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特開2023-174447O-型糖鎖修飾タンパク質の糖鎖構造の利用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174447
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】O-型糖鎖修飾タンパク質の糖鎖構造の利用
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20231130BHJP
   C07K 14/475 20060101ALN20231130BHJP
   C07K 14/53 20060101ALN20231130BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20231130BHJP
   C07K 14/75 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
C07K14/475
C07K14/53
C07K14/705
C07K14/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146746
(22)【出願日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2022086865
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100098121
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 世津子
(74)【代理人】
【識別番号】100107870
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 健一
(72)【発明者】
【氏名】川崎ナナ
(72)【発明者】
【氏名】高倉大輔
(72)【発明者】
【氏名】市川靖史
(72)【発明者】
【氏名】小林規俊
(72)【発明者】
【氏名】徳久元彦
【テーマコード(参考)】
2G045
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB01
2G045CB03
2G045CB04
2G045DA44
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA60
4H045BA61
4H045CA40
4H045DA10
4H045DA50
4H045DA86
4H045EA50
4H045FA71
(57)【要約】
【課題】 新規な腫瘍マーカーを提供すること。
【解決手段】被験者由来の生物学的試料におけるO-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルを測定することを含む、がんの診断を補助するための方法であって、タンパク質が、FBLN2(Fibulin-2)、ANGPTL3(Angiopoietin-related protein 3)、MAN2A1(Alpha-mannosidase 2)、CSF1(Macrophage colony-stimulating factor 1)、VCAN(Versican core protein)、C1QA(Complement C1q subcomponent subunit A) 、MRC1(Macrophage mannose receptor 1 )及びFGA(Fibrinogen alpha chain)からなる群より選択される少なくとも1つである前記方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者由来の生物学的試料におけるO-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルを測定することを含む、がんの診断を補助するための方法であって、タンパク質が、FBLN2(Fibulin-2)、ANGPTL3(Angiopoietin-related protein 3)、MAN2A1(Alpha-mannosidase 2)、CSF1(Macrophage colony-stimulating factor 1)、VCAN(Versican core protein)及びC1QA(Complement C1q subcomponent subunit A) 、MRC1(Macrophage mannose receptor 1 )及びFGA(Fibrinogen alpha chain)からなる群より選択される少なくとも1つである前記方法。
【請求項2】
O-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルが高い場合に、がんに罹患している可能性が高いことを示し、O-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルが低い場合に、がんに罹患している可能性が低いことを示す請求項1記載の方法。
【請求項3】
O-型糖鎖が、T抗原:Hex(1)HexNAc(1)、Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)、di-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)、フコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)又はそれらの組み合わせである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
O-型糖鎖で修飾されたタンパク質が、下記の(i)~(v)からなる群より選択される少なくとも1つである請求項3記載の方法。
(i) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたFBLN2、
(ii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたが付加されたANGPTL3、
(iii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたMAN2A1、
(iv) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたCSF1及びdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたCSF1、
(v) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCAN、
(vi) フコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加されたC1QA
(vii) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたMRC1、並びに
(viii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたFGA
【請求項5】
O-型糖鎖で修飾されたタンパク質が、下記の(ia)~(va)からなる群より選択される少なくとも1つである請求項4記載の方法。
(ia) aa330-349、aa350-364及びaa365-378のうち少なくとも1つの領域内の部位にT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたFBLN2、
(iia) aa206-221及びaa222-235のうち少なくとも1つの領域内の部位にSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたANGPTL3、
(iiia) aa211-221領域内の部位にSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原 Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたMAN2A1、
(iva) aa356-395領域内の部位にT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたCSF1及び370-395領域内の部位にdi-Sialyl T抗原 Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたCSF1、
(va)aa1415-1430及びaa2468-2475のうちの少なくとも1つの領域内の部位にT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCAN、
(via) aa101-121領域内の部位にフコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加されたC1QA
(viia) aa1215-1229領域内の部位にT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたMRC1、並びに
(viiia) aa354-367及びaa511-527のうち少なくとも1つの領域内の部位にSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原 Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたFGA
【請求項6】
生物学的試料が、細胞、組織、体液、腹腔液、腹腔洗浄液、糞便又は尿である請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
体液が血液である請求項6記載の方法。
【請求項8】
血液が、全血、血清、血漿又は血漿交換外液のいずれかである請求項7記載の方法。
【請求項9】
がんが大腸がんである請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
下記の(i)~(v)からなる群より選択される少なくとも1つのO-型糖鎖修飾タンパク質を特異的に検出することができる試薬を含む、検査キット。
(i) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたFBLN2、
(ii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1) 及び/又はdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたANGPTL3、
(iii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたMAN2A1、
(iv) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたCSF1及びdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたCSF1、
(v) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCAN、
(vi) フコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加されたC1QA
(vii) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたMRC1、並びに
(viii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたFGA
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、O-型糖鎖修飾タンパク質の糖鎖構造の利用に関し、より詳細には、O-型糖鎖修飾タンパク質の糖鎖構造の腫瘍マーカーとしての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大腸がんの1次スクリーニング検査として「便潜血検査免疫法」と「全腸内視鏡検査」、「腫瘍マーカー法」が実施されている。便潜血検査免疫法の感度(大腸がん患者を陽性と判定する確率)は、がんの発生部位や病変の進行部位によって差があり30-90%(平均すると65%程度)、全腸内視鏡検査の感度は95%以上とされている(非特許文献1)。腫瘍マーカー法では、血清中の糖鎖(シアリルルイスa)を抗原とするCA19-9が用いられている。その感度は30-50%であり、早期がんではさらに低下するため、主に治療再発マーカーとして用いられている。一方、膵がんの1次スクリーニング検査としては「腫瘍マーカー法」と「腹部超音波検査」がある。腫瘍マーカー法では、大腸がんと同じCA19-9が主に用いられている。その感度は70-80%であり、早期膵がんでは50%程度である。腹部超音波検査の膵がん診断の感度は48-89%であり、対象や術者間で大きな差異がある(非特許文献2)。
【0003】
がんにおける糖タンパク質の糖鎖変化を利用した腫瘍マーカーとしては肝細胞がんにおけるAFP(alpha-Fetoprotein)コアフコシル化の亢進を利用したAFP-L3(AFPレクチン分画比%)がマーカーとして利用されている。また、大腸がんと膵がんにおけるHP(Haptoglobin)コアフコシル化の亢進を利用したレクチンELISAキットの開発も進められている(大阪大学、タカラバイオ、免疫生物研究所)。両者の感度は共に40-50%である。さらに、近年、既存の前立腺がんマーカーPSAの診断精度向上を目指し、PSA糖鎖の変化(LacdiNAc構造の有無)を新たな診断指標に加えたPSA G-indexも開発されている(がん研究会、LSIメディエンス)。これらは全てN-型糖鎖の糖鎖変化を利用しており、主に抗タンパク質抗体と糖鎖結合タンパク質レクチンを用いたサンドイッチELISA系で検出している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】国立がん研究センターがん情報サービスhttps://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/screening/screening_colon.html
【非特許文献2】膵癌診療ガイドライン 2019年版(日本膵臓学会、膵癌治療ガイドライン改定委員会 編)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大腸がん診断における「便潜血検査免疫法」については、食事制限等の前処置の必要が無く、患者負担の少ない方法であるが、がんの発生部位や病変の進行部位によって感度(30-90%)に著しい差がみられる点が問題である。「全腸内視鏡検査」は優れた感度(95%以上)を有するものの、前処置で使用される下剤や食事制限による脱水症、およびそれに伴う血栓症が高齢者(患者)にとって大きな問題となっている。
【0006】
「腫瘍マーカー法」は、便潜血検査免疫法と同様に患者負担が比較的少ない方法であるが、偽陽性の高いことが課題となっている。偽陽性率は平均20-30%(早期膵がんでは52%)である。原因として、シアリルルイスaをはじめとする糖鎖腫瘍抗原ががんと無関係のタンパク質にも結合しており、検査用抗体ががんと無関係のタンパク質上の糖鎖抗原も認識していることが考えられる。
【0007】
本発明は、新規な腫瘍マーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、血清中に存在するタンパク質へのO-型糖鎖修飾の有無に着目したものである。上記背景技術における腫瘍マーカーはいずれも、コアフコシル化の亢進をはじめがんにおける“N-型糖鎖の構造変化”に着目しており、修飾されていることを前提としている。そのため、N-型糖鎖の部分的な構造変化を利用したマーカーとなっており、検出には複雑な糖鎖構造の微細な違いを識別する方法を構築する必要がある。一方、O-型糖鎖修飾では、細胞の状態により、修飾の有無そのものに違いが生じることがある。また、N型糖鎖に比べて構造の多様性が少ないため、糖鎖構造の違いを容易に識別できるといった利点もある。しかし、O-型糖タンパク質の網羅解析には技術的な課題が多く難しかった。
【0009】
発明者らは、独自にO型糖鎖修飾解析プラットフォームの開発に成功し、供与血清から得られたタンパク質より、大腸がん患者血清群でのみ同定されたO-型糖タンパク質をリスト化した。その中から、患者群における同定頻度が高い6種(FBLN2、ANGPTL3、MAN2A1、CSF1、VCAN、C1QAのO型グリコフォーム)及び非ラベル化定量法により統計学的有意性を示した2種(MRC1、FGA)を腫瘍マーカーとした。患者血清中では、これらのタンパク質の特定領域に特定のO-型糖鎖修飾(T抗原、Sialyl T抗原、di- Sialyl T抗原)が結合したグリコフォームが著しく増加していることを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0010】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)被験者由来の生物学的試料におけるO-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルを測定することを含む、がんの診断を補助するための方法であって、タンパク質が、FBLN2(Fibulin-2)、ANGPTL3 (Angiopoietin-related protein 3)、MAN2A1 (Alpha-mannosidase 2)、CSF1(Macrophage colony-stimulating factor 1)、VCAN (Versican core protein)、C1QA (Complement C1q subcomponent subunit A)、MRC1(Macrophage mannose receptor 1 )及びFGA(Fibrinogen alpha chain)からなる群より選択される少なくとも1つである前記方法。
(2)O-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルが高い場合に、がんに罹患している可能性が高いことを示し、O-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルが低い場合に、がんに罹患している可能性が低いことを示す(1)記載の方法。
(3)O-型糖鎖が、T抗原:Hex(1)HexNAc(1)、Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)、di-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)、フコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)又はそれらの組み合わせである(1)又は(2)に記載の方法。
(4)O-型糖鎖で修飾されたタンパク質が、下記の(i)~(viii)からなる群より選択される少なくとも1つである(3)記載の方法。
(i) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたFBLN2、
(ii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたANGPTL3、
(iii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたMAN2A1、
(iv) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたCSF1及びdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたCSF1、
(v)T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCAN、
(vi) フコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加されたC1QA
(vii) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたMRC1
(viii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたFGA
(5)O-型糖鎖で修飾されたタンパク質が、下記の(ia)~(viiia)からなる群より選択される少なくとも1つである(4)記載の方法。
(ia) aa330-349、aa350-364及びaa365-378のうち少なくとも1つの領域内の部位にT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたFBLN2、
(iia) aa206-221及びaa222-235のうち少なくとも1つの領域内の部位にSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原 Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたANGPTL3、
(iiia) aa211-221領域内の部位にSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原 Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたMAN2A1、
(iva) aa356-395領域内の部位にT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたCSF1及び370-395領域内の部位にdi-Sialyl T抗原 Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたCSF1、
(va)aa1415-1430及びaa2468-2475のうちの少なくとも1つの領域内の部位にT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCAN、並びに
(via) aa101-121領域内の部位にフコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加されたC1QA
(viia) aa1215-1229領域内の部位にT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたMRC1、並びに
(viiia) aa354-367及びaa511-527のうち少なくとも1つの領域内の部位にSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原 Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたFGA
(6)生物学的試料が、細胞、組織、体液、腹腔液、腹腔洗浄液、糞便又は尿である(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)体液が血液である(6)記載の方法。
(8)血液が、全血、血清、血漿又は血漿交換外液のいずれかである(7)記載の方法。
(9)がんが大腸がんである(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
(10)下記の(i)~(viii)からなる群より選択される少なくとも1つのO-型糖鎖修飾タンパク質を特異的に検出することができる試薬を含む、検査キット。
(i) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたFBLN2、
(ii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたANGPTL3、
(iii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたMAN2A1、
(iv) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたCSF1及びdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたCSF1、
(v) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCAN、並びに
(v) フコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加されたC1QA
(vii) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたMRC1
(viii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたFGA
【発明の効果】
【0011】
本発明により、新たな腫瘍マーカーが同定された。これらを単独、または組み合わせで用いることにより、糖鎖部分のみを認識抗原とする従来の腫瘍マーカーと比べ、感度と特異度に優れた診断が補助される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】研究ワークフローと使用したレクチンの結合特異性。前処理は大きく3工程([1]レクチンアフィニティー濃縮工程、[2]酵素消化工程および[3]糖ペプチド濃縮工程)に分けられる。
図2】同定されたO-型グリコフォーム数の比較。(a) 検索エンジンByonicで同定されたO-型グリコフォーム数の比較。進行・再発大腸がん患者血清群と健常血清群間で同定数はほぼ同じである。(b) 代表的なO-型糖鎖付加数の比較。がん関連糖鎖として知られるSialyl Tnを含む代表的なO-型糖鎖の付加数にも大きな差異は認められない。
図3】同定されたO-型グリコフォームの比較。(a) O-型グリコフォームピーク面積値を用いた主成分分析結果。(b) 進行・再発大腸がん患者血清群と健常血清群で同定されたO-型グリコフォーム、O-型糖ペプチド、O-型糖タンパク質のベン図比較。進行・再発大腸がん患者血清群で特徴的な67のO-型糖タンパク質が同定された。
図4】進行・再発大腸がん患者血清群で高頻度に同定されたO-型グリコフォームピーク面積の比較(箱ひげ図)とROC解析結果。
図5】FBLN2のaa330-349、aa350-364、aa365-378領域へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加を示すプロダクトイオンスペクトル。
図6】ANGPTL3のaa206-221領域へのSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)付加、aa222-235領域内2箇所へのSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)付加、またはaa222-235領域内2箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)とSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)付加を示すプロダクトイオンスペクトル。
図7】MAN2A1のaa211-221領域内2箇所へのSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)とdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)付加を示すプロダクトイオンスペクトル。
図8】CSF1のaa356-369領域内1箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加、2箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加、及びaa370-386領域内1箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加を示すプロダクトイオンスペクトル。
図9】CSF1のaa370-386領域内1箇所へのdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)付加及びaa370-386領域内2箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)とdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)付加を示すプロダクトイオンスペクトル。
図10】C1QAのaa101-121領域内2箇所へのフコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加を示すプロダクトイオンスペクトル。
図11】MRC1のaa1215-1229領域内の1箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加を示すプロダクトイオンスペクトル。
図12】FGAのaa354-367領域内の1箇所へのSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)付加及びaa511-527領域内の1箇所へのdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)付加を示すプロダクトイオンスペクトル。
図13】公的データベースを用いた組織別遺伝子発現レベルの比較(大腸・肝臓)と生存期間への影響
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明は、被験者由来の生物学的試料におけるO-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルを測定することを含む、がんの診断を補助するための方法であって、タンパク質が、FBLN2(Fibulin-2)、ANGPTL3(Angiopoietin-related protein 3)、MAN2A1(Alpha-mannosidase 2)、CSF1(Macrophage colony-stimulating factor 1)、VCAN(Versican core protein)、C1QA(Complement C1q subcomponent subunit A) 、MRC1 (Macrophage mannose receptor 1 )及びFGA(Fibrinogen alpha chain)からなる群より選択される少なくとも1つである前記方法を提供する。からなる群より選択される少なくとも1つである前記方法を提供する。
【0015】
FBLN2(Fibulin-2)は、フィブリンファミリーに属する細胞外マトリックスタンパク質である。さまざまな細胞外リガンドやカルシウムに結合する。がん遺伝子としても知られており、FBLN2遺伝子の発現変動は癌の発生と進行と関連しているとされる。[UniProtKB - P98095]
【0016】
ANGPTL3(Angiopoietin-related protein 3)は、主に肝臓で発現する多機能分泌タンパク質である。脂質代謝や血管新生に関与することで発癌との関連性が指摘されている。[UniProtKB - Q9Y5C1]
【0017】
MAN2A1(Alpha-mannosidase 2)は、ゴルジ体に局在し、N-型糖鎖合成経路の最終的な加水分解ステップを触媒する酵素である。[UniProtKB - Q16706]
【0018】
CSF1(Macrophage colony-stimulating factor 1)は、マクロファージの産生、分化、および機能を制御するサイトカインである。前駆体は膜アンカー型であるが、シェディングにより細胞外へ分泌される(分泌型;活性型)。抗腫瘍マクロファージ上のCSF1レセプターと結合することで腫瘍関連マクロファージへの分化が促進される。がんの予後不良との関連性が指摘されている。[UniProtKB - P09603]
【0019】
VCAN(Versican core protein)は、aggrecan/versicanプロテオグリカンファミリーに属するコンドロイチン硫酸プロテオグリカンであり、細胞外マトリックスの主成分として知られる。細胞接着、増殖、増殖、遊走、血管新生に関与し、組織の形態形成と維持に中心的な役割を果たす。[UniprotKB- P13611]
【0020】
C1QA(Complement C1q subcomponent subunit A) は、補体タンパク質であり細胞外に分泌される。さまざまな種類のヒト腫瘍の微小環境で高度に発現しており、腫瘍の成長に密接に関与することが知られる。[UniProtKB - P02745]
【0021】
MRC1 (Macrophage mannose receptor 1 )は、マクロファージによる糖タンパク質のエンドサイトーシスを媒介する I 型膜受容体である。MRC1を発現する腫瘍関連マクロファージは、腫瘍の免疫抑制、血管新生、転移、および再発に関与することが知られている。[UniProtKB - P22897]
【0022】
FGA(Fibrinogen alpha chain)は、フィブリノーゲンベータ (FGB) およびフィブリノーゲンガンマ (FGG) と共に不溶性フィブリンマトリックスを形成する、血栓の主要成分として知られている。[UniProtKB - P02671]
【0023】
本発明において、O-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルが高い場合に、がんに罹患している可能性が高いことを示し、O-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルが低い場合に、がんに罹患している可能性が低いことを示しうる。
【0024】
O-型糖鎖は、T抗原:Hex(1)HexNAc(1)、Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)、di-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)、フコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)又はそれらの組み合わせであるとよい。
【0025】
O-型糖鎖で修飾されたタンパク質は、下記の(i)~(v)からなる群より選択される少なくとも1つでありうる。
(i) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたFBLN2、
(ii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたANGPTL3、
(iii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたMAN2A1、
(iv) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたCSF1及びdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたCSF1、
(v) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCAN、並びに
(vi) フコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加されたC1QA
(vii) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたMRC1
(viii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたFGA
上記(i)のT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたFBLN2は、aa330-349、aa350-364及びaa365-378のうち少なくとも1つの領域内の部位にT抗原が付加されたFBLN2でありうる。FBLN2のaa330-349、aa350-364及びaa365-378の各領域内の部位には、それぞれ、1個(箇所)のT抗原が付加しうる。例えば、aa330-349領域内の部位に1個(箇所)のT抗原が付加されたFBLN2などががん患者の血清において同定されている(Table 1)。
【0026】
上記(ii)のSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたANGPTL3は、aa206-235のうち少なくとも1つの部位にSialyl T抗原及び/又はdi-Sialyl Tが付加されたANGPTL3でありうる。ANGPTL3のaa206-221及びaa222-235の各領域の部位には、それぞれ、1個~3個(箇所)のSialyl T抗原又は1個(箇所)di-Sialyl T抗原が付加しうる。例えば、aa206-221領域内の部位に1個(箇所)のSialyl T抗原が付加されたANGPTL3、aa222-235領域内の部位に2個(箇所)のSialyl T抗原が付加されたANGPTL3などががん患者の血清において同定されている(Table 1)。
【0027】
上記(iii)のSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたMAN2A1は、aa211-221領域内の部位にSialyl T抗原及び/又はdi-Sialyl T抗原が付加されたMAN2A1でありうる。MAN2A1のaa211-221領域内の部位には、0個~2個(箇所)のSialyl T抗原、0個~1個(箇所)のdi-Sialyl T抗原が付加しうる。例えば、aa211-221領域内の部位に1個(箇所)のSialyl T抗原が付加されたMAN2A1や1個(箇所)のdi-Sialyl T抗原が付加されたMAN2A1などががん患者の血清において同定されている(Table 1)。
【0028】
上記(iv)のT抗原:Hex(1)HexNAc(1) 及び/又はdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたCSF1は、aa356-395領域内の部位にT抗原が付加されたCSF1、又はaa370-395領域内の部位にdi-Sialyl T抗原が付加されたCSF1でありうる。CSF1のaa356-395領域内の部位には、1個~3個(箇所)のT抗原、aa370-395領域内の部位には、0~1個(箇所)のdi-Sialyl T抗原が付加しうる。例えば、aa356-369領域内の部位に1~2個(箇所)のT抗原が付加されたCSF1、aa370-386領域内の部位に1個(箇所)のdi-Sialyl T抗原が付加されたCSF1、aa370-395領域内の部位にT抗原とdi-Sialyl T抗原が各1個(箇所)ずつ付加されたCSF1などががん患者の血清において同定されている(Table 1)。
【0029】
上記(v)のT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCANは、aa1415-1430及びaa2468-2475のうちの少なくとも1つの領域内の部位にT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCANでありうる。VCANのaa1415-1430領域内の部位には、1個(箇所)のT抗原が付加しうる。VCANのaa2468-2475領域内の部位には、1個(箇所)のT抗原が付加しうる。例えば、aa1415-1430領域内の部位に1個(箇所)のT抗原が付加されたVCAN、aa2468-2475領域内の部位に1個(箇所)のT抗原が付加されたVCANなどががん患者の血清において同定されている(Table 1)。
【0030】
上記の(vi)のフコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加されたC1QAは、aa101-121領域内の部位にフコシル化T抗原が付加されたC1QAでありうる。C1QAの、aa101-121領域内の部位には、2個(箇所)のフコシル化T抗原が付加しうる。aa101-121領域内の部位に2個(箇所)のフコシル化T抗原が付加されたC1QAががん患者の血清において同定されている(Table 1)。
【0031】
上記の(vii)のT抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたMRC1は、aa1215-1229領域内の部位にT抗原が付加されたMRC1でありうる。MRC1の、aa1215-1229領域内の部位には、1個(箇所)のT抗原が付加しうる。aa1215-1229領域内の部位に1個(箇所)のT抗原が付加されたMRC1ががん患者の血清において同定されている。(Table 2)
【0032】
上記の(viii)のSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたFGAは、aa354-367及びaa511-527のうち少なくとも1つの領域内の部位にSialyl T抗原及び/又はdi-Sialyl T抗原が付加されたFGAであり得る。FGAの、aa354-367領域内の部位には、少なくとも1個(箇所)のSialyl T抗原が付加しうる。aa511-527領域内の部位には、少なくとも1個(箇所)のdi-Sialyl T抗原が付加しうる。例えば、aa354-367領域内の部位に1個(箇所)のSialyl T抗原が付加されたFGA、aa511-527領域内の部位に1個(箇所)のdi-Sialyl T抗原が付加されたFGAなどががん患者の血清において同定されている(Table 2)。
【0033】
本発明の方法は、被験者由来の生物学的試料におけるO-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルを測定することを含む。
【0034】
本発明の方法において、被験者はがんへの罹患(がんの再発も含む)が疑われる患者であるが、発病の危険性が考えられるすべてのヒトを対象としてもよい。被験者は、がんの治療中あるいは治療後の患者であってもよい。
【0035】
本発明の方法において、生物学的試料は、細胞、組織、体液、腹腔液、腹腔洗浄液、糞便又は尿でありうる。体液は、血液であるとよく、血液は、全血、血清、血漿又は血漿交換外液のいずれかであるとよい。
【0036】
O-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルの測定は、O-型糖鎖で修飾されたタンパク質の有無を検出してもよいし、O-型糖鎖で修飾されたタンパク質の量(濃度)を測定してもよい。
【0037】
O-型糖鎖で修飾されたタンパク質のレベルの測定には、糖タンパク質を検出できるいかなる方法を用いてもよく、例えば、抗タンパク質抗体と糖鎖検出用レクチンを用いたサンドイッチELISA系、質量分析法などを用いることができる。
【0038】
抗タンパク質抗体と糖鎖検出用レクチンを用いたサンドイッチELISA系により、O-型糖鎖修飾タンパク質のレベルを測定するには、例えば、固定化されたレクチンに試料中のO-型糖鎖修飾タンパク質を反応させて、複合体を形成させる。次いで蛍光標識抗タンパク質抗体と反応させ、レクチン-O-型糖鎖修飾タンパク質-抗タンパク質抗体複合体を蛍光で検出する。
【0039】
抗FBLN2抗体、抗ANGPTL3抗体、抗MAN2A1抗体、抗CSF1抗体、抗C1QA抗体、抗VCAN抗体、抗MRC1抗体および抗FGA抗体は市販されており、その市販の抗体を用いてもよいし、公知の方法によりモノクローナル抗体あるいはポリクローナル抗体を作製して、それを用いてもよい。T抗原検出用レクチンとしては、オーサージオレンジレクチン (Maclura pomifera lectin; MPL/MPA)やピーナッツレクチン (Peanut lectin; PNA) 、Sialyl T抗原検出用レクチンとしては、ジャックフルーツレクチン(Artocarpus integrifolia lectin ; Jacalin)又はエルダベリーレクチン(Sambucus Nigra lectin; SNL/SNA/EBL)、di-Sialyl T抗原検出用レクチンとしては、Jacalinやイヌエンジュレクチン(Maackia amurensis; MAH)などを用いることができる。
【0040】
質量分析法により、O-型糖鎖修飾タンパク質のレベルを測定するには、例えば、図1に示した通り、MPL、Jacalin、SNLレクチンを用いて連続的に精製されたO-型糖鎖修飾タンパク質のトリプシン消化物から、アセトン濃縮法とGlycOCATCH法によりO-型糖ペプチドを濃縮し、Combineされた濃縮物のLC/MS/MSを異なる開裂エネルギーで2回実施し、スペクトルデータを得て、O-型糖ペプチド由来のシグナルのPeak Area値を出すとよい。Peak Area値がカットオフ値よりも高ければ、がんに罹患している可能性が高く、Peak Area値がカットオフ値よりも低ければ、がんに罹患している可能性が低いと判定することができる。カットオフ値は、ROC曲線を用い、感度と特異度を考慮して、設定することができる。質量分析法においては、例えば、m/z204 (HexNAc)、274/292 (NeuAc)、366(HexNAc-Hex)を糖鎖の診断イオンとして利用できる。
【0041】
本発明において、診断を補助する対象となるがんは、大腸がんであるとよい。がんは進行性あるいは再発がんであってもよい。
【0042】
本発明の方法により、がんに罹患している可能性が高いことが示された場合、被験者にはがんの治療を施すとよい。がんの治療法としては、手術(外科治療)、薬物療法、放射線治療、内視鏡治療、造血幹細胞移植、免疫療法、がんゲノム医療、リハビリテーション、緩和ケアなどがあり、これらの治療法を単独で、あるいは組み合わせて治療するとよい。大腸がんの治療には、内視鏡治療、手術、薬物療法、放射線治療などを単独で、あるいは組み合わせて行うとよい。大腸がんに対する薬物療法には、1)手術後の再発を防ぐ目的で行う「補助化学療法」、2)手術による治癒が難しく、症状を緩和する目的で行う「切除不能進行・再発大腸がんに対する薬物療法」の2つがある。補助化学療法としては、カペシタビン(ゼローダ)、テガフール・ウラシル配合剤(UFT:ユーエフティ)、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1:ティーエスワン)や、点滴で行うフォルフォックス(FOLFOX)療法(5-FU(点滴)とレボホリナート(l-ロイコボリン、アイソボリン)にオキサリプラチンを組み合わせる)、飲み薬と点滴を組み合わせるカポックス(CAPOX:カペシタビンとオキサリプラチンの併用)療法が推奨されている。切除不能進行・再発大腸がんに対する薬物療法には、一次治療から五次治療まであり、まずは一次治療から開始し、効果が低下した場合は二次、三次と順に治療を続けていくとよい。一次治療、二次治療に使用する薬としては、フルオロウラシル(5-FU:点滴)、カペシタビン(ゼローダ)、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1)、フォルフォックス(FOLFOX)療法、カポックス(CAPOX)療法、ソックス(SOX)療法(オキサプラチンとS-1の組み合わせ)、フォルフィリ(FOLFIRI)療法(オキサプラチン、フルオロウラシル、レボホリナート、イリノテカンの組み合わせ)、アイリス(IRIS)療法(TS-1とイリノテカンの組み合わせ)、カピリ(CAPIRI)療法(カペシタビンとイリノテカンの組み合わせ)、ベバシズマブ(アバスチン)、ラムシルマブ(サイラムザ)、アフリベルセプト(ザルトラップ)、セツキシマブ(アービタックス)/パニツムマブ(ベクティビックス)などがあり、三次治療以降に使用する薬としては、トリフルリジン/チピラシル塩酸塩(ロンサーフ)、レゴラフェニブ(スチバーガ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)などの免疫チェックポイント阻害剤などがある。
【0043】
本発明の方法は、がんの治療効果、がんの再発や進行、がんの転移リスクの評価のために実施してもよく、がんの治療方針の決定などにも利用することができる。
【0044】
また、本発明は、下記の(i)~(v)からなる群より選択される少なくとも1つのO-型糖鎖修飾タンパク質を特異的に検出することができる試薬を含む、検査キットを提供する。
(i) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたFBLN2、
(ii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1) 及び/又はdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたが付加されたANGPTL3、
(iii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたMAN2A1、
(iv) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたCSF1及びdi-Sialyl T抗原Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたCSF1、
(v) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたVCAN、
(vi) フコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加されたC1QA、
(vii) T抗原:Hex(1)HexNAc(1)が付加されたMRC1、並びに
(viii) Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)及び/又はdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)が付加されたFGA
(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)及び(viii)の糖鎖修飾タンパク質については、上述した。
【0045】
本発明の検査キットに含まれるO-型糖鎖修飾タンパク質を特異的に検出することができる試薬としては、抗タンパク質抗体と糖鎖検出用レクチンの組み合わせ、LC/MS/MSに用いる試薬などを挙げることができる。さらに、本発明の検査キットには、コントロール(例えば、がん患者と健常者由来の生物学的試料において差異がないことが期待される公知のタンパク質など)、希釈液、洗浄液、検出液、反応停止液、96-wellマイクロプレート、還元剤、アルキル化剤、消化酵素、レクチン、取扱説明書などが含まれてもよい。
【0046】
本発明の検査キットは、がんの診断を補助することができ、がんの治療効果、がんの再発や進行、がんの転移リスクの評価、がんの治療方針の決定などにも利用することができる。
【実施例0047】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
〔実施例1〕

1. Introduction
がんの再発と進行は大腸がん(CRC)の主な死因である。CRC再発・進行を伴う患者の予後は非常に多様である。転移リスクが高い患者の特定や、患者の状態に合わせて効果的な治療法選択を支援するための新たなバイオマーカーの導入が促されている。
【0048】
糖鎖は最も重要な翻訳後修飾の1つであり、コンセンサス配列(N-X-S/T, X≠P)のAsnに結合するN-型糖鎖と、Ser/Thrに結合するO-型糖鎖に大別される。O-型糖鎖(ムチン型糖鎖)付加はSer/ThrにN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)が付加することで始まる。最初のO-GalNAc生合成ステップは20個のGalNAcトランスフェラーゼ(T1~T20)が担い、様々なトランスフェラーゼの介入により糖鎖の複雑性が増す。これらムチン型の糖鎖修飾は、血清に含まれる分泌型タンパク質でしばしば認められ、タンパク質の機能を微調整している(1, 2)。癌では、これらムチン型糖鎖修飾の変化が頻繁に観察される。特に短いムチン型糖鎖であるTn抗原、Sialyl Tn抗原、T抗原などの新発現(neo-expression)や過剰発現(over expression)は、タンパク質のコンフォメーションやシグナル伝達の変化と関連し、大腸がんを含む多くのがんで腫瘍の進行や悪性化に重要な役割を果たすことが示されている(3-9)。
【0049】
癌における糖鎖の変化は、癌の診断マーカーとして利用されてきた。その代表例が肝細胞がんマーカーalpha fetoprotein-L3 (AFP-L3)であろう。肝細胞がん特異的にコアフコシル化されたAFPに着目し、コアフコース認識レクチンLCAと抗AFP抗体を組み合わせて検出することが可能である(10-12)。また、AFPと同様、コアフコシル化されたhaptoglobinsは膵がんの有望な診断マーカー候補である(13)。大腸がんに関していえば、高度に糖鎖修飾されたタンパク質である癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen: CEA)と、シアリルルイスaを認識するCA19-9(carbohydrate antigen 19-9)が主に術前・術後診断マーカーとして利用されている。しかし、両者は共に感度が低く、診断における信頼性が大幅に制限されている(14)のが現状である。
【0050】
グライコプロテオミクス分野の多くの目標は、近年の質量分析技術の開発と改善によって達成されてきた。親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)(15-16)やレクチン(17-19)、アセトン(20, 21)などで濃縮されてきたインタクトN-型糖ペプチドのLC/MS/MSは、糖鎖の組成と共に、付加部位とそのペプチド配列、タンパク質を網羅的に明らかにすることができる。その一方で、癌におけるムチン型糖鎖の変化、すなわち、非還元末端側へのシアル酸の付加のような繊細な変化や糖鎖修飾のダイナミックな変化をタンパク質と同時に特定した例は驚くほど少ない。これは、O-型糖鎖の不均一性、O-型糖鎖コンセンサス配列の欠如、およびO-型糖ペプチドを効率よく濃縮する方法が無かったことに起因する。臨床血清検体からのO-グライコプロテオミクス実現により、がんで新発現(neo-expression)や過剰発現したO-型糖鎖修飾タンパク質を明らかにできれば、転移リスクや治療効果の評価に大きな利益を与えるに違いない。
【0051】
これらの洞察に基づいて、我々は、独自のO-型糖鎖解析プラットフォームを用いて、ムチン型糖鎖修飾がダイナミックに変化した血清タンパク質をスクリーニングし、進行・再発大腸がんにおける治療効果や患者層別化を可能にする新たな検査指標開発に向けた分子的根拠を得る。
【0052】
2. Materials and methods
2.1. General Information
使用した試薬はすべて質量分析グレードまたはそれに準ずるグレードであり、全てプロメガ、和光、関東化学から購入した。 ストレプトアビジン(SA)修飾磁気ビーズは、Vector Laboratories(Burlingame、UK)から購入した。 ビオチン標識MPL、Jacalin、SNLレクチンはVector Laboratoriesから入手した。
【0053】
2.2. Clinical Specimens
再発・進行大腸がん関連O-型糖鎖修飾タンパク質のスクリーニングは、平均年齢68歳の患者から前向きに収集された血清試料10検体を用いて実施された。すべての手順は、患者の同意を得た後、横浜市立大学倫理委員会の承認の下で実施された。すべての臨床病理学的情報は、患者の臨床記録から得られた。
【0054】
2.3. Lectin affinityによるO-型糖タンパク質の精製
全ての血清タンパク質はBCA法で定量された。80μg相当の血清タンパク質はまずMPLレクチンで精製された。500 μlのTBS/Triton-x 100(TBS-Tx)で繰り返し洗浄された100 μlのストレプトアビジン―磁性粒子(Streptavidin magnetic beads: SAビーズ)に対し、195 μlのTBS-Txで希釈された10 μgのビオチン化MPL (5 μl slurry; Vector Laboratories)を加えて4℃, 1400×rpmで30 min反応させた。800 μlのTBS-Txで3回洗浄後、TBS-Txで希釈された400 μl のpre-clear済みの血清タンパク質を加え、4℃、1400×rpm で16h反応させた。80 μg相当の血清タンパク質のpre-clearは、50 μlのSAビーズに対して4℃、1400×rpmで30 min反応させることで実施した。MPL-非結合画分(上清)は新たなチューブに回収した。MPLビーズに結合した血清タンパク質は400 μlのTBS-Txで繰り返し洗浄された後、100 μlのTBS/0.2%SDS中で95℃加熱することで回収された。
【0055】
一方、回収されたMPL-非結合画分は、2nd Jacalin精製に供された。197.4 μlのTBS-Txで希釈された13 μgのビオチン化Jacalin (2.6μl slurry; Vector Laboratories)を加えて4℃, 1400×rpmで30 min反応させた。さらに、MPL/Jacalin非結合画分は3rd SNL精製に供した。197.5 μlのTBS-Txで希釈された7μgのビオチン化SNL (2.5μl slurry; Vector Laboratories)を加えて4℃、1400×rpmで30min反応させた。ビーズの洗浄およびレクチン結合タンパク質の回収はMPLと同じ条件で実施した。全ての溶出画分は同じチューブに結合された。
【0056】
2.4. Glycopeptide enrichment
アセトンによる糖ペプチド濃縮法 [20]とGlycOCATCHのコンビネーション(Genovis)を用いた。3種類のLectinで連続的に精製されたO-型糖タンパク質は、3倍容のアセトンで-30℃、16h反応させた後に12,000×gで10 min遠心することで沈殿された。沈殿されたO-型糖タンパク質は、10 mM dithiothreitol (DTT)で56℃, 30 min処理することで還元され、20 mM ヨードアセトアミドにより25°C 、40 min 暗所でアルキル化された。その後、1.5 μg のトリプシンで37°C (800×rpm)、16h消化された。5倍容の冷アセトンを加えて激しく攪拌し、-30℃で16h静置した。O型糖ペプチドは、12,000×g で 10 min遠心し、沈殿させた。 上清は別チューブに回収しspeed vac.の後、TBS-Txに再溶解されGlycOCATCH(Genovis)精製に供された。
【0057】
GlycOCATCH によるO型糖ペプチド濃縮は、添付のプロトコルに準拠して実施した。アフィニティーレジンは、300 μlのTBSを用いて20°C、200 ×gで1 min遠心することで3回洗浄した。アセトンによる糖ペプチド濃縮で得られた上清(非糖ペプチド画分)は、speed vac.の後、TBS-Txに再溶解され、10 unitのSialEXOとともにGlycOCATCHアフィニティーレジンと2h室温で反応させた。1000×gで1min遠心することで非結合画分を取り除き、300 μlの0.5M塩化ナトリウム/TBSで3回洗浄した。GlycOCATCHレジン結合タンパク質は、50μlの8M尿素で5min振盪することで回収された。GlycOCATCH溶出画分はアセトン沈殿による糖ペプチド画分と結合し、GL-Tip SDB精製後、Speed Vac.した。
【0058】
2.5. Liquid chromatography/mass spectrometry
ペプチドと糖ペプチドは L-column2 ODS trapping column (0.3×5 mm, 5 μm; Chemicals Evaluation and Research Institute, Tokyo, Japan) と Nano HPLC Capillary Column (75 μm×120 mm, 3 μm, C18; Nikkyo Technos, Tokyo, Japan)とを連結したEASY-nLC 1000 (Thermo Fisher Scientific) で分離した。溶媒は、0.1% v/v ギ酸/蒸留水 (pump A) と0.1% v/v ギ酸/アセトニトリル(pump B)を用いた。流速は0.3 μL/min とし、0 to 35% B (120 min)のリニアグラジェントで分離した。質量分析データは、イオン源としてNanospray Flex Ion Source (Thermo Fisher Scientific) を装備したQ Exactive mass spectrometer (Thermo Fisher Scientific) を用い、ポジティブイオンモードで測定することで獲得した。質量分析計の制御とデータ取得には、 Xcalibur 4.4 workstation (Thermo Fisher Scientific) を用いた。 スプレー電圧は2.0 kV, キャピラリー温度 250°C, S-lens RF レベルは50とした。マススペクトルはm/z 350-2000の範囲で、分解能70,000で取得した。プロダクトイオンスペクトルは、データ依存的取得法(Top 20)を用い分解能17,500で取得し、normalized collision energy (NCE) 値は 27 と35を用いた。
【0059】
2.6. Identification of O-glycopeptides
O-型糖ペプチドのMS2データセット はProteome Discoverer ver. 2.4 (Thremo Scientific)内に格納された検索エンジンByonic (ver. 3.11: Protein Metrics) で解析された.参照データベースとして、UniprotKB HUMAN (status/2022/02)とO-glycan (in-house database)を使用した。すなわち、10 O-glycan: HexNAc(1), HexNAc(2), HexNAc(1)Hex(1), HexNAc(1), Hex(1)Fuc(1), HexNAc(2)Hex(1), HexNAc(1)Hex(1)NeuAc(1), HexNAc(1)Hex(2)Fuc(1), HexNAc(1)Hex(1)Fuc(1)NeuAc(1), HexNAc(1)Hex(1)NeuAc(2), HexNAc(1)NeuAc(1)。検索条件は以下の通りである。enzyme, trypsin; maximum number of missed cleavages, 2; static modification, carbamidomethylation (C); dynamic modifications, Gln -> pyroGlu (N-term Q) and oxidation (M); precursor mass tolerance, 5 ppm; fragment mass tolerance, 0.1 Da; and maximum number of N-glycosylations per peptide, 2. 同定されたすべての糖ペプチドはfalse discovery rate (FDR)1%以下で選別した。Parcolatorにより信頼性は評価され、Confidence “High”の糖ペプチドのみリスト化した。
【0060】
2.7. Statistics
Byonicで同定されたO-グリコフォームの定量的なピークエリア値は、Proteome Discoverer (ver.2.4)におけるPrecursor ion Quantifier nodeを用いた解析により得られた。解析条件は以下の通りである。Peptide to Use, unique; Precursor Quantification, area; Normalization mode, none. Principle component analysis (PCA) 解析と、and ウィルコクソンの符号順位検定(Wilcoxon matched-pairs signed rank test)は進行・再発大腸がん患者血清群と健常血清群から得られたグリコフォームピーク面積値を用い、JMP 14.2.0 (SAS Institute Inc., Cary, NC)で実行した。P<0.05、P<0.01は、各々重大な、または極めて重大な変化と規定した。
【0061】
2.8. Gene Expression Analysis Using the Public Databases
The University of California Santa Cruz (UCSC) Xena Browserを用いて、遺伝子発現レベルと生存率との関連性を評価した。TCGA と GTEx データベースを用いた。候補遺伝子のExpectation-Maximization(RSEM)によるRNAシーケンスの期待カウント値は、DESeq2によりノーマライズされ、XenaBrowserから抽出した。 正常結腸(n = 307)、正常肝臓(n = 110)、結腸原発腫瘍(n = 287)、および肝臓原発腫瘍(n = 369)のRSEM予想カウントのデータセットは、それぞれTCGAおよびGTExデータベースから取得された。生存分析では、カプラン・マイヤー法を使用して、全体的な生存時間と遺伝子発現の相関関係を分析した。 疾患特異的生存の統計的有意性は、ログランク検定を使用して決定した。
【0062】
3. Results
Identification of O-glycopeptides
ワークフロー(図1)に示した通り, MPL, Jacalin, SNLレクチンを用いて連続的に精製されたO-型糖鎖修飾タンパク質のトリプシン消化物から、アセトン濃縮法とGlycOCATCH法によりO-型糖ペプチドを濃縮した。Combineされた濃縮物のLC/MS/MSは異なる開裂エネルギーで2回実施され、得られたスペクトルデータは糖ペプチド検索エンジンByonicで解析された。糖ペプチドプロダクトイオンスペクトルを用いたデータベース検索の結果を図2に示す。健常血清10検体から、開裂エネルギー27では1019のO-グリコフォームが同定された。そして、開裂エネルギーを27->35に変更することで、新たに437のO-グリコフォームが同定された。最終的に、207種のタンパク質に由来する688種のO-型糖ペプチド、1456種のO-型グリコフォームが同定された。一方、大腸がん患者血清10検体から、開裂エネルギー27では1104のO-グリコフォームが同定された。そして、開裂エネルギーを27->35に変更することで、新たに443のO-グリコフォームが同定された。最終的に、231種のタンパク質に由来する744種のO-型糖ペプチド、1547種のO-型グリコフォームが同定された。健常血清から最も頻繁に付加が認められたのはT抗原(459部位)とSialyl T抗原(432部位)であった。一方、大腸がん患者血清から最も頻繁に付加が認められたのはSialyl T抗原(473部位)とT抗原(465部位)、di- Sialyl T抗原(442部位)であった。興味深いことに、一般的にがん抗原として知られるSialyl Tn、Lewis、Sialyl Lewisの付加に関して、大腸がん患者血清中における優位性は認められなかった。
【0063】
Comparative O-glycoproteomic analysis (Normal & Tumor)
Byonic_Quanにより算出されたO-型グリコフォームprecursorイオンのピーク面積値データを用いたPCA解析の結果を図3aに示す。多変量解析でのPC1は、基本的なO-型糖鎖認識レクチン(MPL, Jacalin, SNL)を用いたfiltrationが健常血清群と再発・進行大腸がん血清群をグループ化することを可能にした。
【0064】
健常血清群と再発・進行大腸がん患者血清群からの各々1456及び1547のO-型グリコフォームが同定された。 図3bは、健常血清および大腸がん患者血清から同定されたO-型グリコフォーム、糖ペプチド、糖タンパク質を比較したVenn diagramである。最終的に、重複を除くと2201のO-型グリコフォーム、1051のO-型糖ペプチドと274のO-型糖タンパク質が同定された。そして、再発・進行大腸がん患者血清群からは、ユニークな745のO-型グリコフォーム、363のO-型糖ペプチド、67のO-型糖タンパク質が大腸がん患者血清群からのみ同定された。再発・進行大腸がん血清群からのみ同定されたこれら67のタンパク質は、がん特異的なO-型糖鎖修飾もしくはO-型糖鎖修飾の異常な亢進が認められたものを示す。363のO-型糖ペプチドは進行・再発大腸がんで新たにO-型糖鎖修飾されたペプチド領域、745のO-型グリコフォームは繊細な糖鎖の変化を表しているに違いない。
【0065】
再発・進行大腸がん患者の特定ならびに治療法選択を支援するマーカー開発への可能性を求めて、我々は、患者血清特異的に同定された67のO-型糖鎖修飾タンパク質から、より広範囲の検体より同定されたO-型糖鎖修飾タンパク質を抽出した。上位6タンパク質と同定されたグリコフォームをTable 1に示す。FBLN2は、最もcommonly identified O-glycoproteinsであり、8検体から同定された。Byonicの結果によると、aa330-378領域に、大腸がん特異的な複数のT抗原、そして1つのdi-Sialyl T抗原の付加が認められた。ANGPTL3は、FBLN2と同じく8検体から同定されたmost commonly identified O-glycoproteinsである。Byonicの結果によると、aa206-235領域に複数のT抗原、Sialyl T抗原、di-Sialyl T抗原が様々な組み合わせで付加していることが示された。MAN2A1は6検体から同定された。aa211-221領域にはT抗原が付加しており、シアル酸の付加による不均一性を作り出していた。VCANからは6検体から合わせて4つのアミノ酸配列領域へのO-型糖鎖修飾を検出することができた。CSF1は、aa356-395領域に対し、T抗原、Sialyl T抗原、di-Sialyl T抗原が様々な組み合わせで付加していた。C1QAのaa101-121領域には2つのフコシル化Core1が付加していた。
並行して、我々は、非ラベル化定量法を用いて、Difference≧5かつFDR LogWorth≧1.3を満たすO-型糖鎖修飾タンパク質を抽出した。同定されたグリコフォームをTable 2に示す。MRC1のaa1215-1229領域へのT抗原付加(Difference値=11.34、FDR LogWorth=10.25)、FGAのaa354-367領域へのSialyl T抗原(Difference値=7.70、FDR LogWorth=2.35)、及びaa 511-527領域へのdi-Sialyl T抗原の付加(Difference値=7.67、FDR LogWorth=1.66)は、統計学的に極めて有意なグリコフォームとして同定された。
これらは全てプロダクトイオンスペクトルからも支持された(図5~12)。図5にFBLN2のaa330-349、aa350-364、aa365-378領域へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加を示すプロダクトイオンスペクトルを示す。m/z204 (HexNAc)と366(HexNAc-Hex)は糖鎖の診断イオンである。ペプチドイオン(aa330-349; m/z1057.04+, aa350-364; m/z1438.73+/719.372+, aa365-378; m/z1363.77+)に加え、複数のペプチド由来のフラグメントイオン(b+, y+)が認められた。図6にANGPTL3のaa206-221領域へのSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)付加(上段)、aa222-235領域内2箇所へのSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)付加またはaa222-235領域内2箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)とSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)付加(下段)を示すプロダクトイオンスペクトルを示す。m/z204 (HexNAc)と274/292 (NeuAc)、366(HexNAc-Hex)は糖鎖の診断イオンである。ペプチドイオン(aa206-221; m/z1773.95+, aa222-235; m/z828.962+)に加え、複数のペプチド由来のフラグメントイオン(b+, y+)が認められた。図7にMAN2A1のaa211-221領域内2箇所へのSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)とdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)付加を示すプロダクトイオンスペクトルを示す。m/z204 (HexNAc)と274/292 (NeuAc)、366(HexNAc-Hex)は糖鎖の診断イオンである。ペプチドイオンm/z1372.71+/686.862+に加え、ペプチド由来のフラグメントイオンb9+/y2+が認められた。図8にCSF1のaa356-369領域内1箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加(上段)、aa356-369領域内2箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加(中段)、及びaa370-386領域内1箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加(下段)を示すプロダクトイオンスペクトルを示す。m/z204 (HexNAc)と366(HexNAc-Hex)は糖鎖の診断イオンである。ペプチドイオン(aa356-369; m/z1410.74+, aa370-386; m/z958.992+)に加え、複数のペプチド由来のフラグメントイオン(b+, y+)が認められた。図9にCSF1のaa370-386領域内1箇所へのdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)付加及びaa370-386領域内2箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)とdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)付加を示すプロダクトイオンスペクトルを示す。m/z204 (HexNAc)と274/292 (NeuAc)は糖鎖の診断イオンである。ペプチドイオン(aa370-386; m/z959.492+, aa370-395; m/z970.133+)に加え、複数のペプチド由来のフラグメントイオン(b+, y+)が認められた。図10にC1QAのaa101-121領域内2箇所へのフコシル化T抗原:Hex(1)HexNAc(1)dHex(1)が付加を示すプロダクトイオンスペクトルを示す。m/z204 (HexNAc)と366(HexNAc-Hex)は糖鎖の診断イオンである。複数のペプチド由来のフラグメントイオン(b+, y+)が認められた。図11に、MRC1のaa1215-1229領域内1箇所へのT抗原:Hex(1)HexNAc(1)付加を示すプロダクトイオンスペクトルを示す。m/z204 (HexNAc)と366(HexNAc-Hex)は糖鎖の診断イオンである。ペプチドイオン(aa1215-1229; m/z1607.81+)に加え、複数のペプチド由来のフラグメントイオン(b+, y+)が認められた。図12に、FGAのaa354-367領域へのSialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(1)、及びaa511-527領域へのdi-Sialyl T抗原:Hex(1)HexNAc(1)NeuAc(2)の付加を示すプロダクトイオンスペクトルを示す。m/z204 (HexNAc)、m/z366およびm/z292(NeuAc)は糖鎖の診断イオンである。ペプチドイオン(aa354-367; m/z1432.63+, aa511-527; m/z944.442+)に加え、複数のペプチド由来のフラグメントイオン(b+, y+)が認められた。
【0066】
Verification of marker candidate O-glycoproteins by statistical analysis
大腸がん患者血清のみでcommonly identifiedされたFBLN2とANGPTL3をはじめとする6分子、及び非ラベル化定量法によりDifference≧5かつFDR LogWorth≧1.3を満たしたMRC1及びFGAについて、マーカー候補タンパク質としての有用性をROC解析により調査した(図4)。O-型糖鎖認識レクチンと抗体との組み合わせを利用した検出系を構築するために、O-型糖鎖のタイプごとにPeak Area値を合算した時のWilcoxon matched-pairs signed rank testを実行した。FBLN2へのT抗原、di-Sialyl T抗原の付加は、大腸がん患者血清で顕著に増加しており、診断(予測)能を示すAUC値は0.9(カットオフ値:3.E+07)であった。ANGPTL3へのT抗原の付加には明確な差異は認められなかったものの、Sialyl T抗原の付加は大腸がん患者血清で顕著に増加しており、AUC値は0.8(カットオフ値:3.E+07)であった。また、MAN2A1へのSialyl T抗原とdi-Sialyl T抗原の付加、C1QAへのフコシル化Sialyl-T抗原の付加は大腸がん患者血清で増加しており、AUC値はそれぞれ0.87(カットオフ値:4.E+07)と0.85(カットオフ値:6.E+06)であった。VCANへのT抗原の付加は大腸がん患者血清で顕著に増加しており、AUC値は0.91であった(カットオフ値:2.E+06)。特筆すべきことに、CSF1へのT抗原、またSialyl T抗原とdi-Sialyl T抗原の付加は大腸がん患者血清で増加しており、AUC値はそれぞれ0.94(カットオフ値:2.E+07)と1.00(カットオフ値:2.E+06)と高い診断能を示した。MRC1のaa1215-1229領域へのT抗原の付加は、大腸がん患者血清で増加しており、AUC値は1.00(カットオフ値:3.E+06)であった。FGAのaa354-367領域へのSialyl T抗原の付加及びaa511-527領域へのdi-Sialyl T抗原の付加は、大腸がん患者血清で増加しており、AUC値はそれぞれ0.88(カットオフ値:1.E+06)及び0.86(カットオフ値:2.E+06)であった。
【0067】
Comparison of the Gene Expression Levels or Marker Candidates Using public databases
O-グライコプロテオミクスの結果では、一部のタンパク質に対するO-型糖鎖の付加が、再発・進行大腸がん患者血清中で顕著に増加する可能性を示した。我々は、複数のO型糖鎖認識レクチンを用いて濃縮したものの、再発・進行大腸がんにおけるタンパク質発現量の亢進の影響を評価することは難しい。そこで、2つの公開データベースGTExとTCGAを使用して、これらのO-型糖鎖の付加が変化したと推定されるタンパク質(血中タンパク質だけではなくECMの構成成分であるタンパク質も含めて)の遺伝子発現レベルと、高発現群が大腸がん患者の生存期間に及ぼす影響を調査した。免疫グロブリンであるγグロブリン以外の血中タンパク質は、主に肝臓で合成されることが知られている。加えて、ECMを構成するタンパク質の多くは組織線維芽細胞から分泌されることが示唆されている。したがって、これらのO-型糖鎖の付加が変化したと推定される9つのO-型糖タンパク質の遺伝子発現レベルを正常な肝臓組織および大腸組織と、それらの腫瘍組織間で比較した。結果を図11に示す。ECMに局在する分泌型タンパク質FBLN2遺伝子の低発現群では有意な生存期間延長が認められるものの、大腸腫瘍組織におけるFBLN2遺伝子発現レベルの重大な増加は認められなかった。肝臓で合成される血中タンパク質であるANGPTL3は、(肝臓での遺伝子発現レベルと大腸がんとの関連性は不明だが)、肝臓がんでは有意な発現レベルの上昇が認められた。しかしながら、低発現群と高発現群との2群比較において、生存期間に差は認められなかった。膜貫通領域をもちGolgiまたは細胞表面に局在する糖タンパク質であるMAN2A1において、大腸腫瘍組織における遺伝子発現レベルの重大な増加が認められたものの、発現レベルと生存期間との相関は無いようである。MAN2A1と同様に、膜貫通領域をもつ細胞表面タンパク質CSFにおいて、大腸腫瘍組織における遺伝子発現レベルの重大な増加は認められないが、遺伝子高発現群における生存期間短縮は著しく顕著である。ECMタンパク質であるVCAN遺伝子の大腸腫瘍組織における発現レベルの増加は認められず、発現レベルと生存期間との相関は無いようである。分泌型タンパク質であるC1QA遺伝子の肝臓における発現レベルは、肝がんで顕著に増加するものの、低発現群における有意な生存期間延長は認めない。膜貫通領域をもつMRC1において、大腸腫瘍組織における遺伝子発現レベルの有意な増加は認められず、発現レベルと生存期間との相関は無いようである。血中分泌タンパク質であるFGAは、肝臓がんにおける有意な発現変動は認められない。また、低発現群と高発現群との2群比較において、生存期間に有意差は認められなかった。
【0068】
[Table 1]
【0069】
[Table 2]


【0070】
4. Refernces

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【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、がんの診断を補助することができる。本発明により、がんの治療効果、がんの再発や進行、がんの転移リスクを評価することが可能となる。
【配列表フリーテキスト】
【0072】
<配列番号1>FBLN2のアミノ酸配列を示す。
MVLLWEPAGAWLALGLALALGPSVAAAAPRQDCTGVECPPLENCIEEALEPGACCATCVQQGCACEGYQYYDCLQGGFVRGRVPAGQSYFVDFGSTECSCPPGGGKISCQFMLCPELPPNCIEAVVVADSCPQCGQVGCVHAGHKYAAGHTVHLPPCRACHCPDAGGELICYQLPGCHGNFSDAEEGDPERHYEDPYSYDQEVAEVEAATALGGEVQAGAVQAGAGGPPAALGGGSQPLSTIQAPPWPAVLPRPTAAAALGPPAPVQAKARRVTEDSEEEEEEEEEREEMAVTEQLAAGGHRGLDGLPTTAPAGPSLPIQEERAEAGARAEAGARPEENLILDAQATSRSTGPEGVTHAPSLGKAALVPTQAVPGSPRDPVKPSPHNILSTSLPDAAWIPPTREVPRKPQVLPHSHVEEDTDPNSVHSIPRSSPEGSTKDLIETCCAAGQQWAIDNDECLEIPESGTEDNVCRTAQRHCCVSYLQEKSCMAGVLGAKEGETCGAEDNDSCGISLYKQCCDCCGLGLRVRAEGQSCESNPNLGYPCNHVMLSCCEGEEPLIVPEVRRPPEPAAAPRRVSEAEMAGREALSLGTEAELPNSLPGDDQDECLLLPGELCQHLCINTVGSYHCACFPGFSLQDDGRTCRPEGHPPQPEAPQEPALKSEFSQVASNTIPLPLPQPNTCKDNGPCKQVCSTVGGSAICSCFPGYAIMADGVSCEDINECVTDLHTCSRGEHCVNTLGSFHCYKALTCEPGYALKDGECEDVDECAMGTHTCQPGFLCQNTKGSFYCQARQRCMDGFLQDPEGNCVDINECTSLSEPCRPGFSCINTVGSYTCQRNPLICARGYHASDDGTKCVDVNECETGVHRCGEGQVCHNLPGSYRCDCKAGFQRDAFGRGCIDVNECWASPGRLCQHTCENTLGSYRCSCASGFLLAADGKRCEDVNECEAQRCSQECANIYGSYQCYCRQGYQLAEDGHTCTDIDECAQGAGILCTFRCLNVPGSYQCACPEQGYTMTANGRSCKDVDECALGTHNCSEAETCHNIQGSFRCLRFECPPNYVQVSKTKCERTTCHDFLECQNSPARITHYQLNFQTGLLVPAHIFRIGPAPAFTGDTIALNIIKGNEEGYFGTRRLNAYTGVVYLQRAVLEPRDFALDVEMKLWRQGSVTTFLAKMHIFFTTFAL

<配列番号2>ANGPTL3のアミノ酸配列を示す。
MFTIKLLLFIVPLVISSRIDQDNSSFDSLSPEPKSRFAMLDDVKILANGLLQLGHGLKDFVHKTKGQINDIFQKLNIFDQSFYDLSLQTSEIKEEEKELRRTTYKLQVKNEEVKNMSLELNSKLESLLEEKILLQQKVKYLEEQLTNLIQNQPETPEHPEVTSLKTFVEKQDNSIKDLLQTVEDQYKQLNQQHSQIKEIENQLRRTSIQEPTEISLSSKPRAPRTTPFLQLNEIRNVKHDGIPAECTTIYNRGEHTSGMYAIRPSNSQVFHVYCDVISGSPWTLIQHRIDGSQNFNETWENYKYGFGRLDGEFWLGLEKIYSIVKQSNYVLRIELEDWKDNKHYIEYSFYLGNHETNYTLHLVAITGNVPNAIPENKDLVFSTWDHKAKGHFNCPEGYSGGWWWHDECGENNLNGKYNKPRAKSKPERRRGLSWKSQNGRLYSIKSTKMLIHPTDSESFE

<配列番号3>MAN2A1のアミノ酸配列を示す。
MKLSRQFTVFGSAIFCVVIFSLYLMLDRGHLDYPRNPRREGSFPQGQLSMLQEKIDHLERLLAENNEIISNIRDSVINLSESVEDGPKSSQSNFSQGAGSHLLPSQLSLSVDTADCLFASQSGSHNSDVQMLDVYSLISFDNPDGGVWKQGFDITYESNEWDTEPLQVFVVPHSHNDPGWLKTFNDYFRDKTQYIFNNMVLKLKEDSRRKFIWSEISYLSKWWDIIDIQKKDAVKSLIENGQLEIVTGGWVMPDEATPHYFALIDQLIEGHQWLENNIGVKPRSGWAIDPFGHSPTMAYLLNRAGLSHMLIQRVHYAVKKHFALHKTLEFFWRQNWDLGSVTDILCHMMPFYSYDIPHTCGPDPKICCQFDFKRLPGGRFGCPWGVPPETIHPGNVQSRARMLLDQYRKKSKLFRTKVLLAPLGDDFRYCEYTEWDLQFKNYQQLFDYMNSQSKFKVKIQFGTLSDFFDALDKADETQRDKGQSMFPVLSGDFFTYADRDDHYWSGYFTSRPFYKRMDRIMESHLRAAEILYYFALRQAHKYKINKFLSSSLYTALTEARRNLGLFQHHDAITGTAKDWVVVDYGTRLFHSLMVLEKIIGNSAFLLILKDKLTYDSYSPDTFLEMDLKQKSQDSLPQKNIIRLSAEPRYLVVYNPLEQDRISLVSVYVSSPTVQVFSASGKPVEVQVSAVWDTANTISETAYEISFRAHIPPLGLKVYKILESASSNSHLADYVLYKNKVEDSGIFTIKNMINTEEGITLENSFVLLRFDQTGLMKQMMTKEDGKHHEVNVQFSWYGTTIKRDKSGAYLFLPDGNAKPYVYTTPPFVRVTHGRIYSEVTCFFDHVTHRVRLYHIQGIEGQSVEVSNIVDIRKVYNREIAMKISSDIKSQNRFYTDLNGYQIQPRMTLSKLPLQANVYPMTTMAYIQDAKHRLTLLSAQSLGVSSLNSGQIEVIMDRRLMQDDNRGLEQGIQDNKITANLFRILLEKRSAVNTEEEKKSVSYPSLLSHITSSLMNHPVIPMANKFSSPTLELQGEFSPLQSSLPCDIHLVNLRTIQSKVGNGHSNEAALILHRKGFDCRFSSKGTGLFCSTTQGKILVQKLLNKFIVESLTPSSLSLMHSPPGTQNISEINLSPMEISTFRIQLR

<配列番号4>CSF1のアミノ酸配列を示す。
MTAPGAAGRCPPTTWLGSLLLLVCLLASRSITEEVSEYCSHMIGSGHLQSLQRLIDSQMETSCQITFEFVDQEQLKDPVCYLKKAFLLVQDIMEDTMRFRDNTPNAIAIVQLQELSLRLKSCFTKDYEEHDKACVRTFYETPLQLLEKVKNVFNETKNLLDKDWNIFSKNCNNSFAECSSQDVVTKPDCNCLYPKAIPSSDPASVSPHQPLAPSMAPVAGLTWEDSEGTEGSSLLPGEQPLHTVDPGSAKQRPPRSTCQSFEPPETPVVKDSTIGGSPQPRPSVGAFNPGMEDILDSAMGTNWVPEEASGEASEIPVPQGTELSPSRPGGGSMQTEPARPSNFLSASSPLPASAKGQQPADVTGTALPRVGPVRPTGQDWNHTPQKTDHPSALLRDPPEPGSPRISSLRPQGLSNPSTLSAQPQLSRSHSSGSVLPLGELEGRRSTRDRRSPAEPEGGPASEGAARPLPRFNSVPLTDTGHERQSEGSFSPQLQESVFHLLVPSVILVLLAVGGLLFYRWRRRSHQEPQRADSPLEQPEGSPLTQDDRQVELPV

<配列番号5>C1QAのアミノ酸配列を示す。
MEGPRGWLVLCVLAISLASMVTEDLCRAPDGKKGEAGRPGRRGRPGLKGEQGEPGAPGIRTGIQGLKGDQGEPGPSGNPGKVGYPGPSGPLGARGIPGIKGTKGSPGNIKDQPRPAFSAIRRNPPMGGNVVIFDTVITNQEEPYQNHSGRFVCTVPGYYYFTFQVLSQWEICLSIVSSSRGQVRRSLGFCDTTNKGLFQVVSGGMVLQLQQGDQVWVEKDPKKGHIYQGSEADSVFSGFLIFPSA

<配列番号6>VCANのアミノ酸配列を示す。
MFINIKSILWMCSTLIVTHALHKVKVGKSPPVRGSLSGKVSLPCHFSTMPTLPPSYNTSEFLRIKWSKIEVDKNGKDLKETTVLVAQNGNIKIGQDYKGRVSVPTHPEAVGDASLTVVKLLASDAGLYRCDVMYGIEDTQDTVSLTVDGVVFHYRAATSRYTLNFEAAQKACLDVGAVIATPEQLFAAYEDGFEQCDAGWLADQTVRYPIRAPRVGCYGDKMGKAGVRTYGFRSPQETYDVYCYVDHLDGDVFHLTVPSKFTFEEAAKECENQDARLATVGELQAAWRNGFDQCDYGWLSDASVRHPVTVARAQCGGGLLGVRTLYRFENQTGFPPPDSRFDAYCFKPKEATTIDLSILAETASPSLSKEPQMVSDRTTPIIPLVDELPVIPTEFPPVGNIVSFEQKATVQPQAITDSLATKLPTPTGSTKKPWDMDDYSPSASGPLGKLDISEIKEEVLQSTTGVSHYATDSWDGVVEDKQTQESVTQIEQIEVGPLVTSMEILKHIPSKEFPVTETPLVTARMILESKTEKKMVSTVSELVTTGHYGFTLGEEDDEDRTLTVGSDESTLIFDQIPEVITVSKTSEDTIHTHLEDLESVSASTTVSPLIMPDNNGSSMDDWEERQTSGRITEEFLGKYLSTTPFPSQHRTEIELFPYSGDKILVEGISTVIYPSLQTEMTHRRERTETLIPEMRTDTYTDEIQEEITKSPFMGKTEEEVFSGMKLSTSLSEPIHVTESSVEMTKSFDFPTLITKLSAEPTEVRDMEEDFTATPGTTKYDENITTVLLAHGTLSVEAATVSKWSWDEDNTTSKPLESTEPSASSKLPPALLTTVGMNGKDKDIPSFTEDGADEFTLIPDSTQKQLEEVTDEDIAAHGKFTIRFQPTTSTGIAEKSTLRDSTTEEKVPPITSTEGQVYATMEGSALGEVEDVDLSKPVSTVPQFAHTSEVEGLAFVSYSSTQEPTTYVDSSHTIPLSVIPKTDWGVLVPSVPSEDEVLGEPSQDILVIDQTRLEATISPETMRTTKITEGTTQEEFPWKEQTAEKPVPALSSTAWTPKEAVTPLDEQEGDGSAYTVSEDELLTGSERVPVLETTPVGKIDHSVSYPPGAVTEHKVKTDEVVTLTPRIGPKVSLSPGPEQKYETEGSSTTGFTSSLSPFSTHITQLMEETTTEKTSLEDIDLGSGLFEKPKATELIEFSTIKVTVPSDITTAFSSVDRLHTTSAFKPSSAITKKPPLIDREPGEETTSDMVIIGESTSHVPPTTLEDIVAKETETDIDREYFTTSSPPATQPTRPPTVEDKEAFGPQALSTPQPPASTKFHPDINVYIIEVRENKTGRMSDLSVIGHPIDSESKEDEPCSEETDPVHDLMAEILPEFPDIIEIDLYHSEENEEEEEECANATDVTTTPSVQYINGKHLVTTVPKDPEAAEARRGQFESVAPSQNFSDSSESDTHPFVIAKTELSTAVQPNESTETTESLEVTWKPETYPETSEHFSGGEPDVFPTVPFHEEFESGTAKKGAESVTERDTEVGHQAHEHTEPVSLFPEESSGEIAIDQESQKIAFARATEVTFGEEVEKSTSVTYTPTIVPSSASAYVSEEEAVTLIGNPWPDDLLSTKESWVEATPRQVVELSGSSSIPITEGSGEAEEDEDTMFTMVTDLSQRNTTDTLITLDTSRIITESFFEVPATTIYPVSEQPSAKVVPTKFVSETDTSEWISSTTVEEKKRKEEEGTTGTASTFEVYSSTQRSDQLILPFELESPNVATSSDSGTRKSFMSLTTPTQSEREMTDSTPVFTETNTLENLGAQTTEHSSIHQPGVQEGLTTLPRSPASVFMEQGSGEAAADPETTTVSSFSLNVEYAIQAEKEVAGTLSPHVETTFSTEPTGLVLSTVMDRVVAENITQTSREIVISERLGEPNYGAEIRGFSTGFPLEEDFSGDFREYSTVSHPIAKEETVMMEGSGDAAFRDTQTSPSTVPTSVHISHISDSEGPSSTMVSTSAFPWEEFTSSAEGSGEQLVTVSSSVVPVLPSAVQKFSGTASSIIDEGLGEVGTVNEIDRRSTILPTAEVEGTKAPVEKEEVKVSGTVSTNFPQTIEPAKLWSRQEVNPVRQEIESETTSEEQIQEEKSFESPQNSPATEQTIFDSQTFTETELKTTDYSVLTTKKTYSDDKEMKEEDTSLVNMSTPDPDANGLESYTTLPEATEKSHFFLATALVTESIPAEHVVTDSPIKKEESTKHFPKGMRPTIQESDTELLFSGLGSGEEVLPTLPTESVNFTEVEQINNTLYPHTSQVESTSSDKIEDFNRMENVAKEVGPLVSQTDIFEGSGSVTSTTLIEILSDTGAEGPTVAPLPFSTDIGHPQNQTVRWAEEIQTSRPQTITEQDSNKNSSTAEINETTTSSTDFLARAYGFEMAKEFVTSAPKPSDLYYEPSGEGSGEVDIVDSFHTSATTQATRQESSTTFVSDGSLEKHPEVPSAKAVTADGFPTVSVMLPLHSEQNKSSPDPTSTLSNTVSYERSTDGSFQDRFREFEDSTLKPNRKKPTENIIIDLDKEDKDLILTITESTILEILPELTSDKNTIIDIDHTKPVYEDILGMQTDIDTEVPSEPHDSNDESNDDSTQVQEIYEAAVNLSLTEETFEGSADVLASYTQATHDESMTYEDRSQLDHMGFHFTTGIPAPSTETELDVLLPTATSLPIPRKSATVIPEIEGIKAEAKALDDMFESSTLSDGQAIADQSEIIPTLGQFERTQEEYEDKKHAGPSFQPEFSSGAEEALVDHTPYLSIATTHLMDQSVTEVPDVMEGSNPPYYTDTTLAVSTFAKLSSQTPSSPLTIYSGSEASGHTEIPQPSALPGIDVGSSVMSPQDSFKEIHVNIEATFKPSSEEYLHITEPPSLSPDTKLEPSEDDGKPELLEEMEASPTELIAVEGTEILQDFQNKTDGQVSGEAIKMFPTIKTPEAGTVITTADEIELEGATQWPHSTSASATYGVEAGVVPWLSPQTSERPTLSSSPEINPETQAALIRGQDSTIAASEQQVAARILDSNDQATVNPVEFNTEVATPPFSLLETSNETDFLIGINEESVEGTAIYLPGPDRCKMNPCLNGGTCYPTETSYVCTCVPGYSGDQCELDFDECHSNPCRNGATCVDGFNTFRCLCLPSYVGALCEQDTETCDYGWHKFQGQCYKYFAHRRTWDAAERECRLQGAHLTSILSHEEQMFVNRVGHDYQWIGLNDKMFEHDFRWTDGSTLQYENWRPNQPDSFFSAGEDCVVIIWHENGQWNDVPCNYHLTYTCKKGTVACGQPPVVENAKTFGKMKPRYEINSLIRYHCKDGFIQRHLPTIRCLGNGRWAIPKITCMNPSAYQRTYSMKYFKNSSSAKDNSINTSKHDHRWSRRWQESRR

<配列番号7>MRC1のアミノ酸配列を示す。
MRLPLLLVFASVIPGAVLLLDTRQFLIYNEDHKRCVDAVSPSAVQTAACNQDAESQKFRWVSESQIMSVAFKLCLGVPSKTDWVAITLYACDSKSEFQKWECKNDTLLGIKGEDLFFNYGNRQEKNIMLYKGSGLWSRWKIYGTTDNLCSRGYEAMYTLLGNANGATCAFPFKFENKWYADCTSAGRSDGWLWCGTTTDYDTDKLFGYCPLKFEGSESLWNKDPLTSVSYQINSKSALTWHQARKSCQQQNAELLSITEIHEQTYLTGLTSSLTSGLWIGLNSLSFNSGWQWSDRSPFRYLNWLPGSPSAEPGKSCVSLNPGKNAKWENLECVQKLGYICKKGNTTLNSFVIPSESDVPTHCPSQWWPYAGHCYKIHRDEKKIQRDALTTCRKEGGDLTSIHTIEELDFIISQLGYEPNDELWIGLNDIKIQMYFEWSDGTPVTFTKWLRGEPSHENNRQEDCVVMKGKDGYWADRGCEWPLGYICKMKSRSQGPEIVEVEKGCRKGWKKHHFYCYMIGHTLSTFAEANQTCNNENAYLTTIEDRYEQAFLTSFVGLRPEKYFWTGLSDIQTKGTFQWTIEEEVRFTHWNSDMPGRKPGCVAMRTGIAGGLWDVLKCDEKAKFVCKHWAEGVTHPPKPTTTPEPKCPEDWGASSRTSLCFKLYAKGKHEKKTWFESRDFCRALGGDLASINNKEEQQTIWRLITASGSYHKLFWLGLTYGSPSEGFTWSDGSPVSYENWAYGEPNNYQNVEYCGELKGDPTMSWNDINCEHLNNWICQIQKGQTPKPEPTPAPQDNPPVTEDGWVIYKDYQYYFSKEKETMDNARAFCKRNFGDLVSIQSESEKKFLWKYVNRNDAQSAYFIGLLISLDKKFAWMDGSKVDYVSWATGEPNFANEDENCVTMYSNSGFWNDINCGYPNAFICQRHNSSINATTVMPTMPSVPSGCKEGWNFYSNKCFKIFGFMEEERKNWQEARKACIGFGGNLVSIQNEKEQAFLTYHMKDSTFSAWTGLNDVNSEHTFLWTDGRGVHYTNWGKGYPGGRRSSLSYEDADCVVIIGGASNEAGKWMDDTCDSKRGYICQTRSDPSLTNPPATIQTDGFVKYGKSSYSLMRQKFQWHEAETYCKLHNSLIASILDPYSNAFAWLQMETSNERVWIALNSNLTDNQYTWTDKWRVRYTNWAADEPKLKSACVYLDLDGYWKTAHCNESFYFLCKRSDEIPATEPPQLPGRCPESDHTAWIPFHGHCYYIESSYTRNWGQASLECLRMGSSLVSIESAAESSFLSYRVEPLKSKTNFWIGLFRNVEGTWLWINNSPVSFVNWNTGDPSGERNDCVALHASSGFWSNIHCSSYKGYICKRPKIIDAKPTHELLTTKADTRKMDPSKPSSNVAGVVIIVILLILTGAGLAAYFFYKKRRVHLPQEGAFENTLYFNSQSSPGTSDMKDLVGNIEQNEHSVI

<配列番号8>FGAのアミノ酸配列を示す。
MFSMRIVCLVLSVVGTAWTADSGEGDFLAEGGGVRGPRVVERHQSACKDSDWPFCSDEDWNYKCPSGCRMKGLIDEVNQDFTNRINKLKNSLFEYQKNNKDSHSLTTNIMEILRGDFSSANNRDNTYNRVSEDLRSRIEVLKRKVIEKVQHIQLLQKNVRAQLVDMKRLEVDIDIKIRSCRGSCSRALAREVDLKDYEDQQKQLEQVIAKDLLPSRDRQHLPLIKMKPVPDLVPGNFKSQLQKVPPEWKALTDMPQMRMELERPGGNEITRGGSTSYGTGSETESPRNPSSAGSWNSGSSGPGSTGNRNPGSSGTGGTATWKPGSSGPGSTGSWNSGSSGTGSTGNQNPGSPRPGSTGTWNPGSSERGSAGHWTSESSVSGSTGQWHSESGSFRPDSPGSGNARPNNPDWGTFEEVSGNVSPGTRREYHTEKLVTSKGDKELRTGKEKVTSGSTTTTRRSCSKTVTKTVIGPDGHKEVTKEVVTSEDGSDCPEAMDLGTLSGIGTLDGFRHRHPDEAAFFDTASTGKTFPGFFSPMLGEFVSETESRGSESGIFTNTKESSSHHPGIAEFPSRGKSSSYSKQFTSSTSYNRGDSTFESKSYKMADEAGSEADHEGTHSTKRGHAKSRPVRDCDDVLQTHPSGTQSGIFNIKLPGSSKIFSVYCDQETSLGGWLLIQQRMDGSLNFNRTWQDYKRGFGSLNDEGEGEFWLGNDYLHLLTQRGSVLRVELEDWAGNEAYAEYHFRVGSEAEGYALQVSSYEGTAGDALIEGSVEEGAEYTSHNNMQFSTFDRDADQWEENCAEVYGGGWWYNNCQAANLNGIYYPGGSYDPRNNSPYEIENGVVWVSFRGADYSLRAVRMKIRPLVTQ
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【配列表】
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