(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174455
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H01G4/30 201L
H01G4/30 201K
H01G4/30 515
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166496
(22)【出願日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】10-2022-0064307
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソン ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジェ ソク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ムーン スー
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、チャン ハク
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD02
5E001AD04
5E001AE00
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082FG27
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品に関する。
【解決手段】
本発明の一実施例による積層型電子部品は、複数の誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される外部電極と、上記本体と外部電極との間に配置される金属酸化物と、を含み、上記金属酸化物は、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)を含み、バリウム(Ba)、ホウ素(B)及びアルミニウム(Al)からなる群から選択された一つ以上をさらに含むことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置されて前記内部電極と連結される外部電極と、
前記本体と前記外部電極との間に配置される金属酸化物と、を含み、
前記金属酸化物は、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)を含み、バリウム(Ba)、ホウ素(B)及びアルミニウム(Al)からなる群から選択された一つ以上をさらに含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記本体と前記外部電極との間に配置された前記金属酸化物に含まれるカルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)の平均含有量は、それぞれ0wt%を超え、13wt%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記金属酸化物は、前記本体と前記外部電極との間から延長して前記外部電極が配置されていない前記本体の領域まで配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記外部電極が配置されていない前記本体の領域に配置された前記金属酸化物に含まれるカルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)の平均含有量は、それぞれ0wt%を超え、6wt%以下である、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記金属酸化物は、前記本体の全体表面に配置され、前記内部電極と前記外部電極が連結される部分には配置されない、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記金属酸化物の前記本体の一面に垂直な方向への平均大きさは、4.5μm以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記金属酸化物は、前記本体の内部に配置され、前記本体と前記外部電極が接する領域から前記本体の内部方向に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記金属酸化物の前記本体の内部方向への平均大きさは、4.5μm以下である、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記外部電極は、前記金属酸化物上に配置されて前記内部電極と連結される導電性金属を含む電極層、及び前記電極層上に配置されるめっき層を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記電極層は、前記内部電極と連結され且つガラスをさらに含む第1電極層、及び前記第1電極層上に配置され且つ樹脂をさらに含む第2電極層を含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記めっき層は、前記電極層上に配置され且つめっき金属を含む第1めっき層、及び前記第1めっき層上に配置され且つ前記第1めっき層のめっき金属と異なるめっき金属を含む第2めっき層を含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
複数の誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置されて前記内部電極と連結される外部電極と、
前記本体と前記外部電極との間に配置される金属酸化物と、を含み、
前記金属酸化物は、金属酸化物ペーストを前記本体にコーティングした後、熱処理して形成され、
前記金属酸化物ペーストは、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)を含み、バリウム(Ba)、ホウ素(B)及びアルミニウム(Al)からなる群から選択された一つ以上をさらに含む、積層型電子部品。
【請求項13】
前記金属酸化物ペーストに含まれる前記亜鉛(Zn)の平均含有量は、前記ケイ素(Si)1モルに対して3.5モル以上4.5モル以下であり、前記カルシウム(Ca)の平均含有量は、前記ケイ素(Si)1モルに対して1.5モル以上2.0モル以下である、請求項12に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記金属酸化物ペーストは、前記本体の全体表面にコーティングされる、請求項12に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記金属酸化物ペーストは、熱処理中に前記本体の内部方向に浸透する、請求項12に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記外部電極は、前記金属酸化物上に配置されて前記内部電極と連結される導電性金属を含む電極層、及び前記電極層上に配置されるめっき層を含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、IT産業のみならず、自動車、工場などの大型電子装備産業でもさらに使用が拡大する傾向にある。既存のIT製品の使用環境に比べて、電子装備産業の使用環境は、ほとんど高温、高振動、高湿の環境であるため、高信頼性の積層セラミックキャパシタを作製することが重要である。
【0004】
一方、誘電体層と内部電極を含む本体を高温で焼成すると、誘電体層の内部に空隙(pore)が形成され、形成された空隙は、積層型電子部品の内部へ水分が浸透できるチャネルとなる可能性がある。すなわち、誘電体層又は内部電極の露出された部分を外部電極で気密に覆うことができないと、外部からの水分浸透などが容易になり、耐湿信頼性不良が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本公開特許公報第2009-016547号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、本体上に金属酸化物層を形成することにより、外部からの水分浸透などを防止し、耐湿信頼性が向上した積層型電子部品を提供することである。
【0007】
但し、本発明が解決しようとするいくつかの課題は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、複数の誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される外部電極と、上記本体と外部電極との間に配置される金属酸化物と、を含み、上記金属酸化物は、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)を含み、バリウム(Ba)、ホウ素(B)及びアルミニウム(Al)からなる群から選択された一つ以上をさらに含むことができる。
【0009】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品は、複数の誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される外部電極と、上記本体と外部電極との間に配置される金属酸化物と、を含み、上記金属酸化物は、金属酸化物ペースト(paste)を上記本体にコーティングした後、熱処理して形成され、上記金属酸化物ペースト(paste)は、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)を含み、バリウム(Ba)、ホウ素(B)及びアルミニウム(Al)からなる群から選択された一つ以上をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のいくつかの効果の一つは、本体上に金属酸化物層を形成することにより、外部からの水分浸透などを防止し、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることである。
【0011】
但し、本発明の多様かつ有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図4】(a)は、
図2のP1領域を概略的に示した拡大図であり、(b)は、他の形状に金属酸化物層が形成されたP1'領域を概略的に示した拡大図である。
【
図5】本発明の一実施形態による積層型電子部品のI-I'線に沿った断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による積層型電子部品のI-I'線に沿った断面図である。
【
図7】
図4の(b)のP2'領域に対応する領域をSEMにて撮ったイメージである。
【
図8】(a)及び(b)は、それぞれ、本体と外部電極との間、及び外部電極が配置されていない本体領域の金属酸化物層をSEM-EDS分析のために撮った比較例のイメージである。
【
図9】(a)及び(b)は、それぞれ、本体と外部電極との間、及び外部電極が配置されていない本体領域の金属酸化物層をSEM-EDS分析のために撮った実施形態のイメージである。
【
図10】(a)は、比較例の耐湿信頼性評価(HAST)グラフであり、(b)は、実施形態の耐湿信頼性評価(HAST)グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0014】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示された各構成のサイズ及び厚さは説明の便宜のために任意で示したため、本発明は、必ずしも図示によって限定されるものではない。また、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0016】
[積層型電子部品]
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図3は、
図1のII-II'領域の拡大図であり、
図4の(a)は、
図2のP1領域を概略的に示した拡大図であり、
図4の(b)は、他の形状に金属酸化物層が形成されたP1'領域を概略的に示した拡大図であり、
図5は、本発明の一実施形態による積層型電子部品のI-I'線に沿った断面図であり、
図6は、本発明の一実施形態による積層型電子部品のI-I'線に沿った断面図である。
【0017】
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、複数の誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110、上記本体110上に配置されて上記内部電極121、122と連結される外部電極131、132、及び上記本体110と外部電極131、132との間に配置される金属酸化物141、141'を含み、上記金属酸化物141、141'は、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)を含み、バリウム(Ba)、ホウ素(B)及びアルミニウム(Al)からなる群から選択された一つ以上をさらに含むことができる。
【0019】
本体110は、複数の誘電体層111及び上記誘電体層111を挟んで対向するように配置される内部電極121、122を含むことができる。
【0020】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は、六面体形状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で、本体110に含まれるセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0021】
本体110は、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され且つ第2方向に対向する第3及び第4面3、4、第1~第4面1、2、3、4と連結され且つ第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含むことができる。
【0022】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難であるほどに一体化することができる。
【0023】
誘電体層111を形成する材料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されない。一般的にペロブスカイト(ABO3)系材料を用いることができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例としては、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3又はBa(Ti1-yZry)O3などを含むことができ、より具体的に、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などを含むことができる。
【0024】
また、誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0025】
一方、誘電体層111の厚さtdは、特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さは、0.6μm以下であることができ、好ましくは0.4μm以下であることができる。ここで、誘電体層111の厚さtdは誘電体層111の第1方向の大きさを意味することができ、誘電体層111の平均厚さtd又は第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0026】
誘電体層111の平均厚さtdは、本体110の第1及び第2方向(長さ及び厚さ方向、L-T方向)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、1つの誘電体層111を第2方向に等間隔の30箇所で第1方向の大きさを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30箇所は、活性部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0027】
一方、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する活性部Acを含むことができる。すなわち、本体110は、第1内部電極121がプリントされた誘電体層111と、第2内部電極122がプリントされた誘電体層111とを第1方向に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0028】
第1内部電極121は、第4面4と離隔され、第3面3を介して露出され、第2内部電極122は、第3面3と離隔され、第4面4を介して露出されることができる。また、第1及び第2内部電極121、122は、それぞれ第5及び第6面5、6を介して露出されることができる。このとき、第1及び第2内部電極121、122は、間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0029】
上記のような構成により、第1及び第2外部電極131、132に所定の電圧を印加すると、第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。このとき、積層型電子部品100の静電容量は、活性部Acで第1方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122のオーバーラップされた面積と比例する。
【0030】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができ、導電性ペースト(paste)を用いて内部電極121、122を形成することができる。
【0031】
内部電極121、122の厚さteは、特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さteは、0.6μm以下であることができ、好ましくは0.4μm以下であることができる。ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向の大きさを意味することができ、内部電極121、122の平均厚さte又は第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0032】
内部電極121、122の平均厚さteは、本体110の第1及び第2方向(長さ及び厚さ方向、L-T方向)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極121、122を第2方向に等間隔の30箇所で第1方向の大きさを測定して、平均値を測定することができる。上記等間隔の30箇所は、活性部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部体層121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0033】
一方、本体110は、活性部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を活性部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に、物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0034】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0035】
一方、カバー部112、113の厚さtcは、特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さは、100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下であることができる。ここで、カバー部112、113の厚さtcは、第1方向の大きさを意味することができ、カバー部112、113の平均厚さtc又は第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0036】
カバー部112、113の平均厚さtcは、本体110の第1及び第3方向(幅及び厚さ方向、W-T方向)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、第3方向に等間隔の30箇所で第1方向の大きさを測定して、平均値を測定することができる。また、このような平均値測定を上部及び下部カバー部112、113に拡張して平均値を測定すると、カバー部112、113の平均厚さtpをさらに一般化することができる。ここで、カバー部112、113の平均厚さtcは、カバー部112、113の第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0037】
一方、活性部Acの第3方向の両端面(end-surface)には、マージン部114、115が配置されることができる。マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部114と、第6面6に配置された第2マージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110の第3方向の両端面に配置されることができる。また、マージン部114、115は、本体110を第1及び第3方向(幅及び厚さ方向、W-T方向)の断面において、第1及び第2内部電極121、122の第3方向の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0038】
マージン部114、115は、基本的に、物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0039】
マージン部114、115は、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後、内部電極121、122が本体110の第5及び第6面5、6に露出されるように切断した後、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を活性部の第3方向の両端面に第3方向に積層して形成することができる。
【0040】
マージン部114、115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0041】
一方、マージン部114、115の平均幅は、特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均幅は、80μm以下であることができ、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下であることができる。ここで、マージン部114、115の平均幅は、第3方向の平均大きさを意味することができる。
【0042】
マージン部114、115の平均幅は、本体110の第1及び第3方向(幅及び厚さ方向、W-T方向)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、第1方向に等間隔の30箇所で第3方向の大きさを測定して、平均値を測定することができる。また、このような平均値測定を第1及び第2マージン部114、115に拡張して平均値を測定すると、マージン部114、115の平均幅をさらに一般化することができる。ここで、マージン部114、115の平均幅は、マージン部114、115の第3方向の平均大きさを意味することができる。
【0043】
一般的に、複数の誘電体層及び内部電極を含む本体を高温で焼成熱処理すると、誘電体層の内部に空隙(pore)が形成され、上記空隙(pore)は、外部からの水分及び湿気が本体の内部へ浸透できるチャネルとなる可能性がある。誘電体層及び内部電極が露出された本体の面を外部電極で気密に覆うことができないと、外部からの水分及び湿気が誘電体層と内部電極の弱い部分へ浸透し、耐湿不良が発生するようになる。
【0044】
現在、最も普遍的に用いる外部電極用ペースト(paste)は焼結型銅(Cu)電極であるが、上記焼結型銅(Cu)電極における空隙(pore)の発生は不可避である。焼成過程で発生した空隙(pore)が本体の内部から外部まで繋がってオープンチャネル(open channel)になる場合には、外部からの水分及び湿気がキャパシタの容量を形成する活性部Acにまで浸透し、最終的に故障を誘発する可能性がある。
【0045】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、上記製造方法により発生する耐湿信頼性の問題を解決すべく、本体上に外部電極用ペースト(paste)を塗布する前に、本体に金属酸化物ペースト(paste)をコーティングすることで、本体上に金属酸化物を形成して積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。金属酸化物が本体に配置されることにより、オープンチャネル(open channel)を満たすか又は防ぐことができる緻密な外部膜を形成することができ、金属酸化物上に外部電極用ペースト(paste)を塗布する場合にも、外部からの水分及び湿気などが本体の内部へ浸透することを抑制できる、気密性を向上することができる。
【0046】
より具体的に、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、本体110と外部電極131、132との間に金属酸化物141、141'を配置することができる。上記金属酸化物141、141'は、誘電体層111又は外部電極131、132に形成されるクラック(crack)又は空隙(pore)を満たすか、又は、本体110の内部から形成されたオープンチャネル(open channel)を満たすことができる緻密な外部膜であって、外部からの水分及び湿気などが本体110内部へ浸透することを抑制できる効果がある。金属酸化物141、141'が本体110上に配置されることにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上することができる。
【0047】
金属酸化物141、141'は、複数の誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110を焼成した後、金属酸化物ペースト(paste)をコーティングして本体110上に配置することができる。ここで、金属酸化物ペースト(paste)をコーティングする方法は、本体110を金属酸化物ペースト(paste)に浸漬又はディッピング(dipping)する方法を用いることができるが、特にこれに制限されるものではなく、本体110上にコーティング可能な如何なる方法でも用いることができる。
【0048】
金属酸化物ペースト(paste)は、金属酸化物パウダーを1.5~2.5wt%を含むことができ、好ましくは2.0wt%を含むことができる。
【0049】
ここで、金属酸化物ペースト(paste)は、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)を含み、バリウム(Ba)、ホウ素(B)及びアルミニウム(Al)からなる群から選択された一つ以上をさらに含むことができる。
【0050】
このとき、上記金属元素は、金属酸化物形態のパウダーで添加することができ、金属酸化物パウダーは、金属酸化物ペースト組成物に対して1.5~2.5wt%添加することができる。
【0051】
より具体的に、亜鉛(Zn)は、酸化物(ZnO2)の形態で添加することができるが、亜鉛酸化物(ZnO2)は融点が低く、全体金属酸化物ペースト(paste)の融点を低くする役割を果たすことができる。融点が低くなることで、内部電極の劣化を防止することができ、低い工程温度でも金属酸化物をペースト(paste)状態に維持できることにより、工程温度を容易に制御することができ、低い温度での流動性によって経済的コストの低減し、気密性を向上させることができる。
【0052】
カルシウム(Ca)は、酸化物(CaO)の形態で添加することができる。これは、亜鉛酸化物(ZnO2)のみ添加する場合、金属酸化物ペースト(paste)が水にも容易に溶解する可能性があることから、これを防止するためである。より具体的に、溶融状態の金属酸化物ペースト(paste)を本体にコーティングした後、再度常温に温度が低くなる場合にはケイ素(Si)を含むガラスが形成されることができるが、このとき、カルシウム酸化物(CaO)は、上記ガラスが水に溶解しないようにし、本体上にガラスが容易に形成されるようにする役割を果たすことができる。上記ガラスは、後述するように、本体と外部電極との接着性を向上させる役割を果たすことができる。
【0053】
金属酸化物ペースト(paste)に含まれる上記亜鉛(Zn)の平均含有量は、上記ケイ素(Si)1モルに対して3.5モル以上4.5モル以下であり、上記カルシウム(Ca)の平均含有量は、上記ケイ素(Si)1モルに対して1.5モル以上2.0モル以下であることができる。
【0054】
より具体的に、金属酸化物ペーストに添加するZnOの平均モル数は、SiO21モルに対して3.5モル~4.5モル添加することができ、CaOの平均モル数は、SiO21モルに対して1.5モル~2.0モル添加することができる。
【0055】
添加するZnO、CaO及びSiO2酸化物の平均モル数は、Zn、Ca及びSi金属元素の平均モル数と同一であるため、金属元素のモル数を基準として説明する。
【0056】
亜鉛(Zn)の平均含有量がケイ素(Si)1モルに対して3.5モル未満である場合、金属酸化物の融点を工程が容易になる温度まで十分低くし難い可能性があり、亜鉛(Zn)の平均含有量がケイ素(Si)1モルに対して4.5モルを超えている場合、金属酸化物ペースト(paste)が水に過度に溶解され、ガラスが容易に形成されない可能性がある。
【0057】
より具体的に、亜鉛(Zn)は、金属酸化物の組成によりnetwork modifierの役割を果たすことができるが、亜鉛(Zn)の平均含有量がケイ素(Si)1モルに対して4.5モルを超えている場合、本体110と金属酸化物141、141'の間の界面である内部電極121、122と外部電極131、132が接する領域でSiO2の2次相が過度に生成され、均一なガラス組成を形成し難く、信頼性劣化が発生するおそれがある。ここで、network formerは、SiO2の構造が連続的に形成されるようにする物質に該当し、network modifierは、SiO2の構造が不連続的に形成されるようにする物質に該当する。SiO2の構造が連続的に形成されてガラスを形成する場合、networkが堅固に形成され、耐熱性が高くかつ固いガラスに変化することができる。耐熱性が高い場合、高温での溶融が可能であるため、低温焼成を行うときに接合性が劣位になる可能性があるが、融点が低いZn酸化物を添加することにより、既存の銅(Cu)の焼成温度よりも低い温度でガラスが溶融しながら誘電体層111の空隙(pore)を満たすことができる。
【0058】
一方、カルシウム(Ca)の平均含有量がケイ素(Si)1モルに対して1.5モル未満である場合、ガラスが水に溶解されてガラスを十分形成できない可能性があり、カルシウム(Ca)の平均含有量がケイ素(Si)1モルに対して2.0モルを超えている場合、金属酸化物ペースト(paste)に含まれる物質が均一に混合されない可能性がある。
【0059】
なお、本発明の一実施形態による積層型電子部品100において、金属酸化物ペースト(paste)を熱処理して本体110上に金属酸化物141、141'を形成することができる。本体110と外部電極131、132との間に配置される金属酸化物141、141'に含まれるカルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)の平均含有量は、それぞれ0wt%を超え、13wt%以下であることができる。
【0060】
より具体的に、
図7~
図10を参照して説明すると、次のとおりである。
【0061】
図7は、本体110の表面に露出された、すなわち、本体110と外部電極131、132との間で誘電体層111の空隙(pore)を満たして金属酸化物141'が形成されたSEMイメージである。誘電体層111の空隙(pore)を満たすことにより、本体110内部から外部までのオープンチャネル(open channel)の形成を防止することができ、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0062】
図8の(a)は、本体110と外部電極131、132との間に金属酸化物141、141'が形成されていない比較例のSEMイメージであり、
図8の(b)は、
図8の(a)と同一の比較例の外部電極131、132が配置されていない本体110上を撮ったSEMイメージであり、
図10の(a)は、金属酸化物が形成されていない同一の比較例の超加速寿命試験(HAST、Highly Accelerated Temperature and Humidity Stress Test)グラフである。
【0063】
図9の(a)は、本体110と外部電極131、132との間に金属酸化物141、141'が形成された実施形態のSEMイメージであり、
図9の(b)は、
図9の(a)と同一の実施形態の外部電極131、132が配置されていない本体110上の金属酸化物141を撮ったSEMイメージであり、
図10の(b)は、金属酸化物が形成された同一の実施形態の超加速寿命試験(HAST)グラフである。
【0064】
図8及び
図9のspectrum地点の元素含有量を検出した結果を、後述する表1に記載しており、そこから金属酸化物が形成されていることを確認することができ、
図10から、金属酸化物が本体上に形成された場合に耐湿信頼性が向上することが分かる。
【0065】
元素のEDS分析位置により、元素の含有量が異なるように測定される可能性があるが、金属酸化物が形成された領域のEDS分析を数回行うほど、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)及びケイ素(Si)の平均含有量は、それぞれ0wt%を超え、13wt%以下に収束することができる。金属酸化物上に配置される外部電極131、132に含まれる金属元素により、金属酸化物ペースト(paste)に添加した各元素の含有量よりも高く測定される可能性があるが、上記測定方法を通じて金属酸化物に含まれる元素の平均含有量を導き出すことができる。
【0066】
一方、上記金属酸化物141、141'は、本体110と外部電極131、132との間だけでなく、外部電極131、132から延長して上記外部電極131、132が配置されていない本体110の領域まで配置されることができる。
【0067】
このとき、外部電極131、132が配置されていない本体110の領域に配置された金属酸化物141、141'の平均含有量は、それぞれ0wt%を超え、6wt%以下であることができる。
【0068】
これは、金属酸化物上に外部電極131、132が配置されていないことから、本体110と外部電極131、132との間に配置される金属酸化物に含まれる元素の含有量よりも少なく検出される可能性がある。
【0069】
上記元素の平均含有量は、本体110と外部電極131、132との間に配置される金属酸化物141、141'の元素の平均含有量を測定する方法と同一の方法で平均値を測定することができる。
【0070】
金属酸化物ペースト(paste)は、外部電極131、132を塗布する本体110の一部の面、例えば、本体の第3及び第4面3、4を浸漬した後、熱処理して金属酸化物141、141'を形成することができ、又は、本体110の全体表面にコーティングして熱処理した後、金属酸化物141、141'を形成することができる。
【0071】
金属酸化物ペースト(paste)を本体にコーティングした後で熱処理する場合、本体110の表面上に金属酸化物141が形成されることができ、拡散により本体110の内部の誘電体層110へ浸透して、本体110の内部方向に金属酸化物141'が形成されることができる。このとき、本体110の表面に露出された誘電体層110又は外部電極131、132のクラック(crack)又は空隙(pore)に金属酸化物141、141'が形成されることができれば充分であり、本体110の外表面から内表面の境界を区分して形成されるべきものではない。
【0072】
一方、金属酸化物ペースト(paste)をコーティングした後、外部電極用ペースト(paste)を塗布して外部電極131、132を形成することができる。このとき、外部電極用ペースト(paste)を熱処理する過程で、外部電極に含まれる導電性金属が内部電極と連結される可能性があり、これにより、金属酸化物141、141'が、内部電極121、122と外部電極131、132が連結される領域には配置されない可能性がある。これは、内部電極121、122及び外部電極131、132に含まれる導電性金属間のエネルギー的安定性による駆動力のため、金属酸化物141、141'物質が内部電極121、122と外部電極131、132が連結される部分には配置されない可能性がある。
【0073】
本発明の一実施形態において、金属酸化物141の本体110の一面に垂直な方向への平均大きさは、4.5μm以下であることができ、ここで、本体110の一面に垂直な方向への平均大きさは、厚さを意味することができる。
【0074】
一方、金属酸化物141'が本体の内部方向に浸透する場合には、本体110の内部方向への平均大きさは4.5μm以下であることができ、本体110の内部方向への平均大きさは、第2方向の大きさ又は長さを意味することができる。
【0075】
本体110の一面に垂直な方向への平均大きさ及び本体110の内部方向への平均大きさが4.5μmを超える場合、耐湿信頼性は向上されるものの、内部電極121、122と外部電極131、132との連結性を低下させるか、又は誘電容量を減少させる可能性がある。
【0076】
金属酸化物141、141'の平均厚さ又は平均長さの下限値は、特に設定してはいないが、平均厚さ又は平均長さは、0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であることができる。金属酸化物141、141'が本体110上に少量でコーティングされても耐湿信頼性を向上することができ、本体110と外部電極131、132との間の一部の領域に部分的に配置されても耐湿信頼性を向上することができる。
【0077】
金属酸化物141、141'の厚さ又は長さを測定する方法は、金属酸化物141、141'が配置された本体110の第1及び第2方向(厚さ及び長さ方向、L-T方向)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。
【0078】
より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、本体110の一面に垂直な方向への大きさを測定して厚さを求めることができ、厚さの垂直な方向に等間隔の30箇所で本体110の一面に垂直な方向への大きさを測定し、平均値を測定して、本体110の一面に垂直な方向への平均大きさ、すなわち、平均厚さを測定することができる。
【0079】
また、本体110の内部方向に浸透した、例えば、誘電体層110と外部電極131、132が接する領域から本体110の内部方向への第2方向の大きさを測定して、金属酸化物141'の長さを求めることができ、第1方向に等間隔の10箇所で第2方向の大きさを測定して、平均値を計算することができる。また、このような平均値測定を金属酸化物141'が配置された誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、金属酸化物141'の本体110内部方向への大きさをさらに一般化することができる。
【0080】
本明細書では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的により変わる。
【0081】
外部電極131、132は、本体110の外部に配置されて内部電極121、122と連結され、より具体的に、本体110の第3及び第4面3、4に配置されることができる。
【0082】
外部電極131、132は、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。さらに詳細には、外部電極131、132は、本体110の第3面3に配置される第1外部電極131及び本体110の第4面4に配置される第2外部電極132を含むことができる。このとき、第2外部電極132は第1外部電極131と異なる電位に連結されることができる。
【0083】
外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有する物質であれば如何なるものを用いても形成することができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質を決定することができ、さらに多層構造を有することができる。
【0084】
例えば、外部電極131、132は、金属酸化物141、141'上に配置される電極層131a、132a、131b、132b及び電極層131a、132a、131b、132b上に配置されるめっき層131c、132c、131d、132dを含むことができる。
【0085】
電極層131a、132a、131b、132bに関するより具体的な例を挙げると、内部電極121、122と連結されて第1導電性金属及びガラスを含む第1電極層131a、132a、及び第1電極層131a、132a上に配置されて第2導電性金属及び樹脂を含む第2電極層131b、132bを含むことができる。
【0086】
このとき、第1及び第2導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。第1及び第2導電性金属は、外部電極131、132に導電性を与える役割を果たすことにより、積層型電子部品100がプリント回路基板に実装されて電極パッドと連結されると、そこから電圧の印加を受けて内部電極121、122に伝達する役割を果たす。このとき、電極層131a、132a、131b、132bが多層構造を有する場合には、上記第1及び第2導電性金属の主成分は互いに異なっていてもよい。
【0087】
ガラスは、外部電極131、132の接合性及び耐湿性を向上させる役割を果たすことができる。すなわち、ガラス成分により外部電極の電極層131a、132aと本体110の誘電体層111との間の接着を維持することができ、電極層131a、132aと金属酸化物141、141'との間の接着も維持することができる。
【0088】
ガラスは、酸化物が混合された組成であることができ、例えば、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、転移金属酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群から選択された一つ以上であることができる。
【0089】
一方、外部電極131、132は、電極層131a、132a、131b、132b上に配置されるめっき層131c、132c、131d、132dを含むことができる。
【0090】
めっき層131c、132c、131d、132dは、実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層は、スパッタリング又は電解めっきにより形成することができ、複数の層で形成することができるが、特にこれに制限されるものではない。例えば、めっき層131c、132c、131d、132dは、電極層131a、132a、131b、132b上に配置される第1めっき層131c、132c、及び第1めっき層131c、132c上に配置される第2めっき層131d、132dが順次形成された形態であることができ、第1及び第2めっき層131c、132c、131d、132dに含まれるめっき金属は、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Au)、鉛(Pd)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。このとき、めっき層131c、132c、131d、132dが多層構造を有する場合には、第1及び第2めっき層131c、132c、131d、132dにそれぞれ含まれるめっき金属の主成分は互いに異なっていてもよい。
【0091】
めっき層に関するより具体的な例を挙げると、めっき層は、Ni又はSnめっき層であることができ、電極層上に、Niめっき層が第1めっき層131c、132c、Snめっき層が第2めっき層131d、132dとして順次形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層及びPdめっき層が順次形成された形態であることができる。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。めっき層を含むことにより、基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性及び/又は等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0092】
本明細書で説明する積層型電子部品100のサイズは、特に限定する必要はない。但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層111及び内部電極121、122の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、0402(長さ×幅、0.4mm×0.2mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100において、本発明による信頼性の向上効果がより顕著になれる。
【0093】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解を助けるためのものであって、本発明の範囲が実施例により限定されるものではない。
【0094】
(実施例)
下記表1は、金属酸化物が形成されていない比較例及び金属酸化物が形成された実施例の元素含有量をSEM-EDSにて測定したデータである。
【0095】
一方、
図8は、金属酸化物が形成されていない比較例の積層型電子部品の元素含有量を測定するために、SEM-EDS分析装置を用いて測定した地点を示しており、より具体的に、
図8の(a)は、本体と外部電極との間のいずれか1地点(spectrum 26)を測定したものであり、
図8の(b)は、外部電極が配置されていない本体上のいずれか1地点(spectrum 30)を測定したものである。
【0096】
図9は、金属酸化物が形成された実施例の積層型電子部品の元素含有量を測定するために、SEM-EDS分析装置を用いて測定した地点を示したものであり、より具体的に、
図9の(a)は、本体と外部電極との間に配置された金属酸化物のいずれか1地点(spectrum 33)を測定したものであり、
図9の(b)は、外部電極が配置されていない本体上の金属酸化物のいずれか1地点(spectrum 57)を測定したものである。各元素の含有量は、小数点三位で四捨五入した値を記載した。
【0097】
【0098】
比較例のspectrum 26では、Al、Znが検出されなかったことから、本体と外部電極との間に金属酸化物層が形成されていないことが分かり、検出されたSiは、外部電極に含まれるガラスから検出されたものと予測される。また他の測定位置のspectrum 30では、Zn、Siが検出されなかったことから、外部電極が配置されていない本体上に金属酸化物層が形成されていないことが分かり、検出されたCaは、誘電体層に含まれる副成分であると予測される。
【0099】
実施例のspectrum 33では、Ca、Zn、Siが検出されたことから、本体と外部電極との間に金属酸化物が形成されていることが分かる。また他の測定位置のspectrum 57では、Ca、Zn、Siが検出されたことから、外部電極が配置されていない本体上にも金属酸化物が形成されていることが分かる。
【0100】
以下では、比較例及び実施例の耐湿信頼性評価、すなわち、超加速寿命試験(HAST)を行ったことについて説明する。
【0101】
比較例である金属酸化物が形成されていない積層型電子部品と、実施例である金属酸化物が形成された積層型電子部品をそれぞれ200個用意し、10個ずつ20個のチャネルに実装して基板を用意する。実装された状態でリフロー(reflow)を1回行った後、基板をESPEC装備に投入し、温度条件120°C、相対湿度95%環境に200時間露出して超加速寿命試験(HAST)を行った。このとき、絶縁抵抗(IR)が初期絶縁抵抗(IR0)に対して1/10以下に落ちた積層型電子部品を不良と評価し、劣化が発生したチップの個数をカウントして下記表1に示しており、1/10以下に落ちていない積層型電子部品を正常と評価した。
【0102】
【0103】
図10の(a)は、比較例の耐湿信頼性評価(HAST)グラフであり、
図10の(b)は、実施例の耐湿信頼性評価(HAST)グラフである。これを参照して上記表2を評価すると、金属酸化物が形成されていない比較例の場合、20個の積層型電子部品のチャネルのうち18個のチャネルにおいて、積層型電子部品の絶縁抵抗(IR)が初期絶縁抵抗(IR
0)に対して1/10以下に落ち、不良と評価された。これに対し、金属酸化物が形成された実施例の場合、20個の積層型電子部品のチャネルのうち3個のチャネルにおいて、積層型電子部品の絶縁抵抗(IR)が初期絶縁抵抗(IR
0)に対して1/10以下に落ちたことを確認することができる。
【0104】
このことから、金属酸化物が形成された積層型電子部品の場合、金属酸化物が形成されていない積層型電子部品に比べて耐湿信頼性が向上したことが分かる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0106】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 第1電極層
131b、132b 第2電極層
131c、132c 第1めっき層
131d、132d 第2めっき層
141、141' 金属酸化物