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  • 特開-被処理物の熱分解装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174348
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】被処理物の熱分解装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/40 20220101AFI20231130BHJP
   C10B 53/00 20060101ALI20231130BHJP
   F27B 15/14 20060101ALI20231130BHJP
   B09B 101/80 20220101ALN20231130BHJP
   B09B 101/75 20220101ALN20231130BHJP
   B09B 101/85 20220101ALN20231130BHJP
   B09B 101/65 20220101ALN20231130BHJP
   B09B 101/70 20220101ALN20231130BHJP
   B09B 101/67 20220101ALN20231130BHJP
【FI】
B09B3/40 ZAB
C10B53/00 A
F27B15/14
B09B101:80
B09B101:75
B09B101:85
B09B101:65
B09B101:70
B09B101:67
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087153
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D004
4H012
4K046
【Fターム(参考)】
4D004AA03
4D004AA07
4D004AA11
4D004AA12
4D004AA23
4D004AA48
4D004BA03
4D004BA04
4D004CA24
4D004CA26
4D004CB04
4D004CB34
4H012HA02
4H012HB02
4H012JA09
4K046HA13
4K046JA07
4K046JC07
4K046JD02
(57)【要約】
【課題】従来よりも環境にやさしい被処理物の熱分解装置を提供しようとするもの。
【解決手段】流動性加熱媒体1を貯留した熱分解機構2を有し、前記流動性加熱媒体1を液状体又は/及び流動性を有する固体とし、前記流動性加熱媒体1中で被処理物3を熱分解するようにし、被処理物3に対して全周囲から伝熱するようにした。前記流動性加熱媒体1として液状体と流動性を有する固体とを混合するようにしてもよい。前記流動性加熱媒体1との比重差で被処理物3の熱分解物を上下方向に移動させて回収するようにしてもよい。前記流動性加熱媒体1中に被処理物3として液体を供給して気体に膨張させるようにしてもよい。前記熱分解機構2の外周に冷却水循環機構5を設けるようにしてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性加熱媒体(1)を貯留した熱分解機構(2)を有し、前記流動性加熱媒体(1)を液状体又は/及び流動性を有する固体とし、前記流動性加熱媒体(1)中で被処理物(3)を熱分解するようにし、被処理物(3)に対して全周囲から伝熱するようにしたことを特徴とする被処理物の熱分解装置。
【請求項2】
前記流動性加熱媒体(1)として液状体と流動性を有する固体とを混合するようにした請求項1記載の被処理物の熱分解装置。
【請求項3】
前記流動性加熱媒体(1)との比重差で被処理物(3)の熱分解物を上下方向に移動させて回収するようにした請求項1又は2記載の被処理物の熱分解装置。
【請求項4】
前記流動性加熱媒体(1)中に被処理物(3)として液体を供給して気体に膨張させるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の被処理物の熱分解装置。
【請求項5】
前記熱分解機構(2)の外周に冷却水循環機構(5)を設けるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の被処理物の熱分解装置。
【請求項6】
前記熱分解機構(2)に供給した被処理物(3)を融点別に溶融させて比重の差により回収するようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の被処理物の熱分解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、従来よりも環境にやさしい被処理物の熱分解装置被処理物の熱分解装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム等の廃棄物を燃焼し熱を回収するリサイクルシステムに関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、タイヤを含めたゴム製品等の廃棄に大きな問題となっていた。タイヤを含む自動車部品の処分は環境汚染などの観点により、粗大ごみで捨てることができず、廃棄物処理法で適正処理困難物に指定されており、適切な方法で処分する必要があった。
この従来提案は、ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置と、前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路と、前記ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機と、を備えたこととし、廃棄物を燃焼させ、廃棄物の燃焼から生成した熱をゴムの成形品を成形する際に利用することによって、熱を有効に活用することが可能である、というものである。
しかし、ゴム等の廃棄物を燃焼すると二酸化炭素が発生し環境上あまり好ましくないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7050258号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、従来よりも環境にやさしい被処理物の熱分解装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の被処理物の熱分解装置は、流動性加熱媒体を貯留した熱分解機構を有し、前記流動性加熱媒体を液状体又は/及び流動性を有する固体とし、前記流動性加熱媒体中で被処理物を熱分解するようにし、被処理物に対して全周囲から伝熱するようにしたことを特徴とする。
【0006】
この被処理物の熱分解装置は、流動性加熱媒体を貯留した熱分解機構を有し、前記流動性加熱媒体を液状体又は/及び流動性を有する固体としたので、液状体や流動性を有する固体が熱伝達媒体として機能することとなり、被処理物を燃焼ガスなどの(密度が小さい)気体で加熱・昇温するのと比較して、密度が大きいことにより熱伝導性に優れたものとなる。また、液状体や流動性を有する固体は、燃焼ガスなどの気体よりも物質として比熱が小さいので温度の昇降が迅速なものとなる。
【0007】
そして、前記熱分解機構中で被処理物を熱分解するようにしたので、被処理物を炎ではなく流動性加熱媒体で燃焼させることなく、(被処理物中の炭素から)二酸化炭素を発生させることなく熱分解することができる。
さらに、被処理物に対して流動性加熱媒体により全周囲から伝熱するようにしたので、被処理物は流動性加熱媒体に対し外全周面で直接的に接触して接触面積が大きな状態で高密度で熱伝達することができる。すなわち、被処理物の芯(最深部・最内部)までの熱伝達性に優れて熱伝達速度が速いものとなり、より短時間で炭化処理を達成することができる。
【0008】
<流動性加熱媒体>
前記流動性加熱媒体として、液状体溶融した液状体、流動性を有する固体を例示することができる。
このうち液状体として、溶融した低融点合金、低融点金属(例えば錫)、ソルトバス、シリコンバス、オイルバス、タールピッチを例示することができる。
【0009】
前記低融点金属として、錫(熱伝導率 64W/mK、融点232℃、沸点2,063℃、密度7.3g/cm3)、鉛(熱伝導率 31W/mK、融点327.5℃、沸点1,750℃、密度11g/cm3)、インジウム(熱伝導率 82W/mK、融点156℃、沸点2,072℃、密度22 g/cm3)、ガリウム(熱伝導率 88W/mK、融点29.78℃、沸点2,208℃、密度6g/cm3)、ビスマス(熱伝導率 8W/mK、融点272℃、沸点1,564℃、密度10g/cm3)などを例示することができる。
前記流動性を有する固体として、シャモット粒子、活性炭粒子、セラミックビーズ、シラスパウダー、SiO2(シリカ)ビーズ又はパウダー、Si-C(炭化ケイ素)粒体ビーズ又はパウダー、(耐熱)アルミナビーズ又はパウダー、フェライト(酸化鉄)ビーズ又はパウダー、タングステンパウダー、インコネルパウダーを例示することができる。
【0010】
<熱分解機構>
前記熱分解機構の温度として、450~900℃を例示することができる。このうち、例えば650℃に設定することができる。熱分解機構で流動性加熱媒体を昇温する熱源として、電熱ヒーター、LNGバーナー、LPGバーナー、またこの熱分解機構で得たメタンガス、油状成分などを例示することができる。
前記熱分解機構は、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素雰囲気下などの酸素プアーな不活性な雰囲気下で、有機物からの二酸化炭素の発生をより回避して処理することができる。
また、被処理物を前室で予熱しつつ、空気(酸素)を脱気してから熱分解機構に供給するようにしてもよい。
【0011】
<被処理物>
前記被処理物の態様として、液(状)体、固体を例示することができる。
前記被処理物の液(状)体として、排水、廃水、高濃度廃液(例えばCOD 50,000ppm)などの有機成分を含むものを例示することができる。
【0012】
前記被処理物の固体(処理により減容化、資源化の効用がある)として、廃タイヤ類、廃プラスチック類(ポリウレタン、発泡スチロールなど)、段ボール類、布切れ、医療用廃棄物(血液に汚染された衣類等)、貝殻(炭酸カルシウムであり熱処理により生石灰にできる)などを例示することができる。
前記被処理物の固体の湿潤物、軟体物として、生ごみ(処理により腐敗防止、異臭防止の効用がある)、残飯、コーヒー滓、汚泥、使用済みおむつ、ぺフなどを例示することができる。
【0013】
<炭化物>
熱分解機構でできた熱分解物を肥料(廃液含有成分の熱分解後のリン酸カルシウム)、燃料(廃タイヤの揮発成分の液化物、有機物から揮発したメタンなどの炭化水素ガス)などとして利用することができる。また、熱分解機構でできた炭化物(有機物の炭素成分)を水処理用の活性炭、カーボン・パウダー、土壌改良材、土壌湿度調整材などとして利用することができる。
【0014】
(2)前記流動性加熱媒体として液状体と流動性を有する固体とを混合するようにしてもよい。
このように、流動性加熱媒体として液状体と流動性を有する固体とを混合するようにすると、液状体の流動性加熱媒体の表面に流動性を有する固体が存することとなって、被処理物として液体(排水など)を供給しても、流動性加熱媒体の表面の固体との接触により液体の表面張力に抗して液滴が濡れ性を獲得して面状に拡散することとなり、突沸的な膨張や液滴の破裂を回避することができる。すなわち、流動性加熱媒体としての液状体に流動性を有する固体を混入することにより液体成分の突沸防止を図ることができる。
【0015】
また、被処理物の熱処理作業の終了後に、液状体と流動性を有する固体との混合体の表面からの被処理物の炭化物の取り出し性に優れるものであった。
さらに、流動性加熱媒体として、液状体に流動性を有する固体を添加することにより、液状体の含有割合を減少させることができ、液状体が比較的に高価な材質の場合(例えば低融点合金)のコストの削減を図ることができる。
【0016】
具体的には、液状体(溶融した低融点金属)と流動性を有する固体(シャモット粒子、活性炭粒子)とを約5:5の割合で混合することができる。そして、この流動性加熱媒体(混合体)を約450℃に昇温して、廃タイヤ片、廃ウレタン片を熱分解処理することができる。
すると、廃タイヤ片から油状成分が揮発(冷却液化して回収する)して熱分解物たる炭化物を得ることができる。また、廃ウレタン片から炭化水素成分(メタン等)が揮発して熱分解物たる炭化物を得ることができる。油状成分や炭化水素成分は、流動性加熱媒体を昇温するための燃料として用いることができる。
【0017】
液状体と流動性を有する固体との混合の仕方として、低融点合金とシャモット粒子、低融点合金とSi-Cビーズ・粉体、低融点合金と活性炭粒子・粉体、低融点合金とアルミナビーズ・粉体、低融点合金とフェライトビーズなどを例示することができる。
【0018】
(3)前記流動性加熱媒体との比重差で被処理物の熱分解物を上下方向に移動させて回収するようにしてもよい。
このように、流動性加熱媒体との比重差で被処理物の熱分解物を上下方向に移動させて回収するようにすると、被処理物の熱分解物を効率的に回収して有効利用することができる。
【0019】
例えば、流動性加熱媒体としての錫(比重7.3)中で、熱分解物たる炭化物粒子(比重0.5)を浮上させることにより、流動性加熱媒体(錫)の表面から回収することができる。また、流動性加熱媒体としてのアルミナ粉体(比重 小)中で、熱分解物たる鉄分の粒子(比重 大)を下降させることにより、流動性加熱媒体(アルミナ粉体)の底部から回収することができる。
【0020】
(4)前記流動性加熱媒体中に被処理物として液体を供給して気体に膨張させるようにしてもよい。
このように、流動性加熱媒体中に被処理物として液体を供給して気体に膨張させるようにすると、液体が気体へと体積膨張することによる流動性加熱媒体の攪拌効果を得ることができる。
【0021】
(5)前記熱分解機構の外周に冷却水循環機構を設けるようにしてもよい。
このように、熱分解機構の外周に冷却水循環機構を設けるようにすると、熱分解機構を取り囲む冷却水循環機構により作業者の安全性を担保することができ火災のガードにもなる。
冷却水循環機構は、熱分解機構の排ガスを注入するスクラバー槽として機能させることもできる。冷却水循環機構には電解水を循環することができる。前記電解水として、オゾン(O3)を注入して酸素ラジカル(・O)を生成させた酸素ラジカル含有水を用いることもできる。
【0022】
(6)前記熱分解機構に供給した被処理物を融点別に溶融させて比重の差により回収するしてもよい。
このように、熱分解機構に供給した被処理物を融点別に溶融させて比重(密度)の差により回収するようにすると、複数の被処理物が混合した複合体について融点が低い被処理物から順番に比重分けして分別回収していくことができる。この明細書では、被処理物の熱分解の態様に被処理物の溶融を含むものとする。
【0023】
例えば、複数の被処理物が混在した複合体たるソーラーパネル(シリコン、石英などが含まれる)について、低融点合金である錫(比重7.3、融点232℃)を流動性加熱媒体として貯留した熱分解機構に浸漬する。また、錫の代わりに鉄(比重7.8、融点1,580℃)を用いることもできる。
そして、熱分解機構を昇温していくと、1,414℃を越えた時点でシリコン(比重2.3、融点1,414℃)が溶融して流動性加熱媒体(溶融した錫)上に浮上してくるので、これを分別回収する。
【0024】
さらに、熱分解機構を昇温していくと、1,723℃を越えた時点で石英(比重2.7、融点1,723℃)が溶融して流動性加熱媒体(溶融した錫)上に浮上してくるので、これを分別回収する。
これにより、複合体(ソーラーパネル)に含まれる被処理物(シリコン、石英)相互の融点の差と、流動性加熱媒体(錫)と被処理物(シリコン、石英)の比重差により、複合体から複数の被処理物を分別回収することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
二酸化炭素を発生させることなく熱分解することができるので、従来よりも環境にやさしい被処理物の熱分解装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の被処理物の熱分解装置の実施形態を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図に示すように、この実施形態の被処理物の熱分解装置は、流動性加熱媒体1を貯留した熱分解機構2を有し、前記流動性加熱媒体1を液状体とし、前記流動性加熱媒体1中で被処理物3を熱分解するようにし、被処理物3に対して全周囲から伝熱するようにした。被処理物3の固体は破砕機構4により裁断するようにし、その下方には開閉可能なシャッターSを設けた。
【0028】
前記流動性加熱媒体1として、液状体溶融した液状体である低融点金属(錫)、を用いた。前記熱分解機構2の温度として650℃に設定した。熱分解機構2で流動性加熱媒体1を昇温する熱源としてLNGバーナーBを用いた。
前記熱分解機構2の外周に冷却水循環機構5を設けるようにした。冷却水循環機構5は、熱分解機構2の排ガスを注入するスクラバー槽として機能させた。冷却水循環機構5には電解水を循環した。前記電解水として、オゾン(O3)を注入して酸素ラジカル(・O)を生成させた酸素ラジカル含有水を用いた。
【0029】
被処理物3の液状体として、高濃度廃液(例えばCOD 50,000ppm)を処理した。また、被処理物3の固体として廃タイヤ、廃プラスチック(ポリウレタン、発泡スチロール)を処理した。被処理物3の固体の湿潤物、軟体物として、コーヒー滓、ペフを処理した。
そして、前記被処理物3が固体の場合、網状の収容体6(キャリアー)に収納して流動性加熱媒体1中に挿入・浸漬して昇降駆動し、バッチ式で処理するようにした。
【0030】
次に、この実施形態の被処理物の熱分解装置の使用状態を説明する。
この被処理物の熱分解装置は、流動性加熱媒体1を貯留した熱分解機構2を有し、前記流動性加熱媒体1を液状体としたので、液状体が熱伝達媒体として機能することとなり、被処理物3を燃焼ガスなどの密度が小さい気体で加熱・昇温するのと比較して密度が大きいことにより熱伝導性に優れたものとなった。また、液状体は、燃焼ガスなどの気体よりも物質として比熱が小さいので温度の昇降が迅速なものとなった。
【0031】
また、熱分解機構2中で被処理物3を熱分解するようにしたので、被処理物3を炎ではなく流動性加熱媒体1で燃焼させることなく、被処理物3中の炭素から二酸化炭素を発生させることなく熱分解することができ、環境にやさしいものであった。
さらに、被処理物3に対して流動性加熱媒体1により全周囲から伝熱するようにしたので、被処理物3は流動性加熱媒体1に対し外全周面で直接的に接触して接触面積が大きな状態で高密度で熱伝達することができた。
【0032】
(実施形態2)
次に実施形態2を、上記実施形態との相違点を中心として説明する。
この実施形態では、流動性加熱媒体1として、液状体と流動性を有する固体とを混合するようにした。具体的には、液状体(溶融した低融点金属である錫)と流動性を有する固体(シャモット粒子)とを5:5の割合で混合した。
【0033】
この流動性加熱媒体1(混合体)を約450℃に昇温して、廃タイヤ片、廃ウレタン片を熱分解処理した。すると、廃タイヤ片から油状成分が揮発して熱分解物たる炭化物を得ることができた。また、廃ウレタン片から炭化水素成分(メタン)が揮発して、熱分解物たる炭化物を得ることができた。
【0034】
そして、流動性加熱媒体1として液状体と流動性を有する固体とを混合するようにしたので、液状体の流動性加熱媒体1の表面に流動性を有する固体が存することとなって、被処理物3として液体(排水)を供給しても、流動性加熱媒体1の表面の固体との接触により液体の表面張力に抗して液滴が濡れ性を獲得して面状に拡散することとなり、突沸的な膨張や液滴の破裂を回避することができた。すなわち、流動性加熱媒体1としての液状体に流動性を有する固体を混入することにより液体成分の突沸防止を図ることができた。
さらに、被処理物3の熱処理作業の終了後に、液状体と流動性を有する固体との混合体の表面からの被処理物3の炭化物の取り出し性に優れるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
従来よりも環境にやさしいことによって、種々の被処理物の熱分解装置の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 流動性加熱媒体
2 熱分解機構
3 被処理物
5 冷却水循環機構
図1