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特開2023-174292産業車両の障害物通知装置及び産業車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174292
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】産業車両の障害物通知装置及び産業車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231130BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20231130BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087058
(22)【出願日】2022-05-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 圭亮
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241BA60
3D241CA18
5H181AA07
5H181CC04
5H181FF32
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】産業車両の進行の制限、及び警報の少なくとも1つの原因になっている障害物の存在を産業車両の操作者に通知すること。
【解決手段】産業車両の障害物通知装置は、障害物検知部と、表示部と、制御装置と、を備える。障害物検知部は、産業車両と障害物との位置関係を検知する。制御装置は、原因障害物とは異なる障害物を通知する場合には、第1画像を表示部に表示する。制御装置は、原因障害物を通知する場合には、第1画像とは異なる第2画像を表示部に表示する。原因障害物は、障害物のうち特定条件に合致する障害物である。原因障害物は、産業車両の進行の制限、及び警報の少なくとも1つの原因となる障害物である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両と障害物との位置関係を検知する障害物検知部と、
表示部と、
制御装置と、を備え、
前記障害物のうち特定条件に合致する原因障害物によって前記産業車両の進行の制限、及び警報の少なくとも1つが行われる産業車両の障害物通知装置であって、
前記制御装置は、
前記原因障害物とは異なる前記障害物を通知する場合には、第1画像を前記表示部に表示し、
前記原因障害物を通知する場合には、前記第1画像とは異なる第2画像を前記表示部に表示する、産業車両の障害物通知装置。
【請求項2】
前記産業車両は、前記原因障害物によって前記産業車両の発進時に前記産業車両の進行を制限し、
前記制御装置は、前記産業車両の発進時に前記産業車両の進行が制限されている場合、前記第2画像を前記表示部に表示する、請求項1に記載の産業車両の障害物通知装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記産業車両が停止している場合に前記第2画像を前記表示部に表示する、請求項2に記載の産業車両の障害物通知装置。
【請求項4】
前記表示部は、
前記産業車両を模したアイコンと、
前記アイコンの後方かつ前記アイコンの右方を示す後右表示領域、前記アイコンの後方かつ前記アイコンの左方を示す後左表示領域、及び前記後右表示領域と前記後左表示領域との間の後中央表示領域と、を備え、
前記制御装置は、
前記産業車両と前記原因障害物との位置関係に基づき、前記後右表示領域、前記後左表示領域、及び前記後中央表示領域の少なくとも1つに前記第2画像を表示する、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の産業車両の障害物通知装置。
【請求項5】
請求項1に記載の産業車両の障害物通知装置と、
操舵輪と、
前記操舵輪の操舵角を検出するタイヤ角センサと、を備え、
前記制御装置は、
前記タイヤ角センサから前記産業車両の進行予定領域を判断し、
前記産業車両の進行方向に設定された複数の制限領域のうち前記原因障害物が存在する制限領域と前記進行予定領域とが一致している場合に前記産業車両の進行の制限を行うとともに、前記第2画像を前記表示部に表示する、産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業車両の障害物通知装置及び産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の障害物検知装置は、車両に備えられたカメラによって障害物を検知する。障害物検知装置は、障害物を検知すると、障害物の内容及び障害物が存在する位置を車両の操作者に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-254710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業車両では、特定条件に合致する障害物が存在する場合に、産業車両の進行の制限、及び警報の少なくとも1つを行う場合がある。産業車両では、産業車両の進行の制限、及び警報の少なくとも1つの原因になっている障害物が存在するかを産業車両の操作者に通知することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する産業車両の障害物通知装置は、産業車両と障害物との位置関係を検知する障害物検知部と、表示部と、制御装置と、を備え、前記障害物のうち特定条件に合致する原因障害物によって前記産業車両の進行の制限、及び警報の少なくとも1つが行われる産業車両の障害物通知装置であって、前記制御装置は、前記原因障害物とは異なる前記障害物を通知する場合には、第1画像を前記表示部に表示し、前記原因障害物を通知する場合には、前記第1画像とは異なる第2画像を前記表示部に表示する。
【0006】
制御装置は、原因障害物とは異なる障害物を通知する場合には第1画像を表示部に表示する。制御装置は、原因障害物を通知する場合には第2画像を表示部に表示する。これにより、制御装置は、原因障害物の存在を産業車両の操作者に通知できる。
【0007】
上記産業車両の障害物通知装置について、前記産業車両は、前記原因障害物によって前記産業車両の発進時に前記産業車両の進行を制限し、前記制御装置は、前記産業車両の発進時に前記産業車両の進行が制限されている場合、前記第2画像を前記表示部に表示してもよい。
【0008】
上記産業車両の障害物通知装置について、前記制御装置は、前記産業車両が停止している場合に前記第2画像を前記表示部に表示してもよい。
上記産業車両の障害物通知装置について、前記表示部は、前記産業車両を模したアイコンと、前記アイコンの後方かつ前記アイコンの右方を示す後右表示領域、前記アイコンの後方かつ前記アイコンの左方を示す後左表示領域、及び前記後右表示領域と前記後左表示領域との間の後中央表示領域と、を備え、前記制御装置は、前記産業車両と前記原因障害物との位置関係に基づき、前記後右表示領域、前記後左表示領域、及び前記後中央表示領域の少なくとも1つに前記第2画像を表示してもよい。
【0009】
上記課題を解決する産業車両は、上記産業車両の障害物通知装置と、操舵輪と、前記操舵輪の操舵角を検出するタイヤ角センサと、を備え、前記制御装置は、前記タイヤ角センサから前記産業車両の進行予定領域を判断し、前記産業車両の進行方向に設定された複数の制限領域のうち前記原因障害物が存在する制限領域と前記進行予定領域とが一致している場合に前記産業車両の進行の制限を行うとともに、前記第2画像を前記表示部に表示する。
【0010】
制御装置は、原因障害物の存在を産業車両の操作者に通知できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、産業車両の進行の制限、及び警報の少なくとも1つの原因になっている障害物の存在を産業車両の操作者に通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】フォークリフトの斜視図である。
図2】フォークリフトの概略構成図である。
図3】障害物検知制御を示すフローチャートである。
図4】発進制限エリアを模式的に示す図である。
図5】発進制限制御の状態遷移図である。
図6】表示制御を示すフローチャートである。
図7】表示部に表示される通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、産業車両の障害物通知装置及び産業車両の一実施形態について説明する。
<フォークリフト>
図1に示すように、産業車両としてのフォークリフト10は、車体11と、車体11の前部に配置された2つの駆動輪12,13と、車体11の後部に配置された2つの操舵輪14と、荷役装置20と、を備える。2つの駆動輪12,13は、車幅方向に離間して配置されている。2つの操舵輪14は、車幅方向に隣接して配置されている。2つの操舵輪14は、車幅方向において、駆動輪12,13同士の間の中央位置に配置されている。隣接して配置された2つの操舵輪14を1つの操舵輪14とみなすと、フォークリフト10は三輪式のフォークリフトとみなすことができる。車体11は、運転席の上部に設けられたヘッドガード15を備える。以下の説明において、前後左右は、フォークリフト10の前後左右を示す。
【0014】
荷役装置20は、マスト21と、2つのフォーク22と、リフトシリンダ23と、を備える。マスト21は、車体11の前部に設けられている。フォーク22は、マスト21とともに昇降可能に設けられている。フォーク22には、荷が積載される。リフトシリンダ23は油圧シリンダである。リフトシリンダ23の伸縮によってマスト21は昇降する。マスト21の昇降に伴い、フォーク22は昇降する。本実施形態のフォークリフト10は、操作者による操作によって走行動作及び荷役動作が行われるものである。
【0015】
図2に示すように、フォークリフト10は、アクセルペダル16と、ディレクションレバー17と、パーキングブレーキ操作部材18と、アクセルセンサ34と、ディレクションセンサ35と、タイヤ角センサ36と、パーキングスイッチ37と、パーキングブレーキ38と、走行用モータ41と、回転数センサ42と、走行制御装置43と、産業車両の障害物通知装置70と、を備える。産業車両の障害物通知装置70は、制御装置31と、障害物検知部51と、表示部71と、を備える。
【0016】
制御装置31は、プロセッサ32と、記憶部33と、を備える。プロセッサ32としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部33は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部33には、フォークリフト10を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部33は、処理をプロセッサ32に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部33、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置31は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置31は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0017】
アクセルセンサ34は、アクセルペダル16の操作量、即ち、アクセル開度を検知する。アクセルセンサ34は、アクセル開度に応じた電気信号を制御装置31に出力する。制御装置31は、アクセルセンサ34からの電気信号によりアクセル開度を認識可能である。
【0018】
ディレクションセンサ35は、進行方向を指示するディレクションレバー17の操作方向を検知する。ディレクションセンサ35は、中立を基準として、前進を指示する方向にディレクションレバー17が操作されているか、後進を指示する方向にディレクションレバー17が操作されているかを検知する。ディレクションセンサ35は、ディレクションレバー17の操作方向に応じた電気信号を制御装置31に出力する。制御装置31は、ディレクションセンサ35からの電気信号によりディレクションレバー17の操作方向を認識可能である。制御装置31は、操作者により前進が指示されているか、後進が指示されているか、いずれも指示されていないかを認識することができる。
【0019】
タイヤ角センサ36は、操舵輪14の操舵角を検知する。タイヤ角センサ36は、操舵角に応じた電気信号を制御装置31に出力する。制御装置31は、タイヤ角センサ36からの電気信号により操舵角を認識可能である。
【0020】
パーキングブレーキ38は、パーキングブレーキ操作部材18によって作動と非作動とが切り替えられる。パーキングブレーキ38は、機械式であってもよいし、電動式であってもよい。機械式は、パーキングブレーキ38とパーキングブレーキ操作部材18とをワイヤで連結することによってパーキングブレーキ38を直接的に作動させる方式である。電動式は、パーキングブレーキ操作部材18の操作によって電気的にパーキングブレーキ38を作動させる方式である。
【0021】
パーキングスイッチ37は、パーキングブレーキ38が作動しているか否かを検知する。パーキングスイッチ37は、パーキングブレーキ操作部材18によってパーキングブレーキ38が作動されている場合にオンになる。パーキングスイッチ37は、パーキングブレーキ操作部材18によってパーキングブレーキ38が非作動にされている場合にオフになる。
【0022】
走行用モータ41は、フォークリフト10を走行させるための駆動装置である。走行用モータ41の駆動により、駆動輪12,13が回転することでフォークリフト10は走行する。走行用モータ41は、駆動輪12,13毎に設けられている。
【0023】
回転数センサ42は、走行用モータ41の回転数を検知する。回転数センサ42としては、例えば、ロータリエンコーダを用いることができる。回転数センサ42は、走行用モータ41の回転数に応じた電気信号を走行制御装置43に出力する。
【0024】
走行制御装置43は、走行用モータ41の回転数を制御するモータドライバである。走行制御装置43は、回転数センサ42の電気信号から、走行用モータ41の回転数、及び回転方向を認識可能である。走行用モータ41の回転方向は、±の符号で表される。+の回転数であれば正回転、-の符号であれば逆回転を示す。
【0025】
障害物検知部51は、障害物の位置を検知する。障害物検知部51は、ステレオカメラ52と、検知装置53と、警報部58と、を備える。ステレオカメラ52は、2つのカメラを備え、2つのカメラによって撮像を行う。図1に示すように、ステレオカメラ52は、ヘッドガード15に配置されている。ステレオカメラ52は、フォークリフト10の上方からフォークリフト10の走行する路面を鳥瞰できるように配置されている。本実施形態のステレオカメラ52は、フォークリフト10の後方を撮像する。従って、障害物検知部51で検知される障害物は、フォークリフト10の後方の障害物となる。障害物検知部51の検知方向は、後方といえる。警報部58及び検知装置53は、ステレオカメラ52とユニット化されて、ステレオカメラ52とともにヘッドガード15に配置されていてもよい。また、警報部58及び検知装置53は、ヘッドガード15とは異なる位置に配置されていてもよい。
【0026】
検知装置53は、プロセッサ54と、記憶部55と、を備える。プロセッサ54としては、例えば、CPU、GPU、又はDSPが用いられる。記憶部55は、RAM及びROMを含む。記憶部55には、ステレオカメラ52によって撮像された画像から障害物を検知するための種々のプログラムが記憶されている。記憶部55は、処理をプロセッサ54に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部55、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。検知装置53は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である検知装置53は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0027】
検知装置53は、以下の障害物検知制御を所定の制御周期で繰り返し行うことで、フォークリフト10の後方に存在する障害物の検知を行う。また、検知装置53は、検知した障害物の位置を導出する。障害物の位置とは、フォークリフト10と障害物との相対的な位置である。障害物検知部51は、フォークリフト10と障害物との位置関係を検知するといえる。
【0028】
図3に示すように、ステップS100において、検知装置53は、ステレオカメラ52から画像を取得する。
次に、ステップS110において、検知装置53は、ステレオ処理を行うことで、視差画像を取得する。視差画像は、画素に対して視差[px]を対応付けたものである。視差画像とは、必ずしも表示を要するものではなく、視差画像における各画素に視差が対応付けられたデータのことを示す。視差は、ステレオカメラ52によって撮像された2つの画像を比較し、各画像に写る同一特徴点について画像間の画素数の差を導出することで得られる。特徴点とは、障害物のエッジなど、境目として認識可能な部分である。特徴点は、輝度情報などから検知することができる。
【0029】
次に、ステップS120において、検知装置53は、実空間上の座標系であるワールド座標系における特徴点の座標を導出する。ワールド座標系は、フォークリフト10が水平面に位置している状態で水平方向のうちフォークリフト10の車幅方向に延びる軸をX軸、水平方向のうちX軸に直交する軸をY軸、鉛直方向に延びる軸をZ軸とする座標系である。特徴点の座標の導出は、ステレオカメラ52の基線長、ステレオカメラ52の焦点距離、及びステップS110で得られた視差画像からカメラ座標系における特徴点の座標を導出した後に、当該座標をワールド座標系における座標に変換することで行われる。なお、図1に示すように、X軸、Y軸及びZ軸を矢印X,Y,Zで図示している。
【0030】
次に、ステップS130において、検知装置53は、特徴点をクラスタ化することで障害物の抽出を行う。検知装置53は、障害物の一部を表す点である特徴点のうち同一障害物を表していると想定される特徴点の集合を1つの点群とし、当該点群を障害物として抽出する。検知装置53は、ステップS120で導出されたワールド座標系における特徴点の座標から、所定範囲内に位置する特徴点を1つの点群とみなすクラスタ化を行う。検知装置53は、クラスタ化された点群を1つの障害物とみなす。なお、ステップS130で行われる特徴点のクラスタ化は種々の手法で行うことができる。
【0031】
次に、ステップS140において、検知装置53は、ワールド座標系における障害物の座標を導出する。障害物の座標は、点群を構成する特徴点の座標から導出可能である。ワールド座標系における障害物の座標は、フォークリフト10と障害物との相対位置を表している。詳細にいえば、ワールド座標系における障害物の座標のうちX座標は原点から障害物までの左右方向の距離を表しており、Y座標は原点から障害物までの前後方向の距離を表している。原点は、例えば、X座標及びY座標をステレオカメラ52の配置位置とし、Z座標を路面とする座標である。X座標及びY座標から、ステレオカメラ52の配置位置から障害物までのユークリッド距離を導出することも可能である。ワールド座標系における障害物の座標のうちZ座標は、路面からの障害物の高さを表す。ステップS140の処理を終えると、検知装置53は、障害物検知制御を終了する。
【0032】
警報部58は、フォークリフト10の操作者に対して警報を行う装置である。警報部58は、音による警報を行うブザー59、及び光による警報を行うランプ60を備える。
表示部71は、フォークリフト10の操作者が視認可能な位置に設けられている。表示部71には、フォークリフト10に関する種々の情報が表示される。
【0033】
<制御装置が行う制御>
制御装置31、走行制御装置43及び障害物検知部51は、互いに情報を取得可能に構成されている。制御装置31、走行制御装置43及び障害物検知部51は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などの車両用の通信プロトコルに従った通信を行うことで、互いに情報を取得する。
【0034】
制御装置31は、フォークリフト10の車速[km/h]を導出する。フォークリフト10の車速は、駆動輪12,13毎に設けられた走行用モータ41それぞれの回転数及び回転方向、ギヤ比、駆動輪12,13の外径、タイヤ角センサ36により検知された操舵角などを用いることで導出可能である。走行用モータ41の回転数及び回転方向は、走行制御装置43から取得可能である。ギヤ比、及び駆動輪12の外径は、予め記憶部33に記憶しておけばよい。制御装置31は、フォークリフト10の車速とともにフォークリフト10の進行方向も導出する。フォークリフト10の進行方向とは、前進方向及び後進方向のいずれかである。
【0035】
制御装置31は、警報指令を障害物検知部51に送信することで、警報部58を作動させる。詳細にいえば、障害物検知部51は、警報部58を作動させる作動部を備え、警報指令を受信すると作動部は警報部58を作動させる。
【0036】
<発進制限エリア>
制御装置31は、発進制限制御を行う。発進制限制御は、障害物検知部51により検知された障害物の位置に応じてフォークリフト10の発進を制限する制御である。まず、発進制限制御に用いられる発進制限エリアについて説明する。
【0037】
図4に示すように、障害物検知部51による障害物の検知可能範囲内には、発進制限制御に用いられる発進制限エリアAA1が設定されている。障害物検知部51による障害物の検知可能範囲とは、ステレオカメラ52による撮像可能範囲ともいえる。発進制限エリアAA1は、ステレオカメラ52の配置位置からフォークリフト10の後方、及びフォークリフト10の車幅方向に拡がる領域である。発進制限エリアAA1は、ワールド座標系におけるX座標及びY座標で規定されるエリアである。以下の説明において、X座標及びY座標は、ワールド座標系における座標である。
【0038】
発進制限エリアAA1は、中央制限領域Nと、中央制限領域Nの左方に位置する左制限領域NLと、中央制限領域Nの右方に位置する右制限領域NRの3つに分割されている。中央制限領域Nは、前後方向にフォークリフト10と向かい合う領域である。中央制限領域Nの左右方向の寸法は、フォークリフト10の車幅方向の寸法と一致している。中央制限領域Nは、フォークリフト10を後進方向に直進させた場合にフォークリフト10が通過する領域ともいえる。左制限領域NLは、フォークリフト10を後進方向に左折させた場合にフォークリフト10が通過する領域といえる。右制限領域NRは、フォークリフト10を後進方向に右折させた場合にフォークリフト10が通過する領域といえる。発進制限エリアAA1の前後方向の寸法、及び発進制限エリアAA1の左右方向の寸法は、任意に調整可能である。中央制限領域N、左制限領域NL、及び右制限領域NRは、フォークリフト10の進行方向に設定された複数の制限領域である。
【0039】
<発進制限制御>
図5に示すように、発進制限制御では、制御装置31が通常制御状態S10、発進制限状態S20、発進禁止状態S30、及び強制動作状態S40のいずれかの状態に遷移する。制御装置31は、各状態S10~S40に応じた制御を行う。
【0040】
通常制御状態S10とは、車速制限が課されていない状態である。制御装置31が通常制御状態S10の場合、制御装置31は、アクセルセンサ34により検出されたアクセル開度から目標車速を演算する。制御装置31は、目標車速から目標回転数を演算する。目標回転数は、フォークリフト10を目標車速に到達させるための回転数である。また、制御装置31は、ディレクションレバー17の操作方向からフォークリフト10を前進させるか後進させるかを判断する。制御装置31は、目標回転数を示す情報と走行用モータ41の回転方向を示す情報を含む指令を生成し、走行制御装置43に指令を与える。走行制御装置43は、指令による目標回転数に追従するように走行用モータ41を制御する。走行制御装置43は、指令による回転方向に走行用モータ41が回転するように走行用モータ41を制御する。これにより、通常制御状態S10では、操作者によるアクセルペダル16の操作量に応じた車速でフォークリフト10は走行する。
【0041】
発進制限状態S20とは、車速上限値[km/h]を0にすることで、フォークリフト10が停止している状態からの発進を制限する状態である。なお、発進とは、フォークリフト10が停止している状態からフォークリフト10が走行している状態にフォークリフト10を遷移させることである。発進の制限は、発進の禁止、及び車速上限値が設定された状態でのフォークリフト10の発進を含む。車速上限値が設定されている場合、制御装置31は、フォークリフト10の車速が車速上限値を上回らないように制御を行う。例えば、制御装置31は、アクセル開度から演算される目標車速が車速上限値未満の場合には、アクセル開度から演算された目標車速から目標回転数を演算する一方で、アクセル開度から演算される目標車速が車速上限値以上の場合には、目標車速に代えて車速上限値を用いて目標回転数を演算する。そして、目標回転数と走行用モータ41の回転数が一致するように走行制御装置43に指令を与える。車速上限値が0の場合、フォークリフト10の進行が禁止された状態といえる。発進制限状態S20では、警報部58による警報が行われる。
【0042】
発進禁止状態S30とは、車速上限値を0にすることで、フォークリフト10の発進を禁止する状態である。発進禁止状態S30では、発進制限状態S20よりも警報部58による警報を強くする。警報を強くするとは、例えば、ブザー59の発する音を大きくしたり、ブザー59が音を発する間隔を短くしたりすることである。また、ブザー59及びランプ60の一方の警報から両方での警報に切り替えることで警報を強くしてもよい。
【0043】
強制動作状態S40とは、車速上限値を設定することで、フォークリフト10に車速制限を課す状態である。強制動作状態S40で設定される車速上限値は、0より大きい値であり、フォークリフト10の到達し得る最高車速よりも低い値である。強制動作状態S40で設定される車速上限値としては、例えば、フォークリフト10の退避走行時に許容される車速が設定される。強制動作状態S40では、警報部58による警報が行われる。強制動作状態S40では、発進禁止状態S30よりも警報部58による警報を弱くしてもよい。
【0044】
制御装置31が通常制御状態S10の場合に発進制限条件が成立すると、制御装置31は、発進制限状態S20に遷移する。第1制限条件、第2制限条件、及び第3制限条件の全てが成立した場合に、発進制限条件は成立する。
【0045】
第1制限条件…フォークリフト10が停止中。
第2制限条件…発進制限エリアAA1に障害物が存在。
第3制限条件…パーキングブレーキ38が非作動。
【0046】
第1制限条件が成立するか否かは、制御装置31によって導出される車速から判定することができる。制御装置31は、車速が停止判定閾値[km/h]以下の場合にはフォークリフト10は停止していると判断する。停止判定閾値は、フォークリフト10が停止しているとみなせる値に設定される。停止判定閾値は、例えば、0[km/h]~0.5[km/h]から任意の値を設定することができる。
【0047】
第2制限条件が成立するか否かは、障害物のX座標及びY座標から判定することができる。発進制限エリアAA1は、X座標及びY座標で規定されているため、障害物のX座標及びY座標から、障害物が発進制限エリアAA1に存在しているかを判定することができる。
【0048】
第3制限条件が成立するか否かは、パーキングスイッチ37の検知結果から判定することができる。第3制限条件は、省略してもよい。
制御装置31が発進制限状態S20の場合に発進制限解除条件が成立すると、制御装置31は、通常制御状態S10に遷移する。第1制限条件、第2制限条件、及び第3制限条件の少なくとも1つが成立しなくなると、発進制限解除条件が成立する。本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0049】
制御装置31が発進制限状態S20の場合に発進禁止条件が成立すると、制御装置31は、発進禁止状態S30に遷移する。第1禁止条件、第2禁止条件、第3禁止条件、及び第4禁止条件の全てが成立した場合に、発進禁止条件は成立する。
【0050】
第1禁止条件…フォークリフト10が停止中。
第2禁止条件…フォークリフト10の進行予定領域に障害物が存在している。
第3禁止条件…ディレクションセンサ35の検知結果が後進。
【0051】
第4禁止条件…アクセルオン。
第2禁止条件が成立しているか否かは、タイヤ角センサ36の検知結果、及び障害物のX座標及びY座標から判定することができる。フォークリフト10の進行予定領域とは、中央制限領域N、左制限領域NL、及び右制限領域NRのうちフォークリフト10が進行すると予想される領域である。制御装置31は、タイヤ角センサ36から進行予定領域を判断する。タイヤ角センサ36によって検知される操舵輪14の角度が左折方向に所定角度以上の場合を左折とする。タイヤ角センサ36によって検知される操舵輪14の角度が右折方向に所定角度以上の場合を右折とする。左折、及び右折の判定に用いられる所定角度としては、例えば、4°~6°の範囲から任意に設定することができる。タイヤ角センサ36によって検知される操舵輪14の角度が所定角度未満の場合を直進とする。直進の場合の進行予定領域は、中央制限領域Nである。左折の場合の進行予定領域は、左制限領域NL及び中央制限領域Nである。右折の場合の進行予定領域は、右制限領域NR及び中央制限領域Nである。制御装置31は、障害物が存在する制限領域N,NL,NRと進行予定領域とが一致している場合、第2禁止条件が成立していると判断する。1つの障害物が複数の制限領域N,NL,NRに跨がって位置している場合や、複数の障害物が異なる制限領域N,NL,NRに位置している場合、制御装置31は、各制限領域N,NL,NRに障害物が存在していると判断する。この場合、制御装置31は、障害物が存在する制限領域N,NL,NRのいずれかと進行予定領域とが一致した場合に第2禁止条件が成立したと判断する。
【0052】
第4禁止条件は、アクセルセンサ34の検知結果から判定することができる。アクセルオンとは、フォークリフト10の操作者によりアクセルペダル16が操作されていることを示す。
【0053】
制御装置31が発進禁止状態S30の場合に強制動作条件が成立すると、制御装置31は、強制動作状態S40に遷移する。
強制動作条件…アクセルオフ。
【0054】
強制動作条件が成立するか否かは、アクセルセンサ34の検知結果から判定できる。アクセルオフとは、フォークリフト10の操作者によりアクセルペダル16が操作されていないことを示す。
【0055】
制御装置31が強制動作状態S40の場合に強制動作解除条件が成立すると、制御装置31は、通常制御状態S10に遷移する。第1解除条件、第2解除条件、及び第3解除条件の少なくとも1つが成立した場合に、強制動作解除条件は成立する。
【0056】
第1解除条件…発進制限エリアAA1に障害物が存在しなくなる。
第2解除条件…ディレクションセンサ35の検出結果が前進。
第3解除条件…発進制限が作動した後、パーキングブレーキ38を非作動から作動へ切り替える。
【0057】
第3解除条件は、パーキングスイッチ37の検知結果から判定することができる。
<表示制御>
次に、制御装置31が行う表示制御について説明する。表示制御は、表示部71の表示内容を更新する制御である。
【0058】
図6に示すように、ステップS1において、制御装置31は、発進禁止状態S30か否かを判定する。ステップS1の判定結果が肯定の場合、制御装置31は、ステップS2の処理を行う。ステップS1の判定結果が否定の場合、制御装置31は、ステップS3の判定を行う。
【0059】
図6及び図7に示すように、ステップS2において、制御装置31は、表示部71に通知画面72を表示する。通知画面72とは、障害物の存在をフォークリフト10の操作者に通知する画面である。
【0060】
図7に示すように、表示部71に通知画面72が表示される場合、表示部71は、アイコンI1と、後右表示領域73と、後左表示領域74と、後中央表示領域75と、を備える。通知画面72には、フォークリフト10の状態に関する情報が表示されてもよい。例えば、通知画面72には、走行用モータ41の電力源となるバッテリの残容量が表示されるようにしてもよい。
【0061】
アイコンI1は、フォークリフト10を模したものである。後右表示領域73は、アイコンI1の後方かつアイコンI1の右方を示す。後左表示領域74は、アイコンI1の後方かつアイコンI1の左方を示す。後中央表示領域75は、後右表示領域73と後左表示領域74との間の領域である。後右表示領域73は、右制限領域NRに対応している。後左表示領域74は、左制限領域NLに対応している。後中央表示領域75は、中央制限領域Nに対応している。
【0062】
制御装置31が発進禁止状態S30の場合、フォークリフト10の発進は制限されている。また、発進禁止状態S30では、警報も行われる。発進禁止状態S30の原因、即ち、フォークリフト10の進行の制限、及び警報の原因になっている障害物を原因障害物とする。進行予定領域に障害物が存在している場合に、制御装置31は発進禁止状態S30になる。進行予定領域に存在していることを特定条件として、特定条件に合致する障害物が原因障害物といえる。
【0063】
図4に示すように、右制限領域NR、及び左制限領域NLの両方に障害物が存在している場合を例に挙げて説明を行う。右制限領域NRに存在する障害物を右障害物O1とし、左制限領域NLに存在する障害物を左障害物O2とする。フォークリフト10の操作者がフォークリフト10を後方であって右方に発進させようとする場合、右障害物O1を原因障害物として制御装置31が発進禁止状態S30になる。この場合、図7に示すように、表示部71の通知画面72には、第1画像I2、及び第2画像I3が表示される。
【0064】
第1画像I2は、原因障害物とは異なる障害物を示す。第1画像I2は、障害物を示すアイコンである。第2画像I3は、原因障害物を示す。第2画像I3は、原因障害物を示すアイコンである。第2画像I3では、フォークリフト10の操作者が原因障害物の存在を認識しやすいように、第1画像I2に比べて強調表示を行っている。図7に示す例では、感嘆符を付すことで第2画像I3の強調表示を行っている。第1画像I2、及び第2画像I3は障害物を示すことができればよい。例えば、第1画像I2及び第2画像I3として、文字を表示してもよい。
【0065】
第1画像I2は、原因障害物とは異なる障害物の位置に応じて表示部71に表示される。制御装置31は、発進制限エリアAA1のうち進行予定領域とは異なる制限領域N,NL,NRに障害物が存在している場合、当該制限領域N,NL,NRに対応する表示領域73,74,75に第1画像I2を表示する。図4に示す例であれば、左制限領域NLに対応する後左表示領域74に第1画像I2が表示される。
【0066】
第2画像I3は、原因障害物の位置に応じて表示部71に表示される。制御装置31は、進行予定領域に障害物が存在している場合、進行予定領域に対応する表示領域73,74,75に第2画像I3を表示する。図4に示す例であれば、右制限領域NRに対応する後右表示領域73に第2画像I3が表示される。
【0067】
図7に示す例では、後右表示領域73、後左表示領域74、及び後中央表示領域75のうちの1つに第1画像I2が表示されている。障害物の位置、及び個数によっては、第1画像I2が、後右表示領域73、後左表示領域74、及び後中央表示領域75のうち2つに表示される。同様に、原因障害物の位置、及び個数によっては、第2画像I3が、後右表示領域73、後左表示領域74、及び後中央表示領域75のうち2つに表示される。
【0068】
制御装置31が発進禁止状態S30の場合、フォークリフト10は停止している。制御装置31は、フォークリフト10が停止している状態で、第1画像I2及び第2画像I3を表示部71に表示しているといえる。ステップS2の処理を終えると、制御装置31は、表示制御を終了する。
【0069】
ステップS3において、制御装置31は、強制動作状態S40か否かを判定する。ステップS3の判定結果が肯定の場合、制御装置31は、ステップS4の判定を行う。ステップS3の判定結果が否定の場合、制御装置31は、ステップS5の処理を行う。
【0070】
ステップS4において、制御装置31は、フォークリフト10が停止しているか否かを判定する。ステップS4の判定結果が肯定の場合、制御装置31は、ステップS2の処理を行う。これにより、制御装置31が強制動作状態S40であってフォークリフト10が停止している場合に通知画面72が表示されることになる。ステップS4の判定結果が否定の場合、制御装置31は、ステップS5の処理を行う。
【0071】
ステップS5において、制御装置31は、通知画面72を非表示にする。即ち、第1画像I2及び第2画像I3が表示部71に表示されなくなる。制御装置31は、通知画面72に代えて、進行画面を表示してもよい。進行画面は、例えば、フォークリフト10の速度など、フォークリフト10の進行に関する情報が表示される画面である。ステップS5の処理を終えると、制御装置31は、表示制御を終了する。
【0072】
[本実施形態の作用]
フォークリフト10と障害物との接触を抑制するため、制御装置31は、発進制限制御を行っている。発進禁止状態S30では、発進制限エリアAA1のうち進行予定領域に障害物が存在している場合、当該障害物を原因障害物としてフォークリフト10の発進制限、及び警報が行われる。この際、発進制限エリアAA1であって進行予定領域とは異なる領域に障害物が存在している場合、発進制限エリアAA1に原因障害物と原因障害物とは異なる障害物が存在していることになる。発進制限エリアAA1に原因障害物と、原因障害物とは異なる障害物とが存在している場合、フォークリフト10の操作者がいずれの障害物がフォークリフト10の発進制限及び警報の原因になっているかを認識しにくい場合がある。
【0073】
制御装置31は、表示部71に第2画像I3を表示することによって、フォークリフト10の操作者に、原因障害物が存在することを通知することができる。また、フォークリフト10と障害物との位置関係に応じて第1画像I2と第2画像I3とを表示することによって、フォークリフト10の操作者は、いずれの障害物が原因障害物であるかを認識することができる。
【0074】
[本実施形態の効果]
(1)制御装置31は、原因障害物とは異なる障害物を通知する場合には第1画像I2を表示部71に表示する。制御装置31は、原因障害物を通知する場合には第2画像I3を表示部71に表示する。これにより、制御装置31は、原因障害物の存在をフォークリフト10の操作者に通知できる。
【0075】
(2)制御装置31は、フォークリフト10の発進時にフォークリフト10の進行が制限されている場合、第2画像I3を表示部71に表示する。フォークリフト10の発進後には、フォークリフト10の操作者は、荷やフォークリフト10の進行先を視認している場合が多く、表示部71に第2画像I3を表示しても表示部71を視認しない場合がある。また、フォークリフト10の発進後には、進行画面の表示が求められる場合もある。これに対して、フォークリフト10の発進時には、フォークリフト10の操作者が表示部71を視認しやすい。また、フォークリフト10を発進させるために、原因障害物の存在を操作者に認識させる必要性も高い。フォークリフト10の発進時に、第2画像I3を表示部71に表示することで、フォークリフト10の操作者に適切に原因障害物の存在を認識させることができる。
【0076】
(3)制御装置31は、フォークリフト10が停止している場合に第2画像I3を表示部71に表示する。フォークリフト10の進行中には、フォークリフト10の操作者は、荷やフォークリフト10の進行先を視認している場合が多く、表示部71に第2画像I3を表示しても表示部71を視認しない場合がある。フォークリフト10の停止時に、第2画像I3を表示部71に表示することで、フォークリフト10の操作者に適切に原因障害物の存在を認識させることができる。
【0077】
(4)制御装置31は、フォークリフト10と原因障害物との位置関係に基づき、後右表示領域73、後左表示領域74、及び後中央表示領域75の少なくとも1つに第2画像I3を表示する。フォークリフト10と原因障害物との位置関係に応じて第2画像I3が表示されるので、フォークリフト10の操作者が原因障害物の位置を認識しやすい。
【0078】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0079】
○表示部71は、後右表示領域73、後左表示領域74、及び後中央表示領域75を備えていなくてもよい。この場合、フォークリフト10から障害物までの距離、及びフォークリフト10から障害物に向かう方位に応じた位置に第1画像I2、又は第2画像I3を表示すればよい。例えば、フォークリフト10から原因障害物までの距離が長いほど、アイコンI1と第2画像I3との距離が長くなるように第2画像I3を表示部71に表示すればよい。また、フォークリフト10から原因障害物に向かう方位と、アイコンI1から第2画像I3に向かう方位とが一致するように第2画像I3を表示部71に表示すればよい。
【0080】
○制御装置31は、フォークリフト10の進行中に通知画面72を表示してもよい。例えば、制御装置31が強制動作状態S40であってフォークリフト10が進行している際に通知画面72を表示してもよい。
【0081】
○進行予定領域が変更になることで、障害物が進行予定領域に存在しなくなった場合、制御装置31は、第2画像I3を第1画像I2に変更してもよい。図4を例に挙げて説明を行う。図4に示す状態から、タイヤ角センサ36によって検知される操舵輪14の角度の変化によって進行予定領域が中央制限領域Nに変更になったとする。この場合、右障害物O1は、原因障害物から原因障害物とは異なる障害物になる。制御装置31は、後右表示領域73に表示されていた第2画像I3を第1画像I2に変更する。
【0082】
○制御装置31は、原因障害物とは異なる障害物を通知する場合には第1画像I2、原因障害物を通知する場合には第2画像I3を表示部71に表示できればよい。このため、制御装置31は、フォークリフト10と障害物との位置関係に応じて、第1画像I2及び第2画像I3が表示される位置を変更しなくてもよい。また、制御装置31は、第1画像I2及び第2画像I3を同時に表示部71に表示しなくてもよい。制御装置31は、原因障害物とは異なる障害物のみが発進制限エリアAA1に存在する場合には、第1画像I2のみを表示部71に表示してもよい。制御装置31は、原因障害物のみが発進制限エリアAA1に存在する場合には、第2画像I3のみを表示部71に表示してもよい。
【0083】
○制御装置31は、発進制限状態S20の場合に表示部71に第2画像I3を表示してもよい。発進制限状態S20の場合、発進制限エリアAA1に障害物が存在している場合にフォークリフト10の発進が制限される。発進制限エリアAA1に障害物が存在していることが特定条件といえる。
【0084】
○フォークリフト10は、エンジンの駆動によって走行するものでもよい。この場合、発進禁止条件から第4禁止条件を除外する。即ち、第1禁止条件、第2禁止条件、及び第3禁止条件の全てが成立した場合に、発進禁止条件は成立する。また、強制動作条件は、ディレクションレバー17が中立にされることに変更される。
【0085】
○障害物検知部51は、フォークリフト10の進行方向のうち前進方向に存在する障害物の位置を検知するものであってもよい。この場合、ステレオカメラ52は、フォークリフト10の前方を向いて配置される。障害物検知部51によりフォークリフト10の前進方向に存在する障害物の位置を検知する場合、発進制限エリアAA1はフォークリフト10から前方に拡がるエリアとなる。この場合、第3禁止条件、及び第2解除条件は以下のように変更される。
【0086】
第3禁止条件…ディレクションセンサ35の検知結果が前進。
第2解除条件…ディレクションセンサ35の検知結果が後進。
障害物検知部51としては、フォークリフト10の進行方向のうち後進方向及び前進方向のいずれの方向に存在する障害物の位置を検知できるものであってもよい。例えば、前進用のステレオカメラ52と後進用のステレオカメラ52を設けてもよいし、魚眼カメラを設けてもよい。この場合、発進制限エリアAA1はフォークリフト10から前方に拡がる前方エリア、及びフォークリフト10から後方に拡がる後方エリアを含む。制御装置31は、フォークリフト10を前進させようとする場合、発進制限エリアAA1を前方エリアとして発進制限制御を行う。制御装置31は、フォークリフト10を後進させようとする場合、発進制限エリアAA1を後方エリアとして発進制限制御を行う。
【0087】
上記したように発進制限エリアAA1を変更する場合、発進制限エリアAA1の変更に合わせて第1画像I2及び第2画像I3が表示される表示部71の位置を変更してもよい。例えば、発進制限エリアAA1をフォークリフト10の前方に拡がる領域とする場合、制御装置31は、アイコンI1の前方に対応する位置に第1画像I2及び第2画像I3を表示するようにしてもよい。
【0088】
○障害物検知部51は、ステレオカメラ52に代えて、単眼カメラ、ToF(Time of Flight)カメラ、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、ミリ波レーダー等を用いてもよい。障害物検知部51は、ステレオカメラ52とLIDAR等、複数のセンサを組み合わせたものを備えていてもよい。
【0089】
○警報部58は、障害物検知部51以外が備えていてもよい。
○警報部58は、制御装置31が直接作動させるようにしてもよい。
○フォークリフト10は、自動での操作と手動での操作とを切り替えられるものでもよい。
【0090】
○制御装置31は、発進禁止状態S30の際に、警報を行わなくてもよい。同様に、制御装置31は、強制動作状態S40の際に、警報を行わなくてもよい。
○発進禁止状態S30に代えて、フォークリフト10の発進を制限せずに、警報のみを行う第1警報状態を設定してもよい。強制動作状態S40に代えて、フォークリフト10の発進を制限せずに、警報のみを行う第2警報状態を設定してもよい。第1警報状態と第2警報状態では、警報の強弱を異ならせる。例えば、第1警報状態のほうが第2警報状態よりも警報を強くしてもよい。このように、フォークリフト10は、原因障害物によって進行の制限、及び警報の少なくとも1つを行えるものであればよい。
【0091】
○産業車両の障害物通知装置70は、表示部71を制御する専用の制御装置を備えていてもよい。即ち、フォークリフト10の走行動作、及びフォークリフト10の荷役動作に関する制御を行う制御装置と表示部71を制御する制御装置とを個別に設けてもよい。
【0092】
○産業車両としては、荷等の搬送に用いられる牽引車、ピッキング作業に用いられるピッキングリフト等であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
I1…アイコン、I2…第1画像、I3…第2画像、10…産業車両であるフォークリフト、31…制御装置、36…タイヤ角センサ、51…障害物検知部、70…産業車両の障害物通知装置、71…表示部、73…後右表示領域、74…後左表示領域、75…後中央表示領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7