(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174488
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20231130BHJP
G06Q 10/105 20230101ALI20231130BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G06Q10/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001763
(22)【出願日】2023-01-10
(62)【分割の表示】P 2022085404の分割
【原出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】512313953
【氏名又は名称】株式会社ビズリーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友部 博教
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】従業員の企業への馴染み度合いを可視化する。
【解決手段】サーバ10は、所定期間内において一の業務従事者が他の一以上の業務従事者と図ったコミュニケーションを特定し、特定されたコミュニケーションについて、一の業務従事者が属する部署と、他の一以上の業務従事者が属する部署との業務上の関連性に基づいて、一の業務従事者についての一の業務従事者が属する部署への馴染み度合いを示す指標を算出し、算出した指標を図表として表示する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間内において一の業務従事者が他の一以上の業務従事者と図ったコミュニケーションを特定する特定手段と、
該特定されたコミュニケーションについて、前記一の業務従事者が属する部署と、前記他の一以上の業務従事者が属する部署との業務上の関連性に基づいて、当該一の業務従事者についての当該一の業務従事者が属する部署への馴染み度合いを示す指標を算出する算出手段と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記所定期間内において実施されたコミュニケーションを図った回数をさらに特定し、
前記算出手段は、前記回数に基づいて前記指標を算出する 請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記回数は、前記コミュニケーションを図った実人数又は延べ人数に対応し、
前記算出手段は、前記一の業務従事者が属する部署と前記他の一以上の業務従事者が属する部署とが同一である場合、前記コミュニケーションを図った延べ人数に基づいて前記指標を算出する一方、前記一の業務従事者が属する部署と前記他の業務従事者が属する部署とが異なる場合、前記コミュニケーションを図った実人数に基づいて前記指標を算出する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記一の業務従事者が属する部署と前記他の一以上の業務従事者が属する部署とが同一の場合、前記一の業務従事者が属する部署と前記他の一以上の業務従事者とが属する部署とが異なるが業務上の関係性が所定度合い以上である場合、及び、前記一の業務従事者が属する部署と前記他の一以上の業務従事者とが属する部署とが異なり、
業務上の関係性が前記所定度合い未満である場合にそれぞれ対応して、コミュニケーションを図った回数についての重みづけを行う
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記回数は、前記コミュニケーションを図った実人数又は延べ人数に対応し、
前記算出手段は、前記一の業務従事者が属する部署と前記他の一以上の業務従事者が属する部署とが同一である場合、前記コミュニケーションを図った延べ人数に基づいて前記指標を算出する一方、前記一の業務従事者が属する部署と前記他の業務従事者が属する部署とが異なる場合、前記コミュニケーションを図った実人数に基づいて前記指標を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記重みづけは、前記一の業務従事者の業務内容に応じて設定される
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
表示制御手段を更に有し、
前記算出手段は、前記一の業務従事者が属する部署と同一の部署に属する業務従事者とのコミュニケーションを図った回数と、前記一の業務従事者が属する部署とは異なる部署に属する業務従事者とのコミュニケーションを図った回数とに基づいて、自部署への関わり度合いを示す軸と自部署以外への関わり度合いを示す軸とで定義された二次元平面上における、当該一の業務従事者の位置を決定し、
前記表示制御手段は、表示手段に該決定された二次元平面上の位置を表示する制御を行う
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
表示制御手段を更に有し、
前記算出手段は、前記一の業務従事者について複数の時点において前記指標を算出し、
前記表示制御手段は、表示手段に前記一の業務従事者についての前記指標の推移を表示する制御を行う
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記一の業務従事者についての、当該一の業務従事者が属する部署との結び付き度合いを示すエンゲージメント指標を取得する取得手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記表示手段に、前記指標および前記取得手段にて取得したエンゲージメント指標を表示する制御を行う
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
所定期間内において一の業務従事者が他の一以上の業務従事者と図ったコミュニケーションを特定するステップと、
該特定されたコミュニケーションについて、前記一の業務従事者が属する部署と、前記他の一以上の業務従事者が属する部署との業務上の関連性に基づいて、当該一の業務従事者についての当該一の業務従事者が属する部署への馴染み度合いを示す指標を算出するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業内における従業員のコミュニケーションに係る情報を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、企業内における従業員のコミュニケーションに係る情報を表示する技術が知られている。例えば特許文献1には、会議の日時および当該会議への参加者に係る情報を備えた会議履歴情報を表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、企業内における従業員が、その企業へどのくらい馴染んでいるかを把握することが容易ではなかった。
【0005】
本発明は、従業員の企業への馴染み度合いを可視化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、所定期間内において一の業務従事者が他の一以上の業務従事者と図ったコミュニケーションを特定する特定手段と、該特定されたコミュニケーションについて、前記一の業務従事者が属する部署と、前記他の一以上の業務従事者が属する部署との業務上の関連性に基づいて、当該一の業務従事者についての当該一の業務従事者が属する部署への馴染み度合いを示す指標を算出する算出手段とを有する情報処理装置を提供する。
【0007】
本発明の別の一態様は、コンピュータに、所定期間内において一の業務従事者が他の一以上の業務従事者と図ったコミュニケーションを特定するステップと、該特定されたコミュニケーションについて、前記一の業務従事者が属する部署と、前記他の一以上の業務従事者が属する部署との業務上の関連性に基づいて、当該一の業務従事者についての当該一の業務従事者が属する部署への馴染み度合いを示す指標を算出するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従業員の企業への馴染み度合いを可視化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図。
【
図4】プレコミュニケーションデータ入力処理を行うサーバの動作を例示するフローチャート。
【
図5】プレコミュニケーションデータベースを例示する図。
【
図6】馴染み度生成処理を行うサーバの動作を例示するフローチャート。
【
図9】コミュニケーションデータベースを例示する図。
【
図10】サーバに表示される馴染み度グラフを例示する図。
【
図11】サーバに表示される馴染み度マップを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.構成
図1は、一実施形態に係る情報処理システムSの概要を示す図である。情報処理システムSは、サーバ10、ネットワーク20、及びユーザ端末30から構成される。サーバ10とユーザ端末30とは、ネットワーク20を介して接続されている。ネットワーク20は、インターネットなどのネットワーク回線網である。ユーザ端末30は、ネットワーク20に有線又は無線で接続可能であり、ネットワーク20を介して、ネットワーク20に接続されているサーバ10との通信が可能である。
【0011】
情報処理システムSは、複数の部署を有する企業における複数の従業員(業務従事者に相当する)のコミュニケーションデータを用いて、馴染み度グラフ及び馴染み度マップを生成、及び、表示するシステムである。コミュニケーションデータとは、従業員同士のコミュニケーションに係るデータである。従業員同士のコミュニケーションに係るデータは、ミーティングに係るデータなどであって、例えば、ある一人の従業員(以下、対象者とする)について、所定期間に実施したミーティングに参加した他の従業員(以下、参加者とする)に係る情報を含んでいる。馴染み度グラフとは、馴染み度の経時変化を示すグラフである。馴染み度gとは、対象者が、当該対象者が所属する企業にどの程度馴染んでいるかを示す指標である。馴染み度gは、対象者と参加者との業務上の関連性に基づいて、対象者についての参加者が所属する部署への馴染み度合いを示す指標である。馴染み度マップとは、馴染み度gを二次元領域上にマッピングすることにより生成されるマップである。
【0012】
サーバ10は、ユーザ端末30を介して入力されたコミュニケーションデータを記憶するサーバである。サーバ10は、コミュニケーションデータを含むコミュニケーションデータベース、プレコミュニケーションデータを含むプレコミュニケーションデータベース、従業員に係る情報を含む従業員データベース、及び、馴染み度gを生成するために用いられる重みに係る情報を含む重みデータベースを記憶している。プレコミュニケーションデータは、コミュニケーションデータの生成に用いられるデータであって、いわば、コミュニケーションデータのもととなるデータである。したがって、プレコミュニケーションデータも、ミーティングに係るデータである。
【0013】
また、サーバ10は、コミュニケーションデータに基づいて馴染み度グラフ及び馴染み度マップを提供するサーバである。サーバ10は、ユーザ端末30を介して、馴染み度グラフ及び馴染み度マップを生成する対象となる対象者の氏名を選択する。サーバ10は、
選択を受け付けた対象者のプレコミュニケーションデータを特定する。サーバ10は、プレコミュニケーションデータの特定結果に基づいて、コミュニケーションデータを生成する。サーバ10は、コミュニケーションデータを用いて馴染み度gを算出し、馴染み度グラフ及び馴染み度マップを生成する。サーバ10は、生成された馴染み度グラフ及び馴染み度マップを表示する。
【0014】
ユーザ端末30は、ユーザが使用するPC(パーソナルコンピュータ)である。ユーザは、例えば、企業に所属する従業員である。ユーザ端末30は、サーバ10との通信を行い、サーバ10から送信される情報をユーザ端末30のディスプレイに表示可能である。
ユーザ端末30は、ユーザ端末30のユーザの操作に応じて、プレコミュニケーションデータベースに、プレコミュニケーションデータを入力する。ユーザ端末30は、ユーザ端末30のユーザの操作に応じて、対象者を選択する。
【0015】
図2は、サーバ10の機能構成を例示する図である。サーバ10は、制御手段201、
入力手段202、記憶手段203、取得手段204、選択手段205、特定手段206、
算出手段207、生成手段208、及び表示制御手段209を有する。
【0016】
サーバ10における機能を説明する。記憶手段203は、各種のデータを記憶する。また、記憶手段203は、プレコミュニケーションデータベース、コミュニケーションデータベース、従業員データベース、及び重みデータベース(以下、総称してデータベースという)を記憶する。また、記憶手段403は、馴染み度gを算出するためのアルゴリズム、及び、馴染み度グラフ及び馴染み度マップを生成するためのアルゴリズムを記憶している。
【0017】
制御手段201は、各種の制御を行う。入力手段202は、ユーザ端末30を介して、
プレコミュニケーションデータを入力する。取得手段204は、記憶手段203に記憶されているデータベースを読み込む。選択手段205は、対象者の氏名を選択する。特定手段206は、所定期間における、対象者に対応するプレコミュニケーションデータを特定する。算出手段207は、特定されたコミュニケーションについて、対象者が所属する部署と、参加者が属する部署との業務上の関連性に基づいて、対象者についての当該対象者が所属する部署への馴染み度合いを示す馴染み度gを算出する。生成手段208は、コミュニケーションデータ、馴染み度グラフ、及び馴染み度マップを生成する。表示制御手段209は、ユーザ端末30のディスプレイ(不図示;表示手段に相当)に馴染み度グラフ及び馴染み度マップを表示する制御を行う。
【0018】
図3は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF(Interface)104を有するコンピュータ装置である。CPU101は、プログラムを実行して各種の演算を行い、サーバ10の他のハードウェア要素を制御する制御装置である。
メモリ102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置である。ストレージ103は、各種のプログラム及びデータを記憶する不揮発性の補助記憶装置である。通信IF104は、所定の通信規格(例えばイーサネット(登録商標))に従って他の装置と通信する通信装置である。
【0019】
この例において、ストレージ103は、コンピュータ装置を情報処理システムSにおけるサーバ10として機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)を記憶する。CPU101がサーバプログラムを実行することにより、コンピュータ装置に
図3の機能が実装される。CPU101がサーバプログラムを実行している状態において、メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方が記憶手段203の一例であり、CPU101が、制御手段201、取得手段204、特定手段206、算出手段207、及び生成手段208の一例であり、通信IF104が、入力手段202、選択手段205、及び表示制御手段209の一例である。
【0020】
2.動作
2.1 プレコミュニケーションデータの入力
図4は、情報処理システムSにおいてプレコミュニケーションデータ入力処理を行うサーバ10の動作を例示する図である。
図4に示すプレコミュニケーションデータ入力処理は、ユーザ端末30のユーザからの指示によって開始される。ユーザは、サーバ10にアクセス可能なユーザ端末30を用いて、サーバ10にアクセスする。
【0021】
ステップS401において、入力手段202は、プレコミュニケーションデータベースに、プレコミュニケーションデータを入力する。プレコミュニケーションデータは、ユーザ端末30のユーザの操作に応じて、ユーザ端末30を介して入力される。プレコミュニケーションデータが入力されるタイミングは、例えば、ミーティングが終了したときである。プレコミュニケーションデータを入力する者は、入力するプレコミュニケーションデータに対応するミーティングに参加した従業員のいずれかである。
【0022】
図5は、プレコミュニケーションデータベースを例示する図である。プレコミュニケーションデータベースは、プレコミュニケーションデータとして、対象者氏名、日付、及び参加者氏名を記憶している。日付は、ミーティングが行われた日付である。例えば、対象者氏名が「山田 太郎」である者が2022年4月1日に行ったミーティングには、参加者氏名が「鈴木 花子」である者が参加した。対象者氏名、日付、及び参加者氏名を1セットとしたデータがプレコミュニケーションデータベースに入力されると、記憶手段203にあらかじめ記憶されている所定のアルゴリズムが、当該参加者氏名を対象者氏名とした新たなデータを生成する。例えば、対象者氏名が「鈴木 花子」である者が2022年4月1日に行ったミーティングについては、このアルゴリズムは、参加者氏名が「山田 太郎」である者が参加したことを示すデータを生成する。
【0023】
ステップS402において、記憶手段203は、ステップS401において入力されたプレコミュニケーションデータを記憶する。
【0024】
2.2 馴染み度の生成
図6は、馴染み度生成処理を行うサーバ10の動作を例示するフローチャートである。
図6に示す馴染み度生成処理は、ユーザ端末30のユーザからの指示によって開始される。ユーザは、サーバ10にアクセス可能なユーザ端末30を用いて、サーバ10にアクセスする。
【0025】
ステップS601において、取得手段204は、プレコミュニケーションデータベース、従業員データベース、及び重みデータベースを読み込む。
【0026】
図7は、従業員データベースを例示する図である。従業員データベースは、例えば、企業の人事部門に所属する者によって管理されている。従業員データベースは、従業員氏名部署名、職種、エンゲージメント指標、及び馴染み度gを記憶している。部署名は、従業員氏名に対応する者が所属している部署の名称である。職種は、「ビジネス」、「エンジニア」、及び「マーケティング」の3種類で構成されている。「エンジニア」という職種は、企業における技術者に対応する職種である。「マーケティング」という職種は、企業の商材の販売又は利用促進を促す者に対応する職種である。「ビジネス」という職種は、「エンジニア」にも「マーケティング」にも対応しない者に対応する職種である。例えば、従業員氏名が「山田 太郎」である者は、部署名が「A」である部署に所属していて、
職種は「ビジネス」である。エンゲージメント指標は、対象者の所属部署との結び付き度合いを指標化した値である。エンゲージメント指標は、所定のタイミングで所定のアルゴリズムを用いて計算される。エンゲージメント指標が高いほど、所属部署と従業員との関係性は良いと言える。例えば、従業員氏名が「山田 太郎」である者の2021年4月時点のエンゲージメント指標は、「3」である。従業員データベースに記憶されている馴染み度gは、過去に実施された馴染み度生成処理において生成された馴染み度である。例えば、従業員氏名が「山田 太郎」である者の2021年7月時点の馴染み度gは、「5」である。
【0027】
図8は、重みデータベースを例示する図である。重みデータベースは、例えば、企業の人事部門に所属する者によって管理されている。重みデータベースは、職種(業務内容に相当する)、所属部署に係る重みw1、連携部署に係る重みw2、及び他部署に係る重みw3を記憶している。w1、w2、及びw3は、馴染み度gを算出するための重みである。w1、w2、及びw3は、職種に応じて設定される。職種は、従業員の職種である。職種は、「ビジネス」、「エンジニア」、及び「マーケティング」の3種類で構成されている。所属部署とは、対象者が所属する部署のことである。連携部署とは、所属部署との業務における連携度合いが高い部署のことである。他部署とは、所属部署との業務における連携度合いが低い部署のことである。所属部署以外の部署は、連携部署又は他部署のいずれかに分類される。
【0028】
ステップS602において、選択手段205は、対象者を選択する。対象者は、ユーザ端末30のユーザの操作に応じて、ユーザ端末30を介して選択される。具体的には、ユーザが、従業員の氏名が表示されたユーザ端末30において、表示された従業員の氏名のうち、任意の1名の氏名を選択する。
【0029】
ステップS603において、特定手段206は、ステップS602において選択された対象者が他の1以上の従業員と図ったコミュニケーションを特定する。具体的には、プレコミュニケーションデータベースから、対象者氏名に対応するレコードに含まれるデータを抽出する。例えば、ステップS602において選択された対象者の氏名が「山田 太郎」である場合、プレコミュニケーションデータベースから、従業員氏名が「山田 太郎」であるレコードに含まれるプレコミュニケーションデータを抽出する。
【0030】
ステップS604において、生成手段208は、ステップS603において抽出されたプレコミュニケーションデータを用いて、コミュニケーションデータを生成する。
【0031】
ステップS605において、記憶手段203は、ステップS604において生成されたコミュニケーションデータを記憶する。コミュニケーションデータは、コミュニケーションデータベースに記憶される。
【0032】
図9は、コミュニケーションデータベースを例示する図である。コミュニケーションデータベースは、例えば、企業の人事部門に所属する者によって管理されている。コミュニケーションデータベースは、コミュニケーションデータとして、従業員氏名に紐づけて、所属部署名、所属部署内の人数、所属部署内MTG延べ人数、連携部署名、連携部署内の人数、連携部署MTG実人数、他部署内の人数、及び他部署MTG実人数を記憶している。所属部署名は、所属部署の名称である。所属部署内の人数は、所属部署に所属している従業員の人数である。所属部署内MTG延べ人数は、所定期間に実施された対象者とのミーティングに参加した延べ人数のうち、対象者と同じ部署に所属する参加者の延べ人数である。連携部署名は、連携部署の名称である。連携部署内の人数は、連携部署に所属している従業員の人数である。連携部署MTG実人数は、所定期間に実施された対象者とのミーティングに参加した人数のうち、連携部署に所属する参加者の実人数である。他部署内の人数は、他部署に所属している従業員の人数である。他部署MTG実人数は、所定期間に実施された対象者とのミーティングに参加した人数のうち、他部署に所属する参加者の実人数である。具体的には、ある参加者が、ある対象者と同じ部署に所属し、所定期間内に当該対象者とミーティングを5回実施した場合、所属部署内MTG延べ人数は5人分カウントされる。ある参加者が、ある対象者にとっての連携部署に所属し、所定期間内に当該対象者と5回実施した場合、連携部署内MTG実人数は、1人分だけカウントされる。
なお、所属部署内の人数、連携部署内の人数、及び他部署内の人数はそれぞれ、所定期間最終日の時点における人数である。例えば、所定期間が2022年4月1日から2022年4月30日までである場合、所属部署内の人数、連携部署内の人数、及び他部署内の人数はそれぞれ、2022年4月30日の時点における人数である。
【0033】
図9に示すコミュニケーションデータベースに係る企業が100名の従業員を有する場合を例に挙げて説明する。例えば、従業員氏名が「山田 太郎」である者は、「A」という部署に所属していて、「A」は、5名の従業員を有している。「山田 太郎」は、所定期間に、「A」に所属する従業員のうち、延べ40名と一緒にミーティングを実施した。
「A」の連携部署である「B」は、10名の従業員を有している。「山田 太郎」は、所定期間に、「B」に所属する従業員のうち、5名と一緒にミーティングを実施した。「A」の連携部署である「D」は、15名の従業員を有している。「山田 太郎」は、所定期間に、「D」に所属する従業員のうち、6名と一緒にミーティングを実施した。「A」の他部署は80名の従業員を有している。「山田 太郎」は、所定期間に、他部署に所属する従業員のうち、40名と一緒にミーティングを実施した。
【0034】
ステップS606において、算出手段207は、馴染み度gを算出する。馴染み度gは、所属部署における馴染み度g1、連携部署における馴染み度g2、及び他部署における馴染み度g3を足し合わせて生成される。g1は、w1に所属部署MTG延べ人数を乗じて、所属部署内の人数で除して生成される。g2は、w2に連携部署MTG実人数を乗じて、連携部署内の人数で除して生成される。g3は、w3に他部署MTG実人数を乗じて、他部署内の人数で除して生成される。すなわち、対象者が所属する部署と参加者が所属する部署とが同一の場合、対象者が所属する部署と参加者が所属する部署とことなるが業務上の関係性が所定度合い以上である場合、及び、対象者が所属する部署と参加者が所属する部署とが異なり、業務上の関係性が所定度合い未満である場合にそれぞれ対応して、コミュニケーションを図った回数についての重みづけを行っている。コミュニケーションを図った回数とは、対象者が参加者とミーティングを実施した回数のことである。本実施形態においては、所属部署MTG延べ人数、連携部署MTG実人数、及び他部署MTG実人数のそれぞれが、ミーティングを実施した回数を表しているものとして用いられる。具体的には、所属部署MTG延べ人数は、対象者が当該対象者の所属部署と同一の部署に所属する参加者とコミュニケーションを図った回数に相当する。連携部署MTG実人数は、
対象者が当該対象者にとっての連携部署に所属する参加者とコミュニケーションを図った回数に相当する。他部署MTG実人数は、対象者が当該対象者にとっての他部署に所属する参加者とコミュニケーションを図った回数に相当する。
【0035】
g2及びg3に乗じる値が、ミーティングに参加した人の実人数である一方、g1を生成する際にw1に乗じる値が、延べ人数である。したがって、馴染み度gは、対象者の所属部署と同じ部署に所属する人とミーティングを実施すればするほど高くなる。また、馴染み度gは、対象者の所属部署と異なる部署に所属する人のうち、同じ人と繰り返しミーティングを実施しても高くならず、より多くの人とミーティングを実施することによって、高くなる。
【0036】
例えば、対象者氏名が「山田 太郎」については、所属部署名が「A」であって、職種が「ビジネス」であって、対象者においての所属部署内の人数が5名であって、所属部署MTG延べ人数が40名であって、w1は1であるから、g1は8である。また、w2は2であって、連携部署名が「B」である部署において、連携部署内の人数が10名であって、連携部署MTG実人数が5名であって、連携部署名が「D」である部署において、連携部署内の人数が10名であって、連携部署MTG実人数が6名であるから、g2は1.8である。さらに、w3は5であって、他部署において、他部署内の人数が80名であって、他部署MTG実人数が40名であるから、g3は2.5である。したがって、gは12.3である。
【0037】
ステップS607において、記憶手段203は、従業員データベースにおいて、対象者氏名に対応する従業員氏名を含むレコードに、ステップS608において生成された馴染み度gを記憶する。
【0038】
ステップS608において、生成手段208は、馴染み度グラフ及び馴染み度マップを生成する。馴染み度グラフは、対象者の馴染み度gの経時変化(推移に相当する)を示すグラフである。馴染み度マップは、対象者の馴染み度gが二次元平面上にマッピングすることによって生成されるマップである。
【0039】
図10は、馴染み度グラフを例示する図である。馴染み度グラフは、1本の横軸及び2本の縦軸で構成されている。横軸は、日付を示している。2本の縦軸は、それぞれ、馴染み度gとエンゲージメント指標とを示している。馴染み度gは、ステップS607において記憶された馴染み度gである。エンゲージメント指標は、従業員データベースに記憶されている値である。馴染み度グラフは、馴染み度g及びエンゲージメント指標の推移を示している。すなわち、馴染み度グラフは、算出手段207において算出された、複数の時点における馴染み度gを用いて生成されている。馴染み度グラフが生成されることによって、情報処理システムSのユーザは、対象者の馴染み度gの経時変化を視覚的に容易に把握することができる。また、1つの馴染み度グラフにおいて、馴染み度gだけではなく、
エンゲージメント指標など他の指標に係るデータもともに示されることによって、馴染み度と他の指標との関係性を視覚的に容易に把握することができる。
【0040】
図11は、サーバに表示される馴染み度マップを例示する図である。馴染み度マップは、所属部署以外の部署(すなわち連携部署及び他部署)との馴染み度gを示す横軸(自部署以外への関わり度合いを示す軸に相当する)、及び、所属部署との馴染み度gを示す縦軸(自部署への関わり度合いを示す軸に相当する)で構成されている。馴染み度マップは、4つのゾーンに分けられている。ゾーンの境界は、馴染み度マップの生成を指示するユーザ、例えば、人事部門に所属する者が予め設定しておく。馴染み度マップの右上に位置するゾーンは、所属部署とも所属部署以外の部署とも馴染み度gが高いことを示すゾーンである。このゾーンに位置する対象者は、所属部署とも所属部署以外の部署とも、バランスの良い関係性を構築していると想定される。馴染み度マップの右下に位置するゾーンは、所属部署以外の部署との馴染み度gが高いものの、所属部署との馴染み度gが低いことを示すゾーンである。このゾーンに位置する対象者は、所属部署以外の部署との関わりが強いものの所属部署との関わりが弱く、所属部署からの期待に応えられていない可能性があると想定される。馴染み度マップの左上に位置するゾーンは、所属部署との馴染み度gが高いものの、所属部署以外の部署との馴染み度gが低いことを示すゾーンである。このゾーンに位置する対象者は、所属部署とも所属部署以外の部署とも関わりが弱く、グリップがきかない状態であると想定される。馴染み度マップの左下に位置するゾーンは、所属部署とも所属部署以外の部署とも馴染み度gが低いことを示すゾーンである。このゾーンに位置する対象者は、所属部署との関わりが強いものの、所属部署以外の部署との関わりが弱く、蛸壺の可能性があると想定される。馴染み度マップにおいては、記憶手段203に記憶されている対象者の馴染み度gに対応する位置に、「★」が表示される。例えば、
図11においては、馴染み度マップの右上に位置するゾーンに「★」が表示されているため、対象者は所属部署とも所属部署以外の部署とも馴染み度gが高いことを示すゾーンに属することがわかる。馴染み度gに対応する位置は、算出手段207によって決定される。馴染み度マップが生成されることによって、情報処理システムSのユーザは、対象者の企業への馴染み度合いを視覚的に容易に把握することができる。
【0041】
ステップS609において、記憶手段203は、ステップS606において生成された馴染み度グラフ及び馴染み度マップを記憶する。
【0042】
ステップS610において、表示制御手段209は、ユーザ端末30のディスプレイにステップS606において生成された馴染み度グラフ及び馴染み度マップの表示する制御を行う。
【0043】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例に記載した事項のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0044】
プレコミュニケーションデータ及びコミュニケーションデータは、ミーティングに係るデータに限定されず、従業員同士のコミュニケーションに係るデータであればよい。プレコミュニケーションデータ及びコミュニケーションデータは、例えば、チャット又はメールに係るデータであってもよい。
【0045】
プレコミュニケーションデータは、ユーザ端末30を介して入力されるのではなく、他の手段によって入力されてもよい。例えば、ミーティングのスケジュールを管理するシステム(不図示)が、所定のタイミングで、プレコミュニケーションデータベースにプレコミュニケーションデータを入力してもよい。また、プレコミュニケーションデータを入力する者は、入力するプレコミュニケーションデータに対応するミーティングに参加した従業員のいずれかに限定されず、ミーティングに参加していない人物であってもよい。プレコミュニケーションデータを入力する者は、例えば、ミーティングに参加した従業員の秘書であってもよい。
【0046】
従業員の職種は、ビジネス、エンジニア、及びマーケティングに限定されず、従業員の業務内容を示すものであればよい。職種は、例えば、販売職、企画職、又は営業職であってもよい。
【0047】
所属部署内の人数、連携部署内の人数、及び他部署内の人数はそれぞれ、所定期間最終日の時点における人数に限定されず、所定期間内における他の時点における人数であってもよい。例えば、所属部署内の人数、連携部署内の人数、及び他部署内の人数はそれぞれ、所定期間初日の時点における人数であってもよい。
【0048】
ステップS602において選択される対象者は、1人に限定されず、2人以上であってもよい。対象者が2人以上である場合、対象者それぞれについて馴染み度gが生成される。
【0049】
馴染み度グラフの縦軸の数は、2軸に限定されず、馴染み度gを示す1軸のみであってもよい。馴染み度グラフの縦軸の数が2軸の場合、一方の軸は馴染み度gを示す軸であるが、他方の軸はエンゲージメント指標に限定されず、例えば、部署又は企業に対する従業員の貢献度を示す指標であってもよい。
【0050】
エンゲージメント指標は、対象者と所属部署との結び付き度合いに限定されず、例えば、対象者と企業との結び付き度合いであってもよい。
【0051】
馴染み度グラフは、馴染み度gを用いて生成されるのではなく、g1、g2、又はg3を用いて生成されてもよい。また、g1の推移、g2の推移、及びg3の推移が、1つの馴染み度グラフにまとめて表示されてもよい。また、複数の対象者の馴染み度gの推移が、1つの馴染み度グラフにまとめて表示されてもよい。
【0052】
ユーザ端末30は、PCに限らず、ディスプレイ及び通信機能を備える端末であれば良い。ユーザ端末30は、例えば、スマートフォン、又はタブレットPCなどの携帯端末であってもよい。
【0053】
情報処理システムSにおける機能要素とハードウェア要素との対応関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、実施形態においてサーバ10の機能として説明したものの一部が、別のサーバに実装してもよい。あるいは、実施形態においてサーバ10の機能として説明したものの一部を、ネットワーク上の他の装置に実装してもよい。
サーバ10は物理サーバであってもよいし、仮想サーバ(いわゆるクラウドを含む)であってもよい。ユーザ端末30の機能の一部または全部がサーバ10に実装されてもよい。
【0054】
情報処理システムSの動作は上述した例に限定されない。情報処理システムSの処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、情報処理システムSの一部の処理手順が省略されてもよい。
【0055】
要するに、本発明に係る情報処理システムにおいて、所定期間内において一の業務従事者が他の一以上の業務従事者と図ったコミュニケーションを特定するステップと、該特定されたコミュニケーションについて、前記一の業務従事者が属する部署と、前記他の一以上の業務従事者が属する部署との業務上の関連性に基づいて、当該一の業務従事者についての当該一の業務従事者が属する部署への馴染み度合いを示す指標を算出するステップとが実行されていればよい。
【0056】
実施形態において例示した各種のプログラムは、それぞれ、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供されてもよいし、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…サーバ、20…ネットワーク、30…ユーザ端末、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF、201…制御手段、202…入力手段、203…記憶手段、204…取得手段、205…選択手段、206…特定手段、207…算出手段、208…生成手段、209…表示制御手段