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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174435
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】サンプル収集器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20231130BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20231130BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231130BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N33/48 S
G01N33/53 G
G01N33/50 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115893
(22)【出願日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】202210594528.0
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】63/350,572
(32)【優先日】2022-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522291083
【氏名又は名称】杭州博拓生物科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hangzhou Biotest Biotech Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 27, Tuyi Road, Cangqian Street, Yuhang District, Hangzhou, Zhejiang, China
(71)【出願人】
【識別番号】522291094
【氏名又は名称】アドヴィン バイオテック, インク.
【氏名又は名称原語表記】Advin Biotech, Inc.
【住所又は居所原語表記】10237 Flanders Court San Diego, CA 92121, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】王 百龍
(72)【発明者】
【氏名】呉 淑江
(72)【発明者】
【氏名】呉 ▲しゅん▼生
(72)【発明者】
【氏名】李 善穎
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA37
2G045CB07
2G045HA06
2G052AA29
2G052AB23
2G052AD06
2G052BA17
2G052JA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】サンプルの採取又は処理におけるメラミンフォームの応用を提供する。
【解決手段】メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッド、サンプリングブロック又は濾過膜でサンプルを採取又は処理することにより、検出対象への吸着を大幅に低減し、又は検出対象の溶出効果を大幅に高め、サンプルの信頼性を回復することができるため、検出対象への検出感度を向上させ、誤検出又は検出漏れの発生を回避する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを収集する装置であって、サンプルを吸収するためのメラミン材料を含む、装置。
【請求項2】
前記メラミン材料は、メラミン多孔性材料又はメラミン多孔性吸水材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記メラミン多孔性材料は、メラミンフォームを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記メラミンフォームは、平らな膜状構造又は立体的なブロック状構造である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記平らな膜状構造は、円形、四角形、楕円形、及び多角形のうちの任意の1種の濾過膜であり、前記ブロック状構造は、円柱、長方体、立方体、円錐、又は他の任意の3次元体である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記サンプルは、生体から採取された体液、毛髪、筋肉、組織及び臓器のうちの任意の1種である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記体液は、唾液、尿、血液、痰、リンパ液、血漿、精液、肺吸引液、及び脳脊髄液のうちの任意の1種である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記サンプル中の検出対象は、薬物乱用低分子薬物、細胞、核酸、蛋白質、及びアミノ酸のうちの任意の1種である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記薬物乱用低分子薬物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)又はその類似物質を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記テトラヒドロカンナビノールは、Δ9-THC又はΔ9-THC-COOHを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記サンプルの吸収を促進するために端部に親水性繊維充填材が被覆されたロッドを含む、サンプルを採取するための装置であって、前記繊維充填材は、静電場において特定の方向に前記端部に順次堆積されて前記ロッドの端部を被覆するブラシ形層を形成し、前記繊維充填材はロッドの表面に垂直であり、前記繊維はメラミン繊維であることを特徴とする、装置。
【請求項12】
前記ブラシ形層は、同じ厚さを有するため、毛管効果によって前記サンプルを吸収する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記繊維充填材の厚さの範囲は0.5~3mmであり、前記繊維充填材の重量の範囲は1.0~22.0デシテックスである、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記端部の幾何学的形状は円形である、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記端部の幾何学的形状は尖ったドーム状である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、液体サンプル又は細胞で構成されたサンプルの収集を改善するために使用される、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
サンプルを処理する方法であって、サンプルを吸収材料と接触させることを含み、前記吸収材料はメラミン材料を含む、方法。
【請求項18】
吸収材料で前記サンプルを吸収する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルは、唾液、尿、及び血液のうちの1種以上である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
吸収材料でサンプルを吸収した後、吸収材料から前記サンプルの一部を放出する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルの一部を検出又は化学検査する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記放出は、前記吸収材料を押圧し、又は吸収材料を処理液体で溶出することでサンプルを溶解することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
試験素子で放出したサンプル中の分析対象物質を検出する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
試験素子は検出用の免疫学的試験ストリップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記分析対象物質はTHC又はその類似物質を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
サンプルを収集及び/又は処理するためのメラミン材料の用途。
【請求項27】
前記メラミン材料は、メラミン多孔性材料又はメラミン多孔性吸水材料を含む、請求項26に記載の用途。
【請求項28】
サンプル中のTHC又はその類似物質への吸着を低減する収集器を製造するための、メラミン材料の用途。
【請求項29】
前記メラミン材料は、メラミン多孔性材料を含む、請求項28に記載の用途。
【請求項30】
前記メラミン性材料は、メラミンフォームを含む、請求項28に記載の用途。
【請求項31】
前記サンプルは、唾液、尿、血液である、請求項28に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外診断の技術分野に関し、具体的には、メラミンフォームが体外診断での独創性応用に関し、特にメラミンフォームがサンプルの採取又は処理での応用に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプル採取又は処理は体外診断の重要なステップであり、診断結果の正確性及び感度に直接関係する。従来のサンプル採取又は処理において、スポンジヘッドを用いてサンプルを処理し、又は濾過膜を用いてサンプルを濾過し、しかし、スポンジヘッド又は濾過膜は検出対象、特に低含有量、若しくは吸着しやすい検出マーカーに対して吸着作用を有するため、検出対象を検出しにくいことをもたらし、そのため、誤検出又は検出漏れをもたらし、偽陰性又は偽陽性の診断結果を得る。
【0003】
従って、サンプルの採取又は処理過程において、検出対象への吸着を大幅に低減し、又は検出対象の溶出効果を大幅に高め、サンプルの信頼性を回復することができ、検出製品の検出感度を向上させる材料又は該材料を含有する装置を見つけることは緊急需要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の不足に対して、メラミンフォーム(Melamine Foam)がサンプルの採取又は処理での応用を提供し、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッド、サンプリングブロック又は濾過膜でサンプルを採取又は処理する場合、検出対象への吸着を大幅に低減し、又は検出対象の溶出効果を大幅に高めることができるため、検出対象への検出感度を向上させ、誤検出又は検出漏れの発生を回避することである。
【0005】
メラミンフォームは、ナノスポンジ、メラミンスポンジと呼ばれ、メラミンを主な原料として、重合、発泡などのプロセスで製造された、可撓性、弾性、開孔構造を有する吸水性スポンジ材料であり、その特徴は、精密な三次元メッシュ構造を有するように現れ、優れた吸音性、断熱性、耐湿熱性、衛生安全性及び良好な二次加工性などの総合性能を有する。これらの特性により、該製品は、航行分野、電子製品、日常清掃などの分野で広く使用される。
【0006】
従って、一態様で、本発明は、サンプルを収集する装置を提供し、前記装置はサンプルを吸収するためのメラミン材料を含む。いくつかの実施形態では、前記メラミン材料はメラミン多孔性材料を含む。前記メラミン多孔性材料は、メラミンフォームを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記メラミンフォームは、平らな膜状構造又は立体的なブロック状構造である。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記平らな膜状構造は、円形、四角形、楕円形、及び多角形のうちの任意の1種の濾過膜であり、前記立体的なブロック状構造は、円柱、長方体、立方体、円錐、又は他の任意の3次元体である。又はブロック状構造のスポンジヘッド、スポンジブロック、スポンジストリップのうちの任意の1種である。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記サンプルは、生体から採取された体液、毛髪、筋肉、組織及び臓器のうちの任意の1種である。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記体液は、唾液、尿、血液、痰、リンパ液、血漿、精液、肺吸引液、脳脊髄液のうちの任意の1種である。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記サンプル中の検出対象は、薬物乱用低分子薬物、細胞、核酸、蛋白質、アミノ酸のうちの任意の1種である。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記薬物乱用低分子薬物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)又はその類似物質を含む。いくつかの実施形態では、前記THCは、テトラヒドロカンナビノール(Tetrahydrocannabinol)と呼ばれたΔ9-THC、Δ9-テトラヒドロカンナビノール、Δ1-THC(古い命名法に基づく)、ドロナビノール(Dronabinol、化学合成薬)を含む。いくつかの実施形態では、前記薬物乱用低分子薬物は、Δ9-THC-COOH又はΔ9-THCを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、サンプルを採取するための装置を提供し、それは、前記サンプルを吸収するために端部に親水性繊維充填材が被覆されたロッドを含み、前記繊維充填材は、静電場において特定の方向に前記端部に順次堆積されて前記ロッドの端部を被覆するブラシ形層を形成し、前記繊維充填材はロッドの表面に垂直であり、前記繊維はメラミン繊維であることを特徴とする。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記ブラシ形層は、同じ厚さを有するため、毛管効果によって前記サンプルを吸収する。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記繊維充填材の厚さの範囲は0.5~3mmであり、前記繊維充填材の重量の範囲は1.0~22.0デシテックスである。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記端部の幾何学的形状は円形である。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記端部の幾何学的形状は尖ったドーム状である。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記装置は、液体サンプル又は細胞で構成されたサンプルの収集を改善するために使用される。
【0019】
他の態様で、本発明は、サンプルを採取する装置を製造する方法を提供し、それは、接着剤を使用してロッドの端部に繊維層を接着するステップと、前記繊維充填材を静電場中に置き、繊維充填材は前記端部に特定の方向で順次堆積することでブラシ形層を形成するステップであって、前記繊維はメラミン繊維であるステップとを含む。
【0020】
サンプルを処理する方法は、サンプルを吸収材料と接触させるステップを含み、前記吸収材料はメラミンを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、吸収材料で前記サンプルを吸収する。前記サンプルは流体又は液体サンプルである。
【0022】
いくつかの実施形態では、サンプルは、唾液、尿、及び血液のうちの1種以上である。
【0023】
いくつかの実施形態では、吸収材料でサンプルを吸収した後、吸収材料から前記サンプルの一部を放出し、次に放出したサンプル中の分析対象物質を検出する。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記放出は、前記吸収材料を押圧し、又は処理液体で吸収材料を溶出することでサンプルを溶解することを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記検出は、試験素子を利用して放出したサンプルを検出することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、試験素子は検出用の免疫学的試験ストリップを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記分析対象物質はTHC又はその類似物質を含む。
【0028】
他の態様で、本発明は用途を提供し、前記用途は、メラミン材料でサンプルを収集又は/及び処理することを含む。いくつかの実施形態では、前記メラミン材料はメラミン多孔性材料を含む。いくつかの実施形態では、メラミン多孔性材料を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記メラミンフォームは、平らな膜状構造又は立体的なブロック状構造である。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記平らな膜状構造は、円形、四角形、楕円形、及び多角形のうちの任意の1種の濾過膜であり、前記立体的なブロック状構造は、円柱、長方体、立方体、円錐、又は他の任意の3次元体である。又はブロック状構造のスポンジヘッド、スポンジブロック、スポンジストリップのうちの任意の1種である。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記サンプルは、生体から採取された体液、毛髪、筋肉、組織及び臓器のうちの任意の1種である。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記体液は、唾液、尿、血液、痰、リンパ液、血漿、精液、肺吸引液、脳脊髄液のうちの任意の1種である。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記サンプル中の検出対象は、薬物乱用低分子薬物、細胞、核酸、蛋白質、アミノ酸のうちの任意の1種である。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記薬物乱用低分子薬物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)又はその類似物質を含む。いくつかの実施形態では、前記THCは、テトラヒドロカンナビノール(Tetrahydrocannabinol)と呼ばれたΔ9-THC、Δ9-テトラヒドロカンナビノール、Δ1-THC(古い命名法に基づく)、ドロナビノール(Dronabinol、化学合成薬)を含む。いくつかの実施形態では、前記薬物乱用低分子薬物は、Δ9-THC-COOH又はΔ9-THCを含む。
【0035】
本発明の他の態様で、メラミン材料の新しい用途を提供し、それは、THC又はその類似物質への吸着を低減する。いくつかの実施形態では、メラミン材料は、サンプルを収集し、且つサンプル中のTHC又はその類似物質への吸着を低減するために使用される。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記メラミン材料はメラミン多孔性材料を含む。いくつかの実施形態では、前記メラミン材料はメラミンフォームを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記サンプルは、唾液、尿、血液である。
【0038】
別の態様で、本発明は、検出装置を提供し、それは、液体サンプルと接触するためのメラミンフォーム及び試験領域を含有する試験素子を含み、ここで、前記メラミンフォームは試験領域の上流に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。体外診断試薬の研究と生産過程において、メラミンフォームは、診断サンプルの採取及び処理に適用でき、サンプルの採取及び処理過程における検出対象への吸着を大幅に低減し、サンプルの信頼性を回復し、検出対象への検出感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】具体的な実施例における試験ストリップ構造の上面図である。
図2】具体的な実施例における試験ストリップの分解図である。
図3】本発明の薬物乱用検出用の比色カード(標準)である。
図4】THCが20ng/mLの標準品が異なる材料で吸収及び押圧された後、試験ストリップにおける検出領域での蛍光測定値(X1/X2)(実施例2.3)(番号1~3はメラミンフォーム、4~6はポリプロピレンである)である。
図5A】20ng/mLの尿の標準品が異なる材料で吸収された後に押圧によって放出したサンプルの検出結果の対照試験結果図である。
図5B】30ng/mLの尿の標準品が異なる材料で吸収された後に押圧によって放出したサンプルの検出結果の対照試験結果図である。
図6A】100ng/mlのテトラヒドロカンナビノールΔ9-THCの標準溶液のピーク図(10μlのサンプル注入量)である。
図6B】メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドで500μlの100ng/mlのΔ9-THCを吸収し且つ押圧によって放出した後のサンプルの10μlを用いるHLPCのピーク図である。
図6C】ポリプロピレンで製造されたスポンジヘッド(ポリプロピレンスポンジ)で500μlの100ng/mlのΔ9-THCを吸収し且つ押圧によって放出した後のサンプルの10μlを用いるHLPCのピーク図である。
図7】メラミンフォームの赤外スペクトルである。
図8】ポリプロピレンスポンジの赤外スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明による構造又はそれらが使用する技術的用語を更に説明し、特に明記しない限り、当技術分野で一般的に使用される一般的な用語に従って理解及び解釈する。
【0042】
<検出>
「検出」は、ある物質又は材料の有無について化学検査をし、又はある物質又は材料の有無を試験することを指し、例えば、化学物質、有機化合物、無機化合物、新陳代謝産物、薬物又は薬物代謝物、有機組織又は有機組織の代謝物、核酸、蛋白質又はポリマを含むが、それらに限定されない。また、「検出」は、物質又は材料の量を試験すること指す。更に、「化学検査」は、免疫検出、化学検出、酵素検出、ガスクロマトグラム、マススペクトル、核酸増幅などを指す。サンプル中の分析対象物質を検出できる任意の検出ツール、任意の方法、及び任意の装置は、いずれも本発明のサンプル中の分析対象物質の検出のために使用され得る。しかし、これらのサンプルは、検出するために、本発明のメラミンフォーム又はメラミン材料で処理、濾過される。
【0043】
<試料又はサンプル>
本発明のメラミンフォームで収集又は処理されたサンプルは、生物学的液体(例えば、症例の液体又は臨床サンプル)を含む。本明細書で使用される試料又はサンプルは交換可能であり、同じことを意味し得る。それは、任意の液体サンプル又は流体サンプルであり得、排泄物、生物学的組織、食品サンプルなど、固体又は半固体のサンプルから採取できる。任意の適切な方法で固体又は半固体のサンプルを液体サンプルに変換することができ、それは、例えば、混合、スタンプ粉砕、浸軟、培養、溶解、又は適切な溶液(例えば、リン酸塩溶液又は他の緩衝液)に酵素分解作用で固体サンプルを消化することである。「生物学的サンプル」は、動物、植物及び食品サンプルを含み、例えば、ヒト又は動物の尿、唾液、血液及びその成分、脊髄液、膣分泌物、精子、糞便、汗、分泌物、組織、臓器、腫瘍、組織及び臓器培養物、細胞培養物及び媒体を含む。好ましい生物学的サンプルは尿であり、好ましくは、生物学的サンプルは唾液である。「食品サンプル」は、食品加工用の物質、完成品、チーズ、酒、牛乳及び飲み水を含む。「植物サンプル」は、任意の植物、植物組織、植物細胞培養物及び媒体を含む。「環境サンプル」は、環境から採取されるもの(例えば、湖や他の水体からの液体サンプル、汚水サンプル、土壌サンプル、地下水、海水及び廃液サンプル)である。「環境サンプル」は、汚水又は他の廃水を含み得る。
【0044】
本発明の適切なメラミンフォームを利用し、任意のサンプルを収集又は処理することができ、従って、分析対象物質の吸着作用を低減する。好ましくは、本発明のメラミンフォームを利用して唾液、尿中の低分子薬物を収集する。当然ながら、本発明のメラミンフォームを利用し、液体又は液体サンプルがメラミンフォームによって吸収され得る限り、最初は固体であろうと液体であろうと、上記の任意形態のサンプルを採取することができる。
【0045】
試験素子を利用して検出する場合、一般的に、試験素子はサンプル注入領域を有し、本明細書で使用されるサンプル注入領域は一般的に吸水性材料で製造され、吸収素子の材料の毛管又は他の特性により、液体サンプル又は流体サンプルを吸収でき、それによって流体サンプルはサンプル注入領域で流れる。流体サンプルのサンプル注入領域の材料は液体を吸収できる任意の材料であり得、それは例えば、本発明のメラミンフォーム、又はメラミンフォームと混合したスポンジ、濾過紙、ポリエステル繊維、ゲル、不織布、綿、ポリエステル薄膜、糸であり、以上の非メラミンフォームの吸水材料にメラミンフォームを加えるため、これらの吸水材料がサンプル中の分析対象物質への吸着作用を低減することができる。検出を必要とする場合、サンプル注入領域に緩衝溶液を加えることでサンプルを溶解し、それによって溶解したサンプルは試験素子又は検出素子に流れる。
【0046】
<下流及び上流>
下流及び上流は液体の流れ方向に応じて分けられ、一般的に、液体又は流体は上流から下流領域まで流れる。下流領域に位置して上流領域からの液体を受け、液体も上流領域に沿って下流領域まで流れることができる。ここで、一般的に、液体の流れ方向に応じて分けられ、例えば、毛管力を利用して液体の流れを促進するいくつかの材料に、液体は重力を克服して重力の反対方向へ流れることができ、この場合、液体の流れ方向に応じて上流及び下流を分ける。例えば、本発明の検出装置において、試験素子は流体サンプル又は液体サンプルを吸収した後、流体は試験素子のサンプル添加領域101から試験素子1の検出領域103まで流れることができ、この場合、液体がサンプル注入領域101から検出領域103まで流れることは上流から下流まで流れることであり、流れの過程において、試験領域102を経て、試験領域には検出領域105及び検出結果制御領域106を有する。検出領域は、ポリエステル繊維薄膜であり得、サンプル添加領域はガラス繊維であり得る。この場合、サンプル注入領域又は吸収領域101は試験素子のサンプル添加領域の上流に位置する。
【0047】
<試験素子>
いわゆる「試験素子」は、サンプル又は試料には興味のある分析対象物質が含まれるかどうかを検出するための素子を指し、この検出は、免疫学、化学、電気学、光学、分子、核酸、物理学などの任意の技術的原理を基とすることができる。本発明によって提供されたメラミンフォームを利用してサンプルを収集又は処理した後、メラミンフォームを経たサンプルを試験素子に注入してから試験又は化学検査することができる。
【0048】
本明細書で使用される試験素子は、ラテラルフロー(Latteral flow)の検出用試験紙を選択でき、それは数種の分析対象物質を検出できる。もちろん、他の適切な試験素子も本発明で使用することができる。各種の試験素子を組み合わせて本発明で使用することができる。1つの形態は、検出用試験紙である。サンプル中の分析対象物(例えば、違法薬物又は病状を示す代謝物)を分析するための検出用試験紙は、免疫測定又は化学分析などの各種の形態であり得る。検出用試験紙は、非競合モード又は競合モードで分析できる。一般的に、検出用試験紙は、サンプル添加領域を備えた吸水性材料、試薬領域及び試験領域を含む。流体又は液体サンプルをサンプル添加領域に添加し、毛管作用で試薬領域に流れ込む。試薬領域において、分析対象物質がある場合、サンプルは試薬に結合する。次に、サンプルは、試験領域に流れ込む。分析対象物に特異的に結合する分子などの他の試薬は、検出領域に固定化される。これらの試薬は、サンプル中の分析対象物(存在する場合)と反応して該領域の分析対象物に結合するか、試薬領域の試薬の1つに結合する。検出シグナルを表示するためのマーカーは、試薬領域又は別のマーカー領域に存在する。
【0049】
典型的な非競合分析モードでは、サンプルには分析対象物が含まれる場合、シグナルを生成し、分析対象物が含まれない場合、シグナルを生成せず、サンプル中の分析対象物の濃度がある閾値を超える分析対象物の数は多ければ多いほど、シグナルの強度は強くなっている。競合モードでは、サンプルには分析対象物が含まれない場合、シグナルを生成し、分析物が含まれる場合、シグナルを生成せず、同様に、サンプル中の分析対象物の濃度がある閾値を超える分析対象物の数は多ければ多いほど、位置するシグナル領域で生成されたシグナルは弱くなっている。本明細書で使用される「閾値」は、臨床又は汎用の数値であり、異なる状況に応じて調整可能であり、例えば、競合モードによって分析対象物質の検出を行う場合、金色粒子(黒色又は紫色)をシグナル生成マーカーとして用い、一般的に、サンプル中の濃度が閾値を超える場合、シグナルを生成しないことを期待し、陽性結果を示し、サンプル中の濃度が閾値より小さい場合、シグナルを生成することを期待し、陰性結果を示し、シグナルの形態は、線、原点又は他の任意の形態であってもよい。色付けの線を有する場合、標準比色カードを使用して色の濃度を比較し又は色の深さを利用して陰性結果又は陽性結果の標準を判断し、一般的に、サンプル中の分析対象物質は少なければ少ないほど、色付けの線の濃度は深くなり、逆に、サンプル中の分析対象物質は多ければ多いほど、色付けの線の濃度は浅くなり、それによってサンプル中の分析対象物質の含有量のレベル又は濃度を示す。
【0050】
試験素子は、検出用試験紙であってもよく、吸水性又は非吸水性材料を選択することができる。検出用試験紙は、液体サンプルを輸送するための数種の材料を含み得る。そのうち1種の検出用試験紙の材料は、別の種類の材料に被覆することができ、例えば、濾紙はニトロセルロースフィルター膜に被覆することができる。検出用試験紙の1つの領域は、1種以上の材料を選択することができ、他の1つの領域は、他の異なる1種以上の材料を選択することができる。検出用試験紙をつまむ強度を向上させるために、検出用試験紙をある支持物又は硬い表面に粘着させることができる。
【0051】
シグナル生成システムによって分析対象物を検出し、例えば、本分析対象物と特異反応が発生する1種以上の酵素、前述するように特異的結合物質を検出用試験紙に固定化する方法を利用し、1種以上のシグナル生成システムの合わせ物を検出用試験紙の分析対象物の検出領域に固定化する。シグナルを生成する物質は、サンプル添加領域、試薬領域、若しくは検出領域、又は検出用試験紙全体にあることができ、該物質は、検出用試験紙の1種以上の材料に十分に流れ込むことができる。シグナル物質を含有する溶液を試験紙の表面に添加し、又は試験紙の1種以上の材料をシグナル物質を含有する溶液に浸す。シグナル物質を含有する溶液が添加された試験紙を乾燥させる。本明細書で使用されるシグナルは任意のシグナルシステムであり得、それは、例えば、金色粒子、ラテックス粒子又は色染料などの色付けの粒子であり得、当然ながら、蛍光物質であり得る。
【0052】
検出用試験紙の各領域は、サンプル添加領域101、試薬領域、検出領域103、制御領域、サンプル不純化の検査領域、液体サンプル吸収領域という順序に応じて並べられる。制御領域は、検出領域の後に位置する。全ての領域は、1種の材料のみを使用する1つの試験紙に配置されてもよい。異なる領域は異なる材料を使用してもよい。各領域は液体サンプルに直接接触することができ、又は異なる領域は液体サンプルの流れ方向に応じて並べられ、各領域の末端と他の1つの領域の前端を接続し且つ重ねる。使用した材料は、濾紙、ガラス繊維、ニトロセルロースフィルター膜など、吸水性に優れた材料であってもよい。検出用試験紙は他の形態を使用することができる。
【0053】
一般的に、通常の試薬ストリップは、ニトロセルロースフィルター膜の試薬ストリップであり、即ち、検出領域はニトロセルロースフィルター膜(NC)を含み、ニトロセルロースフィルター膜に特異的結合分子を固定化することによって検出結果を示し、また、セルロースアセテート膜又はナイロン膜などであってもよい。例えば、以下の特許出願は試薬ストリップ又は試薬ストリップを備えた装置を説明する。US 4857453、US 5073484、US 5119831、US 5185127、US 5275785、US 5416000、US 5504013、US 5602040、US 5622871、US 5654162、US 5656503、US 5686315、US 5766961、US 5770460、US 5916815、US 5976895、US 6248598、US 6140136、US 6187269、US 6187598、US 6228660、US 6235241、US 6306642、US 6352862、US 6372515、US 6379620及びUS 6403383。以上の特許出願によって開示された試験ストリップ及び試験ストリップを備えた同様の装置は、サンプル中の分析対象物質の検出などの分析対象物質の検出を行うために、いずれも本発明の試験素子に適用できる。
【0054】
本発明が使用した検出用試薬ストリップは、通常のラテラルフロー用試薬ストリップ(Lateral flow test strip)であってもよく、これらの検出用試薬ストリップの具体的な構造及び検出原理は、従来技術の当業者によく知られている。通常の検出用試薬ストリップ(図1)は、サンプル収集領域又はサンプル添加領域101、マーカー領域(図示せず)、検出領域103及び吸水領域を含み、サンプル収集領域は、サンプル受取パッドを含み、マーカー領域はマーカーパッドを含み、吸水領域は吸水パッドを含み、ここで、検出領域は、免疫試薬や酵素化学試薬など、分析対象物質が含まれるかどうかを検出するための必要な化学物質を含む。一般的に、通常の検出用試薬ストリップは、ニトロセルロースフィルター膜の試薬ストリップであり、即ち、検出領域103はニトロセルロースフィルター膜と、ニトロセルロースフィルター膜に特異的結合分子を固定化することによって検出結果を示す領域とを含み、また、セルロースアセテート膜又はナイロン膜などであってもよく、当然ながら、検出領域の下流は検出結果制御領域を更に含み、通常、制御領域及び検出領域に現れた横線は、検出線又は制御線である。このような検出用試薬ストリップは、従来の試薬ストリップであり、当然ながら、毛管作用を利用して検出する別の種類の試薬ストリップであってもよい。また、一般的な検出用試薬ストリップには、固定化された抗体や他の試薬などの乾燥した化学試薬成分を有し、液体があれば、液体は毛管作用で試薬ストリップに沿って流れ、その流れで、乾燥した試薬成分が液体に溶解し、従って、該領域における乾燥した試薬の反応を次の領域で処理し、必要な検出を行う。液体の流れは主に毛管作用で行われる。ここでは、それらはいずれも、本発明の検出装置に適用でき、又は液体サンプルと接触するための検出キャビティに配置され、又は検出キャビティに入った液体サンプル中の分析対象物質の有無又はその量を検出するために使用される。
【0055】
上記の試験ストリップ又はラテラルフロー用試験ストリップ自体を使用して液体サンプルに接触させ、液体サンプルには分析物が含まれるかどうかを試験することを除いて、本発明の試験素子自体は、サンプル中の分析対象物質を検出するための検出装置として使用することができるので、ここでの検出装置自体は、試験素子と同等である。例えば、流体サンプルと処理液を混合した後、試験素子で直接検出する。以下の具体的な説明では、受取装置が流体サンプルを処理する場合、試験素子は検出に独立して使用できる。
【0056】
<分析対象物質>
本発明による分析対象物質の例は、いくつかの低分子物質を含み、これらの低分子は、違法薬物(例えば、薬物乱用)を含む。「薬物乱用(DOA)」は、非医療目的での薬物の使用を指す(通常、神経を麻痺させるように作用する)。これらの薬物の乱用は、身体的及び精神的な損傷、強迫的な使用、依存症、及び/又は死につながる可能性がある。薬物乱用の例は、コカイン、アンフェタミンAMP(例えば、黒美人、白いアンフェタミン錠、デキストロアンフェタミン、右旋性アンフェタミン錠、Beans)、メタンフェタミンMET(crank、N-メチルアンフェタミン、crystal、speed)、バルビツール酸塩BAR(例えば、Valium(登録商標)、Roche Pharmaceuticals、Nutley、New Jersey)、鎮静剤(即ち睡眠補助剤)、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、抑制剤(downers、goofballs、barbs、blue devils、yellow jackets、メタカロン)、三環系抗うつ薬(TCA、即ちイミプラミン、アミトリプチリン、及びドキセピン)、メチレンジオキシメタンフェタミンMDMA、フェンシクリジン(PCP)、テトラヒドロカンナビノール(THC、pot、dope、hash、weedなど)、アヘン剤(即ち、モルヒネMOP、又はアヘン、コカインCOC、ヘロイン、オキシコドン)、抗不安薬及び鎮静催眠薬を含み、抗不安薬は、主に不安、緊張、恐怖を軽減し、感情を安定させ、催眠及び鎮静効果を果たす薬物で、ベンゾジアゼピンBZO(benzodiazepines)、非定型BZ系薬、融合ジアゼピンNB23C系薬、ベンゾジアゼピン系薬、BZ受容体のリガンド系薬、開環BZ系薬、ジフェニルメタン誘導体、ピペラジンカルボキシレート系薬、ピペリジンカルボキシレート系薬、キナゾリノン系薬、チアジン及びチアゾール誘導体、他のヘテロ環系薬、イミダゾール系の鎮静・鎮痛剤(例えば、オキシコドンOXY、メタドンMTD)、プロピレングリコール誘導体(ウレタン系薬)、脂肪族化合物、アントラセン誘導体などを含む。本発明の検出装置は、三環系抗うつ薬(イミプラミン又は類似物)及びアセトアミノフェンなど、医療用途に属するが服用しやすい薬物の過剰摂取の検出にも使用できる。これらの薬物は、人体に吸収された後、代謝されて低分子物質になり、これらの低分子物質は、血液、尿、唾液、汗などの体液に含まれ、又は体液の一部に上記低分子物質が含まれる。
【0057】
例えば、本発明で検出された分析対象物は、クレアチニン、ビリルビン、亜硝酸塩、蛋白質(非特異的)、ホルモン(例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、プロゲステロン、卵胞成熟ホルモンなど)、血液、白血球、糖、重金属又は毒素、細菌物質(例えば、特異的細菌に対する蛋白質及び糖質など、大腸菌0157:H7、ブドウ状球菌、サルモネラ菌、クロストリジウム属、カンピロバクター属、L.monocytogenes、ビブリオ属、又はセレウス菌)、及び尿サンプル中のpHや比重などの生理学的特性に関連する物質を含むが、それらに限定されない。他の任意の臨床的尿化学分析は、いずれもラテラルフロー検出手段と本発明の装置との組み合わせによって検出することができる。
【0058】
<メラミン材料>
本明細書に記載のメラミン材料の主な成分はメラミンフェノール樹脂(Melamine resin、Melamine and phenolic resin )であり、主にメラミン、フェノール及びホルムアルデヒドの共重縮合生成物である。本発明においてサンプルを処理又は収集するための材料は、メラミンを主原料として重合することによって得られた材料、又はホルムアルデヒド及びメラミンを原料として直接合成することによって得られた材料である。いくつかの実施形態では、本発明の材料は、ホルムアルデヒド及びメラミンを原料として直接合成した後、発泡プロセスによって生成された多孔性材料である。本明細書で使用される「発泡」は、任意の従来手段で微小孔又は多孔をゆする材料を製造できることであり、発泡プロセスも従来技術であり、例えば、発泡樹脂、発泡助剤及びバインター樹脂(完成品を接着性にするため)を混合し、発泡加工を行い、80部のエチレン酢酸ビニル(EVA)、20部のAPAO PT 3385、20部のアゾジカルボンアミド、19部のCaCO、0.6部のジクミルパーオキサイドを混合し、金型に置いて発泡し、且つ機械力で独立気泡を破壊することにより、発泡スポンジを得ることができる。その密度(d)は一般的に0.028g/cmであり、25%の圧縮硬度は、1.9KPaである。発泡と同様に、同じ材料は異なる製造プロセスによって異なるものを製造することができる。発泡プロセスを実施する方法はまた、中国特許出願第CN110774604B号に記載の方法を参照することができ、該特許出願の明細書の任意の技術は、発泡スポンジを製造するための本発明の具体的な実施形態として使用することができる。発泡材料の生産プロセスは、中国特許出願第CN107553920A号に記載の任意の技術的解決手段を参照して実行することもでき、該特許出願は具体的に発泡スポンジの孔開け方法を開示し、本特許出願に開示された方法によって生産された発泡材料はまた、本発明のメラミン材料の発泡処理のために使用され得る。理解すべきものとして、発泡プロセスは、多孔性材料を生産するためのプロセスに過ぎず、当然ながら、他の任意の方法を使用して多孔性材料を生産することができる。
【0059】
当然ながら、いくつかの実施形態では、メラミンフォーム材料と呼ばれた本発明のメラミン材料又はメラミン多孔性材料は商業購入可能であるのは、現在、多くの会社がこのような材料を専門生産するからである。カスタム加工であってもよく、メーカーにホルムアルデヒドとメラミンとの比、又は必要な多孔のサイズ、単位体積あたりの多孔の数などを提供し、そのように、必要な多孔性を製造することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用されるメラミン材料は多孔性吸水材料である。本明細書で使用される「吸水」は、液体を吸収することで液体を材料中に保持させることを指す。一般的に、毛管作用によってサンプルを吸収する。いくつかの実施形態では、多孔性材料によって液体を吸収した後、更に多孔性材料から液体を放出することができる。本明細書で使用される「放出」は、物理的手段で多孔性材料を押圧し、液体を多孔性材料から流れ出させることである。又は、いくつかの液体で多孔性材料を浸漬し、材料に吸収された液体サンプルを処理液体中に溶解し、この処理液体は液体サンプルではないが、サンプルを溶解するための試薬であり、例えば、PH調整試薬、緩衝液、溶解液を含む。押圧手段も様々であり、多孔性材料の体積をある時点で小さくさせる任意の手段により、吸収された液体サンプルを多孔性材料から放出させることができるのは、多孔性材料を圧縮し、液体をその中から流れ出させるからである。
【0061】
既存の伝統産業では、ナノスポンジ又はメラミンスポンジとしても知られているいわゆるメラミンフォームは、国際では、1990年代に成功に開発した新型の吸音、断熱、保温材料である。メラミンフォームは、吸音性、断熱性、防火性に優れただけでなく、ガラスウール、ポリウレタンフォームなどの同様の製品と比較すると、高い難燃性、環境にやさしく、衛生的、安全であるという利点もある。
【0062】
しかし、本発明の発明者は、このような特別な材料でサンプルを吸収、処理する場合、分析対象物質への吸着作用を低減することができることを発見した。特にサンプル中に、テトラヒドロカンナビノール(THC)などの物質を含有する場合の吸着作用はよく改善される。従来の薬物乱用試験において、テトラヒドロカンナビノールの吸着が難問であるのは、従来の収集器の材料がサンプル中のTHC(テトラヒドロカンナビノール)に対して吸着作用を有し、検出漏れ又は偽陰性をもたらすからである。例えば、サンプル中のTHCの濃度がAの場合、従来の収集器で収集され且つ収集器から押し出されたサンプル中のTHCの含有量は、Aより小さく、又はAよりはるかちいさく、このように、得られた試験値とサンプルの実際の値は誤差があり、この誤差検出漏れをもたらす。特に体外診断試薬を用いる製品において、一般的に、収集器でサンプルを収集し、収集器からサンプルを押し出し、次に押し出したサンプルを試験する。収集器のサンプル吸収用材料は吸着作用を有し、その結果、検出漏れ又は偽陰性の場合が多い。当然ながら、ある場合で、収集器でサンプルを収集する必要がなく、しかし、サンプルを検出する前、前処理が必要であり、例えば、濾過、溶解、溶接によってサンプル中の不純物を除去した後に試験し、使用した濾過材料は分析対象物質を吸着できるため、試験結果と実際の結果との誤差をもたらす可能性がある。本発明のメラミン材料でサンプルを収集し、処理した後、分析対象物質、特にTHCの吸着量が少なく、得られた検出値はサンプルの実際の値に近く、検出漏れ又は偽陰性などの間違い結果を回避することを発現する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「テトラヒドロカンナビノール」は、一般的に、その分子式がC21H30O2であり、化学構造が以下のとおりであるΔ9-THC(Δ9-テトラヒドロカンナビノール)又はそのいくつかの類似物質を含む。
【化1】
【0064】
他のいくつかの実施形態では、本明細書で使用される「テトラヒドロカンナビノール」は、一般的に、その分子式がC21H28O4であり、化学構造が以下のとおりである11-デメチル-Δ9-テトラヒドロカンナビノール-9-カルボン酸(11-nor-Δ9-THC-9COOHΔ9-テトラヒドロカンナビノール)又はそのいくつかの類似物質を含る。
【化2】
【0065】
本明細書で使用された類似物質は主に主体構造がテトラヒドロカンナビノールと類似するが、化学空間構造のグループが異なる置換基を有することで異なる化学物質であり、しかし、その主体構造はテトラヒドロカンナビノールと同じ又は類似する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明で使用されるメラミン材料によってサンプルを収集又は処理する場合、分析対象物質への吸着作用を低減することができる。本明細書で使用される「収集」は、メラミンを含有する材料で作られ又は製造された収集器でサンプル又は流体を吸収し、吸収した後に収集器から押し出された液体サンプル、又は吸収器から溶出した液体サンプルを収集することを指す。この収集は、サンプルを吸収し、又は人体若しくは生体からサンプルを吸収することであり、例えば、ヒト又は哺乳動物の口腔から唾液、痰のサンプルを収集し、又はヒトの尿、糞便のサンプルから一部のサンプルを採取し、後の検出に備える。当然ながら、本発明のメラミン材料を使用して固体サンプル又は半固体サンプルを直接収集し、次に乾燥させた後、貯蔵又は輸送し、検出の必要がある場合、液体で収集器におけるサンプルを溶解し、それを液体サンプルの形態にさせる。いくつかの実施形態では、メラミン材料を含有する多孔材料を使用して液体又は流体サンプルを吸収することができ、次に検出場所に貯蔵又は輸送し、検出する前、多孔材料から流体サンプルを押し出し、次に流体サンプルを検出する。いくつかの実施形態では、収集器のサンプル吸収用部分の全体はメラミン材料、又はメラミン多孔性材料(メラミンフォーム)で構成され、当然ながら、サンプル吸収用部分は主にメラミン材料、又はメラミン多孔性材料(メラミンフォーム)で構成され得、更に、他の非メラミン材料を含有することができ、例えば、メラミン材料は全吸収材料の55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%を占める。
【0067】
本明細書で使用される「吸着」は主に、液体サンプルを収集又は処理する場合、サンプル中の分析対象物質が収集材料で吸着されることであり、このような吸着は、物理的な吸着であってもよく、材料の化学結合と分析対象物質の化学グループとの作用による吸着であってもよく、通常の方法によってそれを収集材料から溶出しにくい。本発明は、メラミン材料又はメラミン多孔性材料でサンプルを収集する場合、分析対象物質の吸着量が少ないが、大部分又は大半は溶出され、又は吸収材料を押圧した後、大部分の分析対象物質は液体サンプルにつれて吸収材料から流れ出し、少量の分析対象物質は吸収材料に留まる。メラミン材料でサンプルを収集又は処理することで「吸着」を低減するということの原理ははっきりすることではなく、それは物理又は化学の二重作用からである。
【0068】
ここで特に説明するものとして、メラミン材料は、孔のない材料であってもよく、孔のある材料であってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、孔のある材料を用い、その孔は一般的に発泡技術で生成される。当然ながら、メラミン材料で線、繊維状の毛髪のスタイルを製造し、これらの繊維又は毛髪のうちのそれぞれは孔構造がなく、しかし、数本の繊維が集まる場合、繊維の間には隙間又は孔を有し、それらは微小孔、小さな隙間であり、更に、毛管作用でサンプルを吸収又は処理することができる。例えば、メラミン材料で製造された繊維を用いて綿棒を製造することもでき、綿棒の製造方法は従来技術で開示され、US8,114,027、US 8,317,728、US 8,979,784、US 9,011,358、US 9,173,779、US 10,327,741、AU2004226798、JP4579902、ZL200610099310.9などの特許出願を参照して製造することもできる。従って、本明細書で使用される「メラミン材料」は、多孔性材料であってもよく、孔のある材料であってもよく、孔のサイズは任意であり、一般的に、毛管作用を持つ孔であってもよく、液体サンプルを吸収する多孔材料を有してあってもよい。当然ながら、試験素子における吸収材料を製造するために使用され得る。従って、多孔性のメラミン材料でサンプルを直接吸収又は処理することができ、更に、メラミン材料で製造された他の「吸水」装置でサンプルを吸収又は処理することもでき、例えば、試験素子のサンプル注入領域101はメラミン材料で製造された繊維パッドであり、サンプルを注入又は受けるために使用され、それによって流体はサンプルパッドに流れることができる。
【0069】
本明細書で使用される「処理」は、メラミン材料又はメラミン多孔性材料でサンプルを検出する前の処理であり、その処理は、収集を含むことができ、更に、液体サンプルがラミン材料又はメラミン多孔性材料を経て又は流れ、サンプルを検出する前の処理を実現し、分析対象物質が損失しないことを期待することであり、例えば、不純物を除去し、例えば、唾液から蛋白質又は酵素などの非検出対象の不純物を濾過する必要があり、又は血液を濾過し、赤血球を除去する。従って、いくつかの実施形態では、メラミン材料又はメラミン多孔性材料で収集器を製造することができ、試験ストリップの一部を製造することもでき、例えば、試験ストリップのサンプル注入領域の材料として使用でき、マーカー領域の材料として使用でき、更に、検出領域の材料として使用できる。メラミン材料は、注文製造可能であり、多孔性材料によって流体サンプルに対して毛管作用を行うことができる。本明細書で使用される「多孔性材料」は、毛管作用を持つ多孔を有してあってもよく、「発泡」プロセスによって形成された多孔性材料であってもよい。
【0070】
以下、実施例を参照しながら本発明をより詳細に説明し、説明すべきものとして、以下の実施例は、本発明を限定することなく、本発明の理解を容易にすることを意図し、本発明の以下の実施例は、本発明の精神下での限定された例に過ぎず、その範囲は、本発明の特許請求の範囲によって限定される。
【0071】
(実施例1 本発明によって提供されたイムノアッセイ用ラテラルフロー検出装置の製造)
本実施例によるイムノアッセイでコロナウイルスを検出するためのラテラルフロー検出装置は図1及び図2に示され、それは、試験ストリップを含み、液体の流れ方向に応じて、上流から下流まで、順にサンプル領域101、マーカー領域102、検出領域103及び吸水領域104であり、ここで、吸水領域は、一般的な吸水濾過紙を吸水パッドとして使用することで製造され、サンプル領域101はサンプル注入パッドを用い、サンプル注入パッドの材料はガラス繊維であり、このように、サンプル添加孔Sからのサンプルはガラス繊維に流れ、次にサンプルと混合してマーカーパッド又はマーカー領域102に流れ込み、マーカー領域をマーカーパッドとして製造し、マーカー粒子(例えば、金色粒子、蛍光粒子、ラテックス粒子又は染料、又は他の色付けのマーカー物質)にカップリングされた抗原又は抗体を含み、次に、スプレー装置により、マーカー混合物をポリエステル膜にスプレーし、マーカーパッドとして製造し、マーカーパッドにおけるマーカー物質は液体の流れにつれて流れ、検出領域はニトロセルロース膜を用い、緩衝溶液PBSで検出線の抗体又は抗原を溶解し、次にドット膜装置を利用してニトロセルロース膜に線を引き、異なる抗体間の距離を3~8mmにさせ、次にニトロセルロース膜をオーブンに入れて乾燥させ、使用に備え、膜に処理された抗体、抗原又は他の結合物質は一般的に移動せず、検出領域は検出領域105及び検出結果制御領域106を含む。
【0072】
吸水領域104、サンプル領域101、マーカー領域102、検出領域103の製造をそれぞれ完了させた後、組み立て、サンプル注入パッドの一端をマーカーパッドの一端に重ね、マーカーパッドの他端をニトロセルロース膜に重ね、吸水濾過紙を制御線の一端のニトロセルロース膜に重ね、このように、検出用試験紙を形成し、次に検出カードに組み立て、ここで検出カードにおけるサンプル添加孔Sはサンプル注入パッドに対応し、ニトロセルロース膜は目盛りウィンドウに対応し、また、サンプル添加孔Sは緩衝液Bの下流に位置する。
【0073】
サンドイッチ法で試験素子を製造する場合、ダイアボディサンドイッチの直接方法であってもよく、間接方法であってもよく、例えば、サンプル中の抗原A1を検出する必要があり、マーカーパッドに色付けのマーカーにカップリングして抗原A1に対しての第1抗体AB1を処理することができ、検出線に抗原A1に対しての第2抗体AB2を固定する。サンプル中の抗原A1の含有量は多ければ多いほど、検出線にキャプチャされたマーカー物質は多く、色は深くなり、含有量は高いことを示す。
【0074】
他のいくつかの実施形態では、競合モードを用いて試験し、例えば、尿又は唾液中の乱用薬物を検出する必要があり、例えば、THC(低分子薬物、ハプテン-免疫原性がほとんどない)の場合、マーカーパッドにTHCを有する抗原に対応する抗体及び色付けの粒子にカップリングし、検出線にTHCを有する抗原又は類似物質を処理する。サンプルにTHCが含まれる場合、THCは色付けの粒子の抗体に結合され、検出線まで流れる場合、検出線における抗原はサンプルにける分析対象物質と競合して抗体に結合され、そのため、サンプルの低分子含有量が多ければ多いほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が少なく、色が浅く又は淡くなり、陽性結果を示し、逆に、サンプル中の低分子含有量が少なければ少ないほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が多く、色が深く又は濃くなり、陰性結果を示す。
【0075】
これらの試験ストリップは独立して分析対象物質の検出を行うことができ、検出カードに入れて検出することもでき、例えば、検出カードは結果を観察するウィンドウ及び液体を滴下するウィンドウを有し、液体を滴下するウィンドウは、一般的に、サンプル注入領域の上に位置し、検出結果を読み取るウィンドウは検出領域の上に位置する。
【0076】
(実施例2 異なるスポンジで製造されたサンプリング装置がΔ9-THCの検出結果への影響)
Δ9-THCは、テトラヒドロカンナビノール(Tetrahydrocannabinol)、Δ9-テトラヒドロカンナビノール、Δ1-THC(古い命名法に基づく)、ドロナビノール(Dronabinol、化学合成薬)と呼ばれ、THCと略称し、大麻の主な精神活性物質として、アサ(Cannabis sativa L.)の雌花の蕊が分泌する樹脂に天然に存在する。本製品を含有する大麻を吸った後、興奮と抑制になり、吸った後、思考は浮き沈みし、精神は興奮し、意識的に陶酔し、又はうつ病とパニックにふける。長期使用は精神的に堕落し、ひどく無力化され、それは、厳重に管理された物質である。しかし、Δ9-THCの体外診断試薬の研究過程において、Δ9-THCが従来のサンプリング用スポンジヘッドで容易に吸着され、検出できないことをもたらし、その結果、偽陰性の検出結果を示すことを発現する。
【0077】
THC試薬ストリップについて、競合モードを用いて試験し、例えば、尿又は唾液中の乱用薬物を検出する必要があり、例えば、THC(低分子薬物、ハプテン-免疫原性がほとんどない)の場合、マーカーパッドにTHCを有する抗原に対応する抗体及び色付けの粒子にカップリングし、検出線にTHCを有する抗原又は類似物質を処理する。サンプルにTHCが含まれる場合、THCは色付けの粒子の抗体に結合され、検出線まで流れる場合、検出線における抗原はサンプルにける分析対象物質と競合して抗体に結合され、そのため、サンプルの低分子含有量が多ければ多いほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が少なく、色が浅く又は淡くなり、陽性結果を示し、逆に、サンプル中の低分子含有量が少なければ少ないほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が多く、色が深く又は濃くなり、陰性結果を示す。
【0078】
(実施例2.1 唾液サンプル中のΔ9-THCプレートの検出結果への影響(競合モード)-金色粒子マーカー比色分析法)
本実施例は、20、40、60、80ng/mLのΔ9-THCを含有する標準品サンプル溶液を調製し(唾液で調製する)、材料が異なる2種のスポンジヘッドでサンプリングし、ここで、1つはメラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドであり、他の1つはポリプロピレンで製造されたスポンジヘッド(ポリプロピレンスポンジpp)であり、スポンジヘッドのサイズは一致し、サンプリング吸着量が2mlであり、物理的にサンプルを押し出した後、0.12mlを取って検出用試薬ストリップのサンプル注入領域に滴下し、競合モードでサンプル中のΔ9-THCの含有量を検出し、10分間後に数値を読み取り且つ比較して写真を撮り、比色カード(図3)に基づいて検出結果をG1~G10に分け、ここで、G4以下は陽性であり、G4より高いのは陰性であり、具体的な結果は表1に示され、数値は高ければ高いほど、薬物含有量が少なくなっている。
【表1】
【0079】
表1から分かるように、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドは、従来のポリプロピレンスポンジで製造されたサンプリングヘッドと比較すると、採取したサンプルの検出結果は大きな差異を有し、サンプルには20ng/mLのΔ9-THCが含まれる場合、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドの検出結果はG6であり、対照検出結果(G8)より大幅に高く、サンプルには40、60、80ng/mLのΔ9-THCが含まれる場合、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドの検出結果はG2又はG1であり、G4より低く、陽性であり、それに対して対照群はG5であり、偽陰性結果が発生し、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドの検出結果は対照群の検出結果より大幅に高い。それから分かるように、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドがサンプルにおけるΔ9-THCへの検出感度を大幅に向上させることができるのは、メラミンフォームがサンプル採取過程においてΔ9-THCへの吸着を大幅に低減し、サンプルの信頼性を回復し、偽陰性を防止するからである。
【0080】
(実施例2.2 唾液サンプル中のΔ9-THCプレートの検出結果への影響(競合モード)-金色マーカー粒子の色読み取り法)
色の比較によって試験値を判断して読み取ると同時に、機器によって試験結果に対してΔ9-THC唾液コロイド金機器の数値読み取り(微量薬物検出装置AFS-1000:A202006929.)を正確に行う。T値が大きければ大きいほど、試験したサンプル中の薬物含有量が少なくなることを示し、具体的な結果は表2に示される。
【表2】
【0081】
結論では、陰性溶液を試験する場合、対照群と試験群のデータは顕著な差がなく、陽性溶液を試験する場合、サンプルにも20ng/mLの場合、メラミンフォームでサンプリングするのは、T値が160~190であり、従来のポリプロピレンスポンジを用いるのは、T値が350~370であり、ほぼ2倍の違いであり、それにより、メラミンフォームでサンプリングする場合、Δ9-THCへの吸着を大幅に低減し、実際の値に近いが、ポリプロピレンスポンジでサンプリングする場合、Δ9-THCへの吸着が強く、その結果、偽陰性をもたらすことを示す。
【0082】
(実施例2.3 唾液サンプル中のΔ9-THCプレートの検出結果への影響(競合モード)-蛍光マーカー読み取り法)
金色マーカー粒子と同様に、蛍光マーカーを使用する場合、マーカーパッドでシグナルを生成する物質のみが変化する。従って、競合モードを用いて試験し、例えば、尿又は唾液中の乱用薬物を検出する必要があり、例えば、THC(低分子薬物、ハプテン-免疫原性がほとんどない)の場合、マーカーパッドにTHCを有する抗原に対応する抗体及び蛍光物質にカップリングし、検出線にTHCを有する抗原又は類似物質を処理する。サンプルにTHCが含まれる場合、THCは蛍光物質にカップリングした抗体に結合され、検出線まで流れる場合、検出線における抗原はサンプルにける分析対象物質と競合して抗体に結合され、そのため、サンプルの低分子含有量が多ければ多いほど、検出線にキャプチャされた蛍光物質が少なくなり、陽性結果を示し、逆に、サンプル中の低分子含有量が少なければ少ないほど、検出線にキャプチャされた蛍光物質が多くなり、陰性結果を示す。
【0083】
結果は、Δ9-THC唾液蛍光試験ストリップの読み取りである。X1/X2値が高ければ高いほど(検出線T/検出結果制御線C)、線が強くなり、サンプル中の薬物の含有量が低くなっている。本試験の各群のデータを三回繰り返し、機器で読み取られた結果の平均値を取り、その結果は表3(図4)に示される。
【表3】
【0084】
陰性溶液を試験する場合、対照群と試験群のデータは顕著な差がなく、陽性溶液を試験する場合、サンプルにも20ng/mLの場合、メラミンフォームでサンプリングするのは、X1/X2値が0.9~1.173であり、従来のポリプロピレンスポンジを用いるのは、X1/X2値が3.4~3.8であり、ほぼ2倍の違いであり、それにより、メラミンフォームでサンプリングする場合、Δ9-THCへの吸着を大幅に低減し、実際の値に近いが、ポリプロピレンスポンジでサンプリングする場合、Δ9-THCへの吸着が強く、その結果、偽陰性をもたらすことを示す。図4によれば、20ng/mLの濃度において、左側の三列のデータはメラミンフォームによるサンプリングの蛍光読み取り法の数値であり、右側の三列のデータは従来のポリプロピレンスポンジで同じサンプルを吸収することで読み取られた数値である。
【0085】
同時に、ポリビニルアルコールスポンジ(PVA)、ポリウレタンスポンジ(PU)に対して同じ試験を行い、その結果はポリプロピレンスポンジと類似し、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドの検出結果はポリビニルアルコールスポンジ(PVA)、ポリウレタンスポンジ(PU)の検出結果より大幅に高く、それは、メラミンフォームで製造された採取器がTHCへの吸着能力はポリビニルアルコールスポンジ(PVA)(実施例3)、ポリウレタンスポンジ(PU)の吸着能力より大幅に低いことを示す。
【0086】
(実施例3 唾液中のΔ9-THCの検出結果への影響(競合モード))
本実施例は、材料が異なる2種のスポンジヘッドで唾液をサンプリングし、ここで、1つはメラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドであり、他の1つは綿で製造されたスポンジヘッド(ポリビニルアルコールスポンジPVA)であり、スポンジヘッドのサイズは一致し、サンプリング吸着量が2mlであり、物理的にサンプルを押し出した後、0.5mlを取って検出用試薬ストリップに滴下し、競合モードでサンプル中のΔ9-THCの含有量を検出し、標準品唾液には20、40、60、80ng/mLのΔ9-THCがそれぞれ含まれることを知り、比色カード(図3)に基づいて検出結果をG1~G10に分け、ここで、G4以下は陽性であり、G4より高いのは陰性であり、検出結果は表4に示される。
【表4】
【0087】
表2から分かるように、唾液サンプルについて、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドは、従来のポリビニルアルコールスポンジPVAで製造されたサンプリングヘッドと比較すると、採取したサンプルのΔ9-THCの検出結果は同様に大きな差異を有し、唾液には20ng/mLのΔ9-THCが含まれる場合、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドの検出結果はG6であり、対照群はG8であり、唾液には40~60ng/mLのΔ9-THCが含まれる場合、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドの検出結果はG1であり、G4より低く、陽性であり、それに対して対照群はG5又はG6であり、陰性結果である。メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドの検出結果は対照群の検出結果より大幅に高い。それから分かるように、メラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドがサンプルにおけるΔ9-THCへの検出感度を大幅に向上させることができるのは、メラミンフォームが唾液サンプル採取過程においてΔ9-THCへの吸着を大幅に低減し、サンプルの信頼性を回復し、偽陰性を防止するからである。
【0088】
(実施例4 唾液中のΔ9-THC、AMP、COC、MET、OPIがサンプル中に存在する場合の検出結果への影響(競合モード)-比色カードの比色分析法)
試験ストリップは前述の実施例1における方法に応じて製造され、対象物質のみが異なり、具体的に図1を参照し、製造方法は以下のとおりである(他の条件は同じである)。
【0089】
THCについて、Δ9-THC(低分子薬物、ハプテン-免疫原性がほとんどない)の場合、マーカーパッドにΔ9-THCを有する抗原に対応する抗体及び色付けの粒子にカップリングし、検出線にΔ9-THCを有する抗原又は類似物質を処理する。サンプルにΔ9-THCが含まれる場合、Δ9-THCは色付けの粒子の抗体に結合され、検出線まで流れる場合、検出線における抗原はサンプルにける分析対象物質と競合して抗体に結合され、そのため、サンプルの低分子含有量が多ければ多いほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が少なく、色が浅く又は淡くなり、陽性結果を示し、逆に、サンプル中の低分子含有量が少なければ少ないほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が多く、色が深く又は濃くなり、陰性結果を示す。
【0090】
AMPについて、AMP(低分子薬物、ハプテン-免疫原性がほとんどない)の場合、マーカーパッドにAMPを有する抗原に対応する抗体及び色付けの粒子にカップリングし、検出線にAMPを有する抗原又は類似物質を処理する。サンプルにAMPが含まれる場合、AMPは色付けの粒子の抗体に結合され、検出線まで流れる場合、検出線における抗原はサンプルにける分析対象物質と競合して抗体に結合され、そのため、サンプルの低分子含有量が多ければ多いほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が少なく、色が浅く又は淡くなり、陽性結果を示し、逆に、サンプル中の低分子含有量が少なければ少ないほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が多く、色が深く又は濃くなり、陰性結果を示す。
【0091】
COCについて、COC(低分子薬物、ハプテン-免疫原性がほとんどない)の場合、マーカーパッドにCOCを有する抗原に対応する抗体及び色付けの粒子にカップリングし、検出線にCOCを有する抗原又は類似物質を処理する。サンプルにCOCが含まれる場合、COCは色付けの粒子の抗体に結合され、検出線まで流れる場合、検出線における抗原はサンプルにける分析対象物質と競合して抗体に結合され、そのため、サンプルの低分子含有量が多ければ多いほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が少なく、色が浅く又は淡くなり、陽性結果を示し、逆に、サンプル中の低分子含有量が少なければ少ないほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が多く、色が深く又は濃くなり、陰性結果を示す。
【0092】
METについて、MET(低分子薬物、ハプテン-免疫原性がほとんどない)の場合、マーカーパッドにMETを有する抗原に対応する抗体及び色付けの粒子にカップリングし、検出線にMETを有する抗原又は類似物質を処理する。サンプルにMETが含まれる場合、METは色付けの粒子の抗体に結合され、検出線まで流れる場合、検出線における抗原はサンプルにける分析対象物質と競合して抗体に結合され、そのため、サンプルの低分子含有量が多ければ多いほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が少なく、色が浅く又は淡くなり、陽性結果を示し、逆に、サンプル中の低分子含有量が少なければ少ないほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が多く、色が深く又は濃くなり、陰性結果を示す。
【0093】
OPIについて、OPI(低分子薬物、ハプテン-免疫原性がほとんどない)の場合、マーカーパッドにOPIを有する抗原に対応する抗体及び色付けの粒子にカップリングし、検出線にOPIを有する抗原又は類似物質を処理する。サンプルにOPIが含まれる場合、OPIは色付けの粒子の抗体に結合され、検出線まで流れる場合、検出線における抗原はサンプルにける分析対象物質と競合して抗体に結合され、そのため、サンプルの低分子含有量が多ければ多いほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が少なく、色が浅く又は淡くなり、陽性結果を示し、逆に、サンプル中の低分子含有量が少なければ少ないほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が多く、色が深く又は濃くなり、陰性結果を示す。
【0094】
同じ唾液を用いて含有量が異なる標準品を調製し、ここで、1つはメラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドであり、他の1つは綿で製造されたスポンジヘッド(ポリプロピレンスポンジpp)であり、スポンジヘッドのサイズは一致し、サンプリング吸着量が2mlであり、物理的にサンプルを押し出した後、500μlを取って検出用試薬ストリップのサンプル注入領域に滴下し、競合モードでサンプル中のΔ9-THCの含有量を検出し、標準品唾液にはΔ9-THC、AMP、COC、MET、OPIが含まれることを知り、濃度に対応するのは表5に示され、比色カード(図3)に基づいて検出結果をG1~G10に分け、ここで、G4以下は陽性であり、G4より高いのは陰性であり、検出結果は表5に示される。
【0095】
陽性溶液を試験する場合、THC試薬ストリップのメラミンフォームでサンプリングする場合の線の色の強度はポリプロピレンスポンジでサンプリングする場合の線の色の強度より大幅に低く、競合モードのため、強度が大きければ大きいほど、分析対象物質の含有量が少なくなることを示し、それは、サンプリングヘッドで吸収された後に押し出されたサンプル中の分析対象物質の含有量が高くなることを示す。以上の試験結果から分かるように、THCとAMP、COC、MET、OPIを混合する場合、他の検出物質への感度に影響を与えない。それは、メラミンフォームでサンプリングする場合、サンプルには数種の薬物乱用低分子薬物が含まれても、THCの正常の検出結果に影響を与えず、依然としてTHCへの吸着作用を低減することができる。
【表5】
【0096】
(実施例5.1 唾液中のΔ9-THC-COOHの検出結果への影響(競合モード)-比色分析法)
本実施例は、20、40、60ng/mLのΔ9-THC-COOHを含有する標準品サンプル溶液を調製し(唾液で調製する)、材料が異なる2種のスポンジヘッドでサンプリングし、ここで、1つはメラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドであり、他の1つはポリプロピレンで製造されたスポンジヘッド(ポリプロピレンスポンジ)であり、スポンジヘッドのサイズは一致し、サンプリング吸着量が2mlであり、物理的にサンプルを押し出した後、0.12mlを取って検出用試薬ストリップに滴下し、10分間後に数値を読み取り且つ比較して写真を撮る。数値が高ければ高いほど、薬物の含有量が少なくなり、判断標準は、数値が>G4の場合、陰性であり、数値が≦G4の場合、陽性であるということである。結果は表6に示される。
【0097】
試験ストリップの製造は、実施例1における方法を参照し、具体的な説明は以下のとおりである。Δ9-THC-COOH(低分子薬物、ハプテン-免疫原性がほとんどない)の場合、マーカーパッドにΔ9-THC-COOHを有する抗原に対応する抗体及び色付けの粒子にカップリングし、検出線にΔ9-THC-COOHを有する抗原又は類似物質を処理する。サンプルにΔ9-THC-COOHが含まれる場合、Δ9-THC-COOHは色付けの粒子の抗体に結合され、検出線まで流れる場合、検出線における抗原はサンプルにける分析対象物質と競合して抗体に結合され、そのため、サンプルの低分子含有量が多ければ多いほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が少なく、色が浅く又は淡くなり、陽性結果を示し、逆に、サンプル中の低分子含有量が少なければ少ないほど、検出線にキャプチャされた色付けの粒子が多く、色が深く又は濃くなり、陰性結果を示す。
【表6】
【0098】
以上の試験結果から分かるように、メラミンフォームで唾液サンプルを採取する場合、20ng/mlの陽性標準品で、数値が3であり、30ng/mlの場合、数値が1であり、結果が陽性であると直接判断でき(競合モードを用いるため)、逆に、従来のポリプロピレンでサンプルを吸着する場合、30ng/mlの場合、数値が4.5~5であり、更に結果が陰性であると判断する。それは、ポリプロピレンでサンプルを採取又は処理する場合、Δ9-THC-COOHに対して高い吸着作用を有し、吸収ヘッドから押し出されたサンプルにおいて、実際のΔ9-THC-COOHの含有量は30ng/mlより大幅に低いことを示す。
【0099】
(実施例5.2 唾液中のΔ9-THC-COOHの検出結果への影響(競合モード)-金色マーカーの色の機器の自動読み取り)
実施例5.1の方法で製造された試薬ストリップの場合、サンプルは同じであり、試薬ストリップは同じロットであり、数値読み取り方式は眼で比色分析を行うことではなく、機器で読み取る方式で数値を直接取得する。Δ9-THC-COOHの唾液コロイド金機器の数値読み取りについて、T値が大きければ大きいほど、薬物の含有量が少なくなっている。具体的な結果は表7に示される。
【表7】
【0100】
結論では、陰性溶液を試験する場合、対照群と試験群のデータは顕著な差がなく、陽性溶液を試験する場合、サンプルにも20ng/mLの場合、メラミンフォームでサンプリングするのは、T値が60~82であり、従来のポリプロピレンスポンジを用いるのは、T値が155~162であり、ほぼ3倍の違いであり、それにより、メラミンフォームでサンプリングする場合、Δ9-THC-COOHへの吸着を大幅に低減し、実際の値に近いが、ポリプロピレンスポンジでサンプリングする場合、Δ9-THC-COOHへの吸着が強く、その結果、偽陰性をもたらすことを示す。
【0101】
(実施例5.3 唾液サンプル中のΔ9-THC-COOHプレートの検出結果への影響(競合モード)-蛍光マーカー読み取り法)
【0102】
実施例2.3の方法で製造された試薬ストリップの場合、サンプルは同じであり、試薬ストリップは同じロットであり、数値読み取り方式は眼で比色分析を行うことではなく、蛍光で読み取る方式で数値を直接取得する。Δ9-THC-COOHの蛍光試験紙の数値読み取りについて、X1/X2値が高ければ高いほど、線が強く、サンプル中の薬物の含有量が低くなっている。本試験の各群のデータを三回繰り返し、機器で読み取られた結果の平均値を取り、その結果は以下の表8に示される。
【表8】
【0103】
結論では、陰性溶液を試験する場合、対照群と試験群のデータは顕著な差異がなく、陽性溶液を試験する場合、対照群の数値は試験群より大幅に高い。対照群のΔ9-THC及びΔ9-THC-COOHへの吸着程度は試験群より大きく、試験群のスポンジヘッドの抗吸着性は対照群のスポンジヘッドより優れた。
【0104】
(実施例6.1 尿のサンプル中のΔ9-THCプレートの検出結果への影響(競合モード)-比色カード)
本実施例は、20、40、60ng/mLのΔ9-THCを含有する標準品サンプル溶液を調製し(尿で調製する)、材料が異なる2種のスポンジヘッドでサンプリングし、ここで、1つはメラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドであり、他の1つはポリプロピレンで製造されたスポンジヘッド(ポリプロピレンスポンジ)であり、スポンジヘッドのサイズは一致し、サンプリング吸着量が2mlであり、物理的にサンプルを押し出した後、0.12mlを取って検出用試薬ストリップに滴下し、10分間後に数値を読み取り且つ比較して写真を撮る。尿コロイド金色カードの数値読み取りについて、数値が高ければ高いほど、薬物の含有量が少なくなり、判断標準は、数値が>G4の場合、陰性であり、数値が≦G4の場合、陽性であるということである。
【表9】
【0105】
以上の試験結果から分かるように(図5A図5B)、メラミンフォームで尿のサンプルを採取する場合、20ng/mlの陽性標準品で、数値が2であり、30ng/mlの場合、数値が1であり、結果が陽性であると直接判断でき(競合モードを用いるため)、逆に、従来のポリプロピレンでサンプルを吸着する場合、30ng/mlの場合、数値が6であり、更に結果が陰性であると判断する。それは、ポリプロピレンでサンプルを採取又は処理する場合、Δ9-THCに対して高い吸着作用を有し、吸収ヘッドから押し出されたサンプルにおいて、実際のΔ9-THCの含有量は30ng/mlより低いことを示す。
【0106】
(実施例6.2 尿のサンプル中のΔ9-THC以及9-THC-COOHプレートの検出結果への影響(競合モード)-蛍光読み取り)
Δ9-THC/Δ9-THC-COOHの尿蛍光機器の数値読み取りについて、T値が大きければ大きいほど、試験したサンプル中の薬物の含有量が少なくなることを示す。
【表10】
【0107】
結論では、陰性溶液を試験する場合、対照群と試験群のデータは顕著な差異がなく、陽性溶液を試験する場合、対照群の数値は試験群より大幅に高い。対照群のΔ9-THC及びΔ9-THC-COOHへの吸着程度は試験群より大きく、試験群のスポンジヘッドの抗吸着性は対照群のスポンジヘッドより優れた。
【0108】
(実施例7.1 血液サンプル中のΔ9-THCプレートの検出結果への影響(競合モード)-比色カード)
本実施例は、20、60ng/mLのΔ9-THCを含有する標準品サンプル溶液を調製し(全血で調製する)、材料が異なる2種のスポンジヘッドでサンプリングし、ここで、1つはメラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドであり、他の1つはポリプロピレンで製造されたスポンジヘッド(ポリプロピレンスポンジ)であり、スポンジヘッドのサイズは一致し、サンプリング吸着量が2mlであり、物理的にサンプルを押し出した後、80uLを取って検出用試薬ストリップに滴下し、10分間後に数値を読み取り且つ比較して写真を撮る。尿コロイド金色カードの数値読み取りについて、数値が高ければ高いほど、薬物の含有量が少なくなり、判断標準は、数値が>G4の場合、陰性であり、数値が≦G4の場合、陽性であるということである。
【表11】
【0109】
以上の試験結果から分かるように、メラミンフォームで血液サンプルを採取する場合、60ng/mlの陽性標準品で、数値が6.5であり、従来のポリプロピレンでサンプルを吸着する場合、数値が8.5であり、メラミンフォームで採取した血液サンプルの濃度はポリプロピレンで採取した血液サンプルの濃度より高く、従って、血液サンプルの採取において、メラミンフォームを採取装置として使用する場合の低吸着性の優位性は依然として存在する。
【0110】
(実施例8 新しいスポンジと古いスポンジによってΔ9THCサンプルを吸着する前後のHPLC濃度の比較)
1.装置と条件:アジレント社の高速液体クロマトグラフィーHPLC-1260、クロマトグラフィー条件:C18逆相クロマトカラム、波長210nm、流動相:高純水及びアセトニトリル、アセトニトリル比率70%、流速1ml/分間、カラム温度40℃、サンプル添加量10μl。
【0111】
2.5ng/ml、25ng/ml、50ng/ml、75ng/ml、100ng/mlのテトラヒドロカンナビノールの標準溶液を調製して濃度とピーク面積との校正曲線を作成し、ここで、y=0.116x+0.002、r=0.99996、R2=0.99992。
【0112】
500μl、100ng/mlのテトラヒドロカンナビノールΔ9-THCの標準溶液(サンプル添加量10μl)を取り、材料が異なる2種のスポンジヘッドでサンプリングし、ここで、1つはメラミンフォームで製造されたサンプリングヘッドであり、他の1つはポリプロピレンで製造されたスポンジヘッド(ポリプロピレンスポンジ)であり、スポンジヘッドのサイズは一致し、サンプリング吸着量が500μlであり、物理的にサンプルを押し出した後、それぞれ10μlのサンプル添加量を取り、クロマトグラフィー図6A図6B図6C及び表12を得る。
【0113】
図6A図6C及び表12から分かるように、3種の異なる溶液のピーク出現時間はいずれも10~11分間であり、標準品(任意の材料で処理して吸収することではない)、そのピーク高は74.845であり、面積は868.6890であり、標準式で得られた濃度値は100.770である。100ng/mlより大きいのは、調製過程において生じた誤差からである。同じ濃度の標準品はメラミンフォームで吸収された後、押し出されたサンプルに対してHPLCサンプル注入を行い、そのピーク高は60.500であり、面積は706.3172であり、標準式で得られた濃度値は81.935である。それは、メラミンフォームで吸収された後、吸収されないサンプルに対して、20%の対象物質を損失し、即ち、約20%のΔ9-THCが吸収されるが、80%のΔ9-THCが押し出されたサンプルに留まることを示す。ポリプロピレンスポンジで吸収された溶液に対して、HPLCサンプル注入を行い、そのピーク高は13.939であり、面積は161.1271であり、標準式で得られた濃度値は18.693である。それは、従来のポリプロピレンスポンジで吸収された後、約80%のΔ9-THCが吸収されるが、約20%のΔ9-THCが押し出されたサンプルに留まることを示す。従って、それは、本発明のメラミンフォームでサンプルを吸収し且つ押圧する場合、Δ9-THCの吸着を大幅に低減し、検出感度を向上させることを示す。説明すべきものとして、図面におけるピーク高を小数点以下2桁に揃えるが、表中のものは実際のピーク高の値である。
【表12】
【0114】
(実施例9 新しいスポンジと古いスポンジの成分の分析プロファイル)
化学成分の面からメラミンスポンジの具体的な化学成分を分析するために、メラミンスポンジ及び通常のポリプロピレン合成樹脂に対して赤外線分析を行い、具体的な結果は以下のとおりであり、具体的には図7及び図8の赤外スペクトルを参照する。上記赤外スペクトルから分かるように、メラミンスポンジとポリプロピレンスポンジの波数は1000-1500cm-1であり、その赤外線吸収が非常に異なり、それは、2種のスポンジの主な成分の官能基が異なることを示し、更にデータベースと比較すると、メラミンスポンジの主な成分はメラミンフェノール樹脂(Melamine resin、Melamine and phenolic resin)であり、メラミン、フェノール及びホルムアルデヒドの共重縮合生成物である。図2のスポンジはポリプロピレン合成樹脂である。
【0115】
(実施例10 コロナウイルスの抗原検出の対照試験)
本試験用のコロナウイルスの抗原検出用の試験ストリップの製造方法は実施例1と同じであり、本試験はサンドイッチ法を用い、T線の数値は大きければ大きいほど、サンプル中の蛋白質の含有量は高くなっている。サイズと形状が同じメラミンスポンジ及び通常のスポンジで50ulのコロナウイルスのN蛋白質サンプル(標準品)をそれぞれ採取し、次に、それぞれサンプルを500ulの分解液に加えて15秒間抽出し、100ulを検出用試験ストリップに滴下し、10分間の後に数値を読み取る。
【表13】
【0116】
結論では、サンプル濃度が450pg/mlのサンプルがスポンジで吸着されない場合の数値はG7であり、メラミンスポンジで吸着された場合の数値はG5であり、古いスポンジで吸着された場合の数値はG4であり、それから分かるように、メラミンスポンジでサンプリングする場合の数値は実際の数値に近い。
【0117】
本発明の明細書に記載の全ての特許出願及び出版物はいずれも、これらが本技術分野に開示の技術であり、本発明が使用できることを示す。各出版物が具体的に独立して参照して引用されると同様に、本明細書に引用された全ての特許出願及び出版物は同様に参考文献に挙げられる。ここで説明する本発明は、1つ以上の要素、1つ以上の制限がない場合に実現でき、この制限はここでは具体的には説明されない。例えば、本明細書の各実施例の用語「含む」、「実質的に・・・で構成される」及び「・・・で構成される」のそれぞれは、それらの3つのうち残りの2つの用語に置き換えることができる。本明細書において、いわゆる「1つ」は、「1」を意味するだけであるが、1つしか含まないことは除外されず、2つ以上を含むことも示すことができる。本明細書で使用される用語及び表現は、説明を目的としたものであり、限定するものではなく、また、本明細書で説明されるこれらの用語と解釈が同等の特徴を除外することを示す意図もなく、しかし、本発明及び特許請求の範囲内で、任意の適切な変更又は修正を行うことができることが分かっている。なお、本発明によって説明された実施例は、好ましい実施例及び特徴であるため、当業者は、本発明の説明の本質に従って、いくつかの修正及び変更を行うことができ、また、それらの修正及び変更はまた、本発明の範囲内であり、独立請求項及び従属請求項によって限定されると見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8