(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174476
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】MEMSセンサ
(51)【国際特許分類】
H04R 19/04 20060101AFI20231130BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H04R19/04
H01L29/84 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204653
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】17/826,182
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,ユアン
(72)【発明者】
【氏名】カーギル,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ケルヴラン,ヤニック・ピエール
【テーマコード(参考)】
4M112
5D021
【Fターム(参考)】
4M112AA01
4M112BA07
4M112CA02
4M112CA03
4M112CA04
5D021CC01
5D021CC05
5D021CC18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】振動膜の動きを最も効果的に電気信号に変換可能な位置に導電部を位置決めしマイクロフォンの感度を向上させるMEMSセンサを提供する。
【解決手段】MEMSセンサは、バックチャンバが貫通するベース10と、ベースに接続され、バックチャンバを覆い、対向配置される第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23を含み、第1、第2ダイアフラムの間に収容空間24が形成される振動膜20と、収容空間内に設けられ、対向する両端が第1、第2ダイアフラムに夫々接続される支持部材30と、収容空間内に設けられる対向電極40と、を含む。第1、第2ダイアフラムはいずれも導電部と非導電部を含み、振動膜には複数の通風溝25が間隔を隔ててリング状で設けられ、導電部は振動膜の中心から振動膜のエッジへ延在し、且つ、通風溝まで延在していない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMSセンサであって、
バックチャンバが貫通するベースと、
前記ベースに接続され、前記バックチャンバを覆う振動膜であって、対向して設けられる第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムを含み、前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムとの間に収容空間が形成される振動膜と、
前記収容空間内に設けられ、且つその対向する両端が前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムにそれぞれ接続される支持部材と、
前記収容空間内に設けられ、且つ前記第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムと間隔を隔てて設けられる対向電極とを含み、
前記振動膜には、複数の通風溝が間隔を隔ててリング状で設けられ、前記通風溝は、前記第1ダイアフラム、前記支持部材及び第2ダイアフラムを順次貫通し、
前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムは、いずれも導電部及び非導電部を含み、前記導電部は、前記振動膜の中心から前記振動膜のエッジへ延在し、且つ前記通風溝まで延在していないことを特徴とするMEMSセンサ。
【請求項2】
前記導電部は、前記非導電部に積層される電極領域であり、前記非導電部は、絶縁膜であり、又は前記非導電部の導電率は、前記導電部の導電率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項3】
前記導電部は、半導体材料に導電性イオンをドープすることで形成され、前記非導電部は、導電性イオンをドープしない半導体材料によって形成されることを特徴とする請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項4】
前記電極領域は、前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムとの前記収容空間に向かう側に設けられ、又は前記電極領域は、前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムとの前記収容空間から離れる側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のMEMSセンサ。
【請求項5】
前記MEMSセンサは、外部回路に接続されるパッドと、前記導電部と前記パッドとを接続するリードとを更に含み、前記リードは、前記通風溝を避けて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項6】
前記第1ダイアフラムは、前記収容空間に向かって突出する複数の第1突起を含み、前記第2ダイアフラムは、前記収容空間に向かって突出する複数の第2突起を含み、前記第1突起と前記第2突起との間は、前記支持部材によって接続されることを特徴とする請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項7】
前記電極領域には、複数のスルーホールが設けられ、複数のスルーホール、複数の前記第1突起及び複数の前記第2突起は、いずれも一対一に対応していることを特徴とする請求項6に記載のMEMSセンサ。
【請求項8】
前記支持部材は、同心に設けられる支持リングを含み、複数の前記支持リングは、前記振動膜の円心を中心として前記振動膜の径方向に沿って間隔を隔てて設けられ、各前記支持リングは、いずれも同心に設けられる複数の第1円弧状部で構成され、複数の前記第1円弧状部は、間隔を隔ててリング状で設けられ、隣接する2つの前記第1円弧状部の間には、第1切り欠きが形成されることを特徴とする請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項9】
隣接する2つの前記支持リング内の複数の前記第1切り欠きの位置は、いずれも一対一に対応し、且つ、前記振動膜の径方向に沿って、複数の前記支持リング内の前記第1切り欠きの弧長は、徐々に増加することを特徴とする請求項8に記載のMEMSセンサ。
【請求項10】
前記振動膜のエッジに近接する少なくとも1つの前記支持リングにおいて、前記第1円弧状部は、同心に設けられる複数の第2円弧状部で構成され、複数の前記第2円弧状部は、間隔を隔ててリング状で設けられ、隣接する2つの前記第2円弧状部の間には、第2切り欠きが形成されることを特徴とする請求項8に記載のMEMSセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械システムの技術分野に関し、特にMEMSセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、二重膜構造のマイクロフォンが開発され且つ製造され、該マイクロフォンは、対向電極の対向する両側に2つの薄膜を有する。これにより、2つの薄膜の間に密封可能な収容空間を生成し、外部環境に対して異なる圧力を有することができる。収容空間内の圧力を低下させると、該構造は、対向電極に関連する自己ノイズ(MEMSマイクロフォンにおける主なノイズ源)を顕著に低減する。
【0003】
従来の技術において、薄膜は、導電性多結晶シリコン導体で製造され、電極として機能するが、マイクロフォンの感度に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の技術における技術課題を解決するために、MEMSセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、MEMSセンサを提供し、
バックチャンバが貫通するベースと、
前記ベースに接続され、前記バックチャンバを覆う振動膜であって、対向して設けられる第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムを含み、前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムとの間に収容空間が形成される振動膜と、
前記収容空間内に設けられ、且つその対向する両端が前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムにそれぞれ接続される支持部材と、
前記収容空間内に設けられ、且つ前記第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムと間隔を隔てて設けられる対向電極とを含み、
前記振動膜には、複数の通風溝が間隔を隔ててリング状で設けられ、前記通風溝は、前記第1ダイアフラム、前記支持部材及び第2ダイアフラムを順次貫通し、
前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムは、いずれも導電部及び非導電部を含み、前記導電部は、前記前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムの中心から前記振動膜のエッジへ延在し、且つ前記通風溝まで延在していない。
【0006】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、前記導電部は、前記非導電部に積層される電極領域であり、前記非導電部は、絶縁膜であり、又は前記非導電部の導電率は、前記導電部の導電率よりも小さい。
【0007】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、前記導電部は、半導体材料に導電性イオンをドープすることで形成され、前記非導電部は、導電性イオンをドープしない半導体材料によって形成される。
【0008】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、前記電極領域は、前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムとの前記収容空間に向かう側に設けられ、又は前記電極領域は、前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムとの前記収容空間から離れる側に設けられている。
【0009】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、前記MEMSセンサは、外部回路に接続されるパッドと、前記導電部と前記パッドとを接続するリードとを更に含み、前記リードは、前記通風溝を避けて設けられている。
【0010】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、前記第1ダイアフラムは、前記収容空間に向かって突出する複数の第1突起を含み、前記第2ダイアフラムは、前記収容空間に向かって突出する複数の第2突起を含み、前記第1突起と前記第2突起との間は、前記支持部材によって接続される。
【0011】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、前記電極領域には、複数のスルーホールが設けられ、複数のスルーホール、複数の前記第1突起及び複数の前記第2突起は、いずれも一対一に対応している。
【0012】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、前記支持部材は、同心に設けられる支持リングを含み、複数の前記支持リングは、前記振動膜の円心を中心として前記振動膜の径方向に沿って間隔を隔てて設けられ、各前記支持リングは、いずれも同心に設けられる複数の第1円弧状部で構成され、複数の前記第1円弧状部は、間隔を隔ててリング状で設けられ、隣接する2つの前記第1円弧状部の間には、第1切り欠きが形成される。
【0013】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、隣接する2つの前記支持リング内の複数の前記第1切り欠きの位置は、いずれも一対一に対応し、且つ前記振動膜の径方向に沿って、複数の前記支持リング内の前記第1切り欠きの弧長は、徐々に増加する。
【0014】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、少なくとも1つの前記支持リングにおいて、前記第1円弧状部は、同心に設けられる複数の第2円弧状部で構成され、複数の前記第2円弧状部は、間隔を隔ててリング状で設けられ、隣接する2つの前記第2円弧状部の間には、第2切り欠きが形成される。
【0015】
前記のようなMEMSセンサであって、ここで、好ましくは、複数の前記第1円弧状部及び前記複数の第2円弧状部はそれぞれ、円弧状の構造である。
【発明の効果】
【0016】
従来の技術に比べて、本発明は、第1ダイアフラムと第2ダイアフラムを導電部と非導電部とし、且つ導電部が通風溝の位置を避けるようにすることにより、導電部を振動膜の動きを最も効果的に電気信号に変換可能な位置に位置決めすることができるため、マイクロフォンの感度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1に係るMEMSセンサの斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るMEMSセンサの平面図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る電極領域の取り付け位置を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る支持部材の構成を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る電極領域と支持部材との係合を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る電極領域が第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムの収容空間に近接する側に設けられた模式図である。
【
図7】本発明の実施例1に係る電極領域が第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムの収容空間から離れる側に設けられた模式図である。
【
図8】本発明の実施例1に係る電極領域が第1ダイアフラム及び第2ダイアフラム内に嵌設された模式図である。
【
図9】本発明の実施例2に係るMEMSセンサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して説明した実施例は、例示的なものであり、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものと解釈することができない。
【0019】
実施例1
図1~
図3に示すように、
図1は、本発明の実施例1に係るMEMSセンサの斜視図であり、
図2は、本発明の実施例1に係るMEMSセンサの平面図であり、
図3は、本発明の実施例1に係る電極領域の取り付け位置模式図であり、本発明の実施例1は、MEMSセンサを提供し、ベース10、振動膜20、支持部材30及び対向電極40を含み、
バックチャンバ11は、ベース10を貫通し、好ましくは、バックチャンバ11の内輪郭面は、円形溝構造である。
【0020】
振動膜20は、ベース10に接続され、且つバックチャンバ11を覆い、振動膜20は、対向して設けられる第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23を含み、本実施例において、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23は、いずれも同心に設けられる円形構造であり、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23との間に所定の隙間を保持して収容空間24を形成し、第1ダイアフラム22は、
図1に示す上方に位置し、第2ダイアフラム23は、第1ダイアフラム22の下方に位置する。
【0021】
支持部材30は、収容空間24内に設けられ、支持部材30の対向する両端は、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23にそれぞれ接続され、支持部材30の役割は、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23が平坦であることを保持することであり、又は少なくとも支持部材30の間の第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23の曲げ/変形を制限/制御することである。これにより、収容空間24の密封体積が低下した大気圧にあり且つ外部が環境大気圧にある場合に第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23が互いに折り畳まれることは、回避される。
【0022】
対向電極40は、懸架状態で収容空間24内に設けられ、常態で、対向電極40は、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23との間に接触せず、且つ支持リング31と機械的に結合されていない。第1ダイアフラム22と対向電極40との間には、第1容量が形成され、第2ダイアフラム23と対向電極40との間には、第2容量が形成される。第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23に加えられた圧力に応答して、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23は、対応する対向電極40に対して移動可能であり、それにより第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23のそれぞれと、対応する対向電極40との間の距離を変更するため、容量値が変化して且つそれに応じて電気信号を出力する。
【0023】
本実施例において、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23は、いずれも絶縁材質の材料で製造され、第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムは、いずれも導電部26及び非導電部27を含み、非導電部27は、絶縁フィルムであり、導電部26は、絶縁フィルムに設けられた電極領域21であり、導線50を利用して電極領域21をパッドに接続し、パッドは、外部回路に接続され、それにより電極領域21を振動膜20の動きを最も効果的に電気信号に変換可能な位置に位置決めすることができるあるため、マイクロフォンの感度を向上させる。
【0024】
図4及び
図5に示すように、
図4は、本発明の実施例1に係る支持部材の構成を示す模式図であり、
図5は、本発明の実施例1に係る電極領域と支持部材との係合を示す模式図であり、本実施例において、電極領域21は、同様に円板状構造であり、電極領域21は、振動膜20の中部に同心に設けられ、本実施例において、振動膜20の周方向は、ベース10に接続され、その撓みは、放物線形であり、振動膜20の円心で最も大きく、エッジでゼロまで低下する。
【0025】
本実施例において、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23の両方には、通風溝25が設けられ、好ましくは、通風溝25は、第1ダイアフラム22、支持部材30及び第2ダイアフラム23を順次貫通する。これは、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23との間に上下に貫通する通風口を作成することに相当する。それにより、通風溝25が位置する領域のフィルムの、湾曲に対するコンプライアンスを顕著に増加させることができる。好ましくは、通風溝25は、振動膜20の周縁にのみ開設され、複数の通風溝25は、間隔を隔ててリング状をなすように電極領域21の周方向領域に位置する。第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23とにおける通風溝25は、同じ寸法及び形状を有してもよく、異なる寸法及び形状を有してもよく、ここで限定されない。
【0026】
マイクロフォンの感度が圧力に応じた容量値の変化比率により決定されるため、電極領域21を振動膜20の運動が最も激しい場所、即ち振動膜20の中部に設けるとともに、振動膜20のエッジに電極領域21を設けない。これにより、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23との間の寄生容量値を減少させ、マイクロフォンの感度を向上させることができる。
【0027】
図6~
図8に示すように、
図6は、本発明の実施例1に係る電極領域21が第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23の収容空間24に近接する側に設けられた断面図であり、電極領域21は、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23の収容空間24に近接する側に設けられ、電極領域21は、第1ダイアフラム22の下面及び第2ダイアフラム23の上面にそれぞれ位置する。
【0028】
図7は、本発明の実施例1に係る電極領域21が第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23の収容空間24から離れる側に設けられた断面図であり、電極領域21は、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23の収容空間24から離れる側に設けられ、電極領域21は、第1ダイアフラム22の上面及び第2ダイアフラム23の下面にそれぞれ位置する。
【0029】
図8は、本発明の実施例1に係る電極領域21が第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23内に嵌設された模式図であり、電極領域21は、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23内に嵌設され、電極領域21は、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23の内部にそれぞれ包まれている。
【0030】
当業者であれば分かるように、電極領域21の分布及び形状は、いずれも実際の需要に応じて決定することができ、ここでは説明を省略する。
【0031】
本実施例において、
図3に示すように、振動膜20は、波形構造であり、具体的には、第1ダイアフラム22は、収容空間24に向かって突出する複数の第1突起221を含み、第2ダイアフラム23は、収容空間24に向かって突出する複数の第2突起232を含み、電極領域21には、複数のスルーホール211が設けられ、複数のスルーホール211、複数の第1突起221及び複数の第2突起232は、いずれも一対一に対応し、スルーホール211の内輪郭面は、第1突起221及び第2突起232の外輪郭面にフィットする。
【0032】
支持部材30は、第1突起221と第2突起232に接続され、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23は、支持部材30で互いに近接し、ここで容量値が最も高く、電極領域21は、支持部材30にスルーホール211を設けることにより、第1突起221と第2突起232の領域を避ける。
【0033】
好ましくは、第1突起221及び第2突起232の形状及び寸法は、いずれも同じであり、規則的な波形を形成することにより振動膜20全体が受ける応力を均一に分布させるとともに、成形加工に役立つ。同時に、第1突起221及び第2突起232の、振動膜20に垂直な方向での断面形状は、矩形、台形又は三角形などであってもよく、第1突起221及び第2突起232の傾斜面の角度は、0°より大きく、90°以下であり、当業者であれば分かるように、第1突起221及び第2突起232の、振動膜20に垂直な方向での断面形状は、規則的な図形であってもく、不規則な図形であってもよく、ここで限定されない。
【0034】
第1突起221と第2突起232とは、共同して振動膜20の波紋を構成し、それにより振動膜20は、大きな張力を有し、大きな音圧を受けることができるとともに、構成された振動膜20は、小さい内部応力を有し、振動膜20の剛性を低減し、MEMSセンサ200の機械的感度を効果的に向上させる。
【0035】
図4に示すように、支持部材30は、同心に設けられる支持リング31を含み、複数の支持リング31は、振動膜20の円心を中心として振動膜20の径方向に沿って間隔を隔てて設けられている。
【0036】
支持リング31は、全体壁状構造であってもよく、内部にチャンバが設けられてもよく、チャンバ内には、充填材料が充填されてもよく、充填材料は、酸化物、例えば酸化ケイ素であってもよい。又は、チャンバ内は、空であってもよい。チャンバには、溝穴が開設されてもよく、外部環境の空気又はエッチング溶液がチャンバ内に入ることを許容することで充填材料を放出し、それにより第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23のコンプライアンスを増加させるとともに、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23との間のプレート間容量を減少させる。
【0037】
支持リング31は、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23の一方と一体に形成されていてもよい。又は、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23が一体に組み立てられた後、両者の間に支持リング31が形成される。
【0038】
本実施例において、各支持リング31は、いずれも同心に設けられる複数の第1円弧状部32で構成され、対向電極40上の第1円弧状部32に対応する箇所には、いずれも貫通孔が設けられ、それにより支持リング31が通過し、第1円弧状部32の断面は、円弧状の構造であり、同一の支持リング31内の複数の第1円弧状部32の内径は、いずれも同じであり、複数の第1円弧状部32は、間隔を隔ててリング状で設けられ、隣接する2つの第1円弧状部32の間には、第1切り欠き33が形成され、大きい第1円弧状部32を使用することにより第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23を支持するため、隣接する第1円弧状部32の間の間隔が大きく、対向電極40に貫通孔を大量に開設する必要がある技術課題を解決し、対向電極40の設計を支持リング31の設計と分離しつつ、第1円弧状部32は、従来の技術における小円柱体よりもはるかに大きく、これにより同じアスペクト比の柱構造を非常に高くし、より厚い対向電極40を使用することができ、より硬い構造を許容し、デバイスの安定性及び信頼性を顕著に向上させることができる。
【0039】
同時に、少なくとも1つの支持リング31において、第1円弧状部32は、同心に設けられる複数の第2円弧状部34で構成され、第2円弧状部34の断面は、同様に円弧状の構造であり、同一の第1円弧状部32内の複数の第2円弧状部34の内径は、いずれも同じであり、複数の第2円弧状部34は、間隔を隔ててリング状で設けられ、隣接する2つの第2円弧状部34の間には、第2切り欠き35が形成され、対向電極40は、第2切り欠き35に貫通孔を開設する必要がなく、それにより対向電極40の剛性を向上させる。
【0040】
本実施例において、振動膜20のエッジに近接する4つの支持リング31において、第1円弧状部32は、同心に設けられる2つの第2円弧状部34で構成され、2つの第2円弧状部34の間には、第2切り欠き35が形成され、第2切り欠き35は、第1円弧状部32の中部に位置する。当業者であれば分かるように、1つの第1円弧状部32内に含まれる第2円弧状部34の数及び位置は、実際の状況に応じて適応的に変更することができ、ここで限定されない。
【0041】
続いて
図4に示すように、隣接する2つの支持リング31内の複数の第1切り欠き33の位置は、いずれも一対一に対応し、且つ振動膜20の径方向に沿って、複数の支持リング31内の第1円弧状部32の弧長が徐々に増大し、第1切り欠き33において、対向電極40に貫通孔を開設する必要がなく、それにより対向電極40の剛性を更に増加させる。
【0042】
実施例2
図9に示すように、
図9は、本発明の実施例2に係るMEMSセンサの平面図であり、本発明の実施例2は、MEMSセンサを提供し、当該MEMSセンサは、ベース10、振動膜20、支持部材30及び対向電極40を含み、
バックチャンバ11は、ベース10を貫通し、好ましくは、バックチャンバ11の内輪郭面は、円形溝構造である。
【0043】
振動膜20は、ベース10に接続され、且つバックチャンバ11を覆い、振動膜20は、対向して設けられる第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23を含み、本実施例において、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23は、いずれも同心に設けられる円形構造であり、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23との間に所定の隙間を保持して収容空間24を形成し、第1ダイアフラム22は、
図1に示す上方に位置し、第2ダイアフラム23は、第1ダイアフラム22の下方に位置する。
【0044】
支持部材30は、収容空間24内に設けられ、支持部材30の対向する両端は、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23にそれぞれ接続され、支持部材30の役割は、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23が平坦であることを保持することであり、又は少なくとも支持部材30の間の第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23の曲げ/変形を制限/制御することである。これにより、収容空間24の密封体積が低下した大気圧にあり且つ外部が環境大気圧にある場合に第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23が互いに折り畳まれることは、回避される。
【0045】
対向電極40は、懸架状態で収容空間24内に設けられ、常態で、対向電極40は、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23との間に接触せず、且つ支持リング31と機械的に結合されていない。第1ダイアフラム22と対向電極40との間には、第1容量が形成され、第2ダイアフラム23と対向電極40との間には、第2容量が形成される。第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23に加えられた圧力に応答して、第1ダイアフラム22と第2ダイアフラム23は、対応する対向電極40に対して移動可能であり、それにより、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23のそれぞれと、対応する対向電極40との間の距離を変更するため、容量値が変化して且つそれに応じて電気信号を出力する。
【0046】
本実施例において、第1ダイアフラム22及び第2ダイアフラム23は、いずれも導電部26及び非導電部27を含み、導電部26は、非導電部27に用いられる材料に加えて導電性イオンをドープすることで形成され、導電部26は、導線50を利用して電極領域21をパッドに接続し、パッドは、外部回路に接続され、
図9に示すように、非導電部27は、導電部26の周方向外側に位置し、非導電部27には、複数の通風溝25が間隔を隔ててリング状で設けられ、通風溝25は、第1ダイアフラム22、支持部材30及び第2ダイアフラム23支持部材を順次貫通する。
【0047】
以上は、図面に示す実施例に基づいて本発明の構造、特徴及び作用効果を詳細に説明し、上記したのは、本発明の好ましい実施例だけであり、本発明は、図面に示される実施範囲を限定せず、本発明の構想に応じて行われる変更、又は同等変化の等価実施例に修正することは、依然として明細書及び図面に含まれる精神から逸脱しない場合、いずれも本発明の保護範囲内にあるべきである。
【符号の説明】
【0048】
10 ベース
11 バックチャンバ
20 振動膜
21 電極領域
211 スルーホール
22 第1ダイアフラム
221 第1突起
23 第2ダイアフラム
231 第2突起
24 収容空間
25 通風溝
26 導電部
27 非導電部
30 支持部材
31 支持リング
32 第1円弧状部
33 第1切り欠き
34 第2円弧状部
35 第2切り欠き
40 対向電極
50 導線