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  • 特開-棚板展開補助機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174382
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】棚板展開補助機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B65G1/14 Z
B65G1/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087209
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 隆彦
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA09
3F022BB01
3F022DD01
3F022EE01
3F022FF23
3F022MM01
3F022MM52
(57)【要約】
【課題】自動で棚板を展開する際の失敗を防止することができる棚板展開補助機構を提供すること。
【解決手段】ヒンジ17と奥側棚板18と手前側棚板19とを有し2つ折りにされた折り畳み式の棚板10と、奥側棚板18の奥端部20を係り止めする奥側ラッチ12と、が設けられたロールインナー7の棚板10の展開に用いられる棚板展開補助機構であって、保持部2と、駆動部3と、制御部4とを備え、制御部4は、駆動部3の駆動を制御し保持部2により奥端部20を保持させ奥側方向に引っぱらせ、奥側棚板18を手前側に傾斜させる棚板展開補助機構。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジと前記ヒンジよりも奥側の奥側棚板と前記ヒンジよりも手前側の手前側棚板とを有し前記ヒンジを中心に2つ折りにされた折り畳み式の棚板と、前記奥側棚板の奥端部を係り止めするラッチ部とが設けられた移動式ラックの棚板の展開に用いられる、棚板展開補助機構であって、
前記奥端部を保持する保持部と、
前記保持部を駆動する駆動部と、
前記駆動部の駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記駆動部の駆動を制御し、前記保持部により前記奥端部を保持させるとともに奥側方向に引っぱらせ、前記奥側棚板を手前側に傾斜させる、棚板展開補助機構。







【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵パック用の移動式ラックにおける棚板の展開を補助する、棚板展開補助機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPセンターにて卵がパック詰めされた卵パックは、ロールインナーと呼ばれる専用の移動式のラックに載せられる。ロールインナーは複数の棚板を備え、不使用時は折り畳みが可能であり、使用時には展開されて各棚板に卵パックが積み重ねられる。
【0003】
従来、ロールインナーの使用時に当該ラックを展開する作業は人手により行われている。ロールインナーは、その大きさなどから展開に伴う労力は少なくない。そこで近年は、ロールインナーを、機械を用いて自動で展開することが試みられている。
【0004】
ロールインナーの展開を自動で行う装置の一例として、特許文献1に記載の装置が知られている。特許文献1に記載のロールインナー展開装置は、ロールインナーが有する折り畳み式の棚板を展開する装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-147241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、先行文献1記載の棚板を展開する装置では、以下の理由から、折り畳み式の棚板を自動で展開することに失敗することが多かった。
【0007】
棚板が折り畳まれている際は、ロールインナーのフレームに設けられたラッチに棚板の奥端部が係り止めされている。そのため、折り畳み式の棚板を展開する際には、棚板の奥端部をラッチから外す必要がある。
【0008】
ところが、ロールインナーは使用の態様によって、折り畳み式の棚板やロールインナー全体に歪みや曲がりが生じやすい。折り畳み式の棚板やロールインナー全体に歪みや曲がりが生じると、棚板の奥端部とラッチとが互いに固定されてしまい、その結果棚板の奥端部をラッチから外すことができず、棚板を自動で展開することに失敗することがあった。
【0009】
そこで本発明は、互いに固定されてしまった棚板の奥端部をラッチから外し、ひいては自動で棚板を展開する際の失敗を防止することができる棚板展開補助機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る棚板展開補助機構は、ヒンジと前記ヒンジよりも奥側の奥側棚板と前記ヒンジよりも手前側の手前側棚板とを有し前記ヒンジを中心に2つ折りにされた折り畳み式の棚板と、前記奥側棚板の奥端部を係り止めするラッチ部とが設けられた移動式ラックの棚板の展開に用いられる、棚板展開補助機構であって、前記奥端部を保持する保持部と、前記保持部を駆動する駆動部と、前記駆動部の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記駆動部の駆動を制御し、前記保持部により前記奥端部を保持させるとともに奥側方向に引っぱらせ、前記奥側棚板を手前側に傾斜させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、棚板のフレームとラッチとが互いに固定されてしまっても、自動で棚板を展開することの失敗を抑制できる。
【0012】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る棚板展開補助機構の使用状態を示す概略側面図である。
図2】同実施形態に係る棚板展開補助機構を示す概略側面図である。
図3】同実施形態に係る棚板展開補助機構が解決する課題を説明するための概略側面図である。
図4】同実施形態に係る棚板展開補助機構の動作を示す概略側面図である。
図5】同実施形態に係る棚板展開補助機構の動作を示す概略側面図である。
図6】同実施形態に係る棚板展開補助機構の動作を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る棚板展開補助機構1の使用状態を示す概略側面図である。本実施形態に係る棚板展開補助機構1は、保持部2と、駆動部3と、制御部4とを備える。
【0015】
図1および図2に示すように、棚板展開補助機構1は、収納枠5に収納されており、収納枠5は棚板展開補助機構1全体を支持する支持柱6に設置されている。
【0016】
また、棚板展開補助機構1が展開するロールインナー7は、後部フレーム8と、一対の側部フレーム9と、複数枚の棚板10とを備える。
【0017】
後部フレーム8は、複数の縦材が横材で連結されたものである。後部フレーム8は、棚板10の折り畳み時に棚板10の奥側軸11を引っ掛けておく奥側ラッチ12と、棚板10の手前側軸13を引っ掛けておく手前側ラッチ14とを備える。なお、本明細書で「奥側」、「手前側」とは、ロールインナー7が店頭で陳列された際に、卵パックPの購入者が卵パックPに近づきやすい側を手前としている。
【0018】
側部フレーム9は、後部フレーム8に回動可能に連結されたもので、後部フレーム8の左右に設けられる。側部フレーム9は、内側に棚板受け15と、展開時用ラッチ16とを備える。展開時用ラッチ16は、棚板受け15の前端に設けられるもので、この展開時用ラッチ16に手前側軸13を引っ掛けることにより、棚板10が平らに展開された状態が保持される。
【0019】
各棚板10は、折り畳み式のもので、前後二枚の板からなる。前後二枚の板は、ロールインナー7の左右方向に伸びる軸を有するヒンジ17を介して組み付けられており、二枚の板の相対的な移動により、山形に折り畳まれる。棚板10は、折り畳み状態から展開されたあと、卵パックPを棚板10上に載置して使用される。
【0020】
棚板10は、ヒンジ17と、ヒンジ17よりも奥側の奥側棚板18と、手前側の手前側棚板19とを有する。奥側棚板18は、奥側棚板18の奥端部20で奥側ラッチ12と展開時用ラッチ16とに選択的に係り止められる奥側軸11を備える。手前側棚板19は、手前側棚板19の先端部に展開時用ラッチ16と手前側ラッチ14に選択的に係り止められる手前側軸13を備える。
【0021】
また、各棚板10は、収納状態では、ヒンジ17を中心に2つ折りされており、奥側に寄せられている。収納状態では、奥側軸11と手前側軸13とはそれぞれ奥側ラッチ12と手前側ラッチ14とに係り止めされている。一方、棚板10は、使用状態では、卵パックPが載置可能な平らな状態である。折り畳み状態では、奥側軸11は奥側ラッチ12に、手前側軸13は手前側ラッチ14にそれぞれ係り止められている。使用状態では、手前側軸13は展開時用ラッチ16に係り止められている。
【0022】
各棚板10には、前端部21に棚板10の一層目の卵パックPの前方への落下を防止する前枠22が設けられ、奥端部20に棚板10の一層目の卵パックPの後方への落下を防止する後枠23とが設けられている。前枠22と後枠23とは、それぞれ手前側軸13と奥側軸11と一体形成或いは溶接固定されている。
【0023】
保持部2は、棚板10の奥端部20を保持する。保持部2は、長方形の板部24の一面に2つのフック25を有する。2つのフック25は、板部24の長辺の一方側端部近傍に短辺と平行に設けられており、それぞれ奥側棚板18の後枠23を上からフックするに適した鉤状に形成されている。
【0024】
板部24のフック25から遠い側の短辺近傍には短辺と平行に駆動軸26が設けられており、駆動軸26が駆動部3と連結されている。また、駆動軸26の近傍には駆動軸26と平行に回転軸27が設けられており、板部24は、回転軸27を介して収納枠5と回動可能に接続されている。
【0025】
板部24が回転軸27を軸にして回転すると一方端が棚板10の奥端部20に設けられた後枠23に乗っかる。フック25の鉤状部が棚板10の後枠23に対して、棚板展開補助機構1と反対側に位置した後、フック25全体を棚板展開補助機構1側に引っぱる。フック25の鉤状部が奥端部20の後枠23に掛かることにより、保持部2が奥端部20を保持する。
【0026】
なおフック25の鉤状部は棚板10の後枠23に対して下から近接して後枠23をフックするものであってもよい(図示せず)。
【0027】
また保持部2には、固く固定された奥側軸11を奥側ラッチ12から外すことができる十分な吸着力を持った吸着手段(図示せず)を用いてもよい。
【0028】
十分な力を持った吸着手段により奥側棚板18の奥端部20を吸着し引っぱることにより、固く固定された奥側軸11を奥側ラッチ12から外すことができる。
【0029】
駆動部3は保持部2を駆動する。駆動部3は、回転用シリンダ28と引張用シリンダ29とを有する。回転用シリンダ28と引張用シリンダ29とにはエアシリンダが用いられている。駆動部3は、回転軸27と駆動軸26を用いたクランク機構によって保持部2を回転駆動する。
【0030】
回転用シリンダ28は、回転用ロッド30と回転用シリンダチューブ31とを有し、回転用シリンダチューブ31は収納枠5に接続され、回転用ロッド30は保持部2の駆動軸26に接続されている。
【0031】
引張用シリンダ29は、引張用ロッド32と引張用シリンダチューブ33とを有し、引張用シリンダチューブ33は支持柱6に固定され、引張用ロッド32は収納枠5に接続されている。引張用シリンダチューブ33には、堅く固定された奥側軸11を奥側ラッチ12から外す際に引張用ロッド32に掛かる横加重に対する耐性を向上させるため、ガイド付きシリンダチューブが用いられている。
【0032】
エアシリンダは直径に比例して強くなるところ、回転用シリンダ28と引張用シリンダ29とには、堅く固定された奥側軸11を奥側ラッチ12から外すために十分な力が出せるよう、直径の太いシリンダチューブが用いられている。
【0033】
制御部4は駆動部3の駆動を制御する。制御部4は、ロールインナー7を展開する装置が棚板10を展開する際に、保持部2の鉤状部を棚板10の後枠23にフックして、保持部2を棚板展開補助機構1側に直線移動させるように、回転用シリンダ28と引張用シリンダ29との動作を制御する。
【0034】
棚板展開補助機構1による棚板10の展開補助動作は以下の通りである。駆動部3の駆動により保持部2を前に出す。保持部2を回転させてフック25を下げる。保持部2を引いて後枠23をフックすることによって、保持部2に奥端部20を保持させる。保持部2を強く引いて奥側軸11を奥側ラッチ12から外す。後枠23が後部フレーム8の縦材に押し当てられるまで保持部2をそのまま引っぱる。保持部2を前に出しフック25の後枠23に対するフックを外す。保持部2を回転させてフック25を上げる。保持部2を引いて戻す。
【0035】
収納枠5はロールインナー7が設置された地面に対して斜めになるように支持柱6に固定されている。奥側ラッチ12の形状に合わせたものである。そのため、保持部2は引張用シリンダ29によって奥側ラッチ12の形状に合わせた方向に引っぱられる。
【0036】
棚板展開補助機構1は、支持柱6において昇降機構(図示しない)により上下方向に移動され、ロールインナー7の上下方向に複数設けられている棚板10のそれぞれの展開動作を順番に補助する。なお棚板展開補助機構1が棚板10の展開動作を補助する際はロールインナー7は動かないように固定されている。
【0037】
以上の構成を有する棚板展開補助機構1であれば、以下の作用効果を奏する。
【0038】
ロールインナー7では、使用状態によって或いは不使用時におけるラッシングベルトでの締め付けなどによって奥側軸11や後部フレーム8、側部フレーム9などに歪みや曲がりが生じやすい。この場合、奥側ラッチ12と奥側軸11との間に強い摩擦力が生じ、奥側軸11を奥側ラッチ12から外すことができず、棚板10を展開することができなくなる。
【0039】
奥側軸11を奥側ラッチ12から外さないと、以下に説明するように手前側軸13を手前側ラッチ14から外すことができないためである。
【0040】
図3に示すように、奥側軸11を奥側ラッチ12から外せない場合、棚板10を奥側方向に無理に傾斜させようとしても、後枠23が黒丸で示した後枠衝突箇所34で後部フレーム8と衝突する。
【0041】
そのため、奥側軸11を奥側ラッチ12から外せない状態では、細かい二点鎖線で表すように奥側棚板18を傾斜させることができない。奥側棚板18を傾斜させることができない状態では、手前側軸13を手前側ラッチ14から外そうとしても、手前側軸13が黒丸で示した手前側軸衝突箇所35で手前側ラッチ14と衝突し、手前側軸13を手前側ラッチ14から外すことができない。
【0042】
以上の理由から、奥側軸11を奥側ラッチ12から外すことができない場合は、棚板10を展開することができない。このために、特許文献1記載の装置のような従来装置では、棚板10の自動での展開に失敗することがあった。
【0043】
そこで図4に示すように、本願発明に係る棚板展開補助機構1は、奥側棚板18の奥端部20を、奥側ラッチ12に固定された状態の奥側軸11を外すに十分な強い力で引っぱることにより、奥側ラッチ12に固定された奥側軸11を外す。
【0044】
この場合、図5に示すように、奥側棚板18をロールインナー7の手前側方向に傾斜させることができる。そうすると奥側棚板18を奥側軸11を中心に回転させることができるため、手前側軸13とヒンジ17との位置の移動と併せて手前側軸13を手前側ラッチ14から容易に外すことができる状態となる。
【0045】
その結果、図6に示すように、手前側軸13を手前側ラッチ14から外すことができるため、棚板10を自動で展開する際の失敗を防止できる。
【0046】
今回提示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、卵パック用の移動式ラックを展開する装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 棚板展開補助機構
2 保持部
3 駆動部
4 制御部
5 収納枠
6 支持柱
7 ロールインナー
8 後部フレーム
9 側部フレーム
10 棚板
11 奥側軸
12 奥側ラッチ
13 手前側軸
14 手前側ラッチ
15 棚板受け
16 展開時用ラッチ
17 ヒンジ
18 奥側棚板
19 手前側棚板
20 奥端部
21 前端部
22 前枠
23 後枠
24 板部
25 フック
26 駆動軸
27 回転軸
28 回転用シリンダ
29 引張用シリンダ
30 回転用ロッド
31 回転用シリンダチューブ
32 引張用ロッド
33 引張用シリンダチューブ
34 後枠衝突箇所
35 手前側軸衝突箇所
P 卵パック



図1
図2
図3
図4
図5
図6