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  • 特開-置き畳枠 図1
  • 特開-置き畳枠 図2
  • 特開-置き畳枠 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174427
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】置き畳枠
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
E04F15/02 106A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022096116
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】397005350
【氏名又は名称】株式会社和楽
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 正悦
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA26
2E220AA51
2E220AC01
2E220AD10
2E220AD15
2E220CA02
2E220EA11
(57)【要約】
【課題】 組み立てや解体が容易で、使用中の経時変化に伴う変形を抑制し得る置き畳枠を提供する。
【解決手段】 長さ方向に垂直な断面が矩形または台形の形状を有する、4本の棒状部材を矩形となるように置き畳枠を組み立て、対向する棒状部材を、少なくとも1本の帯状体を介して接合する。帯状体と棒状部材の接合は、棒状部材の一部に形成される凹部からなる接合部に、接着剤や面ファスナーを用いて行う。また、棒状部材同士の接合は、一方の棒状部材に設けられた突出部と、他方の棒状部材に設けられた凹部を嵌合させることで行うので、組み立てや解体の作業が、極めて簡単に行え、置き畳を他の部屋に移設することも容易である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に垂直な断面が矩形または台形の形状を有する、4本の棒状部材が矩形となるように構成されてなる、置き畳枠において、対向する前記棒状部材は、少なくとも1本の帯状体を介して接合されてなることを特徴とする置き畳枠。
【請求項2】
矩形となるように構成されてなる前記4本の棒状部材の、少なくとも一方の対向する前記棒状部材の対は、畳の短辺と略同じ長さと、畳の短辺の略2倍の長さの棒状部材の個片が組み合わされてなることを特徴とする、請求1に記載の置き畳枠。
【請求項3】
前記帯状体の端部は、前記棒状部材の一部に設けられてなる凹部に、接着剤または面ファスナーの少なくともいずれかで接合されてなることを特徴とする、請求項1に記載の置き畳枠。
【請求項4】
前記棒状部材の長さ方向の両端部または一方の端部には、前記長さ方向と直交する方向または前記長さ方向に平行な方向に突出した第一の突出部が設けられ、前記第一の突出部の先端に、前記第一の突出部の長さ方向と幅方向のそれぞれに直交する方向に、第二の突出部が設けられてなる雄型接合部が設けられ、前記棒状部材とは別の棒状部材の、長さ方向の両端部または一方の端部には、長さ方向と平行な方向に設けられ、前記雄型接合部が嵌合する凹形状を有する雌型接合部が設けられ、前記雄型接合部と前記雌型接合の係合により、前記4本の棒状部材が矩形を構成してなることを特徴とする、請求項3に記載の置き畳枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置き畳の敷設に用いる枠に関わり、特に、枠が外側に開く変形の、防止対策を施したものに関する。
【背景技術】
【0002】
畳は、日本で伝統的に使用されている床材であり、現在のような、稲藁を板状に成形した畳床の表面を、イグサで織った畳表で被覆したものは、平安時代から使用されていて、現在では、工業的な生産に向けて、稲藁の一部を、発泡スチロールなどの高分子材料で代替した畳も使用されている。
【0003】
近年、生活様式の変化により、一般住宅では、いわゆるフローリング床が増加し、畳の需要が減少しつつある。その一方で、フローリング床の一部を、和室のようにリフォームするための、置き畳も用いられている。
【0003】
置き畳は、複数枚を緊密に並べて使用する場合が殆どであるが、床面との間での滑りによる位置ずれ防止のため、木材などからなる細長い角材を、矩形に組み立てた置き畳枠に、畳を嵌めることが必要である。このような置き畳枠を用いる上での問題点の一つに、枠を構成する細長い角材が外側に撓むことによる変形がある。
【0004】
また、複数の畳の配置の自由度を増すために、前記の角材をコーナー以外の部分で接続することがあるが、直線形状であるべきところが接続部で曲がることがある。一方で置き畳枠はその使用の態様の特徴から、室内で簡単に組み立て可能であることが望ましい。
【0005】
置き畳枠の例として、特許文献1には、ボードや合成樹脂或いは木材などを使用したコーナー部材、及び同質材による帯状のストレート部材とからなり、上記コーナー部材とストレート部材の各下面に於ける中央付近にはガイド溝を穿設すると共に、上記コーナー部材とストレート部材のガイド溝箇所へ、キー部材を跨設状態に嵌入させることにより一体化させ、適宜大きさ寸法の四角形枠を形成させるものとなしたことを特徴とする置き畳用木枠が開示されている。
【0006】
しかし、ここに開示されている置き畳用木枠は、前記の問題点への対処法が、十分に開示されているものではなく、組み立ても簡単には行えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-332407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、組み立てが容易で、使用に際しての変形を抑制し得る置き畳枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記の課題の解決のため、置き畳枠の新規構造を鋭意検討した結果なされたものである。
【0010】
本発明の一態様に係る置き畳枠は、長さ方向に垂直な断面が矩形または台形の形状を有する、4本の棒状部材が矩形となるように構成されてなる、置き畳枠において、対向する前記棒状部材は、少なくとも1本の帯状体を介して接合されてなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る置き畳枠は、矩形となるように構成されてなる前記4本の棒状部材の、少なくとも一方の対向する前記棒状部材の対は、畳の短辺と略同じ長さと、畳の短辺の略2倍の長さの棒状部材の個片が組み合わされてなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る置き畳枠は、前記帯状体の端部が、前記棒状部材の一部に設けられてなる凹部に、接着剤または面ファスナーの少なくともいずれかで接合されてなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る置き畳枠は、前記棒状部材の長さ方向の両端部または一方の端部には、前記長さ方向と直交する方向または前記長さ方向に平行な方向にに突出した第一の突出部が設けられ、前記第一の突出部の先端に、前記第一の突出部の長さ方向と幅方向のそれぞれに直交する方向に、第二の突出部が設けられてなる雄型接合部が設けられ、前記棒状部材とは別の棒状部材の、長さ方向の両端部または一方の端部には、長さ方向と平行な方向に設けられ、前記雄型接合部が嵌合する凹形状を有する雌型接合部が設けられ、前記雄型接合部と前記雌型接合の係合により、前記4本の棒状部材が矩形を構成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る置き畳枠は、棒状部材の端部に設けられている、雄型と雌型の接合部材を係合するだけで組み立てられるので、家屋内における置き畳の設置場所が任意に選択可能となる。また、対抗する棒状部材を帯状体で接合することで、枠の変形が抑制できるので、置き畳の間に隙間が生じることを抑制したり、隙間が生じることに伴う危険性を減殺したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】 本発明に係る置き畳枠の一例の、床に接する側の面を示す図
図2】 本発明の置き畳枠に接合部材の一例を示す図で、図1におけるA部を拡大した斜視図
図3】 帯状体の棒状部材への接合状態の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、具体的な図を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る置き畳枠の一例の、床に接する側の面を示す図である。ここに示した例は、一般的な、長辺が短辺の2倍である畳であれば、3枚が固定可能で、正方形の畳であれば6枚が固定可能な置き畳枠である。ここでは、6枚の正方形の畳1を、長さが2種類の棒状部材2aと棒状部材2bを組み合わせて用いて固定していて、棒状部材1aの長さは、棒状部材1bの約2倍である。
【0016】
より具体的には、江戸間の畳を想定した場合では、短辺が約880mmなので、棒状部材2bの長さは880mmとなる。また、2種類の棒状部材の幅を50mmとした場合の棒状部材2aの長さは、棒状部材2bの倍に幅を加えた長さ、つまり1810mmとなる。
【0017】
それぞれの棒状部材の組み立ては、前記の雄型接合と雌型接合部の篏合による。図2は、本発明の置き畳枠に接合部材の一例を示す図で、図1におけるA部を拡大した斜視図である。ここに示したように、本発明に係る置き畳枠のコーナー部Aにおいて、棒状部材2aの端部の長さ方向と直交する方向には第一の突起部4a、第一の突起部4aの先端には第二の突起部5aが設けられ、それぞれが、棒状部材2bに設けられた、第一の凹部4aと第二の凹部5bに篏合する。このような組み立て方法なので、本発明に係る置き畳枠は、組み立ても解体も極めて容易である。
【0018】
また、図1に示した例では、棒状部材2と棒状部材2bを接合した部分が、外側に拡がるように変形する可能性がある。これには、帯状体3の接合で対処する。図3は、帯状体3の棒状部材への接合状態の一例を示す斜視図である。帯状体3は置き畳枠が床に接する側に接合するので、棒状部材の床面側にはみ出して、床との間にガタつきが生じないように、棒状部材に設けた凹部6に帯状体接合部7を接合する。
【0019】
帯状体接合部7には、マジックテープ(登録商標)のような面ファスナーのフック側またはループ側8aを取り付け、帯状体の端部にはそれらに対応する、面ファスナーのループ側またはフック側8bを取り付けることで、帯状体3の先端と帯状体接合部7を係止する。帯状体3を接着剤などを用いて、凹部6に直接接合することも可能であるが、置き畳枠の組み立てや解体を考慮すると、望ましくない。
【0016】
棒状部材と帯状体の接合は、接着剤を用いたり、マジックテープ(登録商標)のような面ファスナーを用いたりすることできるが、組み立てや解体することを考慮すると、帯状体の両端の少なくとも一方は、面ファスナーを用いることが望ましい。
【0017】
帯状体の材質としては、経時変化で伸びることがないものが望ましく、ケブラー(登録商標)の糸を平織したテープやポリプロピレンのテープなどが挙げられる。また、これらに限定されるものではないことは勿論である。
【0018】
以上に説明したように、本発明によれば、組み立て、解体の作業が容易で、経時変化が少ない置き畳枠を提供が可能で、置き畳の普及に資するところは大きいと言える。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば棒状部材の組み合わせや帯状体の接合位置を調製するような、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0019】
1 ・・・畳 2a,2b 棒状部材
3 ・・・帯状体
4a ・・・第一の突出部 4b ・・・第一の凹部
5a ・・・第二の突出部 5b ・・・第二の凹部
6 ・・・凹部 7 ・・・帯状体接合部
8a ・・・面ファスナーのフック部またはループ部
8b ・・・面ファスナーのループ部またはフック部
図1
図2
図3