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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174342
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087144
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】501299406
【氏名又は名称】株式会社トーメーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山成 正宏
(72)【発明者】
【氏名】岡本 圭一郎
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA09
4C316AA26
4C316AB03
4C316AB04
4C316AB11
4C316FY00
(57)【要約】
【課題】基準光により算出される基準位置を任意の位置に設定可能とする。
【解決手段】眼科装置は、光源と、光源からの光を被検眼に照射して測定光を生成する測定光学系と、光源からの光を用いて参照光を生成する参照光学系と、光源からの光を用いて基準位置を算出するための基準光を生成する基準光学系と、測定光と参照光とを合波して測定干渉光を生成すると共に、基準光と参照光とを合波して基準干渉光を生成する干渉光学系と、を備えている。基準光学系は、測定光学系より分岐された光路を有している。測定光学系は、光源からの光を被検眼に照射する第1状態と、光源からの光を前記基準光学系に導く第2状態とに切替える切替部を備えている。制御部は、被検眼の測定時に、第1状態として検出器で干渉信号を検出し、第2状態として検出器で基準干渉信号を検出するように切替部を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を被検眼に照射して測定光を生成する測定光学系と、
前記光源からの光を用いて参照光を生成する参照光学系と、
前記光源からの光を用いて基準位置を算出するための基準光を生成する基準光学系と、
前記測定光と前記参照光とを合波して測定干渉光を生成すると共に、前記基準光と前記参照光とを合波して基準干渉光を生成する干渉光学系と、
前記測定干渉光を検出して測定干渉信号を出力すると共に、前記基準干渉光を検出して基準干渉信号を出力する検出器と、
前記測定干渉信号に基づいて前記被検眼の深さ方向の位置情報を算出すると共に、前記基準干渉信号に基づいて前記基準位置を算出する制御部と、を備えており、
前記基準光学系は、前記測定光学系より分岐された光路を有しており、
前記測定光学系は、前記光源からの光を被検眼に照射する第1状態と、前記光源からの光を前記基準光学系に導く第2状態とに切替える切替部を備えており、
前記制御部は、前記被検眼の測定時に、前記第1状態として前記検出器で前記測定干渉信号を検出すると共に、前記第2状態として前記検出器で前記基準干渉信号を検出するように前記切替部を制御する、眼科装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1状態として前記検出器で前記測定干渉信号を検出する前又は検出した後に、前記第2状態として前記検出器で前記基準干渉信号を検出するように前記切替部を制御する、請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
特定時において調整された前記基準位置を示す特定時基準位置を記憶する記憶部をさらに備えており、
前記特定時基準位置は、前記特定時に前記基準光学系で生成された前記基準光と前記参照光学系で生成された前記参照光とを合波して生成される前記基準干渉光から算出された位置であり、
前記制御部は、前記測定時に前記検出器から出力される前記基準干渉信号に基づいて算出される前記基準位置である測定時基準位置と、前記記憶部に記憶された前記特定時基準位置との差に基づいて、前記測定時に前記検出器から出力される前記測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の深さ方向の位置情報を補正するように構成されている、請求項1又は2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の深さ方向の位置情報を、前記被検眼の実寸値に変換するため変換式をさらに記憶しており、
前記制御部は、前記測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の深さ方向の位置情報を前記変換式で変換することで、前記被検眼の実寸法をさらに算出するように構成されており、
前記変換式は、(A)光路長差が既知の少なくとも2つの反射面を有する較正用ツールに対して前記光源からの光を前記測定光学系から照射することで生成される較正用測定光と、前記参照光学系で生成された前記参照光と、を合波して生成される較正用干渉光から得られる前記2つの反射面の深さ方向の位置情報と、(B)前記2つの反射面の光路長差と、を用いて取得される、請求項3に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記特定時と、前記変換式を取得するために前記較正用ツールを用いて前記較正用干渉光を測定する時とは、略同時である、請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
特定時において調整された前記基準位置を示す特定時基準位置を記憶する記憶部をさらに備えており、
前記特定時基準位置は、前記特定時に前記基準光学系で生成された前記基準光と前記参照光学系で生成された前記参照光とを合波して生成される前記基準干渉光から算出された位置であり、
前記参照光学系は、前記参照光の光路長を調整する調整部を備えており、
前記制御部は、前記測定時に前記検出器から出力される前記基準干渉信号に基づいて算出される前記基準位置である測定時基準位置を算出し、前記測定時に算出される前記測定時基準位置が前記記憶部に記憶された前記特定時基準位置となるように前記調整部を制御する、請求項1に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の深さ方向の位置情報を、前記被検眼の実寸値に変換するため変換式をさらに記憶しており、
前記制御部は、前記測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の深さ方向の位置情報を前記変換式で変換することで、前記被検眼の実寸法をさらに算出するように構成されており、
前記変換式は、(A)光路長差が既知の少なくとも2つの反射面を有する較正用ツールに対して前記光源からの光を前記測定光学系から照射することで生成される較正用測定光と、前記参照光学系で生成された前記参照光と、を合波して生成される較正用干渉光から得られる前記2つの反射面の深さ方向の位置情報と、(B)前記2つの反射面の光路長差と、を用いて取得される、請求項6に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記特定時と、前記変換式を取得するために前記較正用ツールを用いて前記較正用干渉光を測定する時とは、略同時である、請求項7に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記切替部を前記第2状態として前記検出器で前記基準干渉信号を検出し、
検出した前記基準干渉信号に基づいて算出される前記測定時基準位置が前記記憶部に記憶された前記特定時基準位置となるように前記調整部を制御し、
前記調整部により前記参照光の光路長が調整された後に、前記切替部を前記第1状態として前記測定干渉信号を検出する、請求項6~8のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項10】
眼科装置であって、
被検眼の第1部位の深さ方向の第1位置を測定する第1OCTと、
前記被検眼の前記第1部位とは異なる第2部位の深さ方向の第2位置を測定する第2OCTと、
前記第1OCTで測定された前記第1位置と、前記第2OCTで測定された前記第2位置とから、前記第1部位から前記第2部位までの深さ方向の寸法を算出する制御部と、を備えており、
前記第1OCTは、
第1光源と、
前記第1光源からの光を前記被検眼の前記第1部位に照射して第1測定光を生成する第1測定光学系と、
前記第1光源からの光を用いて第1参照光を生成する第1参照光学系と、
前記第1光源からの光を用いて第1基準位置を算出するための第1基準光を生成する第1基準光学系と、
前記第1測定光と前記第1参照光とを合波して第1測定干渉光を生成すると共に、前記第1基準光と前記第1参照光とを合波して第1基準干渉光を生成する第1干渉光学系と、
前記第1測定干渉光を検出して第1測定干渉信号を出力すると共に、前記第1基準干渉光を検出して第1基準干渉信号を出力する第1検出器と、を備えており、
前記第1基準光学系は、前記第1測定光学系より分岐された光路を有しており、
前記第1測定光学系は、前記第1光源からの光を被検眼に照射する第1状態と、前記第1光源からの光を前記第1基準光学系に導く第2状態とに切替える第1切替部を備えており、
前記被検眼の測定時には、前記第1切替部により前記第1状態として前記第1検出器で前記第1測定干渉信号を検出すると共に、前記第1切替部により前記第2状態として前記第1検出器で前記第1基準干渉信号を検出する、眼科装置。
【請求項11】
前記第2OCTは、
第2光源と、
前記第2光源からの光を前記被検眼の前記第2部位に照射して第2測定光を生成する第2測定光学系と、
前記第2光源からの光を用いて第2参照光を生成する第2参照光学系と、
前記第2光源からの光を用いて第2基準位置を算出するための第2基準光を生成する第2基準光学系と、
前記第2測定光と前記第2参照光とを合波して第2測定干渉光を生成すると共に、前記第2基準光と前記第2参照光とを合波して第2基準干渉光を生成する第2干渉光学系と、
前記第2測定干渉光を検出して第2測定干渉信号を出力すると共に、前記第2基準干渉光を検出して第2基準干渉信号を出力する第2検出器と、を備えており、
前記第2基準光学系は、前記第2測定光学系より分岐された光路を有しており、
前記第2測定光学系は、前記第2光源からの光を被検眼に照射する第3状態と、前記第2光源からの光を前記第2基準光学系に導く第4状態とに切替える第2切替部を備えており、
前記被検眼の測定時には、前記第2切替部により前記第3状態として前記第2検出器で前記第2測定干渉信号を検出すると共に、前記第2切替部により前記第4状態として前記第2検出器で前記第2基準干渉信号を検出する、請求項10に記載の眼科装置。
【請求項12】
前記第1切替部が前記第1状態とすると、前記第2切替部が前記第3状態とし、
前記第1切替部が前記第2状態とすると、前記第2切替部が前記第4状態とし、
前記第1切替部と前記第2切替部とは兼用されている、請求項11に記載の眼科装置。
【請求項13】
前記眼科装置は、さらに、特定時において調整された前記第1OCTの測定範囲と前記第2OCTの測定範囲との間の深さ方向の距離と、前記特定時において調整された前記第1基準位置を示す特定時第1基準位置と、前記特定時において調整された前記第2基準位置を示す特定時第2基準位置と、を記憶する記憶部をさらに備えており、
前記制御部は、
(1)測定時に前記第1検出器から出力される前記第1基準干渉信号に基づいて算出される前記測定時第1基準位置と、前記記憶部に記憶された前記特定時第1基準位置との差と、
(2)測定時に前記第1検出器から出力される第1測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の前記第1位置と、
(3)測定時に前記第2検出器から出力される前記第2基準干渉信号に基づいて算出される前記測定時第2基準位置と、前記記憶部に記憶された前記特定時第2基準位置との差と、
(4)測定時に前記第2検出器から出力される第2測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の前記第2位置と、
(5)前記記憶部に記憶された前記第1OCTの測定範囲と前記第2OCTの測定範囲との間の深さ方向の距離と、
を用いて、前記第1部位から前記第2部位までの深さ方向の寸法を算出する、請求項11又は12に記載の眼科装置。
【請求項14】
前記記憶部は、
前記第1測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の深さ方向の位置情報を、前記第1OCTの測定範囲における前記被検眼の実寸値に変換するため第1変換式と、
前記第2測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の深さ方向の位置情報を、前記第2OCTの測定範囲における前記被検眼の実寸値に変換するため第2変換式と、をさらに記憶しており、
前記制御部は、
前記第1測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の深さ方向の位置情報を前記第1変換式で変換することで、前記第1OCTの測定範囲における前記被検眼の実寸法をさらに算出するように構成されると共に、
前記第2測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の深さ方向の位置情報を前記第2変換式で変換することで、前記第2OCTの測定範囲における前記被検眼の実寸法をさらに算出するように構成されており、
前記第1変換式は、(A1)光路長差が既知の少なくとも2つの反射面を有する第1較正用ツールに対して前記第1光源からの光を前記第1測定光学系から照射することで生成される第1較正用測定光と、前記第1参照光学系で生成された前記第1参照光と、を合波して生成される第1較正用干渉光から得られる前記2つの反射面の深さ方向の位置情報と、(B)前記2つの反射面の光路長差と、を用いて取得され、
前記第2変換式は、(A)光路長差が既知の少なくとも2つの反射面を有する第2較正用ツールに対して前記第2光源からの光を前記第2測定光学系から照射することで生成される第2較正用測定光と、前記第2参照光学系で生成された前記第2参照光と、を合波して生成される第2較正用干渉光から得られる前記2つの反射面の深さ方向の位置情報と、(B)前記2つの反射面の光路長差と、を用いて取得される、請求項13に記載の眼科装置。
【請求項15】
前記特定時第1基準位置は、前記特定時に前記第1基準光学系で生成された前記第1基準光と前記第1参照光学系で生成された前記第1参照光とを合波して生成される前記第1基準干渉光から算出された位置であり、
前記特定時第2基準位置は、前記特定時に前記第2基準光学系で生成された前記第2基準光と前記第2参照光学系で生成された前記第2参照光とを合波して生成される前記第2基準干渉光から算出された位置であり、
前記特定時と、前記第1変換式を取得するために前記第1較正用ツールに前記第1測定光を照射する時と、前記第2変換式を取得するために前記第2較正用ツールに前記第2測定光を照射する時とは、略同時である、請求項14に記載の眼科装置。
【請求項16】
前記眼科装置は、さらに、
前記第1参照光学系と前記第2参照光学系の少なくとも一方に設けられ、その光路長を調整する調整部を備えており、
前記制御部は、測定時に前記第1基準干渉信号から算出される測定時第1基準位置と、測定時に前記第2基準干渉信号から算出される測定時第2基準位置との間の距離が、予め設定された距離となるように前記前記調整部を制御する、請求項11又は12に記載の眼科装置。
【請求項17】
前記予め設定された距離は、特定時に前記第1基準干渉信号から算出される特定時第1基準位置と、特定時に前記第2基準干渉信号から算出される特定時第2基準位置との間の距離とされる、請求項16に記載の眼科装置。
【請求項18】
前記制御部は、
前記第1切替部を前記第2状態として前記第1検出器で前記第1基準干渉信号を検出し、
前記第2切替部を前記第4状態として前記第2検出器で前記第2基準干渉信号を検出し、
検出した前記第1基準干渉信号及び前記第2基準干渉信号に基づいて算出される前記測定時第1基準位置と前記測定時第2基準位置の差が、前記予め設定された距離となるように前記前記調整部を制御し、
前記調整部により光路長が調整された後に、前記第1切替部を前記第1状態として前記第1測定干渉信号を検出すると共に、前記第2切替部を前記第3状態として前記第2測定干渉信号を検出する、請求項16に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、光の干渉現象を利用して被検眼の断層像を撮影する眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光の干渉現象を利用する眼科装置では、参照光と測定光とを合波して測定干渉光が生成され、生成された測定干渉光から被検眼の深さ方向の位置情報が算出される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-161425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の眼科装置において、深さ方向の位置情報を正確に算出するためには、参照光及び測定光を生成する光学系の光路長を正確に調整する必要がある。このために、眼科装置の製造時に光学系の較正を行い、その後に出荷されている(すなわち、出荷時(詳細には、製造工程において予め設定された光学系較正時)に較正処理が行われている)。しかしながら、出荷後の経時変化や測定時の環境(例えば、温度等)によって光学系の光路長が変化し、較正処理を行ったときと同様の条件で測定することが困難な場合がある。そこで、干渉光学系の光の一部を分岐して基準光を生成し、この基準光を利用して被検眼の深さ方向の位置情報を補正することが考えられる。
【0005】
しかしながら、このような眼科装置では、測定光学系の光の一部を被検眼に照射して測定光を生成すると同時に、測定光学系の光の一部を分岐して基準光を生成する。そして、測定光から算出される被検眼の深さ方向の位置情報を、基準光から算出される基準位置を用いて補正する。このため、基準光から算出される基準位置を、測定光から算出される被検眼の深さ方向の位置情報とは異なる位置に設定しなければならないという制約を有している。本明細書は、基準光を利用して被検眼の深さ方向の位置情報を補正する眼科装置において、基準光により算出される基準位置を任意の位置に設定することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する第1の眼科装置は、光源と、光源からの光を被検眼に照射して測定光を生成する測定光学系と、光源からの光を用いて参照光を生成する参照光学系と、光源からの光を用いて基準位置を算出するための基準光を生成する基準光学系と、測定光と参照光とを合波して測定干渉光を生成すると共に、基準光と参照光とを合波して基準干渉光を生成する干渉光学系と、測定干渉光を検出して測定干渉信号を出力すると共に、基準干渉光を検出して基準干渉信号を出力する検出器と、測定干渉信号に基づいて被検眼の深さ方向の位置情報を算出すると共に、基準干渉信号に基づいて基準位置を算出する制御部と、を備える。基準光学系は、測定光学系より分岐された光路を有している。測定光学系は、光源からの光を被検眼に照射する第1状態と、光源からの光を基準光学系に導く第2状態とに切替える切替部を備えている。制御部は、被検眼の測定時に、第1状態として検出器で測定干渉信号を検出すると共に、第2状態として検出器で基準干渉信号を検出するように前記切替部を制御する。
【0007】
上記の眼科装置では、光源からの光を被検眼に照射する第1状態と、光源からの光を基準光学系に導く第2状態とに切替えられる。被検眼の測定時には、第1状態として検出器で測定干渉信号を検出すると共に、第2状態として検出器で基準干渉信号を検出する。すなわち、測定干渉信号を検出する期間と基準干渉信号を検出する期間とが、異なる期間となる。このため、基準干渉信号により算出される基準位置を、測定干渉信号により算出される被検眼の深さ方向の位置情報とは関係なく、任意の位置に設定することができる。
【0008】
また、本明細書に開示する第2の眼科装置は、被検眼の第1部位の深さ方向の第1位置を測定する第1OCTと、被検眼の第1部位とは異なる第2部位の深さ方向の第2位置を測定する第2OCTと、第1OCTで測定された第1位置と、第2OCTで測定された第2位置とから、第1部位から第2部位までの深さ方向の寸法を算出する制御部と、を備えている。第1OCTは、第1光源と、第1光源からの光を被検眼の第1部位に照射して第1測定光を生成する第1測定光学系と、第1光源からの光を用いて第1参照光を生成する第1参照光学系と、第1光源からの光を用いて第1基準位置を算出するための第1基準光を生成する第1基準光学系と、第1測定光と第1参照光とを合波して第1測定干渉光を生成すると共に、第1基準光と第1参照光とを合波して第1基準干渉光を生成する第1干渉光学系と、第1測定干渉光を検出して第1測定干渉信号を出力すると共に、第1基準干渉光を検出して第1基準干渉信号を出力する第1検出器と、を備えている。第1基準光学系は、第1測定光学系より分岐された光路を有している。第1測定光学系は、第1光源からの光を被検眼に照射する第1状態と、第1光源からの光を前記第1基準光学系に導く第2状態とに切替える第1切替部を備えている。被検眼の測定時には、第1切替部により第1状態として第1検出器で第1測定干渉信号を検出すると共に、第1切替部により第2状態として第1検出器で第1基準干渉信号を検出する。
【0009】
上記の眼科装置でも、第1状態として第1検出器で第1測定干渉信号を検出し、第2状態として第1検出器で第1基準干渉信号を検出する。このため、第1基準干渉信号により算出される第1基準位置を、第1測定干渉信号により算出される被検眼の深さ方向の位置情報とは関係なく、任意の位置に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る眼科装置の光学系の構成を示す図。
図2】実施例1に係る眼科装置が備える2つのOCTで測定される被検眼の測定範囲の関係を示す図。
図3】実施例1に係る眼科装置の制御系の構成を示すブロック図。
図4】実施例1に係る眼科装置において被検眼の眼軸長を測定するときの手順を示すフローチャート。
図5】実施例2に係る眼科装置の光学系の構成を示す図。
図6】実施例2に係る眼科装置の光学系の構成を示す図(光学系較正時)。
図7】実施例2に係る眼科装置の光学系の構成を示す図(被検眼測定時)。
図8】実施例2に係る眼科装置の制御系の構成を示すブロック図。
図9】実施例2に係る眼科装置において被検眼の眼軸長を測定するときの手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記した第1の眼科装置と第2の眼科装置の主要な態様を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0012】
(第1態様) 本明細書が開示する第1の眼科装置において、制御部は、第1状態として検出器で前記測定干渉信号を検出する前又は検出した後に、第2状態として検出器で基準干渉信号を検出するように切替部を制御してもよい。このような構成によると、被検眼の深さ方向の位置情報を取得する前後で基準位置を取得する。このため、測定時の状況を適切に考慮して、被検眼の深さ方向の位置情報を補正することができる。
【0013】
(第2態様) 本明細書が開示する第1の眼科装置又は第1態様においては、特定時において調整された基準位置を示す特定時基準位置を記憶する記憶部をさらに備えていてもよい。特定時基準位置は、特定時に基準光学系で生成された基準光と参照光学系で生成された参照光とを合波して生成される基準干渉光から算出された位置であってもよい。制御部は、測定時に検出器から出力される基準干渉信号に基づいて算出される基準位置である測定時基準位置と、記憶部に記憶された特定時基準位置との差に基づいて、測定時に検出器から出力される測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の深さ方向の位置情報を補正するように構成されていてもよい。このような構成によると、測定時に取得される基準位置と、特定時(例えば、出荷較正時又は修理較正時等)に取得された基準位置とに基づいて、被検眼の深さ方向の位置情報を補正する。このため、特定時から測定時までの光学系の経時変化を考慮することができる。
【0014】
(第3態様) 本明細書が開示する第1の眼科装置の第2態様においては、記憶部は、測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の深さ方向の位置情報を、被検眼の実寸値に変換するため変換式をさらに記憶していてもよい。制御部は、測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の深さ方向の位置情報を変換式で変換することで、被検眼の実寸法をさらに算出するように構成されていてもよい。変換式は、(A)光路長差が既知の少なくとも2つの反射面を有する較正用ツールに対して光源からの光を測定光学系から照射することで生成される較正用測定光と、参照光学系で生成された参照光と、を合波して生成される較正用干渉光から得られる前記2つの反射面の深さ方向の位置情報と、(B)前記2つの反射面の光路長差と、を用いて取得されてもよい。このような構成によると、被検眼の深さ方向の実寸法を精度よく算出することができる。
【0015】
(第4態様) 本明細書が開示する第1の眼科装置の第3態様においては、特定時と、変換式を取得するために較正用ツールを用いて較正用干渉光を測定する時とは、略同時であってもよい。このような構成によると、特定時基準位置を測定する時と、変換式を取得するために測定する時とが略同時となるため、被検眼の測定精度を高めることができる。
【0016】
(第5態様) 本明細書が開示する第1の眼科装置においては、特定時において調整された基準位置を示す特定時基準位置を記憶する記憶部をさらに備えていてもよい。特定時基準位置は、特定時に基準光学系で生成された基準光と参照光学系で生成された参照光とを合波して生成される基準干渉光から算出された位置であってもよい。参照光学系は、参照光の光路長を調整する調整部を備えていてもよい。制御部は、測定時に検出器から出力される基準干渉信号に基づいて算出される基準位置である測定時基準位置を算出し、測定時に算出される測定時基準位置が記憶部に記憶された特定時基準位置となるように調整部を制御してもよい。このような構成によると、参照光の光路長を調整することで、特定時の状態と略同様の状態で被検眼の測定を行うことができる。
【0017】
(第6態様) 本明細書が開示する第1の眼科装置の第5態様においては、記憶部は、測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の深さ方向の位置情報を、被検眼の実寸値に変換するため変換式をさらに記憶していてもよい。制御部は、測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の深さ方向の位置情報を前記変換式で変換することで、被検眼の実寸法をさらに算出するように構成されていてもよい。変換式は、(A)光路長差が既知の少なくとも2つの反射面を有する較正用ツールに対して光源からの光を測定光学系から照射することで生成される較正用測定光と、参照光学系で生成された前記参照光と、を合波して生成される較正用干渉光から得られる前記2つの反射面の深さ方向の位置情報と、(B)前記2つの反射面の光路長差と、を用いて取得されてもよい。このような構成によると、被検眼の深さ方向の実寸法を精度よく算出することができる。
【0018】
(第7態様) 本明細書が開示する第1の眼科装置の第6態様においては、特定時と、変換式を取得するために較正用ツールを用いて較正用干渉光を測定する時とは、略同時であってもよい。このような構成によると、特定時と、変換式を取得するために測定する時とが略同時となるため、被検眼の測定精度を高めることができる。
【0019】
(第8態様) 本明細書が開示する第1の眼科装置の第5態様~第7態様のいずれかにおいては、制御部は、切替部を第2状態として検出器で基準干渉信号を検出し、検出した基準干渉信号に基づいて算出される測定時基準位置が記憶部に記憶された特定時基準位置となるように調整部を制御し、調整部により参照光の光路長が調整された後に、切替部を第1状態として測定干渉信号を検出してもよい。このような構成によると、参照光の光路長が特定時と同様な状態となるように調整した後に、被検眼の測定を行う。このため、特定時(例えば、出荷較正時、修理較正時等)と同一の条件で被検眼の測定を行うことができる。
【0020】
(第9態様) 本明細書が開示する第2の眼科装置においては、第2OCTは、第2光源と、第2光源からの光を被検眼の第2部位に照射して第2測定光を生成する第2測定光学系と、第2光源からの光を用いて第2参照光を生成する第2参照光学系と、第2光源からの光を用いて第2基準位置を算出するための第2基準光を生成する第2基準光学系と、第2測定光と第2参照光とを合波して第2測定干渉光を生成すると共に、第2基準光と第2参照光とを合波して第2基準干渉光を生成する第2干渉光学系と、第2測定干渉光を検出して第2測定干渉信号を出力すると共に、第2基準干渉光を検出して第2基準干渉信号を出力する第2検出器と、を備えていてもよい。第2基準光学系は、第2測定光学系より分岐された光路を有していてもよい。第2測定光学系は、第2光源からの光を被検眼に照射する第3状態と、第2光源からの光を第2基準光学系に導く第4状態とに切替える第2切替部を備えていてもよい。被検眼の測定時には、第2切替部により第3状態として第2検出器で第2測定干渉信号を検出すると共に、第2切替部により第4状態として第2検出器で第2基準干渉信号を検出してもよい。このような構成によると、第2OCTにおいても、第1OCTと同様、第2基準位置を任意の位置に設定することができる。
【0021】
(第10態様) 本明細書が開示する第2の眼科装置の第9態様においては、第1切替部が第1状態とすると、第2切替部が第3状態とし、第1切替部が第2状態とすると、第2切替部が第4状態とし、第1切替部と第2切替部とは兼用されていてもよい。このような構成によると、第1切替部と第2切替部とが兼用されるため、光学系の構成を簡易にできると共に、各切替部の切り替えを容易に行うことができる。
【0022】
(第11態様) 本明細書が開示する第2の眼科装置の第9態様又は第10態様においては、眼科装置は、さらに、特定時において調整された第1OCTの測定範囲と第2OCTの測定範囲との間の深さ方向の距離と、特定時において調整された第1基準位置を示す特定時第1基準位置と、特定時において調整された第2基準位置を示す特定時第2基準位置と、を記憶する記憶部をさらに備えていてもよい。制御部は、(1)測定時に第1検出器から出力される第1基準干渉信号に基づいて算出される測定時第1基準位置と、記憶部に記憶された特定時第1基準位置との差と、(2)測定時に第1検出器から出力される第1測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の第1位置と、(3)測定時に第2検出器から出力される第2基準干渉信号に基づいて算出される測定時第2基準位置と、記憶部に記憶された特定時第2基準位置との差と、(4)測定時に第2検出器から出力される第2測定干渉信号に基づいて算出される前記被検眼の前記第2位置と、(5)記憶部に記憶された第1OCTの測定範囲と第2OCTの測定範囲との間の深さ方向の距離と、を用いて、第1部位から第2部位までの深さ方向の寸法を算出してもよい。このような構成によると、第1部位から第2部位までの深さ方向の寸法を精度よく算出することができる。
【0023】
(第12態様) 本明細書が開示する第2の眼科装置の第11態様においては、記憶部は、第1測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の深さ方向の位置情報を、第1OCTの測定範囲における被検眼の実寸値に変換するため第1変換式と、第2測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の深さ方向の位置情報を、第2OCTの測定範囲における被検眼の実寸値に変換するため第2変換式と、をさらに記憶していてもよい。制御部は、第1測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の深さ方向の位置情報を第1変換式で変換することで、第1OCTの測定範囲における被検眼の実寸法をさらに算出するように構成されると共に、第2測定干渉信号に基づいて算出される被検眼の深さ方向の位置情報を第2変換式で変換することで、第2OCTの測定範囲における被検眼の実寸法をさらに算出するように構成されていてもよい。第1変換式は、(A1)光路長差が既知の少なくとも2つの反射面を有する第1較正用ツールに対して第1光源からの光を第1測定光学系から照射することで生成される第1較正用測定光と、第1参照光学系で生成された第1参照光と、を合波して生成される第1較正用干渉光から得られる前記2つの反射面の深さ方向の位置情報と、(B)前記2つの反射面の光路長差と、を用いて取得されてもよい。第2変換式は、(A)光路長差が既知の少なくとも2つの反射面を有する第2較正用ツールに対して第2光源からの光を第2測定光学系から照射することで生成される第2較正用測定光と、第2参照光学系で生成された第2参照光と、を合波して生成される第2較正用干渉光から得られる2つの反射面の深さ方向の位置情報と、(B)2つの反射面の光路長差と、を用いて取得されてもよい。このような構成によると、被検眼の深さ方向の実寸法を精度よく算出することができる。
【0024】
(第13態様) 本明細書が開示する第2の眼科装置の第12態様においては、特定時第1基準位置は、特定時に第1基準光学系で生成された第1基準光と第1参照光学系で生成された第1参照光とを合波して生成される第1基準干渉光から算出された位置であってもよい。特定時第2基準位置は、特定時に第2基準光学系で生成された第2基準光と第2参照光学系で生成された第2参照光とを合波して生成される第2基準干渉光から算出された位置であってもよい。特定時と、第1変換式を取得するために第1較正用ツールに第1測定光を照射する時と、第2変換式を取得するために第2較正用ツールに第2測定光を照射する時とは、略同時であってもよい。このような構成によると、特定時と、変換式を取得するために測定する時とが略同時となるため、被検眼の測定精度を高めることができる。
【0025】
(第14態様) 本明細書が開示する第2の眼科装置の第9態様又は第10態様においては、眼科装置は、さらに、第1参照光学系と第2参照光学系の少なくとも一方に設けられ、その光路長を調整する調整部を備えていてもよい。制御部は、測定時に第1基準干渉信号から算出される測定時第1基準位置と、測定時に第2基準干渉信号から算出される測定時第2基準位置との間の距離が、予め設定された距離となるように調整部を制御してもよい。このような構成によると、2つの参照光学系の光路長の関係が予め設定された距離となるように調整した後に、被検眼の測定を行う。このため、被検眼の第1部位から第2部位までの深さ方向の寸法を精度よく算出することができる。
【0026】
(第15態様) 本明細書が開示する第2の眼科装置の第14態様においては、予め設定された距離は、特定時に第1基準干渉信号から算出される特定時第1基準位置と、特定時に第2基準干渉信号から算出される特定時第2基準位置との間の距離とされていてもよい。このような構成によると、特定時(例えば、出荷較正時、修理較正時等)と同一の条件で被検眼の測定を行うことができる。
【0027】
(第16態様) 本明細書が開示する第2の眼科装置の第14態様又は第15態様においては、制御部は、第1切替部を第2状態として第1検出器で第1基準干渉信号を検出し、第2切替部を第4状態として第2検出器で第2基準干渉信号を検出し、検出した第1基準干渉信号及び第2基準干渉信号に基づいて算出される測定時第1基準位置と測定時第2基準位置の差が、予め設定された距離となるように調整部を制御し、調整部により光路長が調整された後に、第1切替部を第1状態として第1測定干渉信号を検出すると共に、第2切替部を第3状態として第2測定干渉信号を検出してもよい。
【実施例0028】
(実施例1)
実施例1に係る眼科装置10について説明する。眼科装置10は、被検眼の前眼部(第1部位の一例)の断層画像を撮像する前眼部OCT(第1OCTの一例)と、被検眼の眼底(第2部位の一例)の断層画像を撮像する眼底OCT(第2OCTの一例)を備える。眼科装置10は、前眼部と眼底で異なるOCTを用いて断層画像を撮像することで、前眼部と眼底のそれぞれについて鮮明な断層画像の取得を可能としている。
【0029】
すなわち、眼科装置10では、図2に示すように、被検眼200の前眼部202の断層像を前眼部OCTで撮像し、眼底204の断層像を眼底OCTで撮像する。前眼部202及び眼底204のそれぞれを鮮明に撮影するため、前眼部OCTの撮像範囲202a(深さ方向の長さB)と眼底OCTの撮像範囲204a(深さ方向の長さC)は重複しないように設定されている。このため、例えば、眼軸長(前眼部202の角膜表面(第1位置の一例)から眼底204の網膜表面(第2位置の一例)までの長さ)を測定しようとすると、前眼部OCTの撮像範囲202aと眼底OCTの撮像範囲204aの深さ方向の位置関係を知っておく必要がある。例えば、前眼部OCTの撮像範囲202aの最深部から眼底OCTの撮像範囲204aの最浅部までの距離(長さA)が必要となる。したがって、前眼部OCTの撮像範囲202aと眼底OCTの撮像範囲204aの深さ方向の位置関係が予め設定された位置関係となるように、眼科装置10の光学系の構成が設計され、また、眼科装置10の出荷時には眼科装置10の光学系の較正が行われる。しかしながら、眼科装置10の光学系は、出荷後の経時変化や測定時の環境(例えば、温度等)によって変化し、較正処理で較正した条件で測定することはできない。そこで、眼科装置10では光学系の光路長の変化を補正して眼軸長を算出するようにしている。
【0030】
まず、眼科装置10の光学系の構成を説明する。図1に示すように、眼科装置10は、前眼部OCT(12,18a~18e,20,22,26,24,28,32,34,36,38、40,43)と、眼底OCT(14,16,30a~30d,32,33,36,38,41,42)を備える。
【0031】
前眼部OCTは、波長掃引型の光源12(第1光源の一例)を備えるフーリエドメイン方式の光断層画像撮影装置(いわゆる、SS-OCT)であり、前眼部測定光学系(第1測定光学系の一例)と、前眼部参照光学系(第1参照光学系の一例)と、前眼部基準光学系(第1基準光学系の一例)と、前眼部干渉光学系(第1干渉光学系の一例)と、前眼部検出器28(第1検出器の一例)と、を備えている。
【0032】
前眼部測定光学系は、光ファイバ18a,18b,18dと、カプラ20と、サーキュレータ22と、レンズ34と、ガルバノスキャナ36と、を備えている。光源12から出射された光は、光ファイバ18aを通ってカプラ20に入力される。カプラ20は、光源12からの光を、測定光と参照光に分波する。カプラ20で分波された測定光(第1測定光の一例)は、光ファイバ18bに出力される。光ファイバ18bにはサーキュレータ22が配置されている。光ファイバ18bに出力された測定光は、サーキュレータ22を通って、光ファイバ18bの先端からレンズ34に向かって出射される。レンズ34に出射された測定光は、2軸のガルバノスキャナ36に出射される。ガルバノスキャナ36は、図示しない駆動装置によって傾動するように構成されており、ガルバノスキャナ36を傾動することで、被検眼200への測定光の照射位置が走査される。被検眼200からの反射光は、上記とは逆に、ガルバノスキャナ36を介してレンズ34に入力される。レンズ34に入力された反射光は、光ファイバ18bを通ってサーキュレータ22に入力される。サーキュレータ22に入力された反射光は、光ファイバ18dを通ってカプラ26に入力される。なお、図1では、光学系の構成を簡略化したため、光ファイバ18bがレンズ32を貫通しているように図示されているが、実際には光ファイバ18bはレンズ33を貫通していない。また、図1では、後述する光ファイバ30cにサーキュレータ22が配置されているように図示されているが、実際には光ファイバ30cにサーキュレータ22は配置されていない。
【0033】
前眼部参照光学系は、光ファイバ18a,18c,18eと、カプラ20と、サーキュレータ24と、レンズ43と、参照ミラー40と、を備えている。上記したように、光源12から出射された光は、光ファイバ18aを通ってカプラ20に入力し、カプラ20において測定光と参照光に分波される。カプラ20から出力される参照光(第1参照光の一例)は、光ファイバ18cに入力し、サーキュレータ24を通って、光ファイバ18cの先端からレンズ43に向かって出射される。レンズ43に出射された参照光は、参照ミラー40で反射され、再びレンズ43に入力される。レンズ43に入力された参照光は、光ファイバ18cを通ってサーキュレータ24に入力される。サーキュレータ24に入力された反射光は、光ファイバ18eを通ってカプラ26に入力される。
【0034】
前眼部基準光学系は、前眼部測定光学系より分岐された光路を有しており、この光路上に配置された基準ミラー38を備えている。上記したガルバノスキャナ36は、図示しない駆動装置によって傾動することで、光源12からの光を被検眼200に照射する第1状態と、光源12からの光を基準ミラー38に照射する第2状態とに切替える。ガルバノスキャナ36は、第1状態と第2状態とを切替える「第1切替部」として機能する。また、本実施例では、光源12からの光が被検眼200に照射される状態では、光源12からの光は基準ミラー38に導かれない。一方、光源12からの光が基準ミラー38に導かれる状態では、光源12からの光は被検眼200に照射されない。すなわち、光源12から前眼部測定光学系に導かれた光の全てが被検眼200又は基準ミラー38に照射される。なお、基準ミラー38に照射された光(第1基準光の一例)は、基準ミラー38で反射され、ガルバノスキャナ36とレンズ34と光ファイバ18bを通ってサーキュレータ22に入力する。サーキュレータ22に入力された光は、光ファイバ18dを通ってカプラ26に入力される。
【0035】
前眼部干渉光学系は、カプラ26を備えている。カプラ26は、被検眼200から反射された光(第1測定光)と参照ミラー40で反射された光(第1参照光)を合波して干渉光(第1測定干渉光の一例)を生成し、また、基準ミラー38から反射された光(第1基準光)と参照ミラー40で反射された光(第1参照光)を合波して干渉光(第1基準干渉光の一例)を生成する。カプラ26で生成される干渉光は、前眼部検出器28に入力される。前眼部検出器28は、バランス検出器であり、カプラ26から入力する干渉光を検出し、干渉信号(電気信号)を出力する。前眼部検出器28から出力される干渉信号は、後述する制御装置44(図3に図示)に入力される。
【0036】
眼底OCTは、広帯域波長の光源14(第2光源の一例)を備えるスペクトルドメイン方式の光断層画像撮影装置(いわゆる、SD-OCT)であり、眼底測定光学系(第2測定光学系の一例)と、眼底参照光学系(第2参照光学系の一例)と、眼底基準光学系(第2基準光学系の一例)と、眼底干渉光学系(第2干渉光学系の一例)と、眼底検出器16(第2検出器の一例)と、を備えている。
【0037】
眼底測定光学系は、光ファイバ30a,30cと、カプラ32と、レンズ33と、ガルバノスキャナ36と、を備えている。光源14から出射された光は、光ファイバ30aを通ってカプラ32に入力される。カプラ32は、光源14からの光を、測定光(第2測定光の一例)と参照光に分波する。カプラ40で分波された測定光は、光ファイバ30cに出力され、光ファイバ30cの先端からレンズ33に向かって出射される。レンズ33に出射された測定光は、上述した前眼部OCTと同様、2軸のガルバノスキャナ36に出射される。ガルバノスキャナ36は、図示しない駆動装置によって駆動され、被検眼200への測定光の照射位置が走査される。被検眼200からの反射光は、上記とは逆に、ガルバノスキャナ36、レンズ34及び光ファイバ30cを通ってカプラ32に入力される。
【0038】
上記の説明から明らかなように、ガルバノスキャナ36から被検眼200までの間の光路は、眼底測定光学系と前眼部測定光学系とで共通化されており、ガルバノスキャナ36は、眼底測定光学系と前眼部測定光学系とで兼用されている。なお、図1では、光ファイバ30cの先端からレンズ33に向かって出射された測定光がレンズ34を透過しているように図示されているが、実際にはレンズ34を透過していない。また、図1に示すように、眼底測定光学系における光ファイバ30cの先端から被検眼200までの光路長は、前眼部測定光学系における光ファイバ18bの先端から被検眼200までの光路長よりも長くなっている。すなわち、眼底測定光学系では、光ファイバ30cの先端から光ファイバ18bの先端に相当する位置までの間がバルク光学系で構成されるのに対して、前眼部測定光学系では光ファイバ18bで構成されている。このため、温度変化による前眼部測定光学系の光路長変化と眼底測定光学系の光路長変化とは同一とはならない。また、眼科装置10の装置内の温度は非均一であるため、各光学系の温度も全光路長に渡って均一とはならない。このことによっても、温度による各光学系の光路長変化は不均一となる。
【0039】
眼底参照光学系は、光ファイバ30a,30bと、カプラ32と、レンズ41と、参照ミラー42と、を備えている。上記したように、光源14から出射された光は、光ファイバ30aを通ってカプラ32に入力し、カプラ32において測定光と参照光に分波される。カプラ32から出力される参照光(第2参照光の一例)は、光ファイバ30bを通って、光ファイバ30bの先端からレンズ41に向かって出射される。レンズ41に出射される参照光は、参照ミラー42で反射され、レンズ41及び光ファイバ30bを通ってカプラ32に入力される。
【0040】
眼底基準光学系は、眼底測定光学系より分岐された光路を有しており、この光路上に配置された基準ミラー38を備えている。図1から明らかなように、基準ミラー38は、眼底基準光学系と前眼部基準光学系とで兼用されており、眼底基準光学系は前眼部基準光学系と同一の構成を備えている。したがって、ガルバノスキャナ36を駆動することで、光源14からの光を被検眼200に照射する第3状態と、光源14からの光を基準ミラー38に照射する第4状態とに切替えられる。すなわち、ガルバノスキャナ36は、第3状態と第4状態とを切替える「第2切替部」として機能する。後述するように、前眼部OCTと眼底OCTは同時に被検眼200の断層像を撮影するため、ガルバノスキャナ36が前眼部OCTを第1状態とすると、眼底OCTは第3状態となる。また、ガルバノスキャナ36が前眼部OCTを第2状態とすると、眼底OCTは第4状態となる。なお、眼底OCTにおいても、光源14から眼底測定光学系に導かれた光の全てが被検眼200又は基準ミラー38に照射される。なお、基準ミラー38に照射された光(第2基準光の一例)は、基準ミラー38で反射され、ガルバノスキャナ36及び光ファイバ30bを通ってカプラ32に入力される。
【0041】
眼底干渉光学系は、カプラ32を備えている。カプラ32は、被検眼200から反射された光(第2測定光)と参照ミラー40で反射された光(第2参照光)を合波して干渉光(第2測定干渉光の一例)を生成し、また、基準ミラー38から反射された光(第2基準光)と参照ミラー40で反射された光(第2参照光)を合波して干渉光(第2基準干渉光の一例)を生成する。カプラ26で生成される干渉光は、眼底検出器16に入力される。眼底検出器16は分光器であり、入力する干渉光を分光して検出し、干渉信号(電気信号)を出力する。眼底検出器16から出力される干渉信号(干渉光の分光情報)は、後述する制御装置44(図3に図示)に入力される。
【0042】
次に、眼科装置10の制御系の構成を説明する。図3に示すように、眼科装置10は制御装置44によって制御される。制御装置44は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)によって構成され、被検眼200の眼軸長を算出する演算部46と、各種情報を記憶する記憶部48として機能する。制御装置44には、光源12,14と、前眼部検出器28と、眼底検出器16と、ガルバノスキャナ36が接続されている。制御装置44は、光源12,14のオン/オフを制御し、ガルバノスキャナ36を駆動する。また、制御装置44は、前眼部検出器28から入力する干渉信号から被検眼200の前眼部202の断層像を生成すると共に、眼底検出器16から入力する干渉信号から被検眼200の眼底204の断層像を生成する。制御装置44で生成された断層像は、図示しないモニタに表示される。
【0043】
また、制御装置44の演算部46は、前眼部検出器28から入力する干渉信号(前眼部202aの深さ方向の位置情報)と、眼底検出器16から入力する干渉信号(眼底204の深さ方向の位置情報)とに基づいて、被検眼200の眼軸長(被検眼200の角膜前面から網膜の表面までの長さ)を算出する。上述したように、被検眼200の眼軸長を算出するためには、前眼部OCTの撮像範囲202aと眼底OCTの撮像範囲204aの深さ方向の位置関係(例えば、前眼部OCTの撮像範囲202aの最深部から眼底OCTの撮像範囲204aの最浅部までの距離(長さA))が必要となる。したがって、制御装置44の記憶部48は、眼科装置10の出荷時における前眼部OCTの撮像範囲202aと眼底OCTの撮像範囲204aの深さ方向の位置関係(長さA)を記憶している。より詳細には、前眼部OCTで測定される干渉信号から算出される被検眼200の深さ方向の位置情報を、被検眼の実寸値に変換するため変換式(第1変換式の一例)と、眼底OCTで測定される干渉信号から算出される被検眼200の深さ方向の位置情報を、被検眼の実寸値に変換するため変換式(第2変換式の一例)を記憶すると共に、さらに、眼科装置10の出荷時における前眼部OCTの撮像範囲202aと眼底OCTの撮像範囲204aの深さ方向の位置関係(例えば、長さA)を記憶している。これら変換式と位置関係は、眼科装置10の出荷時に実施される光学系の較正処理を行う際に取得される。
【0044】
なお、眼科装置10の光学系が出荷時に較正され、かつ、出荷時における撮像範囲202aと撮像範囲204aの深さ方向の位置関係(変換式(長さA))が記憶されていても、出荷後の経時変化や測定時の環境(例えば、温度等)によって光学系の光路長は変化する。その結果、撮像範囲202aと撮像範囲204aの深さ方向の位置関係が変化し、そのままでは眼軸長を正しく算出できない。そこで、本実施例では、制御装置44の記憶部48は、出荷時における前眼部OCTにおける基準ミラー38の位置(特定時第1基準位置の一例)と、出荷時における眼底OCTにおける基準ミラー38の位置(特定時第2基準位置の一例)をさらに記憶している。
【0045】
ここで、眼科装置10の出荷時に実施される光学系の較正処理と、眼軸長を算出するための変換式を取得する処理の一例について説明する。光学系の較正処理を行う際は、光路長差が既知の少なくとも2つの反射面を有する較正用ツール(ガラスブロック)を用いる。すなわち、ガラスブロックは、その前面と後面が反射面となり、前面から後面までの長さ(ガラスブロックの厚み)が既知である。このため、ガラスブロックを較正ツールとして用いることができる。
【0046】
具体的な処理としては、被検眼200の前眼部の位置に較正用ツール(ガラスブロック)を配置し、前眼部OCTにより較正用ツールを測定し、較正用ツールの前面の位置と後面の位置を取得する。上述したように較正用ツールの前面の位置と後面の位置との光路長差は既知であるため、前眼部OCTにより測定した値を実寸法に変換する変換式(第1変換式)を取得する。同様に、被検眼200の網膜の位置に較正用ツール(ガラスブロック)を配置し、眼底OCTにより較正用ツールを測定し、較正用ツールの前面の位置と後面の位置を取得する。これによって、眼底OCTにより測定した値を実寸法に変換する変換式(第2変換式)を取得する。次に、前眼部OCTの撮像範囲202aに較正用ツールの前面が位置し、眼底OCTの撮像範囲204aに較正用ツールの後面が位置するように較正ツールを配置し、前眼部OCTで較正用ツールの前面の位置を取得すると共に、眼底OCTで較正用ツールの後面の位置を取得する。これによって、前眼部OCTの撮像範囲202aと眼底OCTの撮像範囲204aの位置関係(例えば、長さA)を取得することができる。これらの測定によって、被検眼200の眼軸長(実寸)を算出するための変換式が取得され、取得された変換式が記憶部48に記憶される。
【0047】
上述した変換式を取得する測定と同時に、前眼部OCTにおける基準ミラー38の位置と、眼底OCTにおける基準ミラー38の位置を測定する。すなわち、前眼部OCTにより較正用ツールを測定する際に、その測定が終了した後にガルバノスキャナ36を駆動して、光源からの光を基準ミラー38に照射する。そして、基準ミラー38で反射された基準光と参照光とを合波した基準干渉光から、前眼部OCTにおける基準ミラー38の位置を取得する。同様に、眼底OCTにより較正用ツールを測定する際に、その測定が終了した後にガルバノスキャナ36を駆動して、光源からの光を基準ミラー38に照射する。そして、基準ミラー38で反射された基準光と参照光とを合波した基準干渉光から、眼底OCTにおける基準ミラー38の位置を取得する。そして、これら2つの基準位置は、記憶部48に記憶される。上記の変換式及び基準位置を記憶部48に記憶することで、眼科装置10の出荷時の較正処理が終了する。なお、上記の較正処理は、眼科装置10の出荷時だけでなく、種々のタイミングで実施することができる。例えば、眼科装置10の修理時や、メンテナンス時に行うようにしてもよい。また、上記の例では、変換式を取得する測定を行った後に、基準位置を測定する処理を行ったが、これとは逆に、基準位置を測定する処理を行った後に、変換式を取得する測定する処理を行ってもよい。
【0048】
次に、出荷後に被検眼200の眼軸長を測定するときの眼科装置10の動作について説明する。被検眼200の眼軸長を測定するには、まず、被検眼200に対して前眼部OCTと眼底OCTの光学系を位置決めする(アライメントする)。次に、制御装置44は、図4に示すように、光源12,14をオンする(S10)。これによって、光源12,14のそれぞれから光が出力され、出力された光が被検眼200に照射される。すなわち、光源12,14のそれぞれから出射した光が被検眼200に同時に照射される。
【0049】
次に、制御装置44は、被検眼200の前眼部202及び眼底204の断層像を撮影する(S12)。具体的には、制御装置44は、ガルバノスキャナ36を駆動して、光源12,14からの光を被検眼200の測定範囲に対して走査する(S12)。これによって、被検眼200の前眼部202から反射された光による干渉光が前眼部検出器28で検出され、同時に被検眼200の眼底204から反射された光による干渉光が眼底検出器16で検出される。このため、制御装置44は、前眼部検出器28から入力する干渉信号に基づいて被検眼200の前眼部202の断層像を生成すると共に、眼底検出器16から入力する干渉信号に基づいて被検眼200の眼底204の断層像を生成する。
【0050】
次に、制御装置44は、光源12,14からの光を基準ミラー38に照射し、基準ミラー38の位置を測定する(S14)。具体的には、制御装置44は、ガルバノスキャナ36を駆動して、光源12、14からの光を基準光学系に導き、光源12、14からの光を基準ミラー38に照射する。上述したように、S14の状態では、光源12、14からの光は被検眼200に照射されない。このため、前眼部検出器28は、基準ミラー38で照射した光(第1基準光)と第1参照光との干渉光だけを検出し、眼底検出器16は、基準ミラー38で照射した光(第2基準光)と第2参照光との干渉光だけを検出する。これら検出した干渉光に基づいて、制御装置44は、前眼部OCTにおける基準ミラー38の位置と、眼底OCTにおける基準ミラー38の位置を算出する。
【0051】
次に、制御装置44は、S12で測定した被検眼200の測定結果と、S14で測定した基準ミラー38の測定結果に基づいて、被検眼200の眼軸長を算出する(S16)。すなわち、S12では前眼部OCTによって被検眼200の前眼部202の断層像を撮影し、眼底OCTによって被検眼200の眼底204の断層像を撮影している。したがって、制御装置44は、前眼部202の断層像から被検眼200の角膜表面の位置と、眼底204の断層像から被検眼200の網膜表面の位置を特定することができる。ここで、制御装置44の記憶部48は、前眼部OCTの撮像範囲202aと眼底OCTの撮像範囲204aとの位置関係(長さA)と変換式を記憶している。したがって、前眼部OCTと眼底OCTの光学系の光路長に変化がないのであれば、制御装置44は、特定した角膜表面の位置及び網膜表面の位置と、変換式(長さA)と位置関係から眼軸長を算出することができる。
【0052】
しかしながら、既に説明したように、眼科装置10の光学系の光路長は、出荷後の経時変化や測定時の環境(例えば、温度等)によって変化する。このため、制御装置44は、S14で算出した基準ミラー38の位置を利用して、S12で撮影した断層像から特定される角膜表面の位置と網膜表面の位置を補正する。すなわち、制御装置44の記憶部48は、出荷時における前眼部OCTにおける基準ミラー38の位置と、出荷時における眼底OCTにおける基準ミラー38の位置を記憶している。したがって、前眼部OCTと眼底OCTのそれぞれにおいて、S14で測定した基準ミラー38の位置と、記憶部48に記憶されている基準ミラー38の位置の差(すなわち、光路長変化)により、S12で撮影した断層像から特定される角膜表面の位置と網膜表面の位置を補正する。次いで、補正した角膜表面の位置及び網膜表面の位置と、撮像範囲202aと撮像範囲204aの位置関係(長さA)から眼軸長を算出する。これによって、被検眼200の眼軸長を精度よく算出することができる。なお、S16で算出された眼軸長は、図示しないモニタに表示される。
【0053】
上記した実施例1の眼科装置10では、前眼部OCTと眼底OCTのそれぞれが基準光学系を備え、基準光学系で測定された基準位置(基準ミラー38の位置)により、前眼部OCTと眼底OCTのそれぞれの測定結果を補正する。このため、眼科装置10の光学系の光路長が経時的に、あるいは、温度によって変化したとしても、光路長変化を考慮して前眼部OCTと眼底OCTのそれぞれの測定結果が補正される。このため、被検眼200の眼軸長を精度よく算出することができる。
【0054】
また、被検眼200に光を照射して被検眼200の測定を行った後に、基準ミラー38に光を照射して基準ミラー38の位置(基準位置)を測定する。すなわち、被検眼200の測定と基準ミラー38の測定を同時に実施しない。このため、基準ミラー38を任意の位置に設定することができ、被検眼200の各部位(角膜、水晶体、網膜)の位置と基準ミラー38の位置が同一の位置となっても問題が生じない。また、被検眼200の測定と基準ミラー38の測定を同時に実施しないが、被検眼200の測定を行った直後に基準ミラー38の測定を行う。このため、眼軸長の算出精度にはほとんど影響はない。なお、上記の例では、被検眼200の測定を行った直後に基準ミラー38の測定を行ったが、これとは逆に、基準ミラー38の測定を行った直後に被検眼200の測定を行ってもよい。
【0055】
(実施例2)
次に、実施例2に係る眼科装置50について説明する。実施例2に係る眼科装置50は、前眼部OCTと眼底OCTを備え、それぞれのOCTが基準位置を取得するための基準光学系を備えており、この点においては実施例1に係る眼科装置10と同一である。ただし、実施例2に係る眼科装置50では、基準光学系の構成が異なると共に、基準光学系で取得した基準位置に基づいて、眼科装置50の光学系の光路長変化を補正する構成が、実施例1の眼科装置10のそれと相違する。以下、実施例2の眼科装置50の構成のうち、実施例1の眼科装置10と同一の構成を有する部分については簡単に説明し、実施例1と異なる構成を有する部分について詳細に説明する。
【0056】
図5~7に示すように、眼科装置10は、被検眼の前眼部の断層画像を撮像する前眼部OCT54(第1OCTの他の例)と、被検眼の眼底の断層画像を撮像する眼底OCT52(第2OCTの他の例)を備える。前眼部OCT54は、波長掃引型の光源82を備える光断層画像撮影装置(SS-OCT)であり、前眼部測定光学系(86a,86c,59,60,62,63,76,68)と、前眼部参照光学系(86a,86d,88,94,90,96,92)と、前眼部基準光学系(80,74)と、前眼部干渉光学系88と、前眼部検出器84と、を備えている。
【0057】
前眼部測定光学系は、光ファイバ86a,86cと、カプラ88と、レンズ59と、ビームスプリッタ60と、ガルバノスキャナ62と、ミラー63と、レンズ76と、ミラー68を備えている。光源82から出射された光は、光ファイバ86aを通ってカプラ88において測定光と参照光に分波され、カプラ88で分波された測定光は、光ファイバ86cの先端からレンズ59に向かって出射される。レンズ59に出射された測定光は、ビームスプリッタ60、ガルバノスキャナ62、ミラー63、レンズ76、ミラー68を通過して被検眼200(図6,7参照)に照射される。なお、図5においては、被検眼200の代わりに、製品出荷時に用いられる較正用ツール72(例えば、模擬眼)が表示されている。較正用ツール72は、角膜の位置に1枚のガラスブロックが配置され、網膜の位置に1枚のガラスブロックが配置されている。なお、各ガラスブロックの厚み(光路長差)と、2枚のガラスブロックの距離(光路長差)は既知となっている。実施例2においても、ガルバノスキャナ62が駆動されることで、被検眼200に照射される光が走査される。なお、被検眼で反射した光は、上記した経路を逆方向に進んで、カプラ88に入力される。
【0058】
前眼部参照光学系は、光ファイバ86a,86dと、カプラ88と、レンズ94と、ビームスプリッタ90と、レンズ96と、参照ミラー92と、を備えている。カプラ88で分波された参照光は、光ファイバ86dの先端からレンズ94に出射され、ビームスプリッタ90とレンズ96を通って参照ミラー92に照射される。参照ミラー92で反射された光は、上記した経路を逆方向に進み、カプラ88に入力される。
【0059】
前眼部基準光学系は、前眼部測定光学系(詳細には、ガルバノスキャナ62)より分岐された光路を有しており、この光路上に配置されたレンズ80及び基準ミラー74を備えている。基準ミラー74は、製品出荷時に用いられる較正用ツール72と同一の構成を有しており、かつ、ガルバノスキャナ62から較正用ツール72(正確には、較正用ツール72の角膜の前面に相当するガラスブロックの反射面)までの光路長と、ガルバノスキャナ62から基準ミラー74の反射面(正確には、基準ミラー74の角膜の前面に相当するガラスブロックの反射面)までの光路長は同一となるように配置されている。したがって、前眼部OCT54の光学系の光路長が変化しなければ、較正用ツール72の反射面の深さ方向の位置と基準ミラー74の深さ方向の位置は同一となる。なお、実施例1と同様に、ガルバノスキャナ62を駆動することによって、光源82からの光が被検眼(較正用ツール72)に照射される状態と、光源82からの光が基準ミラー74に照射される状態が切替られる。基準ミラー74に照射された光は、ガルバノスキャナ62に向かって反射され、ビームスプリッタ60、レンズ59及び光ファイバ86cを通ってカプラ88に入力される。
【0060】
前眼部干渉光学系は、カプラ88を備えている。カプラ88は、較正用ツール72(又は被検眼200)から反射された光と参照ミラー92で反射された光を合波して干渉光を生成すると共に、基準ミラー74から反射された光と参照ミラー72で反射された光を合波して干渉光を生成する。カプラ88で生成される干渉光は、前眼部検出器84に入力される。前眼部検出器28は、干渉光を検出し、干渉信号を制御装置100(図8に図示)に出力する。
【0061】
眼底OCT52は、広帯域波長の光源54を備える光断層画像撮影装置(SD-OCT)であり、眼底測定光学系(58a,58e,60,62,63,66,70,78,68)と、眼底参照光学系(58a,58c,58d,60,61,58d,64)と、眼底基準光学系(58f,90.96,92)と、眼底干渉光学系60と、眼底検出器56と、を備えている。
【0062】
眼底測定光学系は、光ファイバ58a,58eと、カプラ60と、ビームスプリッタ60と、ガルバノスキャナ62と、ミラー63,66,70と、レンズ76と、ミラー68を備えている。光源54から出射された光は、光ファイバ58aを通ってカプラ60において測定光と参照光に分波され、カプラ60で分波された測定光は、光ファイバ58eの先端からビームスプリッタ60に向かって出射される。光ファイバ58eから出射された光は、ビームスプリッタ60で反射され、ガルバノスキャナ62に出射される。ガルバノスキャナ62で反射された光は、ミラー63,66,70でそれぞれ反射され、レンズ76を通ってミラー68で反射され、被検眼200(図5では較正用ツール72)に照射される。被検眼200からの反射光は、上記とは逆に進み、カプラ60に入力される。
【0063】
眼底参照光学系は、光ファイバ58a,58c,58dと、カプラ61と、参照ミラー64を備えている。カプラ60で分波された参照光は、光ファイバ58dを通ってカプラ61に入力される。カプラ61は、光ファイバ58dから入力する光を参照光と基準光に分波する(例えば、参照光:基準光=99:1)。カプラ61で分波された参照光は、光ファイバ58dに進み、光ファイバ58dの先端から参照ミラー64に出射される。参照ミラー64に出射されて参照ミラー64で反射した光は、上記した経路を逆方向に進み、カプラ60に入力される。
【0064】
眼底基準光学系は、眼底参照光学系のカプラ61より分岐された光路を有しており、カプラ61と、光ファイバ58fと、ビームスプリッタ90と、レンズ96と、基準ミラー92(前眼部OCT54における参照ミラー92)を備えている。すなわち、眼底基準光学系の基準ミラー92と、前眼部参照光学系の参照ミラー92とが共通化されている。カプラ61で分岐された基準光は、光ファイバ58f、ビームスプリッタ90、レンズ96を介して基準ミラー92に照射され、基準ミラー92で反射する。基準ミラー92で反射した基準光は、レンズ96、ビームスプリッタ90、光ファイバ58f、カプラ61に入力される。カプラ61においては、参照ミラー64で反射された参照光と、基準ミラー92で反射した基準光とは合波される。
【0065】
眼底干渉光学系は、カプラ60を備えている。カプラ60は、光ファイバ58cから入力する光(すなわち、参照ミラー64で反射した参照光と基準ミラー92で反射した基準光)と光ファイバ58eから入力する光(被検眼から反射された測定光)とを合波する。これによって、参照ミラー64で反射した参照光と被検眼200から反射された測定光の干渉光と、参照ミラー64で反射した参照光と基準ミラー92で反射した基準光の干渉光と、基準ミラー92で反射した基準光と被検眼200から反射された測定光の干渉光が生成される。生成された干渉光は、光ファイバ58bを介して眼底検出器56に入力される。ここで、基準光の強度は、参照光の強度に比して無視できるほど小さな強度とされている。このため、眼底検出器56は、参照ミラー64で反射した参照光と被検眼から反射された測定光の干渉光と、参照ミラー64で反射した参照光と基準ミラー92で反射した基準光の干渉光を検出し、これら干渉光の干渉信号を後述する制御装置100(図8に図示)に出力する。
【0066】
次に、眼科装置50の制御系の構成を説明する。図8に示すように、眼科装置50は制御装置100によって制御される。制御装置100は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)によって構成され、実施例1と同様に演算部102及び記憶部104として機能する。制御装置100には、光源54,82と、検出器56,84と、ガルバノスキャナ62が接続されている。制御装置100は、光源54,82のオン/オフを制御し、また、ガルバノスキャナ62を駆動する。また、制御装置100は、検出器56、84から入力する干渉信号に基づいて、被検眼200の断層像を生成する。
【0067】
実施例2では、制御装置100は、さらに前眼部参照光路長調整部106と眼底参照光路長調整部108が接続されている。すなわち、実施例2においては、光ファイバ86dの先端から参照ミラー92までの長さが調整可能となっており、光ファイバ58dの先端から参照ミラー64までの長さが調整可能となっている。制御装置100は、前眼部参照光路長調整部106を駆動することで、光ファイバ86dの先端に対してレンズ94、ビームスプリッタ90、レンズ96、参照ミラー92を光軸方向に移動させる。また、制御装置100は、眼底参照光路長調整部108を駆動することで、光ファイバ58dの先端に対してレンズ参照ミラー64を光軸方向に移動させる。
【0068】
また、制御装置100の記憶部104には、被検眼200の眼軸長を測定する際に用いられる各種情報を記憶する。すなわち、実施例2の眼科装置50では、図5に示すように、出荷時に較正用ツール72を用いて較正処理を行い、そのときに取得される各種情報を記憶部104に記憶する。具体的には、被検眼200の位置に較正用ツール72を配置し、較正用ツール72の前面(角膜表面に相当)の位置に配置されたガラスブロックの前後面と、較正用ツール72の後面(網膜表面に相当)に配置されたガラスブロックの前後面の位置を測定する。すなわち、前眼部OCT54によって較正用ツール72の前面(角膜表面に相当)のガラスブロックの前後面の位置を測定し、また、眼底OCT52によって較正用ツール72の後面(網膜表面に相当)のガラスブロックの前後面の位置を測定する。この際、前眼部OCT54は、前眼部基準光学系の基準ミラー74の反射面の位置を測定する。また、眼底OCT52は、眼底基準光学系の基準ミラー92(すなわち、前眼部OCT54における参照ミラー92の位置)を測定する。
【0069】
ここで、較正用ツール72の前面から後面までの長さは既知であることから、実施例1と同様に、制御装置100の演算部102は、前眼部OCT54で撮像される画像から特定される角膜前面の位置と、眼底OCT52で撮像される画像から特定される網膜表面の位置から、被検眼200の眼軸長(実寸)を算出するための変換式と位置関係(長さA)を算出する。そして、制御装置100の記憶部104は、算出した変換式及び位置関係(長さA)を記憶する。また、制御装置100の記憶部104は、測定された較正用ツール72の前面の位置(すなわち、前眼部基準光学系の基準ミラー74の位置)と、測定された参照ミラー92の位置(すなわち、眼底基準光学系の基準ミラー92の位置)を記憶する。
【0070】
次に、被検眼200の眼軸長を測定するときの眼科装置50の動作について説明する。まず、被検眼200に対して前眼部OCT54と眼底OCT52の光学系を位置決めすると、図9に示すように、制御装置100は光源12,14をオンする(S20)。
【0071】
次に、制御装置100は、基準ミラー74の位置と基準ミラー92の位置を測定する(S22)。具体的には、図6に示すように、光源54の光を基準ミラー92に照射すると共に、ガルバノスキャナ62を駆動して、光源82の光を基準ミラー74に照射する。これによって、眼底検出器56は、基準ミラー(参照ミラー)92で反射された反射光と参照光(眼底参照光学系の参照光)との干渉光を検出し、制御装置50は、眼底検出器56で検出された干渉光から、基準ミラー92(前眼部参照光学系の参照ミラー92)の位置を算出する。また、前眼部検出器84は、基準ミラー74で反射された反射光と参照光(前眼部参照光学系の参照光)との干渉光を検出し、制御装置50は、前眼部検出器84で検出された干渉光から、基準ミラー74の位置を算出する。
【0072】
次に、制御装置100は、記憶部104に記憶している基準ミラー74、92の位置と、S22で測定した基準ミラー74、92の位置に基づいて、前眼部参照光学系の光路長を調整すると共に、眼底参照光学系の光路長を調整する(S24)。既に説明したように、出荷時の較正処理によって、較正用ツール72の前面の位置(すなわち、基準ミラー74の位置)と、基準ミラー92の位置が測定され、記憶部104に記憶されている。眼科装置50の光学系の光路長は、出荷時からの経年変化や眼科装置50の環境温度によって、出荷時(較正処理を行った時)から変化している。このため、S24では、S22で測定された基準ミラー92の位置が記憶部104に記憶された基準ミラー92の位置となるように、前眼部参照光路長調整部106によって基準ミラー92(参照ミラー92)の位置を調整する。次に、S22で測定された基準ミラー74の位置が記憶部104に記憶された較正用ツール72の前面の位置となるように、眼底参照光路長調整部108によって参照ミラー64の位置を調整する。この際、基準ミラー92の位置が調整されているため、その分だけをS22で測定された基準ミラー74の位置が変化している。このため、基準ミラー92の位置調整分と、S22で測定された基準ミラー74の位置に基づいて、参照ミラー64の位置を調整する。これによって、前眼部OCT54の撮像範囲202aと眼底OCT52の撮像範囲204aの深さ方向の位置関係が較正処理時の位置関係と同一となる。
【0073】
次に、制御装置100は、図7に示すように、前眼部OCT54によって被検眼200の角膜表面の位置を測定すると共に、眼底OCT52によって網膜表面の位置を測定する(S26)。次いで、制御装置100は、S26の測定結果(角膜表面の位置及び網膜表面の位置)と、記憶部に記憶された変換式及び位置関係(長さA)を用いて、被検眼200の眼軸長を算出する(S28)。ここで、S24により、前眼部OCT54の撮像範囲202aと眼底OCT52の撮像範囲204aの深さ方向の位置関係が較正処理時の位置関係と同一となっている。このため、S26で測定した角膜表面の位置及び網膜表面の位置を補正することなく、記憶部に記憶された変換式及び位置関係(長さA)を用いて眼軸長を算出することができる。
【0074】
上記の実施例2の眼科装置50では、前眼部OCT54と眼底OCT52のそれぞれの参照光学系の光路長を調整することで、較正時と同一の状態で被検眼200の眼軸長を測定することができる。これによって、実施例2の眼科装置50でも、被検眼200の眼軸長を精度よく測定することができる。
【0075】
また、実施例2の眼科装置50でも、前眼部OCT54については、基準ミラー74の測定が終わった後に、被検眼200の測定を行う。すなわち、基準ミラー74の測定と被検眼200の測定を同時に行うことがないため、基準ミラー74の位置を任意の位置に設定することができる。
【0076】
なお、上述した実施例2の眼科装置50では、前眼部OCT54の参照光路長を調整すると共に眼底OCT52の参照光路長を調整することで、前眼部OCT54と眼底OCT52の位置関係を較正処理時の位置関係と同一としたが、本明細書に開示の技術は、このような例に限られない。例えば、前眼部OCT54の参照光路長のみを調整することで、前眼部OCT54と眼底OCT52の位置関係を較正処理時の位置関係と同一としてもよい。あるいは、眼底OCT52の参照光路長のみを調整することで、前眼部OCT54と眼底OCT52の位置関係を較正処理時の位置関係と同一としてもよい。
【0077】
また、実施例2の眼科装置50では、眼底OCT52の参照光を分岐して基準光を生成し、生成した基準光を前眼部OCT54の参照ミラー92に照射するようにしたが、本明細書に開示の技術は、このような例に限られない。上記の例とは逆に、前眼部OCTの参照光を分岐して基準光を生成、その生成した基準光を眼底OCTの参照ミラーに照射するようにしてもよい。
【0078】
また、上述した実施例1,2の眼科装置は、眼底OCTと前眼部OCTの両者を備えていたが、本明細書に開示の技術は、眼底OCT又は前眼部OCTだけを備えた眼科装置に適用することもできる。この場合、例えば、ガルバノスキャナを利用して、基準ミラーに光源の光を照射する状態と、被検眼に光源の光を照射する状態とを切り替えるようにすることで、任意の位置に基準ミラーを設定することができる。
【0079】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0080】
10:眼科装置
12、14:光源
18a~18e,30a~30c:光ファイバ
16,28:検出器
36:ガルバノスキャナ
40,42:参照ミラー
44:制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9