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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174344
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B60K20/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087147
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 勇人
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA03
3D040AA24
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC36
3D040AC58
3D040AC65
3D040AF07
(57)【要約】
【課題】シフト体が付勢力によりシフト位置に移動される際に当接音の発生を抑制する。
【解決手段】シフト装置では、レバー14がH位置に配置される際に、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢可能にされると共に、第2節度機構16Bがレバー14を前側に付勢可能にされる。このため、レバー14がH位置に前側から付勢力により回動される際には、第1ピン20Aが第1面24に当接されないと共に、第2ピン20Bが第2面26により後側への回動力を作用されずに第2傾斜面26Aの端部に当接される。これにより、当接音の発生を抑制できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側及び他側に移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
それぞれにおいて付勢面に付勢部材が付勢力により接触されて前記シフト体が付勢され、シフト位置において一方が前記シフト体を一側に付勢可能にされると共に他方が前記シフト体を他側に付勢可能にされる一対の付勢機構と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
一方の前記付勢機構がシフト位置の他側において前記シフト体に対する一側への付勢力を増加させると共にシフト位置の一側において前記シフト体に対する一側への付勢力を維持又は減少させる請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
他方の前記付勢機構がシフト位置の一側において前記シフト体に対する他側への付勢力を増加させると共にシフト位置の他側において前記シフト体に対する他側への付勢力を維持又は減少させる請求項1記載のシフト装置。
【請求項4】
一方の前記付勢機構がシフト位置間からシフト位置において前記シフト体を一側に付勢すると共に他方の前記付勢機構がシフト位置間からシフト位置において前記シフト体を一側に付勢しない請求項1記載のシフト装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記付勢機構が常に前記シフト体を一側又は他側に付勢する請求項1記載のシフト装置。
【請求項6】
一対の前記付勢機構が前記シフト体の一側と他側とに配置される請求項1記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が移動されてシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の変速操作部では、操作レバーの摺動子が付勢力により案内壁部に接触されており、摺動子が案内壁部の傾斜部間の凹部に配置されて、操作レバーがレンジ位置に配置される。
【0003】
ここで、この変速操作部では、操作レバーが摺動子への付勢力によりレンジ位置に揺動される際に、摺動子が一方の傾斜部によって揺動方向への付勢力を作用されて他方の傾斜部に当接される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-62647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シフト体が付勢力によりシフト位置に移動される際に当接音の発生を抑制できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、一側及び他側に移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、それぞれにおいて付勢面に付勢部材が付勢力により接触されて前記シフト体が付勢され、シフト位置において一方が前記シフト体を一側に付勢可能にされると共に他方が前記シフト体を他側に付勢可能にされる一対の付勢機構と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、一方の前記付勢機構がシフト位置の他側において前記シフト体に対する一側への付勢力を増加させると共にシフト位置の一側において前記シフト体に対する一側への付勢力を維持又は減少させる。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、他方の前記付勢機構がシフト位置の一側において前記シフト体に対する他側への付勢力を増加させると共にシフト位置の他側において前記シフト体に対する他側への付勢力を維持又は減少させる。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、一方の前記付勢機構がシフト位置間からシフト位置において前記シフト体を一側に付勢すると共に他方の前記付勢機構がシフト位置間からシフト位置において前記シフト体を一側に付勢しない。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、少なくとも1つの前記付勢機構が常に前記シフト体を一側又は他側に付勢する。
【0011】
本発明の第6態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つのシフト装置において、一対の前記付勢機構が前記シフト体の一側と他側とに配置される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が一側及び他側に移動されて、シフト位置が変更される。また、一対の付勢機構のそれぞれにおいて、付勢面に付勢部材が付勢力により接触されて、シフト体が付勢される。
【0013】
ここで、シフト位置において、一方の付勢機構がシフト体を一側に付勢可能にされると共に、他方の付勢機構がシフト体を他側に付勢可能にされる。このため、シフト体が付勢力によりシフト位置に移動される際には、一対の付勢機構のそれぞれにおいて、付勢部材が付勢面によって移動方向への付勢力を作用されて付勢面に当接されることを抑制でき、当接音の発生を抑制できる。
【0014】
本発明の第2態様のシフト装置では、一方の付勢機構が、シフト位置の他側においてシフト体に対する一側への付勢力を増加させると共に、シフト位置の一側においてシフト体に対する一側への付勢力を維持又は減少させる。このため、シフト位置の一側及び他側において、一方の付勢機構によるシフト体の付勢側が変更されることを抑制できる。
【0015】
本発明の第3態様のシフト装置では、他方の付勢機構が、シフト位置の一側においてシフト体に対する他側への付勢力を増加させると共に、シフト位置の他側においてシフト体に対する他側への付勢力を維持又は減少させる。このため、シフト位置の一側及び他側において、他方の付勢機構によるシフト体の付勢側が変更されることを抑制できる。
【0016】
本発明の第4態様のシフト装置では、一方の付勢機構がシフト位置間からシフト位置においてシフト体を一側に付勢すると共に、他方の付勢機構がシフト位置間からシフト位置においてシフト体を一側に付勢しない。このため、シフト位置間からシフト位置において、他方の付勢機構における付勢部材が付勢面によって移動方向への付勢力を作用されて付勢面に当接されることを抑制できる。
【0017】
本発明の第5態様のシフト装置では、少なくとも1つの付勢機構が常にシフト体を一側又は他側に付勢する。このため、少なくとも1つの付勢機構によるシフト体の付勢側が変更されることを制限できる。
【0018】
本発明の第6態様のシフト装置では、一対の付勢機構がシフト体の一側と他側とに配置される。このため、一対の付勢機構によるシフト体の付勢位置を離間させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す右斜め後方から見た斜視図である。
図2】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係るシフト装置の主要部を示す図であり、(A)は、右斜め後方から見た斜視図であり、(B)は、右方から見た側面図であり、(C)は、本発明の第1実施形態に係るシフト装置の節度板を示す右方から見た側面図である。
図3】(A)~(E)は、本発明の第2実施形態に係るシフト装置を示す右方から見た側面図であり、(A)は、レバーがP位置に配置される際を示し、(B)は、レバーがP位置とR位置との中央に配置される際を示し、(C)は、レバーがR位置に配置される際を示し、(D)は、レバーがN位置に配置される際を示し、(E)は、レバーがD位置に配置される際を示している。
図4】(A)及び(B)は、本発明の第3実施形態に係るシフト装置のレバーがH位置に配置される際を示す図であり、(A)は、左斜め上方から見た斜視図であり、(B)は、左斜め下方から見た斜視図である。
図5】(A)及び(B)は、本発明の第3実施形態に係るシフト装置のレバーがR位置に配置される際を示す図であり、(A)は、左斜め上方から見た斜視図であり、(B)は、左斜め下方から見た斜視図である。
図6】(A)及び(B)は、本発明の第3実施形態に係るシフト装置のレバーがP位置に配置される際を示す斜視図であり、(A)は、左斜め上方から見た図であり、(B)は、左斜め下方から見た図である。
図7】(A)~(C)は、本発明の第3実施形態に係るシフト装置の主要部を示す図であり、(A)は、レバーを示す左斜め上方から見た斜視図であり、(B)は、節度板を示す下方から見た下面図であり、(C)は、節度板を示す右斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るシフト装置10が右斜め後方から見た斜視図にて示されており、図2(A)には、シフト装置10の主要部が右斜め後方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の左方を矢印LHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0021】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)のコンソール(図示省略)に取付けられており、シフト装置10の前方、左方及び上方は、それぞれ車両の前方、左方及び上方に向けられている。
【0022】
図1に示す如く、シフト装置10には、収容体としての樹脂製で略直方体形箱状のプレート12が設けられており、プレート12がコンソールに取付けられて、シフト装置10が車両に設置されている。また、プレート12の上壁は、コンソールを介して車室内に露出されている。
【0023】
プレート12内には、シフト体としてのレバー14(図2の(A)及び(B)参照)の下端部が支持されており、レバー14は、下端部を中心として所定範囲で前後方向に回動(移動)可能にされている。レバー14は、プレート12の上壁に回動可能に貫通されており、レバー14の上部には、操作部としての略直方体状のノブ14Aが設けられている。レバー14は、ノブ14Aにおいて、車両の乗員(特に運転者)によって回動操作可能にされており、レバー14が回動されて、レバー14のシフト位置が前側から後側へ向けてR位置(リバース位置)、H位置(ホーム位置)及びD位置(ドライブ位置)に変更される。
【0024】
プレート12内には、レバー14の前側及び後側において、それぞれ第1付勢機構(付勢機構)としての第1節度機構16A及び第2付勢機構(付勢機構)としての第2節度機構16Bが設けられている(図2の(A)及び(B)参照)。
【0025】
第1節度機構16A及び第2節度機構16Bには、それぞれ第1案内部材としての第1筒18A及び第2案内部材としての第2筒18Bが設けられており、第1筒18A及び第2筒18Bは、それぞれレバー14の前側及び後側に一体にされている。第1筒18A及び第2筒18Bは、略有底円筒状にされると共に、中心軸線がレバー14の回動中心を通過しており、第1筒18A内は、前斜め上方に開放されると共に、第2筒18B内は、後斜め上方に開放されている。
【0026】
第1筒18A内及び第2筒18B内には、それぞれ第1付勢部材(付勢部材)としての第1ピン20A及び第2付勢部材(付勢部材)としての第2ピン20Bが挿入されており、第1ピン20A及び第2ピン20Bは、略円柱状にされて、それぞれ第1筒18A内及び第2筒18B内に移動可能に嵌合されている。第1ピン20Aの先端部(上端部)は、第1筒18A内から前斜め上方に突出されると共に、第2ピン20Bの先端部(上端部)は、第2筒18B内から後斜め上方に突出されており、第1ピン20Aの先端面(上端面)及び第2ピン20Bの先端面(上端面)は、略半球面状に突出されている。
【0027】
第1筒18A内及び第2筒18B内には、それぞれ第1付勢部としての第1スプリング(図示省略)及び第2付勢部としての第2スプリング(図示省略)が挿入されており、第1スプリング及び第2スプリングは、圧縮コイルスプリングにされている。第1スプリングは、第1筒18Aの底壁(下壁)と第1ピン20Aの基端面(下端面)との間に掛渡されて、第1ピン20Aを先端側に付勢しており、第2スプリングは、第2筒18Bの底壁(下壁)と第2ピン20Bの基端面(下端面)との間に掛渡されて、第2ピン20Bを先端側に付勢している。
【0028】
プレート12内には、節度板22(図2(C)参照)が固定されている。節度板22の前端部及び後端部には、それぞれ略矩形板状の第1板22A及び第2板22Bが設けられており、第1板22Aは、前方へ向かうに従い下方へ向かう方向に傾斜されると共に、第2板22Bは、後方へ向かうに従い下方へ向かう方向に傾斜されている。節度板22の左端には、長尺矩形板状の連結板22Cが設けられており、連結板22Cは、レバー14の左側に配置されると共に、第1板22Aと第2板22Bとを一体に連結している。
【0029】
第1板22Aの下側面及び第2板22Bの下側面は、それぞれ第1付勢面(付勢面)としての第1面24及び第2付勢面(付勢面)としての第2面26にされており、第1面24には、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により接触される共に、第2面26には、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により接触されている。
【0030】
第1面24の前側部分は、第1傾斜面24Aにされており、第1傾斜面24Aは、前側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。第1面24の後側部分は、第1維持面24Bにされており、第1維持面24Bは、第1傾斜面24Aと滑らかに接続されると共に、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向外側へ向かう方向に僅かに傾斜されている。
【0031】
第2面26の後側部分は、第2傾斜面26Aにされており、第2傾斜面26Aは、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。第2面26の前側部分は、第2維持面26Bにされており、第2維持面26Bは、第2傾斜面26Aと滑らかに接続されると共に、前側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向外側へ向かう方向に僅かに傾斜されている。
【0032】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0033】
以上の構成のシフト装置10では、レバー14がH位置に配置されており、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により節度板22(第1板22A)の第1面24における第1維持面24Bの第1傾斜面24A側端部に接触されており、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢している。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により節度板22(第2板22B)の第2面26における第2維持面26Bの第2傾斜面26A側端部に接触されており、第2節度機構16Bがレバー14を前側に付勢している。そして、第1節度機構16Aによるレバー14に対する後側への付勢力と第2節度機構16Bによるレバー14に対する前側への付勢力とは、同一にされており、レバー14がH位置に保持されている。
【0034】
レバー14がH位置から前側(R位置側、他側)に回動操作される際には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力に抗して第1面24の第1傾斜面24Aに対し前側に摺動されて、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢すると共に、第1節度機構16Aによるレバー14に対する後側への付勢力が増加される。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2維持面26Bに対し前側に摺動されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側に付勢すると共に、第2節度機構16Bによるレバー14に対する前側への付勢力が一定に維持される。そして、第1節度機構16Aによるレバー14に対する後側への付勢力が第2節度機構16Bによるレバー14に対する前側への付勢力に対し大きくされて、レバー14が後側に付勢される。
【0035】
このため、レバー14がH位置より前側に配置される際に、レバー14に回動操作力が作用されない場合には、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1傾斜面24Aに対し後側に摺動される共に、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力に抗して第2面26の第2維持面26Bに対し後側に摺動されて、レバー14が後側にH位置まで回動される(H位置に復帰される)。
【0036】
レバー14がH位置から後側(D位置側、一側)に回動操作される際には、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力に抗して第2面26の第2傾斜面26Aに対し後側に摺動されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側に付勢すると共に、第2節度機構16Bによるレバー14に対する前側への付勢力が増加される。また、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1維持面24Bに対し後側に摺動されて、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢すると共に、第1節度機構16Aによるレバー14に対する後側への付勢力が一定に維持される。そして、第2節度機構16Bによるレバー14に対する前側への付勢力が第1節度機構16Aによるレバー14に対する後側への付勢力に対し大きくされて、レバー14が前側に付勢される。
【0037】
このため、レバー14がH位置より後側に配置される際に、レバー14に回動操作力が作用されない場合には、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2傾斜面26Aに対し前側に摺動される共に、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力に抗して第1面24の第1維持面24Bに対し前側に摺動されて、レバー14が前側にH位置まで回動される(H位置に復帰される)。
【0038】
ここで、レバー14がH位置に配置される際には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24における第1傾斜面24Aの第1維持面24B側端部に接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢可能にされる。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26における第2傾斜面26Aの第2維持面26B側端部に接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側に付勢可能にされる。
【0039】
これにより、レバー14がH位置に前側から第1節度機構16Aの付勢力により回動される際には、第1節度機構16Aにおいて第1ピン20Aの先端面が第1維持面24Bの第1傾斜面24A側端部に当接されないと共に、第2節度機構16Bにおいて第2ピン20Bの先端面が第2面26により後側への回動力を作用されずに第2傾斜面26Aの第2維持面26B側端部に当接される。このため、第2ピン20Bの先端面が第2傾斜面26Aの第2維持面26B側端部に当接されることによる当接音の発生を抑制でき、レバー14がH位置に前側から付勢力により復帰される際における当接音の発生を抑制できる。
【0040】
一方、レバー14がH位置に後側から第2節度機構16Bの付勢力により回動される際には、第2節度機構16Bにおいて第2ピン20Bの先端面が第2維持面26Bの第2傾斜面26A側端部に当接されないと共に、第1節度機構16Aにおいて第1ピン20Aの先端面が第1面24により前側への回動力を作用されずに第1傾斜面24Aの第1維持面24B側端部に当接される。このため、第1ピン20Aの先端面が第1傾斜面24Aの第1維持面24B側端部に当接されることによる当接音の発生を抑制でき、レバー14がH位置に後側から付勢力により復帰される際における当接音の発生を抑制できる。
【0041】
また、第1節度機構16Aが、H位置の前側において第1ピン20A先端面の第1傾斜面24Aへの接触によりレバー14に対する後側への付勢力を増加させると共に、H位置の後側において第1ピン20A先端面の第1維持面24Bへの接触によりレバー14に対する後側への付勢力を維持させる。このため、H位置の前側及び後側において、第1節度機構16Aによるレバー14の付勢側が変更されることを制限できる。これにより、第1ピン20Aが第1筒18Aとの間のガタツキにより第1筒18Aに対して傾動可能にされる場合において、レバー14がH位置の前側と後側との間を回動される際に、第1ピン20Aが第1筒18Aに対し後側に傾動された状態を維持できて、第1ピン20Aが第1筒18Aに対し後側と前側との間で傾動されて第1筒18Aに当接されることによる当接音の発生を抑制できる。
【0042】
しかも、第1節度機構16Aが常にレバー14を後側に付勢する。このため、レバー14の全ての回動位置において、第1節度機構16Aによるレバー14の付勢側が変更されることを制限できる。これにより、第1ピン20Aが第1筒18Aとの間のガタツキにより第1筒18Aに対して傾動可能にされる場合において、レバー14が全ての回動位置を回動される際に、第1ピン20Aが第1筒18Aに対し後側に傾動された状態を維持できて、第1ピン20Aが第1筒18Aに対し後側と前側との間で傾動されて第1筒18Aに当接されることによる当接音の発生を抑制できる。
【0043】
一方、第2節度機構16Bが、H位置の後側において第2ピン20B先端面の第2傾斜面26Aへの接触によりレバー14に対する前側への付勢力を増加させると共に、H位置の前側において第2ピン20B先端面の第2維持面26Bへの接触によりレバー14に対する前側への付勢力を維持させる。このため、H位置の後側及び前側において、第2節度機構16Bによるレバー14の付勢側が変更されることを制限できる。これにより、第2ピン20Bが第2筒18Bとの間のガタツキにより第2筒18Bに対して傾動可能にされる場合において、レバー14がH位置の後側と前側との間を回動される際に、第2ピン20Bが第2筒18Bに対し前側に傾動された状態を維持できて、第2ピン20Bが第2筒18Bに対し前側と後側との間で傾動されて第2筒18Bに当接されることによる当接音の発生を抑制できる。
【0044】
しかも、第2節度機構16Bが常にレバー14を前側に付勢する。このため、レバー14の全ての回動位置において、第2節度機構16Bによるレバー14の付勢側が変更されることを制限できる。これにより、第2ピン20Bが第2筒18Bとの間のガタツキにより第2筒18Bに対して傾動可能にされる場合において、レバー14が全ての回動位置を回動される際に、第2ピン20Bが第2筒18Bに対し前側に傾動された状態を維持できて、第2ピン20Bが第2筒18Bに対し前側と後側との間で傾動されて第2筒18Bに当接されることによる当接音の発生を抑制できる。
【0045】
さらに、上述の如く、第1ピン20Aが第1筒18Aに対し後側に傾動された状態が維持されると共に、第2ピン20Bが第2筒18Bに対し前側に傾動された状態が維持される。このため、第1ピン20Aの第1筒18Aに対する傾動及び第2ピン20Bの第2筒18Bに対する傾動の少なくとも一方によるレバー14のガタツキを抑制できる。
【0046】
また、第1節度機構16Aと第2節度機構16Bとがそれぞれレバー14の前側と後側とに配置されている。このため、第1節度機構16Aと第2節度機構16Bとによるレバー14の付勢位置を離間させることができ、レバー14のガタツキを抑制できて、レバー14の操作性を向上できる。
【0047】
[第2実施形態]
図3の(A)~(E)には、本発明の第2実施形態に係るシフト装置50が右方から見た側面図にて示されている。
【0048】
本実施形態に係るシフト装置50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0049】
図3の(A)~(E)に示す如く、本実施形態に係るシフト装置50では、レバー14が下端部を中心として所定範囲で前後方向に回動(移動)されて、レバー14のシフト位置が前側から後側へ向けてP位置(パーク位置)、R位置、N位置(ニュートラル位置)及びD位置に変更される。
【0050】
第1節度機構16Aの第1板22Aでは、第1面24の前部に傾斜面としての前P面24Pが形成されており、前P面24Pは、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。第1面24には、前P面24Pの後側において、傾斜面としての前R面24Rが形成されており、前R面24Rは、前P面24Pと滑らかに接続されると共に、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向外側へ向かう方向に傾斜されている。第1面24には、前R面24Rの後側において、維持面としてのRN面24RNが形成されており、RN面24RNは、前R面24Rと滑らかに接続されると共に、レバー14の前後方向への回動周方向に沿って湾曲されている。第1面24には、RN面24RNの後側において、傾斜面としての前N面24Nが形成されており、前N面24Nは、RN面24RNと滑らかに接続されると共に、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。第1面24には、前N面24Nの後側において、傾斜面としての前D面24Dが形成されており、前D面24Dは、前N面24Nと滑らかに接続されると共に、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向外側へ向かう方向に傾斜されている。
【0051】
第2節度機構16Bの第2板22Bでは、第2面26の前部に傾斜面としての後P面26Pが形成されており、後P面26Pは、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向外側へ向かう方向に傾斜されている。第2面26には、後P面26Pの後側において、維持面としてのPR面26PRが形成されており、PR面26PRは、後P面26Pと滑らかに接続されると共に、レバー14の前後方向への回動周方向に沿って湾曲されている。第2面26には、PR面26PRの後側において、傾斜面としての後R面26Rが形成されており、後R面26Rは、PR面26PRと滑らかに接続されると共に、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。第2面26には、後R面26Rの後側において、傾斜面としての後N面26Nが形成されており、後N面26Nは、後R面26Rと滑らかに接続されると共に、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向外側へ向かう方向に傾斜されている。第2面26には、後N面26Nの後側において、維持面としてのND面26NDが形成されており、ND面26NDは、後N面26Nと滑らかに接続されると共に、レバー14の前後方向への回動周方向に沿って湾曲されている。第2面26には、ND面26NDの後側において、傾斜面としての後D面26Dが形成されており、後D面26Dは、ND面26NDと滑らかに接続されると共に、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。
【0052】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0053】
以上の構成のシフト装置50では、レバー14がP位置に配置される際(図3(A)参照)に、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1板22Aの第1面24の前P面24Pに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を前側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2板22Bの第2面26の後P面26Pに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を後側に付勢する。そして、第1節度機構16Aによるレバー14に対する前側への付勢力と第2節度機構16Bによるレバー14に対する後側への付勢力とは、同一にされて、レバー14がP位置に保持される。
【0054】
レバー14がP位置の後側(R位置側)近傍に配置される際(図3(B)参照)には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の前P面24Pに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を前側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26のPR面26PRに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側及び後側に付勢しない。
【0055】
レバー14がR位置に配置される際(図3(C)参照)には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の前R面24Rに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の後R面26Rに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側に付勢する。そして、第1節度機構16Aによるレバー14に対する後側への付勢力と第2節度機構16Bによるレバー14に対する前側への付勢力とは、同一にされて、レバー14がR位置に保持される。
【0056】
レバー14がR位置の前側(P位置側)近傍に配置される際(図3(B)参照)には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の前R面24Rに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26のPR面26PRに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側及び後側に付勢しない。
【0057】
レバー14がR位置の後側(N位置側)近傍に配置される際(図3(C)参照)には、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の後R面に接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側に付勢する。また、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24のRN面24RNに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を前側及び後側に付勢しない。
【0058】
レバー14がN位置に配置される際(図3(D)参照)には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の前N面24Nに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を前側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の後N面26Nに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を後側に付勢する。そして、第1節度機構16Aによるレバー14に対する前側への付勢力と第2節度機構16Bによるレバー14に対する後側への付勢力とは、同一にされて、レバー14がN位置に保持される。
【0059】
レバー14がN位置の前側(R位置側)近傍に配置される際には、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の後N面に接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を後側に付勢する。また、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24のRN面24RNに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を前側及び後側に付勢しない。
【0060】
レバー14がN位置に後側(D位置側)近傍に配置される際には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の前N面24Nに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を前側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26のND面26NDに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側及び後側に付勢しない。
【0061】
レバー14がD位置に配置される際(図3(E)参照)には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の前D面24Dに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の後D面26Dに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側に付勢する。そして、第1節度機構16Aによるレバー14に対する後側への付勢力と第2節度機構16Bによるレバー14に対する前側への付勢力とは、同一にされて、レバー14がD位置に保持される。
【0062】
レバー14がD位置の前側(N位置側)近傍に配置される際には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の前D面24Dに接触動されて、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26のND面26NDに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側及び後側に付勢しない。
【0063】
ここで、レバー14がP位置又はN位置に配置される際には、第1節度機構16Aにおいて、それぞれ第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の前P面24P又は前N面24Nに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を前側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、それぞれ第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の後P面26P又は後N面26Nに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を後側に付勢する。
【0064】
これにより、レバー14がP位置又はN位置に後側から第1節度機構16Aの付勢力により回動される際には、第1節度機構16Aにおいて第1ピン20Aの先端面が第1面24に当接されないと共に、第2節度機構16Bにおいて第2ピン20Bの先端面が第2面26により前側への回動力を作用されずに第2面26の後P面26P又は後N面26Nに当接される。このため、第2ピン20Bの先端面が後P面26P又は後N面26Nに当接されることによる当接音の発生を抑制でき、レバー14がP位置又はN位置に後側から付勢力により復帰される際における当接音の発生を抑制できる。
【0065】
一方、レバー14がN位置に前側から第2節度機構16Bの付勢力により回動される際には、第2節度機構16Bにおいて第2ピン20Bの先端面が第2面26に当接されないと共に、第1節度機構16Aにおいて第1ピン20Aの先端面が第1面24により後側への回動力を作用されずに第1面24の前N面24Nに当接される。このため、第1ピン20Aの先端面が第1面24の前N面24Nに当接されることによる当接音の発生を抑制でき、レバー14がN位置に前側から付勢力により復帰される際における当接音の発生を抑制できる。
【0066】
また、レバー14がR位置又はD位置に配置される際には、第1節度機構16Aにおいて、それぞれ第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の前R面24R又は前D面24Dに接触されて、第1節度機構16Aがレバー14を後側に付勢する。また、第2節度機構16Bにおいて、それぞれ第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の後R面26R又は後D面26Dに接触されて、第2節度機構16Bがレバー14を前側に付勢する。
【0067】
これにより、レバー14がR位置又はD位置に前側から第1節度機構16Aの付勢力により回動される際には、第1節度機構16Aにおいて第1ピン20Aの先端面が第1面24に当接されないと共に、第2節度機構16Bにおいて第2ピン20Bの先端面が第2面26により後側への回動力を作用されずに第2面26の後R面26R又は後D面26Dに当接される。このため、第2ピン20Bの先端面が後R面26R又は後D面26Dに当接されることによる当接音の発生を抑制でき、レバー14がR位置又はD位置に前側から付勢力により復帰される際における当接音の発生を抑制できる。
【0068】
一方、レバー14がR位置に後側から第2節度機構16Bの付勢力により回動される際には、第2節度機構16Bにおいて第2ピン20Bの先端面が第2面26に当接されないと共に、第1節度機構16Aにおいて第1ピン20Aの先端面が第1面24により前側への回動力を作用されずに第1面24の前R面24Rに当接される。このため、第1ピン20Aの先端面が第1面24の前R面24Rに当接されることによる当接音の発生を抑制でき、レバー14がR位置に後側から付勢力により復帰される際における当接音の発生を抑制できる。
【0069】
また、第1節度機構16Aと第2節度機構16Bとがそれぞれレバー14の前側と後側とに配置されている。このため、第1節度機構16Aと第2節度機構16Bとによるレバー14の付勢位置を離間させることができ、レバー14のガタツキを抑制できて、レバー14の操作性を向上できる。
【0070】
[第3実施形態]
図4(A)には、本発明の第3実施形態に係るシフト装置60が左斜め上方から見た斜視図にて示されており、図4(B)には、シフト装置60が左斜め下方から見た斜視図にて示されている。
【0071】
本実施形態に係るシフト装置60は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0072】
図4の(A)及び(B)に示す如く、本実施形態に係るシフト装置60では、レバー14が下端部を中心として所定範囲で前後方向及び左右方向に回動(移動)されて、レバー14のシフト位置が、前側から後側へ向けてR位置、H位置及びD位置に変更される(図5の(A)及び(B)参照)と共に、左側から右側へ向けてP位置、H位置及びN位置に変更される(図6の(A)及び(B)参照)。
【0073】
第1節度機構16Aの第1筒18A及び第2節度機構16Bの第2筒18B(図7(A)参照)は、それぞれレバー14の前側かつ左側及び後側かつ右側に一体にされている。第1筒18A内は、前側かつ左側の斜め上方に開放されると共に、第2筒18B内は、後側かつ右側の斜め上方に開放されており、第1ピン20Aの先端部は、第1筒18A内から前側かつ左側の斜め上方に突出されると共に、第2ピン20Bの先端部は、第2筒18B内から後側かつ右側の斜め上方に突出されている。
【0074】
節度板22(図7の(B)及び(C)参照)の連結板22Cは、略円板状にされると共に、上下方向に垂直に配置されており、連結板22Cには、十字状の規定孔22Dが貫通形成されている。規定孔22Dには、レバー14が貫通されており、規定孔22Dの周面は、レバー14の回動範囲を規定している。節度板22における第1板22Aの上端及び第2板22Bの上端は、それぞれ連結板22Cの前側かつ左側及び後側かつ右側に一体にされており、第1板22A(第1面24を含む)及び第2板22B(第2面26を含む)は、連結板22Cの周方向に沿って湾曲されている。
【0075】
第1面24の第1傾斜面24Aは、前側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されると共に、左側へ向かうに従いレバー14の左右方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。第1面24の第1維持面24Bは、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向外側へ向かう方向に僅かに傾斜されると共に、右側へ向かうに従いレバー14の左右方向への回動径方向外側へ向かう方向に僅かに傾斜されている。
【0076】
第2面26の第2傾斜面26Aは、後側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されると共に、右側へ向かうに従いレバー14の左右方向への回動径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。第2面26の第2維持面26Bは、前側へ向かうに従いレバー14の前後方向への回動径方向外側へ向かう方向に僅かに傾斜されると共に、左側へ向かうに従いレバー14の左右方向への回動径方向外側へ向かう方向に僅かに傾斜されている。
【0077】
ところで、レバー14がH位置から左側(P位置側、他側)に回動操作される際には、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力に抗して第1面24の第1傾斜面24Aに対し左側に摺動されて、第1節度機構16Aがレバー14を右側に付勢すると共に、第1節度機構16Aによるレバー14に対する右側への付勢力が増加される。また、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2維持面26Bに対し左側に摺動されて、第2節度機構16Bがレバー14を左側に付勢すると共に、第2節度機構16Bによるレバー14に対する左側への付勢力が一定に維持される。そして、第1節度機構16Aによるレバー14に対する右側への付勢力が第2節度機構16Bによるレバー14に対する左側への付勢力に対し大きくされて、レバー14が右側に付勢される。
【0078】
このため、レバー14がH位置より左側に配置される際に、レバー14に回動操作力が作用されない場合には、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1傾斜面24Aに対し右側に摺動される共に、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力に抗して第2面26の第2維持面26Bに対し右側に摺動されて、レバー14が右側にH位置まで回動される(H位置に復帰される)。
【0079】
レバー14がH位置から右側(N位置側、一側)に回動操作される際には、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力に抗して第2面26の第2傾斜面26Aに対し右側に摺動されて、第2節度機構16Bがレバー14を左側に付勢すると共に、第2節度機構16Bによるレバー14に対する左側への付勢力が増加される。また、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1維持面24Bに対し右側に摺動されて、第1節度機構16Aがレバー14を右側に付勢すると共に、第1節度機構16Aによるレバー14に対する右側への付勢力が一定に維持される。そして、第2節度機構16Bによるレバー14に対する左側への付勢力が第1節度機構16Aによるレバー14に対する右側への付勢力に対し大きくされて、レバー14が右側に付勢される。
【0080】
このため、レバー14がH位置より右側に配置される際に、レバー14に回動操作力が作用されない場合には、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2傾斜面26Aに対し左側に摺動される共に、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力に抗して第1面24の第1維持面24Bに対し左側に摺動されて、レバー14が左側にH位置まで回動される(H位置に復帰される)。
【0081】
ここで、本実施形態でも、レバー14の前後方向及び左右方向への回動において、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0082】
なお、上記第1実施形態及び第3実施形態では、レバー14がH位置から後側に回動される際に、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1維持面24Bに接触されて、レバー14の後側への付勢力が維持される。しかしながら、レバー14がH位置から後側に回動される際に、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1維持面24Bに接触されて、レバー14の後側への付勢力が減少されてもよい。また、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1維持面24Bに接触されて、レバー14が後側に付勢されなくてもよい。
【0083】
さらに、上記第1実施形態及び第3実施形態では、レバー14がH位置から前側に回動される際に、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2維持面26Bに接触されて、レバー14の前側への付勢力が維持される。しかしながら、レバー14がH位置から前側に回動される際に、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2維持面26Bに接触されて、レバー14の前側への付勢力が減少されてもよい。また、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2維持面26Bに接触されて、レバー14が前側に付勢されなくてもよい。
【0084】
また、上記第3実施形態では、レバー14がH位置から右側に回動される際に、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1維持面24Bに接触されて、レバー14の右側への付勢力が維持される。しかしながら、レバー14がH位置から右側に回動される際に、第1節度機構16Aにおいて、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1維持面24Bに接触されて、レバー14の右側への付勢力が減少されてもよい。また、第1ピン20Aの先端面が第1スプリングの付勢力により第1面24の第1維持面24Bに接触されて、レバー14が右側に付勢されなくてもよい。
【0085】
さらに、上記第3実施形態では、レバー14がH位置から左側に回動される際に、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2維持面26Bに接触されて、レバー14の左側への付勢力が維持される。しかしながら、レバー14がH位置から左側に回動される際に、第2節度機構16Bにおいて、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2維持面26Bに接触されて、レバー14の左側への付勢力が減少されてもよい。また、第2ピン20Bの先端面が第2スプリングの付勢力により第2面26の第2維持面26Bに接触されて、レバー14が左側に付勢されなくてもよい。
【0086】
また、上記第1実施形態~第3実施形態では、レバー14に第1ピン20A及び第2ピン20Bが設けられると共に、車体側に第1面24及び第2面26が設けられる。しかしながら、レバー14に第1面24及び第2面26の少なくとも一方が設けられると共に、車体側に第1ピン20A及び第2ピン20Bの少なくとも一方が設けられてもよい。
【0087】
さらに、上記第1実施形態~第3実施形態では、第1ピン20A及び第2ピン20Bが、移動可能にされて、付勢される。しかしながら、第1面24及び第2面26の少なくとも一方が、移動可能にされて、付勢されてもよい。
【0088】
しかも、上記第1実施形態~第3実施形態では、第1ピン20A及び第2ピン20B(付勢部材)がそれぞれ第1スプリング及び第2スプリングによって付勢されて第1面24及び第2面26に接触される。しかしながら、第1板バネ及び第2板バネ(付勢部材)の少なくとも一方が自身の付勢力によってそれぞれ第1面24及び第2面26の少なくとも一方に接触されてもよい。
【0089】
また、上記第1実施形態~第3実施形態では、レバー14が回動される。しかしながら、レバー14がスライド又は中心軸線周りに回転(移動)されてもよい。
【0090】
さらに、上記第1実施形態~第3実施形態では、シフト装置10、50、60が車両のコンソールに設置される。しかしながら、シフト装置10、50、60が車両の他の部分(インストルメントパネル又はステアリングコラム等)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10・・・シフト装置、14・・・レバー(シフト体)、16A・・・第1節度機構(付勢機構)、16B・・・第2節度機構(付勢機構)、20A・・・第1ピン(付勢部材)、20B・・・第2ピン(付勢部材)、24・・・第1面(付勢面)、26・・・第2面(付勢面)、50・・・シフト装置、60・・・シフト装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7