(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174283
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】車両用開閉体制御装置
(51)【国際特許分類】
E05B 81/66 20140101AFI20231130BHJP
E05D 15/10 20060101ALI20231130BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20231130BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20231130BHJP
E05F 15/649 20150101ALI20231130BHJP
E05F 15/655 20150101ALI20231130BHJP
【FI】
E05B81/66
E05D15/10
B60J5/04 L
B60J5/00 J
B60J5/04 Z
E05F15/649
E05F15/655
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087046
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】和泉 健太
【テーマコード(参考)】
2E034
2E052
2E250
【Fターム(参考)】
2E034FA01
2E034GA08
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA01
2E052DA06
2E052DB01
2E052DB06
2E052EA18
2E052EB01
2E052EC01
2E052GC02
2E052GC07
2E052GD03
2E052KA02
2E052LA02
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ46
2E250LL01
2E250SS02
2E250SS08
2E250UU02
2E250UU03
2E250VV00
2E250VV02
(57)【要約】
【課題】開閉体を正しく全閉動作させる。
【解決手段】ドア5の閉側端部には、ドア側係合部が設けられ、ドア開口部の閉側端部には、車体側係合部が設けられる。全閉位置近傍においては、車体側係合部に対してドア側係合部が正しく係合することによりドア5の開閉動作が案内される。制御装置70において、開口閉鎖検出部90aとしての異常検知部80は、ドア5の閉側端部がドア開口部の閉側端部を閉鎖する状態となることにより変化する閉鎖状態信号Sdcを検出する。ラッチ状態検出部90bとしてのロック制御部76は、ドア5の開側端部をドア開口部の開側端部に拘束するリヤラッチ77Rの作動状態を検出する。そして、係合不良検知部90cとしての異常検知部80は、そのリヤラッチ77Rが脱離状態から係合状態に移行したとき、閉鎖状態信号Sdcの変化が検出されない場合に、車体側係合部に対するドア側係合部の係合不良を検知する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開口部に設けられた開閉体が前記開口部を閉鎖する状態を検出する開口閉鎖検出部と、
前記開閉体を前記開口部に拘束するラッチ機構の作動状態を検出するラッチ状態検出部と、を備え、
前記開閉体は、車体に対する第1の回動連結点と前記開閉体に対する第2の回動連結点とを有した第1及び第2のリンクアームが形成するリンク機構の動作に基づき開閉動作するものであり、
前記開閉体の閉側端部には、開閉体側係合部が設けられ、
前記開閉体の開閉動作に基づき該開閉体の前記閉側端部が接離する前記開口部の閉側端部には、車体側係合部が設けられ、
前記開閉体側係合部及び前記車体側係合部の一方側は、ガイド係合部を備え、
前記開閉体側係合部及び前記車体側係合部の他方側は、互いに対向する一対の側壁部を有して前記開閉体の開閉動作方向に延在するガイド溝を備えてなり、
前記第1及び第2のリンクアームの少なくとも何れかには、前記第1及び第2の回動連結点間の連結長を変更可能とする連結長可変機構が設けられ、
前記開閉体の全閉位置近傍においては、前記車体側係合部に対して前記開閉体側係合部が正しく係合することにより、前記ガイド溝内に前記ガイド係合部が配置された状態で前記開閉体の開閉動作が案内されるとともに、
前記開口閉鎖検出部は、前記開閉体の閉側端部が前記開口部の閉側端部を前記閉鎖する状態となることにより変化する閉鎖状態信号を検出するものであり、
前記ラッチ状態検出部は、前記開閉体の開側端部を前記開口部の開側端部に拘束する前記ラッチ機構の作動状態を検出するものであって、
前記ラッチ機構が脱離状態から係合状態に移行したとき、前記閉鎖状態信号の変化が検出されない場合に、前記車体側係合部に対する前記開閉体側係合部の係合不良を検知する係合不良検知部を備える車両用開閉体制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記閉鎖状態信号は、前記開口部の閉側端部に対して前記開閉体の前記閉側端部が近接及び離間することによりオン/オフするセンサスイッチの出力信号であること、
を特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記閉鎖状態信号は、前記ラッチ機構として前記開閉体の閉側端部を前記開口部の閉側端部に拘束する閉側ラッチの作動状態を示すラッチ信号であること、
を特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記開閉体を前記開閉動作させる駆動制御部を備えること、
を特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記駆動制御部は、前記係合不良が検知された場合に、前記開閉体を反転動作させること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項6】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記係合不良が検知された場合に、該係合不良の検知を報知する報知制御部を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用開閉体制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車体に対する第1の回動連結点と車両のドアに対する第2の回動連結点とを有した第1及び第2のリンクアームを備える車両用のドア装置がある。このようなドア装置は、第1及び第2のリンクアームが形成するリンク機構の動作に基づいて、そのドア開口部に設けられたドアが開閉動作する。そして、例えば、特許文献1には、そのリンク機構を形成する各リンクアームを、ドアが閉状態にある場合において、車体側部の端末部に装着されるドアオープニングの外側、且つドアの車内側に装着されるウェザストリップの内側に格納する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなリンク機構を用いて車両の開閉体を開閉動作させる構成においては、その第2の回動連結点周りに開閉体の回動が許容される。このため、外力の入力等により、その開閉体が揺動する可能性がある。そして、この開閉体に生じた揺動が、その円滑な動作の妨げとなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置の各態様を記載する。
態様1の車両用開閉体制御装置は、車両の開口部に設けられた開閉体が前記開口部を閉鎖する状態を検出する開口閉鎖検出部と、前記開閉体を前記開口部に拘束するラッチ機構の作動状態を検出するラッチ状態検出部と、を備え、前記開閉体は、車体に対する第1の回動連結点と前記開閉体に対する第2の回動連結点とを有した第1及び第2のリンクアームが形成するリンク機構の動作に基づき開閉動作するものであり、前記開閉体の閉側端部には、開閉体側係合部が設けられ、前記開閉体の開閉動作に基づき該開閉体の前記閉側端部が接離する前記開口部の閉側端部には、車体側係合部が設けられ、前記開閉体側係合部及び前記車体側係合部の一方側は、ガイド係合部を備え、前記開閉体側係合部及び前記車体側係合部の他方側は、互いに対向する一対の側壁部を有して前記開閉体の開閉動作方向に延在するガイド溝を備えてなり、前記第1及び第2のリンクアームの少なくとも何れかには、前記第1及び第2の回動連結点間の連結長を変更可能とする連結長可変機構が設けられ、前記開閉体の全閉位置近傍においては、前記車体側係合部に対して前記開閉体側係合部が正しく係合することにより、前記ガイド溝内に前記ガイド係合部が配置された状態で前記開閉体の開閉動作が案内されるとともに、前記開口閉鎖検出部は、前記開閉体の閉側端部が前記開口部の閉側端部を前記閉鎖する状態となることにより変化する閉鎖状態信号を検出するものであり、前記ラッチ状態検出部は、前記開閉体の開側端部を前記開口部の開側端部に拘束する前記ラッチ機構の作動状態を検出するものであって、前記ラッチ機構が脱離状態から係合状態に移行したとき、前記閉鎖状態信号の変化が検出されない場合に、前記車体側係合部に対する前記開閉体側係合部の係合不良を検知する係合不良検知部を備える。
【0006】
即ち、開閉体を全閉状態で車両の開口部に拘束するためのラッチ機構が脱離状態から係合状態に移行したことにより開閉体の全閉動作を確認することができる。更に、このとき、車体側係合部に対する車体側係合部の係合不良が生じている場合には、その開閉体側係合部が設けられた開閉体の閉側端部が開口部の閉側端部を閉鎖できない状態にある。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、精度よく、その車体側係合部に対する開閉体側係合部の係合不良を検知することができる。そして、これにより、開閉体を正しく全閉動作させることができる。
【0007】
態様2の車両用開閉体制御装置は、態様1の車両用開閉体制御装置において、前記閉鎖状態信号は、前記開口部の閉側端部に対して前記開閉体の前記閉側端部が近接及び離間することによりオン/オフするセンサスイッチの出力信号である。
【0008】
上記構成によれば、簡素な構成にて、精度よく、開閉体の閉側端部が開口部の閉側端部を閉鎖する状態となることにより変化する閉鎖状態信号を検出することができる。
態様3の車両用開閉体制御装置は、態様1又は態様2の車両用開閉体制御装置において、前記閉鎖状態信号は、前記ラッチ機構として前記開閉体の閉側端部を前記開口部の閉側端部に拘束する閉側ラッチの作動状態を示すラッチ信号である。
【0009】
即ち、開閉体の閉側端部が開口部の閉側端部を閉鎖する状態にならないことで、その開閉体の閉側端部を開口部の閉側端部に拘束する閉側ラッチもまた、脱離状態から係合状態に移行することができない。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、精度よく、開閉体の全閉動作時、その車体側係合部に対する開閉体側係合部の係合不良を検知することができる。
【0010】
態様4の車両用開閉体制御装置は、態様1~態様3の何れか一つの態様に記載の車両用開閉体制御装置において、前記開閉体を前記開閉動作させる駆動制御部を備える。
即ち、上記のような駆動源を有して開閉体を開閉動作させる構成においては、外乱の入力により開閉体に揺動が生じた場合においても、手動操作時のように、その外乱に抗して開閉体の姿勢を安定させることが難しい。従って、このような構成に適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0011】
態様5の車両用開閉体制御装置は、態様4の車両用開閉体制御装置において、前記駆動制御部は、前記係合不良が検知された場合に、前記開閉体を反転動作させる。
上記構成によれば、開閉体の全閉動作時に生じた車体側係合部に対する開閉体側係合部の係合不良を速やかに解消することができる。そして、これにより、開閉体を正しく全閉動作させることができる。
【0012】
態様6の車両用開閉体制御装置は、態様1~態様5の何れか一つの態様に記載の車両用開閉体制御装置において、前記係合不良が検知された場合に、該係合不良の検知を報知する報知制御部を備える。
【0013】
上記構成によれば、開閉体の全閉動作時に生じた車体側係合部に対する開閉体側係合部の係合不良を速やかに、利用者に知らしめて、その解消を促すことができる。そして、これにより、開閉体を正しく全閉動作させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開閉体を正しく全閉動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】リンク機構を形成する第1及び第2のリンクアームの平面図である。
【
図4】リンク機構を形成する第1及び第2のリンクアームの平面図である。
【
図5】リンク機構を形成する第1及び第2のリンクアームの平面図である。
【
図6】リンク機構を形成する第1及び第2のリンクアームの平面図である。
【
図7】ドア側係合部及び車体側係合部の概略構成図である。
【
図8】ドア側係合部及び車体側係合部、並びにロック装置の配置を示す説明図である。
【
図9】ドア側係合部及び車体側係合部、並びにセンサスイッチの配置を示すドア及びドア開口部の斜視図である。
【
図10】連結長可変機構を構成する関節リンク機構の平面図である。
【
図11】連結長可変機構を構成する関節リンク機構の平面図である。
【
図12】制御装置によるドアの制御ブロック図である。
【
図13】車体側係合部に対してドア側係合部が正しく係合した場合の模式図である。
【
図14】車体側係合部に対するドア側係合部の係合不良が生じた場合の模式図である。
【
図15】車体側係合部に対するドア側係合部の係合不良について検知判定の処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】車体側係合部に対するドア側係合部の係合不良を検知した場合に実行するドアの反転制御及び報知制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】車体側係合部に対するドア側係合部の係合不良について検知判定の態様を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、車両用開閉体制御装置を車両のドア装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の車両1は、車体2の側面2sに設けられたドア開口部3を備えている。そして、そのドア開口部3には、このドア開口部3に車両1のドア5を支持する第1のリンクアーム11及び第2のリンクアーム12が設けられている。
【0017】
(リンク機構)
詳述すると、本実施形態の車両1において、これら第1及び第2のリンクアーム11,12は、それぞれ、車体2に対する第1の回動連結点X1と、ドア5に対する第2の回動連結点X2と、を有している。具体的には、第1のリンクアーム11は、上下方向(各図中、上下方向)に延びる支軸N1aに軸支された状態で車体2に連結されるとともに、上下方向に延びる支軸N1bに軸支された状態でドア5に連結されている。そして、第2のリンクアーム12もまた、上下方向に延びる支軸N2aに軸支された状態で車体2に連結されるとともに、上下方向に延びる支軸N2bに軸支された状態でドア5に連結されている。
【0018】
即ち、
図3~
図6に示すように、本実施形態の車両1においては、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12が四節リンクとしての構成を有したリンク機構15を形成する。そして、本実施形態の車両1は、このリンク機構15の動作に基づいて、そのドア開口部3に支持されたドア5が開閉動作する構成になっている。
【0019】
さらに詳述すると、
図1及び
図2に示すように、本実施形態の車両1は、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12を用いて、そのドア5を車両後方側(
図1中、左側、
図2中、右側)のドア開口部3に支持する。本実施形態の車両1において、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12は、それぞれ、ドア開口部3の後縁部3r近傍において、その車体2に対して回動可能に連結された第1の回動連結点X1を有している。そして、本実施形態の車両1においては、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12が上下方向に離間して配置されている。
【0020】
本実施形態の車両1においては、第1のリンクアーム11の方が、第2のリンクアーム12よりも上方に設けられている。また、第1のリンクアーム11は、ドア5の前後方向略中央位置において、このドア5に対して回動可能に連結された第2の回動連結点X2を有している。一方、第2のリンクアーム12は、ドア5の前端部5f近傍において、このドア5に連結された第2の回動連結点X2を有している。そして、本実施形態の車両1においては、これにより、その第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づいて、そのドア5が開閉動作するようなドア装置20が形成されている。
【0021】
具体的には、
図3~
図6に示すように、本実施形態のドア装置20は、ドア5の開動作時、第1及び第2のリンクアーム11,12が、それぞれ、その第1の回動連結点X1周りに、各図中、反時計回り方向に回動する。そして、これにより、これらの第1及び第2のリンクアーム11,12に支持された車両1のドア5が、車両後方側(各図中、左側)に開動作する。
【0022】
また、本実施形態のドア装置20は、ドア5の閉動作時、第1及び第2のリンクアーム11,12が、それぞれ、その第1の回動連結点X1周りに、各図中、時計回り方向に回動する。そして、これにより、これら第1及び第2のリンクアーム11,12に支持された車両1のドア5が、車両前方側(各図中、右側)に閉動作する構成になっている。
【0023】
更に、本実施形態のドア装置20は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づいて、円弧状軌跡Rgを描くように、そのドア5の開閉動作軌跡Rが規定される。即ち、
図5に示すように、第1及び第2のリンクアーム11,12が車幅方向(
図3~
図6中、上下方向)に延在する状態となる中間位置においては、車両前後方向への移動成分が大きくなる。そして、
図3及び
図4に示すように、ドア5の開閉動作位置が全閉位置P0に近いほど、第1及び第2のリンクアーム11,12が車両前後方向(
図3~
図6中、左右方向)に延在する状態となることで、その車幅方向への移動成分が大きくなる。
【0024】
また、本実施形態のドア装置20においては、第2のリンクアーム12よりも第1のリンクアーム11の方が、より重心Gに近い位置に、そのドア5に対する第2の回動連結点X2を有している。即ち、本実施形態のドア装置20においては、これにより、この第1のリンクアーム11が、より大きなドア荷重を支えるメインリンク21に位置付けられている。そして、第2のリンクアーム12は、その作用するドア荷重が比較的小さいサブリンク22に位置付けられている。
【0025】
尚、本実施形態のドア装置20においては、第1のリンクアーム11の方が、第2のリンクアーム12よりも大きな外形を有している。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、そのメインリンク21に位置付けられた第1のリンクアーム11に高い支持剛性を付与する構成となっている。
【0026】
(アクチュエータ)
また、本実施形態のドア装置20は、モータ23を駆動源として、その第1のリンクアーム11を回転駆動するアクチュエータ25を備えている。本実施形態のドア装置20において、このアクチュエータ25は、第1のリンクアーム11の基端部分に設けられている。即ち、本実施形態のアクチュエータ25は、第1のリンクアーム11を回動させるかたちで、この第1のリンクアーム11及び第2のリンクアーム12が形成するリンク機構15を駆動する。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、このアクチュエータ25の駆動力に基づいて、そのドア5を開閉動作させることが可能になっている。
【0027】
(ドア側係合部及び車体側係合部)
図3~
図7に示すように、本実施形態のドア装置20は、ドア5の前端部5fに設けられたドア側係合部31と、ドア開口部3の前縁部3fに設けられた車体側係合部32と、を備えている。即ち、本実施形態の車両1において、ドア側係合部31は、第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づき車両1のドア開口部3を開閉するドア5の閉動作側に位置する閉側端部33に設けられている。更に、車体側係合部32は、その車両前後方向に移動するドア5の開閉動作に基づいて、このドア5の閉側端部33が接離、即ち接近又は離間するドア開口部3の閉側端部34に設けられている。そして、本実施形態のドア装置20は、ドア5が全閉位置P0近傍にある状態において、これらのドア側係合部31及び車体側係合部32が互いに係合する構成になっている。
【0028】
詳述すると、本実施形態のドア側係合部31は、そのガイド係合部として、車両1の上下方向(
図7中、紙面に直交する方向)に延びる軸状係合部41を備えている。尚、本実施形態のドア装置20において、このガイド係合部としての軸状係合部41は、上下方向に延在する図示しない支軸周りに回転自在に軸支されたローラ41xとしての構成を有している。更に、車体側係合部32は、車幅方向(
図7中、上下方向)に対向する一対の側壁部42a,42bを有してドア5の開閉動作方向に延在するガイド溝42を備えている。そして、本実施形態のドア装置20は、ドア5が全閉位置P0近傍にある場合には、このガイド溝42内に、そのガイド係合部を構成する軸状係合部41を配置する状態で、これらのドア側係合部31及び車体側係合部32が互いに係合する構成になっている。
【0029】
即ち、車幅方向に対向する一対の側壁部42a,42b間に挟み込まれる状態で、車体側係合部32のガイド溝42内にドア側係合部31の軸状係合部41が配置されることにより、その車幅方向におけるドア5の変位が規制される。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、リンク機構15を形成する第1及び第2のリンクアーム11,12が並んだ状態になりやすい全閉位置P0近傍においても、そのドア5を安定的に支持することが可能になっている。
【0030】
尚、
図8及び
図9に示すように、本実施形態のドア装置20は、上下方向に離間した二位置において、そのドア5の前端部5fに設けられたドア側係合部31,31を備えている。更に、このドア装置20は、同じく上下方向に離間した二位置において、そのドア開口部3の前縁部3fに設けられた車体側係合部32,32を備えている。そして、本実施形態のドア装置20は、これらのドア側係合部31,31及び車体側係合部32,32が互いに係合する状態で、そのドア5を全閉位置P0に保持する構成になっている。
【0031】
(ロック装置)
また、
図8に示すように、本実施形態のドア装置20は、ドア5を全閉状態に保持するロック装置45を備えている。具体的には、このドア装置20は、ロック装置45として、ドア5の後端部5rに設けられたリヤロック45R及びドア5の前端部5fに設けられたフロントロック45Fを備えている。更に、これらの各ロック装置45は、それぞれ、ドア5が全閉位置P0に移動することにより、車体2側に設けられたストライカ46に係合するラッチ機構47を備えている。そして、各ロック装置45は、これら各ラッチ機構47及び各ストライカ46の係合力に基づいて、そのドア5を全閉位置P0に拘束する。
【0032】
即ち、フロントロック45Fのラッチ機構47を構成するフロントラッチ47Fは、このフロントラッチ47Fが設けられたドア5の前端部5f、つまりはドア5の閉側端部33を、ドア開口部3の閉側端部34となるドア開口部3の前縁部3fに拘束する。更に、リヤロック45Rのラッチ機構47を構成するリヤラッチ47Rは、このリヤラッチ47Rが設けられたドア5の後端部5r、つまりはドア5の開側端部48を、ドア開口部3の開側端部49となるドア開口部3の後縁部3rに拘束する。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、全閉位置P0に移動したドア5を、安定的に、その全閉状態に保持することのできる構成となっている。
【0033】
(連結長可変機構)
また、
図3~
図6に示すように、本実施形態のドア装置20において、サブリンク22としての位置付けを有する第2のリンクアーム12には、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを変更可能とする連結長可変機構50が設けられている。更に、この連結長可変機構50は、その第1及び第2の回動連結点X1,X2間の長さ、つまりは、この連結長可変機構50が設けられた第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lを短縮する方向に付勢されている。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、その第2のリンクアーム12による連結長Lが短縮された状態でドア5が開閉動作する構成になっている。
【0034】
また、
図3、
図4、及び
図7に示すように、本実施形態のドア装置20においては、第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構50の動作に基づいて、ドア側係合部31と車体側係合部32とが係合した状態でのドア5の開閉動作が許容される。具体的には、ドア側係合部31及び車体側係合部32が係合する状態でドア5が開閉動作することにより、連結長可変機構50の動作に基づいた連結長Lの変更を伴いながら、そのガイド溝42の延在方向に沿って軸状係合部41が相対変位する。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、そのドア5の開閉動作軌跡Rが変化する。
【0035】
つまり、本実施形態のドア装置20は、ドア5が全閉位置P0に移動する際、車体側係合部32に対してドア側係合部31が正しく係合することにより、そのガイド溝42内に軸状係合部41が配置された状態でドア5の開閉動作が案内される。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、そのリンク機構15の動作に基づいた円弧状軌跡Rgが、ドア開口部3の開口幅方向に沿った直線状軌跡Rsに変化する構成となっている。
【0036】
具体的には、本実施形態のドア装置20においては、ドア5の全閉動作時、そのドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する状態で、このドア5に対して閉動作方向の操作力が付与される。尚、本実施形態のドア装置20において、このドア5を開閉動作させるための操作力としては、上記アクチュエータ25の駆動力又はユーザーの手動操作が想定される。更に、この場合、その閉動作方向の操作力に基づき第2のリンクアーム12に設けられた連結長可変機構50が動作することで、ドア側係合部31と車体側係合部32との係合状態に基づいて、その第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lが延長される。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、上記のような直線状軌跡Rsを描く態様で、そのリンク機構15に支持されたドア5が全閉位置P0に向かって閉動作する構成になっている。
【0037】
また、全閉位置P0からドア5が開動作する場合には、そのドア側係合部31と車体側係合部32とが係合する状態で、このドア5に対して開動作方向の操作力が付与される。更に、この場合、その開動作方向の操作力に基づき連結長可変機構50が動作することで、ドア側係合部31と車体側係合部32との係合状態に基づいて、その第2のリンクアーム12によるドア5の連結長Lが短縮される。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、同じく直線状軌跡Rsを描く態様で、そのリンク機構15に支持されたドア5が全閉位置P0から開動作する構成になっている。
【0038】
さらに詳述すると、
図10及び
図11に示すように、本実施形態のドア装置20において、第2のリンクアーム12は、車体側リンク51及びドア側リンク52を備えて構成されている。即ち、車体側リンク51は、車体2に対する第1の回動連結点X1を有している。また、ドア側リンク52は、車両1のドア5に対する第2の回動連結点X2を有している。更に、本実施形態のドア装置20において、第2のリンクアーム12は、これらの車体側リンク51とドア側リンク52とを回動可能に連結した構成を有している。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより形成される関節リンク機構60が、その連結長可変機構50として機能する構成になっている。
【0039】
具体的には、本実施形態のドア側リンク52は、車体側リンク51との比較において、その軸方向長さの短い所謂ミニアームとしての構成を有している。また、車体側リンク51は、その長手方向の一端側に、車体2に対する車体側連結部61を有している。更に、ドア側リンク52もまた、その長手方向の一端側に、ドア5に対するドア側連結部62を有している。そして、これらの車体側リンク51及びドア側リンク52は、それぞれ、長手方向の他端側に、その互いに連結される中間連結部63,64を有している。
【0040】
即ち、本実施形態のドア装置20においては、これらの中間連結部63,64が、その第2のリンクアーム12に設けられた関節リンク機構60の中間連結点X3を形成する。また、第2のリンクアーム12は、この中間連結点X3を頂点として、その車体側リンク51及びドア側リンク52が三角形を形成する。そして、これにより、これらの車体側リンク51及びドア側リンク52が相対回動することで、上記三角形の底辺となる第1及び第2の回動連結点X1,X2を結ぶ直線の長さ、つまりは、その連結長Lが変化する構成となっている。
【0041】
(車両用開閉体制御装置)
次に、本実施形態のドア装置20に実装された車両用開閉体制御装置としての機能について説明する。
【0042】
図12に示すように、本実施形態のドア装置20において、アクチュエータ25は、制御装置70によって、その作動が制御されている。具体的には、本実施形態の制御装置70は、アクチュエータ25のモータ23に対する駆動電力の供給を制御する。更に、本実施形態のアクチュエータ25は、この駆動電力の供給により回転するモータ23の駆動力をリンク機構15に伝達する伝達機構71を備えている。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、モータ23を駆動源として、そのリンク機構15に支持された開閉体としてのドア5の開閉動作を制御することのできる車両用開閉体制御装置としての機能を有するものとなっている。
【0043】
詳述すると、本実施形態のアクチュエータ25には、その伝達機構71を構成する減速機構の動作に同期したパルス信号Spを出力するパルスセンサ72が設けられている。そして、本実施形態の制御装置70は、このパルスセンサ72のパルス出力に基づいて、そのアクチュエータ25に駆動されたドア5の開閉動作位置P及び開閉動作速度Vを検出する。
【0044】
更に、本実施形態の制御装置70には、ドア5や車室内、或いは携帯機等に設けられた操作入力部73の出力信号が入力される。即ち、本実施形態の制御装置70は、この操作入力部73が出力する操作入力信号Scrに基づいて、利用者によるドア5の作動要求を検知する。そして、本実施形態の制御装置70は、その要求された開閉動作方向にドア5を移動させるべく、モータ23に対する駆動電力の供給を通じてアクチュエータ25の作動を制御する駆動制御部75を備えている。
【0045】
また、本実施形態の制御装置70は、ドア5に設けられたロック装置45の作動を制御するロック制御部76を備えている。具体的には、本実施形態の制御装置70には、これらのロック装置45に設けられたラッチスイッチ77が出力するラッチ信号Slaf,Slarが入力される。即ち、本実施形態のドア装置20において、フロントロック45Fに設けられたラッチスイッチ77Fが出力するラッチ信号Slafは、そのフロントラッチ47Fの作動状態を示している。そして、リヤロック45Rに設けられたラッチスイッチ77Rが出力するラッチ信号Slarは、そのリヤラッチ47Rの作動状態を示すものとなっている。
【0046】
更に、本実施形態のドア装置20は、各ロック装置45のラッチ機構47を駆動するクローザ装置78を備えている。本実施形態のクローザ装置78は、ラッチ機構47がハーフラッチ状態にある場合に、このラッチ機構47を駆動してフルラッチ状態に移行させるクローザ機能を有している。また、このクローザ装置78は、そのラッチ機構47を駆動してアンラッチ状態に移行させるリリース機能を有している。そして、本実施形態のロック制御部76は、このクローザ装置78の作動を通じて、各ロック装置45を構成するラッチ機構47の係脱状態を制御、つまりは、ドア5を全閉位置P0に拘束し、及び、その拘束を解除する。
【0047】
具体的には、本実施形態のクローザ装置78は、リヤロック45Rと一体に設けられている。更に、本実施形態のドア装置20において、このクローザ装置78の駆動力は、図示しない駆動ケーブルを介してフロントロック45Fに伝達される。そして、本実施形態のロック制御部76は、これにより、そのリヤラッチ47R及びフロントラッチ47Fが連動する状態で、これらのリヤロック45R及びフロントロック45Fの作動を制御することが可能となっている。
【0048】
また、本実施形態の制御装置70は、ドア5の開閉動作に生じた異常を検知する異常検知部80と、その検知した異常の報知制御を実行する報知制御部81と、を備えている。例えば、本実施形態の異常検知部80は、ドア5の開閉動作時、そのドア5に生じた異物の挟み込みを検知する。尚、この挟み込みの検知は、例えば、タッチセンサ等、ドア5に設けられた図示しない挟み込みセンサの出力信号Sdに基づき実行される。更に、本実施形態の報知制御部81は、例えば車両1に設けられたブザー等、報知装置82の作動を制御する。そして、本実施形態のドア装置20においては、これにより、そのドア5の開閉動作に生じた異常が、利用者に報知される構成となっている。
【0049】
更に、本実施形態の制御装置70は、ドア5の挟み込みが検知された場合、その駆動制御部75が、このドア5の反転制御を実行、即ち、その開閉動作方向を反転させるべく、そのアクチュエータ25の作動を制御する。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、速やかに、そのドア5の挟み込みを解消することのできる構成となっている。
【0050】
(ドアガイドの係合不良検知)
次に、本実施形態の異常検知部80が実行するドアガイドの係合不良検知について説明する。
【0051】
上記のように、本実施形態のドア装置20は、ドア5が全閉位置P0近傍にある場合、ドア開口部3の閉側端部34に設けられた車体側係合部32に対してドア5の閉側端部33に設けられたドア側係合部31が係合する(
図7参照)。
【0052】
即ち、
図13に示すように、ドア5が全閉位置P0に移動する際、車体側係合部32に対して開閉体側係合部としてのドア側係合部31が正しく係合することにより、その車体側係合部32のガイド溝42内にガイド係合部としての軸状係合部41が配置される。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、これらのドア側係合部31及び車体側係合部32が形成するドアガイド85によって、そのドア5の開閉動作が案内される構成となっている(
図7参照)。
【0053】
しかしながら、
図14に示すように、本実施形態のドア装置20においては、そのリンク機構15を構成する第1及び第2のリンクアーム11,12のドア5に対する第2の回動連結点X2周りに、そのドア5の回動が許容される。このため、その全閉位置P0に向かって移動するドア5に対して外力が入力された場合等には、このドア5が揺動する可能性がある。そして、これにより、ドア5の全閉制御時、その車体側係合部32に対してドア側係合部31が正しく係合することができない。つまり、その車体側係合部32のガイド溝42内にガイド係合部としてのドア側係合部31の軸状係合部41が配置されない係合不良が生ずるおそれがある。
【0054】
この点を踏まえ、本実施形態のドア装置20においては、その制御装置70に設けられた異常検知部80に対し、そのドアガイド85を形成するドア側係合部31及び車体側係合部32の係合不良を検知する機能が付与されている。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、正しく、そのドア5を全閉動作させることのできる構成となっている。
【0055】
詳述すると、
図12及び
図13に示すように、本実施形態のドア装置20は、ドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34を閉鎖する状態となることにより、その出力信号Sswが変化するセンサスイッチ87を備えている。尚、この場合における「閉鎖する状態」とは、ドア5が全閉状態となる予め定められた位置関係で、そのドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34を「正しく閉鎖する状態」を指し、例えば、所謂「半ドア」のような不完全な閉鎖状態は含まない。本実施形態のドア装置20において、このセンサスイッチ87は、ドア開口部3の閉側端部34、例えば、その下縁部等に設けられる(
図9参照)。そして、本実施形態のセンサスイッチ87は、これにより、そのドア開口部3の閉側端部34に対してドア5の閉側端部33が近接及び離間することによりオン/オフする構成となっている。
【0056】
また、本実施形態のドア装置20において、センサスイッチ87の出力信号Sswは、閉鎖状態信号Sdcとして、制御装置70に入力される。更に、本実施形態の制御装置70において、異常検知部80は、開閉体としてのドア5が、車両1の開口部であるドア開口部3を閉鎖する状態を検出する開口閉鎖検出部90aとしての機能を有している。そして、本実施形態の制御装置70は、これにより、この異常検知部80が、そのセンサスイッチ87が出力する閉鎖状態信号Sdcに基づいて、ドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34を閉鎖する状態にあるか否かを検出する構成となっている。
【0057】
更に、本実施形態の異常検知部80は、ラッチ状態検出部90bとして機能するロック制御部76が検出したラッチ機構47の作動状態、詳しくは、そのドア5の開側端部48をドア開口部3の開側端部49に拘束するリヤラッチ47Rの作動状態を取得する。そして、本実施形態の異常検知部80は、この取得したリヤラッチ47Rの作動状態、及び上記閉鎖状態信号Sdcの検出に基づいて、そのドア側係合部31及び車体側係合部32が形成するドアガイド85の係合不良を検知する構成となっている。
【0058】
具体的には、
図15に示すように、本実施形態の制御装置70において、係合不良検知部90cとして異常検知部80は、ドア5の開側端部48に設けられたリヤラッチ47Rが係合状態に移行したか否かを判定する(ステップ101)。また、異常検知部80は、リヤラッチ47Rが係合状態に移行したとき(ステップ101:YES)、センサスイッチ87の出力する閉鎖状態信号Sdcが変化したか否かを判定する(ステップ102)。更に、異常検知部80は、閉鎖状態信号Sdcの変化が検出された場合(ステップ102:YES)、ドア5の全閉動作時、そのドアガイド85を形成するドア側係合部31及び車体側係合部32が正しく係合したと判定する(正常係合、ステップ103)。そして、係合不良検知部90cとしての異常検知部80は、上記ステップ102において、閉鎖状態信号Sdcの変化が検出されなかった場合(ステップ102:NO)に、そのドアガイド85の係合不良を検知する構成となっている(ステップ104)。
【0059】
即ち、ドア5の全閉動作時、ドアガイド85の係合不良が生じた場合であっても、そのリンク機構15が支持するドア5の開側端部48に設けられたリヤラッチ47Rは、ドア開口部3の開側端部49に設けられたストライカ46に係合する。しかしながら、このとき、ドア側係合部31が設けられたドア5の閉側端部33については、そのドア側係合部31とともにドアガイド85を形成する車体側係合部32が設けられたドア開口部3の閉側端部34に対して十分に近接することができない。つまりは、そのドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34を閉鎖する状態にならない(
図14参照)。その結果、そのセンサスイッチ87の出力する閉鎖状態信号Sdcにも変化は生じない。そして、本実施形態の制御装置70は、これを利用して、その係合不良検知部90cを構成する異常検知部80が、ドアガイド85を形成するドア側係合部31及び車体側係合部32の係合不良を検知する構成となっている。
【0060】
また、
図16に示すように、本実施形態の制御装置70は、このようなドアガイド85の係合不良を検知した場合(ステップ201:YES)、その駆動制御部75が、このドア5の反転制御を実行する(ステップ202)。そして、本実施形態のドア装置20においては、これにより、ドア5の全閉動作時、そのドアガイド85に生じた係合不良が速やかに解消される構成となっている。
【0061】
更に、本実施形態の制御装置70は、このドア5の反転制御と併せて、報知制御を実行する(ステップ203)。そして、本実施形態のドア装置20は、これにより、そのドアガイド85の係合不良を検知した旨を利用者に知らしめるとともに、その開動作方向に移動するドア5の反転動作に注意を促す構成となっている。
【0062】
さらに詳述すると、
図17に示すように、本実施形態のドア装置20において、ラッチ機構47の作動を示すラッチスイッチ77は、ハーフラッチスイッチ77a、フルラッチスイッチ77b、及びポールスイッチ77cを備えた一般的な構成を有している。
【0063】
即ち、ハーフラッチスイッチ77a及びフルラッチスイッチ77bは、ドア5が開状態にある場合、即ちラッチ機構47がストライカ46から脱離したアンラッチ状態にある場合に「オン」となっている。また、ハーフラッチスイッチ77aは、ラッチ機構47がアンラッチ状態からハーフラッチ状態に移行することにより「オフ」となり、フルラッチスイッチ77bは、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移行することにより「オフ」となる。更に、ポールスイッチ77cは、これらハーフラッチスイッチ77a及びフルラッチスイッチ77bのオン/オフ状態が切り替わるタイミングでオン/オフする。そして、本実施形態のドア装置20においては、これらハーフラッチスイッチ77a、フルラッチスイッチ77b、及びポールスイッチ77cのオン/オフ状態を示す各出力信号が、そのラッチ信号Slaf,Slarとして制御装置70に入力される。
【0064】
また、本実施形態の制御装置70において、ロック制御部76は、入力されるラッチ信号Slarに基づいて、フルラッチスイッチ77bが「オフ」となり、ポールスイッチ77cがオン/オフしたタイミングを検出する。更に、ラッチ状態検出部90bとしてのロック制御部76は、このタイミングで、このラッチ信号Slarを出力するラッチスイッチ77Rを有したリヤロック45Rにおいて、そのリヤラッチ47Rが脱離状態から係合状態に移行したものと判定する。そして、本実施形態の制御装置70においては、これにより、そのドア5を全閉位置P0に移動させる全閉動作の実行が確認される。尚、
図17中、リヤラッチ47Rに関する以降の作動状態については、その図示を省略する。
【0065】
また、本実施形態の制御装置70において、駆動制御部75は、アクチュエータ25の駆動力に基づきドア5を全閉位置P0に移動させる全閉制御時、リヤラッチ47Rがハーフラッチ状態に移行するまで、そのアクチュエータ25を閉作動させる。更に、このアクチュエータ25の作動が停止するタイミングで、そのロック制御部76が、リヤロック45Rに設けられたクローザ装置78をクローズ動作させる。そして、本実施形態のドア装置20においては、これにより、そのリヤラッチ47R、及び、このリヤラッチ47Rに連動したフロントラッチ47Fがハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移行することで、そのドア5の全閉制御が終了する。
【0066】
また、本実施形態のドア装置20において、センサスイッチ87は、ドア5が開状態となり、その閉側端部33となる前端部5fが、ドア開口部3の閉側端部34となる前縁部3fから離間した状態で「オン」となる。更に、ドア5の全閉動作によって、その閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34に近接して閉鎖する状態に移行することで「オフ」となる。そして、本実施形態のセンサスイッチ87は、このオン/オフ動作に基づいて、その出力信号Ssw、つまりは制御装置70に入力される閉鎖状態信号Sdcの信号レベルが変化する。
【0067】
具体的には、本実施形態のドア装置20において、ドアガイド85を形成するドア側係合部31及び車体側係合部32は、ドア5の全閉動作時、リヤラッチ47Rがハーフラッチ状態に移行する前に、互いが係合するように構成されている。詳しくは、これらのドア側係合部31及び車体側係合部32が正しく係合した場合、そのドア側係合部31のガイド係合部を構成するローラ41xが、その車体側係合部32のガイド溝42内に挿入される。そして、本実施形態のドア装置20においては、これにより、ドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34に近接することで、ラッチスイッチ77Rを構成するハーフラッチスイッチ77aが「オフ」となる前に、そのセンサスイッチ87が「オフ」となる。
【0068】
これに対し、そのドアガイド85を形成するドア側係合部31及び車体側係合部32に係合不良が生じた場合、センサスイッチ87が「オフ」にならないことで、その閉鎖状態信号Sdcとなる出力信号Sswの信号レベルが変化しない。尚、
図17中には、ドアガイド85に係合不良が発生した場合の波形を実線に示し、そのドア側係合部31及び車体側係合部32が正しく係合した場合の波形を「二点鎖線」に示す。そして、本実施形態の制御装置70においては、これによりドア5の開側端部48に設けられたリヤラッチ47Rの脱離状態から係合状態への移行が検出される上記タイミングで、その異常検知部80により、ドアガイド85の係合不良が検知される。
【0069】
更に、本実施形態の制御装置70においては、ドアガイド85の係合不良が検知された場合、このタイミングで、そのロック制御部76が、リヤロック45Rに設けられたクローザ装置78をリリース動作させる。そして、本実施形態の制御装置70は、これにより、そのリヤラッチ47Rがアンラッチ状態に移行した後に、その駆動制御部75が、アクチュエータ25の作動による反転制御を実行する構成になっている。
【0070】
また、本実施形態の制御装置70においては、ドアガイド85の係合不良が検知されたタイミングで、その報知制御部81が報知制御を開始する。そして、本実施形態のドア装置20においては、これにより、その報知装置82を構成するブザー92が鳴動する構成になっている。
【0071】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
図18に示すように、本実施形態の制御装置70は、ドア5が全閉状態にある場合、その異常検知部80が、ドアガイド85を構成するドア側係合部31及び車体側係合部32について、その係合不良の検知判定を実行しない待機状態ph0となっている。そして、本実施形態の制御装置70は、ドア5の開動作によって、この係合不良検知部90cとしての異常検知部80が、その検知判定を実行する検知待ち状態ph1に移行する構成となっている。
【0072】
即ち、ドア5が全閉状態にある場合でも、例えば、車両走行時等、このドア5が振動することで、そのセンサスイッチ87の出力する閉鎖状態信号Sdcが変化する可能性がある。本実施形態の制御装置70においては、この点を踏まえ、その係合不良検知部90cとしての異常検知部80に待機状態ph0が設定されている。そして、本実施形態の制御装置70は、これにより、その誤判定の発生を抑制する構成となっている。
【0073】
また、本実施形態の制御装置70は、その異常検知部80がドアガイド85に生じた係合不良を検知することで、係合不良検知状態ph2に移行する。即ち、駆動制御部75によるドア5の反転制御、及び報知制御部81による報知制御は、制御装置70が、この係合不良検知状態ph2に滞在する状態で実行される。そして、本実施形態の制御装置70は、これらの反転制御及び報知制御の終了によって、再び待機状態ph0に移行する構成となっている。
【0074】
尚、本実施形態の制御装置70は、ドア5の開動作により待機状態ph0から検知待ち状態ph1に移行した後、例えば、そのドア5が途中停止した場合等には、再び、検知待ち状態ph1から待機状態ph0に移行する。そして、本実施形態の制御装置70は、これにより、その誤判定の発生を抑制する構成となっている。
【0075】
(効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)制御装置70は、開閉体を構成するドア5の開閉動作に生じた異常を検知する異常検知部80を備える。ドア5の閉側端部33には、開閉体側係合部としてのドア側係合部31が設けられ、車両1の開口部となるドア開口部3の閉側端部34には、車体側係合部32が設けられる。ドア5は、車体2に対する第1の回動連結点X1とドア5に対する第2の回動連結点X2とを有した第1及び第2のリンクアーム11,12が形成するリンク機構15の動作に基づき開閉動作する。また、第2のリンクアーム12には、前記第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを変更可能とする連結長可変機構50が設けられる。そして、全閉位置P0近傍においては、車体側係合部32に対してドア側係合部31が正しく係合することにより、ガイド溝42内にガイド係合部を構成する軸状係合部41としてのローラ41xが配置された状態でドア5の開閉動作が案内される。
【0076】
制御装置70において、開口閉鎖検出部90aとしての異常検知部80は、ドア5の閉側端部33となる前端部5fがドア開口部3の閉側端部34となる前縁部3fを閉鎖する状態となることにより変化する閉鎖状態信号Sdcを検出する。また、ラッチ状態検出部90bとしてのロック制御部76は、ドア5の開側端部48となる後端部5rをドア開口部3の開側端部49となる後縁部3rに拘束するラッチ機構47としてのリヤラッチ47Rの作動状態を検出する。そして、係合不良検知部90cとしての異常検知部80は、そのリヤラッチ47Rが脱離状態から係合状態に移行したとき、閉鎖状態信号Sdcの変化が検出されない場合に、車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良を検知する。
【0077】
即ち、ドア5を全閉状態でドア開口部3に拘束するためのリヤラッチ47Rが脱離状態から係合状態に移行したことによりドア5の全閉動作を確認することができる。更に、このとき、車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良が生じている場合には、そのドア側係合部31が設けられたドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34を閉鎖できない状態にある。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、精度よく、その車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良を検知することができる。そして、これにより、ドア5を正しく全閉動作させることができる。
【0078】
(2)閉鎖状態信号Sdcは、ドア開口部3の閉側端部34に対してドア5の閉側端部33が近接及び離間することによりオン/オフするセンサスイッチ87の出力信号Sswである。
【0079】
上記構成によれば、簡素な構成にて、精度よく、ドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34を閉鎖する状態となることにより変化する閉鎖状態信号Sdcを検出することができる。
【0080】
(3)制御装置70は、リンク機構15を駆動するアクチュエータ25の作動を制御することによりドア5を開閉動作させる駆動制御部75を備える。
即ち、上記のような駆動源を有してドア5を開閉動作させる所謂パワードアにおいては、外乱の入力によりドア5に揺動が生じた場合においても、手動操作時のように、その外乱に抗してドア5の姿勢を安定させることが難しい。従って、このような構成に適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0081】
(4)駆動制御部75は、車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良が検知された場合、ドア5を反転動作させる。
上記構成によれば、ドア5の全閉動作時に生じた車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良を速やかに解消することができる。そして、これにより、ドア5を正しく全閉動作させることができる。
【0082】
(5)制御装置70は、車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良が検知された場合に、この係合不良の検知を報知する報知制御部81を備える。
上記構成によれば、ドア5の全閉動作時に生じた車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良を速やかに、利用者に知らしめて、その解消を促すことができる。そして、これにより、ドア5を正しく全閉動作させることができる。
【0083】
(6)ガイド溝42は、車幅方向に対向する一対の側壁部42a,42bを有する。そそして、ガイド係合部としての軸状係合部41は、車両1の上下方向に延在する。
上記構成によれば、ガイド溝42内に軸状係合部41が配置されることにより、その車幅方向におけるドア5の変位が規制される。そして、これにより、第1及び第2のリンクアーム11,12の距離が近づいて直線的に並んだ状態になりやすい全閉位置P0近傍においても、そのドア5を安定的に支持することができる。しかしながら、外力の入力等により、そのリンク機構15に支持されたドア5が揺動することで、その車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良が発生する可能性がある。従って、このような構成に適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0084】
(7)第2のリンクアーム12には、第1及び第2の回動連結点X1,X2間の連結長Lを変更可能とする連結長可変機構50が設けられる。
上記構成によれば、連結長可変機構50の動作に基づいて、その開閉動作の自由度を高めることができる。そして、これにより、ガイド溝42内に軸状係合部41が配置されることによりドア5が案内された状態で、円滑に、このドア5を開閉動作させることができる。しかしながら、連結長可変機構50の動作に基づき開閉動作の自由度が高まることで、そのドア5の揺動もまた大きくなりやすい傾向がある。そして、これにより、その車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良が発生しやすくなる。従って、このような構成に適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0085】
上記構成によれば、車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良が生じた旨を利用者に知らしめて、その解消を促すことができる。そして、これにより、ドア5を正しく全閉動作させることができる。
【0086】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0087】
・上記実施形態では、ドア開口部3の閉側端部34に設けられてドア5の閉側端部33が近接及び離間することによりオン/オフするセンサスイッチ87の出力信号Sswを閉鎖状態信号Sdcに用いることとした。しかし、これに限らず、ドア5の閉側端部33に、このようなセンサスイッチ87を設ける構成としてもよい。即ち、ドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34を閉鎖する状態で出力信号Sswが変化する位置にあれば、センサスイッチ87の配置については任意に変更してもよい。
【0088】
・また、ドア5が開状態となり、その閉側端部33となる前端部5fがドア開口部3の閉側端部34となる前縁部3fから離間した状態で、センサスイッチ87が「オフ」となる。そして、ドア5の全閉動作によって、その閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34に近接して閉鎖する状態に移行することでセンサスイッチ87が「オン」となる構成であってもよい。
【0089】
・更に、閉鎖状態信号Sdcとして、その変化を検出する信号は、任意に変更してもよい。例えば、フロントロック45Fに設けられたラッチスイッチ77Fが出力するラッチ信号Slafを閉鎖状態信号Sdcに用いる構成としてもよい。即ち、ドア5の閉側端部33がドア開口部3の閉側端部34を閉鎖する状態にならないことで、そのドア5の閉側端部33をドア開口部3の閉側端部34に拘束する閉側ラッチとしてのフロントラッチ47Fもまた、脱離状態から係合状態に移行することができない。従って、上記構成を採用しても、簡素な構成にて、精度よく、ドア5の全閉動作時、その車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良を検知することができる。
【0090】
・また、例えば、車体側係合部32のガイド溝42内にドア側係合部31のガイド係合部が進入することにより信号レベルが変化するセンサを用いて、その閉鎖状態信号Sdcを検出する構成としてもよい。このような構成を採用しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、複数の閉鎖状態信号Sdcを検出する構成であってもよい。
【0091】
・上記実施形態では、車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良を検知した場合、報知制御の実行によりブザー92が鳴動することとした。しかし、これに限らず、報知装置82の構成については、任意に変更してもよい。例えば、スピーカーを利用した音声出力等、ブザー92以外の音出力を行う構成であってもよい。そして、例えば、ウィンカーの点滅やディスプレー表示等、光出力や映像出力により、その報知制御を行う構成であってもよい。
【0092】
・上記実施形態では、フルラッチスイッチ77bが「オフ」となり、ポールスイッチ77cがオン/オフしたタイミングを検出する。そして、このタイミングで、このラッチ信号Slarを出力するラッチスイッチ77Rを有したリヤロック45Rにおいて、そのリヤラッチ47Rが脱離状態から係合状態に移行したものと判定することとした。しかし、これに限らず、リヤラッチ47Rがアンラッチ状態からハーフラッチ状態に移行したタイミングで、このリヤラッチ47Rが脱離状態から係合状態に移行したものと判定する構成としてもよい。即ち、正しくドア5の全閉動作を確認することができればよい。そして、そのラッチスイッチ77Rの構成についてもまた、任意に変更してもよい。
【0093】
・上記実施形態では、車体側係合部32に対するドア側係合部31の係合不良が検知された場合、そのドア5の反転制御が実行されることとした。しかし、これに限らず、反転制御の実行によりドア5を開動作方向に駆動して、その係合不良を解消した後、再度、このドア5の全閉制御を実行する所謂リトライ機能を備える構成としてもよい。そして、反転制御を行わず、報知制御の実行のみで、利用者に、その係合不良を解消する操作の実行を促す構成であってもよい。
【0094】
・上記実施形態では、ドア側係合部31がガイド係合部としての軸状係合部41を有し、車体側係合部32がガイド溝42を有することとした。しかし、これに限らず、ドア側係合部31がガイド溝42を有し、車体側係合部32が軸状係合部41を有する構成であってもよい。
【0095】
・また、軸状係合部41は、支軸周りに回転自在に軸支されたローラ41xとしての構成を有することとしたが、軸状係合部41が回転しない構成であってもよい。更に、ガイド係合部は、必ずしも軸形状を有していなくともよい。そして、ガイド溝42の形状についてもまた、任意に変更してもよい。即ち、車体側係合部32に対して開閉体側係合部としてのドア側係合部31が正しく係合することにより、そのガイド溝42内にガイド係合部が配置された状態でドア5の開閉動作が案内される構成であればよい。
【0096】
・ドア側係合部31及び車体側係合部32の組数については、任意に変更してもよい。一つでも、3つ以上あってもよい。そして、その配置についてもまた、任意に変更してもよい。
【0097】
・上記実施形態では、第2のリンクアーム12に連結長可変機構50が設けられることとした。しかし、これに限らず、第1のリンクアーム11に連結長可変機構50が設けられた構成に適用してもよい。そして、第1及び第2のリンクアーム11,12の両方に連結長可変機構50が設けられた構成に適用してもよい。
【0098】
・また、上記実施形態では、連結長可変機構50は、第1の回動連結点X1を有した車体側リンク51と第2の回動連結点X2を有したドア側リンク52とを回動可能に連結してなる関節リンク機構60としての構成を有することとした。しかし、これに限らず、直動式の伸縮リンク機構を用いる等、連結長可変機構50の構成については、任意に変更してもよい。そして、車体側係合部32に対してドア側係合部31が正しく係合することにより、そのガイド溝42内にガイド係合部が配置された状態でドア5の開閉動作が案内される構成であれば、このような連結長可変機構50が設けられていない構成に適用してもよい。
【0099】
・上記実施形態では、車両1のドア5が車両後方側に開動作する構成に適用したが、ドア5が車両前方側に開動作する構成に適用してもよい。そして、アクチュエータ25のような駆動源を有しない手動式の構成に適用してもよい。
【0100】
・上記実施形態では、車体2の側面2sに設けられたドア開口部3を車両1の開口部として、このドア開口部3に設けられたドア5を開閉動作させるドア装置20に具体化した。しかし、これに限らず、例えば、車両1の後方に開口するリヤハッチ等、このようなドア開口部3以外の開口部に設けられた開閉体を開閉動作させる構成に適用してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…車両
2…車体
3…ドア開口部(開口部)
3f…前縁部
34…閉側端部
3r…後縁部
49…開側端部
5…ドア(開閉体)
5f…前端部
33…閉側端部
5r…後端部
48…開側端部
11…第1のリンクアーム
12…第2のリンクアーム
15…リンク機構
31…ドア側係合部(開閉体側係合部)
32…車体側係合部
41…軸状係合部(ガイド係合部)
41x…ローラ
42…ガイド溝
47…ラッチ機構
47R…リヤラッチ
50…連結長可変機構
70…制御装置
76…ロック制御部
80…異常検知部
90a…開口閉鎖検出部
90b…ラッチ状態検出部
90c…係合不良検知部
Sdc…閉鎖状態信号
P0…全閉位置
X1…第1の回動連結点
X2…第2の回動連結点
L…連結長