(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174487
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】浴槽装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20231130BHJP
F24H 15/196 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/176 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/246 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/254 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/265 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/421 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20231130BHJP
A61H 33/00 20060101ALI20231130BHJP
A61B 5/26 20210101ALI20231130BHJP
A61B 5/28 20210101ALI20231130BHJP
A61B 5/318 20210101ALI20231130BHJP
【FI】
A47K3/00 Z
F24H15/196 301Y
F24H15/176
F24H15/246
F24H15/254
F24H15/265
F24H15/269
F24H15/281
F24H15/395
F24H15/421
F24H15/219
A61H33/00 C
A61B5/26 100
A61B5/28
A61B5/318
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001452
(22)【出願日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2022085000
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】坪井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】市川 由有
(72)【発明者】
【氏名】榎 将剛
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 慧
(72)【発明者】
【氏名】神出 真緒
(72)【発明者】
【氏名】宇野 涼子
(72)【発明者】
【氏名】平良 里菜
(72)【発明者】
【氏名】石井 悠和
【テーマコード(参考)】
2D005
3L024
4C094
4C127
【Fターム(参考)】
2D005FA00
3L024CC13
3L024EE03
3L024EE05
3L024FF06
3L024FF09
3L024FF15
3L024GG06
3L024GG12
3L024GG41
3L024GG50
3L024HH60
4C094FF02
4C094FF15
4C127AA02
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】入浴者が複数の入浴履歴に基づく履歴情報により客観情報と主観情報とを関連づけて確認することができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる浴槽装置を提供する。
【解決手段】本発明の入浴情報システムは、入浴者特定部42と、客観情報を取得する情報取得部44と、入浴者によって入力された主観情報を制御部に記憶させるように制御部を制御するプログラム50であって、プログラムは、特定された入浴者の特定の入浴に関し情報取得部により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を制御部52に記憶させ、制御部52により、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cを出力装置に出力させる出力機能を実現させる、プログラムとを備えることを特徴としている。
【選択図】
図12A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に入浴する入浴者に関する情報を取得する入浴情報システムであって、
特定の入浴に対して入浴者が誰であるかを特定する入浴者特定部と、
入浴者の入浴に関する客観情報を取得する情報取得部と、
入浴者によって入力された主観情報を制御部に記憶させるように上記制御部を制御するプログラムであって、
上記プログラムは、特定された入浴者の特定の入浴に関し上記情報取得部により取得された上記客観情報と、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された上記主観情報と、を関連づけた入浴履歴を上記制御部に記憶させ、
上記制御部により、特定の入浴者に対する複数の上記入浴履歴に基づく履歴情報を出力装置に出力させる出力機能を実現させる、上記プログラムとを備える、ことを特徴とする入浴情報システム。
【請求項2】
上記客観情報は、上記浴槽の湯水の温度及び入浴時間である、請求項1に記載の入浴情報システム。
【請求項3】
上記客観情報は、入浴者の生体情報である、請求項1に記載の入浴情報システム。
【請求項4】
上記プログラムは、さらに、上記制御部により、上記履歴情報と共に予め設定された推奨情報を上記出力装置に出力させる機能を実現させる、請求項1に記載の入浴情報システム。
【請求項5】
上記履歴情報は、複数の上記入浴履歴に基づいて決定された推奨範囲情報を含む、請求項1に記載の入浴情報システム。
【請求項6】
上記出力機能は、第1出力機能と、第2出力機能とを含み、
上記プログラムは、
上記客観情報のうち第1の分析用途のために選択された第1客観情報と、
上記主観情報のうち第1の分析用途のために入力された第1主観情報と、を関連づけた第1入浴履歴を上記制御部に記憶させ、上記制御部により、特定の入浴者に対する複数の上記第1入浴履歴に基づく第1履歴情報を上記出力装置に出力させる上記第1出力機能を実現させる、
上記プログラムは、
上記客観情報のうち第2の分析用途のために選択された第2客観情報と、
上記主観情報のうち第2の分析用途のために入力された第2主観情報と、を関連づけた第2入浴履歴を上記制御部に記憶させ、上記制御部により、特定の入浴者に対する複数の上記第2入浴履歴に基づく第2履歴情報を上記出力装置に出力させる上記第2出力機能を実現させる、
上記プログラムは、さらに、上記制御部により、上記第1出力機能と上記第2出力機能とを切り替える機能を実現させる、請求項1乃至5の何れか1項に記載の入浴情報システム。
【請求項7】
浴槽に入浴する入浴者に関する情報を取得する入浴情報システムであって、
特定の入浴に対して入浴者が誰であるかを特定する入浴者特定部と、
入浴者の入浴に関する客観情報を取得する情報取得部と、
主観情報の入力を受け付ける入力部と、
上記客観情報と上記主観情報とを記憶する制御部と、
上記制御部から受けた情報を表示する表示部と、を有し、
上記制御部は、
特定された入浴者の特定の入浴に関し上記情報取得部により取得された上記客観情報と、特定の入浴に対して特定された入浴者について上記入力部に入力された上記主観情報と、を関連づけた入浴履歴を記憶し、
特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報を上記表示部に表示させることを特徴とする入浴情報システム。
【請求項8】
上記プログラムは、少なくとも1回の入浴に関する客観情報、及びこの客観情報の値に紐付けられた主観情報に基づいて、まだ主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応するであろう主観情報を推定し、推定された主観情報を上記出力装置に出力させる、請求項1に記載の入浴情報システム。
【請求項9】
上記客観情報の値は、上記浴槽内の湯水の温度、及び入浴時間である、請求項8に記載の入浴情報システム。
【請求項10】
上記客観情報の値は、さらに、上記浴槽が設けられている室内の気温を含む、請求項9に記載の入浴情報システム。
【請求項11】
上記客観情報の値は、さらに、上記浴槽内の湯水の水位を含む、請求項9に記載の入浴情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴情報システムに関し、特に、浴槽に入浴する入浴者に関する情報を取得する入浴情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に示すように、浴槽に浸かっている入浴者の心電情報を入浴者に報知することにより、適正に入浴管理を行わせようとする入浴管理システムが知られている。この入浴管理システムにおいては入浴者の心拍数または心拍上昇率が表示されるようになっている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、入浴ナビゲーションシステムは、ユーザが入浴中に腕等に装着するウェアラブルデバイスを備えることが示されている。このウェアラブルデバイスは生体情報、入浴に関する医学的知見や他者を含む入浴体験者によるSNSの記事等の主観的知見を含む特徴データに基づいて、ユーザに対する入浴の危険性や快適性に関する情報を提示し、ユーザをより適切な入浴環境や入浴施設に誘導を促している。
【0004】
また、例えば特許文献3には、入浴システムが、入浴者自身が入力した睡眠情報を参照し、入浴後の睡眠が良好であると判断される場合に、体感上昇目標温度を、前回の入浴時と同一に設定することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-334394号公報
【特許文献2】特開2019-200448号公報
【特許文献3】特開2020-106964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の発明においては、入浴者の心拍数または心拍上昇率等の客観情報のみを入浴者に報知するため、これらの客観情報と入浴者の主観との関係については、入浴者に分かりにくく、入浴スタイルや入浴者の主観は入浴者によって異なるため、客観情報は良好な状態を示していても入浴者が不快感を感じる場合もあるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2記載の発明においては、ウェアラブルデバイスからの生体情報、入浴に関する医学的知見の他に、他者を含む入浴体験者によるSNSの記事等の主観的知見に基づいて入浴の危険性等の情報を提供しているものの、あくまでも一般的な危険性等の情報を提供するに過ぎないものであった。従って、特許文献2の発明においては、特定の入浴者が、自身の複数の入浴履歴において主観情報がどのようであったかを知ることができず、また、複数の入浴履歴において特定の入浴目的に対する主観情報がどのようであったかを知ることもできず、客観情報に対する特定の入浴者の主観情報を比較して、特定の入浴者の判断により、特定の入浴者のより快適な入浴を実現させることが難しいという問題があった。
【0008】
また、特許文献3記載の発明においては、入浴システムは、入浴後の睡眠が良好であると判断される場合に、体感上昇目標温度を、前回の入浴時と同一に設定するのみであるので、入浴者が客観情報に対する入浴者の主観情報を比較して、入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができないという問題があった。また、特許文献3の発明は、入浴システムがフローに基づいて体感上昇目標温度を設定するので、入浴者が客観情報と主観情報とを関連づけた履歴情報により、より快適な入浴を試すことがしにくいという問題があった。
【0009】
従って、本発明は、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報により、客観情報と主観情報とを関連づけて確認することができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、浴槽に入浴する入浴者に関する情報を取得する入浴情報システムであって、特定の入浴に対して入浴者が誰であるかを特定する入浴者特定部と、入浴者の入浴に関する客観情報を取得する情報取得部と、入浴者によって入力された主観情報を制御部に記憶させるように上記制御部を制御するプログラムであって、上記プログラムは、特定された入浴者の特定の入浴に関し上記情報取得部により取得された上記客観情報と、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された上記主観情報と、を関連づけた入浴履歴を上記制御部に記憶させ、上記制御部により、特定の入浴者に対する複数の上記入浴履歴に基づく履歴情報を出力装置に出力させる出力機能を実現させる、上記プログラムとを備えることを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、上記制御部は、プログラムにより、特定された入浴者の特定の入浴に関し上記情報取得部により取得された上記客観情報と、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された上記主観情報と、を関連づけた入浴履歴を記憶し、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報を出力装置に出力させる出力機能を実現させる。これにより、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報により、客観情報と主観情報とを関連づけて確認することができ、複数の入浴履歴における客観情報に対する主観情報を比較して、入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0011】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記客観情報は、上記浴槽の湯水の温度及び入浴時間である。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、客観情報は、入浴環境を示す湯温及び入浴時間であり、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報により、湯温及び入浴時間を主観情報と関連づけて確認することができ、複数の入浴履歴における湯温及び入浴時間に対する入浴者の主観情報を比較して、入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0012】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記客観情報は、入浴者の生体情報である。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、客観情報は、入浴者の生体情報であり、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報により、入浴者の体の反応である入浴者の生体情報を主観情報と関連づけて確認することができ、複数の入浴履歴における入浴者の体の反応である入浴者の生体情報に対する入浴者の主観情報を比較して、入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0013】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記プログラムは、さらに、上記制御部により、上記履歴情報と共に予め設定された推奨情報を上記出力装置に出力させる機能を実現させる。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、制御部が推奨情報出力機能により履歴情報と共に予め設定された推奨情報を上記出力装置に出力させる。これにより、入浴者は、予め設定された推奨情報と自身の履歴情報とを比較でき、自身の入浴方法を調整する助けとすることができると共に予め設定された推奨情報の範囲内での入浴方法を試すこともできる。
【0014】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記履歴情報は、複数の上記入浴履歴に基づいて決定された推奨範囲情報を含む。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、履歴情報は、複数の入浴履歴に基づいて決定された推奨範囲情報を含む。これにより、入浴者は、推奨範囲情報により、客観情報に対する入浴者の主観情報を比較しながら、より入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、さらに入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0015】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記出力機能は、第1出力機能と、第2出力機能とを含み、上記プログラムは、上記客観情報のうち第1の分析用途のために選択された第1客観情報と、上記主観情報のうち第1の分析用途のために入力された第1主観情報と、を関連づけた第1入浴履歴を上記制御部に記憶させ、上記制御部により、特定の入浴者に対する複数の上記第1入浴履歴に基づく第1履歴情報を上記出力装置に出力させる上記第1出力機能を実現させる、上記プログラムは、上記客観情報のうち第2の分析用途のために選択された第2客観情報と、上記主観情報のうち第2の分析用途のために入力された第2主観情報と、を関連づけた第2入浴履歴を上記制御部に記憶させ、上記制御部により、特定の入浴者に対する複数の上記第2入浴履歴に基づく第2履歴情報を上記出力装置に出力させる上記第2出力機能を実現させる、上記プログラムは、さらに、上記制御部により、上記第1出力機能と上記第2出力機能とを切り替える機能を実現させる。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記制御部は、第1出力機能により、第1の分析用途のための第1履歴情報を、出力装置に出力させることができ、第2出力機能により、第2の分析用途のための第2履歴情報を、出力装置に出力させることができ、さらに、切換機能により、第1出力機能と第2出力機能とを切り替えることができる。これにより、入浴者は、異なる分析用途のための履歴情報を、切換機能により切換えて比較しながら、さらに入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、さらに入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、浴槽に入浴する入浴者に関する情報を取得する入浴情報システムであって、特定の入浴に対して入浴者が誰であるかを特定する入浴者特定部と、入浴者の入浴に関する客観情報を取得する情報取得部と、主観情報の入力を受け付ける入力部と、上記客観情報と上記主観情報とを記憶する制御部と、上記制御部から受けた情報を表示する表示部と、を有し、上記制御部は、特定された入浴者の特定の入浴に関し上記情報取得部により取得された上記客観情報と、特定の入浴に対して特定された入浴者について上記入力部に入力された上記主観情報と、を関連づけた入浴履歴を記憶し、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報を上記表示部に表示させることができる。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記制御部は、特定された入浴者の特定の入浴に関し上記情報取得部により取得された上記客観情報と、特定の入浴に対して特定された入浴者について上記入力部に入力された上記主観情報と、を関連づけた入浴履歴を記憶し、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報を表示部に表示させる。これにより、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報により、客観情報と主観情報とを関連づけて確認することができ、複数の入浴履歴における客観情報に対する主観情報を比較して、入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0017】
本発明において、好ましくは、プログラムは、少なくとも1回の入浴に関する客観情報、及びこの客観情報の値に紐付けられた主観情報に基づいて、まだ主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応するであろう主観情報を推定し、推定された主観情報を出力装置に出力させる。
【0018】
このように構成された本発明によれば、プログラムにより、まだ主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応するであろう主観情報が推定されるので、その入浴者がまだ経験したことがない入浴条件や生体情報等の客観情報の値に対して、入浴者が十分に温まったと感じたかどうかや、入浴者が発汗したかどうか等の主観情報を推定することができる。この結果、その入浴者が経験したことがない領域の客観情報の値に対しても、入浴者が満足するであろう客観情報の値を推奨することが可能になり、快適な入浴を提供することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、客観情報の値は、浴槽内の湯水の温度、及び入浴時間である。
このように構成された本発明によれば、客観情報である浴槽内の湯水の温度及び入浴時間と、これに対応する主観情報に基づいて、その入浴者が主観情報を入力したことのない湯水の温度及び入浴時間に対して、入浴者がどのように感じるか(主観情報)を推定することができる。これにより、例えば、その入浴者が主観情報を入力したことのない温度の湯水で入浴している場合でも、どれだけの入浴時間を取れば十分な温まり感を得ることができるかを推定することができ、入浴者が満足できる入浴条件を推奨することができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、客観情報の値は、さらに、浴槽が設けられている室内の気温を含む。
このように構成された本発明によれば、客観情報の値に浴槽が設けられている室内の気温が含まれているので、季節や、入浴した日の天候等により、入浴者の主観(満足度)が変化する場合でも、入浴者が満足できる入浴条件を、精度良く推奨することができる。
【0021】
本発明において、好ましくは、客観情報の値は、さらに、浴槽内の湯水の水位を含む。
このように構成された本発明によれば、客観情報の値に浴槽内の湯水の水位が含まれているので、半身浴の場合と全身浴の場合に入浴者が感じる温まり感の相違も、主観情報の推定に加味することができ、入浴者が満足できる入浴条件を、精度良く推奨することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の入浴情報システムによれば、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報により、客観情報と主観情報とを関連づけて確認することができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態による入浴情報システムを設置した浴室全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による入浴情報システムの浴槽装置を斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による入浴情報システムの浴槽装置への湯水の供給系統を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による入浴情報システムの信号処理装置及びリモコンの概略構成を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による入浴情報システムの浴槽本体の背もたれ面に寄りかかっている入浴者の身体と、背もたれ面に取り付けられた各電極との位置関係を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報が端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報が端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報が端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報が端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報が端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図11】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報が端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図12A】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報がグラフ形式で端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図12B】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報が表形式で端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図12C】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報がグラフ形式及び文章形式で端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図13A】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報がグラフ形式で端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図13B】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報が表形式で端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図13C】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報がグラフ形式及び文章形式で端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図14A】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報がグラフ形式で端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図14B】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報が表形式で端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図14C】本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいて、客観情報と主観情報とを関連づけた入浴履歴に基づく履歴情報がグラフ形式及び文章形式で端末機器に表示される様子を示す図である。
【
図15】本発明の第2実施形態による入浴情報システムを設置した浴室全体を示す斜視図である。
【
図16】本発明の第2実施形態による入浴情報システムの信号処理装置及びリモコンの概略構成を示す図である。
【
図17】本発明の第3実施形態の入浴情報システムにおいて、取得された入浴履歴の一例を示す図である。
【
図18】本発明の第3実施形態の入浴情報システムにおいて、湯水の温度及び入浴時間に対応した主観情報を表す入浴履歴の一例を示すグラフである。
【
図19】本発明の第3実施形態の入浴情報システムにおいて、入浴履歴に基づいて推定された、湯水の温度及び入浴時間に対応した主観情報を表すヒートマップの一例を示す図である。
【
図20】本発明の第3実施形態の入浴情報システムにおいて、取得された入浴履歴に基づいて、主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応する主観情報を推定する手順の一例を示す図である。
【
図21】本発明の第3実施形態の入浴情報システムにおいて、取得された入浴履歴に基づいて、主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応する主観情報を推定する手順の一例を示す図である。
【
図22】本発明の第3実施形態の入浴情報システムにおいて、取得された入浴履歴に基づいて、主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応する主観情報を推定する手順の一例を示す図である。
【
図23】本発明の第3実施形態の入浴情報システムにおいて、入浴者が入浴を始める前に端末機器上に表示される画面の一例を示す図である。
【
図24】本発明の第3実施形態の入浴情報システムにおいて、入浴者の入浴中においてリモコンに表示される画面の一例を示す図である。
【
図25】本発明の第4実施形態による入浴情報システムの作用を模式的に示す図である。
【
図26】本発明の第5実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴者が主観情報を入力する画面の一例を示す図である。
【
図27】本発明の第5実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴前に入浴者のスマートフォンに表示される画面の一例を示す図である。
【
図28】本発明の第5実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴中にリモコンに表示される画面の一例を示す図である。
【
図29】本発明の第6実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴者が主観情報を入力する画面の一例を示す図である。
【
図30】本発明の第6実施形態による入浴情報システムにおいて、浴室内のリモコン画面に表示されるゲージの一例を示す図である。
【
図31】本発明の第7実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴者が主観情報を入力する画面の一例を示す図である。
【
図32】本発明の第7実施形態による入浴情報システムにおいて、浴室内のリモコン画面に表示されるゲージの一例を示す図である。
【
図33】本発明の第8実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴者の体温を取得するためにサーモセンサによって撮像された画像の一例を示す図である。
【
図34】本発明の第8実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴者が主観情報を入力する画面の一例を示す図である。
【
図35】本発明の第8実施形態による入浴情報システムにおいて、浴室内のリモコン画面に表示されるゲージの一例を示す図である。
【
図36】本発明の第9実施形態による入浴情報システムにおいて、浴室内のリモコン画面に表示されるゲージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による入浴情報システムを説明する。
図1は本発明の第1実施形態による入浴情報システムを設置した浴室全体を示す斜視図であり、
図2は本発明の第1実施形態による入浴情報システムの浴槽装置を斜め上方から見た斜視図であり、
図3は本発明の第1実施形態による入浴情報システムの浴槽装置への湯水の供給系統を示す図であり、
図4は本発明の第1実施形態による入浴情報システムの信号処理装置及びリモコンの概略構成を示す図であり、
図5は本発明の第1実施形態による入浴情報システムの浴槽本体の背もたれ面に寄りかかっている入浴者の身体と、背もたれ面に取り付けられた各電極との位置関係を模式的に示す図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の第1実施形態の入浴情報システム1は、浴槽に入浴する入浴者に関する情報を取得する。入浴情報システム1は、浴室R内に設置される浴槽装置2を備える。浴槽装置2は、浴槽本体4と、この浴槽本体4に取り付けられた負電極5a、正電極5b、及び基準電極5cと、電極によって取得された信号を処理する信号処理装置6と、浴槽本体4の上縁に設けられた吐水装置8と、浴室Rの壁面に取り付けられたリモコン9とを有している。本実施形態において、浴槽装置2は、浴室Rの一側に、壁面に接するように配置されている。
【0026】
浴槽本体4は、平面視において略長方形の箱形に形成され、内部に湯水を貯留するように構成されている。本実施形態においては、浴槽本体4は、その1つの長辺、及びその両側の2つの短辺全体が、浴室Rの内壁面に接するように配置されている。また、浴槽本体4の一方の短辺を構成する内壁面は、入浴者が寄りかかるように形成された第1の内壁面である背もたれ面4aとして構成されている。また、浴室Rの内壁面に接していない側の浴槽本体4の長辺には、エプロン4bが着脱可能に取り付けられている。ここで、背もたれ面とは、入浴の際に、入浴者の背中が接する内壁面である。浴槽本体4には給湯器18(
図3参照)から所定の温度の湯水が供給されるようになっている。給湯器18は外部の供給源としての水道19と接続されている。
【0027】
吐水装置8は、浴槽本体4の背もたれ面4aの上部に設けられ、浴槽本体4の内方に向けて湯水を吐出するように構成されている。
図2に示すように、本実施形態において、吐水装置8は、背もたれ面4a上縁に沿って延びる扁平で幅広な吐水口8aを備えており、背もたれ面4aに寄りかかった入浴者の肩に向けて湯水を吐出するように構成されている。
【0028】
また、
図3に示すように、吐水装置8は、浴槽本体4内に貯留された湯水を取水口部8bから吸い込み、循環流路8c、チャンバ8dを介して、吐水口8aから吐出させるポンプ8eを備えている。このため、浴槽本体4内の湯水は、ポンプ8eによって吸い込まれ、吐水口8aから吐出されて浴槽本体4内に流入するように循環する。循環流路8cは、ポンプ8eの下流側において浴槽本体4の背もたれ面4aに設けられた浴槽吐水口8f側の流路と、チャンバ8d側に延びる流路とに分岐される。よって、取水口部8bから吸い込まれた湯水の一部は、循環流路8cを介して浴槽本体4の浴槽吐水口8fから吐出される。
【0029】
循環流路8cは、さらに、ポンプ8eが設けられる噴射部側流路8gと、チャンバ8dに接続され、浴槽本体4内の湯水をチャンバ8dに導入する導入流路8hと、チャンバ8dから吐水装置8側に延びる吐水装置側流路8iとを備える。
【0030】
噴射部側流路8gのチャンバ8dへの出口には、ジェットノズル8jが設けられている。ジェットノズル8jは、ポンプ8eの下流側に配置され且つポンプ8eから供給された湯水がチャンバ8dを通るように噴射する噴射部を形成している。ジェットノズル8jにより噴射された湯水がジェットポンプ作用によりチャンバ8d内の湯水および導入流路8hの湯水を引き込み、ジェットノズル8jから噴射された湯水の流量に、チャンバ8dおよび導入流路8h内から引き込まれる湯水の流量が加算され、より大流量の湯水が吐水装置側流路8iに供給される。吐水装置側流路8iは、ジェットノズル8jの延長線上に延びている。チャンバ8dは、ジェットノズル8jにより噴射された湯水がチャンバ8d内を通る際に、チャンバ8d内の湯水が噴射された湯水に引き込まれより大流量の流れを形成する。
【0031】
また、本実施形態において、吐水装置8の吐水口8aは扁平で幅広に形成されているため、吐水口8aから吐出された湯水は、幅の広い帯状の水膜となって吐出され、浴槽本体4内に貯留された湯水の水面において、背もたれ面4aから離れた位置に着水する。
【0032】
図2及び
図5に示すように、負電極5a及び正電極5bは、浴槽本体4内に貯留された湯水を介して入浴者の心電信号を検出するために、浴槽本体4に取り付けられた一組の電極である。負電極5a及び正電極5bは、後述する情報取得部44として機能する。入浴者の心電信号は、これらの負電極5aと正電極5bの間の電位差の信号として取得される。負電極5a及び正電極5bからなる一組の電極は、何れも浴槽本体4の短辺を構成する背もたれ面4a上に配置されている。また、基準電極5cは、負電極5a及び正電極5bによって検出される電位の基準電位を取得するための電極であり、この電極も浴槽本体4の背もたれ面4a上に配置されている。基準電極5cも、後述する情報取得部44として機能してもよい。
【0033】
このように、本実施形態の浴槽装置2においては、心電信号を取得するための全ての電極が、1つの背もたれ面4a上に配置されている。換言すれば、本実施形態の浴槽装置2においては、心電信号が1つの背もたれ面4a上に配置された電極のみによって検出される。
【0034】
図2に示すように、負電極5a及び正電極5bは、背もたれ面4aの水平方向(幅方向)の中心線cの左右に、中心線cに対して左右対称の位置に配置されている。即ち、負電極5a及び正電極5bは、背もたれ面4a上に中心線cから左右方向に夫々離間して配置されており、負電極5a及び正電極5bは、浴槽本体4内の水面よりも下側であり、基準電極5cよりも上側の高さ位置に取り付けられている。
【0035】
一方、基準電極5cは、背もたれ面4aの中心線c上に、負電極5a及び正電極5bよりも下方に配置されている。基準電極5cは、必ずしも備えられていなくても良く、省略することもできる。負電極5a及び正電極5bによって取得された心電信号は、負電極5a及び正電極5bから夫々延びる導線22(
図4参照)により信号処理装置6に伝達され、心電信号が信号処理装置6に入力される。また、基準電極5cも導線22を介して信号処理装置6に接続されている。各電極から延びる導線22や、これらの導線22が接続される信号処理装置6は、何れも、浴槽本体4の背もたれ面4aの裏側の空間に収容されている。なお、各電極から延びる導線22や、これらの導線22が接続される信号処理装置6は、浴室Rの天井裏等の浴室の外部空間に収容されても良い。
【0036】
次に、
図4を参照して、信号処理装置6及びリモコン9の構成を説明する。
信号処理装置6は、負電極5a、正電極5b、及び基準電極5cが接続される電気回路であり、浴槽本体4の背もたれ面4aの背面側に配置されている。負電極5a、正電極5b、及び基準電極5cによって取得された信号は、信号処理装置6によって処理され、処理結果が浴室R内に配置されたリモコン9に表示される。
【0037】
信号処理装置6は、差動増幅回路26と、フィルタ回路28と、増幅回路30と、A/Dコンバータ32と、インターフェイス回路34と、を有し、これらの回路が筐体6bの中に内蔵されている。差動増幅回路26は、負電極5a及び正電極5bから夫々延びる導線22が接続される増幅回路であり、負電極5aと正電極5bの間の差電圧を増幅するように構成されている。
【0038】
フィルタ回路28は、差動増幅回路26によって増幅された差電圧が入力され、ハムなどの不要な周波数帯域の成分を除去し、必要な周波数帯域の信号成分を通過させるように構成されている。
増幅回路30は、フィルタ回路28によって、ハムなどの不要な周波数帯域成分が除去された信号が入力され、入力された信号を増幅するように構成されている。また、基準電極5cから延びる導線22は、差動増幅回路26、フィルタ回路28、及び増幅回路30のグラウンドに接続される。
【0039】
A/Dコンバータ32は、増幅回路30によって増幅されたアナログ信号を、ディジタル信号に変換するように構成されている。
インターフェイス回路34は、A/Dコンバータ32によってA/D変換されたディジタル信号が入力され、入力されたディジタル信号をリモコン9及び/又は外部の表示装置(図示せず)等に送り出すように構成されている。
【0040】
リモコン9は、給湯器18から浴槽装置2への湯水の供給を制御できる制御機能を有すると共に、浴槽装置2の心電信号検出機能や、吐水装置8を操作できるようになっている。リモコン9は、浴槽装置2への湯水の供給を制御できる浴槽装置制御部9aと、入浴履歴や履歴情報等を出力装置として表示するリモコン表示部9bと、浴槽装置制御部9aに対する指令の入力を受け付けるリモコン入力部9cを備えている。
【0041】
浴槽装置制御部9aは、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定の制御プログラムに基づいて給湯器18から浴槽装置2への湯水の供給や浴槽装置2を制御できるように接続された機器を制御する。浴槽装置制御部9aは、給湯器18、信号処理装置6、吐水装置8のポンプ8e、温度センサ14、リモコン表示部9b、リモコン入力部9c等と電気的に接続されている。これらの電気的な接続は、無線通信等により行われてもよい。また、浴槽装置制御部9aは、入浴者のスマートフォン等の端末機器52と無線通信(例えばインターネットを介した通信)等により接続されている。浴槽装置制御部9aは、端末機器52と双方向に通信し、例えばリモコン表示部9bに表示するために必要な指令を端末機器52からも受信するようになっている。
【0042】
浴槽装置制御部9aは、負電極5a及び正電極5b等から信号処理装置6を介して送られた信号を取得及び記録する。よって、負電極5a及び正電極5b等は、入浴者の入浴に関する客観情報A(
図6、
図12B等参照)のうち心拍数及び入浴時間を取得する。浴槽装置制御部9aは、心拍数換算部として、信号処理装置6から送られた信号に基づいて入浴者の心拍数を計算する。浴槽装置制御部9aは、入浴者の心拍の計測開始により、入浴の開始を認識し、心拍の計測終了により、入浴の終了を認識できる。よって、入浴時間は、入浴者が浴槽内への入浴を開始してから、浴槽から出ることにより入浴を終了するまでの時間である。なお、入浴者が、一旦入浴(第1の入浴)した後、浴槽から出て体を洗い、再度入浴(第2の入浴)する場合がある。例えば、第1の入浴と第2の入浴との間の期間が所定時間、例えば15分未満である場合には、入浴時間は、第1の入浴時間と第2の入浴時間とを合算した時間とする。また例えば、第1の入浴と第2の入浴との間の期間が所定時間、例えば15分以上である場合には、入浴時間は、第1の入浴時間と第2の入浴時間とのうち長い方の時間とする。
【0043】
また、浴槽装置制御部9aは、温度センサ14から浴槽本体4内の湯水の温度を取得及び記録する。浴槽装置制御部9aは、取得した客観情報Aを端末機器52に送信する。従って、後述する端末機器52側においても客観情報Aに基づいた情報を表示することができる。また、浴槽装置制御部9aの機能の一部は、端末機器52や浴室R外に配置された表示装置(図示せず)に内蔵されるように本発明を構成することもできる。
【0044】
リモコン表示部9bは、浴室R内に配置されたモニタ等の表示部を形成している。リモコン表示部9bは、浴室R外に配置された表示装置を備えていてもよい。
【0045】
リモコン入力部9cは、浴槽装置制御部9aを制御する指令の入力を受け付けるようになっている。リモコン入力部9cへの入力により、プログラム50が履歴情報を出力装置であるリモコン9のリモコン表示部9b上に出力させる出力機能を実現させてもよい。このような出力機能は、リモコン表示部9bに限られず、音声出力を生じさせるスピーカー等により情報が音声として出力されて実現されてもよい。
【0046】
浴槽装置2は、さらに、特定の入浴に対して入浴者が誰であるかを登録された情報等と比較して特定する入浴者特定部42(ペアリング装置40)と、入浴者の入浴に関する客観情報(例えば、浴槽本体4内の湯水の温度、入浴者の浴槽本体4内に入浴している入浴時間、入浴者の心拍数)を取得する情報取得部44(温度センサ14等)と、を備えている。ここで、特定の入浴とは、何月何日(さらに必要であれば時刻)の入浴のようにいつの入浴と特定される入浴である。
【0047】
入浴者特定部42は、本実施形態においては、浴室R内に設けられたペアリング装置40である。ペアリング装置40は、無線通信により、入浴者のスマートフォン等の端末機器と接続でき、ペアリングとしてペアリング情報(スマートフォンの所有者(入浴者)の情報)を登録できるようになっている。ペアリング装置40は、入浴者のスマートフォン等の端末機器と予めペアリングされ、入浴者のスマートフォン等を個別に認識できるようになっている。よって、ペアリング装置40は、対象となる特定の入浴者のスマートフォン等の端末機器が数メートル程度の比較的近い位置にある状態でペアリングされることにより、その所有者である特定の入浴者が入浴すると判断し特定できる。ペアリング装置40には、複数の入浴者の情報がそれぞれの特定の入浴者のペアリングされた情報端末と対応するように、登録されている。よって、ペアリング装置40は、登録された端末機器を認識して入浴者が誰であるかを特定できる。なお、入浴者特定部42は、スマートフォン等の端末機器のプログラムの機能として実現され、入浴者が誰であるかの端末機器への入力により、入浴者を特定するものであってもよい。また、入浴者特定部42は、リモコン9のプログラムの機能として実現され、入浴者が誰であるかのリモコン9への入力により、入浴者を特定するものであってもよい。本発明における「入浴者を特定」には、入浴者の個人情報を特定したことのみに限らず、例えばあらかじめ入浴情報システム1等に登録された複数のユーザーのうち、どのユーザーが入浴しているのかを決めることも、含まれる。
【0048】
浴槽装置2に設けられ浴槽本体4内に貯められている湯水の温度を測定する温度センサ14、負電極5a及び正電極5b等が、情報取得部44として機能している。
【0049】
図3に示すように、温度センサ14は、情報取得部44として入浴者の入浴に関する客観情報Aのうち湯水の温度を取得する。温度センサ14は、給湯器から浴槽への湯水の供給口部16に設けられている。温度センサ14は、吐水部への循環流路上等に設けられていてもよい。温度センサ14は、例えばサーミスタである。
【0050】
入浴情報システム1は、さらに入浴者のスマートフォン等の端末機器52に導入されるプログラム50を備える。例えば、このプログラム50は、端末機器52により実行され、所定の機能を実現させるようになっている。プログラム50は、所定の機能を実現させるように、アプリケーションソフトを端末機器上で実行するようになっている。
【0051】
端末機器52がプログラム50により制御部として機能される。端末機器52は、例えば、スマートフォン等の携帯情報端末であるが、デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット端末等の他の端末機器であってもよい。端末機器52は、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定のプログラム50に基づいて所定の制御機能を実現させる。端末機器52は、ペアリング装置40、リモコン9と、電気的に接続されている。これらの電気的な接続は、その全体又は一部が赤外線通信、その他の方式等の無線通信により接続されていてもよい。従って、端末機器52は、インターネットを介して浴槽装置2とは物理的に離れた位置に位置していてもよい。
【0052】
端末機器52は、さらに、主観情報B(
図6乃至
図12B参照)の入力を受け付ける端末機器入力部52aと、入浴履歴や履歴情報等を出力装置として表示する端末機器表示部52bと、備えている。端末機器入力部52aは、タッチパネル等により液晶画面上において入力を受け付けるようになっている。端末機器入力部52aは、端末機器表示部52bと共通した画面により構成されていてもよい。端末機器表示部52bは、タッチパネル等により液晶画面上に情報を表示するようになっている。端末機器52の端末機器表示部52bは、履歴情報等を出力装置として表示できる。これらの履歴情報等は、必ずしも端末機器表示部52bと、リモコン表示部9bとの両方に表示される必要はなく、いずれか一方にのみ表示されてもよい。主観情報とは、例えば入浴者の感覚や感性(主観)に基づく評価の情報であり、「満足」、「普通」、「不満」や、「良い」、「普通」、「悪い」などの評価情報である。また、主観情報として、入浴者の感覚や感性(主観)に基づく記述式の感想等が用いられても良い。
【0053】
プログラム50は、端末機器52のメモリ等の記憶装置に記憶されている。プログラム50は、入浴者によって入力された主観情報Bを、制御部として機能するスマートフォン等の端末機器52に記憶させるように端末機器52を制御する。プログラム50は、特定された入浴者の特定の入浴に関し情報取得部44により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を端末機器52に記憶させる。プログラム50は、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cを出力装置であるリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能を実現させる。プログラム50は、入浴者が入浴中でなければ、履歴情報を端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる機能を有してもよい。なお、プログラム50は、浴槽装置制御部9a側に記憶され、浴槽装置制御部9aにより実行されてもよい。また、プログラム50の一部が、浴槽装置制御部9a側に記憶され、端末機器52と浴槽装置制御部9aとが共動して実行されてもよい。また、プログラム50の全部又は一部が、クラウド上に配置及び記憶され、プログラム50が端末機器52等により実行されてもよい。
【0054】
客観情報Aは、浴槽内の湯水の湯温、入浴時間、入浴者の生体情報のうちのいずれか又はこれらのうちの一部又は全部の組合せである。客観情報Aの浴槽内の湯水の湯温、入浴時間は、入浴環境を客観的に示している。客観情報Aの入浴者の生体情報は、入浴環境に応じた客観的な入浴者の体の反応を示している。
【0055】
プログラム50は、さらに、制御部として機能している端末機器52により、履歴情報Cと共に予め設定された推奨情報Dをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52bに出力させる機能を実現させる。履歴情報Cは、複数の入浴履歴に基づいて決定された推奨範囲情報E(
図9参照)を含む。
【0056】
プログラム50により実現される出力機能についてより詳細に説明する。
出力機能は、第1出力機能と、第2出力機能とを含む。プログラム50は、客観情報Aのうち第1の分析用途(例えば
図12Aに示すような冷え性改善用途)のために選択された第1客観情報(入浴時間及び湯温)と、主観情報Bのうち第1の分析用途のために入力された第1主観情報と、を関連づけた第1入浴履歴を端末機器52に記憶させ、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の第1入浴履歴に基づく第1履歴情報をリモコン表示部9b等に出力させる第1出力機能を実現させる。プログラム50は、さらに、客観情報Aのうち第2の分析用途(例えば
図14Aに示すような睡眠改善用途)のために選択された第2客観情報(入浴時間及び湯温)と、主観情報Bのうち第2の分析用途のために入力された第2主観情報と、を関連づけた第2入浴履歴を端末機器52に記憶させ、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の第2入浴履歴に基づく第2履歴情報をリモコン表示部9b等に出力させる第2出力機能を実現させる。プログラム50は、さらに、端末機器52により、第1出力機能と第2出力機能とを切り替える機能を実現させる。なお、出力機能は、第1出力機能と、第2出力機能との2つに限られず、3つ以上の出力機能を含んでいてもよい。
【0057】
次に、
図6乃至
図11を参照して、本発明の第1実施形態による入浴情報システムの作用を説明する。
図6乃至
図11においては、縦軸において浴槽内の湯水の温度(℃)を示し、横軸において入浴時間(分)を示している。また、入浴者の入力した主観情報Bについては、新規なものを比較的大きいサイズの印(大サイズの印により示す満足◎、普通〇、不満△の印)により示し、満足を◎、普通を〇、不満を△で示している。また、縦軸の上部には、推奨範囲情報Eを表示させるか否かを決定できる機能のON又はOFFのためのスライドボタンFと、予め設定された推奨情報Dを表示させるか否かを決定できる機能のON又はOFFのためのスライドボタンGとが設けられている。なお、参照符号A乃至Gは、説明のために図示されており、実際の画面上には表示されていない(以後、
図7乃至
図14Cについても同様)。
【0058】
まず、入浴者の特定について説明する。例えば、入浴者が特定の入浴に際し、ペアリング装置40が入浴者のスマートフォン等の端末機器52を認識し、リモコン9の浴槽装置制御部9a及び端末機器52は、入浴者が誰であるかを特定する。
【0059】
入浴者が浴槽に入浴すると、情報取得部44が客観情報Aを取得する。例えば、負電極5a及び正電極5b等が入浴者の心電波形の検出を開始するとき、浴槽装置制御部9aは、使用者が浴槽への入浴を開始したと判断でき、入浴時間の計測を開始させる。また、負電極5a及び正電極5b等による心拍数の計測を開始させると共に、同時期に温度センサ14による浴槽内の湯水の温度の測定を開始させる。
【0060】
入浴者が浴槽から出て、浴槽への入浴を終了すると、情報取得部44は客観情報Aの取得を終了する。例えば、負電極5a及び正電極5b等が入浴者の心電波形を検出しなくなるとき、浴槽装置制御部9aは、使用者が浴槽への入浴を終了したと判断でき、入浴時間の計測を終了させる。また、負電極5a及び正電極5b等による心拍数の計測を終了させると共に、同時期に温度センサ14による浴槽内の湯水の温度の測定を終了させる。このようにして、入浴者の特定の入浴が終了する。浴槽装置制御部9aは、入浴者の入浴中の湯水の温度の平均を湯水の温度として取得及び記憶する。
【0061】
このように、浴槽装置制御部9aは、負電極5a及び正電極5b、温度センサ14が取得した客観情報Aを取得及び記憶する。また、端末機器52は、浴槽装置制御部9aからこれらの客観情報Aを取得及び記憶する。
【0062】
入浴者は、特定の入浴後、次回の入浴までの期間に、今回の特定の入浴に関する主観情報Bを端末機器52の端末機器入力部52aに入力する。例えば、入浴者は、今回の特定の入浴に関し、冷え性の改善に関する主観的な感想を入浴から数時間経過後等に入力する。同時期に又は別時期に、入浴者は、今回の特定の入浴に関し、睡眠改善や疲労改善に関する主観的な感想をそれぞれに入力できる。また、入浴者は、今回の特定の入浴に関し、入浴そのものの快適さに関する主観的な感想についても入浴直後や所定時間経過後等に入力できる。プログラム50は、入浴者によって入力された主観情報Bを端末機器52等に記憶させるように端末機器52を制御する。
【0063】
図6に示すように、プログラム50は、特定された入浴者の特定の入浴(例えば1回目(計測1日目)の入浴)に関し情報取得部44により取得された客観情報A(浴槽内の湯水の温度及び入浴時間)と、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を端末機器52に記憶させる。プログラム50は、さらに、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能を実現させる。ここで、プログラム50は、端末機器52により、単独の入浴履歴に基づいても履歴情報Cを出力装置に出力させることができる。入浴者は、複数の入浴履歴に基づく推奨情報まで表示されなくとも、比較的早期に、主観情報と客観情報との比較を確認することができ、今後の入浴の参考とすることができる。このようにして、
図6においては、端末機器52に表示される入浴履歴に基づく履歴情報Cが例示されている。
【0064】
図6に示すように、プログラム50は、さらに、端末機器52により、履歴情報Cと共に予め設定された推奨情報Dを上記出力装置に出力させる機能を実現させる。推奨情報Dは、一般的な入浴者が湯水の温度及び入浴時間等の客観情報Aに対し、主観的に満足感◎を得やすいと予め想定された領域範囲として、示される。推奨情報Dは、例えば破線により囲まれた領域として示されている。推奨情報Dは、一般的な入浴者が主観的に満足感◎を得やすいという、入浴時間や温度等の参考指標を提供することができる。
【0065】
入浴者は、次回以降の入浴(例えば、2回目、3回目等の入浴)においては、前回までの入浴の入浴履歴に基づく履歴情報Cを参考にして入浴することができる。例えば、
図7において3回目の入浴を説明する。先ず、今回の特定の入浴に関し、リモコン9の浴槽装置制御部9a及び端末機器52は、入浴者が誰であるかを特定する。次に、入浴者が浴槽に入浴すると、情報取得部44が客観情報Aを取得する。入浴者が浴槽から出て、浴槽への入浴を終了すると、情報取得部44は客観情報Aの取得を終了する。
【0066】
浴槽装置制御部9aは、負電極5a及び正電極5b、温度センサ14が取得した客観情報Aを取得及び記憶する。また、端末機器52は、浴槽装置制御部9aからこれらの客観情報Aを取得及び記憶する。
【0067】
入浴者は、今回の特定の入浴後、さらに次回の入浴までの期間に、今回の特定の入浴に関する主観情報Bを端末機器52の端末機器入力部52aに入力する。プログラム50は、入浴者によって入力された主観情報Bを端末機器52に記憶させるように端末機器52を制御する。
【0068】
プログラム50は、特定された入浴者の特定の入浴(例えば3日目の入浴)に関し情報取得部44により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を端末機器52に記憶させる。プログラム50は、さらに、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能を実現させる。入浴者は、入浴履歴の数が比較的少ない数であっても、比較的早期に、主観情報Bと客観情報Aとの比較を確認することができ、今後の入浴の参考とすることができる。このようにして、
図7においては、端末機器52に表示される入浴履歴に基づく履歴情報Cが例示されている。例えば、履歴情報Cにおいて、新規の入浴(今回の入浴)に関しては入浴者は主観情報としては「普通」を入浴したため、新規の入浴(今回の入浴)に関して〇印が示されている。
【0069】
プログラム50は、端末機器52により、履歴情報Cと共に予め設定された推奨情報Dをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52bに出力させる機能を実現させる。入浴者は、入浴者の複数の入浴履歴の履歴情報Cと推奨情報Dとを比較にし、入浴のスタイルを決める参考とできる。
【0070】
図8に示すように、特定の入浴(例えば、5回目等の入浴)において、同様に、情報取得部44が客観情報Aを取得し、端末機器入力部52aに入浴者の主観情報Bが入力される。プログラム50は、特定された入浴者の特定の入浴(例えば5日目の入浴)に関し情報取得部44により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を端末機器52に記憶させる。プログラム50は、さらに、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能を実現させる。
【0071】
図9においては、特定の入浴(例えば、7回目等の入浴)において、同様に、情報取得部44が客観情報Aを取得し、端末機器入力部52aに入浴者の主観情報Bが入力される。これにより、プログラム50は、特定された入浴者の特定の入浴(例えば7日目の入浴)に関し情報取得部44により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を端末機器52に記憶させる。プログラム50は、さらに、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能を実現させる。
【0072】
図9においては、プログラム50は、さらに、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づいて決定された推奨範囲情報Eをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能を実現させる。プログラム50は、入浴履歴が複数(例えば合計7個)まで増えたことにより、入浴者の主観情報Bのうち例えば満足◎の印が集まっている領域を含む推奨範囲情報Eを表示(例えば破線の円等により表示)させることができる。推奨範囲情報Eは入浴者が満足感を得やすい領域の参考指標とできる。
【0073】
図10においては、特定の入浴(例えば、9回目等の入浴)において、端末機器入力部52aに入浴者の主観情報B(新規且つ不満△)が入力されている。プログラム50は、特定された入浴者の特定の入浴(例えば7日目の入浴)に関し情報取得部44により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を端末機器52に記憶させる。プログラム50は、さらに、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能を実現させる。
図10に示すように、入浴者は、推奨範囲情報Eや推奨情報Dを外れているような湯水の温度及び入浴時間で入浴してみたところ、やはり満足のいく結果が得られず、不満△を入力している。このように、入浴者は、プログラム50により実現される出力機能により、推奨範囲情報E或いは推奨情報D、又はこれまでの入浴履歴を参考にしながら、新たな異なる条件設定の入浴を試すことができると共に、その結果得られる主観情報についてもこれまでの履歴との関連性をもって分析及びフィードバックすることができる。
【0074】
図11においては、特定の入浴(例えば、11回目等の入浴)において、端末機器入力部52aに入浴者の主観情報B(新規且つ満足◎)が入力されている。入浴者は、推奨範囲情報E内の湯水の温度及び入浴時間で入浴してみたところ、やはり満足のいく結果が得られ、満足◎を入力している。このように、入浴者は、プログラム50により実現される出力機能により、推奨範囲情報E或いは推奨情報D、又はこれまでの入浴履歴を参考にしながら、満足の得られる領域を確認でき、これまでの履歴との関連性をもって分析及びフィードバックすることができる。
【0075】
次に、異なる分析用途のために、プログラム50により実現される出力機能についてより詳細に説明する。
図12Aにおいては、冷え性改善用途のために複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能が示されている。入浴情報システム1は、このような出力機能により特定の課題(冷え性改善、睡眠改善等)に効果的な入浴方法の提案を入浴者ごとに行うことができる。
図12Aにおいては、
図6乃至
図11と同様の方法により、グラフ上で履歴情報C、推奨範囲情報E及び推奨情報D等が表示される。客観情報Aや主観情報Bの取得については、前述と同様であるため説明を省略する。プログラム50は、客観情報Aのうち例えば第1の分析用途である冷え性改善用途のために選択された第1客観情報(湯水の温度及び入浴時間)と、主観情報Bのうち第1の分析用途のために入力された第1主観情報(冷え性改善用途に関する入浴者の主観情報B)と、を関連づけた第1入浴履歴を端末機器52に記憶させ、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の第1入浴履歴に基づく第1履歴情報(履歴情報C)をリモコン表示部9b等に出力させる第1出力機能を実現させる。なお、第1の分析用途は、例示として説明するものであり、後述する第2の分析用途、第3の分析用途等と変更可能である。すなわち、第1出力機能は、説明のため第1の分析用途に対応させて例示されているが、同様に、第2出力機能、第3出力機能等と変更可能である。
【0076】
図12Bにおいては、
図12Aに示すデータと同じデータに基づき、異なる形式の表で第1履歴情報(履歴情報C)をリモコン表示部9bに出力させる第1出力機能が実現されている。
図12Bにおいては、最も左側の第1列において満足度が満足、普通、不満の三段階で表示されると共に、左から第2列において日付、第3列において湯水の温度、第4列において入浴時間、第5列において心拍数が表示される。よって、
図12Bにおいても、冷え性改善用途のために複数の入浴履歴に基づく第1履歴情報(履歴情報C)をリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能が示されている。このように、プログラム50は、端末機器52により、異なる形式の表で履歴情報Cを出力させることができる。なお、
図12Bにおいては、満足度が未だ入力されていない場合(例えば、新規(今回)の未入力の場合)には、満足度を選択して入力できることも示されている。
【0077】
図12Cにおいては、
図12A及び
図12Bに示すデータと同じデータに基づき、
図12Aのグラフ及び文章により第1履歴情報(履歴情報C)をリモコン表示部9bに出力させる第1出力機能が実現されている。
図12Cにおいては、予め設定された推奨情報Dの湯水の温度の範囲及び入浴時間の範囲が文章、例えば「冷え性にお勧めする入浴方法は以下です。・湯温:39~41℃・入浴時間:13~17分」により記載されている。このような文章の推奨情報Dの範囲は、
図12Cのグラフ中の推奨情報Dの範囲と対応している。また、
図12Cにおいては、推奨範囲情報Eの湯水の温度の範囲及び入浴時間の範囲が文章、例えば「あなたが好みの入浴方法は以下です。・湯温:39~41℃・入浴時間:9~13分」により記載されている。このような文章の推奨範囲情報Eの範囲は、
図12Cのグラフ中の推奨範囲情報Eの範囲と対応している。このようにプログラム50が、文章の形式で推奨情報Dや推奨範囲情報E等を出力できるので、入浴者が文章によってより簡単に推奨情報D等を認識できる。
【0078】
次に、
図13Aにおいては、疲労改善用途のために複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能が示されている。
図13Aにおいては、グラフ上で履歴情報、推奨範囲情報E及び推奨情報D等が表示される。客観情報Aや主観情報Bの取得については、前述と同様であるため説明を省略する。
プログラム50は、客観情報Aのうち例えば第2の分析用途である疲労改善用途のために選択された第1客観情報(湯水の温度及び入浴時間)と、主観情報Bのうち第2の分析用途のために入力された第2主観情報(疲労改善用途に関する入浴者の主観情報)と、を関連づけた第2入浴履歴を端末機器52に記憶させ、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の第2入浴履歴に基づく第2履歴情報(履歴情報C)をリモコン表示部9b等に出力させる第1出力機能を実現させる。
【0079】
図13Bにおいては、
図13Aに示すデータと同じデータに基づき、異なる形式の表で例えば第2履歴情報である履歴情報Cをリモコン表示部9bに出力させる第2出力機能が実現されている。
図13Bにおいては、最も左側の第1列において疲労改善の目的が達成されたかについての満足度が満足、普通、不満の三段階で表示されると共に、左から第2列において日付、第3列において湯水の温度、第4列において入浴時間、第5列において心拍数が表示される。よって、
図13Bにおいても、疲労改善用途のために複数の入浴履歴に基づく例えば第2履歴情報である履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能が示されている。このように、プログラム50は、端末機器52により、異なる形式の表で履歴情報Cを出力させることができる。なお、
図13Bにおいては、満足度が未だ入力されていない場合(例えば、新規(今回)の未入力の場合)には、満足度を選択して入力できることが示されている。
【0080】
図13Cにおいては、
図13A及び
図13Bに示すデータと同じデータに基づき、
図13Aのグラフ及び文章により履歴情報Cをリモコン表示部9bに出力させる第2出力機能が実現されている。
図13Cにおいては、予め設定された推奨情報Dの湯水の温度の範囲及び入浴時間の範囲が文章、例えば「疲労にお勧めする入浴方法は以下です。・湯温:40~42℃・入浴時間:5~10分」により記載されている。このような文章の推奨情報Dの範囲は、
図13Cのグラフ中の推奨情報Dの範囲と対応している。また、
図13Cにおいては、推奨範囲情報Eの湯水の温度の範囲及び入浴時間の範囲が文章、例えば「あなたが好みの入浴方法は以下です。・湯温:39~41℃・入浴時間:9~13分」により記載されている。このような文章の推奨範囲情報Eの範囲は、
図13Cのグラフ中の推奨範囲情報Eの範囲と対応している。このように、プログラムが、文章の形式で推奨情報Dや推奨範囲情報E等を出力できるので、入浴者が文章によってより簡単に推奨情報D等を認識できる。
【0081】
次に、
図14Aにおいては、睡眠改善用途のために複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能が示されている。
図14Aにおいては、グラフ上で履歴情報C、推奨範囲情報E及び推奨情報D等が表示される。客観情報Aや主観情報Bの取得については、前述と同様であるため説明を省略する。プログラム50は、客観情報Aのうち例えば第3の分析用途である睡眠改善用途のために選択された例えば第3客観情報(湯水の温度及び入浴時間)と、主観情報Bのうち睡眠改善用途のために入力された例えば第3主観情報(疲労改善用途に関する入浴者の主観情報)と、を関連づけた第3入浴履歴を端末機器52に記憶させ、端末機器52により、特定の入浴者に対する複数の第3入浴履歴に基づく例えば第3履歴情報である履歴情報Cをリモコン表示部9bに出力させる第3出力機能を実現させる。
【0082】
図14Bにおいては、
図14Aに示すデータと同じデータに基づき、異なる形式の表で例えば第3履歴情報である履歴情報Cをリモコン表示部9bに出力させる第3出力機能が実現されている。
図14Bにおいては、最も左側の第1列において疲労改善の目的が達成されたかについての満足度が満足、普通、不満の三段階で表示されると共に、左から第2列において日付、第3列において湯水の温度、第4列において入浴時間、第5列において心拍数が表示される。よって、
図14Bにおいても、睡眠改善用途のために複数の入浴履歴に基づく例えば第3履歴情報である履歴情報Cをリモコン9のリモコン表示部9b及び/又は端末機器52の端末機器表示部52b上に出力させる出力機能が示されている。このように、プログラム50は、端末機器52により、異なる形式の表で履歴情報を出力させることができる。なお、
図14Bにおいては、満足度が未だ入力されていない場合(例えば、新規(今回)の未入力の場合)には、満足度を選択して入力できることが示されている。
【0083】
図14Cにおいては、
図14A及び
図14Bに示すデータと同じデータに基づき、
図14Aのグラフ及び異なる形式の文章で履歴情報Cをリモコン表示部9bに出力させる第3出力機能が実現されている。
図14Cにおいては、予め設定された推奨情報Dの湯水の温度の範囲及び入浴時間の範囲が文章、例えば「睡眠にお勧めする入浴方法は以下です。・湯温:38~40℃・入浴時間:15~20分」により記載されている。このような文章の推奨情報Dの範囲は、
図14Cのグラフ中の推奨情報Dの範囲と対応している。また、
図14Cにおいては、推奨範囲情報Eの湯水の温度の範囲及び入浴時間の範囲が文章、例えば「あなたが好みの入浴方法は以下です。・湯温:39~41℃・入浴時間:9~13分」により記載されている。このような文章の推奨範囲情報Eの範囲は、
図14Cのグラフ中の推奨範囲情報Eの範囲と対応している。プログラムが、文章の形式で推奨情報Dや推奨範囲情報E等を出力できるので、入浴者が文章によってより簡単に推奨情報D等を認識できる。
【0084】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、端末機器52は、特定された入浴者の特定の入浴に関し情報取得部44により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴として有し、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン9に出力させる。これにより、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cにより、客観情報Aと主観情報Bとを関連づけて確認することができ、複数の入浴履歴における客観情報Aに対する主観情報Bを比較して、入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0085】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、客観情報Aは、入浴環境を示す湯温及び入浴時間であり、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cにより、湯温及び入浴時間を主観情報Bと関連づけて確認することができ、複数の入浴履歴における湯温及び入浴時間に対する入浴者の主観情報Bを比較して、入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0086】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、客観情報Aは、入浴者の生体情報であり、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cにより、入浴者の体の反応である入浴者の生体情報を主観情報Bと関連づけて確認することができ、複数の入浴履歴における入浴者の体の反応である入浴者の生体情報に対する入浴者の主観情報Bを比較して、入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0087】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、端末機器52が推奨情報出力機能により履歴情報Cと共に予め設定された推奨情報をリモコン9に出力させる。これにより、入浴者は、予め設定された推奨情報と自身の履歴情報Cとを比較でき、自身の入浴方法を調整する助けとすることができると共に予め設定された推奨情報の範囲内での入浴方法を試すこともできる。
【0088】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、履歴情報Cは、複数の入浴履歴に基づいて決定された推奨範囲情報Eを含む。これにより、入浴者は、推奨範囲情報Eにより、客観情報Aに対する入浴者の主観情報Bを比較しながら、より入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、さらに入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0089】
このように構成された本発明の第1実施形態においては、端末機器52は、第1出力機能により、第1の分析用途のための第1履歴情報を、リモコン9に出力させることができ、第2出力機能により、第2の分析用途のための第2履歴情報を、リモコン9に出力させることができ、さらに、切換機能により、第1出力機能と第2出力機能とを切り替えることができる。これにより、入浴者は、異なる分析用途のための履歴情報Cを、切換機能により切換えて比較しながら、さらに入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、さらに入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0090】
次に、
図15及び
図16により、本発明の第2実施形態による入浴情報システムを説明する。第2実施形態は、第1実施形態における端末機器52に代えて、端末機器52の機能を第2実施形態のリモコン109が実現するように、入浴情報システムを浴槽装置により構成した例である。
図15は本発明の第2実施形態による入浴情報システムを設置した浴室全体を示す斜視図である。
図16は本発明の第2実施形態による入浴情報システムの信号処理装置及びリモコンの概略構成を示す図である。
【0091】
第2実施形態による入浴情報システム101は、上述した第1実施形態による入浴情報システム1と基本構造が類似しているため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0092】
図15に示すように、本発明の第2実施形態の入浴情報システム101は、浴槽に入浴する入浴者に関する情報を取得する。入浴情報システム101は、浴室R内に設置される浴槽装置102を備える。浴槽装置102は浴室Rの壁面に取り付けられたリモコン109を有している。
【0093】
次に、
図16を参照して、信号処理装置6及びリモコン109の構成を説明する。
第2実施形態におけるリモコン109は、第1実施形態における端末機器52に代えて、端末機器52の機能を自らが実行するように構成されている。すなわち、浴槽装置102が所定の出力機能を実現する。
【0094】
リモコン109は、給湯器18から浴槽装置2への湯水の供給を制御できる制御機能を有すると共に、浴槽装置2の心電信号検出機能や、吐水装置8を操作できるようになっている。リモコン109は、浴槽装置2への湯水の供給を制御できる浴槽装置制御部109aと、入浴履歴や履歴情報等を出力装置として表示するリモコン表示部109bと、浴槽装置制御部109aに対する指令の入力を受け付けるリモコン入力部109cを備えている。
【0095】
浴槽装置制御部109aは、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定の制御プログラムに基づいて給湯器18から浴槽装置102への湯水の供給や浴槽装置102を制御できるように接続された機器を制御する。浴槽装置制御部109aは、給湯器18、信号処理装置6、吐水装置8のポンプ8e、温度センサ14、リモコン表示部109b、リモコン入力部109c等と電気的に接続されている。これらの電気的な接続は、無線通信等により行われてもよい。浴槽装置制御部109aと温度センサ14等との電気的な接続は、無線通信等により行われてもよい。
【0096】
浴槽装置制御部109aは、負電極5a及び正電極5b等から信号処理装置6を介して送られた信号を取得及び記録する。よって、負電極5a及び正電極5b等は、入浴者の入浴に関する客観情報Aのうち心拍数及び入浴時間を取得する。浴槽装置制御部109aは、心拍数換算部として、信号処理装置6から送られた信号に基づいて入浴者の心拍数を計算する。
【0097】
また、浴槽装置制御部109aは、温度センサ14から浴槽本体4内の湯水の温度を取得及び記録する。
【0098】
リモコン表示部109bは、浴槽装置制御部109aから受けた情報を表示する。リモコン表示部109bは、浴室R内に配置されたモニタ、タッチパネル等の画面の表示部を形成している。リモコン表示部9b(後述するリモコン入力部109cも同様)は、浴室R外に配置された表示装置をさらに備えていてもよい。リモコン表示部109bは、入浴履歴や履歴情報等を出力装置として表示する機能を有する。
【0099】
リモコン入力部109cは、タッチパネル等により画面上において浴槽装置制御部109aを制御する指令の入力を受け付けるようになっている。リモコン入力部109cは、主観情報Bの入力を受け付ける機能を有する。
【0100】
浴槽装置2の入浴者特定部42は、本実施形態においては、リモコン109のプログラムの機能として実現されるペアリング装置40である。入浴者特定部42は、入浴者が誰であるかのリモコン109への入力により、入浴者を特定する。
【0101】
入浴情報システム101は、さらに浴槽装置制御部109aに導入されるプログラム150(
図16参照)を備える。例えば、このプログラム150は、浴槽装置制御部109aにより実行され、所定の機能を実現させるようになっている。第2実施形態におけるプログラム150は、第1実施形態におけるプログラム50によりリモコン表示部9b上に履歴情報C等を出力させる出力機能と同様の、リモコン表示部109b上に履歴情報C等を出力させる出力機能を有している。よって、浴槽装置制御部109aがプログラム150により制御部として機能される。
【0102】
プログラム150は、浴槽装置制御部109aのメモリ等の記憶装置に記憶されている。プログラム150は、入浴者によって入力された主観情報Bを、制御部として機能する浴槽装置制御部109aに記憶させるように浴槽装置制御部109aを制御する。よって、浴槽装置制御部109aは、客観情報Aと主観情報Bとを記憶する。プログラム150は、特定された入浴者の特定の入浴に関し情報取得部44により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を浴槽装置制御部109aに記憶させる。よって、浴槽装置制御部109aは、特定の入浴に対して特定された入浴者に関し情報取得部44により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者により入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を記憶する。プログラム150は、浴槽装置制御部109aにより、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cを出力装置であるリモコン表示部109b上に出力させる出力機能を実現させる。よって、浴槽装置制御部109aは、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cを出力装置であるリモコン表示部109b上に表示させる。なお、プログラム150の全部又は一部が、クラウド上に配置及び記憶され、プログラム150がクラウドから読みだされて浴槽装置制御部109aにより実行されてもよい。
【0103】
プログラム150は、さらに、制御部として機能している浴槽装置制御部109aにより、履歴情報Cと共に予め設定された推奨情報Dをリモコン表示部109bに出力させる機能を実現させる。
【0104】
プログラム150により実現される出力機能についてより詳細に説明する。
出力機能は、第1出力機能と、第2出力機能とを含む。プログラム150は、客観情報Aのうち第1の分析用途(例えば
図12Aに示すような冷え性改善用途)のために選択された第1客観情報と、主観情報Bのうち第1の分析用途のために入力された第1主観情報と、を関連づけた第1入浴履歴を浴槽装置制御部109aに記憶させ、浴槽装置制御部109aにより、特定の入浴者に対する複数の第1入浴履歴に基づく第1履歴情報をリモコン表示部109bに出力させる第1出力機能を実現させる。プログラム150は、さらに、客観情報Aのうち第2の分析用途(例えば
図14Aに示すような睡眠改善用途)のために選択された第2客観情報と、主観情報Bのうち第2の分析用途のために入力された第2主観情報と、を関連づけた第2入浴履歴を浴槽装置制御部109aに記憶させ、浴槽装置制御部109aにより、特定の入浴者に対する複数の第2入浴履歴に基づく第2履歴情報をリモコン表示部109bに出力させる第2出力機能を実現させる。プログラム150は、さらに、浴槽装置制御部109aにより、第1出力機能と第2出力機能とを切り替える機能を実現させる。プログラム150により実現される出力機能は、他の第1実施形態のプログラム50により実現される出力機能についても実現可能である。
【0105】
このように構成された本発明の第2実施形態においては、制御部は、特定された入浴者の特定の入浴に関し情報取得部により取得された客観情報Aと、特定の入浴に対して特定された入浴者について入力部に入力された主観情報Bと、を関連づけた入浴履歴を記憶し、特定の入浴者に対する複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cをリモコン表示部109bに表示させる。これにより、入浴者は、複数の入浴履歴に基づく履歴情報Cにより、客観情報Aと主観情報Bとを関連づけて確認することができ、複数の入浴履歴における客観情報Aに対する主観情報Bを比較して、入浴者に適した入浴方法を知る助けとすることができ、入浴者のより快適な入浴が実現されやすくできる。
【0106】
次に、
図17乃至
図24を参照して、本発明の第3実施形態による入浴情報システムを説明する。
上述した本発明の第1実施形態による入浴情報システムにおいては、入浴者特定部であるペアリング装置40が、入浴者のスマートフォン(端末機器52)と交信して接続され、入浴者が特定される。さらに、浴槽に設けられた情報取得部44である負電極5a、正電極5b、温度センサ14により、特定された入浴者の入浴に関する客観情報として、入浴した湯水の温度、入浴時間が取得される。入浴者は、出浴後、その入浴に対する主観情報をスマートフォンに入力する。例えば、入浴者は、分析用途として、その入浴により冷え性の改善について感じた効果を「満足」、「普通」、「不満」の3つの中から選択し、主観情報として入力する(
図12B等)。
【0107】
このようにして入浴に関する客観情報、主観情報が収集され、これらが関連付けられて入浴履歴として記憶される。そして、記憶された入浴履歴が入浴者のスマートフォンに表示される。加えて、例えば冷え性の改善に対してどのような条件の入浴が推奨されるかを示す、予め設定された推奨情報が併せて表示される(
図12A等)。
【0108】
これに対し、本発明の第3実施形態による入浴情報システムにおいては、上記の機能に加えて、特定の入浴者の入浴に対して、客観情報及び主観情報を収集し、その入浴者により主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値(例えば、湯水の温度、入浴時間)に対応するであろう主観情報を推定する機能を有する。さらに、推定された主観情報は、出力装置であるスマートフォン(端末機器52)又はリモコン9に出力される。本発明の第3実施形態による入浴情報システムの構成は、上述した第1実施形態と同様であるが、プログラムによって実現される機能が、上述した第1実施形態とは異なっている。
【0109】
従って、以下では、本発明の第3実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図17は、本発明の第3実施形態の入浴情報システムにおいて、取得された入浴履歴の一例を示す図である。
図18は、湯水の温度及び入浴時間に対応した主観情報を表す入浴履歴の一例を示すグラフである。
図19は、入浴履歴に基づいて推定された、湯水の温度及び入浴時間に対応した主観情報を表すヒートマップの一例を示す図である。
図20乃至
図22は、取得された入浴履歴に基づいて、主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応する主観情報を推定する手順の一例を示す図である。
【0110】
図17に示す例では、各入浴時において、客観情報として、浴槽内の湯水の温度、入浴時間、及び出浴時の入浴者の心拍数が取得されている。各回の入浴に対して、入浴者は、主観情報を入力している。
図17に示す例においては、主観情報として、入浴者の「温まり感」を「暑すぎる」、「やや暑い」、「快適」、「やや寒い」、「寒すぎる」の5段階で入力するように構成されている。即ち、本実施形態において、入浴情報システムの分析用途は「温まり感」である。
【0111】
図18は、客観情報である浴槽内の湯水の温度、入浴時間に対応して入浴者によって入力された「温まり感」の主観情報をプロットしたグラフである。即ち、
図18は、入浴時間を横軸とし、湯水の温度を縦軸とするグラフ上に、各回の入浴をプロットしたものであり、その入浴に対応する「温まり感」が「快適」であったものが◎、「やや暑い」であったものが○で示されている。
【0112】
図18に示すように、入浴履歴として記憶されている客観情報の値は、想定される湯水の温度、入浴時間のうちのごく一部の数値範囲だけである。このため、入浴履歴に記憶されていない客観情報の値に対しては、入浴者の主観情報が紐付けられておらず、主観情報が紐付けられていない客観情報の値で入浴を行った場合に、入浴者が快適な「温まり感」を得られるか否かは、入浴履歴だけでは不明である。
【0113】
例えば、
図18に示す例では、湯水の温度が約40.5℃よりも高い領域、約38℃よりも低い領域にはプロット点が存在せず、それらの領域には主観情報と紐付けられた客観情報の値(温度)がない。また、
図18に示す例では、入浴時間が約7分よりも短い領域、約21分よりも長い領域にはプロット点が存在せず、主観情報と紐付けられた客観情報の値(入浴時間)がない。このため、まだ主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応する主観情報は不明である。例えば、
図18に示す例では、入浴時間が約7分よりも短い場合に、何℃の湯水に入浴すれば、その入浴者が快適な「温まり感」を得られるかは、入浴履歴だけでは知ることができない。
【0114】
これに対し、本実施形態の入浴情報システムによれば、少なくとも1回の入浴に関する客観情報、及びこの客観情報の値に紐付けられた主観情報に基づいて、まだ主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応するであろう主観情報が推定される。即ち、本実施形態の入浴情報システムにおいては、
図18に示す入浴履歴に基づいて、
図19に示すヒートマップが推定される。
【0115】
図19に示すヒートマップは、入浴時間を横軸とし、湯水の温度を縦軸とするグラフ上に、入浴者が快適な「温まり感」と感じる(「温まり感」の主観情報が「快適」と入力される)であろう領域が示されている。即ち、
図19に示すヒートマップにおいては、入浴者が「寒すぎる」と感じるであろう領域がA1、「やや寒い」の領域がA2、「快適」の領域がA3、「やや暑い」の領域がA4、「暑すぎる」の領域がA5で示されている。このヒートマップを使用して、例えば、これから入浴しようとしている湯水の温度から、「快適」な「温まり感」を感じると推定される入浴時間を知ることができる。
【0116】
次に、
図20乃至
図22を参照して、
図19に示すヒートマップを推定する手順の一例を説明する。
まず、
図20に示すように、湯水の温度及び入浴時間の組として記憶された入浴履歴の客観情報の中から、湯水の温度40℃近傍(
図20における横長の長方形の中の領域)のプロット点が抽出される。
【0117】
次に、
図21に示すように、
図20から抽出されたプロット点○が、横軸を「入浴時間」、縦軸を「温まり感」(「寒すぎる」=「1」~「暑すぎる」=「5」)とするグラフ上にプロットされる。ここで、記憶されている入浴履歴の中には、入浴時間が5分以下であるプロット点○や、入浴時間が20以上であるプロット点○は存在しない。そして、
図21に示すグラフ上のプロット点○は、入浴時間が約10~15分程度の間に集中している。
【0118】
しかしながら、入浴時間が約0分では「温まり感」の主観情報が「寒すぎる」と評価され、入浴時間が約30分では主観情報が「暑すぎる」と評価されることは一般的に想定されるので、このようなプロット点×を
図21グラフに加入する。このようにして得られた
図21上のプロット点○及びプロット点×に基づいて、ロジスティック方程式により補間を行い
図21に一点鎖線で示す回帰曲線を得ることができる。これにより、湯水の温度が40℃近傍である場合において、各入浴時間に対応した主観情報(温まり感)の推定値が算出される。他の温度帯域についても、同様に、各入浴時間に対応した主観情報(温まり感)の推定値を算出する。
【0119】
次いで、
図21のようにして求められた各入浴時間に対応した主観情報(温まり感)の推定値に基づいて、各湯水の温度に対応する主観情報を推定する。
図22は、横軸を「湯水の温度」、縦軸を「温まり感」とし、入浴時間15分近傍における「温まり感」をプロット点○としてプロットしたグラフである(
図20における縦長の長方形の中の領域)。
図22に示すように、
図21のように補間を行った湯水の温度の中には、温度が36℃以下であるプロット点○や、湯水の温度が44℃以上であるプロット点○は存在しない。そして、
図22に示すグラフ上のプロット点○は、湯水の温度が約39~41℃程度の間に集中している。
【0120】
しかしながら、湯水の温度が約35℃では「温まり感」の主観情報が「寒すぎる」と評価され、湯水の温度が約45℃では主観情報が「暑すぎる」と評価されることは一般的に想定されるので、このようなプロット点×を
図22グラフに加入する。このようにして得られた
図22上のプロット点○及びプロット点×に基づいて、ロジスティック方程式により補間を行い
図22に破線で示す回帰曲線を得ることができる。これにより、入浴時間が約15分である場合において、各湯水の温度に対応した主観情報(温まり感)の推定値が算出される。
【0121】
さらに、上記のように
図22は、入浴時間15分近傍における「温まり感」を各湯水の温度に対して推定したものであるが、同様に、他の入浴時間の帯域についても、各湯水の温度に対応した主観情報(温まり感)の推定値を算出する。これにより、各入浴時間、各湯水の温度に対応した主観情報(温まり感)の推定値が算出され、
図19に示すヒートマップを得ることができる。
【0122】
次に、
図23及び
図24を参照して、本発明の第3実施形態による入浴情報システムの作用を説明する。
図23は、入浴者が入浴を始める前にスマートフォン(端末機器52)上に表示される画面の一例を示す図である。
図24は、入浴者の入浴中においてリモコン9に表示される画面の一例を示す図である。
【0123】
図23に示すように、本実施形態の入浴情報システムにおいては、入浴者が入浴前にスマートフォン上で所定のアプリケーションプログラムを起動すると、記憶されている入浴履歴に基づいて推定されたヒートマップが表示される。ここで、これから入浴しようとしている浴槽装置の設定温度が、例えば41℃に設定されており、浴槽の中に41℃の湯水が貯留されている場合には、入浴者はヒートマップの縦軸の41℃付近をタップする。すると、その入浴者が過去に41℃の湯水で入浴したことがない場合でも、湯水の温度が41℃である場合において、「温まり感」の主観情報が「快適」になると推定される入浴時間が算出される。即ち、スマートフォンで起動されているプログラムにより、ヒートマップに基づいて入浴時間が算出される。算出された入浴時間は、例えば、スマートフォンの画面上のヒートマップの下に「推奨される入浴時間は約6分~9分です」(図示せず)と表示される。
【0124】
一方、入浴前に入浴者が、「今日は20分位入浴したい」と希望した場合には、入浴者はヒートマップの横軸の20分付近をタップする。すると、その入浴者が過去に20分の入浴をしたことがない場合でも、入浴時間が20分である場合において、「温まり感」の主観情報が「快適」になると推定される湯水の温度が、ヒートマップに基づいて算出される。算出された湯水の温度は、例えば、スマートフォンの画面上のヒートマップの下に「推奨される湯温は約37.5℃~38.5℃です」(図示せず)と表示される。この表示に基づいて入浴者は、浴槽装置の設定温度を変更し、希望する入浴時間で快適な温まり感を得ることができる。或いは、推奨された湯水の温度に基づいて、浴槽装置の設定温度を自動的に変更するように、入浴情報システムを構成することもできる。
【0125】
一方、入浴者が浴槽に浸かっている場合には、
図24に示す画面がリモコン9に表示される。即ち、
図24に示すように、リモコン9の表示部には、現在浴槽内に貯留されている湯水の温度、入浴後の経過時間(入浴者が浴槽に入ってから現在までの経過時間)、及び快適な「温まり感」を得るために推奨される出浴時刻までの残り時間が表示される。
図24に示す例では、浴槽内に貯留されている湯水の温度が39℃であり、入浴者が浴槽に浸かってから4分40秒経過しており、あと1分20秒入浴した後、出浴すれば快適な「温まり感」が得られる旨が表示されている。これにより、入浴者は、入浴しながらリモコン9の画面を見ることにより、何時出浴すれば快適な「温まり感」を得ることができるかを容易に認識することができる。
【0126】
また、上述した第3実施形態においては、客観情報として、湯水の温度及び入浴時間を取得していたが、湯水の温度及び/又は入浴時間に代えて、或いは湯水の温度及び/又は入浴時間に加えて、心拍数等の生体情報を客観情報として取得することもできる。さらに、上述した第3実施形態においては、主観情報として、入浴者が「温まり感」を入力していたが、「温まり感」に代えて、「冷え性改善」、「疲労改善」、「睡眠改善」、「発汗」等を主観情報として入力するように、本発明を構成することもできる。
【0127】
本発明の第3実施形態の入浴情報システムによれば、主観情報が紐付けられたことがない客観情報の値に対応するであろう主観情報が推定される(
図19)ので、その入浴者がまだ経験したことがない入浴条件や生体情報等の客観情報の値に対して、入浴者が十分に温まったと感じるかどうかや、入浴者が発汗するかどうか等の主観情報を推定することができる。この結果、その入浴者が経験したことがない領域の客観情報の値に対しても、入浴者が満足するであろう客観情報の値を推奨することが可能になり、快適な入浴を提供することができる。
【0128】
また、本実施形態の入浴情報システムによれば、客観情報である浴槽内の湯水の温度及び入浴時間と、これに対応する主観情報に基づいて、その入浴者が主観情報を入力したことのない湯水の温度及び入浴時間に対して、入浴者がどのように感じるか(主観情報)を推定することができる。これにより、例えば、その入浴者が主観情報を入力したことのない温度の湯水で入浴している場合でも、どれだけの入浴時間を取れば十分な温まり感を得ることができるかを推定することができ(
図23、
図24)、入浴者が満足できる入浴条件を推奨することができる。
【0129】
次に、
図25を参照して、本発明の第4実施形態による入浴情報システムを説明する。
本実施形態の入浴情報システムは、客観情報として、浴槽が設けられている室(浴室)内の気温が取得される点が、上述した第3実施形態とは異なっている。以下では、本発明の第4実施形態の、第3実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図25は、本発明の第4実施形態による入浴情報システムの作用を模式的に示す図である。
【0130】
本実施形態の入浴情報システムにおいては、特定の入浴者が入浴する度に、客観情報として、浴槽内の湯水の温度、入浴時間、及び浴室内の気温が取得される。入浴者は、各入浴の後に、その入浴における「温まり感」を「暑すぎる」、「やや暑い」、「快適」、「やや寒い」、「寒すぎる」の5段階で入力する。スマートフォンにインストールされたプログラムは、取得された客観情報と、入浴者によって入力された主観情報を紐付けて記憶する。プログラムは、更に、
図19に示したようなヒートマップを、浴室内の気温毎に生成する。本実施形態においては、浴室内の気温が24℃未満の場合は室温「低」、気温24℃以上28℃未満の場合は室温「中」、気温28℃以上の場合は室温「高」として、室温「低」、「中」、「高」に夫々対応する3種類のヒートマップを推定する。
【0131】
入浴者が入浴する場合には、
図25に示すように、その日の浴室内の気温に合わせて「低」、「中」、「高」の何れかをタップすると、その室温に対応して推定されたヒートマップが、スマートフォンの画面に表示される。ヒートマップが表示された後の作用は、上述した第3実施形態と同様であるため、説明を省略する。或いは、スマートフォンに内蔵された温度センサにより検出された温度に基づいて、自動的に室温に対応したヒートマップが表示されるように本発明を構成することもできる。さらに、本実施形態においては、リモコン9の画面に表示されるヒートマップ(図示せず)も、浴室内の気温に合わせて選択され、第3実施形態と同様の情報が表示される。
【0132】
本発明の第4実施形態の入浴情報システムによれば、客観情報の値に浴槽が設けられている室内の気温が含まれているので、季節や、入浴した日の天候等により、入浴者の主観(満足度)が変化する場合でも、入浴者が満足できる入浴条件を、精度良く推奨することができる。
【0133】
また、上述した第4実施形態においては、客観情報として、浴室内の気温が加入されていたが、変形例として、浴室内の気温に代えて、浴槽内の水位を客観情報として取得するように本発明を構成することもできる。この場合においては、浴槽内の水位を検出する水位計(図示せず)を設けておき、この水位計の検出信号が客観情報として取得される。即ち、浴槽内の湯水の温度、及び入浴時間が同じであったとしても、浴槽内の湯水の水位が高ければ入浴者は良く温まり、湯水の水位が低ければ入浴者の温まり方は少なくなる。本変形例において、プログラムは、
図19に示したようなヒートマップを、浴槽内の水位毎に生成する。本実施形態においては、浴槽内の水位を「低」、「中」、「高」の3段階に分類し、夫々対応する3種類のヒートマップを推定する。
【0134】
入浴者が入浴する場合には、
図25と同様に、その日の浴槽内の水位に合わせて「低」、「中」、「高」の何れかをタップすると、その水位に対応して推定されたヒートマップが、スマートフォンの画面に表示される。ヒートマップが表示された後の作用は、上述した第3実施形態と同様であるため、説明を省略する。或いは、水位計(図示せず)によって検出された水位がスマートフォンに送信され、自動的に水位に対応したヒートマップが表示されるように本発明を構成することもできる。さらに、本変形例においては、リモコン9の画面に表示されるヒートマップ(図示せず)も、浴槽内の水位に合わせて選択され、第3実施形態と同様の情報が表示される。
【0135】
このように構成された本変形例によれば、客観情報の値に浴槽内の湯水の水位が含まれているので、半身浴の場合と全身浴の場合に入浴者が感じる温まり感の相違も、主観情報の推定に加味することができ、入浴者が満足できる入浴条件を、精度良く推奨することができる。
【0136】
次に、
図26乃至
図28を参照して、本発明の第5実施形態による入浴情報システムを説明する。
本実施形態の入浴情報システムは、主観情報として、入浴者が出浴後に発汗したか否かを入力する点が、上述した第3実施形態とは異なっている。以下では、本発明の第5実施形態の、第3実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図26は、本発明の第5実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴者が主観情報を入力する画面の一例を示す図である。
図27は、本発明の第5実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴前に入浴者のスマートフォンに表示される画面の一例を示す図である。
図28は、本発明の第5実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴中にリモコン9に表示される画面の一例を示す図である。
【0137】
図26に示すように、本実施形態の入浴情報システムにおいては、特定の入浴者が入浴する度に、客観情報として、浴槽内の湯水の温度、及び入浴時間が取得される。入浴者は、各入浴の後に、その入浴の後に発汗の有無、即ち、「発汗あり」又は「発汗なし」を主観情報として入力する。スマートフォンにインストールされたプログラムは、取得された客観情報と、入浴者によって入力された主観情報を紐付けて記憶する。プログラムは、更に、
図27に示すヒートマップを推定する。
図27に示すように、このヒートマップは、客観情報である湯水の温度及び入浴時間に対し、入浴者が出浴後、発汗するか否かを推定したものである。
【0138】
本実施形態の入浴情報システムにおいては、入浴者が入浴前にスマートフォン上で所定のアプリケーションプログラムを起動すると、記憶されている入浴履歴に基づいて推定された
図27に示すヒートマップが表示される。ここで、これから入浴しようとしている浴槽装置の設定温度が、例えば39℃に設定されており、浴槽の中に39℃の湯水が貯留されている場合には、入浴者はヒートマップの縦軸の39℃付近をタップする。これにより、湯水の温度が39℃である場合において、主観情報が「発汗あり」になると推定される最低の入浴時間が、ヒートマップに基づいてスマートフォンで起動されているプログラムにより算出される。算出された入浴時間は、例えば、スマートフォンの画面上のヒートマップの下に「約9分以上入浴すると発汗します」(図示せず)と表示される。
【0139】
一方、入浴前に入浴者が「今日は15分位入浴したい」と希望した場合には、入浴者はヒートマップの横軸の15分付近をタップする。これにより、入浴時間が15分である場合において、主観情報が「発汗あり」になると推定される湯水の最低温度が、ヒートマップに基づいて算出される。算出された湯水の温度は、例えば、スマートフォンの画面上のヒートマップの下に「設定温度を約38.5℃以上に設定すると発汗します」(図示せず)と表示される。入浴者が発汗を希望する場合には、この表示に基づいて浴槽装置の設定温度を変更することにより、希望する入浴時間で、出浴後、発汗することができる。
【0140】
一方、入浴者が浴槽に浸かっている場合には、
図28に示す画面がリモコン9に表示される。
図28に示すように、リモコン9の表示部には、あと何分入浴すると、出浴後に発汗するかが表示される。
図28に示す例では、あと5分10秒以上入浴していると、出浴後に発汗ことが表示されている。即ち、プログラムは、浴槽内に貯留されている湯水の温度、及び入浴者が浴槽に入った後の経過時間に基づいて、あと何分入浴すると出浴後に発汗があるかを計算し、残り時間をリモコン9の画面上に表示する。これにより、入浴者が発汗を希望する場合には、リモコン9の画面上の残り時間が少なくとも0になるまで入浴を継続する。入浴者が発汗を希望しない場合には、リモコン9の画面上の残り時間が0になる前に出浴する。
【0141】
次に、
図29及び
図30を参照して、本発明の第6実施形態による入浴情報システムを説明する。
本実施形態の入浴情報システムは、客観情報として、入浴者の心拍数が取得される点、リモコン上に心拍数のゲージが表示される点が、上述した第3実施形態とは異なっている。以下では、本発明の第6実施形態の、第3実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図29は、本発明の第6実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴者が主観情報を入力する画面の一例を示す図である。
図30は、浴室内のリモコン画面に表示されるゲージの一例を示す図である。
【0142】
本実施形態の入浴情報システムにおいては、特定の入浴者が入浴する度に、客観情報として、入浴者の入浴開始時及び出浴時の心拍数が取得される(
図29の表示画面には出浴時のみ表示)。入浴者は、各入浴の後に、その入浴における「温まり感」を「暑すぎる」、「やや暑い」、「快適」、「やや寒い」、「寒すぎる」の5段階で入力する。スマートフォンにインストールされたプログラムは、取得された客観情報と、入浴者によって入力された主観情報を紐付けて記憶する。プログラムは、更に、取得された客観情報と、入力された主観情報に基づいて、その入浴者は、入浴開始から出浴までに1分間当たりの心拍数が何回上昇(Δ心拍数)した場合に「快適」な「温まり感」を得ているかを推定する。
【0143】
次いで、
図30に示すように、入浴者の入浴中において、リモコン9には、「現在のΔ心拍数」(入浴開始後、心拍数が何回上昇したか)、及び「おすすめ出湯Δ心拍数」(1分間当たりの心拍数が何回上昇したときに出浴すると「快適」な「温まり感」が得られるか)が表示される。また、この表示の下には、心拍数ゲージ上に、現在のΔ心拍数を示す指示線、及びおすすめ出湯Δ心拍数の範囲が表示される。
図30に示す例では、現在、入浴開始から心拍数が9.5回上昇しており、心拍数が入浴開始から10.5回乃至22.5回上昇したとき出浴することにより、「快適」な「温まり感」が得られることが、数値及びゲージで示されている。入浴者は、心拍数ゲージ上に表示されている「現在の心拍数」の指示線が「おすすめ心拍数」の枠内に入ったとき出浴することにより、「快適」な「温まり感」を得ることができる。
【0144】
本発明の第6実施形態の入浴情報システムによれば、心拍数の客観情報に基づいて、「快適」な「温まり感」を得ることができる。
【0145】
次に、
図31及び
図32を参照して、本発明の第7実施形態による入浴情報システムを説明する。
本実施形態の入浴情報システムは、主観情報として、入浴者の発汗の有無が入力される点が、上述した第6実施形態とは異なっている。以下では、本発明の第7実施形態の、第6実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図31は、本発明の第7実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴者が主観情報を入力する画面の一例を示す図である。
図32は、浴室内のリモコン画面に表示されるゲージの一例を示す図である。
【0146】
本実施形態の入浴情報システムにおいては、特定の入浴者が入浴する度に、客観情報として、入浴者の入浴開始時及び出浴時の心拍数が取得される(
図31の表示画面には出浴時のみ表示)。入浴者は、各入浴の後に、発汗があったか否かを入力する。スマートフォンにインストールされたプログラムは、取得された客観情報と、入浴者によって入力された主観情報を紐付けて記憶する。プログラムは、更に、取得された客観情報と、入力された主観情報に基づいて、その入浴者は、入浴開始から出浴までに1分間当たりの心拍数が何回上昇(Δ心拍数)した場合に、出浴後に発汗するかを推定する。
【0147】
次いで、
図32に示すように、入浴者の入浴中において、リモコン9には、「現在のΔ心拍数」(入浴開始後、心拍数が何回上昇したか)、及び「発汗開始Δ心拍数」(1分間当たりの心拍数が何回以上上昇したときに出浴すると発汗するか)が表示される。また、この表示の下には、心拍数ゲージ上に、現在のΔ心拍数、及び出浴後に発汗する最低のΔ心拍数を示す指示線が表示される。
図32に示す例では、現在、入浴開始から心拍数が9.5回上昇しており、心拍数が入浴開始から12.0回以上上昇したとき出浴することにより、発汗することが、数値及びゲージで示されている。入浴者は、出浴後に発汗することを希望する場合には、心拍数ゲージ上に表示されている「現在の心拍数」の指示線が「発汗開始心拍数」の指示線を超えた後、出浴する。また、入浴者は、出浴後に発汗することを希望しない場合には、心拍数ゲージ上に表示されている「現在の心拍数」の指示線が「発汗開始心拍数」の指示線を超える前に出浴する。
【0148】
本発明の第7実施形態の入浴情報システムによれば、心拍数の客観情報に基づいて、出浴後、発汗するか否かを認識することができる。
【0149】
次に、
図33乃至
図35を参照して、本発明の第8実施形態による入浴情報システムを説明する。
本実施形態の入浴情報システムは、客観情報として、入浴者の体温が取得される点、リモコン上に体温のゲージが表示される点が、上述した第3実施形態とは異なっている。以下では、本発明の第8実施形態の、第3実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図33は、本発明の第8実施形態による入浴情報システムにおいて、入浴者の体温を取得するためにサーモセンサによって撮像された画像の一例を示す図である。
図34は、入浴者が主観情報を入力する画面の一例を示す図である。
図35は、浴室内のリモコン画面に表示されるゲージの一例を示す図である。
【0150】
本実施形態の入浴情報システムにおいては、
図33に示すように、浴槽内に入浴している入浴者の像が、サーモセンサ(図示せず)によって撮像される。この撮像された画像を解析することにより、入浴者の額Brの部分の温度が、入浴者の体温に関する客観情報として取得される。これにより、
図34に示すように、特定の入浴者が入浴する度に、客観情報として、入浴者の入浴開始時及び出浴時の体温が取得される(
図34の表示画面には出浴時のみ表示)。入浴者は、各入浴の後に、その入浴における「温まり感」を「暑すぎる」、「やや暑い」、「快適」、「やや寒い」、「寒すぎる」の5段階で入力する。スマートフォンにインストールされたプログラムは、取得された客観情報と、入浴者によって入力された主観情報を紐付けて記憶する。プログラムは、更に、取得された客観情報と、入力された主観情報に基づいて、その入浴者は、入浴開始から出浴までに体温が何度上昇(Δ体温)した場合に「快適」な「温まり感」を得ているかを推定する。
【0151】
次いで、
図35に示すように、入浴者の入浴中において、リモコン9には、「現在のΔ体温」(入浴開始後、体温が何度上昇したか)、及び「おすすめ出湯Δ体温」(体温が何度上昇したときに出浴すると「快適」な「温まり感」が得られるか)が表示される。また、この表示の下には、体温ゲージ上に、現在のΔ体温を示す指示線、及びおすすめ出湯Δ体温の範囲が表示される。
図35に示す例では、現在、入浴開始から体温が0.5℃上昇しており、体温が入浴開始から0.7℃乃至1.5℃上昇したとき出浴することにより、「快適」な「温まり感」が得られることが、数値及びゲージで示されている。入浴者は、体温ゲージ上に表示されている「現在のΔ体温」の指示線が「おすすめ出湯Δ体温」の枠内に入ったとき出浴することにより、「快適」な「温まり感」を得ることができる。
【0152】
本発明の第8実施形態の入浴情報システムによれば、体温の客観情報に基づいて、「快適」な「温まり感」を得ることができる。
【0153】
次に、
図36を参照して、本発明の第9実施形態による入浴情報システムを説明する。
本実施形態の入浴情報システムは、主観情報として、入浴者の発汗の有無が入力される点が、上述した第8実施形態とは異なっている。以下では、本発明の第9実施形態の、第8実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図36は、本発明の第9実施形態による入浴情報システムにおいて、浴室内のリモコン画面に表示されるゲージの一例を示す図である。
【0154】
本実施形態の入浴情報システムにおいては、浴槽内に入浴している入浴者の像が、サーモセンサ(図示せず)によって撮像される。この撮像された画像を解析することにより、入浴者の額Brの部分の温度が、入浴者の体温に関する客観情報として取得される。これにより、特定の入浴者が入浴する度に、客観情報として、入浴者の入浴開始時及び出浴時の体温が取得される。入浴者は、各入浴の後に、出浴後、発汗があったか否かを入力する。スマートフォンにインストールされたプログラムは、取得された客観情報と、入浴者によって入力された主観情報を紐付けて記憶する。プログラムは、更に、取得された客観情報と、入力された主観情報に基づいて、その入浴者は、入浴開始から出浴までに体温が何度以上上昇(Δ体温)した場合に発汗するかを推定する。
【0155】
次いで、
図36に示すように、入浴者の入浴中において、リモコン9には、「現在のΔ体温」(入浴開始後、体温が何度上昇したか)、及び「発汗開始Δ体温」(体温が何度以上上昇したときに出浴すると発汗するか)が表示される。また、この表示の下には、体温ゲージ上に、現在のΔ体温を示す指示線、及び発汗を開始するΔ体温を示す指示線が表示される。
図36に示す例では、現在、入浴開始から体温が0.5℃上昇しており、体温が入浴開始から0.7℃以上上昇したとき出浴すると、出浴後、発汗するかが、数値及びゲージで示されている。入浴者は、出浴後に発汗することを希望する場合には、体温ゲージ上に表示されている「現在の体温」の指示線が「発汗開始体温」の指示線を超えた後、出浴する。また、入浴者は、出浴後に発汗することを希望しない場合には、体温ゲージ上に表示されている「現在の体温」の指示線が「発汗開始体温」の指示線を超える前に出浴する。
【0156】
本発明の第9実施形態の入浴情報システムによれば、心拍数の客観情報に基づいて、出浴後、発汗するか否かを認識することができる。
【0157】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した各実施形態に備えられている構成を適宜組み合わせることにより、本発明を構成することもできる。
【符号の説明】
【0158】
1 :入浴情報システム
2 :浴槽装置
4 :浴槽本体
42 :入浴者特定部
44 :情報取得部
50 :プログラム
101 :入浴情報システム
102 :浴槽装置
150 :プログラム
A :客観情報
B :主観情報
C :履歴情報
D :推奨情報
E :推奨範囲情報
R :浴室