(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174358
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20231130BHJP
D06F 33/42 20200101ALI20231130BHJP
【FI】
D06F39/08 311A
D06F33/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087172
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 真司
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AB24
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE04
3B166AE07
3B166BA34
3B166BA45
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA03
3B166CA04
3B166CA05
3B166CA11
3B166CA15
3B166CA21
3B166CB01
3B166CB02
3B166CB11
3B166CD02
3B166CD05
3B166CD15
3B166DA04
3B166DA12
3B166DA27
3B166DA35
3B166DB03
3B166DC44
3B166DD06
3B166DE02
3B166DE04
3B166DF01
3B166DF10
3B166EA03
3B166EA12
3B166EB01
3B166EB24
3B166EC37
3B166EC44
3B166EE04
3B166EE07
3B166FB01
3B166GA02
3B166GA12
3B166HA11
3B166HA31
3B167AA04
3B167AE01
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE07
3B167BA34
3B167BA45
3B167FB01
3B167HA11
3B167HA31
3B167JA11
3B167JA57
3B167KA25
3B167LA23
3B167LC01
3B167LC14
(57)【要約】
【課題】排水経路を通じた泡の溢れが防止されると共に、正常な排水動作を安定的に行うことができる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機100は、外郭を形成する箱体1と、箱体1内に設けられた外槽2と、外槽2内に回転自在に支持された内槽3と、内槽3の回転を駆動するモータ4と、外槽2の底部と箱体1の外部との間を連通する排水経路(例;外部排水配管24)と、排水経路に配置されており、泡を消泡するための消泡装置50と、を備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を形成する箱体と、
前記箱体内に設けられた外槽と、
前記外槽内に回転自在に支持された内槽と、
前記内槽の回転を駆動するモータと、
前記外槽の底部と前記箱体の外部との間を連通する排水経路と、
前記排水経路に配置されており、泡を消泡するための消泡装置と、を備えた洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記消泡装置は、泡と接触する回転子と、前記回転子の回転を駆動する駆動部と、を備える洗濯機。
【請求項3】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記消泡装置は、泡を加熱する加熱装置である洗濯機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯機であって、
前記加熱装置は、接触した泡に熱を伝える伝熱部を備え、
前記伝熱部は、前記排水経路における排水の水位よりも上方に配置されている洗濯機。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の洗濯機であって、
前記加熱装置は、PTCヒータである洗濯機。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の洗濯機であって、
泡を検知する泡検知手段と、
前記泡検知手段による検知結果に応じて前記消泡装置の作動および停止を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記泡検知手段によって泡が検知されたとき、前記消泡装置を作動させる洗濯機。
【請求項7】
請求項6に記載の洗濯機であって、
前記泡検知手段は、前記外槽内、または、前記外槽に連通する送風経路内に設けられている洗濯機。
【請求項8】
請求項6に記載の洗濯機であって、
前記泡検知手段は、前記排水経路における前記消泡装置の上流に配置されている洗濯機。
【請求項9】
請求項6に記載の洗濯機であって、
前記泡検知手段は、前記排水経路における前記消泡装置の上流と、前記排水経路における前記消泡装置の下流とに、少なくとも1つ以上配置されている洗濯機。
【請求項10】
請求項9に記載の洗濯機であって、
前記消泡装置は、前記排水経路に対して着脱自在に設けられている洗濯機。
【請求項11】
請求項2から請求項4のいずれか一項または請求項9に記載の洗濯機であって、
前記消泡装置は、前記洗濯機の電源とは異なる独立した電源を備える洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水の泡を消泡する機能を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機のドラムは、洗濯水を貯水可能な外槽に内包されている。洗浄工程中には、洗剤を溶解した洗濯水がドラムによって攪拌されるため、洗濯水の発泡によって外槽内に泡が生じる。一般に、洗濯中に生じる過剰な泡は、洗濯機の正常な運転を妨げるものとして知られている。洗濯水が過剰に発泡すると、外槽から溢れ出たり、電気部品に接触して故障の原因となったりすることが知られている。
【0003】
特許文献1には、泡検知手段による泡の検知に応じて洗濯シーケンスを変更するドラム式洗濯機が記載されている。泡検知手段は、少なくとも一方が外槽内の運転時の水位よりも上方に設けられている。この洗濯機では、泡を検知したとき、通常の洗濯シーケンスより弱い第1の洗濯シーケンスに移行している。また、所定時間経過後に泡を検知しないとき、通常の洗濯シーケンスに戻し、所定時間経過後に泡を検知したとき、第1の洗濯シーケンスよりも弱い第2の洗濯シーケンスに移行している。
【0004】
特許文献2および特許文献3には、洗濯物を泡によって洗濯するようにした洗濯機が記載されている。これらの洗濯機は、洗濯槽に洗剤泡を供給する洗剤泡の発生手段と、洗濯後の洗剤泡を洗濯槽外へ導く泡排出管と、この泡排出管の一部に設けた消泡装置と、を備えている。特許文献2の消泡装置は、洗剤泡の流れに対して平行に配設された複数の熱板とされている。特許文献3の消泡装置は、洗剤泡の流れの中に配設された遠心ファンとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4661522号公報
【特許文献2】特開平03-162894号公報
【特許文献3】特開平03-162895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗濯機における洗浄工程中には、外槽内に過剰な泡が発生する場合がある。過剰な泡は、洗剤を入れ過ぎた場合や、ドラムの回転による攪拌が強い場合や、洗濯物を温水洗浄する場合等に発生する。過剰な泡が発生すると、泡が外槽から溢れ出たり、泡が制御基板等の電気部品に接触して故障の原因となったりする。また、洗浄工程後に脱水工程に移行したとき、外槽内に泡が残留していると、ドラムを回転させるモータに負荷がかかる。
【0007】
外槽内に発生する泡の量は、洗浄工程の制御によって低レベルに抑制できる場合がある。例えば、ドラムの攪拌動作を弱くする制御や、外槽に対して洗濯水を循環させる循環ポンプの吐出動作を弱くする制御によって、洗濯水の発泡を抑制することができる。但し、泡の量が十分に減少しない場合には、泡が自然に消泡するまで待機したり、追加的な給水を行って洗濯水を希釈したりする必要がある。
【0008】
しかし、時間の経過による自然消泡では、洗濯機の運転時間が長くなる。また、希釈による消泡では、排水時間が長くなったり、使用水量が増加したりする。一般的な洗濯機では、外槽内に発生した泡の少なくとも一部は、洗浄工程の終了時に、洗濯水と共に排水されている現状がある。外槽内に発生した泡の量が多い場合、外槽の底部から機外に至る排水経路に多量の泡が流れるという問題がある。
【0009】
排水経路に多量の泡が流されると、泡が排水経路の流路抵抗となる問題を生じる。排水経路の流路抵抗が増大すると、適正な排水動作が行われなくなり、洗濯機の排水動作が不安定になる。また、排水経路に多量の泡が流されると、泡が排水経路から機外に溢れるという問題を生じる。泡が排水経路から機外に溢れると、洗濯機置き場の床面が汚染される。
【0010】
特許文献1では、外槽内の水位よりも上方で泡が検知されたとき、通常よりも弱い洗濯シーケンスに移行している。弱い洗濯シーケンスでは、給水が停止されると共に、ドラムによる攪拌が弱められている。しかし、泡が検知されたとき、外槽内の洗濯水は、そのまま排水経路を通じて排水されている。このような方法では、泡が排水経路の流路抵抗となる問題や、泡が排水経路から機外に溢れる問題が解消されない。
【0011】
特許文献2や特許文献3では、洗濯後の泡を洗濯槽外へ導く泡排出管に消泡装置を設けている。しかし、泡排出管は、洗濯槽内を上昇した泡を洗濯槽から排出するために設けられている。また、消泡装置は、泡の上昇速度が弱められるのを防止するために設けられている。泡排出管や消泡装置は、洗濯槽の上部側に設けられている。このような方法では、排水経路に多量の泡が流れる問題に対処できないと考えられる。
【0012】
特許文献2や特許文献3では、洗剤泡による洗濯方式を採用している。しかし、洗濯槽に洗濯水を貯める場合、洗浄工程の終了時には、洗濯槽から洗濯水を排水する必要がある。排水経路を通じて洗濯水を排水すると、消泡装置が設けられた泡排出管を通らないため、排水経路に多量の泡が流される。このような場合、泡が排水経路の流路抵抗となったり、泡が排水経路から機外に溢れたりすると考えられる。
【0013】
そこで、本発明は、排水経路を通じた泡の溢れが防止されると共に、正常な排水動作を安定的に行うことができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明に係る洗濯機は、外郭を形成する箱体と、前記箱体内に設けられた外槽と、前記外槽内に回転自在に支持された内槽と、前記内槽の回転を駆動するモータと、前記外槽の底部と前記箱体の外部との間を連通する排水経路と、前記排水経路に配置されており、泡を消泡するための消泡装置と、を備えた。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、排水経路を通じた泡の溢れが防止されると共に、正常な排水動作を安定的に行うことができる洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る洗濯機の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る洗濯機の内部を示す側面視による断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る洗濯機の内部を示す正面視による断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る洗濯機に取り付けられる消泡ユニットの一例を示す断面図である。
【
図5】消泡ユニットによる消泡処理の様子を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る洗濯機に取り付けられる消泡ユニットの一例を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る洗濯機に取り付けられる消泡ユニットの一例を示す断面図である。
【
図8】消泡ユニットの電源の構成例を示す図である。
【
図9】消泡ユニットの電源の構成例を示す図である。
【
図10】消泡ユニットの電源の構成例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る洗濯機の運転例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態に係る洗濯機の運転例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態に係る洗濯機の運転例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の実施形態に係る洗濯機の運転例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る洗濯機について、図を参照しながら説明する。なお、以下の各図において、共通する構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る洗濯機の外観を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る洗濯機の内部を示す側面視による断面図である。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る洗濯機100は、箱体1、外槽2、ドラム(内槽)3、モータ4等を備えている。箱体1、外槽2、ドラム3、モータ4等は、箱体1の内部に収容されている。
【0019】
箱体1は、洗濯機の外郭を形成している。箱体1は、洗濯機の底部を構成するベース1h上に、補強材によって結合された鋼板や、樹脂成形品であるカバー等によって形成されている。箱体1の左右の側面には、補強材で結合された側板1aが備えられている。箱体1の後面には、背板1dが備えられている。箱体1の前面から上面にかけては、前面カバー1c、下部前面カバー1f、上面カバー1eが備えられている。
【0020】
前面カバー1cには、円形状の開口が設けられている。前面カバー1cを支持する補強材には、ドア9がヒンジ9aを介して取り付けられている。ドア9は、円環形状に設けられたドア枠9bと、ドア枠9bの中央に固定されたドアガラス9cと、ドア枠9bに設けられたドア開放レバー9dを備えている。ドア9は、前面カバー1cに設けられた箱体1の前面の開口を開閉自在に設けられている。
【0021】
ドア9は、前面カバー1cの側に押し付けられると、前面カバー1cに設けられた箱体1の前面の開口を閉じた状態になり、ロック機構でロックされる。ドア9は、ドア開放レバー9dを引くとロック機構が外れて、箱体1の前面の開口を開放可能になる。ドア9が開いた状態では、箱体1の内部に収容されたドラム3に対して、衣類等の洗濯物の出し入れが可能になる。
【0022】
箱体1の上面の前側には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6には、操作スイッチ12,13や表示器14が設けられている。操作スイッチ12,13や表示器14は、箱体1の上部に内蔵された制御基板61と電気的に接続されている。
【0023】
箱体1の上面には、洗剤投入部7が設けられている。洗剤投入部7には、洗剤容器が内蔵されている。洗剤容器は、複数の部屋に区切られている。洗剤容器の各部屋には、粉末洗剤、液体洗剤、柔軟仕上剤等の洗剤類を個別に投入することができる。箱体1の内部において、洗剤容器には、給水配管7cが接続されている。給水配管7cの他端は、外槽2に接続している。
【0024】
箱体1の上面の後側には、給水ホース接続口7a,7bが設けられている。一方の給水ホース接続口7aには、水道栓からの給水を行う給水ホースが接続される。他方の給水ホース接続口7bには、風呂の残り湯等の給水を行う給水ホースが接続される。給水ホース接続口7a,7bは、洗剤投入部7の洗剤容器に接続している。給水された水は、洗剤容器を経由して洗剤類を溶解し、洗剤水として外槽2に供給される。
【0025】
箱体1の上面には、乾燥フィルタ8が取り付けられている。乾燥フィルタ8は、箱体1の上面に開口した吸気口を覆っている。吸気口は、箱体1の内部に設けられた送風経路と連通している。送風経路には、洗濯物の脱水や乾燥に利用される空気が流される。乾燥フィルタ8は、機外から通気経路に吸気される空気に含まれる塵埃等を捕集する。
【0026】
外槽2は、
図2に示すように、有底の円筒状に設けられている。外槽2は、複数のサスペンション5によって弾性的に支持されている。サスペンション5は、ベース1h上に固定されている。サスペンション5は、弾性を示すコイルばねや、振動を減衰させるダンパ等で形成されている。外槽2の上部は、箱体1の天井面に対して補助ばねで支持される。
【0027】
外槽2の前側には、外槽カバー2aが設けられている。外槽カバー2aは、外槽2の前側のうち、外槽2の周壁の近傍のみを覆っている。外槽2の前側のうち、外槽2の中心軸側には、開口が形成されている。外槽2は、前側の開口が外槽カバー2aで部分的に覆われることによって貯水可能とされている。外槽2には、運転工程に応じて、給水された水や、洗剤が溶解した洗剤水等の洗濯水が溜められる。
【0028】
外槽2の前側の開口は、前面カバー1cに設けられた箱体1の前面の開口と略同心に位置し、ドア9が閉じた状態では機外に対して閉塞される。外槽2の前側の開口には、ゴム等の弾性体で形成された不図示のベローズが取り付けられる。ベローズは、外槽2の前側の開口と前面カバー1cの開口との間に形成される隙間を水密に閉塞させる。また、閉じられたドア9と接触し、ドア9との隙間を水密に閉塞させる。ドア9が開いた状態では、外槽2の前側の開口を通じて、洗濯物の出し入れが可能になる。
【0029】
ドラム3は、外槽2の内側に配置されている。ドラム3は、外槽2よりも小さい有底の円筒状に設けられている。ドラム3の前側には、開口が形成されている。ドラム3の底壁の中央には、モータ4の回転軸が結合している。ドラム3は、モータ4によって回転自在に支持されている。ドラム3は、衣類等の洗濯物を洗濯する洗濯槽を形成している。
【0030】
ドラム3の周壁には、周壁を貫通するように、多数の小孔が設けられる。小孔は、ドラム3の内外への洗濯水や乾燥風等の出入りを可能にする通水路や通風路として機能する。ドラム3に投入された洗濯物は、小孔を通じて流入した洗濯水中で洗濯される。また、小孔を通じた洗濯水の排出とドラム3の回転による遠心作用で脱水される。また、小孔を通じた乾燥風の流入出とドラム3の回転による遠心作用で乾燥される。
【0031】
ドラム3の周壁には、複数のリフタが設けられる。リフタは、ドラム3の中心軸と略平行な突条として設けられる。リフタは、ドラム3の周壁からドラム3の内側に向けて突出するように設けられる。リフタによると、ドラム3が回転したときに、ドラム3に投入された洗濯物が持ち上げられる。持ち上げられた洗濯物は重力で落下する。このような動作の繰り返しによって、効果的な洗浄作用や脱水作用が得られる。
【0032】
ドラム3の開口の周囲には、流体バランサが設けられる。流体バランサは、ドラム3の周方向に延びた中空構造に設けられ、液体が封入される。流体バランサに封入された液体は、ドラム3が回転したときに、流体バランサの内部を重力にしたがって周方向に移動する。流体バランサによると、液体の移動によって洗濯物の偏りによる振動が低減される。
【0033】
モータ4は、運転工程に応じた制御によって、ドラム3の回転を駆動する。モータ4は、外槽2の後方に配置されている。モータ4の回転軸は、外槽2の後部を貫通して、ドラム3の底壁に結合している。モータ4は、不図示の制御基板と電気的に接続されている。モータ4は、正転動作、逆転動作、起動および停止が、制御基板によって制御される。
【0034】
外槽2の下部には、水受部2bが設けられている。水受部2bは、外槽2の下部の周壁が下方に向けて凹状に形成された受皿状に設けられている。水受部2bには、洗濯水を加熱する不図示の温水ヒータや、洗濯水等の電気伝導率を測定するセンサを設けることができる。水受部2bの底部の後側には、排水口2cが形成されている。排水口2cには、内部排水配管20が接続されている。内部排水配管20の他端には、ケーシング32が接続されている。
【0035】
ケーシング32は、中空構造に設けられており、リントフィルタ31が挿入されるフィルタケース部と、循環ポンプ21が取り付けられるポンプケーシング部と、を有している。ケーシング32には、内部排水配管20が接続された排水入口、連結配管33が接続された排水出口、循環配管22が接続された循環口、リントフィルタ31が抜き差しされる開口部が形成されている。
【0036】
リントフィルタ31は、外槽2から排水された洗濯水からリント等の異物を捕集する。リントフィルタ31は、フィルタケース部に対して着脱自在に挿入される。例えば、リントフィルタ31は、フィルタケース部に挿入して回転させるとロックされる構造に設けることができる。フィルタケース部に収容されたリントフィルタ31は、回転させてロックを外し、下部前面カバー1fに設けられた扉を開くと、機外に取り出すことができる。
【0037】
循環ポンプ21は、外槽2に対して洗剤水ないし洗濯水を循環させるポンプである。循環ポンプ21は、ポンプケーシング部にインペラが収容されるように取り付けられる。ポンプケーシング部は、インペラを収容可能な有底の円筒状容器として設けられる。ポンプケーシング部は、ケーシング32の外側に開口するように設けられ、外側から循環ポンプ21が取り付けられる。
【0038】
ポンプケーシング部の底部には、内部排水配管20や連結配管33と連通する開口が設けられる。循環ポンプ21は、リントフィルタ31を挟んで、内部排水配管20の下流に配置される。ポンプケース部の周壁には、循環配管22と連通する開口が設けられる。循環配管22の他端は、外槽カバー2aの上部に設けられた散水ノズルに接続される。
【0039】
ケーシング32の排水出口には、連結配管33が接続されている。内部排水配管20と連結配管33とは、リントフィルタ31を挟んで、互いに連通している。連結配管33の他端には、排水弁23が接続されている。
【0040】
排水弁23は、運転工程に応じた制御によって開閉自在に設けられている。排水弁23には、外部排水配管24が接続されている。外部排水配管24は、機外の排水トラップ等に接続される。排水弁23が閉じた状態では、洗濯水を外槽2の内部に貯水できる。一方、排水弁23が開いた状態では、洗濯水を外槽2から機外に排水できる。
【0041】
内部排水配管20、ケーシング32、連結配管33、および、外部排水配管24は、外槽2の内側から機外に洗濯水を排水する排水経路を形成している。排水経路は、外槽2の底部と箱体1の外部との間を連通している。また、内部排水配管20、ケーシング32、および、循環配管22は、外槽2から排出された洗濯水を外槽2に循環させる循環経路を形成している。
【0042】
排水弁23が閉じた状態で循環ポンプ21が駆動されると、外槽2の洗濯水が、内部排水配管20と循環配管22を通じて、外槽2の上部に吸い上げられる。吸い上げられた洗濯水は、不図示の散水ノズルによってドラム3の内側にシャワー状に散布される。ドラム3に投入された洗濯物に洗濯水を散布すると、高い洗浄力やすすぎ力が得られる。洗濯水を循環させて散布すると、洗浄工程やすすぎ工程の節水に繋がる。
【0043】
なお、
図2において、循環配管22としては、散水用の循環配管が設けられているが、散水用の循環配管と洗剤溶解用の循環配管を設けることもできる、洗剤溶解用の循環配管の他端は、外槽2の底部に接続することができる。ポンプケーシングの周壁には、散水用の循環配管に繋がる第1循環出口と、洗剤溶解用の循環配管に繋がる第2循環出口と、を設けることができる。これらの循環出口は、円筒状に設けられたポンプケーシング部の接線上に、円筒の中心を通る中心線を挟んで互いに対向するように形成できる。
【0044】
このような構造によると、散水用の循環配管による循環と、洗剤溶解用の循環配管による循環とを、循環ポンプ21の回転方向によって切り替えることができる。排水弁23が閉じた状態で循環ポンプ21を逆転動作させると、外槽2の洗濯水が、内部排水配管20と洗剤溶解用の循環配管を通じて、外槽2の下部に循環される。洗濯水の循環によって、効率的な洗剤の溶解や、洗浄のための洗剤水の発泡を促進させることができる。
【0045】
外槽2の後部には、排気口2dが形成されている。排気口2dには、送風ダクト27が接続されている。送風ダクト27は、箱体1の上下に延びるように設けられている。送風ダクト27の他端は、吸気ダクト28と接続されている。吸気ダクト28は、箱体1の上面に開口した吸気口に繋がっている。吸気ダクト28には、送風ユニット40が接続されている。
【0046】
送風ユニット40は、箱体1の上部に固定されている。送風ユニット40は、外槽2よりも上方に、外槽2から離隔して配置されている。送風ユニット40には、送風機41と乾燥風用ヒータ42が収容されている。送風ユニット40は、中空構造のケーシングを備えており、空気が流入する入口、空気が排出される出口を有している。
【0047】
送風ユニット40の入口側には、吸気ダクト28が接続されている。送風機41は、送風ユニット40の入口側に配置されている。送風機41の吐出側には、乾燥風用ヒータ42が配置されている。送風ユニット40の出口側には、吹出配管29が接続されている。吹出配管29の他端は、外槽カバー2aの上部に備えられた吹出ノズル30と接続されている。
【0048】
送風ダクト27、吸気ダクト28、送風ユニット40、吹出配管29、および、吹出ノズル30は、洗濯物の脱水や乾燥に利用される空気を外槽2に循環させる送風経路を形成している。送風機41は、外槽2に対して空気を循環させて、ドラム3に投入された洗濯物に乾燥風を送る。乾燥風用ヒータ42は、洗濯物に向けて送られる空気を加熱して、洗濯物を乾燥させるための乾燥風を生成する。
【0049】
送風機41が作動すると、機外の空気が、吸気ダクト28、送風ユニット40および吹出配管29を通じて、外槽2の上部に送られる。機外から吸い込まれた空気は、乾燥風用ヒータ42によって乾燥された後に、吹出ノズル30によって外槽2の内側に吹き出される。吹き出された空気は、洗濯物に送風された後に、送風ダクト27を通じて排気される。ドラム3に投入された洗濯物に乾燥風を送ると、洗濯物の脱水や乾燥が促進される。
【0050】
外槽2の周壁には、
図3に示すように、既定の高さに、溢水口2eが形成されている。溢水口2eには、溢水配管25が接続されている。溢水配管25の他端は、排水弁23よりも下流で、外部排水配管24に接続している。溢水配管25と外部排水配管24は、既定のオーバーフロー水位を超えた外槽2の洗濯水を機外に排水する溢水経路を形成している。外槽2の洗濯水は、オーバーフロー水位に達すると、排水弁23の開閉状態にかかわらず、溢水配管25を通じて強制的に機外に排水される。
【0051】
図3は、本発明の実施形態に係る洗濯機の内部を示す正面視による断面図である。
図3には、本実施形態に係る洗濯機の排水工程時の状態の一例を示す。
図3に示すように、本実施形態に係る洗濯機100は、排水経路の泡を消泡するための消泡装置50を備えている。
【0052】
消泡装置50は、排水経路上に配置される。
図3において、消泡装置50は、外部排水配管24に配置されている。消泡装置50は、排水経路の泡を強制的に消泡する機能を有している。消泡装置50としては、泡を回転運動による機械力で破泡させる回転駆動装置や、泡を加熱して破泡させる消泡用ヒータを備えることができる。
【0053】
一般に、洗濯物を洗浄する洗浄工程中には、外槽内に多量の泡が発生する場合がある。多量の泡は、洗剤を入れ過ぎた場合や、ドラムの回転による洗濯水の攪拌が強い場合や、洗濯物を温水洗浄する場合等に発生する。洗濯水の発泡は、泡の洗浄作用を積極的に利用するために、意図的に行われる場合もある。
【0054】
外槽に多量の泡が発生した場合、泡がせり上がるため、泡が機外に溢れ出たり、泡が制御基板等の電気部品に接触して故障の原因となったりする。泡は、送風ダクト等で形成される送風経路に侵入して、洗濯機の上部側に侵入することもある。また、外槽に多量の泡が発生した場合、外槽に泡が残留したまま脱水工程に移行すると、ドラムを回転させるモータへの負荷が増大する。
【0055】
このような泡による問題を回避する方法としては、ドラムの攪拌動作を弱くする制御を行う方法や、循環ポンプの吐出動作を弱くする制御を行う方法がある。但し、これらの方法では、発泡の抑制に限界がある。他の方法としては、泡が自然に消泡するのを待つ方法や、追加的な給水を行って洗濯水を希釈する方法もある。しかし、これらの方法では、洗浄工程や排水工程の所要時間が長くなる。また、使用水量が増加して節水が妨げられる。
【0056】
外槽内に発生した泡の少なくとも一部は、洗浄工程の終了時に、外槽に溜められた洗濯水と共に、排水経路を通じて機外に排出することが可能である。しかし、泡の量が多い場合、排水経路に多量の泡が流されることが問題となる。
【0057】
排水経路に多量の泡が流されると、排水経路中に泡が蓄積して、泡が排水経路の流路抵抗となる問題を生じる。排水経路の流路抵抗が増大すると、適正な排水動作が行われなくなる。排水の所要時間が長くなったり、排水経路を構成する配管内に汚れた排水が残留したりする。また、排水経路に多量の泡が流されると、泡が排水経路から機外に溢れるという問題を生じる。機外の排水トラップや防水パンに泡が溢れ、洗濯機置き場の床面が汚染される可能性がある。
【0058】
このような泡の問題に対し、排水経路上に消泡装置50を設けると、排水に同伴して排水経路を流れる泡や、排水後に排水経路を塞ぐように残存している泡等を、能動的に消泡させることができる。排水経路が異常な発泡状態となっていても、多量の泡を迅速に破泡させて、泡を洗剤水に戻すことができるため、泡による排水経路の流路抵抗の増大や、排水経路を通じた機外への泡の溢れを防止することができる。消泡装置50の制御によって、運転時間の延長や、消泡のための使用水量の増加を回避できる。
【0059】
泡は、界面活性剤と水分を含む泡膜によって内外が隔てられた構造である。界面活性剤は、親水基を水相側、疎水基を気相側に向けて、泡膜の界面に配向した状態で存在する。このような構造の泡に回転運動による機械力を加えると、泡膜に対してせん断力等を加えることができる。また、泡を加熱すると、泡膜を形成する水分を蒸発させることができる。そのため、消泡装置50である回転駆動装置や消泡用ヒータによって、泡を強制的に破泡させることができる。
【0060】
消泡装置50は、外槽2の底部と箱体1の外部との間を連通する排水経路のうち、適宜の箇所に設けることができる。消泡装置50は、排水経路のうち、箱体1の内部の区間に設けられてもよいし、箱体1の外部の区間に設けられてもよい。排水経路には、1個の消泡装置50を設置してもよいし、複数個の消泡装置50を設置してもよい。
【0061】
消泡装置50は、排水経路のうち、ケーシング32や排水弁23よりも下流側に配置されることが好ましい。ケーシング32や排水弁23には、複雑形状の流路が設けられる場合がある。また、ケーシング32には、循環ポンプ21が備えられる。そのため、ケーシング32や排水弁23では、排水が新たに発泡する場合がある。これらの下流側に配置すると、排水経路上で発生した泡についても消泡させることができる。
【0062】
消泡装置50は、
図3において、外部排水配管24の中間部であって、溢水配管25が接続した合流点よりも下流に配置されている。このような配置であると、外槽2の底部から排出された泡や、排水経路上で発生した泡だけでなく、溢水配管25を通じて排出された泡についても消泡させることができる。
【0063】
消泡装置50は、排水経路のうち、排水の流れが水平に近い区間に配置されることが好ましい。排水経路における排水の水位は、排水経路を構成する配管の管径や、配管の引き回しの形状等に依存する。しかし、通常、外部排水配管24等の排水経路の下流側は、水平に近い区間が長く設けられる。このような区間に配置すると、排水の水面上に集まった泡を強制的に破泡させて、効率的に消泡処理を行うことができる。
【0064】
消泡装置50は、排水の水面上の気相部に配置されることが好ましい。排水の水面上は、排水に同伴して流れる泡が通過し易い場所である。気相部に配置すると、消泡装置50が排水に対する流路抵抗となるのを回避することができる。また、排水の接触による消泡装置50の故障を回避することができる。
【0065】
図3に示すように、洗濯機100は、外槽2に生じた泡を検知する泡センサ(泡検知手段)55を備えている。泡センサ55は、外槽2に溜められる洗濯水の既定の水位よりも上方であって、送風ダクト27の内面に設けられている。泡センサ55は、一対の第1電極55aと第2電極55bとによって構成されている。第1電極55aと第2電極55bとは、送風ダクト27において、互いに異なる高さに配置されている。
【0066】
泡センサ55は、第1電極55aと第2電極55bとの間における電気的な導通を検知して泡を検知する。外槽2に生じた泡が、第1電極55aおよび第2電極55bを超える高さまでせり上がると、第1電極55aと第2電極55bとの間が導通するため、過剰な泡の発生が検知される。なお、
図3において、泡センサ55は、2個の電極で構成されているが、3個以上の電極で構成されてもよい。
【0067】
第1電極55aおよび第2電極55bは、送風ダクト27において、オーバーフロー水位よりも上方、且つ、送風機41および乾燥風用ヒータ42よりも下方に設けられることが好ましい。このような配置であると、送風ダクト27を通じてせり上がった泡が、送風機41、乾燥風用ヒータ42等の電気部品に接触する危険性を事前に検知できる。
【0068】
洗濯機100は、消泡装置50の作動および停止を制御する不図示の消泡制御装置を備えている。消泡制御装置は、泡センサ55による検知結果に応じて消泡装置50を制御し、泡センサ55によって泡が検知されたとき、消泡装置50を作動させる構成とすることができる。消泡制御装置によると、泡の発生状況に応じて消泡装置50を制御できるため、消泡処理を省電力で行うことができる。
【0069】
なお、
図3において、泡センサ55は、送風ダクト27の内面に設けられているが、外槽2の内面に設けられてもよい。泡センサ55は、例えば、外槽2の内面であって、オーバーフロー水位よりも上方や、規定水位近傍よりも上方、且つ、オーバーフロー水位よりも下方に設けることができる。泡センサ55を外槽2に設けると、外槽2の泡の発生状況を直接的に検知できるため、消泡装置50による消泡処理を精密に制御できる。
【0070】
規定水位とは、外槽2の洗濯工程時に到達する標準的な水位を意味する。外槽2は、洗浄工程時に、規定水位を目標値として洗濯水の水位を調整される。規定水位は、ドラム3に投入された洗濯物が洗濯水に浸漬されるように、洗濯機の機種や、外槽2の形状、外槽2の容量等に応じて、予め設定される。規定水位近傍とは、規定水位に対して±5cm以内の高さの範囲を意味する。
【0071】
図4は、本発明の実施形態に係る洗濯機に取り付けられる消泡ユニットの一例を示す断面図である。
図4に示す消泡ユニット200は、消泡装置50として、泡を回転運動による機械力で破泡させるホイッパ状の回転駆動装置51を備えている。
図4に示すように、消泡装置50は、配管継手状の消泡ユニット200に組み込むことができる。消泡ユニット200は、排水経路を形成する配管同士の間に接続することができる。
【0072】
図4に示す消泡ユニット200は、泡を回転運動による機械力で破泡させる回転駆動装置51と、排水経路を形成する配管同士の間に接続される管部210と、回転駆動装置51が取り付けられる取付部220と、管部210に流入した泡を検知する泡センサ56(56a,56b,56c)と、を備えている。
【0073】
管部210の一端は、排水経路を形成する上流側配管241と接続されている。管部210の他端は、排水経路を形成する下流側配管242と接続されている。管部210の両端には、配管接続用のねじ込み構造や、ガスケット等によるシール構造を設けることができる。管部210の内部には、上流側配管241側から下流側配管242側に向けて、外槽2から排出された排水が流される。
【0074】
管部210は、円筒形状に設けられている。取付部220は、管状構造として設けられており、ユニット全体としてT字状を呈するように管部210の長手方向の中間部から分岐している。取付部220には、管部210の外側から内側に貫通する貫通孔が形成されている。回転駆動装置51は、回転子511が貫通孔に挿入された状態で取付部220に固定される。
【0075】
泡センサ56(56a,56b,56c)は、対となる複数の電極によって構成されている。複数の泡センサ56は、それぞれ、管部210の上部に配置されており、管部210の天井部から内部に挿入されている。各泡センサ56は、消泡装置50の作動および停止を制御する不図示の消泡制御装置に対して信号線を介して電気的に接続される。
【0076】
泡センサ56としては、管部210の排水経路における取付部220の上流側に、第1上流側泡センサ56aと第2上流側泡センサ56bが、上流側からこの順に配置されている。また、管部210の排水経路における取付部220の下流側に、下流側泡センサ56cが配置されている。
【0077】
泡センサ56は、電極間における電気的な導通を検知して泡を検知する。排水経路に泡が存在すると、電極間が導通するため、第1上流側泡センサ56aと第2上流側泡センサ56bによると排水経路を流れる泡が検知される。第1上流側泡センサ56aと第2上流側泡センサ56bを用いると、排水経路を流れて取付部220に到達する泡を検知できる。第1上流側泡センサ56aや第2上流側泡センサ56bと下流側泡センサ56cを用いると、消泡処理後の泡の状態を検知できる。
【0078】
図4において、泡センサ56としては、3個が配置されているが、2個以上の適宜の個数を配置することができる。泡センサ56は、排水経路における消泡装置50の上流および下流のそれぞれに、少なくとも一つ以上を配置することが好ましい。このような配置であると、消泡処理前および消泡処理後の泡の状態を検知して、過不足少ない消泡処理を行うことができる。
【0079】
回転駆動装置51は、泡を回転運動による機械力で破泡させる回転子511と、回転子511を回転自在に支持する回転軸512と、回転軸512の回転を駆動する駆動部513と、駆動部513を収容する本体部514と、を備えている。
図4において、回転駆動装置51には、配線70を介して電源コネクタ71が接続されている。電源コネクタ71は、制御基板61に対して電気的に接続される。回転駆動装置51は、洗濯機100から給電される方式に設けられている。
【0080】
回転子511は、回転運動が駆動されて回転運動による機械力を発生し、排水経路の泡と接触して、泡を回転運動による機械力で破泡させる。回転子511の回転運動は、連続的であってもよいし、間欠的であってもよい。回転子511の回転速度や回転方向は、特に限定されるものではない。
【0081】
回転軸512は、回転子511を排水経路内の所定の高さに支持している。回転軸512を適切な長さに設けると、回転子511と駆動部513とを互いに離隔させて、電気部品である駆動部513と故障の要因となる排水や泡との接触を回避できる。駆動部513は、例えば、モータや制御回路で構成される。本体部514は、駆動部513を収容する筐体であり、駆動部513等を取付部220に支持する。
【0082】
回転駆動装置51によると、回転運動による機械力を発生させるため、接触した泡に対して、遠心力や摩擦力を加えることができる。攪拌による排水の発泡を抑制しつつ、泡膜に対してせん断力を加えることができるため、泡を迅速に消泡させることができる。また、単純な機械機構によって実現できるため、設置場所やコストを抑制できる。また、回転速度の調整によって、消泡速度を調節することができる。
【0083】
回転子511は、排水や空気の通流を許容するフレーム構造に設けられることが好ましい。例えば、回転子511は、複数の線材を立体的に組み合わせた構造や、線材を立体的に曲げた構造に設けることができる。このような構造であると、排水経路における圧力損失を低減することができる。排水経路において、排水の流れや泡の移動が妨げられ難くなるため、正常な排水動作を確保しつつ、効率的に消泡処理を行うことができる。
【0084】
図4において、回転子511は、ホイッパ状に設けられている。ホイッパ状の回転子511は、例えば、回転軸512の周囲に間隔を空けて線材を配置した構造や、回転軸512を中心とする円周の周囲に線材をコイル状に巻回した構造等に設けることができる。回転子511は、適宜の半径、上下方向の幅に設けることができる。線材は、適宜の形状、本数、ピッチに設けることができる。
【0085】
ホイッパ状の回転子511によると、線材同士の隙間を通過する泡を、回転する線材による衝突や、線材への付着後の回転によるせん断によって破泡させることができる。また、回転軸512と直交する方向において、回転子511と泡との接触面積を大きくすることができる。そのため、正常な排水動作を確保しつつ、効率的に消泡処理を行うことができる。
【0086】
図5は、消泡ユニットによる消泡処理の様子を示す図である。
図5において、符号DWは、外槽2から機外に向けて排出される排水、符号Bは、排水に同伴した泡を示す。
図5に示すように、消泡ユニット200を、排水経路のうち、排水の流れが水平に近い区間に配置すると、排水DWの水面上に気相部が形成される。排水DWの水面上は、排水に同伴して流れる泡Bが通過し易い場所である。排水に同伴して流れる泡Bは、排水後には、排水経路を塞ぐように残存することがある。
【0087】
回転子511は、排水経路における排水の水位よりも上方に配置されることが好ましく、管部210における排水の最大水位よりも上方、且つ、管部210の天井面よりも下方に配置されることが好ましい。回転子511は、最大水位よりも上方の気相部のうち、水面側に配置されることがより好ましい。このような配置であると、排水の水面上に集まった泡のみに機械力を加えて強制的に破泡させることができるため、効率的に消泡処理を行うことができる。また、回転子511による流路抵抗の増大を回避することができる。
【0088】
図6は、本発明の実施形態に係る洗濯機に取り付けられる消泡ユニットの一例を示す断面図である。
図6に示す消泡ユニット200は、消泡装置50として、泡を回転運動による機械力で破泡させる羽根車状の回転駆動装置51を備えている。
図6に示すように、消泡装置50である回転駆動装置51は、羽根車状の回転子511aを備えることもできる。
【0089】
羽根車状の回転子511aは、回転軸512の先端側に複数の回転羽根を備えている。
図6において、回転羽根としては、矩形状の板羽根が設けられている。複数の回転羽根は、回転軸512に対して平行に設けられており、回転軸512から径方向の外側に向けて放射状に延びている。回転羽根は、適宜の形状、枚数、軸方向の長さ、径方向の幅、ピッチに設けることができる。回転羽根は、傾斜角が設けられてもよいし、傾斜角が設けられなくてもよい。
【0090】
羽根車状の回転子511aによると、回転軸512の周囲を通過する泡を、回転羽根による衝突や、回転羽根への付着後の回転によるせん断によって破泡させることができる。また、排水の流れ方向において、回転子511aと泡との接触面積を大きくすることができる。また、回転羽根が平滑であるため、排水にリント等が混入していても、リント等の付着量が少なくなる。そのため、より長期間にわたって、正常な排水動作を確保しつつ、効率的に消泡処理を行うことができる。
【0091】
図7は、本発明の実施形態に係る洗濯機に取り付けられる消泡ユニットの一例を示す断面図である。
図7に示す消泡ユニット200は、消泡装置50として、泡を加熱して破泡させる消泡用ヒータ(加熱装置)52を備えている。
図7に示すように、消泡装置50としては、泡を加熱して破泡させる消泡用ヒータ(加熱装置)52を配管継手状の消泡ユニット200に組み込むこともできる。
【0092】
図7に示す消泡ユニット200は、泡を加熱して破泡させる消泡用ヒータ52と、排水経路を形成する配管同士の間に接続される管部210と、消泡用ヒータ52が取り付けられる取付部220と、管部210に流入した泡を検知する泡センサ56(56a,56b,56c)と、を備えている。
【0093】
消泡用ヒータ52は、接触した泡に熱を伝える伝熱部521と、伝熱部521の加熱を駆動する駆動部523と、駆動部523を収容する本体部524と、を備えている。
図7において、消泡用ヒータ52には、配線70を介して電源コネクタ71が接続されている。電源コネクタ71は、制御基板61に対して電気的に接続される。消泡用ヒータ52は、洗濯機100から給電される方式に設けられている。
【0094】
伝熱部521は、排水経路の泡と接触して、泡を加熱して破泡させる。伝熱部521は、駆動部523からの熱を伝導する熱伝導体で形成されてもよいし、駆動部523からの電力で熱を発生する発熱素子で形成されてもよい。
【0095】
伝熱部521は、排水経路内の所定の高さに支持される。伝熱部521を適切な長さに設けると、伝熱部521の先端と駆動部523とを互いに離隔させて、電気部品である駆動部523と故障の要因となる排水や泡との接触を回避できる。駆動部523は、例えば、発熱素子や電力回路で構成される。本体部524は、駆動部523を収容する筐体であり、駆動部523等を取付部220に支持する。
【0096】
消泡用ヒータ52によると、伝熱部521に接触した泡を、直接的に加熱することができる。泡を加熱すると、泡膜に含まれる水分が蒸発するため、泡を迅速に破泡させることができる。また、伝熱部521を平滑に設けることができるため、排水に混入しているリント等の付着量が少なくなり、排水経路の流路抵抗が抑制される。
【0097】
伝熱部521は、排水経路における排水の水位よりも上方に配置されることが好ましく、管部210における排水の最大水位よりも上方、且つ、管部210の天井面よりも下方に配置されることが好ましい。伝熱部521の下端は、最大水位よりも上方の気相部のうち、水面側に配置されることがより好ましい。このような配置であると、排水の水面上に集まった泡のみを加熱して強制的に破泡させることができるため、効率的に消泡処理を行うことができる。また、伝熱部521による流路抵抗の増大を回避することができる。
【0098】
伝熱部521の熱伝導体の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等が挙げられる。伝熱部521には、伝熱面積を拡大させるフィンが形成されてもよい。伝熱部521は、平板状、柵状等の適宜の形状、面積、厚さに設けることができる。フィンは、適宜の形状、幅、高さ、ピッチに設けることができる。
【0099】
消泡用ヒータ52としては、PTC(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)ヒータが特に好ましい。PTCヒータは、通電によって発熱する発熱素子を備えている。発熱素子は、例えば、チタン酸バリウム等の半導体と、粒子状の導電材が混合されて形成される。発熱素子は、所定のキュリー温度に達したとき、電気抵抗が急激に増大する特性を示す。
【0100】
PTCヒータによると、キュリー温度の調整によって、所定の温度に達したときに発熱が停止するように発熱素子の自己制御を行うことができる。排水経路における過度な加熱が自己制御によって抑制されるため、消泡ユニット200や排水経路を形成する配管の熱変形や焼損を回避することができる。そのため、直接的な加熱による迅速な破泡を安全に行うことができる。
【0101】
回転駆動装置51や消泡用ヒータ52は、内蔵部品に水が浸入しない防水仕様であることが好ましい。防水仕様としては、例えば、駆動部513,523をシーリング等で封止した構造や、伝熱部521の発熱素子をラミネートフィルム等のフィルム材で密封した構造等が挙げられる。防水仕様であると、排水や泡との接触による故障を回避して、長期間にわたって消泡処理を行うことができる。
【0102】
図8、
図9および
図10は、消泡ユニットの電源の構成例を示す図である。
図8は、電源として商用電源を用いる消泡ユニットを示す。
図9は、電源として二次電池を用いる消泡ユニットを示す。
図10は、電源として一次電池を用いる消泡ユニットを示す。
図8、
図9および
図10に示すように、消泡ユニット200は、消泡装置50を駆動する電源として、洗濯機100の電源とは異なる独立した電源を備えることもできる。
【0103】
図8に示す消泡ユニット200は、消泡装置50を駆動するための電源として、一般家庭等に供給されている商用電源を用いる形態に設けられている。消泡装置50には、配線70を介して電源プラグ72が接続されている。電源プラグ72は、洗濯機置き場等に設けられた単相交流の電源コンセント等に接続される。電源プラグ72や消泡装置50は、スイッチング式やトランス式のAC/DC変換器等を備えることができる。
【0104】
図9に示す消泡ユニット200は、消泡装置50を駆動するための電源として、充電および放電が可能な二次電池を用いる形態に設けられている。消泡装置50には、二次電池を収納した二次電池モジュール73が電気的に接続されている。二次電池としては、リチウムイオン二次電池、ニッケル-水素二次電池、ニッケル-亜鉛二次電池、ニッケル-カドミウム二次電池等が挙げられる。二次電池モジュール73や消泡装置50は、スイッチング式等のDC/DC変換器、充電回路、保護回路等を備えることができる。
【0105】
図10に示す消泡ユニット200は、消泡装置50を駆動するための電源として、放電のみが可能な一次電池を用いる形態に設けられている。消泡装置50には、一次電池74を着脱自在に収納する電池ソケット75が電気的に接続されている。一次電池としては、マンガン一次電池、アルカリマンガン一次電池、ニッケル一次電池、リチウム一次電池等が挙げられる。
【0106】
消泡ユニット200に独立した電源を設けると、洗濯機100の制御基板61や電源回路を既存の構成としつつ、使用環境に応じて洗濯機100に消泡ユニット200を付加することができる。消泡ユニット200の不使用時には、プラグや電池を引き抜いて、消泡装置503への通電を停止することができる。また、消泡装置50を着脱式として、必要に応じて排水経路に取り付けることが可能になる。
【0107】
なお、
図8、
図9および
図10において、消泡ユニット200は、回転駆動装置51を備えているが、消泡ユニット200は、消泡用ヒータ52を備えてもよい。消泡用ヒータ52を備える場合においても、洗濯機100の電源とは異なる独立した電源を備えることができる。
【0108】
消泡装置50は、排水経路を形成する消泡ユニット200に対して着脱自在に設けることができる。消泡装置50を着脱式とする場合、本体部513,514および取付部220を、互いに結合および取り外し可能なように、ねじ込み構造、ツメや溝等を用いた係合構造等に設けることができる。消泡装置50の取り外し時には、取付部220にキャップ等を装着できる。消泡装置50を着脱式とすると、消泡装置50のメンテンナンスや消泡処理の必要性に応じた切り替えが容易になる。
【0109】
また、消泡ユニット200は、排水経路を構成する配管に対して着脱自在に設けることができる。消泡ユニット200を着脱式とする場合、管部210の両端に配管接続用のねじ込み構造等を設けることができる。消泡ユニット200の取り外し時には、排水経路を構成する配管同士を直接的に連結したり、交換用配管を連結したりすることができる。消泡ユニット200を着脱式とすると、消泡ユニット200のメンテンナンスや消泡処理の必要性に応じた切り替えが容易になる。
【0110】
図11は、本発明の実施形態に係る洗濯機の運転例を示すフローチャートである。
図11に示すように、消泡装置50は、洗濯機100における洗濯工程中に、外槽2に生じた泡の検知結果に応じて作動させることができる。外槽2に生じた泡の検知は、外槽2に連通する送風ダクト27に設けられた泡センサ55によって行うことができる。泡センサ55は、外槽2の内側に設けられてもよい。
【0111】
はじめに、洗濯機100における洗濯工程を開始し、洗濯物を洗浄する洗浄工程を行う(ステップS10)。洗浄工程では、洗濯機100に対して給水を行い、洗剤容器を経由した水を外槽2に導入する。そして、ドラム3や循環ポンプ21による攪拌によって洗剤類を水に溶解させる。ドラム3には、衣類等の洗濯物を投入する。洗濯物は、洗剤類が溶解した洗濯水中でドラム3による攪拌によって洗浄される。洗濯物の洗浄中には、ドラム3による攪拌によって、外槽2の内側に泡が生成する。
【0112】
続いて、洗浄工程中に、外槽2に既定の量の泡が生じたか否かを検知する(ステップS11)。外槽2に生じた泡の量は、洗濯水の水位よりも上方に設けられた泡センサ55によって、既定の高さへの泡の到達として間接的に検知される。
【0113】
検知の結果、外槽2に既定の量の泡が生じていないとき(ステップS11;NO)、ステップS13に進む。外槽2で過剰な泡が発生していないため、消泡装置50を停止したまま、既定の時間の洗浄工程を継続した後、排水工程(ステップS130)に移行する。
【0114】
続いて、洗浄工程後に、外槽2に溜められた洗濯水を排水する排水工程を行う(ステップS130)。排水工程では、排水弁23を開放し、外槽2に溜められた洗濯水を、内部排水配管20、ケーシング32、連結配管33、および、外部排水配管24を通じて機外に向けて排出する。消泡装置50を作動させることなく、外槽2に溜められた洗濯水の排水を行った後、すすぎ・脱水工程(ステップS16)に移行する。
【0115】
一方、検知の結果、外槽2に既定の量の泡が生じているとき(ステップS11;YES)、消泡装置50を作動させる(ステップS12)。洗浄工程は、洗濯物の量や洗濯コースに応じて既定の時間を行った後に終了する。
【0116】
続いて、消泡装置50を作動させた後に、外槽2に溜められた洗濯水を排水する排水工程を行う(ステップS13)。排水工程では、排水弁23を開放し、外槽2に溜められた洗濯水を、内部排水配管20、ケーシング32、連結配管33、および、外部排水配管24を通じて機外に向けて排出する。
【0117】
排水工程では、消泡装置50を作動させている場合、排水に同伴して排水経路を流れる泡が、消泡装置50によって破泡される。洗濯水の攪拌によって生じた泡の多くは、排水の水面上に集まり、排水と共に消泡ユニット200を流れる。そのため、排水経路を流れる泡は、消泡装置50に接触して迅速に破泡される。また、排水経路を塞ぐように残存する泡は、消泡装置50に接触して破泡される。
【0118】
続いて、消泡装置50を作動させた排水工程中に、排水経路に既定の量の泡が残存していないか否かを検知する(ステップS14)。排水経路における泡の量は、消泡ユニット200に設けられた泡センサ56によって間接的に検知される。泡センサ56としては、消泡処理の結果を監視する観点から、少なくとも下流側泡センサ56cを用いることが好ましい。
【0119】
検知の結果、排水経路に既定の量の泡が残存しているとき(ステップS14;NO)、ステップS14に戻る。排水経路に多量の泡が残存しているため、消泡装置50を作動させたまま、排水経路における泡の検知を継続する。
【0120】
一方、検知の結果、排水経路に既定の量の泡が残存していないとき(ステップS14;YES)、消泡装置50を停止させる(ステップS15)。排水経路に多量の泡が残存していないため、消泡装置50を停止させた後、すすぎ・脱水工程(ステップS16)に移行する。
【0121】
続いて、給水された水を外槽2に導入して洗濯物をすすぐすすぎ工程を行った後、ドラム3を回転させて洗濯物を脱水させる脱水工程を行う(ステップS16)。その後、洗濯工程の運転を終了する。
【0122】
このような洗濯工程を行うと、洗浄工程中に外槽2に生じた泡の検知結果に応じて、消泡装置50の作動が制御される。洗浄工程後の排水工程においては、排水に同伴して排水経路を流れる泡を、消泡装置50によって迅速に破泡させることができる。そのため、排水経路を通じた機外への泡の溢れや、泡による排水経路の流路抵抗を低減して、正常な排水動作を安定的に行うことができる。洗濯水の水位よりも上方に設けられた泡センサ55による検知結果に基づくため、洗浄工程における洗濯水の発泡が強い場合に、予め消泡装置50を作動させて、機外への多量の泡の漏洩を確実に防止できる。
【0123】
図12は、本発明の実施形態に係る洗濯機の運転例を示すフローチャートである。
図12に示すように、消泡装置50は、洗濯機100における洗濯工程中に、排水経路における泡の検知結果に応じて作動させることもできる。排水経路における泡の検知は、消泡ユニット200に設けられた泡センサ56によって行うことができる。
【0124】
はじめに、洗濯機100における洗濯工程を開始し、洗濯物を洗浄する洗浄工程を行う(ステップS20)。洗濯物の洗浄中には、ドラム3による攪拌によって、外槽2の内側に泡が生成する。洗浄工程は、ステップS10と同様にして、洗濯物の量や洗濯コースに応じて既定の時間を行った後に終了する。
【0125】
続いて、洗浄工程後に、外槽2に溜められた洗濯水を排水する排水工程を行う(ステップS21)。排水工程では、排水弁23を開放し、外槽2に溜められた洗濯水を、内部排水配管20、ケーシング32、連結配管33、および、外部排水配管24を通じて機外に向けて排出する。
【0126】
続いて、排水工程中に、排水経路に既定の量の泡が存在するか否かを検知する(ステップS22)。排水経路における泡の量は、消泡ユニット200に設けられた泡センサ56によって、下流側への泡の到達として検知される。泡センサ56としては、泡の発生状況を監視する観点から、少なくとも第1上流側泡センサ56aや第2上流側泡センサ56bを用いることが好ましい。
【0127】
検知の結果、排水経路に既定の量の泡が存在していないとき(ステップS22;NO)、ステップS26に進む。排水経路に過剰な泡が存在していないため、消泡装置50を停止したまま、すすぎ・脱水工程(ステップS26)に移行する。
【0128】
一方、検知の結果、排水経路に既定の量の泡が存在しているとき(ステップS22;YES)、消泡装置50を作動させる(ステップS23)。消泡装置50を作動させることによって、排水に同伴して排水経路を流れる泡や、排水後に排水経路を塞ぐように残存する泡を、能動的に破泡させる。
【0129】
続いて、消泡装置50を作動させた後に、排水経路に既定の量の泡が残存していないか否かを検知する(ステップS24)。排水経路における泡の量は、消泡ユニット200に設けられた泡センサ56によって間接的に検知される。泡センサ56としては、消泡処理の結果を監視する観点から、少なくとも下流側泡センサ56cを用いることが好ましい。
【0130】
検知の結果、排水経路に既定の量の泡が残存しているとき(ステップS24;NO)、ステップS24に戻る。排水経路に多量の泡が残存しているため、消泡装置50を作動させたまま、排水経路における泡の検知を継続する。
【0131】
一方、検知の結果、排水経路に既定の量の泡が残存していないとき(ステップS24;YES)、消泡装置50を停止させる(ステップS25)。排水経路に多量の泡が残存していないため、消泡装置50を停止させた後、すすぎ・脱水工程(ステップS26)に移行する。
【0132】
続いて、給水された水を外槽2に導入して洗濯物をすすぐすすぎ工程を行った後、ドラム3を回転させて洗濯物を脱水させる脱水工程を行う(ステップS26)。その後、洗濯工程の運転を終了する。
【0133】
このような洗濯工程を行うと、排水経路における泡の検知結果に応じて、消泡装置50の作動が制御される。排水工程においては、排水に同伴して排水経路を流れる泡や、排水後に排水経路に蓄積する泡を、消泡装置50によって迅速に破泡させることができる。そのため、排水経路を通じた機外への泡の溢れや、泡による排水経路の流路抵抗を低減して、正常な排水動作を安定的に行うことができる。排水経路に設けられた泡センサ56による検知結果に基づくため、排水経路における泡の量に応じた対応が可能であり、排水経路から機外への泡の漏洩や、泡による流路抵抗の上昇を確実に防止できる。
【0134】
図13は、本発明の実施形態に係る洗濯機の運転例を示すフローチャートである。
図13に示すように、消泡装置50は、洗濯機100における洗濯工程中に、予め設定された時間スケジュールにしたがって作動させることもできる。消泡装置50の作動開始時期および作動停止時期は、タイマ制御することができる。
【0135】
はじめに、洗濯機100における洗濯工程を開始し、洗濯物を洗浄する洗浄工程を行う(ステップS30)。洗濯物の洗浄中には、ドラム3による攪拌によって、外槽2の内側に泡が生成する。洗浄工程は、ステップS10と同様にして、洗濯物の量や洗濯コースに応じて既定の時間を行った後に終了する。
【0136】
続いて、洗浄工程後に、外槽2に溜められた洗濯水を排水する排水工程を行う(ステップS31)。排水工程では、排水弁23を開放し、外槽2に溜められた洗濯水を、内部排水配管20、ケーシング32、連結配管33、および、外部排水配管24を通じて機外に向けて排出する。
【0137】
続いて、排水工程中に、消泡装置50を作動させる(ステップS32)。消泡装置50を作動させることによって、排水に同伴して排水経路を流れる泡や、排水後に排水経路を塞ぐように残存する泡を、能動的に破泡させる。
【0138】
消泡装置50は、排水弁23の開放時と同時期や、排水弁23の開放時から所定の時間を経過した時期に、作動させることができる。消泡装置50は、洗濯機100の制御基板61によって制御してもよいし、排水の通流を検知する排水センサを消泡ユニット200に設けて制御してもよい。排水センサとしては、電極間における電気的な導通を検知するセンサを、管部210の下部等に設けることができる。
【0139】
続いて、消泡装置50を既定の時間にわたって作動させた後に、消泡装置50を停止させる(ステップS33)。消泡装置50の作動時間は、外槽2に溜められる洗濯水の容量等に応じて、適宜の時間に設定することができる。
【0140】
続いて、給水された水を外槽2に導入して洗濯物をすすぐすすぎ工程を行った後、ドラム3を回転させて洗濯物を脱水させる脱水工程を行う(ステップS34)。その後、洗濯工程の運転を終了する。
【0141】
このような洗濯工程を行うと、予め設定された時間スケジュールにしたがって、泡装置50の作動が制御される。洗浄工程後の排水工程においては、排水に同伴して排水経路を流れる泡や、排水後に排水経路に蓄積する泡を、消泡装置50によって迅速に破泡させることができる。そのため、排水経路を通じた機外への泡の溢れや、泡による排水経路の流路抵抗を低減して、正常な排水動作を安定的に行うことができる。時間スケジュールに基づくため、泡センサ55,56の設置を省略することが可能である。泡センサ55,56による検知結果を利用しないため、比較的少量の泡に対しても消泡処理を行って、排水経路から機外への泡の漏洩や、泡による流路抵抗の上昇を防止できる。
【0142】
図14は、本発明の実施形態に係る洗濯機の運転例を示すフローチャートである。
図14に示すように、消泡装置50は、洗濯機100における洗濯工程中に、排水工程に同期させて作動させることもできる。消泡装置50の作動開始時期および作動停止時期は、排水工程の開始時期および終了時期に同期させることができる。
【0143】
はじめに、洗濯機100における洗濯工程を開始し、洗濯物を洗浄する洗浄工程を行う(ステップS40)。洗濯物の洗浄中には、ドラム3による攪拌によって、外槽2の内側に泡が生成する。洗浄工程は、ステップS10と同様にして、洗濯物の量や洗濯コースに応じて既定の時間を行った後に終了する。
【0144】
続いて、洗浄工程後に、外槽2に溜められた洗濯水を排水する排水工程を行う(ステップS41)。排水工程では、排水弁23を開放し、外槽2に溜められた洗濯水を、内部排水配管20、ケーシング32、連結配管33、および、外部排水配管24を通じて機外に向けて排出する。
【0145】
続いて、排水工程中に、消泡装置50を作動させる(ステップS42)。消泡装置50を作動させることによって、排水に同伴して排水経路を流れる泡や、排水後に排水経路を塞ぐように残存する泡を、能動的に破泡させる。
【0146】
消泡装置50は、排水弁23の開放時と同時期や、排水弁23の開放時から所定の時間を経過した時期に、作動させることができる。消泡装置50は、洗濯機100の制御基板61によって制御してもよいし、排水の通流を検知する排水センサを消泡ユニット200に設けて制御してもよい。排水センサとしては、電極間における電気的な導通を検知するセンサを、管部210の下部等に設けることができる。
【0147】
続いて、排水工程後に、洗濯物をすすぐすすぎ工程を開始すると共に、消泡装置50を停止させる(ステップS43)。消泡装置50は、排水弁23の閉鎖時と同時期や、排水弁23の閉鎖時から所定の時間を経過した時期に、停止させることができる。
【0148】
続いて、給水された水を外槽2に導入して洗濯物をすすぐすすぎ工程を行った後、ドラム3を回転させて洗濯物を脱水させる脱水工程を行う(ステップS44)。その後、洗濯工程の運転を終了する。
【0149】
このような洗濯工程を行うと、排水工程に同期して、消泡装置50の作動が制御される。排水工程においては、排水に同伴して排水経路を流れる泡や、排水後に排水経路に蓄積する泡を、消泡装置50によって迅速に破泡させることができる。そのため、排水経路を通じた機外への泡の溢れや、泡による排水経路の流路抵抗を低減して、正常な排水動作を安定的に行うことができる。洗濯工程の進捗に従うため、泡センサ55,56の設置を省略することが可能である。泡センサ55,56による検知結果を利用しないため、比較的少量の泡に対しても消泡処理を行って、排水経路から機外への泡の漏洩や、泡による流路抵抗の上昇を防止できる。排水工程に同期させると、時間スケジュールにしたがって作動させる場合と比較して、より確実に消泡処理を行うことができるため、消費電力の抑制が可能になる。
【0150】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、技術的範囲を逸脱しない限り、様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、或る実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態の構成に他の構成を加えたりすることが可能である。また、或る実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、構成の削除、構成の置換をすることも可能である。
【0151】
例えば、前記の洗濯機100は、ドラム式洗濯乾燥機とされているが、排水経路に消泡装置を備えた洗濯機は、縦型洗濯機、縦型洗濯乾燥機等に適用することもできる。ドラム式洗濯乾燥機は、ドラムが傾斜していない横向きとされてもよい。排水経路に消泡装置を備えた洗濯機は、溢水経路を備えてもよいし、溢水経路を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0152】
1 箱体
2 外槽
3 ドラム(内槽)
4 モータ
5 サスペンション
6 操作パネル
7 洗剤投入部
8 乾燥フィルタ
9 ドア
20 内部排水配管(排水経路)
21 循環ポンプ
22 循環配管
23 排水弁
24 外部排水配管(排水経路)
25 溢水配管
27 送風ダクト(送風経路)
28 吸気ダクト(送風経路)
29 吹出配管(送風経路)
30 吹出ノズル(送風経路)
31 リントフィルタ
32 ケーシング(排水経路)
33 連結配管(排水経路)
40 送風ユニット(送風経路)
41 送風機
42 乾燥風用ヒータ
50 消泡装置
51 回転駆動装置
52 消泡用ヒータ(加熱装置)
55 泡センサ(泡検知手段)
56 泡センサ(泡検知手段)
61 制御基板
70 配線
71 電源コネクタ
72 電源プラグ
73 二次電池モジュール
74 一次電池
75 電池ソケット
100 洗濯機
200 消泡ユニット
210 管部
220 取付部