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<図1>
  • 特開-送風装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174430
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/16 20060101AFI20231130BHJP
   F04F 5/54 20060101ALI20231130BHJP
   F04F 5/46 20060101ALI20231130BHJP
   F04F 5/48 20060101ALI20231130BHJP
   F24F 9/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
F04F5/16
F04F5/54
F04F5/46 A
F04F5/48 C
F24F9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110137
(22)【出願日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2022086495
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】村上 季己
(72)【発明者】
【氏名】吉川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】山森 和晃
(72)【発明者】
【氏名】河合 均
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰平
【テーマコード(参考)】
3H079
【Fターム(参考)】
3H079AA18
3H079AA23
3H079BB10
3H079CC30
3H079DD04
3H079DD51
(57)【要約】
【課題】個人が滞在可能な居室空間において還流経路を確保し、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風可能な送風装置を提供する。
【解決手段】フロアボード4と、サイドパネル5と、トップボード6とから形成される居室空間3に設置される送風装置1は、トップボード6側からフロアボード4側に向かって流れる空気を吹き出す4本のトップノズル14と、トップノズル14に送風する送風機20とを備える。4本のトップノズル14は、それぞれ吹出口15が同一面上に位置するように間隙を有して並設され、サイドパネル5に隣接するトップノズル14を第1トップノズル14aとし、第1トップノズル14aに隣接するトップノズル14を第2トップノズル14bとする場合、少なくとも第2トップノズル14bから吹き出す空気の風量が、第1トップノズル14aから吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアボードと、サイドパネルと、トップボードとから形成される居室空間と、前記居室空間へ空気を供給するための給気口と、前記居室空間の空気を排出するための排気口と、を有するブースに設置される送風装置であって、
前記トップボードからオフセットして配置され、前記トップボード側から前記フロアボード側に向かって流れる空気を吹き出すスリット状の吹出口を有する3本以上のトップノズルと、
前記給気口から吸い込んだ空気を前記トップノズルに送風する送風機と、
を備え、
前記3本以上のトップノズルは、それぞれ前記吹出口が同一面上に位置するように間隙を有して並設され、
前記3本以上のトップノズルのうち、前記サイドパネルに隣接する前記トップノズルを第1トップノズルとし、前記第1トップノズルに隣接する前記トップノズルを第2トップノズルとする場合、少なくとも前記第2トップノズルの前記吹出口から吹き出す空気の風量が、前記第1トップノズルの前記吹出口から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御されている、送風装置。
【請求項2】
前記ブースは、前記居室空間に連通する中空空間と、前記居室空間と前記中空空間を区切るインナーパネルとをさらに有し、
前記3本以上のトップノズルは、前記インナーパネルを起点として、前記インナーパネルに対向する前記サイドパネルに向かって延設され、
前記中空空間には、
前記トップノズルへ向かう空気の流れを制御するチャンバと、
前記チャンバと連通するダクトと、
前記給気口から前記ダクト及び前記チャンバを介して前記トップノズルの前記吹出口に向かう気流を生成する前記送風機と、が設けられている、請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記送風機は、前記3本以上のトップノズルごとに設けられている、請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記3本以上のトップノズルは、前記第1トップノズルと前記第1トップノズルに隣接する前記サイドパネルとの間の間隔が、前記第1トップノズルと前記第2トップノズルとの間の間隔よりも大きくなるように前記居室空間内に配置されている、請求項1に記載の送風装置。
【請求項5】
フロアボードと、サイドパネルと、トップボードとから形成される居室空間と、前記居室空間へ空気を供給するための給気口と、前記居室空間の空気を排出するための排気口と、を有するブースに設置される送風装置であって、
前記トップボードからオフセットして配置され、前記トップボード側から前記フロアボード側に向かって流れる空気を吹き出すスリット状の吹出口を有する6本以上のトップノズルと、
前記給気口から吸い込んだ空気を前記トップノズルに送風する送風機と、
を備え、
前記6本以上のトップノズルは、それぞれ前記吹出口が同一面上に位置するように間隙を有して並設され、
前記6本以上のトップノズルのうち、前記サイドパネルに隣接する前記トップノズルを含む前記サイドパネル側に位置する前記トップノズルをトップノズル第一群とし、前記トップノズル第一群に隣接する前記トップノズルを少なくとも含む前記トップノズルをトップノズル第二群とする場合、前記トップノズル第二群の前記吹出口から吹き出す空気の風量が、前記トップノズル第一群の前記吹出口から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御されている、送風装置。
【請求項6】
前記トップノズル第一群は、前記トップノズルの前記吹出口から吹き出す空気の風量が前記トップノズル第二群に近づくにつれて増加するように制御されている、請求項5に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室空間に設けられ、天井面側から床面側へ向けて空気を吹き出す送風装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の送風装置として、吹出方向に沿った直進性の高い気流(以下、これを「面の風」または「面気流」などと呼ぶ場合がある)を生成する送風装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の送風装置は、筐体に、空気を取り入れる吸込口と、高圧空気を発生するための羽根車と羽根車を駆動するためのモータで構成された高圧空気発生部と、筐体の一面から起立させた複数のノズルとを備える。このノズルは、側部に、ノズルを起立させた方向に対して垂直方向に高圧空気発生部で発生した高圧空気を吹き出す吹出口と、高圧空気を吹出口に導くためのダクトを備える。また、このノズルは、垂直方向の断面が吹出方向に縦長であり、複数それぞれの吹出口が同一面となるように間隙を設けて備えられ、この間隙によって、吹出口から吹き出す空気に誘引される空気(誘引空気)の誘引風路が形成される。従来の送風装置では、複数のノズルから吹き出す空気と、誘引風路を流通する誘引空気とによって、吹出方向に沿った直進性の高い気流を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-115629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者らは、送風装置について、新たに以下の認識を得た。
【0006】
個人が滞在可能な居室空間(例えば、個室ブース)に対して、面気流をダウンフローさせるように従来の送風装置を設置すると、限られた空間において誘引風路に誘引される空気を導入する経路となる還流経路を十分に確保できないために、誘引風路に空気が安定して誘引されなくなり、吹出方向に沿った風速の不均一さを生じさせてしまう場合がある。つまり、特許文献1に記載された技術は、面気流を目的の場所まで到達させるという観点からは、改善すべき余地がある。
【0007】
そこで本発明では、個人が滞在可能な居室空間において還流経路を確保し、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風可能な送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る送風装置は、フロアボードと、サイドパネルと、トップボードとから形成される居室空間と、居室空間へ空気を供給するための給気口と、居室空間の空気を排出するための排気口と、を有するブースに設置される送風装置である。送風装置は、トップボードからオフセットして配置され、トップボード側からフロアボード側に向かって流れる空気を吹き出すスリット状の吹出口を有する3本以上のトップノズルと、給気口から吸い込んだ空気をトップノズルに送風する送風機と、を備える。3本以上のトップノズルは、それぞれ吹出口が同一面上に位置するように間隙を有して並設され、3本以上のトップノズルのうち、サイドパネルに隣接するトップノズルを第1トップノズルとし、第1トップノズルに隣接するトップノズルを第2トップノズルとする場合、少なくとも第2トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量が、第1トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御されている。
【0009】
本発明に係る別の送風装置は、フロアボードと、サイドパネルと、トップボードとから形成される居室空間と、居室空間へ空気を供給するための給気口と、居室空間の空気を排出するための排気口と、を有するブースに設置される送風装置である。送風装置は、トップボードからオフセットして配置され、トップボード側からフロアボード側に向かって流れる空気を吹き出すスリット状の吹出口を有する6本以上のトップノズルと、給気口から吸い込んだ空気をトップノズルに送風する送風機と、を備える。6本以上のトップノズルは、それぞれ吹出口が同一面上に位置するように間隙を有して並設され、6本以上のトップノズルのうち、サイドパネルに隣接するトップノズルを含むサイドパネル側に位置するトップノズルをトップノズル第一群とし、トップノズル第一群に隣接するトップノズルを少なくとも含むトップノズルをトップノズル第二群とする場合、トップノズル第二群の吹出口から吹き出す空気の風量が、トップノズル第一群の吹出口から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御されている。
【0010】
これらにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、個人が滞在可能な居室空間において還流経路を確保し、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風可能な送風装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る送風装置が設置されたブースを示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る送風装置により生成される気流の流れを示す側面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る送風装置により生成される気流の流れを示す正面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る送風装置により生成される気流の流れを示す部分断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係る送風装置が設置されたブースを示す斜視図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る送風装置により生成される気流の流れを示す側面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態2に係る送風装置により生成される気流の流れを示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る送風装置は、フロアボードと、サイドパネルと、トップボードとから形成される居室空間と、居室空間へ空気を供給するための給気口と、居室空間の空気を排出するための排気口と、を有するブースに設置される送風装置である。送風装置は、トップボードからオフセットして配置され、トップボード側からフロアボード側に向かって流れる空気を吹き出すスリット状の吹出口を有する3本以上のトップノズルと、給気口から吸い込んだ空気をトップノズルに送風する送風機と、を備える。3本以上のトップノズルは、それぞれ吹出口が同一面上に位置するように間隙を有して並設され、3本以上のトップノズルのうち、サイドパネルに隣接するトップノズルを第1トップノズルとし、第1トップノズルに隣接するトップノズルを第2トップノズルとする場合、少なくとも第2トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量が、第1トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御されている。
【0014】
こうした構成によれば、第1トップノズルからフロアボード側に向かう空気の流れが、風量の大きい第2トップノズルからフロアボード側に向かう空気の流れに引き寄せられ、第1トップノズルに隣接するサイドパネルに沿ってフロアボード側からトップボード側に戻る還流気流による空気の流れと衝突することを抑制することができる。これにより、限られた居室空間において誘引風路に誘引される空気を導入する経路となる還流経路が確保され、誘引風路に空気が安定して誘引されるようになるので、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風することができる。つまり、3本以上のトップノズルからの風量(空気供給量)をコントロールすることで、ブースを構成する狭小の居室空間(例えば、個人が滞在可能な居室空間)において還流経路を確保し、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風可能な送風装置とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る送風装置では、ブースは、居室空間に連通する中空空間と、居室空間と中空空間を区切るインナーパネルとをさらに有する。3本以上のトップノズルは、インナーパネルを起点として、インナーパネルに対向するサイドパネルに向かって延設され、中空空間には、トップノズルへ向かう空気の流れを制御するチャンバと、チャンバと連通するダクトと、給気口からダクト及びチャンバを介してトップノズルの吹出口に向かう気流を生成する送風機が設けられてもよい。こうした構成によれば、送風装置の主要構成部材を中空空間内において居室空間から隠蔽した状態で、ブース外から給気口を介して空気をトップノズルに導入し、トップノズルの吹出口から吹出方向に沿った空気の流れ(面気流)を生成することができる。
【0016】
また、本発明に係る送風装置では、送風機は、3本以上のトップノズルごとに設けられていることが好ましい。このようにすることで、トップノズルの吹出口から吹き出す風量を、3本のトップノズル毎に容易に調整することができる。
【0017】
また、本発明に係る送風装置では、3本以上のトップノズルは、第1トップノズルと第1トップノズルに隣接するサイドパネルとの間の間隔が、第1トップノズルと第2トップノズルとの間の間隔よりも大きくなるように居室空間内に配置されていることが好ましい。このようにすることで、還流気流が流れる還流経路をより確実に確保されるので、トップノズルの吹出口から吹き出される空気が面気流として目的の場所まで到達させることをより促進させることができる。
【0018】
本発明に係る別の送風装置は、フロアボードと、サイドパネルと、トップボードとから形成される居室空間と、居室空間へ空気を供給するための給気口と、居室空間の空気を排出するための排気口と、を有するブースに設置される送風装置である。送風装置は、トップボードからオフセットして配置され、トップボード側からフロアボード側に向かって流れる空気を吹き出すスリット状の吹出口を有する6本以上のトップノズルと、給気口から吸い込んだ空気をトップノズルに送風する送風機と、を備える。6本以上のトップノズルは、それぞれ吹出口が同一面上に位置するように間隙を有して並設され、6本以上のトップノズルのうち、サイドパネルに隣接するトップノズルを含むサイドパネル側に位置するトップノズルをトップノズル第一群とし、トップノズル第一群に隣接するトップノズルを少なくとも含むトップノズルをトップノズル第二群とする場合、トップノズル第二群の吹出口から吹き出す空気の風量が、トップノズル第一群の吹出口から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御されている。
【0019】
こうした構成によれば、トップノズル第一群からフロアボード側に向かう空気の流れが、風量の大きいトップノズル第二群からフロアボード側に向かう空気の流れに引き寄せられ、トップノズル第一群に隣接するサイドパネルに沿ってフロアボード側からトップボード側に戻る還流気流による空気の流れと衝突することを抑制することができる。これにより、限られた居室空間において誘引風路に誘引される空気を導入する経路となる還流経路が確保され、誘引風路に空気が安定して誘引されるようになるので、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風することができる。つまり、6本以上のトップノズルからの風量(空気供給量)をコントロールすることで、ブースを構成する狭小の居室空間(例えば、個人が滞在可能な居室空間)において還流経路を確保し、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風可能な送風装置とすることができる。
【0020】
また、本発明に係る別の送風装置では、トップノズル第一群は、トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量がトップノズル第二群に近づくにつれて増加するように制御されていることが好ましい。これにより、サイドパネルに隣接するトップノズルから吹き出される気流が、これに隣接するトップノズルから吹き出される気流によっても引き寄せられるようになるので、サイドパネルに隣接するトップノズルからの気流がサイドパネルに沿ってフロアボード側からトップボード側に戻る還流気流による空気の流れと衝突することをさらに抑制することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
(実施の形態1)
まず、図1図3を参照して、本発明の実施の形態1に係る送風装置1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る送風装置1が設置されたブース2を示す斜視図である。より詳細には、図1の(a)は、送風装置1が設置されるブース2の構造体を示す斜視図であり、図1の(b)は、送風装置1が設置されたブース2の内部構造を示す透過斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る送風装置1により生成される気流の流れを示す側面図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る送風装置1により生成される気流の流れを示す正面図である。なお、図2では、第1トップノズル14a~第4トップノズル14dを区別せずに気流の流れを示している。
【0023】
ブース2は、少なくとも一人が滞在可能な狭小の空間(居室空間3a)を有し、その天井面側に送風装置1の吹出口を配置した設備ユニットである。この例では、ブース2は、リモート業務あるいは学習を行うための机12及び椅子13等を備える1人用の個室であり、個室ブースとも呼べる。
【0024】
具体的には、ブース2は、図1の(a)に示すように、方形状の筐体であり、フロアボード4と、サイドパネル5と、トップボード6と、インナーパネル7と、扉11と、給気口21と、排気口22と、を有する。また、ブース2の内部には、居室空間3として、居室空間3aと、中空空間3bとを有する。
【0025】
フロアボード4は、ブース2において床面側に配置される方形状の板材である。
【0026】
サイドパネル5は、第1サイドパネル5a、第2サイドパネル5b、第3サイドパネル5c、及び第4サイドパネル5dの4つの方形状の板材によって構成され、フロアボード4の4つの外周端から鉛直方向上方に立設している。
【0027】
第1サイドパネル5aは、扉11が設けられたサイドパネル5であり、第3サイドパネル5cの一側端と第4サイドパネル5dの一側端とを連結する。
【0028】
第2サイドパネル5bは、第1サイドパネル5aと対向する位置に配置されたサイドパネル5であり、第3サイドパネル5cの他側端と第4サイドパネル5dの他側端とを連結する。
【0029】
第3サイドパネル5cは、給気口21が設けられたサイドパネル5であり、第1サイドパネル5aの一側端と第2サイドパネル5bの一側端とを連結する。
【0030】
第4サイドパネル5dは、第3サイドパネル5cと対向する位置に配置され、排気口22が設けられたサイドパネル5であり、第1サイドパネル5aの他側端と第2サイドパネル5bの他側端とを連結する。
【0031】
トップボード6は、サイドパネル5が立設することで形成される開口を覆う方形状の板材である。トップボード6は、フロアボード4に対して上方に設けられ、フロアボード4をブース2における床面とする場合、ブース2における天井面に相当する。
【0032】
ブース2では、フロアボード4と、サイドパネル5と、トップボード6とによって狭小の居室空間3が構成される。居室空間3は、例えば、2m程度の床面積を有する空間である。
【0033】
インナーパネル7は、ブース2における居室空間3を、使用者が滞在する居室空間3aと、後述する送風装置1の主要構成部材を設置する中空空間3bとに区切る方形状の板材である。インナーパネル7は、フロアボード4上において、第3サイドパネル5c側に位置して設けられる。
【0034】
居室空間3aは、ブース2の使用者が入退室及び滞在可能な空間である。より詳細には、居室空間3aは、ブース2の居室空間3における主要な空間であり、フロアボード4と、サイドパネル5(第1サイドパネル5a、第2サイドパネル5b、及び第4サイドパネル5d)と、トップボード6と、インナーパネル7と、扉11とにより構成される。居室空間3aは、例えば、1.5m程度の床面積を有する。また、居室空間3aには、図1の(b)に示すように、机12及び椅子13が所定の位置に配置される。
【0035】
扉11は、居室空間3aに滞在する使用者が入退室する際に使用する道具である。扉11は、第1サイドパネル5aに設けられる。
【0036】
机12は、居室空間3aに滞在する使用者がパソコンあるいは書類などを置いて作業するための道具である。机12は、第4サイドパネル5dに当接するように設けられる。
【0037】
椅子13は、居室空間3aに滞在する使用者が着座するものである。椅子13は、インナーパネル7に当接するように配置される。
【0038】
中空空間3bは、居室空間3aと連通し、送風装置1の主要構成部材を設置する空間である。より詳細には、中空空間3bは、フロアボード4と、サイドパネル5(第1サイドパネル5a、第2サイドパネル5b、及び第3サイドパネル5c)と、トップボード6と、インナーパネル7とにより構成される。中空空間3bは、例えば、0.5m程度の床面積を有する。詳細は後述するが、中空空間3bには、送風装置1の主要構成部材として、チャンバ18、ダクト19、及び送風機20が所定の位置に配置される。
【0039】
給気口21は、外部から居室空間3aに空気を供給するための方形状の開口であり、第3サイドパネル5cのフロアボード4側の位置に設けられる。給気口21は、後述する送風機20が動作することにより、ブース2の外部から空気を吸い込む。なお、給気口21は、矩形としたがこれに限定されず、矩形以外の多角形または円形であってもよい。
【0040】
排気口22は、居室空間3aの空気を外部に排出するための方形状の開口であり、第4サイドパネル5dのフロアボード4側の位置に設けられる。排気口22は、後述する送風機20が動作することにより、居室空間3aから空気を排出する。なお、排気口22は、矩形としたがこれに限定されず、矩形以外の多角形または円形であってもよい。
【0041】
送風装置1は、ブース2における居室空間3a内のトップボード6側からフロアボード4側に向かって流れる空気を吹き出し、居室空間3aにダウンフローの面気流(下降気流)を生成する装置である。
【0042】
具体的には、送風装置1は、図1の(b)に示すように、複数(本実施の形態では4本)のトップノズル14(第1トップノズル14a~第4トップノズル14d)と、トップノズル14に対応するチャンバ18(第1チャンバ18a~第4チャンバ18d)、ダクト19(第1ダクト19a~第4ダクト19d)、及び送風機20(第1送風機20a~第4送風機20d)とを有する。
【0043】
トップノズル14は、送風機20によって搬送される空気が流入する方形状の通風管の一種である。トップノズル14は、トップノズル14の下面に吹出口15を有する。トップノズル14は、居室空間3aのトップボード6側の所定の位置に設置され、トップボード6側からフロアボード4側に向かって流れる空気を吹出口15から吹き出す。より詳細には、トップノズル14は、図2及び図3に示すように、トップボード6からオフセットして配置される。つまり、トップノズル14とトップボード6との間には、所定の空間(後述する負圧領域S3が生じる空間)が形成される。
【0044】
トップノズル14は、図2に示すように、インナーパネル7の上方を起点として第4サイドパネル5dに向かって水平に延設される。この際、トップノズル14は、インナーパネル7を起点とする側においてチャンバ18と連通接続される。
【0045】
ここで、『インナーパネル7の上方』とは、起立した人体の頭部よりも高い位置であって、具体的には居室空間3aにおいてフロアボード4から200cmの高さの位置以上を指し示す。また、『水平に延設される』とは、居室空間3aにおいて床面となるフロアボード4及び天井面となるトップボード6に対して平行となる向きに起立することを指し示す。
【0046】
4本のトップノズル14(第1トップノズル14a~第4トップノズル14d)は、図1に示すように、インナーパネル7の一端から第4サイドパネル5dの一端に向けて並列に配置される。この時、4本のトップノズル14は、図3に示すように、互いに間隙dを有して並設されている。そして、トップノズル14の全体では、第1トップノズル14aと第1サイドパネル5aとの間の間隔Dが、第1トップノズル14aと第2トップノズル14bとの間の間隔dよりも大きくなるように居室空間3a内に配置される。また、第4トップノズル14dと第4サイドパネル5dとの間の間隔Dについても第4トップノズル14dと第3トップノズル14cとの間の間隔dよりも大きくなるように配置される。なお、本実施の形態では、間隔Dを390mmとし、間隔dを146mmとしている。また、トップノズル14の本数は、4本に限られず、少なくとも3本以上であればよい。
【0047】
吹出口15は、トップノズル14の下面に形成されたスリット状の開口である。つまり、吹出口15は、下方に向けて設けられている。そして、吹出口15は、トップノズル14に流入した空気をトップボード6側からフロアボード4に向かって流れる空気を吹き出す。
【0048】
ここで、『下方に向けて』とは、居室空間3aにおいてはフロアボード4と正対することを指し示す。すなわち、吹出口15は、方形状のトップノズル14を形成する面のうち、フロアボード4と正対する面に設けられる。また、吹出口15は、方形状の開口であり、立設する方向が長辺、インナーパネル7と平行な方向が短辺となるように形成されている。吹出口15は、1本のトップノズル14に対して、一つ設けられる。それぞれのトップノズル14に属する吹出口15は、ある水平面を仮想したとき、同一平面上に配置されている。つまり、居室空間3aにおいては、それぞれのトップノズル14に属する吹出口15は、フロアボード4から同じ高さに配置されている。
【0049】
チャンバ18は、トップノズル14とダクト19とを連通接続する筐体である。チャンバ18は、トップノズル14へ向かう空気の流れ(気流の向き)を制御する。より詳細には、チャンバ18は、チャンバ18の側面にトップノズル14が接続され、チャンバ18の下面にダクト19が接続される。チャンバ18は、ダクト19から流入する空気の流れる方向を、トップノズル14へ向かう方向となるように制御する。チャンバ18は、1本のトップノズル14に対して一つが接続される。すなわち、チャンバ18は、トップノズル14と同数の4個が配置される。チャンバ18は、インナーパネル7の上方に配置される。なお、チャンバ18は、トップノズル14とダクト19とを連通接続できれば、特に形状は指定しない。
【0050】
ダクト19は、給気口21から送風機20へ吸い込まれた空気をチャンバ18へ搬送するための通風管である。ダクト19は、一端がチャンバ18に接続し、他端が送風機20に接続する。ダクト19は、一つのチャンバ18に対して1本が配置される。すなわち、ダクト19は、4本が配置される。ダクト19は、例えば公知のフレキシブルダクトが採用可能である。
【0051】
送風機20は、給気口21からダクト19及びチャンバ18を介してトップノズル14の吹出口15へ向かう気流を生成する機器である。送風機20は、例えば、遠心送風機など公知のターボ機械を採用可能である。送風機20は、1本のトップノズル14に対して一つが接続される。すなわち、送風機20は、トップノズル14と同数の4基が配置される。より詳細には、送風機20は、図1に示すように、第1トップノズル14aに空気を送風する第1送風機20aと、第2トップノズル14bに空気を送風する第2送風機20bと、第3トップノズル14cに空気を送風する第3送風機20cと、第4トップノズル14dに空気を送風する第4送風機20dとを有する。
【0052】
第1送風機20aは、第1サイドパネル5aに隣接する位置において、給気口21から第1トップノズル14aへ向かう空気の流れを生じさせ、給気口21から吸い込む空気を、第1ダクト19a及び第1チャンバ18aを介して第1トップノズル14aに供給する。
【0053】
第2送風機20bは、第1送風機20aに隣接する位置において、給気口21から第2トップノズル14bへ向かう空気の流れを生じさせ、給気口21から吸い込む空気を、第2ダクト19b及び第2チャンバ18bを介して第2トップノズル14bに供給する。
【0054】
第3送風機20cは、第2送風機20bに隣接する位置、且つ、第4送風機20dに隣接する位置において、給気口21から第3トップノズル14cへ向かう空気の流れを生じさせ、給気口21から吸い込む空気を、第3ダクト19c及び第3チャンバ18cを介して第3トップノズル14cに供給する。
【0055】
第4送風機20dは、第3送風機20cに隣接する位置、且つ、第2サイドパネル5bに隣接する位置において、給気口21から第4トップノズル14dへ向かう空気の流れを生じさせ、給気口21から吸い込む空気を、第4ダクト19d及び第4チャンバ18dを介して第4トップノズル14dに供給する。
【0056】
ここで、4基の送風機20(第1送風機20a~第4送風機20d)は、それぞれ風量(空気供給量)を調整できる機構を備えている。詳細は後述するが、本実施の形態では、4基の送風機20は、第2送風機20b及び第3送風機20cの送風量が、第1送風機20a及び第4送風機20dの送風量よりも大きくなるように制御されている。
【0057】
以上のように、送風装置1は構成される。
【0058】
なお、送風装置1は、トップノズル14の吹出口15から吹き出される気流が通過する風路上に、ブース2外に含まれる塵埃などを捕集するためのフィルタを備えてもよい。これにより、フィルタを通過する前に比べて塵埃などの異物が含まれる量が少ない空気を居室空間3aへ供給することができる。また、送風装置1がフィルタを備える場合には、送風機20は、フィルタに対して下流側に配置することが好ましい。これにより、送風機20に塵埃などの異物が堆積することを抑制することができる。そのため、送風機20に堆積した塵埃などの異物と水分とによりトラッキング現象が発生する可能性を低減することができる。
【0059】
次に、図2及び図3を参照して、送風装置1の運転動作により生成される気流の流れについて説明する。
【0060】
図2に示すように、送風機20の運転動作が開始されると、ブース2外の空気が、気流AF12となって給気口21から吸い込まれる。給気口21から吸い込まれた空気(気流AF12)は、ダクト19の内部を気流AF13として流通して、チャンバ18へ搬送される。
【0061】
チャンバ18へ搬送された空気(気流AF13)は、チャンバ18によって気流AF13の進行方向を垂直(フロアボード4側からトップボード6側へ向かう)方向から水平(第3サイドパネル5c側から第4サイドパネル5d側へ向かう)方向へ流れの向きが切り換えられる。つまり、チャンバ18へ搬送された空気は、トップノズル14へ向かう空気の流れに制御され、気流AF14としてトップノズル14の内部を流通する。
【0062】
そして、トップノズル14へ流入した空気(気流AF14)は、気流AF15として吹出口15から下方に向けて、即ちフロアボード4に向けて吹き出される。
【0063】
吹出口15から吹き出された空気(気流AF15)は、後述する誘引気流である気流AF21a及び気流AF21bと合わさって面気流である気流AF31として居室空間3a内をフロアボード4に向かって流通していく。気流AF31の詳細については後述する。
【0064】
その後、フロアボード4に到達する空気(気流AF31)の一部は、気流AF31aとして排気口22からブース2外に排気される。また、図3に示すように、フロアボード4に到達する空気(気流AF31)の他の部分は、フロアボード4にて反射されて気流AF31bとなり、サイドパネル5(第1サイドパネル5aまたは第2サイドパネル5b)に沿ってトップボード6に向かう還流気流である気流AF41として流れる。さらに、机12の上面に到達する空気(気流AF31)の一部もまた、机12の上面にて反射して気流AF31cとなる。気流AF31cは、サイドパネル5(第1サイドパネル5aまたは第2サイドパネル5b)に沿ってトップボード6に向かう上昇気流(以下、還流気流とも言う)である気流AF41の一部として流れる。
【0065】
このように、本実施の形態では、居室空間3aの中央領域において気流AF31が下降気流となって流通するのに伴い、居室空間3aの端領域において気流AF41が還流気流となって流通する。つまり、居室空間3aの端領域には、サイドパネル5(第1サイドパネル5aまたは第2サイドパネル5b)の表面近傍に沿って気流AF41が流通する「還流風路」が形成されていると言える。
【0066】
次に、図4を参照して、面気流である気流AF31について説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る送風装置1により生成される気流の流れを示す部分断面図である。なお、本実施の形態では、送風装置1の運転動作が開始されると、第1送風機20a及び第4送風機20dは、いずれも送風量50m/hで作動し、第2送風機20b及び第3送風機20cは、いずれも送風量100m/hで作動するように制御される。
【0067】
図4に示すように、第1送風機20a及び第4送風機20dが作動すると、給気口21からブース2外の空気を吸い込み、第1トップノズル14aの第1吹出口15a及び第4トップノズル14dの第4吹出口15dから気流AF15aがそれぞれ吹き出される。一方、第2送風機20b及び第3送風機20cが作動すると、給気口21からブース2外の空気を吸い込み、第2トップノズル14bの第2吹出口15b及び第3トップノズル14cの第3吹出口15cから気流AF15bがそれぞれ吹き出される。
【0068】
気流AF15aの風量は、第1送風機20a及び第4送風機20dの送風量に対応して約50m/hとなり、気流AF15bの風量は、第2送風機20b及び第3送風機20c送風量に対応して約100m/hとなっている。
【0069】
気流AF15a及び気流AF15bが居室空間3aに吹き出されると、気流AF15a及び気流AF15bの周囲の空間の空気が気流AF15a及び気流AF15bに引き寄せられ、吹き出される風量に応じて、隣り合うトップノズル14の間の空間に負圧領域S1及び負圧領域S2がそれぞれ生成される。より詳細には、第1トップノズル14aと第2トップノズル14bの間の空間に負圧領域S1が生成され、第2トップノズル14bと第3トップノズル14cの間の空間に負圧領域S2が生成され、第3トップノズル14cと第4トップノズル14dの間の空間に負圧領域S1が生成される。ここで、負圧(陰圧とも呼ぶ)とは、周囲に比べて気圧が低い状態のことを指す。つまり、負圧領域S1及び負圧領域S2は、周囲に比べて気圧の低い領域のことである。
【0070】
負圧領域S1及び負圧領域S2が生成されると、負圧を解消しようとする力が働き、トップノズル14の周囲の空間から負圧領域S1及び負圧領域S2を解消するための空気の流れ(気流AF21a及び気流AF21b)が生成される。より詳細には、負圧領域S1に起因して生じる空気の流れが気流AF21aであり、負圧領域S2に起因して生じる空気の流れが気流AF21bである。気流AF21a及び気流AF21bは、誘引気流とも呼ばれる。また、気流AF21aまたは気流AF21bが流れるトップノズル14間の空間は、誘引風路とも呼ばれる。
【0071】
また、居室空間3aのような限られた空間においては、気流AF21a及び気流AF21bの周囲の空間(誘引風路の流入口近傍の空間)の空気が気流AF21a及び気流AF21bによって引き寄せられ、トップノズル14とトップボード6との間の空間に負圧領域S3が生成される。これにより、負圧領域S3を解消するための空気の流れ(気流AF41)が生成される。つまり、負圧領域S3を介して誘引風路に誘引される空気を導入する経路となる還流経路が形成され、誘引風路に空気が誘引されるようになる。なお、気流AF15a及び気流AF15bの風量関係は、気流AF15b>気流AF15aであるため、負圧の大きさは負圧領域S2>負圧領域S1となる。このため、気流AF21a及びAF21bの風量関係は、気流AF21b>気流AF21aとなる。
【0072】
気流AF15a及び気流AF15b、並びに、気流AF21a及び気流AF21bは、居室空間3aにおいて気流全体が合わさって面気流である気流AF31となる。
【0073】
一方、気流AF41は、トップノズル14とトップボード6との間の空間に向かう空気であるが、気流AF15a及び気流AF15b、並びに、気流AF21a及び気流AF21bとは気流の流れる方向が異なり、フロアボード4側からトップボード6に向かう方向の気流(還流気流)となる。このため、気流AF41は、気流AF41と隣接する気流AF15aの流れを乱し、気流の直進性を妨げる要因となり得る。しかしながら、本実施の形態では、気流AF15a及び気流AF15bの風量関係が「気流AF15b>気流AF15a」であるため、気流AF15aが気流AF15aに隣接する気流AF15bに引き寄せられる。これにより、気流AF15aは、気流AF41の影響を受けにくくなるので、気流全体として気流AF31が吹出方向に直線的な気流である面気流を維持することができる。
【0074】
以上、実施の形態1に係る送風装置1によれば、以下の効果を享受することができる。
【0075】
(1)送風装置1は、フロアボード4と、サイドパネル5と、トップボード6とから形成される居室空間3(居室空間3a)と、居室空間3aへ空気を供給するための給気口21と、居室空間3aの空気を排出するための排気口22と、を有するブース2に設置される。送風装置1は、トップボード6からオフセットして配置され、トップボード6側からフロアボード4側に向かって流れる空気を吹き出すスリット状の吹出口15を有する4本のトップノズル14と、給気口21から吸い込んだ空気をトップノズル14に送風する送風機20と、を備える。4本のトップノズル14は、それぞれ吹出口15が同一面上に位置するように間隙を有して並設され、4本のトップノズル14のうち、サイドパネル5に隣接するトップノズル14を第1トップノズル14aとし、第1トップノズル14aに隣接するトップノズル14を第2トップノズル14bとする場合、少なくとも第2トップノズル14bの第2吹出口15bから吹き出す空気の風量が、第1トップノズル14aの第1吹出口15aから吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御されている。
【0076】
こうした構成によれば、第1トップノズル14aからフロアボード4側に向かう空気の流れが、風量の大きい第2トップノズル14bからフロアボード4側に向かう空気の流れに引き寄せられ、第1トップノズル14aに隣接する第1サイドパネル5aに沿ってフロアボード4側からトップボード6側に戻る還流気流(気流AF41)による空気の流れと衝突することを抑制することができる。これにより、限られた居室空間3aにおいて誘引風路に誘引される空気を導入する経路となる還流経路が確保され、誘引風路に空気が安定して誘引されるようになるので、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風することができる。つまり、4本のトップノズルからの風量(空気供給量)をコントロールすることで、ブース2を構成する狭小の居室空間3a(例えば、個人が滞在可能な居室空間)において還流経路を確保し、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風可能な送風装置1とすることができる。
【0077】
なお、第1トップノズル14a及び第2トップノズル14bは、それぞれ請求項の「第1トップノズル」及び「第2トップノズル」に相当するが、第4トップノズル14d及び第3トップノズル14cもまた、それぞれ請求項の「第1トップノズル」及び「第2トップノズル」に相当する。また、4本のトップノズル14は、少なくとも3本以上のトップノズル14であれば同様の効果を享受することができる。
【0078】
(2)送風装置1では、ブース2は、居室空間3aに連通する中空空間3bと、居室空間3aと中空空間3bを区切るインナーパネル7とをさらに有する。4本のトップノズル14は、インナーパネル7を起点として、インナーパネル7に対向する第4サイドパネル5dに向かって延設され、中空空間3bにはトップノズル14へ向かう空気の流れを制御するチャンバ18と、チャンバ18と連通するダクト19と、給気口21からダクト19及びチャンバ18を介してトップノズル14の吹出口15に向かう気流を生成する送風機20が設けられている。こうした構成によれば、送風装置1の主要構成部材を中空空間3b内において居室空間3aから隠蔽した状態で、ブース2外から給気口21を介して空気をトップノズル14に導入し、トップノズル14の吹出口15から吹出方向に沿った空気の流れ(面気流)を生成することができる。
【0079】
(3)送風装置1では、送風機20は、4本のトップノズル14ごとに設けられている。このようにすることで、トップノズル14の吹出口15から吹き出す風量を、4本のトップノズル14毎に容易に調整することができる。
【0080】
(4)送風装置1では、4本のトップノズル14は、第1トップノズル14aと第1トップノズル14aに隣接する第1サイドパネル5aとの間の間隔Dが、第1トップノズル14aと第2トップノズル14bとの間の間隔dよりも大きくなるように居室空間3a内に配置されている。このようにすることで、還流気流(気流AF41)が流れる還流経路をより確実に確保されるので、トップノズル14の吹出口15から吹き出される空気が面気流として目的の場所まで到達させることをより促進させることができる。
【0081】
(実施の形態2)
図5図7を参照して、本実施の形態2に係る送風装置1aについて説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係る送風装置1aが設置されたブースを示す斜視図である。図6は、本発明の実施の形態2に係る送風装置1aにより生成される気流の流れを示す側面図である。図7は、本発明の実施の形態2に係る送風装置1aにより生成される気流の流れを示す部分断面図である。
【0082】
実施の形態1に係る送風装置1は、4本のトップノズル14を有して構成され、サイドパネル5に隣接する第1トップノズル14a(または第4トップノズル14d)の1本と、その内側に位置する第2トップノズル14b(または第3トップノズル14c)との間で風量を異ならせるように制御したが、実施の形態2に係る送風装置1aは、7本(少なくとも6本以上)のトップノズル24を有して構成され、サイドパネル5に隣接する第1トップノズル24aを含む少なくとも2本のトップノズル24(後述するトップノズル第一群)と、それらの内側に位置するトップノズル24(後述するトップノズル第二群)との間で風量を異ならせる制御を行う。これ以外の送風装置1aの構成及び制御方法は、実施の形態1に係る送風装置1と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0083】
実施の形態2に係る送風装置1aは、実施の形態1に係る送風装置1と同様、ブース2における居室空間3a内のトップボード6側からフロアボード4側に向かって流れる空気を吹き出し、居室空間3aにダウンフローの面気流(下降気流)を生成する装置である。
【0084】
具体的には、送風装置1aは、図5に示すように、複数(本実施の形態では7本)のトップノズル24(第1トップノズル24a~第7トップノズル24g)と、トップノズル24に対応するチャンバ28(第1チャンバ28a~第7チャンバ28g)、ダクト29(第1ダクト29a~第7ダクト29g)、及び送風機30(第1送風機30a~第7送風機30g)とを有する。
【0085】
トップノズル24は、送風機30によって搬送される空気が流入する方形状の通風管の一種である。トップノズル24は、トップノズル24の下面に吹出口25を有する。トップノズル24は、居室空間3aのトップボード6側の所定の位置に設置され、トップボード6側からフロアボード4側に向かって流れる空気を吹出口25から吹き出す。より詳細には、トップノズル14は、図6及び図7に示すように、トップボード6からオフセットして配置される。つまり、トップノズル24とトップボード6との間には、所定の空間(負圧領域S3が生じる空間)が形成される。
【0086】
トップノズル24は、図6に示すように、インナーパネル7の上方を起点として第4サイドパネル5dに向かって水平に延設される。この際、トップノズル24は、インナーパネル7を起点とする側においてチャンバ28と連通接続される。
【0087】
7本のトップノズル24(第1トップノズル24a~第7トップノズル14g)は、図5に示すように、インナーパネル7の一端から第4サイドパネル5dの一端に向けて並列に配置される。この時、7本のトップノズル24は、トップノズル14と同じように、互いに隣接するトップノズル24との間の間隔d、及び、サイドパネル5とトップノズル24との間の間隙Dを有して並設されている。なお、トップノズル24の本数は、7本に限られず、少なくとも6本以上であればよい。
【0088】
吹出口25は、トップノズル24の下面に形成されたスリット状の開口である。つまり、吹出口25は、下方に向けて設けられている。そして、吹出口25は、吹出口15と同様、トップノズル24に流入した空気をトップボード6側からフロアボード4に向かって流れる空気を吹き出す。吹出口25は、1本のトップノズル24に対して、一つ設けられる。それぞれのトップノズル24に属する吹出口25は、ある水平面を仮想したとき、同一平面上に配置されている。つまり、居室空間3aにおいては、それぞれのトップノズル24に属する吹出口25は、フロアボード4から同じ高さに配置されている。
【0089】
チャンバ28は、トップノズル24とダクト29とを連通接続する筐体である。チャンバ28は、トップノズル24へ向かう空気の流れ(気流の向き)を制御する。より詳細には、チャンバ28は、チャンバ28の側面にトップノズル24が接続され、チャンバ28の下面にダクト29が接続される。チャンバ28は、ダクト29から流入する空気の流れる方向を、トップノズル24へ向かう方向となるように制御する。チャンバ28は、1本のトップノズル24に対して一つが接続される。すなわち、チャンバ28は、トップノズル24と同数の7個が配置される。チャンバ28は、インナーパネル7の上方に配置される。なお、チャンバ28は、トップノズル24とダクト29とを連通接続できれば、特に形状は指定しない。
【0090】
ダクト29は、給気口21から送風機30へ吸い込まれた空気をチャンバ28へ搬送するための通風管である。ダクト29は、一端がチャンバ28に接続し、他端が送風機30に接続する。ダクト29は、一つのチャンバ28に対して1本が配置される。すなわち、ダクト29は、7本が配置される。ダクト29は、例えば公知のフレキシブルダクトが採用可能である。
【0091】
送風機30は、給気口21からダクト29及びチャンバ28を介してトップノズル24の吹出口25へ向かう気流を生成する機器である。送風機30は、送風機20と同様、例えば、遠心送風機など公知のターボ機械を採用可能である。送風機30は、1本のトップノズル24に対して一つが接続される。すなわち、送風機30は、トップノズル24と同数の7基が配置される。より詳細には、送風機30は、図5に示すように、第1トップノズル24aに空気を送風する第1送風機30aと、第2トップノズル24bに空気を送風する第2送風機30bと、第3トップノズル24cに空気を送風する第3送風機30cと、第4トップノズル24dに空気を送風する第4送風機30dと、第5トップノズル24eに空気を送風する第5送風機30eと、第6トップノズル24fに空気を送風する第6送風機30fと、第7トップノズル24gに空気を送風する第7送風機30gとを有する。
【0092】
第1送風機30aは、第1サイドパネル5aに隣接する位置において、給気口21から第1トップノズル24aへ向かう空気の流れを生じさせ、給気口21から吸い込む空気を、第1ダクト29a及び第1チャンバ28aを介して第1トップノズル24aに供給する。
【0093】
第2送風機30b~第7送風機30gについての説明は省略するが、7基の送風機30(第1送風機30a~第7送風機30g)は、それぞれ風量(空気供給量)を調整できる機構を備えている。詳細は後述するが、本実施の形態では、7基の送風機30は、第3送風機30c~第5送風機30eの送風量が、第1送風機30a、第2送風機30b、第6送風機30f、及び第7送風機30gの送風量よりも大きくなるように制御されている。
【0094】
以上のように、送風装置1aは構成される。
【0095】
なお、送風装置1aは、送風装置1と同様、トップノズル24の吹出口25から吹き出される気流が通過する風路上に、ブース2外に含まれる塵埃などを捕集するためのフィルタを備えてもよい。また、送風装置1aがフィルタを備える場合には、送風機30は、フィルタに対して下流側に配置することが好ましい。
【0096】
次に、図6及び図7を参照して、送風装置1aの運転動作により生成される気流の流れについて説明する。
【0097】
図6に示すように、送風機30の運転動作が開始されると、ブース2外の空気が、気流AF12となって給気口21から吸い込まれる。給気口21から吸い込まれた空気(気流AF12)は、ダクト29の内部を気流AF13として流通して、チャンバ28へ搬送される。
【0098】
チャンバ28へ搬送された空気(気流AF13)は、チャンバ28によって気流AF13の進行方向を垂直(フロアボード4側からトップボード6側へ向かう)方向から水平(第3サイドパネル5c側から第4サイドパネル5d側へ向かう)方向へ流れの向きが切り換えられる。つまり、チャンバ28へ搬送された空気は、トップノズル24へ向かう空気の流れに制御され、気流AF14としてトップノズル24の内部を流通する。
【0099】
そして、トップノズル24へ流入した空気(気流AF14)は、気流AF15として吹出口25から下方に向けて、即ちフロアボード4に向けて吹き出される。
【0100】
吹出口25から吹き出された空気(気流AF15)は、後述する誘引気流である気流AF21a、気流AF21b、及び気流AF21cが合わさって面気流である気流AF31として居室空間3a内をフロアボード4に向かって流通していく。気流AF31の詳細については後述する。
【0101】
その後、フロアボード4に到達する空気(気流AF31)の一部は、気流AF31aとして排気口22からブース2外に排気される。また、送風装置1の場合(図3参照)と同じように、フロアボード4に到達する空気(気流AF31)の他の部分は、フロアボード4にて反射されて気流AF31bとなり、サイドパネル5(第1サイドパネル5aまたは第2サイドパネル5b)に沿ってトップボード6に向かう還流気流である気流AF41として流れる。さらに、机12の上面に到達する空気(気流AF31)の一部もまた、机12の上面にて反射して気流AF31cとなる。気流AF31cは、サイドパネル5(第1サイドパネル5aまたは第2サイドパネル5b)に沿ってトップボード6に向かう上昇気流(還流気流)である気流AF41の一部として流れる。
【0102】
このように、本実施の形態においても、居室空間3aの中央領域において気流AF31が下降気流となって流通するのに伴い、居室空間3aの端領域において気流AF41が還流気流となって流通する。つまり、居室空間3aの端領域には、サイドパネル5(第1サイドパネル5aまたは第2サイドパネル5b)の表面近傍に沿って気流AF41が流通する「還流風路」が形成される。
【0103】
次に、面気流である気流AF31について説明する。なお、本実施の形態では、送風装置1aの運転動作が開始されると、第1送風機30a、第2送風機30b、第6送風機30f、及び第7送風機30gは、いずれも送風量50m/hで作動し、第3送風機30c、第4送風機30d、及び第5送風機30eは、いずれも送風量100m/hで作動するように制御される。
【0104】
図7に示すように、第1送風機30a、第2送風機30b、第6送風機30f、及び第7送風機30gが作動すると、給気口21からブース2外の空気を吸い込み、第1トップノズル24aの第1吹出口25a、第2トップノズル24bの第2吹出口25b、第6トップノズル24fの第6吹出口25f、及び第7トップノズル24gの第7吹出口25gから気流AF15aがそれぞれ吹き出される。一方、第3送風機30c、第4送風機30d、及び第5送風機30eが作動すると、給気口21からブース2外の空気を吸い込み、第3トップノズル24cの第3吹出口25c、第4トップノズル24dの第4吹出口25d、及び第5トップノズル24eの第5吹出口25eから気流AF15bがそれぞれ吹き出される。
【0105】
以下では、第2サイドパネル5bに隣接する第1トップノズル24aと、この第1トップノズル24aに隣接する第2トップノズル24bとを「トップノズル第一群」と呼び、このトップノズル第一群に隣接する第3トップノズル24c及び第4トップノズル24dを「トップノズル第二群」と呼ぶ。なお、第1サイドパネル5aに隣接する第7トップノズル24gと、この第7トップノズル24gに隣接する第6トップノズル24fもまた「トップノズル第一群」と呼び、このトップノズル第一群に隣接する第5トップノズル24e及び第4トップノズル24dもまた「トップノズル第二群」と呼ぶ。
【0106】
気流AF15aの風量は、第1送風機30a、第2送風機30b、第6送風機30f、及び第7送風機30gの送風量に対応してそれぞれ約50m/hとなり、気流AF15bの風量は、第3送風機30c、第4送風機30d、及び第5送風機30eの送風量に対応してそれぞれ約100m/hとなっている。
【0107】
気流AF15a及び気流AF15bが居室空間3aに吹き出されると、気流AF15a及び気流AF15bの周囲の空間の空気が気流AF15a及び気流AF15bに引き寄せられ、吹き出される風量に応じて、隣り合うトップノズル24の間の空間に負圧領域S1a、負圧領域S1b、及び負圧領域S2がそれぞれ生成される。より詳細には、第1トップノズル24aと第2トップノズル24bの間の空間に負圧領域S1aが生成され、第2トップノズル24bと第3トップノズル24cの間の空間に負圧領域S1bが生成され、第3トップノズル24cと第4トップノズル24dの間の空間に負圧領域S2が生成される。また、反対のサイドパネル側においても、第7トップノズル24gと第6トップノズル24fの間の空間に負圧領域S1aが生成され、第6トップノズル24fと第5トップノズル24eの間の空間に負圧領域S1bが生成され、第5トップノズル24eと第4トップノズル24dの間の空間に負圧領域S2が生成される。ここで、負圧(陰圧とも呼ぶ)とは、周囲に比べて気圧が低い状態のことを指す。つまり、負圧領域S1a、負圧領域S1b、及び負圧領域S2は、周囲に比べて気圧の低い領域のことである。
【0108】
負圧領域S1a、負圧領域S1b、及び負圧領域S2が生成されると、負圧を解消しようとする力が働き、トップノズル24の周囲の空間から負圧領域S1a、負圧領域S1b、及び負圧領域S2のそれぞれを解消するための空気の流れ(気流AF21a、気流AF21b、及び気流AF21c)が生成される。より詳細には、負圧領域S1aに起因して生じる空気の流れが気流AF21aであり、負圧領域S1bに起因して生じる空気の流れが気流AF21bであり、負圧領域S2に起因して生じる空気の流れが気流AF21cである。気流AF21a、気流AF21b、及び気流AF21cは、誘引気流とも呼ばれる。また、気流AF21a、気流AF21b、又は気流AF21cが流れるトップノズル24間の空間は、誘引風路とも呼ばれる。
【0109】
また、居室空間3aのような限られた空間においては、気流AF21a、気流AF21b、及び気流AF21cの周囲の空間(誘引風路の流入口近傍の空間)の空気が気流AF21a、気流AF21b、及び気流AF21cによって引き寄せられ、トップノズル24とトップボード6との間の空間に負圧領域S3が生成される。これにより、負圧領域S3を解消するための空気の流れ(気流AF41)が生成される。つまり、負圧領域S3を介して誘引風路に誘引される空気を導入する経路となる還流経路が形成され、誘引風路に空気が誘引されるようになる。なお、気流AF15a及び気流AF15bの風量関係は、気流AF15b>気流AF15aであるため、負圧の大きさは負圧領域S2>負圧領域S1b>負圧領域S1aとなる。このため、気流AF21a、気流AF21b、及び気流AF21cの風量関係は、気流AF21c>気流AF21b>気流AF21aとなる。
【0110】
気流AF15a及び気流AF15b、並びに、気流AF21a、気流AF21b、及び気流AF21cは、居室空間3aにおいて気流全体が合わさって面気流である気流AF31となる。
【0111】
一方、気流AF41は、トップノズル14とトップボード6との間の空間に向かう空気であるが、気流AF15a及び気流AF15b、並びに、気流AF21a、気流AF21b、及び気流AF21cとは気流の流れる方向が異なり、フロアボード4側からトップボード6に向かう方向の気流(還流気流)となる。このため、気流AF41は、気流AF41と隣接する気流AF15aの流れ(第1トップノズル24aからの気流AF15aの流れ、または、第7トップノズル24gからの気流AF15aの流れ)を乱し、気流の直進性を妨げる要因となり得る。しかしながら、本実施の形態では、気流AF15a及び気流AF15bの風量関係が「気流AF15b>気流AF15a」であるため、気流AF15aが気流AF15aに隣接する気流AF15bに引き寄せられる。より詳細には、第2トップノズル24bからの気流AF15aが、第3トップノズル24cからの気流AF15bに引き寄せられるとともに、この影響を受けて第1トップノズル24aからの気流AF15aも引き寄せられる。一方で、第6トップノズル24fからの気流AF15aが、第5トップノズル24eからの気流AF15bに引き寄せられるとともに、この影響を受けて第7トップノズル24gからの気流AF15aも引き寄せられる。これらにより、第1トップノズル24aからの気流AF15a及び第7トップノズル24gからの気流AF15aは、それぞれの気流AF41の影響を受けにくくなるので、気流全体として気流AF31が吹出方向に直線的な気流である面気流を維持することができる。
【0112】
以上、実施の形態2に係る送風装置1aによれば、以下の効果を享受することができる。
【0113】
(1a)送風装置1aは、フロアボード4と、サイドパネル5と、トップボード6とから形成される居室空間3(居室空間3a)と、居室空間3aへ空気を供給するための給気口21と、居室空間3aの空気を排出するための排気口22と、を有するブース2に設置される。送風装置1aは、トップボード6からオフセットして配置され、トップボード6側からフロアボード4側に向かって流れる空気を吹き出すスリット状の吹出口25を有する7本のトップノズル24と、給気口21から吸い込んだ空気をトップノズル24に送風する送風機30と、を備える。7本のトップノズル24は、それぞれ吹出口25が同一面上に位置するように間隙を有して並設され、7本のトップノズル24のうち、サイドパネル5に隣接するトップノズル24を含むサイドパネル5側に位置するトップノズル24をトップノズル第一群とし、トップノズル第一群に隣接するトップノズル24を少なくとも含むトップノズル24をトップノズル第二群とする場合、少なくともトップノズル第二群の吹出口25から吹き出す空気の風量が、トップノズル第一群の吹出口25から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御されている。
【0114】
こうした構成によれば、トップノズル第一群からフロアボード4側に向かう空気の流れが、風量の大きいトップノズル第二群からフロアボード4側に向かう空気の流れに引き寄せられ、トップノズル第一群に隣接するサイドパネル5に沿ってフロアボード4側からトップボード6側に戻る還流気流(気流AF41)による空気の流れと衝突することを抑制することができる。これにより、限られた居室空間3aにおいて誘引風路に誘引される空気を導入する経路となる還流経路が確保され、誘引風路に空気が安定して誘引されるようになるので、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風することができる。つまり、7本のトップノズル24からの風量(空気供給量)をコントロールすることで、ブース2を構成する狭小の居室空間3(例えば、個人が滞在可能な居室空間)において還流経路を確保し、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風可能な送風装置1aとすることができる。
【0115】
なお、第1トップノズル24a及び第2トップノズル24b、並びに、第3トップノズル24c及び第4トップノズル24dは、それぞれ請求項の「トップノズル第一群」並びに「トップノズル第二群」に相当するが、第7トップノズル24g及び第6トップノズル24f、並びに、第5トップノズル24e及び第4トップノズル24dもまた、それぞれ請求項の「トップノズル第一群」並びに「トップノズル第二群」に相当する。また、7本のトップノズル14は、少なくとも6本以上のトップノズル24であれば同様の効果を享受することができる。
【0116】
(2a)送風装置1aでは、ブース2は、居室空間3aに連通する中空空間3bと、居室空間3aと中空空間3bを区切るインナーパネル7とをさらに有する。7本のトップノズル24は、インナーパネル7を起点として、インナーパネル7に対向する第4サイドパネル5dに向かって延設され、中空空間3bにはトップノズル24へ向かう空気の流れを制御するチャンバ28と、チャンバ28と連通するダクト29と、給気口21からダクト29及びチャンバ28を介してトップノズル24の吹出口25に向かう気流を生成する送風機30が設けられている。こうした構成によれば、送風装置1aの主要構成部材を中空空間3b内において居室空間3aから隠蔽した状態で、ブース2外から給気口21を介して空気をトップノズル24に導入し、トップノズル24の吹出口25から吹出方向に沿った空気の流れ(面気流)を生成することができる。
【0117】
(3a)送風装置1aでは、送風機30は、7本のトップノズル24ごとに設けられている。このようにすることで、トップノズル24の吹出口25から吹き出す風量を、7本のトップノズル24毎に容易に調整することができる。
【0118】
(4a)送風装置1aでは、7本のトップノズル24は、第1トップノズル24aと第1トップノズル24aに隣接する第1サイドパネル5aとの間の間隔Dが、第1トップノズル24aと第2トップノズル24bとの間、及び、第2トップノズル24bと第3トップノズル24cとの間の間隔dよりも大きくなるように居室空間3a内に配置されている。このようにすることで、還流気流(気流AF41)が流れる還流経路をより確実に確保されるので、トップノズル24の吹出口25から吹き出される空気が面気流として目的の場所まで到達させることをより促進させることができる。
【0119】
以上、本発明に関して実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0120】
実施の形態1に係る送風装置1では、4本のトップノズル14を用いて説明したが、これに限られない。例えば、3本のトップノズル、あるいは、5本以上のトップノズルを用いて面気流を生じさせるようにしてもよい。こうした場合であっても、3本あるいは5本以上のトップノズルのうち、サイドパネルに隣接するトップノズルを第1トップノズルとし、第1トップノズルに隣接するトップノズルを第2トップノズルと呼ぶ場合、第2トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量が、第1トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御すればよい。このようにすることで、上述した効果を享受することができる。
【0121】
また、5本以上のトップノズルを用いる場合には、5本以上のトップノズルのうち、第1トップノズル及び第2トップノズル以外のトップノズルを第3トップノズルと呼ぶ場合、第3トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量は、第2トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量と同じとなるように制御してもよいし、第2トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御してもよい。このようにすることで、第3トップノズルの吹出口から吹き出す空気(気流)を中心にして面気流として目的の場所まで到達させることができる。
【0122】
また、実施の形態1に係る送風装置1では、4本のトップノズル14毎に送風機を設置したが、これに限られない。例えば、同じ送風量に設定される送風機を共通化して設置するようにしてもよい。また、4本のトップノズルに対して1基の送風機を用いるとともに、チャンバ18にダンパ機能を付与して、各トップノズルに送風する風量を調整するようにしてもよい。
【0123】
また、実施の形態1に係る送風装置1aでは、7本のトップノズル24を用いて説明したが、これに限られない。例えば、6本のトップノズル、あるいは、8本以上のトップノズルを用いて面気流を生じさせるようにしてもよい。こうした場合であっても、6本あるいは8本以上のトップノズルのうち、サイドパネルに隣接するトップノズルを含むサイドパネル側に位置するトップノズルをトップノズル第一群とし、トップノズル第一群に隣接するトップノズルを少なくとも含むトップノズル第二群と呼ぶ場合、トップノズル第二群に含まれるトップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量が、トップノズル第一群に含まれるトップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量よりも大きくなるように制御すればよい。このようにすることで、上述した効果を享受することができる。
【0124】
また、実施の形態2に係る送風装置1aでは、トップノズル第一群に含まれる第1トップノズル24a及び第2トップノズル24bの風量を同じ「約50m/h」としたが、これに限られない。例えば、トップノズル第一群の中で、トップノズルの吹出口から吹き出す空気の風量がトップノズル第二群に近づくにつれて風量を増加するように制御してもよい。具体的は、トップノズル第一群による合計風量が同じとする場合、第1トップノズル24aから吹き出す空気の風量を「約40m/h」とし、第2トップノズル24bから吹き出す空気の風量を「約60m/h」としてもよい。このようにすることで、サイドパネル5に隣接するトップノズル24(第1トップノズル24a)から吹き出される気流AF15aが、これに隣接するトップノズル24(第2トップノズル24b)から吹き出される気流AF15aによっても引き寄せられるようになるので、第1トップノズル24aからの気流AF15aがサイドパネル5に沿ってフロアボード4側からトップボード6側に戻る還流気流(気流AF41)による空気の流れと衝突することをさらに抑制することができる。つまり、第1トップノズル24aからの気流AF15aは、気流AF41の影響をさらに受けにくくなる。
【0125】
また、実施の形態2に係る送風装置1aでは、トップノズル第一群に2本のトップノズル24が含まれる構成で説明したが、これに限られない。例えば、トップノズル第一群に隣接するトップノズル第二群のトップノズル24からの気流AF15bの影響(引き寄せ効果)が、少なくともサイドパネル5に隣接するトップノズル24(例えば、第1トップノズル24a)からの気流AF15aに及ぶ場合には、トップノズル第一群に3本以上のトップノズル24が含まれる構成としてもよい。具体的には、気流AF15bの影響が、サイドパネル5に隣接するトップノズル24からの気流AF15aに及ぶように、並列配置するトップノズル24間の間隔dを狭めたり、気流AF15bと気流AF15aとの間の送風量差を大きくしたりすることで、トップノズル第一群に3本以上のトップノズル24が含まれる構成とすることができる。
【0126】
また、各実施の形態において居室空間3aは、個人が滞在可能な狭小の空間としたが、これに限定されない。例えば、居室空間3aは、1m以上25m以下の空間であればよく、個室ブースに限らず複数人が滞在可能な会議室などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明に係る送風装置は、居室空間において還流経路を確保し、吹出方向に沿った直進性の高い気流を送風可能であるので、個人が滞在可能な狭小の居室空間に設置する送風装置として有用である。
【符号の説明】
【0128】
1 送風装置
1a 送風装置
2 ブース
3 居室空間
3a 居室空間
3b 中空空間
4 フロアボード
5a 第1サイドパネル
5b 第2サイドパネル
5c 第3サイドパネル
5d 第4サイドパネル
6 トップボード
7 インナーパネル
11 扉
12 机
13 椅子
14 トップノズル
14a 第1トップノズル
14b 第2トップノズル
14c 第3トップノズル
14d 第4トップノズル
15 吹出口
15a 第1吹出口
15b 第2吹出口
15c 第3吹出口
15d 第4吹出口
18 チャンバ
18a 第1チャンバ
18b 第2チャンバ
18c 第3チャンバ
18d 第4チャンバ
19 ダクト
19a 第1ダクト
19b 第2ダクト
19c 第3ダクト
19d 第4ダクト
20 送風機
20a 第1送風機
20b 第2送風機
20c 第3送風機
20d 第4送風機
21 給気口
22 排気口
24 トップノズル
24a 第1トップノズル
24b 第2トップノズル
24c 第3トップノズル
24d 第4トップノズル
24e 第5トップノズル
24f 第6トップノズル
24g 第7トップノズル
25 吹出口
25a 第1吹出口
25b 第2吹出口
25c 第3吹出口
25d 第4吹出口
25e 第5吹出口
25f 第6吹出口
25g 第7吹出口
28 チャンバ
28a 第1チャンバ
28b 第2チャンバ
28c 第3チャンバ
28d 第4チャンバ
28e 第5チャンバ
28f 第6チャンバ
28g 第7チャンバ
29 ダクト
29a 第1ダクト
29b 第2ダクト
29c 第3ダクト
29d 第4ダクト
29e 第5ダクト
29f 第6ダクト
29g 第7ダクト
30 送風機
30a 第1送風機
30b 第2送風機
30c 第3送風機
30d 第4送風機
30e 第5送風機
30f 第6送風機
30g 第7送風機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7