(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017442
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】受付システム、受付機、及び受付方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20230131BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121725
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】松本 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸貴
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】訪問者に対するサービス提供機会を最低限確保しながら、感染症の拡大を抑止する受付システム、受付機及び受付方法を提供する。
【解決手段】受付機1と、カメラと、温度センサとが、通信回線を介して接続されることにより構成されている受付システムにおいて、受付機10は、訪問者の操作を受け付ける操作受付部111と、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得するリスク情報取得部112と、リスク情報に基づき、訪問者の誘導先を決定する誘導先決定部113と、誘導先決定部113が決定した誘導先に対応する案内画面を取得し、この案内画面を操作表示部13に表示するように制御する表示制御部115と、印刷制御部116と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
訪問者の操作を受け付ける受付部と、
前記訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部と、
前記リスク情報に基づき、前記訪問者の誘導先を決定する第1の決定部と、
を備える、受付システム。
【請求項2】
前記受付部は、前記訪問者の用件を更に受け付け、
前記第1の決定部は、前記リスク情報及び前記用件に基づき、前記訪問者の誘導先を決定する、請求項1に記載の受付システム。
【請求項3】
前記リスク情報は、前記訪問者の高熱の有無に関する情報である、請求項1又は請求項2に記載の受付システム。
【請求項4】
前記リスク情報は、前記訪問者の前記感染症の防疫に関する防疫情報である、請求項1又は請求項2に記載の受付システム。
【請求項5】
前記防疫情報は、前記訪問者のマスクの着用の有無に関する情報である、請求項4に記載の受付システム。
【請求項6】
前記防疫情報は、前記感染症に対するワクチンの接種の有無に関する情報である、請求項4に記載の受付システム。
【請求項7】
前記誘導先は、前記感染症に対する対策に応じた複数のエリアを含み、
前記防疫情報は、前記訪問者が前記複数のエリアの何れを希望するかを示す情報である、請求項4に記載の受付システム。
【請求項8】
訪問者の用件を受け付ける受付部と、
前記訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部と、
前記リスク情報に基づき、前記受付部により受付可能な用件を決定する第2の決定部と、
を備える、受付システム。
【請求項9】
訪問者の操作を受け付ける受付部と、
前記訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部と、
前記リスク情報に基づき、前記訪問者の誘導先を決定する第1の決定部と、
を備える、受付機。
【請求項10】
訪問者の用件を受け付ける受付部と、
前記訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部と、
前記リスク情報に基づき、前記受付部により受付可能な用件を決定する第2の決定部と、
を備える、受付機。
【請求項11】
受付システムが実行する受付方法であって、
訪問者の操作を受け付けるステップと、
前記訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得するステップと、
前記リスク情報に基づき、前記訪問者の誘導先を決定するステップと、
を含む、受付方法。
【請求項12】
受付システムが実行する受付方法であって、
訪問者の用件を受け付けるステップと、
前記訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得するステップと、
前記リスク情報に基づき、前記受け付けるステップで受付可能な用件を決定するステップと、
を含む、受付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受付システム、受付機、及び受付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、言語登録手段に登録された応対可能言語の中から言語指定手段で指定された複数の使用言語のうち少なくともいずれか一つと一致する言語を検索し、複数の使用言語のうち少なくともいずれか一つの使用言語と一致する応対可能言語がある場合には、呼出手段によって応対可能言語が登録されている窓口へ顧客を案内する報知制御を行う窓口呼出装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、サーバは顧客が顧客受付装置で入力した用件等の情報を取得するとデータベースから該当顧客の顧客情報を取得し、取得した顧客情報により顧客が取引関係の深い重要顧客の場合、用件がハイカウンタの窓口で処理する用件であっても相談カウンタの窓口にキューイングする顧客誘導システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4974778号公報
【特許文献2】特許4911809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新型コロナウイルス(COVID-19)等の感染症の拡大により、施設の訪問者に対するサービス提供の機会が低下している。訪問者に対するサービス提供機会の向上のための施策と、感染症の拡大を抑止するための施策とは相反することが多く、施設はバランスの取れた施策の構築を迫られている。
【0006】
本発明の目的は、訪問者に対するサービス提供機会を最低限確保しながら、感染症の拡大を抑止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明は、訪問者の操作を受け付ける受付部と、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部と、リスク情報に基づき、訪問者の誘導先を決定する第1の決定部と、を備える、受付システムを提供する。
【0008】
受付部は、訪問者の用件を更に受け付け、第1の決定部は、リスク情報及び用件に基づき、訪問者の誘導先を決定する、ものであってよい。
【0009】
リスク情報は、訪問者の高熱の有無に関する情報であってよい。
【0010】
リスク情報は、訪問者の感染症の防疫に関する防疫情報であってよい。その場合、防疫情報は、訪問者のマスクの着用の有無に関する情報であってよい。また、防疫情報は、感染症に対するワクチンの接種の有無に関する情報であってよい。更に、誘導先は、感染症に対する対策に応じた複数のエリアを含み、防疫情報は、訪問者が複数のエリアの何れを希望するかを示す情報であってよい。
【0011】
本発明は、訪問者の用件を受け付ける受付部と、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部と、リスク情報に基づき、受付部により受付可能な用件を決定する第2の決定部と、を備える、受付システムも提供する。
【0012】
また、本発明は、訪問者の操作を受け付ける受付部と、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部と、リスク情報に基づき、訪問者の誘導先を決定する第1の決定部と、を備える、受付機も提供する。
【0013】
本発明は、訪問者の用件を受け付ける受付部と、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部と、リスク情報に基づき、受付部により受付可能な用件を決定する第2の決定部と、を備える、受付機も提供する。
【0014】
更に、本発明は、受付システムが実行する受付方法であって、訪問者の操作を受け付けるステップと、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得するステップと、リスク情報に基づき、訪問者の誘導先を決定するステップと、を含む、受付方法も提供する。
【0015】
本発明は、受付システムが実行する受付方法であって、訪問者の用件を受け付けるステップと、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得するステップと、リスク情報に基づき、受け付けるステップで受付可能な用件を決定するステップと、を含む、受付方法も提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、訪問者に対するサービス提供機会を最低限確保しながら、感染症の拡大を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態における受付システムの全体構成例を示した図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態における受付機の機能構成例を示したブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態における受付機が記憶する誘導先情報の一例を示した図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態における受付機の第1の動作例を示したフローチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施の形態における受付機の第2の動作例を示したフローチャートである。
【
図6】本発明の第1の実施の形態における受付機の第3の動作例を示したフローチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施の形態における受付機が表示する画面例を示した図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態における受付機の機能構成例を示したブロック図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態における受付機が記憶する用件情報の一例を示した図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態における受付機の第1の動作例を示したフローチャートである。
【
図11】本発明の第2の実施の形態における受付機の第2の動作例を示したフローチャートである。
【
図12】本発明の第2の実施の形態における受付機が表示する画面例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
[受付システムの全体構成]
図1は、本実施の形態における受付システム1の全体構成例を示した図である。図示するように、受付システム1は、受付機10と、カメラ20と、温度センサ30とが、通信回線80を介して接続されることにより構成されている。
【0020】
受付機10は、施設を訪問した訪問者が画面上で操作を行うと、この操作を受け付け、訪問者に受付番号を発行する。例えば、受付機10は、訪問者が画面上で用件を選択する操作を行うと、その操作を受け付け、訪問者に用件ごとの受付番号を発行する。ここで、施設とは、訪問者に対して何らかのサービスを提供するものであればよく、例えば、銀行、役所、病院、飲食店、遊園地等である。
【0021】
カメラ20は、訪問者の画像を撮影し、撮影画像を受付機10へ送信する。撮影画像は、例えば、訪問者がマスクを着用していないことで感染症(例えば新型コロナウイルス)を拡大させるリスクを有するかを判定するためのリスク情報として用いられる。その意味で、撮影画像は、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報の一例であり、カメラ20は、リスク情報を取得する取得部の一例である。
【0022】
温度センサ30は、訪問者の体温を測定し、測定体温を受付機10へ送信する。測定体温は、例えば、訪問者が高熱があることで感染症(例えば新型コロナウイルス)を拡大させるリスクを有するかを判定するためのリスク情報として用いられる。その意味で、測定体温は、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報の一例であり、温度センサ30は、リスク情報を取得する取得部の一例である。
【0023】
通信回線80は、受付機10とカメラ20との間、及び、受付機10と温度センサ30との間で情報の通信を行うための回線である。
【0024】
[第1の実施の形態]
(受付機の機能構成)
図2は、第1の実施の形態における受付機10の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、第1の実施の形態における受付機10は、制御部11と、記憶部12と、操作表示部13と、通信部14と、印刷部15とを備えている。
【0025】
制御部11は、装置全体を制御する。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等により、記憶装置に記憶されているプログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行することにより実現される。
【0026】
記憶部12は、制御部11で用いるデータ等を記憶する。例えば、記憶部12は、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0027】
操作表示部13は、情報を入力するために操作者によって操作されたり、操作者に対して情報を表示したりする。通信部14は、通信回線80を介して他の装置の間で通信を行う。印刷部15は、情報を紙等の媒体に印刷する。
【0028】
ここで、制御部11の構成について具体的に説明する。制御部11は、操作受付部111と、リスク情報取得部112と、誘導先決定部113と、表示制御部115と、印刷制御部116とを備える。
【0029】
操作受付部111は、施設の訪問者が操作表示部13上で操作を行うと、この操作を受け付ける。例えば、訪問者が操作表示部13に表示された複数の用件の中から今回の訪問における用件を選択する操作を行うと、操作受付部111は、この操作された用件を受け付ける。本実施の形態では、訪問者の操作を受け付ける受付部の一例として、また、訪問者の用件を更に受け付ける受付部の一例として、操作受付部111を設けている。
【0030】
リスク情報取得部112は、訪問者が感染症を拡大させるリスクを有するかを判断するためのリスク情報を取得する。
【0031】
ここで、リスク情報は、訪問者の高熱の有無に関する情報であってよい。リスク情報取得部112は、訪問者の高熱の有無に関する情報として、温度センサ30が測定した訪問者の体温を取得するとよい。この場合、リスク情報取得部112は、訪問者の高熱の有無を、訪問者の体温が基準体温(例えば、37.5℃)以上であるかによって判定すればよい。或いは、リスク情報取得部112は、訪問者の高熱の有無に関する情報として、例えば操作表示部13上で訪問者が宣言した情報を取得してもよい。
【0032】
また、リスク情報は、訪問者の感染症の防疫に関する情報(以下、「防疫情報」という)であってもよい。
【0033】
防疫情報は、訪問者のマスクの着用の有無に関する情報であってよい。リスク情報取得部112は、訪問者のマスクの着用の有無に関する情報として、カメラ20が撮影した訪問者の顔の画像を取得するとよい。この場合、リスク情報取得部112は、訪問者のマスクの着用の有無を、訪問者の顔の画像に対して画像処理を行うことによって判定すればよい。或いは、リスク情報取得部112は、訪問者のマスクの着用の有無に関する情報として、例えば操作表示部13上で訪問者が宣言した情報を取得してもよい。
【0034】
また、防疫情報は、感染症に対するワクチンの接種の有無に関する情報であってもよい。リスク情報取得部112は、このような情報として、カメラ20が撮影した又は図示しないスキャナが読み取ったワクチンパスポートの画像を取得してもよいし、例えば操作表示部13上で訪問者が宣言した情報を取得してもよい。或いは、個人番号(マイナンバー等)にワクチン接種の情報が紐付けられていれば、リスク情報取得部112は、例えば操作表示部13上で入力された個人情報を取得し、この個人情報に基づいてワクチン接種の情報を取得してもよい。
【0035】
加えて、防疫情報は、物理的に防疫しているかという情報だけでなく、感染症の防疫に関する考え方の情報であってもよい。
【0036】
この場合、防疫情報は、訪問者が大人数(例えば3人以上)であるかを示す情報であってよい。訪問者が少人数(例えば2人以下)であれば、感染症の防疫を気にしていると言えるからである。また、地域によっては、自治体等が「2人以下での飲食は感染拡大リスクが低いと判断し許可する。3人以上での飲食は感染拡大リスクが高いと判断し許可しない。」などとルール化していることもあるからである。リスク情報取得部112は、このような情報として、カメラ20が撮影した訪問者全体の画像を取得してもよいし、例えば操作表示部13上で訪問者が入力した人数の情報を取得してもよい。
【0037】
また、防疫情報は、訪問者が外国から来て間もない人であったり外国人であったりするかを示す情報であってもよい。訪問者が外国から来て間もない人であったり外国人であったりしなければ、感染症の防疫を気にしていると言えるからである。また、外国というキーワードで防疫情報を判断する理由としては、感染拡大状況が国毎に異なることがある、拡大しているウイルスがリスクの高いもの(変異株等)かそうでないかも国毎に異なることがある、といった理由も挙げられる。例えば、個人番号(マイナンバー等)に海外渡航歴が紐付けられていれば、リスク情報取得部112は、例えば操作表示部13上で入力された個人情報を取得し、この個人情報に基づいて訪問者が外国から来て間もない人かの情報を取得するとよい。また、リスク情報取得部112は、カメラ20が撮影した訪問者の画像に基づいて、訪問者が外国人であるかの情報を取得するとよい。
【0038】
更に、防疫情報は、訪問者の誘導先が感染症に対する対策に応じた複数のエリアを含む場合に、訪問者がその複数のエリアの何れを希望するかを示す情報であってもよい。リスク情報取得部112は、このような情報として、例えば操作表示部13上で訪問者が宣言した情報を取得するとよい。ここで、複数のエリアとは、典型的には、2つのエリアである。この2つのエリアとしては、感染症対策席及び通常席が例示される。感染症対策席とは、他人の飛沫を気にする人のためにソーシャルディスタンスを確保する対策が施された席であり、通常席とは、このような対策が施されていない席である。
【0039】
尚、上記では、リスク情報取得部112が、カメラ20からの撮影画像に基づく判定や、温度センサ30からの測定体温に基づく判定を行うようにしたが、これには限らない。受付機10に通信回線を介して接続された制御端末が、このような判定を行うようにしてもよい。
【0040】
具体的には、制御端末に撮影画像に基づく判定を行うソフトウエアを搭載し、撮影画像に基づく判定に必要な設定値を入力できるようにすればよい。ここで、設定値としては、訪問者の人数を大人数と判定するための基準人数(例えば3人)が例示される。
【0041】
また、制御端末に測定体温に基づく判定を行うソフトウエアを搭載し、測定体温に基づく判定に必要な設定値を入力できるようにすればよい。ここで、設定値としては、訪問者の高熱の有無を判定するための基準体温(例えば37.5℃)が例示される。
【0042】
また、以下では、リスク情報取得部112により感染症を拡大させるリスクが高いと判定された訪問者を「高リスク訪問者」と称し、リスク情報取得部112により感染症を拡大させるリスクが低いと判定された訪問者を「低リスク訪問者」と称する。特に、本実施の形態では、感染症の防疫に関する考え方もリスク情報としているので、感染症の防疫を気にしていない訪問者も「高リスク訪問者」と称し、感染症の防疫を気にしている訪問者も「低リスク訪問者」と称することとする。
【0043】
誘導先決定部113は、リスク情報取得部112が取得したリスク情報に基づいて、訪問者の誘導先を決定する。具体的には、誘導先決定部113は、リスク情報取得部112により訪問者が高リスク訪問者であると判定されれば、高リスク訪問者用誘導先をその訪問者の誘導先に決定する。誘導先決定部113は、リスク情報取得部112により訪問者が低リスク訪問者であると判定されれば、低リスク訪問者用誘導先をその訪問者の誘導先に決定する。また、誘導先決定部113は、操作受付部111が受け付けた訪問者の用件に更に基づいて、訪問者の誘導先を決定してもよい。本実施の形態では、リスク情報に基づき、訪問者の誘導先を決定する第1の決定部の一例として、また、リスク情報及び用件に基づき、訪問者の誘導先を決定する第1の決定部の一例として、誘導先決定部113を設けている。
【0044】
ここで、誘導先は、感染症が拡大するリスクが高い誘導先と、感染症が拡大するリスクが低い誘導先とに分けられる。以下、前者の誘導先を「高リスク誘導先」と称し、後者の誘導先を「低リスク誘導先」と称する。誘導先決定部113は、高リスク誘導先ではなく、低リスク誘導先を、高リスク訪問者用誘導先とする。また、誘導先決定部113は、高リスク誘導先及び低リスク誘導先の何れかを、低リスク訪問者用誘導先とする。
【0045】
例えば銀行、役所等には、誘導先として、有人窓口と無人窓口とがある。有人窓口は、担当者と対面で会話しながら手続きするための窓口であるので、高リスク誘導先と言える。無人窓口は、遠隔地にいる担当者と通信回線を介して会話しながら手続きするための装置、担当者と会話することなく自身で手続きするための装置等であるので、低リスク誘導先と言える。誘導先決定部113は、高リスク訪問者に対しては、有人窓口を誘導先に決定せず、無人窓口を誘導先に決定する。
【0046】
例えば銀行、役所等には、誘導先として、高リスク担当者が応対する窓口と、低リスク担当者が応答する窓口とがある場合もある。高リスク担当者とは、持病があったり高齢であったりすることで感染症に感染した場合のリスクが高い担当者であるので、高リスク担当者が応対する窓口は高リスク誘導先と言える。低リスク担当者は、高リスク担当者以外の担当者であるので、低リスク担当者の窓口は低リスク誘導先と言える。誘導先決定部113は、高リスク訪問者に対しては、高リスク担当者の窓口を誘導先に決定せず、低リスク担当者の窓口を誘導先に決定する。尚、この場合、誘導先決定部113は、窓口の担当者を識別する担当者識別情報を取得し、この担当者識別情報に基づき、各窓口が高リスク担当者の窓口であるか低リスク担当者の窓口であるかを予め判定しておくとよい。
【0047】
例えば病院には、誘導先として、対面診察室と遠隔診察室とがある。対面診察室は、医師と対面で会話しながら診察を受ける診察室であるので、高リスク誘導先と言える。遠隔診察室は、遠隔地にいる医師と通信回線を介して会話しながら診察を受けるための装置が設置された診察室であるので、低リスク誘導先と言える。誘導先決定部113は、高リスク訪問者に対しては、対面診察室を誘導先に決定せず、遠隔診察室を誘導先に決定する。
【0048】
例えば飲食店には、誘導先として、カウンタ席とテーブル席とがある。カウンタ席は、店員と対面で会話しながら食事を楽しむことが可能な席であるので、高リスク誘導先と言える。テーブル席は、店員と対面で会話することなく食事を楽しむことが可能な席であるので、店員側からすると、低リスク誘導先と言える。誘導先決定部113は、高リスク訪問者に対しては、カウンタ席を誘導先に決定せず、テーブル席を誘導先に決定する。
【0049】
また、誘導先には、高リスク誘導先及び低リスク誘導先とは言えないが、高リスク訪問者用誘導先及び低リスク訪問者用誘導先と呼べるものもある。例えば、新型コロナウイルスが徐々に収束してきた時に予想されるのが、「新型コロナウイルスによるリスクをまだ気にする訪問者(低リスク訪問者)」と「新型コロナウイルスによるリスクをもう気にしない訪問者(高リスク訪問者)」とで価値観が大きく2つに分かれることである。そのような状況になった場合に、前者と後者とで誘導先を分ける必要性が出てくる可能性があり、そういったケースへの対応方法を以下記述する。ここで、訪問者が上記のどちらの価値観を持っているかは、操作表示部13を通して訪問者に選択させてもよい。
【0050】
例えば飲食店には、誘導先として、感染症対策席と通常席とがあることが考えられる。感染症対策席は、感染症の防疫を気にする訪問者、つまり低リスク訪問者のために、感染症対策が講じられた席であるので、低リスク訪問者用誘導先である。尚、感染症対策席は、個室であってもよい。通常席は、感染症の防疫を気にしない訪問者、つまり高リスク訪問者のために、感染症対策が講じられていない席であるので、高リスク訪問者用誘導先である。誘導先決定部113は、低リスク訪問者に対しては、感染症対策席を誘導先に決定し、高リスク訪問者に対しては、通常席を誘導先に決定する。
【0051】
例えば病院には、誘導先として、高リスク訪問者用の待合室と、低リスク訪問者用の待合室とがある場合がある。高リスク訪問者用の待合室とは、例えば、マスクを着用していない人用の待合室であり、低リスク訪問者用の待合室とは、例えば、マスクを着用している人用の待合室である。誘導先決定部113は、高リスク訪問者に対しては、高リスク訪問者用の待合室を誘導先に決定し、低リスク訪問者に対しては、低リスク訪問者用の待合室を誘導先に決定する。
【0052】
表示制御部115は、誘導先決定部113が決定した誘導先に対応する案内画面を取得し、この案内画面を操作表示部13に表示するように制御する。
【0053】
印刷制御部116は、誘導先決定部113が決定した誘導先に対応する受付番号を生成し、この受付番号を紙等の媒体に印刷するように印刷部15を制御する。
【0054】
また、記憶部12が記憶する情報について具体的に説明する。記憶部12は、誘導先情報121と、案内画面420とを記憶する。
【0055】
誘導先情報121は、誘導先決定部113が訪問者のリスク情報に基づいて訪問者の誘導先を決定するために参照する情報である。誘導先情報121の具体的な内容については後述する。
【0056】
案内画面420は、訪問者を誘導先へ案内するための画面である。そして、案内画面420は、その誘導先に紐付けられている。この案内画面420の具体的な内容についても後述する。
【0057】
図3は、誘導先情報121の一例を示した図である。図示するように、誘導先情報121は、用件と、リスクと、誘導先とを対応付けたものとなっている。
【0058】
図では、訪問者の用件が「用件#1」である場合に、その訪問者が高リスク訪問者であれば、「低リスク誘導先#1」を誘導先とし、その訪問者が低リスク訪問者であれば、「高リスク誘導先#1」を誘導先とすることが示されている。ここで、「用件#1」は、「高リスク誘導先#1」での応対を必要とする用件であるとする。この場合、「低リスク誘導先#1」は、例えば、無人窓口であり、「高リスク誘導先#2」は、例えば、有人窓口であり、「用件#1」は、例えば、有人窓口での応対を必要とする取引である。
【0059】
また、図では、訪問者の用件が「用件#2」である場合に、その訪問者が高リスク訪問者であれば、「通常席#2」を誘導先とし、その訪問者が低リスク訪問者であれば、「感染症対策席#2」を誘導先とすることも示されている。
【0060】
(受付機の動作)
図4は、第1の実施の形態における受付機10の第1の動作例を示したフローチャートである。尚、この第1の動作例は、リスク情報として、訪問者のマスクの着用の有無を用いた場合の動作例である。
【0061】
図示するように、受付機10は、まず、訪問者が操作表示部13上で選択した用件を受け付ける(ステップ131)。具体的には、操作受付部111が、訪問者が操作表示部13上で複数の用件から選択した用件を受け付ける。
【0062】
すると、受付機10は、ステップ131で受け付けた用件が、高リスク誘導先での応対を必要とする用件であるかどうかを判定する(ステップ132)。具体的には、操作受付部111が、ステップ131で受け付けた用件が、例えば有人での応対を必要とする用件であるかどうかを判定する。
【0063】
ステップ132で用件が高リスク誘導先での応対を必要とする用件であると判定すれば、受付機10は、カメラ20から撮影画像を取得する(ステップ133)。具体的には、リスク情報取得部112が、カメラ20で訪問者の顔の画像を撮影する指示を送信するように通信部14を制御し、通信部14がカメラ20から訪問者の顔の画像を受信すると、その画像を取得する。
【0064】
すると、受付機10は、ステップ133で取得した撮影画像に基づいて、訪問者がマスクを着用しているかどうかを判定する(ステップ134)。具体的には、リスク情報取得部112が、ステップ133で取得した訪問者の顔の画像に対して画像処理を行うことにより、訪問者がマスクを着用しているかどうかを判定する。
【0065】
ステップ134で訪問者がマスクを着用していると判定すれば、受付機10は、ステップ131で受け付けた用件に対応する高リスク誘導先を、訪問者の誘導先に決定する(ステップ135)。具体的には、誘導先決定部113が、ステップ131で選択された用件に対応する誘導先をそのまま訪問者の誘導先に決定する。
【0066】
一方、ステップ132で用件が高リスク誘導先での応対を必要とする用件でないと判定した場合、又は、ステップ134で訪問者がマスクを着用していないと判定した場合、受付機10は、ステップ131で受け付けた用件に対応する低リスク誘導先を、訪問者の誘導先に決定する(ステップ136)。具体的には、ステップ132で用件が高リスク誘導先での応対を必要とする用件でないと判定されれば、誘導先決定部113が、ステップ131で選択された用件に対応する誘導先をそのまま訪問者の誘導先に決定する。また、ステップ134で訪問者がマスクを着用していないと判定されれば、誘導先決定部113が、誘導先情報121を参照して、ステップ131で受け付けた用件に対応し、かつ、リスク「低」に対応する誘導先を特定し、この特定した誘導先を訪問者の誘導先に決定する。
【0067】
その後、受付機10は、ステップ135又はステップ136で決定した訪問者の誘導先に対応する案内画面420を表示する(ステップ137)。具体的には、表示制御部115が、ステップ135又はステップ136で決定された訪問者の誘導先に紐付けられた案内画面420を記憶部12から読み出し、この案内画面420を操作表示部13に表示するように制御する。
【0068】
最後に、受付機10は、ステップ135又はステップ136で決定した訪問者の誘導先に対応する受付番号を印刷する(ステップ138)。具体的には、印刷制御部116が、ステップ135又はステップ136で決定された訪問者の誘導先に対応する受付番号を生成し、この受付番号を印刷部15が印刷するように制御する。
【0069】
図5は、第1の実施の形態における受付機10の第2の動作例を示したフローチャートである。尚、この第2の動作例は、リスク情報として、訪問者の高熱の有無を用いた場合の動作例である。
【0070】
図示するように、受付機10は、まず、訪問者が操作表示部13上で選択した用件を受け付ける(ステップ141)。具体的には、操作受付部111が、訪問者が操作表示部13上で複数の用件から選択した用件を受け付ける。
【0071】
すると、受付機10は、ステップ141で受け付けた用件が、高リスク誘導先での応対を必要とする用件であるかどうかを判定する(ステップ142)。具体的には、操作受付部111が、ステップ141で受け付けた用件が、例えば有人での応対を必要とする用件であるかどうかを判定する。
【0072】
ステップ142で用件が高リスク誘導先での応対を必要とする用件であると判定すれば、受付機10は、温度センサ30から測定体温を取得する(ステップ143)。具体的には、リスク情報取得部112が、温度センサ30で訪問者の体温を測定する指示を送信するように通信部14を制御し、通信部14が温度センサ30から訪問者の体温を受信すると、その体温を取得する。
【0073】
すると、受付機10は、ステップ143で取得した測定体温に基づいて、訪問者が高熱があるかどうかを判定する(ステップ144)。具体的には、リスク情報取得部112が、ステップ143で取得した訪問者の体温と基準体温とを比較することにより、訪問者が高熱があるかどうかを判定する。
【0074】
ステップ144で訪問者が高熱がないと判定すれば、受付機10は、ステップ141で受け付けた用件に対応する高リスク誘導先を、訪問者の誘導先に決定する(ステップ145)。具体的には、誘導先決定部113が、ステップ141で選択された用件に対応する誘導先をそのまま訪問者の誘導先に決定する。
【0075】
一方、ステップ142で用件が高リスク誘導先での応対を必要とする用件でないと判定した場合、又は、ステップ144で訪問者が高熱があると判定した場合、受付機10は、ステップ141で受け付けた用件に対応する低リスク誘導先を、訪問者の誘導先に決定する(ステップ146)。具体的には、ステップ142で用件が高リスク誘導先での応対を必要とする用件でないと判定されれば、誘導先決定部113が、ステップ141で選択された用件に対応する誘導先をそのまま訪問者の誘導先に決定する。また、ステップ144で訪問者が高熱があると判定されれば、誘導先決定部113が、誘導先情報121を参照して、ステップ141で受け付けた用件に対応し、かつ、リスク「低」に対応する誘導先を特定し、この特定した誘導先を訪問者の誘導先に決定する。
【0076】
その後、受付機10は、ステップ145又はステップ146で決定した訪問者の誘導先に対応する案内画面420を表示する(ステップ147)。具体的には、表示制御部115が、ステップ145又はステップ146で決定された訪問者の誘導先に紐付けられた案内画面420を記憶部12から読み出し、この案内画面420を操作表示部13に表示するように制御する。
【0077】
最後に、受付機10は、ステップ145又はステップ146で決定した訪問者の誘導先に対応する受付番号を印刷する(ステップ148)。具体的には、印刷制御部116が、ステップ145又はステップ146で決定された訪問者の誘導先に対応する受付番号を生成し、この受付番号を印刷部15が印刷するように制御する。
【0078】
尚、
図4及び
図5には、リスク情報として訪問者のマスクの着用の有無及び訪問者の高熱の有無を用いた場合の動作例を示した。しかしながら、リスク情報として、感染症に対するワクチンの接種の有無、訪問者が大人数であるかの情報、訪問者が外国から来て間もない人であったり外国人であったりするかの情報を用いた場合の動作例も同様である。
【0079】
また、
図4及び
図5では、高リスク訪問者用誘導先として低リスク誘導先を用い、低リスク訪問者用誘導先として高リスク誘導先を用いた場合の動作例を示した。しかしながら、高リスク訪問者用誘導先として例えば高リスク訪問者用の待合室を用い、低リスク訪問者用誘導先として低リスク訪問者用の待合室を用いた場合の動作例も同様である。
【0080】
図6は、第1の実施の形態における受付機10の第3の動作例を示したフローチャートである。尚、この第3の動作例は、リスク情報として、訪問者の感染症対策席の希望の有無を用いた場合の動作例である。
【0081】
図示するように、受付機10は、まず、訪問者が操作表示部13上で選択した用件を受け付ける(ステップ151)。具体的には、操作受付部111が、訪問者が操作表示部13上で複数の用件から選択した用件を受け付ける。
【0082】
次に、受付機10は、訪問者の感染症対策席の希望情報を取得する(ステップ152)。具体的には、訪問者が操作表示部13上で感染症対策席を希望するかどうかの情報を入力すると、リスク情報取得部112が、その情報を取得する。
【0083】
すると、受付機10は、訪問者が感染症対策席を希望しているかどうかを判定する(ステップ153)。具体的には、リスク情報取得部112が、ステップ152で取得した感染症対策席の希望情報が、感染症対策席を希望することを示しているかどうかを判定する。
【0084】
ステップ153で訪問者が感染症対策席を希望していると判定すれば、受付機10は、ステップ151で受け付けた用件に対応する感染症対策席を、訪問者の誘導先に決定する(ステップ154)。具体的には、誘導先決定部113が、誘導先情報121を参照して、ステップ151で受け付けた用件に対応し、かつ、リスク「低」に対応する誘導先を特定し、この特定した誘導先を訪問者の誘導先に決定する。
【0085】
一方、ステップ153で訪問者が感染症対策席を希望していないと判定すれば、受付機10は、ステップ151で受け付けた用件に対応する通常席を、訪問者の誘導先に決定する(ステップ155)。具体的には、誘導先決定部113が、誘導先情報121を参照して、ステップ151で受け付けた用件に対応し、かつ、リスク「高」に対応する誘導先を特定し、この特定した誘導先を訪問者の誘導先に決定する。
【0086】
その後、受付機10は、ステップ154又はステップ155で決定した訪問者の誘導先に対応する案内画面420を表示する(ステップ156)。具体的には、表示制御部115が、ステップ154又はステップ155で決定された訪問者の誘導先に紐付けられた案内画面420を記憶部12から読み出し、この案内画面420を操作表示部13に表示するように制御する。
【0087】
最後に、受付機10は、ステップ154又はステップ155で決定した訪問者の誘導先に対応する受付番号を印刷する(ステップ157)。具体的には、印刷制御部116が、ステップ154又はステップ155で決定された訪問者の誘導先に対応する受付番号を生成し、この受付番号を印刷部15が印刷するように制御する。
【0088】
(画面例)
図7(a),(b)は、第1の実施の形態における受付機10が表示する画面例を示した図である。尚、この画面例は、施設として銀行を想定した場合の画面例である。
【0089】
訪問者が銀行を訪問した時点で、受付機10は、
図7(a)のメニュー画面410cを表示している。この状態で、訪問者がボタン411を選択したとする。また、訪問者が、高リスク訪問者であると判定されたとする。
【0090】
すると、受付機10は、
図7(b)の案内画面420を表示する。つまり、訪問者は、窓口でのローン相談を希望したが、高リスク訪問者であるため、受付機10は、ローン相談の無人受付機へ訪問者を案内する。尚、窓口でのローン相談を希望したにも関わらず、無人受付機へ訪問者を案内することになるので、図示しないが、案内画面420には無人受付機へ案内する理由を表示してもよい。無人受付機へ案内する理由としては、例えば、マスクを着用していない、高熱がある、等の理由が考えられる。
【0091】
(変形例)
上記では、受付機10は、施設内の混雑状況を特に考慮しなかったが、施設内の混雑状況に応じて誘導先を変更してもよい。
【0092】
上記では、受付機10は、案内画面420を用いて誘導先への案内を行ったが、他の装置を用いて誘導先への案内を行ってもよい。例えば、受付機10は、誘導先に設置された呼び出し装置やパトライト(登録商標)、受付機10とは別体のプロジェクタによる誘導先までのフロアのプロジェクションマッピング等を用いて、誘導先への案内をより分かり易く行ってもよい。
【0093】
上記では、受付機10とは別にカメラ20及び温度センサ30を設けたが、受付機10内部にカメラ20及び温度センサ30を設けてもよい。その場合は、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部の一例が、受付機10内に存在することとなる。
【0094】
(効果)
第1の実施の形態では、訪問者の感染症に関するリスクを判定し、その判定結果に基づき、訪問者の誘導先を制限するようにした。これにより、訪問者に対するサービス提供機会を最低限確保しながら、感染症の拡大を抑止することが可能となった。
【0095】
[第2の実施の形態]
(受付機の機能構成)
図8は、第2の実施の形態における受付機10の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、第2の実施の形態における受付機10も、制御部11と、記憶部12と、操作表示部13と、通信部14と、印刷部15とを備えている。これらの構成要素の機能は、第1の実施の形態で説明したものと同様なので、ここでの説明は省略する。
【0096】
ここで、制御部11の構成について具体的に説明する。制御部11は、操作受付部111と、リスク情報取得部112と、用件決定部114と、表示制御部115と、印刷制御部116とを備える。
【0097】
操作受付部111は、施設の訪問者が操作表示部13上で操作を行うと、この操作を受け付ける。例えば、訪問者が操作表示部13に表示された複数の用件の中から今回の訪問における用件を選択する操作を行うと、操作受付部111は、この操作された用件を受け付ける。本実施の形態では、訪問者の用件を受け付ける受付部の一例として、操作受付部111を設けている。
【0098】
リスク情報取得部112は、訪問者が感染症を拡大させるリスクを有するかを判断するためのリスク情報を取得する。ここで、リスク情報は、訪問者の高熱の有無に関する情報であってよい。また、リスク情報は、訪問者の感染症の防疫に関する情報(防疫情報)であってもよい。そして、防疫情報は、訪問者のマスクの着用の有無に関する情報であってもよいし、感染症に対するワクチンの接種の有無に関する情報であってもよい。加えて、防疫情報は、物理的に防疫しているかという情報だけでなく、感染症の防疫に関する考え方の情報であってもよい。この場合、防疫情報は、訪問者が大人数(例えば3人以上)であるかを示す情報であってもよいし、訪問者が外国から来て間もない人であったり外国人であったりするかを示す情報であってもよい。尚、これらのリスク情報の取得方法や判定方法は、第1の実施の形態で述べたものと同様なので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0099】
また、以下でも、リスク情報取得部112により感染症を拡大させるリスクが高いと判定された訪問者を「高リスク訪問者」と称し、リスク情報取得部112により感染症を拡大させるリスクが低いと判定された訪問者を「低リスク訪問者」と称する。特に、本実施の形態では、感染症の防疫に関する考え方もリスク情報としているので、感染症の防疫を気にしていない訪問者も「高リスク訪問者」と称し、感染症の防疫を気にしている訪問者も「低リスク訪問者」と称することとする。
【0100】
用件決定部114は、リスク情報取得部112が取得したリスク情報に基づいて、受付機10が受付可能な用件を決定する。具体的には、用件決定部114は、リスク情報取得部112により訪問者が高リスク訪問者であると判定されれば、高リスク訪問者用の用件をその訪問者に対する受付可能な用件に決定する。用件決定部114は、リスク情報取得部112により訪問者が低リスク訪問者であると判定されれば、低リスク訪問者用の用件をその訪問者に対する受付可能な用件に決定する。本実施の形態では、リスク情報に基づき、受付部により受付可能な用件を決定する第2の決定部の一例として、用件決定部114を設けている。
【0101】
ここで、用件は、感染症が拡大するリスクが高い用件と、感染症が拡大するリスクが低い用件とに分けられる。以下、前者の用件を「高リスク用件」と称し、後者の用件を「低リスク用件」と称する。用件決定部114は、低リスク用件のみを、高リスク訪問者用の用件とする。また、用件決定部114は、高リスク用件及び低リスク用件の両方を、低リスク訪問者用の用件とする。
【0102】
例えば銀行、役所等では、用件として、有人取引と無人取引とがある。有人取引は、担当者と対面で会話しながらの取引であるので、高リスク用件と言える。無人取引は、遠隔地にいる担当者と通信回線を介して会話しながら手続きするための装置、担当者と会話することなく自身で手続きするための装置等での取引であるので、低リスク用件と言える。用件決定部114は、高リスク訪問者に対しては、有人取引を受付可能な用件に決定せず、無人取引を受付可能な用件に決定する。
【0103】
例えば銀行では、用件として、ローカウンタ取引とハイカウンタ取引とがある。ローカウンタ取引は、椅子に座った状態での取引で、滞在時間が長くなりがちであるので、高リスク用件と言える。ハイカウンタ取引は、立ったままでの取引で、滞在時間が長くなりがちということはないので、低リスク用件と言える。用件決定部114は、高リスク訪問者に対しては、ローカウンタ取引を受付可能な用件に決定せず、ハイカウンタ取引を受付可能な用件に決定する。
【0104】
例えば飲食店では、用件として、アルコールを含む飲食とアルコールを含まない飲食とがある。アルコールを含む飲食は、気分が高揚したり注意力が低下したりすることで飛沫が拡散する可能性が高いので、高リスク用件と言える。アルコールを含まない飲食は、そのような可能性が低いので、低リスク用件と言える。用件決定部114は、高リスク訪問者に対しては、アルコールを含む飲食を受付可能な用件に決定せず、アルコールを含まない飲食を受付可能な用件に決定する。
【0105】
例えば飲食店では、用件として、コース料理を含む飲食とコース料理を含まない飲食とがある。コース料理を含む飲食は、長時間の滞在になりがちであるので、高リスク用件と言える。コース料理を含まない飲食は、長時間の滞在になりがちということはないので、低リスク用件と言える。用件決定部114は、高リスク訪問者に対しては、コース料理を含む飲食を受付可能な用件に決定せず、コース料理を含まない飲食を受付可能な用件に決定する。
【0106】
例えば遊園地では、用件として、利用者が絶叫することが想定される所謂絶叫系のアトラクション(例えば、お化け屋敷)の利用と、利用者が絶叫することが想定されない所謂非絶叫系のアトラクションの利用とがある。絶叫系のアトラクションは、利用者の飛沫が拡散する可能性が高いので、高リスク用件と言える。非絶叫系のアトラクションは、その可能性は低いので、低リスク用件と言える。用件決定部114は、高リスク訪問者に対しては、絶叫系のアトラクションの利用を受付可能な用件に決定せず、非絶叫系のアトラクションの利用を受付可能な用件に決定する。
【0107】
表示制御部115は、用件決定部114が決定した受付可能な用件を含むメニュー画面を取得し、このメニュー画面を操作表示部13に表示するように制御する。
【0108】
印刷制御部116は、用件決定部114が決定した用件に対応する受付番号を生成し、この受付番号を紙等の媒体に印刷するように印刷部15を制御する。
【0109】
また、記憶部12が記憶する情報について具体的に説明する。記憶部12は、用件情報122と、メニュー画面410とを記憶する。
【0110】
用件情報122は、用件決定部114が訪問者のリスク情報に基づいて受付可能な用件を決定するために参照する情報である。用件情報122の具体的な内容については後述する。
【0111】
メニュー画面410は、訪問者に用件を選択させるための画面であり、受付可能な用件に対応するボタンを含む。そして、メニュー画面410は、その受付可能な用件に紐付けられている。このメニュー画面410の具体的な内容についても後述する。
【0112】
図9は、用件情報122の一例を示した図である。図示するように、用件情報122は、リスクと、用件ごとの受付可能かどうかを示す受付可否情報とを対応付けたものとなっている。
【0113】
図では、訪問者が高リスク訪問者である場合に、「高リスク用件#1」及び「高リスク用件#2」は受付可能な用件とせず、「低リスク用件#1」及び「低リスク用件#2」を受付可能な用件とすることが示されている。また、図では、訪問者が低リスク訪問者である場合に、「高リスク用件#1」、「低リスク用件#1」、「高リスク用件#2」、及び「低リスク用件#2」の全てを受付可能な用件とすることも示されている。この場合、「高リスク用件#1」及び「高リスク用件#2」は、例えば、有人取引であり、「低リスク用件#1」及び「低リスク用件#2」は、例えば、無人取引である。
【0114】
(受付機の動作)
図10は、第2の実施の形態における受付機10の第1の動作例を示したフローチャートである。尚、この第1の動作例は、リスク情報として、訪問者のマスクの着用の有無を用いた場合の動作例である。
【0115】
図示するように、受付機10は、例えば図示しない人感センサによって訪問者の接近が検知されると、まず、カメラ20から撮影画像を取得する(ステップ161)。具体的には、リスク情報取得部112が、カメラ20で訪問者の顔の画像を撮影する指示を送信するように通信部14を制御し、通信部14がカメラ20から訪問者の顔の画像を受信すると、その画像を取得する。
【0116】
すると、受付機10は、ステップ161で取得した撮影画像に基づいて、訪問者がマスクを着用しているかどうかを判定する(ステップ162)。具体的には、リスク情報取得部112が、ステップ161で取得した訪問者の顔の画像に対して画像処理を行うことにより、訪問者がマスクを着用しているかどうかを判定する。
【0117】
ステップ162で訪問者がマスクを着用していると判定すれば、受付機10は、高リスク用件及び低リスク用件を、受付可能な用件に決定する(ステップ163)。具体的には、用件決定部114が、用件情報122を参照して、リスク「低」に対応する受付可否情報が「可」となっている用件を特定し、この特定した用件を受付可能な用件に決定する。
【0118】
一方、ステップ162で訪問者がマスクを着用していないと判定すれば、受付機10は、低リスク用件を、受付可能な用件に決定する(ステップ164)。具体的には、用件決定部114が、用件情報122を参照して、リスク「高」に対応する受付可否情報が「可」となっている用件を特定し、この特定した用件を受付可能な用件に決定する。
【0119】
その後、受付機10は、ステップ163又はステップ164で決定した受付可能な用件を含むメニュー画面410を表示する(ステップ165)。具体的には、表示制御部115が、ステップ163又はステップ164で決定された受付可能な用件に紐付けられたメニュー画面410を記憶部12から読み出し、このメニュー画面410を操作表示部13に表示するように制御する。
【0120】
これにより、受付機10は、訪問者がメニュー画面410上で選択した用件を受け付ける(ステップ166)。具体的には、操作受付部111が、訪問者がメニュー画面410上で複数の用件から選択した用件を受け付ける。
【0121】
最後に、受付機10は、ステップ166で受け付けた用件に対応する受付番号を印刷する(ステップ167)。具体的には、印刷制御部116が、ステップ166で受け付けられた用件に対応する受付番号を生成し、この受付番号を印刷部15が印刷するように制御する。
【0122】
図11は、第2の実施の形態における受付機10の第2の動作例を示したフローチャートである。尚、この第2の動作例は、リスク情報として、訪問者の高熱の有無を用いた場合の動作例である。
【0123】
図示するように、受付機10は、例えば図示しない人感センサによって訪問者の接近が検知されると、まず、温度センサ30から測定体温を取得する(ステップ171)。具体的には、リスク情報取得部112が、温度センサ30で訪問者の体温を測定する指示を送信するように通信部14を制御し、通信部14が温度センサ30から訪問者の体温を受信すると、その体温を取得する。
【0124】
すると、受付機10は、ステップ171で取得した測定体温に基づいて、訪問者が高熱があるかどうかを判定する(ステップ172)。具体的には、リスク情報取得部112が、ステップ171で取得した訪問者の体温と基準体温とを比較することにより、訪問者が高熱があるかどうかを判定する。
【0125】
ステップ172で訪問者が高熱がないと判定すれば、受付機10は、高リスク用件及び低リスク用件を、受付可能な用件に決定する(ステップ173)。具体的には、用件決定部114が、用件情報122を参照して、リスク「低」に対応する受付可否情報が「可」となっている用件を特定し、この特定した用件を受付可能な用件に決定する。
【0126】
一方、ステップ172で訪問者が高熱があると判定すれば、受付機10は、低リスク用件を、受付可能な用件に決定する(ステップ174)。具体的には、用件決定部114が、用件情報122を参照して、リスク「高」に対応する受付可否情報が「可」となっている用件を特定し、この特定した用件を受付可能な用件に決定する。
【0127】
その後、受付機10は、ステップ173又はステップ174で決定した受付可能な用件を含むメニュー画面410を表示する(ステップ175)。具体的には、表示制御部115が、ステップ173又はステップ174で決定された受付可能な用件に紐付けられたメニュー画面410を記憶部12から読み出し、このメニュー画面410を操作表示部13に表示するように制御する。
【0128】
これにより、受付機10は、訪問者がメニュー画面410上で選択した用件を受け付ける(ステップ176)。具体的には、操作受付部111が、訪問者がメニュー画面410上で複数の用件から選択した用件を受け付ける。
【0129】
最後に、受付機10は、ステップ176で受け付けた用件に対応する受付番号を印刷する(ステップ177)。具体的には、印刷制御部116が、ステップ176で受け付けられた用件に対応する受付番号を生成し、この受付番号を印刷部15が印刷するように制御する。
【0130】
(画面例)
図12(a),(b)は、第2の実施の形態における受付機10が表示する画面例を示した図である。尚、この画面例は、施設として銀行を想定した場合の画面例である。
【0131】
訪問者が銀行を訪問した時点で、受付機10は、
図12(a)のメニュー画面410aを表示している。この状態で、訪問者が、高リスク訪問者であると判定されたとする。
【0132】
すると、受付機10は、
図12(b)のメニュー画面410bに表示を切り替える。つまり、訪問者は、高リスク訪問者であるため、受付機10は、窓口での手続きのためのボタン411,412を削除し、無人受付機での手続きのためのボタン413,414を残したメニュー画面410bを表示する。
【0133】
(変形例)
上記では、受付機10とは別にカメラ20及び温度センサ30を設けたが、受付機10内部にカメラ20及び温度センサ30を設けてもよい。その場合は、訪問者の感染症の拡大に関するリスク情報を取得する取得部の一例が、受付機10内に存在することとなる。
【0134】
上記では、本発明を受付機10に適用した場合について説明したが、本発明はATM等の金融機器に適用してもよい。その場合は、高リスク訪問者に対して、例えば窓口への誘導が想定される取引のボタンを表示しないようにすることが考えられる。
【0135】
(効果)
第2の実施の形態では、訪問者の感染症に関するリスクを判定し、その判定結果に基づき、訪問者が実行可能な取引を制限するようにした。これにより、訪問者に対するサービス提供機会を最低限確保しながら、感染症の拡大を抑止することが可能となった。
【符号の説明】
【0136】
1…受付システム、10…受付機、11…制御部、111…操作受付部、112…リスク情報取得部、113…誘導先決定部、114…用件決定部、115…表示制御部、116…印刷制御部、12…記憶部、121…誘導先情報、122…用件情報、13…操作表示部、14…通信部、15…印刷部、20…カメラ、30…温度センサ、410…メニュー画面、420…案内画面