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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174359
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20231130BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20231130BHJP
   H03K 17/687 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
H02M1/00 B
H03K17/00 B
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087176
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 友一
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB07
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5J055AX36
5J055BX16
5J055CX07
5J055CX13
5J055CX19
5J055DX13
5J055DX22
5J055EY01
5J055EY03
5J055EY05
5J055EY10
5J055EY12
5J055EY21
5J055EY22
5J055EY29
5J055EZ09
5J055EZ10
5J055GX01
5J055GX07
(57)【要約】
【課題】スイッチング素子の接続不良を検出することができる電力変換装置を得る。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る電力変換装置は、電力入力端子と、電力出力端子と、第1の端子と、第2の端子と、第2の端子に電気的に接続された第3の端子と、第1の制御端子とを有する第1のスイッチング素子を含むスイッチング回路と、第1のスイッチング素子が実装され、第1の電極および第2の電極を有する基板と、第1のスイッチング素子の第2の端子を、基板の第1の電極に接合する第1のはんだ接合部と、第1のスイッチング素子の第3の端子を、基板の第2の電極に接合する第2のはんだ接合部と、スイッチング回路の動作を制御可能な制御回路と、第1のスイッチング素子を介して第1の電極と第2の電極とを結ぶ第1の経路のインピーダンスを検出することにより、第1のスイッチング素子と基板との接続状態を診断可能な診断回路とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力入力端子と、
電力出力端子と、
第1の端子と、第2の端子と、前記第2の端子に電気的に接続された第3の端子と、第1の制御端子とを有し、前記第1の制御端子の信号に基づいて、前記第1の端子および前記第2の端子の間の導通状態を制御可能な第1のスイッチング素子を含むスイッチング回路と、
前記第1のスイッチング素子が実装され、第1の電極および第2の電極を有する基板と、
前記第1のスイッチング素子の前記第2の端子を、前記基板の前記第1の電極に接合する第1のはんだ接合部と、
前記第1のスイッチング素子の前記第3の端子を、前記基板の前記第2の電極に接合する第2のはんだ接合部と、
前記スイッチング回路の動作を制御可能な制御回路と、
前記第1のスイッチング素子を介して前記第1の電極と前記第2の電極とを結ぶ第1の経路のインピーダンスを検出することにより、前記第1のスイッチング素子と前記基板との接続状態を診断可能な診断回路と
を備えた電力変換装置。
【請求項2】
前記基板の前記第1の電極は第1の基準電源ノードに接続され、
前記基板の前記第2の電極は第2の基準電源ノードに接続され、
前記制御回路は、第1の電源ノードおよび前記第2の基準電源ノードに接続され、前記第1のスイッチング素子を駆動可能な第1の駆動部を有する
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電力変換装置は、第1の期間において、前記スイッチング回路がスイッチング動作を行うことにより、前記電力入力端子を介して供給された電力を変換可能であり、変換された電力を前記電力出力端子を介して出力可能であり、
前記制御回路は、前記第1の期間とは異なる第2の期間において、前記第1のスイッチング素子をオフ状態にすることが可能であり、
前記診断回路は、前記第2の期間において、前記第1の経路のインピーダンスを検出することにより、前記第1のスイッチング素子と前記基板との接続状態を診断可能である
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1の電源ノードに接続された一端と、前記第1の基準電源ノードに接続された他端を有し、前記第2の期間において、前記第1の経路に沿って、前記第1の電極から前記第2の電極に向かって電流を流すことが可能な定電流素子を備え、
前記診断回路は、前記第1の基準電源ノードにおける電圧と前記第2の基準電源ノードにおける電圧との電圧差に基づいて、前記第1の経路のインピーダンスを検出可能である
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記診断回路は、さらに、前記第1の期間において、前記第1の基準電源ノードにおける電圧と前記第2の基準電源ノードにおける電圧との電圧差に基づいて、前記第1の経路の一部のインピーダンスを検出することにより、前記第1のスイッチング素子と前記基板との接続状態を診断可能である
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
第3のはんだ接合部と、
第4のはんだ接合部と、
第5のはんだ接合部と
を備え、
前記スイッチング回路は、第4の端子と、第5の端子と、前記第5の端子に電気的に接続された第6の端子と、第2の制御端子とを有し、前記第2の制御端子の信号に基づいて、前記第4の端子および前記第5の端子の間の導通状態を制御可能な第2のスイッチング素子をさらに含み、
前記基板には、前記第2のスイッチング素子が実装され、
前記基板は、第3の電極と、前記第3の電極に接続された第4の電極と、第5の電極とをさらに有し、
前記第3のはんだ接合部は、前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子を、前記基板の前記第3の電極に接合し、
前記第4のはんだ接合部は、前記第2のスイッチング素子の前記第5の端子を、前記基板の前記第4の電極に接合し、
前記第5のはんだ接合部は、前記第2のスイッチング素子の前記第6の端子を、前記基板の前記第5の電極に接合し、
前記診断回路は、さらに、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子を介して、前記第1の電極と前記第5の電極とを結ぶ第2の経路のインピーダンスを検出することにより、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子と前記基板との接続状態を診断可能である
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記基板の前記第1の電極は第1の基準電源ノードに接続され、
前記基板の前記第2の電極は第2の基準電源ノードに接続され、
前記基板の前記第5の電極は第3の基準電源ノードに接続され、
前記制御回路は、第2の電源ノードおよび前記第3の基準電源ノードに接続され、前記第2のスイッチング素子を駆動可能な第2の駆動部を有する
請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記電力変換装置は、第1の期間において、前記スイッチング回路がスイッチング動作を行うことにより、前記電力入力端子を介して供給された電力を変換可能であり、変換された電力を前記電力出力端子を介して出力可能であり、
前記制御回路は、前記第1の期間とは異なる第2の期間において、前記第1のスイッチング素子をオン状態にするとともに、前記第2のスイッチング素子をオフ状態にすることが可能であり、
前記診断回路は、前記第2の期間において、前記第2の経路のインピーダンスを検出することにより、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子と前記基板との接続状態を診断可能である
請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第2の電源ノードに接続された一端と、前記第1の基準電源ノードに接続された他端を有し、前記第2の期間において、前記第2の経路に沿って、前記第1の電極から前記第5の電極に向かって電流を流すことが可能な定電流素子を備え、
前記診断回路は、前記第1の基準電源ノードにおける電圧と前記第3の基準電源ノードにおける電圧との電圧差に基づいて、前記第2の経路のインピーダンスを検出可能である
請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
電力入力端子と、
電力出力端子と、
第1の端子と、第2の端子と、前記第2の端子に電気的に接続された第3の端子と、第1の制御端子とを有し、前記第1の制御端子の信号に基づいて、前記第1の端子および前記第2の端子の間の導通状態を制御可能な第1のスイッチング素子と、第4の端子と、第5の端子と、前記第5の端子に電気的に接続された第6の端子と、第2の制御端子とを有し、前記第2の制御端子の信号に基づいて、前記第4の端子および前記第5の端子の間の導通状態を制御可能な第2のスイッチング素子とを含むスイッチング回路と、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子が実装され、第1の電極と、第3の電極と、前記第3の電極に接続された第4の電極と、第5の電極とを有する基板と、
前記第1のスイッチング素子の前記第2の端子を、前記基板の前記第1の電極に接続する第1のはんだ接合部と、
前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子を、前記基板の前記第3の電極に接続する第3のはんだ接合部と、
前記第2のスイッチング素子の前記第5の端子を、前記基板の前記第4の電極に接続する第4のはんだ接合部と、
前記第2のスイッチング素子の前記第6の端子を、前記基板の前記第5の電極に接続する第5のはんだ接合部と、
前記スイッチング回路の動作を制御可能な制御回路と、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子を介して前記第1の電極と前記第5の電極とを結ぶ第2の経路のインピーダンスを検出することにより、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子と前記基板との接続状態を診断可能な診断回路と
を備えた電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路では、様々な理由により接続不良が生じ得る。例えば、特許文献1には、接続不良を検出する回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-42382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子回路では、例えば、経年劣化により、ボンディングワイヤが半導体チップのパッドから剥離し、あるいは、はんだ接合にクラックが生じることにより接続不良が生じ得る。例えば、電力変換装置では、大電力で動作し得るスイッチング素子において、このような接続不良が生じやすい。よって、電力変換装置では、スイッチング素子の接続不良を検出することが望まれる。
【0005】
スイッチング素子の接続不良を検出することができる電力変換装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る第1の電力変換装置は、電力入力端子と、電力出力端子と、スイッチング回路と、基板と、第1のはんだ接合部と、第2のはんだ接合部と、制御回路と、診断回路とを備えている。スイッチング回路は、第1のスイッチング素子を含む。第1のスイッチング素子は、第1の端子と、第2の端子と、第2の端子に電気的に接続された第3の端子と、第1の制御端子とを有し、第1の制御端子の信号に基づいて、第1の端子および第2の端子の間の導通状態を制御可能なものである。基板には、第1のスイッチング素子が実装され、基板は、第1の電極および第2の電極を有するものである。第1のはんだ接合部は、第1のスイッチング素子の第2の端子を、基板の第1の電極に接合するものである。第2のはんだ接合部は、第1のスイッチング素子の第3の端子を、基板の第2の電極に接合するものである。制御回路は、スイッチング回路の動作を制御可能なものである。診断回路は、第1のスイッチング素子を介して第1の電極と第2の電極とを結ぶ第1の経路のインピーダンスを検出することにより、第1のスイッチング素子と基板との接続状態を診断可能なものである。
【0007】
本発明の一実施の形態に係る第2の電力変換装置は、電力入力端子と、電力出力端子と、スイッチング回路と、基板と、第1のはんだ接合部と、第3のはんだ接合部と、第4のはんだ接合部と、第5のはんだ接合部と、制御回路と、診断回路とを備えている。スイッチング回路は、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子とを含む。第1のスイッチング素子は、第1の端子と、第2の端子と、第2の端子に電気的に接続された第3の端子と、第1の制御端子とを有し、第1の制御端子の信号に基づいて、第1の端子および第2の端子の間の導通状態を制御可能なものである。第2のスイッチング素子は、第4の端子と、第5の端子と、第5の端子に電気的に接続された第6の端子と、第2の制御端子とを有し、第2の制御端子の信号に基づいて、第4の端子および第5の端子の間の導通状態を制御可能なものである。基板には、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子が実装され、基板は、第1の電極と、第3の電極と、第3の電極に接続された第4の電極と、第5の電極とを有するものである。第1のはんだ接合部は、第1のスイッチング素子の第2の端子を、基板の第1の電極に接合するものである。第3のはんだ接合部は、第1のスイッチング素子の第1の端子を、基板の第3の電極に接合するものである。第4のはんだ接合部は、第2のスイッチング素子の第5の端子を、基板の第4の電極に接合するものである。第6のはんだ接合部は、第2のスイッチング素子の第6の端子を、基板の第5の電極に接合するものである。制御回路は、スイッチング回路の動作を制御可能なものである。診断回路は、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を介して第1の電極と第5の電極とを結ぶ第2の経路のインピーダンスを検出することにより、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と基板との接続状態を診断可能なものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施の形態に係る第1の電力変換装置および第2の電力変換装置によれば、スイッチング素子の接続不良を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置の一構成例を表す回路図である。
図2図1に示したトランジスタ、制御回路、および診断回路の一具体例を表す回路図である。
図3】表面実装の一例を表す説明図である。
図4】第1の実施の形態に係る診断動作の一例を表す説明図である。
図5図4に示した診断動作に係る回路部分の等価回路の一例を表す回路図である。
図6】第1の実施の形態の変形例に係るトランジスタ、制御回路、および診断回路の一具体例を表す回路図である。
図7】第1の実施の形態の他の変形例に係る電力変換装置の一構成例を表す回路図である。
図8図7に示したトランジスタ、制御回路、および診断回路の一具体例を表す回路図である。
図9】第2の実施の形態に係る電力変換装置の一構成例を表す回路図である。
図10図9に示した2つのトランジスタ、制御回路、および診断回路の一具体例を表す回路図である。
図11】第2の実施の形態に係る第1の診断動作の一例を表す説明図である。
図12図11に示した第1の診断動作に係る回路部分の等価回路の一例を表す回路図である。
図13】第2の実施の形態に係る第2の診断動作の一例を表す説明図である。
図14図13に示した第2の診断動作に係る回路部分の等価回路の一例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0011】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置(電力変換装置1)の一構成例を表すものである。この電力変換装置1は、DC/DC変換回路であり、直流電源PDCから供給された直流電力を変換し、変換された直流電力を負荷LDに供給するように構成される。
【0012】
電力変換装置1は、電力端子T11,T12と、インダクタ11と、スイッチング回路12と、ダイオード13と、キャパシタ14と、電圧センサ15と、補助電源回路16と、制御回路20と、診断回路30と、電力端子T21,T22とを備えている。インダクタ11、スイッチング回路12、ダイオード13、キャパシタ14、電圧センサ15、補助電源回路16、制御回路20、および診断回路30は、プリント基板に実装される。
【0013】
電力端子T11,T12は、電力変換装置1に対する電力の入力端子であり、電力端子T11は直流電源PDCの一端に接続され、電力端子T12は直流電源PDCの他端に接続される。直流電源PDCは、例えば直流電力を生成する電源回路であってもよいし、バッテリであってもよい。電力端子T12は、電力変換装置1の内部において、基準電圧線L2に接続される。この基準電圧線L2は、電力端子T22に導かれるとともに、電源電圧PGNDの基準電源ノードに接続される。
【0014】
インダクタ11の一端は電力端子T11に接続され、他端はスイッチング回路12およびダイオード13のアノードに接続される。
【0015】
スイッチング回路12は、トランジスタSW1を有している。トランジスタSW1は、この例では、N型の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)であり、ゲート信号G1に基づいてスイッチング動作を行うように構成される。この図1では、トランジスタSW1におけるボディダイオードも図示している。トランジスタSW1はディスクリート部品であり、このトランジスタSW1のパッケージには、ゲート端子Gと、ドレイン端子Dと、ソース端子Sと、ケルビン端子Kとが設けられる。ケルビン端子Kおよびソース端子Sは、このトランジスタSW1のパッケージの内部において互いに接続される。トランジスタSW1のゲート端子Gにはゲート信号G1が供給され、ドレイン端子Dはインダクタ11の他端およびダイオード13のアノードに接続され、ソース端子Sは基準電圧線L2に接続され、ケルビン端子Kは電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続される。
【0016】
なお、この例では、電界効果トランジスタを用いてトランジスタSW1を構成したが、これに限定されるものではなく、様々なスイッチング素子を用いることができる。例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いてトランジスタSW1を構成してもよい。この場合には、トランジスタSW1は、ゲート端子と、コレクタ端子と、エミッタ端子と、ケルビン端子とを有する。ケルビン端子およびエミッタ端子は、このトランジスタSW1のパッケージの内部において互いに接続される。
【0017】
ダイオード13のアノードはインダクタ11の他端およびトランジスタSW1のドレインに接続され、カソードは電力端子T21に導かれた電圧線L1に接続される。
【0018】
キャパシタ14は、例えば電解コンデンサを用いて構成され、一端は電圧線L1に接続され、他端は基準電圧線L2に接続される。
【0019】
電圧センサ15は、電力変換装置1の出力電圧Voutを検出するように構成される。電圧センサ15の一端は電圧線L1に接続され、他端は基準電圧線L2に接続される。電圧センサ15は、基準電圧線L2の電圧を基準とした電圧線L1の電圧を、出力電圧Voutとして検出する。そして、電圧センサ15は、出力電圧Voutの検出結果を制御回路20に供給するようになっている。
【0020】
補助電源回路16は、制御回路20および診断回路30に供給される電源電圧VCCを生成するように構成される。補助電源回路16は、電源電圧VCCの電源ノードと、電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続される。補助電源回路16は、例えば、直流電源PDCから供給された電力に基づいて、電源電圧VCCを生成するようになっている。
【0021】
制御回路20は、電力変換装置1の動作を制御するように構成される。
【0022】
診断回路30は、トランジスタSW1と、トランジスタSW1が実装されたプリント基板との接続状態を診断する診断動作を行うように構成される。診断回路30は、例えば、電力変換装置1に直流電源PDCが接続された後、電力変換装置1が電力変換動作を行う前の期間に、電源電圧SGNDおよび電源電圧SGNDの電圧差に基づいて、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断するようになっている。
【0023】
電力端子T21,T22は、電力変換装置1により変換された電力の出力端子であり、電力端子T21は負荷LDの一端に接続され、電力端子T22は負荷LDの他端に接続される。
【0024】
図2は、トランジスタSW1、制御回路20、および診断回路30のより具体的な構成の一例を表すものである。
【0025】
トランジスタSW1の半導体チップは、パッケージに納められている。半導体チップにおけるトランジスタSW1の本体のゲートは、ボンディングワイヤを介してパッケージのゲート端子Gに接続される。この図2では、このボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RGBとして示している。トランジスタSW1の本体のドレインは、ボンディングワイヤを介してパッケージのドレイン端子Dに接続される。図2では、このボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RDBとして示している。トランジスタSW1の本体のソースは、ボンディングワイヤを介してパッケージのソース端子Sに接続されるとともに、別のボンディングワイヤを介してパッケージのケルビン端子Kに接続される。図2では、トランジスタSW1の本体のソースとパッケージのソース端子Sとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RSBとして示し、トランジスタSW1の本体のソースとパッケージのケルビン端子Kとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RKBとして示している。なお、この例ではボンディングワイヤを用いたが、これに限定されるものではなく、バンプ、クリップなどの様々な接合方法を用いることができる。
【0026】
トランジスタSW1のパッケージは、プリント基板に実装されている。プリント基板には、4つの電極EG,ED,ES,EKが設けられている。これらの4つの電極EG,ED,ES,EKは、パッケージのゲート端子G、ドレイン端子D、ソース端子S、およびケルビン端子Kに対応する位置にそれぞれ設けられる。そして、トランジスタSW1のパッケージは、このプリント基板上に、はんだを用いて実装される。このようにして、パッケージのゲート端子G、ドレイン端子D、ソース端子S、およびケルビン端子Kは、はんだ接合により、プリント基板における4つの電極EG,ED,ES,EKにそれぞれ接合される。この図2では、トランジスタSW2のパッケージのゲート端子G、ドレイン端子D、ソース端子S、およびケルビン端子Kと、プリント基板の電極EG,ED,ES,EKとの間のはんだ接合の抵抗成分を、抵抗成分RGS,RDS,RSS,RKSとしてそれぞれ示している。
【0027】
トランジスタSW1のパッケージのプリント基板への実装方法は、例えば表面実装であってもよいし、スルーホール実装であってもよい。
【0028】
図3は、表面実装の一例を表すものである。この例では、パッケージ100はプリント基板110の表面に実装されている。パッケージ100には端子101が設けられ、プリント基板110には電極111が設けられる。この端子101は、図2に示したゲート端子G、ドレイン端子D、ソース端子S、およびケルビン端子Kに対応し、電極111は、図2に示した電極EG,ED,ES,EKに対応する。電極111は、この例ではパッド電極である。電極111および端子101は、はんだ接合により接合される。なお、この例では、表面実装の場合を説明したが、スルーホール実装の場合には、例えば、端子101はリード端子であり、電極111はスルーホールである。
【0029】
図2に示したように、プリント基板における電極EGにはゲート信号G1が供給される。プリント基板における電極EDは、インダクタ11(図1)の他端およびダイオード13(図1)のアノードに接続される。プリント基板における電極ESは、電源電圧PGNDの基準電源ノードに接続される。プリント基板における電極EKは、電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続される。
【0030】
制御回路20は、電力変換制御部21と、駆動部22と、診断制御部23とを有している。電力変換制御部21および診断制御部23は、例えばマイクロコントローラを用いて構成される。
【0031】
電力変換制御部21は、スイッチング回路12におけるスイッチング動作を制御することにより、電力変換装置1が電力変換動作を行うように制御するように構成される。電力変換制御部21は、電力変換動作において、電圧センサ15の検出結果に基づいてゲート信号G1に対応する制御信号を生成する。これにより、電力変換制御部21は、電力変換装置1の出力電圧Voutが所定の電圧になるように、電力変換装置1の動作を制御するようになっている。
【0032】
駆動部22は、電力変換制御部21から供給された制御信号に基づいてゲート信号G1を生成し、このゲート信号G1を用いてトランジスタSW1を駆動するように構成される。駆動部22は、電源電圧VCCの電源ノード、および電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続され、電源電圧VCC,SGNDに基づいてゲート信号G1を生成する。この電源電圧SGNDの基準電源ノードは、電極EK1を介して、トランジスタSW1のケルビン端子Kに接続される。これにより、トランジスタSW1には、トランジスタSW1の本体のソースの電圧を基準とした、適切な電圧レベルのゲート信号G1が供給されるようになっている。
【0033】
診断制御部23は、診断回路30の診断動作を制御するように構成される。具体的には、診断制御部23は、例えば、電力変換装置1に直流電源PDCが接続された後、電力変換装置1が電力変換動作を行う前の期間において、制御信号TESTの電圧をアクティブレベルにすることにより、診断回路30に診断動作を行わせる。そして、診断制御部23は、診断回路30から供給された検出信号DETに基づいて、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常であるかどうか確認する。診断制御部23は、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常である場合には、電力変換制御部21に制御信号を供給することにより、電力変換装置1が電力変換動作を開始するように制御する。また、診断制御部23は、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常ではない場合には、電力変換装置1が電力変換動作を開始しないように制御する。そして、診断制御部23は、制御信号CTLを用いて、例えば、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常ではない旨の情報を、電力変換装置1の外部の装置に供給するようになっている。
【0034】
診断回路30は、増幅回路31と、比較回路32と、トランジスタ33とを有している。
【0035】
増幅回路31は、電源電圧SGNDおよび電源電圧PGNDの電圧差を増幅するように構成される。増幅回路31の正入力端子は電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続され、負入力端子は電源電圧PGNDの基準電源ノードに接続され、出力端子は比較回路32の正入力端子に接続される。増幅回路31の利得は“-α”である。すなわち、利得は負である。増幅回路31の出力電圧は“-α×(SGND-PGND)”である。増幅回路31の出力電圧は、電源電圧SGNDが電源電圧PGNDよりも低くなるほど、高くなるようになっている。
【0036】
比較回路32は、増幅回路31の出力電圧を、リファレンス電圧REFと比較することにより検出信号DETを生成するように構成される。比較回路32の正入力端子は増幅回路31の出力端子に接続され、負入力端子にはリファレンス電圧REFが供給される。比較回路32は、増幅回路31の出力電圧がリファレンス電圧REFよりも高い場合に、検出信号DETを高レベルにし、増幅回路31の出力電圧がリファレンス電圧REFよりも低い場合に、検出信号DETを低レベルにする。そして、比較回路32は、この検出信号DETを診断制御部23に供給するようになっている。
【0037】
トランジスタ33は、この例では、N型の電界効果トランジスタであり、ドレインは電源電圧VCCの電源ノードに接続され、ゲートには制御信号TESTが供給され、ソースは電源電圧PGNDの基準電源ノードに接続される。トランジスタ33は、例えば、JFET(Junction Field Effect Transistor)を用いることができる。トランジスタ33は、制御信号TESTの電圧がアクティブレベル(例えば高レベル)である場合に、オン状態になり、電源電圧VCCの電源ノードから、電源電圧PGNDの基準電源ノードへ向かって電流を流す定電流素子として機能する。また、トランジスタ33は、制御信号TESTの電圧が非アクティブレベル(例えば低レベル)である場合に、オフ状態になるようになっている。
【0038】
診断回路30では、診断動作において、トランジスタ33がオン状態になり、電源電圧VCCの電源ノードから、電源電圧PGNDの基準電源ノードへ電流を流す。この電流は、後述するように、電極ES、ソース端子S、ケルビン端子K、電極EKをこの順に結ぶ経路(後述するP1)に流れる。これにより、この経路P1の両端間には、ボンディングワイヤやはんだ接合のインピーダンスに応じた電圧差が生じる。診断回路30は、この経路P1の両端間の電圧差に基づいて、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断するようになっている。
【0039】
ここで、電力端子T11,T12は、本開示における「電力入力端子」の一具体例に対応する。電力端子T21,T22は、本開示における「電力出力端子」の一具体例に対応する。スイッチング回路12は、本開示における「スイッチング回路」の一具体例に対応する。トランジスタSW1は、本開示における「第1のスイッチング素子」の一具体例に対応する。ドレイン端子Dは、本開示における「第1の端子」の一具体例に対応する。ソース端子Sは、本開示における「第2の端子」の一具体例に対応する。ケルビン端子Kは、本開示における「第3の端子」の一具体例に対応する。ゲート端子Gは、本開示における「第1の制御端子」の一具体例に対応する。プリント基板110は、本開示における「基板」の一具体例に対応する。抵抗成分RSSに対応するはんだ接合は、本開示における「第1のはんだ接合部」の一具体例に対応する。電極ESは、本開示における「第1の電極」の一具体例に対応する。抵抗成分RKSに対応するはんだ接合は、本開示における「第2のはんだ接合部」の一具体例に対応する。電極EKは、本開示における「第2の電極」の一具体例に対応する。制御回路20は、本開示における「制御回路」の一具体例に対応する。診断回路30は、本開示における「診断回路」の一具体例に対応する。電源電圧PGNDの基準電源ノードは、本開示における「第1の基準電源ノード」の一具体例に対応する。電源電圧SGNDの基準電源ノードは、本開示における「第2の基準電源ノード」の一具体例に対応する。電源電圧VCCの電源ノードは、本開示における「第1の電源ノード」の一具体例に対応する。駆動部22は、本開示における「第1の駆動部」の一具体例に対応する。トランジスタ33は、本開示における「定電流素子」の一具体例に対応する。
【0040】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の電力変換装置1の動作および作用について説明する。
【0041】
(全体動作概要)
まず、図1,2を参照して、電力変換装置1の全体動作概要を説明する。電圧センサ15は、電力変換装置1の出力電圧Voutを検出する。制御回路20の電力変換制御部21は、スイッチング回路12におけるスイッチング動作を制御することにより、電力変換装置1が電力変換動作を行うように制御する。駆動部22は、電力変換制御部21から供給されたゲート信号に基づいてゲート信号G1を生成し、このゲート信号G1を用いてトランジスタSW1を駆動する。診断制御部23は、診断回路30の診断動作を制御する。診断回路30は、電源電圧SGNDおよび電源電圧SGNDの電圧差に基づいて、トランジスタSW1と、トランジスタSW1が実装されたプリント基板との接続状態を診断することにより検出信号DETを生成する。診断制御部23は、この検出信号DETに基づいて、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常であるかどうか確認する。
【0042】
(詳細動作)
診断制御部23は、例えば、電力変換装置1に直流電源PDCが接続された後、電力変換装置1が電力変換動作を行う前の期間において、診断回路30に診断動作を行わせる。以下に、この診断動作について詳細に説明する。
【0043】
図4は、診断動作における、トランジスタSW1、制御回路20、および診断回路30の一動作例を表すものである。図5は、診断動作に係る回路部分の等価回路を表すものである。
【0044】
診断動作では、電力変換制御部21は、トランジスタSW1をオフ状態にするように制御する。診断制御部23は、制御信号TESTの電圧をアクティブレベル(例えば高レベル)にする。これにより、診断回路30におけるトランジスタ33はオン状態になり、トランジスタ33は、定電流素子として機能する。トランジスタ33は、電源電圧VCCの電源ノードから、電源電圧PGNDの基準電源ノードへ向かって電流I1を流す。
【0045】
この電流I1は、図4,5に示したように、プリント基板の電極ES、ソース端子S、ケルビン端子K、電極EKをこの順に結ぶ経路P1に流れる。これにより、この経路P1の両端間に、トランジスタSW1に係る、ボンディングワイヤやはんだ接合のインピーダンスに応じた電圧差が生じる。このようにして、電源電圧PGNDおよび電源電圧SGNDの間に、電圧差が生じる。ここで、経路P1は、本開示における「第1の経路」の一具体例に対応する。
【0046】
例えば、パッケージのソース端子Sとプリント基板の電極ESとを接合するはんだ接合にクラックが生じている場合には、図4,5に示した抵抗成分RSSの抵抗値が大きいので、経路P1におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、半導体チップにおけるトランジスタSW1の本体とソースとパッケージのソース端子Sとを接続するボンディングワイヤが剥離している場合には、図4,5に示した抵抗成分RSBの抵抗値が大きいので、経路P1におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、半導体チップにおけるトランジスタSW1の本体のソースとパッケージのケルビン端子Kとを接続するボンディングワイヤが剥離している場合には、図4,5に示した抵抗成分RKBの抵抗値が大きいので、経路P1におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、パッケージのケルビン端子Kとプリント基板の電極EKとを接合するはんだ接合にクラックが生じている場合には、図4,5に示した抵抗成分RKSの抵抗値が大きいので、経路P1におけるインピーダンスが大きい。このように経路P1のインピーダンスが大きい場合には、電源電圧SGNDは、電源電圧PGNDに比べて、経路P1におけるインピーダンスの増加量に応じて低くなる。
【0047】
増幅回路31は、電源電圧SGNDおよび電源電圧PGNDの電圧差を増幅する。電源電圧SGNDが電源電圧PGNDより低いほど、増幅回路31の出力電圧は高い。よって、増幅回路31の出力電圧は、経路P1におけるインピーダンスの増加量に応じた分だけ高い。すなわち、増幅回路31の出力電圧は、経路P1におけるインピーダンスが低い場合には低い電圧であり、経路P1におけるインピーダンスが高い場合には高い電圧である。
【0048】
比較回路32は、増幅回路31の出力電圧を、リファレンス電圧REFと比較することにより検出信号DETを生成する。例えば、経路P1におけるインピーダンスが十分に小さい場合には、増幅回路31の出力電圧はリファレンス電圧REFよりも低いので、検出信号DETは低レベルである。また、例えば、経路P1におけるインピーダンスが大きく、増幅回路31の出力電圧がリファレンス電圧REFよりも高い場合には、検出信号DETは高レベルである。
【0049】
診断制御部23は、この検出信号DETに基づいて、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常であるかどうか確認する。診断制御部23は、例えば、検出信号DETが低レベルである場合には、接続状態は正常であると判断し、検出信号DETが高レベルである場合には、接続状態は正常ではないと判断する。
【0050】
診断制御部23は、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常である場合には、電力変換制御部21に制御信号を供給することにより、電力変換装置1が電力変換動作を開始するように制御する。また、診断制御部23は、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常ではない場合には、電力変換装置1が電力変換動作を開始しないように制御する。そして、診断制御部23は、制御信号CTLを用いて、例えば、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常ではない旨の情報を、電力変換装置1の外部の装置に供給する。
【0051】
このように、電力変換装置1では、ドレイン端子Dと、ソース端子Sと、ソース端子Sに電気的に接続されたケルビン端子Kと、ゲート端子Gとを有し、ゲート端子Gの信号に基づいてドレイン端子Dおよびソース端子Sの間の導通状態を制御するトランジスタSW1を含むスイッチング回路12と、トランジスタSW1が実装され、電極ESおよび電極EKを有するプリント基板と、トランジスタSW1のソース端子Sを、プリント基板の電極ESに接合する第1のはんだ接合部(例えば抵抗成分RSSに対応する部分)と、トランジスタSW1のケルビン端子Kを、プリント基板の電極EKに接合する第2のはんだ接合部(例えば抵抗成分RKSに対応する部分)と、スイッチング回路12の動作を制御する制御回路20と、トランジスタSW1を介して電極ESと電極EKとを結ぶ経路P1のインピーダンスを検出することにより、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断する診断回路30とを設けるようにした。これにより、電力変換装置1では、トランジスタSW1の接続不良を検出することができる。具体的には、例えば、半導体チップにおけるトランジスタSW1のソースとパッケージのソース端子Sとを接続するボンディングワイヤが剥離している場合には、図4,5に示した抵抗成分RSBの抵抗値が大きいので、経路P1におけるインピーダンスが大きい。よって、診断回路30は、この接続不良を検出することができる。また、例えば、パッケージのソース端子Sとプリント基板の電極ESとを接合するはんだ接合にクラックが生じている場合には、図4,5に示した抵抗成分RSSの抵抗値が大きいので、経路P1におけるインピーダンスが大きい。よって、診断回路30は、この接続不良を検出することができる。このように、電力変換装置1では、ケルビン端子Kを利用して、トランジスタSW1の接続不良を効果的に検出することができる。
【0052】
特に、電力変換装置1では、トランジスタSW1を介してプリント基板の電極ESと電極EKとを結ぶ経路P1のインピーダンスを検出するようにした。これにより、電力変換装置1では、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断する診断精度を高めることができる。すなわち、例えば、トランジスタSW1を介して、プリント基板の電極EDと電極ESとを結ぶ経路のインピーダンスを検出する場合には、この経路に含まれるトランジスタSW1をオン状態にする必要があり、検出したインピーダンスには、トランジスタSW1のオン抵抗の成分が含まれる。トランジスタSW1のオン抵抗は、例えば温度により変化し得る。よって、検出されたインピーダンスに基づいてトランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断する診断精度が低下する可能性がある。一方、電力変換装置1では、トランジスタSW1を介してプリント基板の電極ESと電極EKとを結ぶ経路P1のインピーダンスを検出するようにしたので、検出されたインピーダンスはトランジスタSW1の特性の影響を受けない。よって、電力変換装置1では、診断精度を高めることができる。
【0053】
また、電力変換装置1は、第1の期間において、スイッチング回路12がスイッチング動作を行うことにより電力変換動作を行い、制御回路20は、第1の期間とは異なる第2の期間において、トランジスタSW1をオフ状態にし、診断回路30は、第2の期間において、経路P1のインピーダンスを検出することにより、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断するようにした。これにより、電力変換装置1では、電力変換動作を行う第1の期間とは異なる第2の期間において、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断することができるので、診断精度を高めることができる。また、電力変換装置1では、例えば、電力変換装置1が電力変換動作を行う前の期間において、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断することにより、安全性を高めることができる。すなわち、この場合には、例えば、診断回路30は、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常ではない場合には、電力変換装置1が電力変換動作を開始しないように制御することができる。この場合には、電力変換装置1では、接続状態が正常ではない状態で電力変換動作を行わないようにすることができるため、電力変換装置1を正常に動作させることができ、安全性を高めることができる。
【0054】
[効果]
以上のように本実施の形態では、ドレイン端子と、ソース端子と、ソース端子に電気的に接続されたケルビン端子と、ゲート端子とを有し、ゲート端子の信号に基づいてドレイン端子およびソース端子の間の導通状態を制御するトランジスタを含むスイッチング回路と、トランジスタが実装され、電極ESおよび電極EKを有するプリント基板と、トランジスタのソース端子を、プリント基板の電極ESに接合する第1のはんだ接合部と、トランジスタのケルビン端子を、プリント基板の電極EKに接合する第2のはんだ接合部と、スイッチング回路の動作を制御する制御回路と、トランジスタを介して電極ESと電極EKとを結ぶ経路のインピーダンスを検出することにより、トランジスタとプリント基板との接続状態を診断する診断回路とを設けるようにしたので、トランジスタの接続不良を検出することができる。
【0055】
本実施の形態では、トランジスタを介してプリント基板の電極ESと電極EKとを結ぶ経路のインピーダンスを検出するようにしたので、診断精度を高めることができる。
【0056】
本実施の形態では、第1の期間において、スイッチング回路がスイッチング動作を行うことにより電力変換動作を行い、制御回路は、第1の期間とは異なる第2の期間において、トランジスタをオフ状態にし、診断回路は、第2の期間において、経路のインピーダンスを検出することにより、トランジスタとプリント基板との接続状態を診断するようにしたので、電力変換装置を正常に動作させることができ、安全性を高めることができる。
【0057】
[変形例1-1]
上記実施の形態では、診断回路30の増幅回路31の正入力端子を、電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続し、負入力端子を電源電圧PGNDの基準電源ノードに接続したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図6に示す診断回路30Aのように、増幅回路31の正入力端子および負入力端子にバイアス回路を接続してもよい。診断回路30Aは、抵抗素子RS1,RS2,RP1,RP2を有している。抵抗素子RS1,RS2,RP1,RP2は、バイアス回路を構成する。抵抗素子RS1の一端には電圧VREFが供給され、他端は抵抗素子RS2の一端および増幅回路31の正入力端子に接続される。抵抗素子RS2の一端は抵抗素子RS1の他端および増幅回路31の正入力端子に接続され、他端は電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続される。抵抗素子RP1の一端には電圧VREFが供給され、他端は抵抗素子RP2の一端および増幅回路31の負入力端子に接続される。抵抗素子RP2の一端は抵抗素子RP1の他端および増幅回路31の負入力端子に接続され、他端は電源電圧PGNDの基準電源ノードに接続される。例えば、抵抗素子RS1の抵抗値および抵抗素子RP1の抵抗値は互いに同じ値に設定され、抵抗素子RS2の抵抗値および抵抗素子RP2の抵抗値は互いに同じ値に設定される。増幅回路31は、抵抗素子RS1,RS2により分圧された電圧と、抵抗素子RP1,RP2により分圧された電圧との電圧差を増幅する。このバイアス回路により、増幅回路31の正入力端子および負入力端子における電圧を調節することができる。
【0058】
[変形例1-2]
上記実施の形態では、診断回路30は、電力変換装置1が電力変換動作を行う前の期間に診断動作を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、電力変換装置1が電力変換動作を行う期間にも、診断動作を行うようにしてもよい。以下に、本変形例について詳細に説明する。
【0059】
図7は、本変形例に係る電力変換装置1Bの一構成例を表すものである。電力変換装置1Bは、制御回路20Bと、診断回路30Bとを備えている。図8は、制御回路20Bおよび診断回路30Bの一構成例を表すものである。
【0060】
制御回路20Bは、診断制御部23Bを有している。診断制御部23Bは、上記実施の形態に係る診断制御部23と同様に、例えば、電力変換装置1Bに直流電源PDCが接続された後、電力変換装置1Bが電力変換動作を行う前の期間において、制御信号TESTの電圧をアクティブレベルにすることにより、診断回路30Bに診断動作を行わせる。そして、診断制御部23Bは、診断回路30Bから供給された検出信号DETに基づいて、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常であるかどうか確認する。また、診断制御部23Bは、電力変換装置1Bが電力変換動作を行う期間において、診断回路30Bから供給された検出信号DETBに基づいて、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常であるかどうか確認する機能をも有している。
【0061】
診断回路30Bは、抵抗素子RS3,RS4,RP3,RP4と、比較回路34Bとを有している。
【0062】
抵抗素子RS3,RS4,RP3,RP4は、バイアス回路を構成する。抵抗素子RS3の一端には電圧VREFが供給され、他端は抵抗素子RS4の一端および比較回路34Bの正入力端子に接続される。抵抗素子RS4の一端は抵抗素子RS3の他端および比較回路34Bの正入力端子に接続され、他端は電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続される。抵抗素子RP3の一端には電圧VREFが供給され、他端は抵抗素子RP4の一端および比較回路34Bの負入力端子に接続される。抵抗素子RP4の一端は抵抗素子RP3の他端および比較回路34Bの負入力端子に接続され、他端は電源電圧PGNDの基準電源ノードに接続される。
【0063】
比較回路34Bは、抵抗素子RS3,RS4により分圧された電圧と、抵抗素子RP3,RP4により分圧された電圧とを比較することにより検出信号DETBを生成するように構成される。比較回路34Bの正入力端子は抵抗素子RS3の他端および抵抗素子RS4の一端に接続され、負入力端子は抵抗素子RP3の他端および抵抗素子RP4の一端に接続される。比較回路34Bは、抵抗素子RS3,RS4により分圧された電圧が抵抗素子RP3,RP4により分圧された電圧よりも高い場合に、検出信号DETBを高レベルにし、抵抗素子RS3,RS4により分圧された電圧が抵抗素子RP3,RP4により分圧された電圧よりも低い場合に、検出信号DETBを低レベルにする。そして、比較回路34Bは、この検出信号DETBを診断制御部23Bに供給するようになっている。
【0064】
この電力変換装置1Bは、電力変換動作を行う前の期間において、上記実施の形態の場合と同様に、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断する。また、電力変換装置1Bは、電力変換動作を行う期間においても、以下に示すように、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断する。
【0065】
電力変換装置1Bが電力変換動作を行う期間では、トランジスタSW1はゲート信号G1に基づいてスイッチング動作を行う。例えば、トランジスタSW1がオン状態である期間では、図7において、直流電源PDC、インダクタ11、トランジスタSW1、直流電源PDCの順に電流が流れるので、トランジスタSW1では、ドレイン端子Dからソース端子Sに向かって電流が流れる。よって、この期間では、電源電圧SGNDは電源電圧PGNDよりも高い。
【0066】
例えば、半導体チップにおけるトランジスタSW1のソースとパッケージのソース端子Sとを接続するボンディングワイヤが剥離している場合には、図8に示した抵抗成分RSBの抵抗値が大きいので、経路P1のうちの、トランジスタSW1の本体のソースと電極ESとを結ぶ部分経路におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、パッケージのソース端子Sとプリント基板の電極ESとを接合するはんだ接合にクラックが生じている場合には、図8に示した抵抗成分RSSの抵抗値が大きいので、経路P1のうちの、トランジスタSW1の本体のソースと電極ESとを結ぶ部分経路におけるインピーダンスが大きい。このようにこの部分経路におけるインピーダンスが大きい場合には、電源電圧SGNDは電源電圧PGNDよりもさらに高く、比較回路34Bの正入力端子の電圧は、負入力端子の電圧よりも高い。その結果、検出信号DETBは高レベルである。一方、ボンディングワイヤの剥離や、半田接合にクラックが生じていない場合には、この部分経路におけるインピーダンスは小さいので、比較回路34Bの正入力端子の電圧は、負入力端子の電圧よりも低い。その結果、検出信号DETBは低レベルである。
【0067】
一方、トランジスタSW1がオフ状態である期間では、トランジスタSW1には電流が流れない。よって、この期間では、電源電圧SGNDは電源電圧PGNDと同程度であるので、比較回路34Bの正入力端子の電圧は、負入力端子の電圧よりも低い。その結果、検出信号DETBは低レベルである。
【0068】
このように、経路P1のうちの部分経路におけるインピーダンスが十分に小さい場合には、検出信号DETBは低レベルに維持される。また、この部分経路におけるインピーダンスが大きい場合には、トランジスタSW1がオン状態である期間において検出信号DETBは高レベルであり、トランジスタSW1がオフ状態である期間において検出信号DETBは低レベルである。診断制御部23Bは、電力変換装置1Bが電力変換動作を行う期間において、このような検出信号DETBに基づいて、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常であるかどうか確認する。例えば、検出信号DETBが低レベルに維持される場合には、診断制御部23Bは、接続状態は正常であると判断し、検出信号DETBが例えば断続的に高レベルになる場合には、診断制御部23Bは、接続状態は正常ではないと判断する。
【0069】
診断制御部23Bは、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常である場合には、電力変換装置1Bが電力変換動作を継続するように制御する。また、診断制御部23Bは、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常ではない場合には、電力変換装置1Bが電力変換動作を停止するように制御する。そして、診断制御部23Bは、制御信号CTLを用いて、例えば、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常ではない旨の情報を、電力変換装置1Bの外部の装置に供給する。
【0070】
[変形例1-3]
上記実施の形態では、本技術を、トランスを有しない非絶縁型の電力変換装置に適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、トランスを有する絶縁型の電力変換装置に適用してもよい。
【0071】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0072】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る電力変換装置2について説明する。本実施の形態は、電力変換装置の回路構成が、上記第1の実施の形態と異なるものである。なお、上記第1の実施の形態に係る電力変換装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0073】
図9は、電力変換装置2の一構成例を表すものである。電力変換装置2は、電力端子T11,T12と、スイッチング回路41と、インダクタ42と、トランスTRと、キャパシタ43と、ダイオード44~47と、キャパシタ14と、電圧センサ15と、補助電源回路16と、制御回路50と、診断回路60と、電力端子T21,T22とを備えている。スイッチング回路41、インダクタ42、トランスTR、キャパシタ43、ダイオード44~47、キャパシタ14、電圧センサ15、補助電源回路16と、制御回路50と、診断回路60とは、プリント基板に実装される。
【0074】
電力端子T11,T12は、電力変換装置2に対する電力の入力端子である。電力端子T11は、電力変換装置2の内部において、電圧線L11に接続される。電力端子T12は、電力変換装置2の内部において、基準電圧線L12に接続される。この基準電圧線L12は、電源電圧PGNDの基準電源ノードに接続される。
【0075】
スイッチング回路41は、トランジスタSW1,SW2を有している。トランジスタSW1,SW2は、この例では、N型の電界効果トランジスタであり、トランジスタSW1はゲート信号G1に基づいてスイッチング動作を行い、トランジスタSW2はゲート信号G2に基づいてスイッチング動作を行うように構成される。トランジスタSW1のゲート端子Gにはゲート信号G1が供給され、ドレイン端子DはトランジスタSW2のソース端子Sおよびインダクタ42の一端に接続され、ソース端子Sは基準電圧線L12に接続され、ケルビン端子Kは電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続される。トランジスタSW2のゲート端子にはゲート信号G2が供給され、ドレイン端子Dは電圧線L11に接続され、ソース端子SはトランジスタSW1のドレイン端子Dおよびインダクタ42の一端に接続され、ケルビン端子Kは電源電圧SGNDHの基準電源ノードに接続される
【0076】
インダクタ42の一端はトランジスタSW1のドレイン端子DおよびトランジスタSW2のソース端子Sに接続され、他端はトランスTRに接続される。
【0077】
トランスTRは、巻線91,92を有する。巻線91の一端はインダクタ42の他端に接続され、他端はキャパシタ43に接続される。巻線92の一端はダイオード44のアノードおよびダイオード45のカソードに接続され、他端はダイオード46のアノードおよびダイオード47のカソードに接続される。
【0078】
キャパシタ43の一端は基準電圧線L12に接続され、他端はトランスTRの巻線91の他端に接続される。
【0079】
ダイオード44のアノードは巻線92の一端およびダイオード45のカソードに接続され、カソードは電力端子T21に導かれた電圧線L21に接続される。ダイオード45のアノードは電力端子T22に導かれた基準電圧線L22に接続され、カソードは巻線92の一端およびダイオード44のアノードに接続される。ダイオード46のアノードは巻線92の他端およびダイオード47のカソードに接続され、カソードは電圧線L21に接続される。ダイオード47のアノードは基準電圧線L22に接続され、カソードは巻線92の他端およびダイオード46のアノードに接続される。
【0080】
キャパシタ14の一端は電圧線L21に接続され、他端は基準電圧線L22に接続される。電圧センサ15の一端は電圧線L21に接続され、他端は基準電圧線L22に接続される。
【0081】
制御回路50は、上記第1の実施の形態に係る制御回路20と同様に、電力変換装置2の動作を制御するように構成される。
【0082】
診断回路60は、上記第1の実施の形態に係る診断回路30と同様に、トランジスタSW1,SW2と、トランジスタSW1,SW2が実装されたプリント基板との接続状態を診断する診断動作を行うように構成される。
【0083】
図10は、トランジスタSW1,SW2、制御回路50、および診断回路60のより具体的な構成の一例を表すものである。
【0084】
トランジスタSW1の半導体チップは、上記第1の実施の形態の場合と同様に、パッケージに納められている。この図10では、半導体チップにおけるトランジスタSW1の本体のゲートとパッケージのゲート端子Gとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RGB1として示している。トランジスタSW1の本体のドレインとパッケージのドレイン端子Dとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RDB1として示している。トランジスタSW1の本体のソースとパッケージのソース端子Sとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RSB1として示している。トランジスタSW1の本体のソースとパッケージのケルビン端子Kとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RKB1として示している。
【0085】
同様に、トランジスタSW2の半導体チップは、パッケージに納められている。この図10では、半導体チップにおけるトランジスタSW2の本体のゲートとパッケージのゲート端子Gとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RGB2として示している。トランジスタSW2の本体のドレインとパッケージのドレイン端子Dとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RDB2として示している。トランジスタSW2の本体のソースとパッケージのソース端子Sとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RSB2として示している。トランジスタSW2の本体のソースとパッケージのケルビン端子Kとの間のボンディングワイヤの抵抗成分を、抵抗成分RKB2として示している。
【0086】
トランジスタSW1のパッケージは、プリント基板に実装されている。同様に、トランジスタSW2のパッケージはプリント基板に実装されている。プリント基板には、電極EG1,ED1,ES1,EK1,EG2,ED2,ES2,EK2が設けられている。
【0087】
トランジスタSW1のパッケージのゲート端子G、ドレイン端子D、ソース端子S、およびケルビン端子Kは、はんだ接合により、プリント基板における4つの電極EG1,ED1,ES1,EK1にそれぞれ接合される。この図10では、トランジスタSW1のパッケージのゲート端子G、ドレイン端子D、ソース端子S、およびケルビン端子Kと、プリント基板の電極EG1,ED1,ES1,EK1との間のはんだ接合の抵抗成分を、抵抗成分RGS1,RDS1,RSS1,RKS1としてそれぞれ示している。
【0088】
トランジスタSW2のパッケージのゲート端子G、ドレイン端子D、ソース端子S、およびケルビン端子Kは、はんだ接合により、プリント基板における4つの電極EG2,ED2,ES2,EK2にそれぞれ接合される。この図10では、トランジスタSW2のパッケージのゲート端子G、ドレイン端子D、ソース端子S、およびケルビン端子Kと、プリント基板の電極EG2,ED2,ES2,EK2との間のはんだ接合の抵抗成分を、抵抗成分RGS2,RDS2,RSS2,RKS2としてそれぞれ示している。
【0089】
プリント基板において、電極EG1にはゲート信号G1が供給される。電極ED1は、電極ES2に接続される。電極ES1は、電源電圧PGNDの基準電源ノードに接続される。電極EK1は、電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続される。電極EG2にはゲート信号G2が供給される。電極ED2は、電圧線L11(図9)に接続される。電極ES2は、電極ED1に接続される。電極EK2は、電源電圧SGNDHの基準電源ノードに接続される。
【0090】
制御回路50は、電力変換制御部51と、駆動部54,55と、診断制御部53とを有している。
【0091】
電力変換制御部51は、スイッチング回路41におけるスイッチング動作を制御することにより、電力変換装置2が電力変換動作を行うように制御するように構成される。電力変換制御部51は、電力変換動作において、電圧センサ15の検出結果に基づいてゲート信号G1に対応する制御信号、およびゲート信号G2に対応する制御信号を生成する。これにより、電力変換制御部51は、電力変換装置2の出力電圧Voutが所定の電圧になるように、電力変換装置2の動作を制御するようになっている。
【0092】
駆動部54は、電力変換制御部51から供給された制御信号に基づいてゲート信号G1を生成し、このゲート信号G1を用いてトランジスタSW1を駆動するように構成される。駆動部54は、電源電圧VCCの電源ノード、および電源電圧SGNDの基準電源ノードに接続され、電源電圧VCC,SGNDに基づいてゲート信号G1を生成する。この電源電圧SGNDの基準電源ノードは、電極EK1を介して、トランジスタSW1のケルビン端子Kに接続される。これにより、トランジスタSW1には、トランジスタSW1の本体のソースの電圧を基準とした、適切な電圧レベルのゲート信号G1が供給されるようになっている。
【0093】
駆動部55は、電力変換制御部51から供給された制御信号に基づいてゲート信号G2を生成し、このゲート信号G2を用いてトランジスタSW2を駆動するように構成される。駆動部55は、電源電圧Vbootの電源ノード、および電源電圧SGNDHの基準電源ノードに接続され、電源電圧Vboot,SGNDHに基づいてゲート信号G2を生成する。電力変換装置2が電力変換動作を行っていない期間では、電源電圧Vboot,SGNDHは、例えば、電源電圧VCC,SGNDに基づいて設定される。また、電力変換装置2が電力変換動作を行う期間では、電源電圧Vboot,SGNDHは、例えば、図示しないブートストラップ回路により設定される。具体的には、例えば、トランジスタSW1がオン状態である期間には、電源電圧SGNDHは、電源電圧PGNDに応じた電圧に設定され、電源電圧Vbootは、電源電圧VCCに応じた電圧に設定される。そして、例えば、トランジスタSW1がオフ状態である期間には、電源電圧Vboot,SGNDHは、電源電圧Vbootおよび電源電圧SGNDHの電圧差を保ったまま、ブートストラップ動作により上昇する。電源電圧SGNDHの基準電源ノードは、電極EK2を介して、トランジスタSW2のケルビン端子Kに接続される。これにより、トランジスタSW2には、トランジスタSW2の本体のソースの電圧を基準とした、適切な電圧レベルのゲート信号G2が供給されるようになっている。
【0094】
診断制御部53は、診断回路60の診断動作を制御するように構成される。具体的には、診断制御部53は、例えば、電力変換装置2に直流電源PDCが接続された後、電力変換装置2が電力変換動作を行う前の期間において、制御信号TESTの電圧をアクティブレベルにすることにより、診断回路60に診断動作を行わせる。診断制御部53は、制御信号SEL1,SEL2を用いて、診断回路60の診断動作を制御する。そして、診断制御部53は、診断回路60から供給された検出信号DETに基づいて、トランジスタSW1,SW2とプリント基板との接続状態が正常であるかどうかを確認するようになっている。
【0095】
診断回路60は、スイッチ61と、増幅回路31と、比較回路32と、トランジスタ33と、スイッチ64とを有している。
【0096】
スイッチ61は、制御信号SEL1に基づいて、電源電圧SGNDおよび電源電圧SGNDHのうちの一方を選択し、選択した電源電圧を増幅回路31の正入力端子に供給するように構成される。これにより、増幅回路31は、スイッチ61から供給された電源電圧および電源電圧PGNDの電圧差を増幅し、比較回路32は、増幅回路31の出力電圧を、リファレンス電圧REFと比較することにより検出信号DETを生成するようになっている。
【0097】
スイッチ64は、制御信号SEL2に基づいて、電源電圧VCCおよび電源電圧Vbootのうちの一方を選択し、選択した電源電圧をトランジスタ33のドレインに供給するように構成される。これにより、トランジスタ33は、制御信号TESTの電圧がアクティブレベル(例えば高レベル)である場合に、オン状態になり、スイッチ64により接続された電源ノードから、電源電圧PGNDの基準電源ノードへ向かって電流を流すようになっている。
【0098】
ここで、スイッチング回路41は、本開示における「スイッチング回路」の一具体例に対応する。トランジスタSW1は、本開示における「第1のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランジスタSW1のドレイン端子Dは、本開示における「第1の端子」の一具体例に対応する。トランジスタSW1のソース端子Sは、本開示における「第2の端子」の一具体例に対応する。トランジスタSW1のケルビン端子Kは、本開示における「第3の端子」の一具体例に対応する。トランジスタSW1のゲート端子Gは、本開示における「第1の制御端子」の一具体例に対応する。トランジスタSW2は、本開示における「第2のスイッチング素子」の一具体例に対応する。トランジスタSW2のドレイン端子Dは、本開示における「第4の端子」の一具体例に対応する。トランジスタSW2のソース端子Sは、本開示における「第5の端子」の一具体例に対応する。トランジスタSW2のケルビン端子Kは、本開示における「第6の端子」の一具体例に対応する。トランジスタSW2のゲート端子Gは、本開示における「第2の制御端子」の一具体例に対応する。抵抗成分RSS1に対応するはんだ接合は、本開示における「第1のはんだ接合部」の一具体例に対応する。電極ES1は、本開示における「第1の電極」の一具体例に対応する。抵抗成分RKS1に対応するはんだ接合は、本開示における「第2のはんだ接合部」の一具体例に対応する。電極EK1は、本開示における「第2の電極」の一具体例に対応する。抵抗成分RDS1に対応するはんだ接合は、本開示における「第3のはんだ接合部」の一具体例に対応する。電極ED1は、本開示における「第3の電極」の一具体例に対応する。抵抗成分RSS2に対応するはんだ接合は、本開示における「第4のはんだ接合部」の一具体例に対応する。電極ES2は、本開示における「第4の電極」の一具体例に対応する。抵抗成分RKS2に対応するはんだ接合は、本開示における「第5のはんだ接合部」の一具体例に対応する。電極EK2は、本開示における「第5の電極」の一具体例に対応する。制御回路50は、本開示における「制御回路」の一具体例に対応する。診断回路60は、本開示における「診断回路」の一具体例に対応する。電源電圧SGNDHの基準電源ノードは、本開示における「第3の基準電源ノード」の一具体例に対応する。電源電圧Vbootの電源ノードは、本開示における「第2の電源ノード」の一具体例に対応する。駆動部54は、本開示における「第1の駆動部」の一具体例に対応する。駆動部55は、本開示における「第2の駆動部」の一具体例に対応する。
【0099】
診断制御部53は、例えば、電力変換装置2に直流電源PDCが接続された後、電力変換装置2が電力変換動作を行う前の期間において、診断回路60に診断動作を行わせる。この例では、診断回路60は、まず、第1の診断動作を行うことにより、トランジスタSW1とプリント基板との接続を診断し、その後に第2の診断動作を行うことにより、トランジスタSW1,SW2とプリント基板との接続を診断する。以下に、第1の診断動作および第2の診断動作について詳細に説明する。
【0100】
図11は、第1の診断動作における、トランジスタSW1,SW2、制御回路50、および診断回路60の一動作例を表すものである。図12は、第1の診断動作に係る回路部分の等価回路を表すものである。
【0101】
第1の診断動作では、電力変換制御部51は、トランジスタSW1,SW2をオフ状態にするように制御する。診断制御部53は、スイッチ61が電源電圧SGNDを選択するように制御信号SEL1を生成するとともに、スイッチ64が電源電圧VCCを選択するように制御信号SEL2を生成する。診断制御部53は、制御信号TESTの電圧をアクティブレベル(例えば高レベル)にする。これにより、診断回路60におけるトランジスタ33はオン状態になり、トランジスタ33は、定電流素子として機能する。トランジスタ33は、電源電圧VCCの電源ノードから、電源電圧PGNDの基準電源ノードへ向かって電流I1を流す。
【0102】
この電流I1は、図11,12に示したように、プリント基板の電極ES1、ソース端子S、ケルビン端子K、電極EKをこの順に結ぶ経路P1に流れる。これにより、上記第1の実施の形態の場合と同様に、この経路P1の両端間に、トランジスタSW1に係る、ボンディングワイヤやはんだ接合のインピーダンスに応じた電圧差が生じる。このようにして、電源電圧PGNDおよび電源電圧SGNDの間に、電圧差が生じる。
【0103】
増幅回路31は、電源電圧SGNDおよび電源電圧PGNDの電圧差を増幅する。電源電圧SGNDが電源電圧PGNDより低いほど、増幅回路31の出力電圧は高い。よって、増幅回路31の出力電圧は、経路P1におけるインピーダンスの増加量に応じた分だけ高い。すなわち、増幅回路31の出力電圧は、経路P1におけるインピーダンスが低い場合には低い電圧であり、経路P1におけるインピーダンスが高い場合には高い電圧である。
【0104】
比較回路32は、増幅回路31の出力電圧を、リファレンス電圧REFと比較することにより検出信号DETを生成する。例えば、経路P1におけるインピーダンスが十分に小さい場合には、増幅回路31の出力電圧はリファレンス電圧REFよりも低いので、検出信号DETは低レベルである。また、例えば、経路P1におけるインピーダンスが大きく、増幅回路31の出力電圧がリファレンス電圧REFよりも高い場合には、検出信号DETは高レベルである。
【0105】
診断制御部53は、第1の診断動作において、この検出信号DETに基づいて、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態が正常であるかどうか確認する。診断制御部53は、例えば、検出信号DETが低レベルである場合には、接続状態は正常であると判断し、検出信号DETが高レベルである場合には、接続状態は正常ではないと判断する。
【0106】
図13は、第2の診断動作における、トランジスタSW1,SW2、制御回路50、および診断回路60の一動作例を表すものである。図14は、第2の診断動作に係る回路部分の等価回路を表すものである。
【0107】
第2の診断動作では、電力変換制御部51は、トランジスタSW1をオン状態にするとともに、トランジスタSW2をオフ状態にするように制御する。診断制御部53は、スイッチ61が電源電圧SGNDHを選択するように制御信号SEL1を生成するとともに、スイッチ64が電源電圧Vbootを選択するように制御信号SEL2を生成する。診断制御部53は、制御信号TESTの電圧をアクティブレベル(例えば高レベル)にする。これにより、診断回路60におけるトランジスタ33はオン状態になり、トランジスタ33は、定電流素子として機能する。トランジスタ33は、電源電圧Vbootの電源ノードから、電源電圧PGNDの基準電源ノードへ向かって電流I2を流す。
【0108】
この電流I2は、図13図14に示したように、プリント基板の電極ES1、トランジスタSW1のソース端子S、トランジスタSW1の本体、トランジスタSW1のドレイン端子D、電極ED1、電極ES2、トランジスタSW2のソース端子S、トランジスタSW2のケルビン端子K、電極EK2をこの順に結ぶ経路P2に流れる。これにより、この経路P2の両端間に、トランジスタSW1,SW2に係る、ボンディングワイヤやはんだ接合のインピーダンスに応じた電圧差が生じる。このようにして、電源電圧PGNDおよび電源電圧SGNDHの間に、電圧差が生じる。ここで、経路P2は、本開示における「第2の経路」の一具体例に対応する。
【0109】
例えば、トランジスタSW1のパッケージのソース端子Sとプリント基板の電極ES1とを接合するはんだ接合にクラックが生じている場合には、図13,14に示した抵抗成分RSS1の抵抗値が大きいので、経路P2におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、半導体チップにおけるトランジスタSW1の本体のソースとパッケージのソース端子Sとを接続するボンディングワイヤが剥離している場合には、図13,14に示した抵抗成分RSB1の抵抗値が大きいので、経路P2におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、半導体チップにおけるトランジスタSW1の本体のドレインとパッケージのドレイン端子Dとを接続するボンディングワイヤが剥離している場合には、図13,14に示した抵抗成分RDB1の抵抗値が大きいので、経路P2におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、トランジスタSW1のパッケージのドレイン端子Dとプリント基板の電極ED1とを接合するはんだ接合にクラックが生じている場合には、図13,14に示した抵抗成分RDS1の抵抗値が大きいので、経路P2におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、トランジスタSW2のパッケージのソース端子Sとプリント基板の電極ES2とを接合するはんだ接合にクラックが生じている場合には、図13,14に示した抵抗成分RSS2の抵抗値が大きいので、経路P2におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、半導体チップにおけるトランジスタSW2の本体のソースとパッケージのソース端子Sとを接続するボンディングワイヤが剥離している場合には、図13,14に示した抵抗成分RSB2の抵抗値が大きいので、経路P2におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、半導体チップにおけるトランジスタSW2の本体のソースとパッケージのケルビン端子Kとを接続するボンディングワイヤが剥離している場合には、図13,14に示した抵抗成分RKB2の抵抗値が大きいので、経路P2におけるインピーダンスが大きい。また、例えば、トランジスタSW2のパッケージのケルビン端子Kとプリント基板の電極EK2とを接合するはんだ接合にクラックが生じている場合には、図13,14に示した抵抗成分RKS2の抵抗値が大きいので、経路P2におけるインピーダンスが大きい。このように経路P2のインピーダンスが大きい場合には、電源電圧SGNDHは、電源電圧PGNDに比べて、経路P2におけるインピーダンスの増加量に応じて低くなる。
【0110】
増幅回路31は、電源電圧SGNDHおよび電源電圧PGNDの電圧差を増幅する。電源電圧SGNDHが電源電圧PGNDより低いほど、増幅回路31の出力電圧は高い。よって、増幅回路31の出力電圧は、経路P2におけるインピーダンスの増加量に応じた分だけ高い。すなわち、増幅回路31の出力電圧は、経路P2におけるインピーダンスが低い場合には低い電圧であり、経路P2におけるインピーダンスが高い場合には高い電圧である。
【0111】
比較回路32は、増幅回路31の出力電圧を、リファレンス電圧REFと比較することにより検出信号DETを生成する。例えば、経路P2におけるインピーダンスが十分に小さい場合には、増幅回路31の出力電圧はリファレンス電圧REFよりも低いので、検出信号DETは低レベルである。また、例えば、経路P2におけるインピーダンスが大きく、増幅回路31の出力電圧がリファレンス電圧REFよりも高い場合には、検出信号DETは高レベルである。
【0112】
診断制御部53は、第2の診断動作において、この検出信号DETに基づいて、トランジスタSW1,SW2とプリント基板との接続状態が正常であるかどうか確認する。診断制御部53は、例えば、検出信号DETが低レベルである場合には、接続状態は正常であると判断し、検出信号DETが高レベルである場合には、接続状態は正常ではないと判断する。
【0113】
診断制御部53は、第1の診断動作および第2の診断動作において、トランジスタSW1,SW2とプリント基板との接続状態が正常である場合には、電力変換制御部51に制御信号を供給することにより、電力変換装置2が電力変換動作を開始するように制御する。また、診断制御部53は、トランジスタSW1,SW2とプリント基板との接続状態が正常ではない場合には、電力変換装置2が電力変換動作を開始しないように制御する。そして、診断制御部53は、制御信号CTLを用いて、例えば、トランジスタSW1,SW2とプリント基板との接続状態が正常ではない旨の情報を、電力変換装置2の外部の装置に供給する。
【0114】
このように、電力変換装置2では、ドレイン端子Dと、ソース端子Sと、ソース端子Sに電気的に接続されたケルビン端子Kと、ゲート端子Gとを有し、ゲート端子Gの信号に基づいてドレイン端子Dおよびソース端子Sの間の導通状態を制御するトランジスタSW1を含むスイッチング回路41と、トランジスタSW1が実装され、電極ES1および電極EK1を有するプリント基板と、トランジスタSW1のソース端子Sを、プリント基板の電極ES1に接合する第1のはんだ接合部(例えば抵抗成分RSS1に対応する部分)と、トランジスタSW1のケルビン端子Kを、プリント基板の電極EK1に接合する第2のはんだ接合部(例えば抵抗成分RKS1に対応する部分)と、スイッチング回路41の動作を制御する制御回路50と、トランジスタSW1を介して電極ES1と電極EK1とを結ぶ経路P1のインピーダンスを検出することにより、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断する診断回路60とを設けるようにした。これにより、電力変換装置2では、第1の診断動作に示したように、トランジスタSW1のケルビン端子Kを利用して、トランジスタSW1の接続不良を効果的に検出することができる。
【0115】
また、電力変換装置2では、第3のはんだ接合部(例えば抵抗成分RDS1に対応する部分)と、第4のはんだ接合部(例えば抵抗成分RSS2に対応する部分)と、第5のはんだ接合部(例えば抵抗成分RKS2に対応する部分)とをさらに設けるようにした。そして、スイッチング回路41は、ドレイン端子Dと、ソース端子Sと、ソース端子Sに電気的に接続されたケルビン端子Kと、ゲート端子Gとを有し、ゲート端子Gの信号に基づいてドレイン端子Dおよびソース端子Sの間の導通状態を制御するトランジスタSW2をさらに含むようにした。プリント基板には、トランジスタSW2が実装されるようにした、このプリント基板は、電極ED1と、電極ED1に接続された電極ES2と、電極EK2とを有するようにした。第3のはんだ接合部は、トランジスタSW1のドレイン端子Dを、プリント基板の電極ED1に接合するようにした。第4のはんだ接合部は、トランジスタSW2のソース端子Sを、プリント基板の電極ES2に接合するようにした。第5のはんだ接合部は、トランジスタSW2のケルビン端子Kを、プリント基板の電極EK2に接合するようにした。診断回路60は、さらに、トランジスタSW1,SW2を介して電極ES1と電極EK2とを結ぶ経路P2のインピーダンスを検出することにより、トランジスタSW1,SW2とプリント基板との接続状態を診断するようにした。これにより、電力変換装置2では、第2の診断動作に示したように、トランジスタSW2のケルビン端子Kを利用して、トランジスタSW1,SW2の接続不良を効果的に検出することができる。
【0116】
[効果]
以上のように本実施の形態では、ドレイン端子と、ソース端子と、ソース端子に電気的に接続されたケルビン端子と、ゲート端子とを有し、ゲート端子の信号に基づいてドレイン端子およびソース端子の間の導通状態を制御するトランジスタSW1を含むスイッチング回路と、トランジスタが実装され、電極ES1および電極EK1を有するプリント基板と、トランジスタのソース端子を、プリント基板の電極ES1に接合する第1のはんだ接合部と、トランジスタのケルビン端子を、プリント基板の電極EK1に接合する第2のはんだ接合部と、スイッチング回路の動作を制御する制御回路と、トランジスタSW1を介して電極ES1と電極EK1とを結ぶ経路P1のインピーダンスを検出することにより、トランジスタSW1とプリント基板との接続状態を診断する診断回路とを設けるようにしたので、トランジスタSW1の接続不良を検出することができる。
【0117】
本実施の形態では、スイッチング回路は、ドレイン端子と、ソース端子と、ソース端子に電気的に接続されたケルビン端子と、ゲート端子とを有し、ゲート端子の信号に基づいてドレイン端子およびソース端子の間の導通状態を制御するトランジスタSW2をさらに含むようにした。プリント基板には、トランジスタSW2が実装されるようにした、このプリント基板は、電極ED1と、電極ED1に接続された電極ES2と、電極EK2とを有するようにした。第3のはんだ接合部は、トランジスタSW1のドレイン端子を、プリント基板の電極ED1に接合するようにした。第4のはんだ接合部は、トランジスタSW2のソース端子を、プリント基板の電極ES2に接合するようにした。第5のはんだ接合部は、トランジスタSW2のケルビン端子を、プリント基板の電極EK2に接合するようにした。診断回路は、さらに、トランジスタSW1,SW2を介して電極ES1と電極EK2とを結ぶ経路P2のインピーダンスを検出することにより、トランジスタSW1,SW2とプリント基板との接続状態を診断するようにした。これにより、トランジスタSW1,SW2の接続不良を効果的に検出することができる。
【0118】
その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0119】
[変形例2-1]
上記実施の形態では、第1の診断動作および第2の診断動作の両方を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、第1の診断動作のみを行うようにしてもよいし、第2の診断動作のみを行うようにしてもよい。第1の診断動作のみを行う場合には、例えば、診断回路60からスイッチ61,64を省き、電源電圧SGNDを増幅回路31の正入力端子に供給し、電源電圧VCCをトランジスタ33のドレインに供給することができる。第2の診断動作のみを行う場合には、例えば、診断回路60からスイッチ61,64を省き、電源電圧SGNDHを増幅回路31の正入力端子に供給し、電源電圧Vbootをトランジスタ33のドレインに供給することができる。
【0120】
[変形例2-2]
上記実施の形態では、本技術を、トランスを有する絶縁型の電力変換装置に適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、トランスを有しない非絶縁型の電力変換装置に適用してもよい。
【0121】
[変形例2-3]
上記実施の形態に係る電力変換装置2に、上記第1の実施の形態の変形例1-1,1-2を適用してもよい。
【0122】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0123】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0124】
例えば、上記実施の形態等では、経路P1や経路P2に電流を流し、その経路の両端間の電圧差に基づいて接続状態を診断するようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、経路P1や経路P2の両端間に電圧を印加し、その経路に流れる電流に基づいて接続状態を診断してもよい。
【0125】
例えば、上記実施の形態等では、本技術を、例えば図1,7に示した回路構成を有する電力変換装置に適用したが、これに限定されるものではなく、本技術を適用可能な様々な回路構成を有する電力変換装置に適用することができる。
【0126】
例えば、上記実施の形態では、本技術を、直流電力を直流電力に変換するDC/DC変換回路に適用したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、本技術をAC/DC変換回路に適用してもよいし、DC/AC変換回路に適用してもよいし、AC/AC変換回路に適用してもよい。
【符号の説明】
【0127】
1,1B,2…電力変換装置、11…インダクタ、12,41…スイッチング回路、13…ダイオード、14…キャパシタ、15…電圧センサ、16…補助電源回路、20,20B,50…制御回路、21,51…電力変換制御部、22,54,55…駆動部、23,23B,53…診断制御部、30,30A,30B,60…診断回路、31…増幅回路、32…比較回路、33…トランジスタ、34B…比較回路、42…インダクタ、43…キャパシタ、44~47…ダイオード、61,64…スイッチ、91,92…巻線、100…パッケージ、101…端子、110…プリント基板、111…電極、CTL,TEST…制御信号、D…ドレイン端子、DET,DETB…検出信号、ED,EG,EK,ES,ED1,EG1,EK1,ES1,ED2,EG2,EK2,ES2…電極、G…ゲート端子、G1,G2…ゲート信号、K…ケルビン端子、PDC…直流電源、PGND,SGND,Vboot,VCC…電源電圧、RDB,RGB,RKB,RSB,RDB1,RGB1,RKB1,RSB1,RDB2,RGB2,RKB2,RSB2…抵抗成分、RDS,RGS,RKS,RSS,RDS1,RGS1,RKS1,RSS1,RDS2,RGS2,RKS2,RSS2…抵抗成分、RP1~RP4,RS1~RS4…抵抗素子、S…ソース端子、SEL1,SEL2…制御信号、SW1,SW2…トランジスタ、LD…負荷、TR…トランス、T11,T12,T21,T22…電力端子。
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