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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174412
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
E04H6/18 601G
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087274
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
(57)【要約】
【課題】乗降室の2台のトレーに対して1台のトレーが搭載される昇降機を対応させて、トレーの乗降室とリフトとの間の移動を安定して行うことができる機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【解決手段】トレー8が上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室2と、乗降室2に隣接し、トレー8が1台搭載されて昇降する昇降機42が配置される昇降室4と、を有する入出庫部1、11と、を備え、昇降機42は、乗降室2に配置される上方に位置するトレー8の搬送高さと、乗降室2に配置される下方に位置するトレー8の搬送高さと、に対応して停止位置の変更が許容され、昇降室4は、上側に位置するトレー8の乗降室2と昇降機42との間の搬送に対応して、上側に位置するトレー8の端部を支持する補助支持部材33を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載置するトレーと、
前記トレーが上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室と、前記乗降室に隣接し、前記トレーが1台搭載されて昇降する昇降機が配置される昇降室と、前記トレーと前記昇降室との間で昇降手段によって昇降可能に配置される昇降台と、を有する入出庫部と、を備え、
前記昇降機は、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの上方に位置する前記トレーの搬送高さと、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの下方に位置する前記トレーの搬送高さと、に対応して停止位置の変更が許容され、前記それぞれの搬送高さで前記上側に位置する前記トレー又は前記下方に位置する前記トレーを個別に前記乗降室と前記昇降機との間で搬送が許容され、
前記昇降室は、前記上側に位置する前記トレーの前記乗降室と前記昇降機との間の搬送に対応して、前記上側に位置する前記トレーの端部を支持する補助支持部材を有する、
機械式駐車装置。
【請求項2】
前記昇降室は、前記トレーを搭載するリフトと、前記リフトを昇降可能に案内するリフト柱と、を含んで構成され、前記補助支持部材は、前記リフト柱に支持される、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの搬送方向に対して交差する方向に対向して一対配置される、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する、請求項3に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される、請求項3に記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される、請求項4に記載の機械式駐車装置。
【請求項9】
前記昇降機は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの前記乗降室と前記昇降機との間の搬送に対応して、前記上側に位置する前記トレーの端部又は前記下側に位置する前記トレーの端部を支持する昇降機側補助支持部材を有する、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項10】
前記昇降機は、前記トレーを搭載する枠体と、前記枠体の端部に設けられる昇降杆と、を含んで構成され、前記昇降機側補助支持部材は前記昇降杆に設けられる、請求項9に記載の機械式駐車装置。
【請求項11】
前記昇降機側補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの搬送方向に対して交差する方向に対向して一対配置される、請求項9又は10に記載の機械式駐車装置。
【請求項12】
前記昇降機側補助支持部材は、前記昇降機における前記補助支持部材に隣接する側に設けられる、請求項9又は10に記載の機械式駐車装置。
【請求項13】
前記昇降機側補助支持部材は、前記昇降機における前記補助支持部材に隣接する側に設けられる、請求項11に記載の機械式駐車装置。
【請求項14】
前記昇降機側補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する、請求項9又は10に記載の機械式駐車装置。
【請求項15】
前記昇降機側補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する、請求項11に記載の機械式駐車装置。
【請求項16】
前記昇降機側補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する、請求項12に記載の機械式駐車装置。
【請求項17】
前記昇降機側補助支持部材は、前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される、請求項9又は10に記載の機械式駐車装置。
【請求項18】
前記昇降機側補助支持部材は、前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される、請求項11に記載の機械式駐車装置。
【請求項19】
前記昇降機側補助支持部材は、前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される、請求項12に記載の機械式駐車装置。
【請求項20】
前記昇降機側補助支持部材は、前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される、請求項14に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車が入出庫し、自動車を載せたパレットを横送りするパレット受渡し設備を設置した乗降室と、自動車を格納する格納層と、前記乗降室と各格納層との間で自動車を載せたパレットを搬送する搬送装置を設けた搬送室を備え、前記乗降室と前記搬送室は隣接して配置されており、前記パレット受渡し設備は、搭載したパレットを横送りする横送り機構と旋回させるターンテーブルを有し、該ターンテーブルの旋回位置は、パレットの旋回軌跡の一部が乗降室から搬送室側にはみ出す位置であり、自動車を入出庫させる際のパレットの入出庫位置は、前記旋回位置を境にして反搬送室側に位置することを特徴とする機械式駐車場の乗降室構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-303444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明は、自動車を載せたパレットを横送りするパレット受渡し設備を設置した乗降室と、乗降室と各格納層との間で自動車を載せたパレットを搬送する搬送装置を設けた搬送室とを備えているものの、エレベータは上下二段にパレットを搭載する形式を採用しており、乗降室と搬送室との間でのパレットの受け渡し動作が複雑化する。また、乗降室とエレベータとの間のパレットの受け渡しは乗降室に設置されたパレット受渡し設備の駆動ローラとエレベータに設置された駆動ローラとの間で直接受け渡しすることから、パレットの受け渡しが不安定になる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、乗降室の2台のトレーに対して1台のトレーが搭載される昇降機を対応させて、トレーの乗降室とリフトとの間の移動を安定して行うことができる機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る機械式駐車装置は、車両を載置するトレーと、前記トレーが上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室と、前記乗降室に隣接し、前記トレーが1台搭載されて昇降する昇降機が配置される昇降室と、前記トレーと前記昇降室との間で昇降手段によって昇降可能に配置される昇降台と、を有する入出庫部と、を備え、前記昇降機は、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの上方に位置する前記トレーの搬送高さと、前記乗降室に配置される前記トレーのうちの下方に位置する前記トレーの搬送高さと、に対応して停止位置の変更が許容され、前記それぞれの搬送高さで前記上側に位置する前記トレー又は前記下方に位置する前記トレーを個別に前記乗降室と前記昇降機との間で搬送が許容され、前記昇降室は、前記上側に位置する前記トレーの前記乗降室と前記昇降機との間の搬送に対応して、前記上側に位置する前記トレーの端部を支持する補助支持部材を有する。
【0007】
第2態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降室は、前記トレーを搭載するリフトと、前記リフトを昇降可能に案内するリフト柱と、を含んで構成され、前記補助支持部材は、前記リフト柱に支持される。
【0008】
第3態様に係る機械式駐車装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置において、前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの搬送方向に対して交差する方向に対向して一対配置される。
【0009】
第4態様に係る機械式駐車装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置において、前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する。
【0010】
第5態様に係る機械式駐車装置は、第3態様に係る機械式駐車装置において、前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する。
【0011】
第6態様に係る機械式駐車装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置において、前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される。
【0012】
第7態様に係る機械式駐車装置は、第3態様に係る機械式駐車装置において、前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される。
【0013】
第8態様に係る機械式駐車装置は、第4態様に係る機械式駐車装置において、前記補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される。
【0014】
第9態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの前記乗降室と前記昇降機との間の搬送に対応して、前記上側に位置する前記トレーの端部又は前記下側に位置する前記トレーの端部を支持する昇降機側補助支持部材を有する。
【0015】
第10態様に係る機械式駐車装置は、第9態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機は、前記トレーを搭載する枠体と、前記枠体の端部に設けられる昇降杆と、を含んで構成され、前記昇降機側補助支持部材は前記昇降杆に設けられる。
【0016】
第11態様に係る機械式駐車装置は、第9態様又は第10態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機側補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの搬送方向に対して交差する方向に対向して一対配置される。
【0017】
第12態様に係る機械式駐車装置は、第9態様又は第10態様に係る機械式駐車装置において、 前記昇降機側補助支持部材は、前記昇降機における前記補助支持部材に隣接する側に設けられる。
【0018】
第13態様に係る機械式駐車装置は、第11態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機側補助支持部材は、前記昇降機における前記補助支持部材に隣接する側に設けられる。
【0019】
第14態様に係る機械式駐車装置は、第9態様又は第10態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機側補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する。
【0020】
第15態様に係る機械式駐車装置は、第11態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機側補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する。
【0021】
第16態様に係る機械式駐車装置は、第12態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機側補助支持部材は、前記上側に位置する前記トレー又は前記下側に位置する前記トレーの両端部を下方から支持する。
【0022】
第17態様に係る機械式駐車装置は、第9態様又は第10態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機側補助支持部材は、前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される。
【0023】
第18態様に係る機械式駐車装置は、第11態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機側補助支持部材は、前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される。
【0024】
第19態様に係る機械式駐車装置は、第12態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機側補助支持部材は、前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される。
【0025】
第20態様に係る機械式駐車装置は、第14態様に係る機械式駐車装置において、前記昇降機側補助支持部材は、前記トレーの搬送方向に回転するローラを含んで構成される。
【発明の効果】
【0026】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、乗降室の支持部材と昇降機のレールとの間の距離が大きいものに比べて、搬送時のトレーの移動が確実に支持され、トレーの昇降機における乗降時の振動及び騒音が抑制される。また、昇降機を構成する各部材に対するトレーの乗降時の衝撃が緩和され、昇降機において、各部材の変形又は経年劣化及び駆動装置における各部の緩み等が抑制される。
【0027】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、補助支持部材が建物側に設けられているものに比べて、補助支持部材が簡単な構造で設置でき、建物側への振動の伝播が抑制される。
【0028】
第3態様に係る機械式駐車装置によれば、補助支持部材がトレーの一方側に対してのみ設けられているものに比べて、トレーの搬送が安定化される。
【0029】
第4態様及び第5態様に係る機械式駐車装置によれば、補助支持部材がトレーの両端部に対して上方から支持するものに比べて、構造が簡素化され、トレー搬送時の重量が安定して支持される。
【0030】
第6態様から第8態様に係る機械式駐車装置によれば、滑動部材又は摺動部材を用いるものに比べて、トレーの端部が円滑に支持されて搬送が安定化される。
【0031】
第9態様に係る機械式駐車装置によれば、補助支持部材のみが設けられているものに比べて、トレーの乗降室と昇降機との間の搬送において、トレーが円滑に支持されて搬送が安定化される。
【0032】
第10態様に係る機械式駐車装置によれば、昇降機に特別な部材を設けて昇降機側補助部材を配置するものに比べて、昇降機側補助部材が昇降機を構成する基本部材に設けることができ、構造が簡素でコストアップが抑制される。
【0033】
第11態様に係る機械式駐車装置によれば、昇降機側補助支持部材がトレーの一方側に対してのみ設けられているものに比べて、トレーの搬送が安定化される。
【0034】
第12態様又は第13態様に係る機械式駐車装置によれば、昇降機側補助部材が昇降機の乗降室から離れた側に設けられるものに比べて、昇降機の停止位置がトレーの搬送レベルに誤差が生じてもトレーの乗降室と昇降機との間の搬送が円滑に安定化され、トレーの昇降機における乗降時の振動及び騒音が抑制される。
【0035】
第14態様から第16態様に係る機械式駐車装置によれば、昇降機側補助支持部材がトレーの両端部に対して上方から支持するものに比べて、構造が簡素化され、トレー搬送時の重量が安定して支持される。
【0036】
第17態様から第20態様に係る機械式駐車装置によれば、昇降機側補助支持部材に滑動部材又は摺動部材を用いるものに比べて、トレーの端部が円滑に支持されて搬送が安定化される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】第一実施形態における入庫室の概要を示す平面図である。
図2】第一実施形態における機械式駐車装置の概要を示す断面図である。
図3図1におけるA-A断面図である。
図4図1におけるB-B断面図である。
図5図1における乗降室及び昇降室の概要を示し、支持ローラがトレー又は可動デッキを支持する支持位置にある状態を示す平面図である。
図6図5における乗降室及び昇降室の概要を示し、支持ローラがトレー又は可動デッキを支持しない退避位置にある状態を示す平面図である。
図7図1におけるC-C断面図であり、可動デッキの昇降動作を示す断面図である。
図8図1におけるA-A断面図であり、補助ローラが昇降室内での配置を示す配置図である。
図9】第一実施形態における補助ローラを示す正面図である。
図10】第一実施形態における補助ローラを示す側面図である。
図11】第一実施形態における補助ローラを示す平面図である。
図12】第一実施形態における補助ローラがトレーを支持する状態を示す側面図である。
図13】第一実施形態における補助ローラがトレーを支持しながらトレーの横送りローラがリフトのレールに乗り移る直前の状態を示す正面図である。
図14】第一実施形態における補助ローラがトレーを支持しながらトレーの横送りローラがリフトのレールに乗り移る時点の状態を示す正面図である。
図15】第一実施形態における補助ローラがトレーを支持しながらトレーの横送りローラがリフトのレールに乗り移った状態を示す正面図である。
図16】第二実施形態における乗降室及び昇降室の概要を示し、リフト側支持ローラと補助ローラとが近接して配置されている状態を示す平面図である。
図17】第二実施形態におけるリフト側補助ローラと補助ローラとが近接して配置されている状態を示す正面図である。
図18】第二実施形態におけるリフト側補助ローラがトレーを支持する状態を示す側面図である。
図19】第二実施形態における補助ローラとリフト側補助ローラとの位置関係を示す正面図である。
図20】第二実施形態におけるリフト側補助ローラがトレーを支持する状態を示す正面図である。
図21】第二実施形態におけるリフト側補助ローラがトレーを支持しながらトレーの横送りローラがリフトのレールに乗り移った状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<第一実施形態>
本実施形態に係る機械式駐車装置の一例について、図1から図16を用いて説明する。
なお、図中に示す矢印Wは装置幅方向を示し、矢印Dは装置奥行方向を示し、矢印Hは装置高さ方向を示す。また、装置幅方向Wの方向を「水平方向」又は「トレーの短手方向」と、また、装置高さ方向Hの上側の部分を「上方」又は「上部」と、また、装置高さ方向Hの下側の部分を「下方」又は「下部」と、また、装置奥行方向Dは「トレーの長手方向」と、また、装置高さ方向Hの側から見ることを「平面視」と、それぞれ言い換えることがある。
【0039】
[機械式駐車装置の全体構成]
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る機械式駐車装置は、車両Mを載置するトレー8と、トレー8が上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室2と、乗降室2に隣接し、トレー8が1台搭載されて昇降するリフト42が配置される昇降室4と、トレー8と昇降室4との間に昇降可能に設けられる可動デッキ10と、を有する入出庫部1と、を備え、リフト42は、乗降室2における入手庫作業中に、乗降室2に配置されるトレー8のうちの上方に位置するトレー8の搬送高さL1と、乗降室2に配置されるトレー8のうちの下方に位置するトレー8の搬送高さL2と、に対応して停止位置の変更が許容され、それぞれの搬送高さで上側に位置するトレー8又は下方に位置するトレー8を個別に乗降室2とリフト42との間で搬送が許容される。一例として、リフト42が下方に位置するトレー8の搬送高さに位置するとき、下方に位置するトレー8は、上方に位置するトレー8において車両Mが入出庫作業中であっても、乗降室2とリフト42との間で搬送が許容される。また、上方に位置するトレー8が存在しない場合も、下方に位置するトレー8は乗降室2とリフト42との間で搬送が許容される。ここで、リフト42は昇降機の一例であり、可動デッキ10は昇降台の一例である。
【0040】
具体的には、本実施形態に係る機械式駐車装置は、図2に示すように、建物内に、装置高さ方向Hの上方で装置奥行方向Dに間隔を隔てて配置される2か所の入出庫部と、入出庫部の装置高さ方向Hの下方に形成される車両の格納部6と、を有し、入出庫部のひとつは入庫部1とされ、入庫部1と装置奥行方向Dに間隔を隔てて配置される入出庫部の他の側は出庫部11とされている。また、格納部6には、車両Mが載置される複数のトレー8が、装置高さ方向Hからみて縦横に個々独立して搬送可能に隣り合って配置された1層が装置高さ方向Hに2層に形成された格納装置60として設置されている。この格納装置60は、一例として、平面循環式駐車装置としているが、その形式はいずれの形式でもよく、例えば、平面往復式駐車装置など、他の形式の駐車装置であってもよい。なお、入庫部1と出庫部11は同一の構成を有することから、ここでは、入庫部1について説明する。本実施形態における機械式駐車装置の各部の駆動及び停止は、各部に必要となる各種センサが配置され、各種センサによる検知信号が制御装置に電気的に接続され、各部の駆動及び停止の指令信号が各部に送信されて自動で制御されるものであるが、各種センサ及び制御装置についてはその説明を省略する。
【0041】
〔トレー〕
トレー8は、図1図3及び図4に示すように、平面視、一方が他方より長い矩形であり、上面8Aと下面8Bとを有する。上面8Aは平面形状とされ、車両Mが載置される大きさを有する。下面8Bには、ローラ取付部材8Cに、リフト42及び格納装置60に設置されるレール上を搬送可能とする横送りローラ82及び縦送りローラ84が一組とされ、それぞれ、トレー8の四隅に近い部分にそれぞれ取付けられている。本実施形態では、一例として、装置幅方向Wの方向に走行可能なローラを横送りローラ82とし、装置奥行方向Dの方向に走行可能なローラを縦送りローラ84としている。また、下面8Bには、図示しない搬送レールがトレー8の装置奥行方向Dの方向(長手方向)と装置幅方向Wの方向(短手方向)とにそれぞれ設けられ、トレー8は、後述する移送ローラ52及び駆動ローラ46に支持されて長手方向又は短手方向に搬送可能となっている。以下、トレー8の上面8Aのレベルを乗込面ともいう。
【0042】
〔入庫部〕
入庫部1は、図1に示すように、装置幅方向Wに、乗降室2と昇降室4とが隣接して配置されている。具体的には、本実施形態における機械式駐車装置は、車両Mを格納部6との間で昇降搬送する部分である昇降室4と、車両Mがトレー8に載置されて利用者が車両Mに対して乗降するとともに、利用者が入退室を行う部分である乗降室2と、が分離して配置される形式のものである。
【0043】
〔乗降室〕
乗降室2は、図1から図3に示すように、平面視、中央部分にトレー8が配置され、トレー8の装置幅方向Wの後述する昇降室4の側に隣接して可動デッキ10が配置されている。また、乗降室2は、トレー8の乗込面に対向して車両Mが進入するための出入口ドア20と、乗降室2と昇降室4とを仕切る仕切ドア22と、利用者が機械式駐車装置を操作する操作盤28と、を有する。また、車両Mが進入するトレー8の上面8Aに対応する乗込面となる床と、床から装置高さ方向Hの下方に向けて深さを有するピット24とが形成されている。出入口ドア20は、本実施形態では一例として、乗降室2の階高が低い場合、又は出入口ドア20の周囲に建物の梁、空調設備、又は消火設備等の障害物がある場合も設置可能なように3枚の昇降式の扉とされているが、建物の側の障害物の程度に合わせて、2枚或いは4枚以上の昇降式の扉としてもよく、また、2枚又は3枚以上の横開き式の扉としてもよいことは勿論である。
【0044】
また、乗降室2は、図3及び図4に示すように、装置高さ方向Hに、2台のトレー8がそれぞれ間隔を隔てて配置されている。具体的には、乗降室2には、乗込面にトレー8の上面8Aが位置する上側のトレー8が、乗降室2と昇降室4との間で搬送可能に支持される支持ローラ32を有する後述する搬送手段30がトレー8の長手方向の両端部に配置されている。また、ピット24の装置高さ方向Hの上を向く面であるピット24の床面には、トレー8の下面8Bに設けられる図示しない2本の搬送レールに対応する位置に、搬送レールが支持される移送ローラ52を有する移送装置50がトレー8の搬送方向(本実施形態では装置幅方向W)に間隔を隔てて複数配置されている。
【0045】
また、図4に示すように、ピット24には、トレー8が、上側のトレー8の位置と下側のトレー8の位置との間で昇降される昇降装置26を備える。本実施形態では、一例として、昇降装置26は、トレー8が載置される支持台26と、支持台26を昇降させる図示しないパンタグラフ式昇降装置と、を含んで構成されている。
【0046】
(搬送手段)
搬送手段30は、図4から図6に示すように、乗降室2におけるトレー8のうちの上側に位置するトレー8の長手方向の両端部と、後述する可動デッキ10の長手方向の両端部とを支持するとともに、トレー8を乗降室2とリフト42との間で水平移動させる装置である。また、搬送手段30は、トレー8と可動デッキ10とを支持する支持位置と、トレー8と可動デッキ10とを支持しない退避位置との間で水平方向に旋回する複数の支持ローラ32と、複数の支持ローラ32のそれぞれに連結され、各支持ローラ32を同期して旋回させるリンク機構34と、トレー8を水平方向に搬送する搬送装置36と、を有する。ここで、リンク機構34は旋回機構の一例である。
【0047】
搬送手段30に設けられる複数の支持ローラ32は、具体的には、トレー8の長手方向の両端部における下面8Bを支持し、トレー8が乗降室2と昇降室4に配置される後述するリフト42との間で搬送される方向(装置幅方向Wの方向)に回転する支持位置と、トレー8の下面8Bから退避させて、トレー8が乗降室2の乗込面とピット24の床に設置される後述する移送装置50との間で昇降可能とされる待避位置との間で水平に旋回駆動される。本実施形態では、支持ローラ32は、装置高さ方向Hを向く図示しない回転軸に支持されて水平方向に旋回するように設けられる旋回アームに回転可能に設けられ、また、各支持ローラ32は駆動されずにトレー8の移動に伴い自由回転される形式とされている。
【0048】
支持ローラ32は、支持位置と退避位置との間で旋回させるためのリンク機構34を有する。リンク機構34は、図示しない駆動手段によって駆動され、支持ローラ32を、トレー8を支持する支持位置と、トレー8を支持しない退避位置とに切り換える。
【0049】
搬送装置36は、図5に示すように、トレー8の長手方向の両端部に接触してトレー8をトレー8の短手方向に搬送する搬送ローラ38と、搬送ローラ38を回転駆動する図示しない駆動装置と、搬送ローラ38をトレー8に対して接触する接触位置と、トレー8から離間する離間位置と、の間で進退させる図示しない進退装置と、を含んで構成されている。搬送装置36は、搬送ローラ38をトレー8に接触させて駆動することにより、トレー8が乗降室2と昇降室4との間で搬送される。また、搬送装置36は、搬送ローラ38をトレー8から離間させる離間位置に退避させることにより、トレー8が乗降室2において上方のトレー位置と下方のトレー位置との間で昇降可能とされる。
【0050】
(移送装置)
移送装置50は、図4及び図5に示すように、乗降室2のピット24の床面と、昇降室4に格納室6から立ち上がるリフト柱40の乗降室2の側に設けられた搬送フレーム40Aと、に複数設置されている。移送装置50は、乗降室2において、乗込面に配置されるトレー8の下方に間隔を隔てて重ねて配置されるトレー8を、回転して搬送可能とされる移送ローラ52によって支持する。具体的には、移送装置50は、トレー8の下面8Bにおいて長手方向に間隔を隔ててトレー8の短手方向に沿って設けられる図示しない2本の搬送レールに対応する位置に配置されている。
【0051】
移送ローラ52は、装置奥行方向Dに沿う回転軸に支持されて回転可能に固定され、トレー8を乗降室2と昇降室4のリフト42との間を搬送可能に配置されている。これにより、トレー8は、移送ローラ52に支持され、乗降室2における乗込面より下側で、乗降室2と昇降室4に配置されるリフト42との間を搬送可能とされている。移送ローラ52によるトレー8の搬送は、乗降室2において車両Mの入出庫作業中に行われることが許容される。
【0052】
(可動デッキ)
可動デッキ10は、図1、3、7に示すように、乗降室2に配置されるトレー8と昇降室4との間に配置されている。可動デッキ10は、平面視で矩形に形成され、利用者が車両Mの乗降に際して乗る上面10Aと、昇降案内部材10Dを設ける下面10Bと、装置奥行方向Dの両端部に設けられ、支持ローラ32に支持される際に支持ローラ32が装置高さ方向Hの下方から支持される支持部材10Cと、を有する。
【0053】
可動デッキ10の下方のピット24には、可動デッキ10を昇降させる昇降手段16が設けられている。昇降手段16は、ピット24の床側に軸16Aに旋回可能に支持され、図示しない駆動装置によって旋回する。昇降手段16の自由端となる側には、可動デッキ10の昇降案内部材10Dに回転可能に接触する昇降ローラ16Bが設けられている。可動デッキ10は、その上面10Aが、乗込面となるトレー8の上面8Aと同一の上方の高さと、乗込面に位置するトレー8が支持ローラ32に支持されて昇降室4との間で移動する際に該トレー8の横送りローラ82及び縦送りローラ84と干渉しない下方の高さとの間で、昇降手段16の旋回動作によって昇降可能とされている。
【0054】
可動デッキ10は、上方に位置する前記トレー8が乗降室2と昇降室4との間で移動する際に上方に位置するトレー8の移動を許容する位置に移動され、下方に位置するトレー8が乗降室2と昇降室4との間で移動する際に下方に位置するトレー8の移動を許容する位置に移動される。具体的には、可動デッキ10における上方に位置するトレー8の移動を許容する位置は、上方に位置するトレー8より下方の位置とされ、可動デッキ10における下方に位置するトレー8の移動を許容する位置は、下方に位置するトレー8より上方の位置とされる。より具体的には、可動デッキ10における上方に位置するトレー8の移動を許容する位置は、上方に位置するトレー8の搬送高さより下方の位置とされ、可動デッキ10における下方に位置するトレー8の移動を許容する位置は、下方に位置するトレー8の搬送高さより上方の位置とされる。
【0055】
また、可動デッキ10は、下降の際に、移送ローラ52を有する移送装置50よりも装置高さ方向Hの下方まで下降しない、すなわち、下方に位置するトレー8の搬送高さより上方の位置までしか下降しないため、上面10Aに移送装置50との干渉を避ける開口及び該開口を塞ぐ開閉蓋を設ける必要がなく、該上面10Aは平坦な板状体とされている。また、可動デッキ10は、図1において、平面視、一方の辺が長く他方の辺が短い長方形として説明するが、可動デッキ10は、平面視、長方形に限らず正方形や台形等、他の形状とすることができる。
【0056】
〔昇降室〕
昇降室4は、図2、3及び図5に示すように、装置幅方向Wにおいて、乗降室2の可動デッキ10の側に隣接して配置され、格納部6と連通している。昇降室4には、格納部6に設置される格納装置60から立ち上がる4本のリフト柱40と、リフト柱40に図示しないリンクチェーンに昇降可能に支持されるリフト42と、リフト柱40の乗降室2側に設けられた搬送フレーム40Aと、リフト42を昇降室4と格納部6との間で昇降可能にリンクチェーンを駆動する駆動装置49と、を有する。
【0057】
また、図5に示すように、乗降室2と昇降室4とを隔てる壁には、仕切ドア22が装置高さ方向Hに沿って開閉可能に設けられている。仕切ドア22は、本実施形態では一例として、昇降室4の階高が低い場合、又は仕切ドア22の直上に建物の梁等の障害物がある場合にも設置可能なように3枚扉とされている。仕切ドア22は、本実施形態では一例として、昇降室4の階高が低い場合、又は仕切ドア22の周囲に建物の梁、空調設備、又は消火設備等の障害物がある場合も設置可能なように3枚の昇降式の扉とされているが、建物の側の障害物の程度に合わせて、2枚或いは4枚以上の昇降式の扉としてもよく、また、2枚又は3枚以上の横開き式の扉としてもよいことは勿論である。
【0058】
(リフト)
リフト42は、図5に示すように、リフト42の装置幅方向Wの中央部に、トレー8を装置幅方向W及び装置奥行方向Dの方向に搬送する縦横搬送装置44を有する。一例として示す縦横搬送装置44は、トレー8の下面8Bに設けられ、図示しないトレー8の短手方向に沿って間隔を隔てて設けられる2本の横送りレールと、トレー8の長手方向に沿って短手方向の中央に設けられる1本の縦送りレールと、に対応するよう水平旋回されるように配置されている。この縦横搬送装置44は、2つの駆動ローラ46を水平に旋回されるようにそれぞれ支持する回転台に設けられ、2つの回転台は、リンク48に連結されて同期して水平に旋回される。ここで、リフト42は昇降機の一例である。
【0059】
[要部の構成]
ここで、本実施形態の要部の構成について図面を参照しながら説明する。
【0060】
〔補助ローラ〕
図3、5、6に示すように、昇降室4は、上側に位置するトレー8の乗降室2とリフト42との間の搬送に対応して、上側に位置するトレー8の端部を支持する補助ローラ33を有する。補助ローラ33は、可動デッキ10が下降された状態で、乗降室2に設けられた支持ローラ32と昇降室4に配置されたリフト42との間で搬送される際、上側のトレー8の長手方向の両端部を下方から支持する。ここで、補助ローラ33は補助支持部材の一例である。
【0061】
図8に示すように、補助ローラ33は、乗降室2に配置される搬送手段30に設けられた支持ローラ32と、その上面が同一のレベルとされ、リフト42のリフト柱40に支持されている。
具体的には、図9から図11に示すように、補助ローラ33は、リフト柱40の装置幅方向Wにおける乗降室2の側の面に固定されたブラケット40Bの上部に設けられた搬送フレーム40A(図5を参照)の上部に、支持台33Aを介して軸取付部材33Bが設けられ、軸取付部材33Bに固定された軸33Cに回転可能に設けられている。補助ローラ33は、装置幅方向Wの向きに沿って正逆回転する。また、補助ローラ33は、駆動源を有さず、トレー8の搬送に伴って従動回転する。
【0062】
[要部の作用]
ここで、要部の作用について、図12から図15を参照しながら説明する。
【0063】
図12に示すように、補助ローラ33は、トレー8の両端部(ここでは一端部のみ図示)に設けられた端部部材8Dの下面8Eを支持してトレー8の装置幅方向Wに沿う搬送を補助する。この時点では、トレー8の下面8Bに設けられた横送りローラ82はリフト42に支持されていない。
【0064】
この状態を正面から見た図が図13である。図13に示すように、トレー8は、支持ローラ32の一部と補助ローラ33とに支持されてリフト42に向けて搬送されている。トレー8の下面8Bに設けられた横送りローラ82は、リフト42に設けられたレール42Aの手前に位置している。このとき、リフト42は、トレー8を搭載していない状態でトレー8の搬送高さに対して寸法Y程度に若干上方に位置して停止している。これは、トレー8又は車両Mを載置したトレー8がリフト42から乗降室2に搬送されると、リフト42は、トレー8又は車両Mを載置したトレー8の重量から解放されるため、トレー8の搬送高さから若干上方に移動されることによる。この搬送高さのレベル差に対応するため、リフト42に設けられたレール42Aの端部は、装置幅方向Wにおける乗降室2の側に向かって下方に傾斜するテーパ部42Bが形成されている。
【0065】
図14に示すように、トレー8はリフト42に向けてさらに搬送され、トレー8の下面8Bに設けられた横送りローラ82がリフト42のレール42Aのテーパ部42B乗り込む。このとき、リフト42は、トレー8又は車両Mを載置したトレー8の重量を支持し始めるため僅かに下降するが、補助ローラ33はトレー8を支持した状態である。
【0066】
図15はトレー8がさらにリフト42に向けて搬送されている図である。図15に示すように、トレー8の下面8Bに設けられた横送りローラ82がリフト42のレール42A上を走行し始めると、トレー8の端部部材8Dの下面8Eは補助ローラ33の上部から若干離れ、トレー8は、トレー8の下面8Bに設けられた横送りローラ82がリフト42のレールに支持され、トレー8のリフト42から離れた側は、トレー8の端部部材8Dの下面8Eが乗降室2の側の一部の支持ローラ32に支持されて搬送される。トレー8の搬送がさらに進むと、トレー8は、横送りローラ82と補助ローラ33とに支持されてリフト42上に搬送される。そして、トレー8がリフト42上に搭載されると、トレー8の端部部材8Dは補助ローラ33の支持から解放される。なお、リフト42からトレー8が乗降室2の側に搬送される際も、搬送方向は逆であるが同様に円滑な搬送が行われる。
【0067】
このように、第一実施形態に係る機械式駐車装置1は、車両Mを載置するトレー8と、トレー8が上下方向に間隔を隔てて2台重ねて配置される乗降室2と、乗降室2に隣接し、トレー8が1台搭載されて昇降するリフト42が配置される昇降室4と、トレー8と昇降室4との間で昇降手段16によって昇降可能に配置される可動デッキ10と、を有する入出庫部1、11と、を備え、リフト42は、乗降室2に配置されるトレー8のうちの上方に位置するトレー8の搬送高さと、乗降室2に配置されるトレー8のうちの下方に位置するトレー8の搬送高さと、に対応して停止位置の変更が許容され、それぞれの搬送高さで上側に位置するトレー8又は下方に位置するトレー8を個別に乗降室2とリフト42との間で搬送が許容され、昇降室4は、上側に位置するトレー8の乗降室2とリフト42との間の搬送に対応して、上側に位置するトレー8の端部を支持する補助ローラ33を有する。
【0068】
これにより、乗降室2の支持ローラ32とリフト42のレール42Aとの間の距離が大きいものに比べて、搬送時のトレー8の移動が確実に支持され、トレー8のリフト42における乗降時の振動及び騒音が抑制される。また、リフト42を構成する各部材に対するトレー8の乗降時の衝撃が緩和され、リフト42において、各部材の変形又は経年劣化及び駆動装置における各部の緩み等が抑制される。
【0069】
また、昇降室4は、トレー8を搭載するリフト42と、リフト42を昇降可能に案内するリフト柱40と、を含んで構成され、補助ローラ33は、リフト柱40に支持される。
【0070】
これにより、補助ローラ33が建物側に設けられているものに比べて、補助ローラ33が簡単な構造で設置でき、建物側への振動の伝播が抑制される。
【0071】
また、補助ローラ33は、上側に位置するトレー8の搬送方向に対して交差する方向に対向して一対配置される。
【0072】
これにより、補助ローラ33がトレー8の一方側に対してのみ設けられているものに比べて、トレー8の搬送が安定化される。
【0073】
また、補助ローラ33は、上側に位置するトレー8の両端部を下方から支持する。
【0074】
これにより、補助ローラ33がトレー8の両端部に対して上方から支持するものに比べて、構造が簡素化され、トレー搬送時の重量が安定して支持される。
【0075】
また、補助ローラ33は、上側に位置するトレー8の搬送方向に回転するローラを含んで構成される。
【0076】
これにより、滑動部材又は摺動部材を用いるものに比べて、トレーの端部が円滑に支持されて搬送が安定化される。
【0077】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態について、図16から図21を参照しながら説明する。第二実施形態は、第一実施形態で説明した補助ローラ33に加え、リフト42にリフト側補助ローラ43が設けられていることで第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて説明する。
【0078】
[要部の構成]
ここで、本実施形態の要部の構成について図面を参照しながら説明する。
【0079】
〔リフト側支持ローラ〕
図16は、乗降室2及び昇降室4の概要を示し、リフト側補助ローラ43と補助ローラ33とが近接して配置されている状態を示す平面図である。また、図17は、図16に示す乗降室2及び昇降室4を正面から見た正面図である。ここで、リフト側補助ローラ43
【0080】
リフト側補助ローラ43は、リフト42に設けられ、上側に位置するトレー8又は下側に位置するトレー8の乗降室2とリフト42との間の搬送に対応して、上側に位置するトレー8の端部又は下側に位置するトレー8の端部を支持する。また、トレー8が支持される部分はトレー8の両端部である。
具体的には、リフト42は、トレーを搭載する枠体と、枠体の端部に設けられる昇降杆42Cと、を含んで構成されており、リフト側補助ローラ43は、昇降杆42Cに設けられ、より具体的には、複数の昇降杆42Cのうちの乗降室2の側の2つの昇降杆42C、42Cに対向して設けられている。また、リフト側補助ローラ43は、第一実施形態で説明した補助ローラ33に隣接する側に設けられており、上側に位置するトレー8又は下側に位置するトレー8の両端部を下方から支持する。
【0081】
図18は、リフト側補助ローラ43がトレー8を支持する状態を示している。リフト側補助ローラ43は、昇降杆42Cに固定された軸43Aに回転可能に設けられている。リフト側補助ローラ43の回転方向は、第一実施形態における補助ローラ33と同じく、装置幅方向Wの方向に沿って回転する。トレー8は、トレー8の両端部に設けられた端部部材8Dの下面8Eがリフト側補助ローラ43に下方から支持される。図18では、トレー8の下面8Bに設けられた横送りローラ82がリフト42のレール42A上を搬送されて、トレー8はリフト42に搭載される途中の状態を示している。
【0082】
[要部の作用]
本実施形態における要部の作用について、図19から図21を参照しながら説明する。
【0083】
図19に示すように、トレー8は支持ローラ32に支持されてリフト42へ向けて搬送され、トレー8の端部部材8Dの下面8Eが補助ローラ33に支持されようとしている。このとき、リフト42は、トレー8を搭載していない状態でトレー8の搬送高さに対して若干上方に位置して停止しているため、リフト側補助ローラ43の上面は補助ローラ33の上面より寸法Y程度に若干上方に位置している。これは、トレー8又は車両Mを載置したトレー8がリフト42から乗降室2に搬送されると、リフト42は、トレー8又は車両Mを載置したトレー8の重量から解放されるため、トレー8の搬送高さから若干上方に移動されることによる。この搬送高さのレベル差に対応するため、リフト42に設けられたレール42Aの端部は、装置幅方向Wにおける乗降室2の側に向かって下方に傾斜するテーパ部42Bが形成されていることは第一実施形態と同様である。
【0084】
図20は、トレー8がさらにリフト42に向けて搬送され、リフト側補助ローラ43に乗り込む状態を示す。図20に示すように、リフト42は、トレー8又は車両Mを載置したトレー8の重量を支持し始めるため僅かに下降するが、トレー8は、リフト側補助ローラ43に支持され、補助ローラ33の上面からは若干離れる。
【0085】
図21は、トレー8がリフト42に搬送され搭載途中の状態を示す。図21に示すように、リフト側補助ローラ43は、補助ローラ33よりも若干上方に位置するため、トレー8の下面8Bに設けられた横送りローラ82は、リフト42のレール42Aに乗り移る際にレール42Aの乗降室側に形成されたテーパ部42Bに円滑に接触することから、横送りローラ82とレール42Aとの衝撃が緩和され、振動及び騒音が抑制される。この時点では、トレー8の乗降室2側は支持ローラ32に支持されたままである(不図示)。そして、トレー8はさらに搬送されてリフト42に搭載される。なお、リフト42からトレー8が乗降室2の側に搬送される際も、搬送方向は逆であるが同様に円滑な搬送が行われる。
【0086】
このように、第二実施形態に係る機械式駐車装置では、リフト42は、上側に位置するトレー8又は下側に位置するトレー8の乗降室2とリフト42との間の搬送に対応して、上側に位置するトレー8の端部又は下側に位置するトレー8の端部を支持するリフト側補助ローラ43を有する。
【0087】
これにより、補助ローラ33のみが設けられているものに比べて、トレー8の乗降室2とリフト42との間の搬送において、トレー8が円滑に支持されて搬送が安定化される。
【0088】
また、リフト42は、トレー8を搭載する枠体と、枠体の端部に設けられる昇降杆42Cと、を含んで構成され、リフト側補助ローラ43は昇降杆42Cに設けられる。
【0089】
これにより、リフト42に特別な部材を設けてリフト側補助ローラ43を配置するものに比べて、リフト側補助ローラ43がリフト42を構成する基本部材に設けることができ、構造が簡素でコストアップが抑制される。
【0090】
また、リフト側補助ローラ43は、上側に位置するトレー8又は下側に位置するトレー8の搬送方向に対して交差する方向に対向して一対配置される。
【0091】
これにより、リフト側補助ローラ43がトレー8の一方側に対してのみ設けられているものに比べて、トレーの搬送が安定化される。
【0092】
また、リフト側補助ローラ43は、リフト42における補助ローラ33に隣接する側に設けられる。
【0093】
これにより、リフト側補助ローラ43がリフト42の乗降室2から離れた側に設けられるものに比べて、リフト42の停止位置がトレーの搬送レベルに誤差が生じてもトレー8の乗降室2とリフト42との間の搬送が円滑に安定化され、トレー8のリフト42における乗降時の振動及び騒音が抑制される。
【0094】
また、リフト側補助ローラ43は、上側に位置するトレー8又は下側に位置するトレー8の両端部を下方から支持する。
【0095】
これにより、リフト側補助ローラ43がトレー8の両端部に対して上方から支持するものに比べて、構造が簡素化され、トレー搬送時の重量が安定して支持される。
【0096】
また、リフト側補助ローラ43は、トレー8の搬送方向に回転するローラを含んで構成される。
【0097】
これにより、滑動部材又は摺動部材を用いるものに比べて、トレー8の端部が円滑に支持されて搬送が安定化される。
【0098】
以上、第一実施形態及び第二実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、各実施形態は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更をして実施でき、また、本発明の権利範囲がこれら実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0099】
例えば、補助ローラ33はローラを含む構成として説明したが、これに限らず、トレー8を支持して搬送可能なものであれば他の構造のものとしてもよい。一例として、ローラに代えて、滑動部材又は摺動部材を用いてもよい。この場合、トレー8の端部部材8Dに接触する部材の材質は滑動又は摺動機能が高い樹脂材料を用いてもよい。
【0100】
また、補助ローラ33は、リフト柱に支持されると説明したが、これに限らず、機械式駐車装置を構成する他の部材に支持してもよいし、建物側の例えば躯体の側に支持してもよい。
【0101】
また、補助ローラ33はトレー8を下面から支持すると説明したが、これに限らず、トレー8の側面から支持してもよいし、上面の側から支持してもよい。一例として、トレー8の端部部材8Dを補助ローラ33の側に開くチャンネル材としてチャンネル材の中に補助ローラ33が位置するようにしてトレー8の側面の側から支持してもよい。この場合も、ローラに代えて活動部材又は摺動部材としてもよい。
【0102】
また、上記各一例は、補助ローラ33に限らず、リフト側補助ローラ43にも適用できる。
【0103】
また、補助ローラ33及びリフト側補助ローラ43の大きさ(直径又は幅等)やローラの断面は、実施に即したものとすればよく、いずれの大きさ及び形状としてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0104】
1 入庫部(入出庫部の一例)
10 可動デッキ(昇降台の一例)
10A 上面
10B 下面
10C 支持部材
10D 昇降案内部材
16 昇降手段
16A 軸
16B 昇降ローラ
2 乗降室
26 昇降装置(支持台)
30 搬送手段
32 支持ローラ
33 補助ローラ(補助支持部材の一例)
33A 支持台
33B 軸取付部材
33C 軸
34 リンク機構
36 搬送装置
38 搬送ローラ
4 昇降室
40 リフト柱
40A 搬送フレーム
40B ブラケット
42 リフト(昇降機の一例)
42A レール
42B テーパ部
42C 昇降杆
42D チェーン
43 リフト側補助ローラ(昇降機側補助支持部材の一例)
43A 軸
44 縦横搬送装置
46 駆動ローラ
48 リンク
50 移送装置
6 格納部
60 格納装置
8 トレー
8A 上面
8B 下面
8C ローラ取付部材
8D 端部部材
8E 下面
82 横送りローラ
84 縦送りローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21