0033】
本体部15は、昇降部16を昇降させる機構を内蔵する。昇降部16は、同図に示す昇降軸A0に沿って昇降するとともに、第1アーム11の基端側を第1軸A1まわりに回転可能に支持する。なお、昇降部16自体を第1軸A1まわりに回転させることとしてもよい。
【0034】
第1アーム11は、第2アーム12の基端側を第2軸A2まわりに回転可能に先端側で支持する。第2アーム12は、ハンド13A,13Bの基端側をモータ軸AHまわりにそれぞれ回転可能に先端側で支持する。ハンド13A,13Bは、基部13aと、フォーク部13bとを備える。
【0035】
このように、搬送ロボット10は、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13の3リンクの水平多関節ロボットである。また、搬送ロボット10は、上記したように、昇降機構を有しているので、違う高さに配置される基板等の被搬送物に対してそれぞれアクセスすることができる。なお、第1アーム11を省略し、第2アーム12およびハンド13の2リンクの水平多関節ロボットとすることとしてもよい。
【0036】
次に、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13の外観について
図3を用いて説明する。
図3は、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13の側面模式図である。なお、
図3では、折り畳んだ姿勢をとった場合の第1アーム11、第2アーム12およびハンド13を示している。
【0037】
また、同図には、
図2に示した第1軸A1、第2軸A2およびモータ軸AHを参考のため示している。なお、「折り畳んだ姿勢」とは、第1アーム11の基端側に第2アーム12の先端側を、第2アーム12の基端側にハンド13の先端側をそれぞれ向けた姿勢のことを指す。
【0038】
図3に示すように、第1アーム11の底面側は略平坦である。一方、上面側は、第2軸A2側の端部の上面が、第1軸A1側の端部の上面よりも高い階段状になっている。このように、第2軸A2側の端部の上面が第2アーム12側へ突出しているのは、第2アーム12を駆動するモータを第1アーム11に内蔵するためである。
【0039】
また、
図3に示すように、第2アーム12の上面側は略平坦である。一方、底面側は、第2軸A2側の端部の下面が、他方の端部の底面よりも高い階段状になっている。このように、第2軸A2側の端部の底面が他方の端部の底面よりも凹んだ形状をとっているのは、上記した第1アーム11における突出した形状を回避するためである。
【0040】
このように、第2アーム12は、側面視において、第2軸A2に対応する端部側の厚みよりも、他方の端部側の厚みのほうが大きく、第1アーム11側へ向けて突出した形状を有している。したがって、厚みが大きい部位の容積を大きくとることができ、ハンド13を駆動するハンド駆動モータM(
図1参照)をモータ軸AHに沿って並べて格納する空間を確保することが容易である。
【0041】
また、第2アーム12における第2軸A2側の端部の反対側の端部の上面には、ハンド13が設けられる。なお、モータ軸AHに沿って、第2アーム12からみてハンド13A、ハンド13Bの順で2つのハンド13が設けられる。
【0042】
なお、第2アーム12は、分解可能であり、分離型の複数のサブフレームをベースフレームに取り付けることで構成することができるが、この点については、
図5Aおよび
図5Bを用いて後述することとする。
【0043】
次に、各ハンド駆動モータMのエンコーダMEを、半円板状の外形に収まる形状とする場合について、
図4Aおよび
図4Bを用いて説明する。
図4Aは、複数のハンド駆動モータMを組み合わせた状態の側面模式図であり、
図4Bは、同じく上面模式図である。
【0044】
ここで、
図4Aおよび
図4Bでは、各エンコーダMEを半円板状の外形に収まる形状とし、モータ軸AHに沿う向きについて同じ高さとなるように配置した点で、
図1に示したエンコーダMEとは異なる。
【0045】
また、エンコーダMEは、ハンド駆動モータMのロータの端面に固定される円板状のディスク部と、ディスク部を等分した半円状の外形に収まる形状の検知部とを含む。なお、説明の簡略化のため、
図4Aおよび
図4Bでは、かかるディスク部を省略し、検知部のみを示している。ディスク部の外形は各ハンド駆動モータMの端面の外形と同じであるとする。
【0046】
図4Aに示すように、ハンド駆動モータM1のエンコーダME1と、ハンド駆動モータM2のエンコーダME2とは、モータ軸AHに沿った向きについて少なくとも一部が重なるように配置される。なお、エンコーダME1と、エンコーダME2とをほぼ同じ高さとすれば低背化の観点からより好ましい。また、
図4Aおよび
図4Bでは、モータ軸AHよりもY軸正方向側にエンコーダME1を、Y軸負方向側にエンコーダME2を、それぞれ配置した場合を例示した。しかしながら、これに限らず、エンコーダME1およびエンコーダME2を、モータ軸AHまわりに任意の角度だけ回転させた位置にそれぞれ配置することとしてもよい。
【0047】
図4Bに示すように、ハンド駆動モータM1のエンコーダME1と、ハンド駆動モータM2のエンコーダME2とは、側面同士がモータ軸AHを挟んで対向する姿勢をとる。つまり、複数のハンド駆動モータMは、それぞれが備えるエンコーダME同士について、ディスク部の端面同士が検知部を挟んで対向し、かつ、検知部の側面同士がモータ軸AHを挟んで対向する姿勢で、1つのアームに内蔵される(
図1参照)。なお、各エンコーダMEの形状については、半円状に対応する領域に配置可能な形状であれば、扇形や不規則な形状など任意の形状とすることができる。
【0048】
このように、エンコーダMEを半円状の外形に収まる形状とし、モータ軸AHを挟んで対向させることで、組み合わせた状態の複数のハンド駆動モータMを全体として低背化することができる。したがって、アームの薄型化を図ることが可能となる。
【0049】
次に、
図3等に示した第2アーム12の構成について
図5Aおよび
図5Bを用いて説明する。
図5Aは、モータ内蔵のサブフレーム12Sを示す側面模式図であり、
図5Bは、組み立て後のアームを示す側面模式図である。
【0050】
図5Aに示すように、サブフレーム12Sの1つであるサブフレーム12S1は、ハンド駆動モータM1を内蔵する。また、サブフレーム12S2は、ハンド駆動モータM2を内蔵する。そして、ハンド駆動モータM1の中空シャフトMS1は、サブフレーム12S1からモータ軸AHに沿って突出している。また、ハンド駆動モータM2の中空シャフトMS2は、サブフレーム12S2からモータ軸AHに沿って突出している。
【0051】
ここで、たとえば、サブフレーム12S1を方向S31へ移動させることで、ハンド駆動モータM1の中空部へハンド駆動モータM2の中空シャフトMS2を挿入することができる。そして、サブフレーム12S1の底面とサブフレーム12S2の上面とが接した状態で両者を固定することで、サブフレーム12S1およびサブフレーム12S2を組み立てることができる。なお、組み立てた状態で、中空シャフトMS2の先端は、中空シャフトMS1の先端から突出する。
【0052】
つまり、第2アーム12(
図3参照)は、複数のハンド13を支持する側がモータ軸AHに沿って複数のサブフレーム12Sに分離可能であり、各ハンド駆動モータMは、
図5Aに示した各サブフレーム12Sに1つずつ固定される。すなわち、第2アーム12は、複数のハンド13側においてモータ軸AHに沿って分解可能な複数のサブフレーム12Sを有する。そして、各サブフレーム12Sは、複数のハンド駆動モータMをそれぞれ1つずつ内蔵する。このように、分離型のサブフレーム12Sにハンド駆動モータMをそれぞれ内蔵させることで、アームの組み立てを容易に行うことができる。
【0053】
また、
図5Bに示すように、組み立てた状態のサブフレーム12S1およびサブフレーム12S2を、第2アーム12のベースフレーム12Bへ向けて(方向S32参照)移動させることで、ベースフレーム12Bにモータ内蔵のサブフレーム12Sを組み付ける。
【0054】
また、サブフレーム12S3を上方からベースフレーム12Bへ組み付けることで(方向S33参照)、第2アーム12が完成する。なお、サブフレーム12S3はハンド駆動モータMを内蔵しないユニットである。サブフレーム12S3の構成については
図6を用いて後述する。
【0055】
ここで、複数のサブフレーム12Sは、それぞれの外形が第2アーム12の外形の一部をなす形状である。つまり、複数のサブフレーム12Sは、それぞれが、第2アーム12の外形を構成する外面を有する。また、ハンド駆動モータMを内蔵するサブフレーム12S1およびサブフレーム12S2を、各ハンド駆動モータMにおけるモータ軸AHが同心となるように重ねた状態で、第2アーム12がハンド13(
図3参照)を支持する側の外形を構成する。
【0056】
このように、各サブフレーム12Sの外形を、組立時に第2アーム12の外形の一部となる形状とすることで、第2アーム12の部品数を削減することができ、第2アーム12の小型化を図ることが可能となる。
【0057】
次に、
図5Bに示したサブフレーム12S3の構成について
図6を用いて説明する。
図6は、モータを内蔵しないサブフレーム12Sを示す斜視模式図である。なお、
図6では、サブフレーム12Sの内部構成を示すために、上面のカバーを外した状態を示している。
【0058】
図6に示すように、サブフレーム12S3は、ハンド13B(
図3参照)に接続されるケーブルC13Bを収容するユニットである。ハンド13Bが旋回すると、ハンド13Bの回転軸まわりにケーブルC13Bが巻き取られる。ここで、ハンド13Bが十分な旋回角度をもつように、必要十分な長さのケーブルC13Bがサブフレーム12Sに収容される。
【0059】
たとえば、
図6に示したように、ケーブルC13Bを上面視でS字状あるいは逆S字状に屈曲させた姿勢でサブフレーム12Sに格納することで、十分な長さを確保することができる。
【0060】
ここで、
図5Bに示したように、ハンド駆動モータMは、いわゆる、ダイレクトドライブモータであるので、第2アーム12にベルト等の駆動力を伝達する機構を設ける必要がない。したがって、ベルト駆動の場合よりも、サブフレーム12Sの容積を大きくすることができ、収容可能なケーブルC13Bの長さを長くすることができる。
【0061】
このため、ハンド13B(
図3参照)の旋回角度範囲の拡大に寄与する。また、ベルト駆動とする代わりにハンド駆動モータMをダイレクトドライブモータとすることで、第2アーム12のアーム長を変更する設計変更が容易となる。
【0062】
次に、
図1等に示したハンド駆動モータMをアキシャルギャップモータとする場合について、
図7~
図9を用いて説明する。
図7は、第1モータユニット100の分解斜視図であり、
図8は、第2モータユニット200の分解斜視図である。また、
図9は、組立後の第2アーム12の側断面模式図である。
【0063】
図7に示すように、第1モータユニット100は、
図1等に示したハンド駆動モータM1に相当する第1モータ101と、
図5A等に示したサブフレーム12S1とを備える。なお、サブフレーム12S1の上面および下面は開放されているものとするが、上面には着脱可能なカバーが設けられる。
【0064】
また、ベースフレーム12B(
図5B参照)に接続される側のサブフレーム12S1の側面には適宜、連通孔を設けることができる。また、
図7では、サブフレーム12S1の内部に設けられ、第1モータ101の各部品が取り付けられる内壁などの記載を省略している。
【0065】
第1モータ101は、アキシャルギャップモータのステータおよびロータにそれぞれ対応するステータ110と、ロータ120とを備える。また、第1モータ101は、
図1等に示した中空シャフトMS1に相当する中空シャフト121およびボス122と、ベアリング140と、ベアリング押さえ141とを備える。
【0066】
また、第1モータ101は、
図1等に示したエンコーダME1に相当するエンコーダ130を備える。エンコーダ130は、ディスク部131と、検知部132と、支持部133とを備える。
【0067】
ステータ110は、モータ軸AHに沿う中空部を有する円板状であり、ロータ120側の端面にティースおよびティースに巻回される巻線を備える。なお、ステータ110は、ティースに巻線を巻回した後にモールドされる。ロータ120は、ステータ110の端面と端面が対向し、ステータ110の中空部と連通する中空部を有する。
【0068】
なお、ロータ120におけるステータ110側の端面には複数の磁石が周方向に沿って設けられる。また、ロータ120における他方の端面には、エンコーダ130のディスク部131が固定される。なお、ディスク部131にもロータ120の中空部と連通する中空部が設けられる。
【0069】
図7に示したように、中空シャフト121は、ロータ120の上面に固定される。なお、ステータ110は、中空シャフト121の外周から内周が離間するように配置される。ベアリング140は、いわゆる、クロスローラベアリングである。ベアリング140をクロスローラベアリングとすることで、高い剛性と小型化とを両立することができる。
【0070】
たとえば、ベアリング140の内周側は中空シャフト121の外周に固定され、ベアリング140の外周側はベアリング押さえ141によってサブフレーム12S1に固定される。なお、
図7では、ベアリング140が固定されるサブフレーム12S1の内壁の記載を省略している。また、ボス122は、中空シャフト121の中空部が中空部と連通するように中空シャフト121の上面に固定される。
【0071】
エンコーダ130の検知部132は、ロータ120の端面に設けられたディスク部131の端面と端面が対向するように配置される。支持部133は、検知部132の他方の端面側を支持するとともに、サブフレーム12S1に固定される。なお、支持部133をステータ110に固定可能な形状とし、ステータ110に固定することとしてもよい。
【0072】
このように、第1モータ101は、モータ軸AHに沿う中空部を有する円板状のステータ110と、ステータ110の端面と端面が対向し、中空部を有する円板状のロータ120とを備える。
【0073】
また、第1モータ101は、ロータ120の中空部と連通するようにロータ120に接続され、モータ軸AHに沿って延伸される中空シャフト121およびボス122を備える。なお、第1モータ101の中空シャフト121は、ロータ120におけるステータ110側に設けられ、ステータ110の中空部を貫通してモータ軸AHに沿って延伸される。
【0074】
図7に示したように、ステータ110、ロータ120、中空シャフト121およびボス122を中空とすることで、中空内に配線や、他のユニットのモータのシャフトを配置することができ、アームの小型化を図ることが可能となる。
【0075】
図8に示すように、第2モータユニット200は、
図1等に示したハンド駆動モータM2に相当する第2モータ201と、
図5A等に示したサブフレーム12S2とを備える。なお、サブフレーム12S2の上面は開放されているものとする。なお、上面に着脱可能なカバーを設けることとしてもよい。
【0076】
また、ベースフレーム12B(
図5B参照)に接続される側のサブフレーム12S2の側面には適宜、連通孔を設けることができる。また、
図8では、サブフレーム12S2の内部に設けられ、第2モータ201の各部品が取り付けられる内壁などの記載を省略している。
【0077】
第2モータ201は、アキシャルギャップモータのステータおよびロータにそれぞれ対応するステータ210と、ロータ220とを備える。また、第2モータ201は、
図1等に示した中空シャフトMS2に相当する中空シャフト221と、ベアリング240と、外周押さえ241と、内周押さえ242とを備える。なお、外周押さえ241は、ベアリングの240の外周を押さえる部品であり、内周押さえ242は、ベアリング240の内周を押さえる部品である。
【0078】
また、第2モータ201は、
図1等に示したエンコーダME2に相当するエンコーダ230を備える。エンコーダ230は、ディスク部231と、検知部232と、支持部233とを備える。
【0079】
ステータ210は、モータ軸AHに沿う中空部を有する円板状であり、ロータ220側の端面にティースおよび巻線が巻回される。なお、ステータ210は、ティースに巻線を巻回した後にモールドされる。ロータ220は、ステータ210の端面と端面が対向し、ステータ210の中空部と連通する中空部を有する。
【0080】
なお、ロータ220におけるステータ210側の端面には複数の磁石が周方向に沿って設けられる。また、ロータ220における他方の端面には、エンコーダ230のディスク部231が固定される。なお、ディスク部231には、中空シャフト221が貫通する中空部が設けられる。
【0081】
図8に示したように、中空シャフト221は、ロータ220の上面に固定される。ベアリング240は、いわゆる、クロスローラベアリングである。ベアリング240をクロスローラベアリングとすることで、高い剛性と小型化とを両立することができる。たとえば、ベアリング240の内周側は、内周押さえ242によって中空シャフト221の外周に固定され、ベアリング240の外周側は外周押さえ241によってサブフレーム12S2に固定される。
【0082】
エンコーダ230の検知部232は、ロータ220の端面に設けられたディスク部231の端面と端面が対向するように配置される。支持部233は、検知部232の他方の端面側を支持するとともに、サブフレーム12S2に固定される。なお、支持部233をステータ210に固定可能な形状とし、ステータ210に固定することとしてもよい。
【0083】
このように、第2モータ201は、モータ軸AHに沿う中空部を有する円板状のステータ210と、ステータ210の端面と端面が対向し、中空部を有する円板状のロータ220とを備える。
【0084】
また、第2モータ201は、ロータ220の中空部と連通するようにロータ220に接続され、モータ軸AHに沿って延伸される中空シャフト221を備える。なお、第2モータ201の中空シャフト221は、ロータ220におけるステータ210とは反対側の端面に固定され、ステータ210から離れる向きにモータ軸AHに沿って延伸される。
【0085】
図8に示したように、ステータ210、ロータ220および中空シャフト221を中空とすることで、中空内に配線や、他のユニットのモータのシャフトを配置することができ、アームの小型化を図ることが可能となる。
【0086】
次に、
図7に示した第1モータユニット100と、
図8に示した第2モータユニット200とを組み立てた状態の第2アーム12について
図9を用いて説明する。
図9は、組立後の第2アーム12の側断面模式図である。なお、
図9は、第2アーム12の先端側から基端側をみて、モータ軸AHの位置でYZ平面と平行な平面で切断した断面図に相当する。また、以下の説明では、
図7および
図8で説明した構成については適宜、説明を省略することとする。
【0087】
図9に示すように、第1モータユニット100および第2モータユニット200は、エンコーダME1およびエンコーダME2を除いてモータ軸AHについて対称な形状である。また、エンコーダME1およびエンコーダME2は、モータ軸AH軸について対向する位置にある。なお、
図9では、エンコーダME1およびエンコーダME2がそれぞれ固定されるサブフレーム12S1およびサブフレーム12S2の内壁の記載を省略している。
【0088】
第1モータユニット100のボス122は、第2アーム12の上面に突出している。また、第2モータユニット200の中空シャフト221は、第1モータユニット100の中空部を貫通して第2アーム12の上面に突出している。
【0089】
ここで、モータ軸AHに沿って第2アーム12の下面から上面へ向かって第2モータ201のステータ210、ロータ220、第1モータ101のロータ120、ステータ110の順序で各部品が配置される。
【0090】
また、第1モータユニット100のエンコーダME1は、第1モータユニット100におけるロータ120の下面側と対向する位置に配置され、第2モータユニット200のエンコーダME2は、第2モータユニット200におけるロータ220の上面側と対向する位置に配置される。なお、
図9に示したように、エンコーダME1およびエンコーダME2はモータ軸AHに沿う向きについてほぼ同じ高さに配置される。
【0091】
このように、ハンド駆動モータMの1つである第1モータ101は、中空シャフトを構成する中空シャフト121およびボス122が第1モータ101におけるステータ110の中空部を貫通して延伸される。また、ハンド駆動モータMの1つである第2モータ201は、中空シャフト221が第2モータ201におけるステータ210から離れる向きに延伸される。
【0092】
そして、第2アーム12は、ステータ210から離れる向きに延伸される中空シャフト221が、ステータ110の中空部を貫通して延伸される中空シャフト121およびボス122を貫通する姿勢で、第1モータ101および第2モータ201をそれぞれ内蔵する。つまり、ステータ210から離れる向きに延伸された中空シャフト221が、ステータ110の中空部を貫通して延伸された中空シャフト121を貫通する姿勢で、1つのアームに内蔵される。
【0093】
このように、ステータ210から離れる向きに延伸される中空シャフト221を、ステータ110の中空部を貫通して延伸される中空シャフト121を貫通するように第1モータ101および第2モータ201が配置される。このようにすることで、これらのモータを内蔵する第2アーム12の低背化を図ることができる。
【0094】
また、
図9に示したように、第1モータ101および第2モータ201は、モータ軸AHに沿って第2アーム12の下面側から上面側へ貫通する中空部を有する。かかる中空部には、たとえば、第2モータユニット200の中空シャフト221に接続されるハンド13B(
図3参照)用のケーブルを配索することができる。
【0095】
なお、
図9には、2つのモータの中空シャフトを入れ子配置する場合を示したが、3つ以上のモータを同軸配置する場合には、
図9に示した入れ子配置を少なくとも1つ含むように各モータを配置することとすればよい。
【0096】
次に、搬送ロボット10と、搬送ロボット10の動作制御を行う制御装置20とを含んだロボットシステム1について
図10を用いて説明する。
図10は、ロボットシステム1のブロック図である。なお、搬送ロボット10の構成等については既に説明したので、以下では、制御装置20の構成について主に説明することとする。なお、
図10では、制御装置20に接続される、いわゆる、ペンダント等の入力用端末装置を省略している。
【0097】
図10に示すように、制御装置20は、制御部21と、記憶部22とを備える。制御部21は、動作制御部21aを備える。また、記憶部22は、教示データ22aを記憶する。なお、制御装置20は、搬送ロボット10に接続される。
【0098】
ここで、制御装置20は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部21の動作制御部21aとして機能する。
【0099】
また、制御部21の動作制御部21aをASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0100】
また、記憶部22は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、教示データ22aを記憶することができる。なお、制御装置20は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0101】
制御装置20の制御部21は、教示データ22aに基づいて搬送ロボット10の動作制御を行う。また、搬送ロボット10の動作にエラーが発生した場合などに搬送ロボット10の動作を抑制する処理を行う。
【0102】
動作制御部21aは、教示データ22aに基づいて搬送ロボット10の動作制御を行う。具体的には、動作制御部21aは、記憶部22に記憶された教示データ22aに基づいて搬送ロボット10における各軸に対応するモータに指示することで、搬送ロボット10に基板等の被搬送物の搬送を行わせる。また、動作制御部21aは、モータにおけるエンコーダ値を用いてフィードバック制御を行うなどして搬送ロボット10の動作精度を向上させる。
【0103】
教示データ22aは、搬送ロボット10へ動作を教示するティーチング段階で生成され、ハンド13(
図1参照)の移動軌跡をはじめとする搬送ロボット10の動作を規定する「ジョブ」を含んだ情報である。なお、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータで生成された教示データ22aを記憶部22に記憶させることとしてもよい。
【0104】
上述してきたように、本実施形態に係る搬送ロボット10は、複数のハンド13と、第2アーム12とを備える。複数のハンド13は、被搬送物を保持可能であり、同軸でそれぞれ旋回する。第2アーム12は、複数のハンド13を支持する。第2アーム12は、複数のハンド13を先端側の上面で支持するとともに、複数のハンド13をそれぞれ直接駆動する複数のハンド駆動モータMを、モータ軸AHを同心としてモータ軸AHに沿う向きに並んだ姿勢で内蔵する。
【0105】
このように、ハンド13をそれぞれ直接駆動する複数のハンド駆動モータMを、モータ軸AHを同心としてモータ軸AHに沿う向きに並んだ姿勢でアームに内蔵することによって、ハンド駆動モータMの収容スペースを狭小化することができる。したがって、アームの小型化を図ることが可能となる。
【0106】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 ロボットシステム
10 搬送ロボット
11 第1アーム
12 第2アーム
12B ベースフレーム
12S サブフレーム
13 ハンド
15 本体部
16 昇降部
20 制御装置
21 制御部
21a 動作制御部
22 記憶部
22a 教示データ
100 第1モータユニット
101 第1モータ
110 ステータ
120 ロータ
121 中空シャフト
122 ボス
130 エンコーダ
131 ディスク部
132 検知部
133 支持部
140 ベアリング
141 ベアリング押さえ
200 第2モータユニット
201 第2モータ
210 ステータ
220 ロータ
221 中空シャフト
230 エンコーダ
231 ディスク部
232 検知部
233 支持部
240 ベアリング
241 外周押さえ
242 内周押さえ
A0 昇降軸
A1 第1軸
A2 第2軸
AH モータ軸
M ハンド駆動モータ
ME エンコーダ
MS 中空シャフト