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特開2023-174490感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法、重合体、及び化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174490
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法、重合体、及び化合物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20231130BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20231130BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231130BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20231130BHJP
   C07C 69/54 20060101ALI20231130BHJP
   C07D 327/02 20060101ALI20231130BHJP
   C07D 333/76 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 501
G03F7/20 501
C08F20/10
C07C69/54 Z
C07D327/02
C07D333/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004805
(22)【出願日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2022085317
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大宮 拓也
(72)【発明者】
【氏名】錦織 克聡
(72)【発明者】
【氏名】桐山 和也
(72)【発明者】
【氏名】松村 裕史
(72)【発明者】
【氏名】木下 奈津子
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4H006
4J100
【Fターム(参考)】
2H197AA09
2H197AA10
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE10
2H197DB06
2H197GA01
2H197HA03
2H197HA05
2H197JA22
2H197JA24
2H225AF16P
2H225AF23P
2H225AF24P
2H225AF28P
2H225AF29P
2H225AF48P
2H225AF52P
2H225AF53N
2H225AF54P
2H225AF56P
2H225AF64P
2H225AF67P
2H225AF68P
2H225AF71P
2H225AF73P
2H225AF91P
2H225AF99P
2H225AH08
2H225AH12
2H225AH14
2H225AH16
2H225AH17
2H225AH19
2H225AH31
2H225AH34
2H225AH38
2H225AH41
2H225AJ04
2H225AJ12
2H225AJ13
2H225AJ45
2H225AJ53
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225AJ60
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC03
2H225CC15
4H006AA01
4H006AB46
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM73
4H006BM74
4J100AB07R
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL08S
4J100BA03P
4J100BA03S
4J100BA04R
4J100BA05P
4J100BA11S
4J100BA15P
4J100BA20R
4J100BA53S
4J100BB03P
4J100BB05P
4J100BB07P
4J100BB18P
4J100BC03Q
4J100BC08Q
4J100BC09Q
4J100BC12Q
4J100BC43P
4J100BC43S
4J100BC53P
4J100BC60S
4J100BC83P
4J100CA01
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA06
4J100JA37
4J100JA38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】感度やLWR性能、CDマージン性能を十分なレベルで発揮可能な感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法、並びに、それらに用いることが可能な重合体及び化合物等を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのハロゲン原子を置換した芳香環を含む、特定の(メタ)アクリル酸エステル又はαーフルオロ又はα-トリフルオロメチルアクリル酸エステルの構造単位を有する樹脂と、感放射線性酸発生剤と、溶剤とを含む感放射線性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造単位を有する樹脂と、
感放射線性酸発生剤と、
溶剤と
を含む感放射線性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Arは芳香環から(n+1)個の水素原子を除いた基を表す。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
nは、1以上の整数である。nが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【請求項2】
上記式(1)で表される構造単位は、下記式(2)又は式(3)で表される、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化2】
(式(2)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
mは、0又は1である。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
pは、1~(5+2m)の整数である。pが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【化3】
(式(3)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、酸素原子、-NH-、又は硫黄原子を表す。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
oは、1~3の整数である。oが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【請求項3】
は、単結合、又は炭素数1~10の2価の炭化水素基である、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
さらに光崩壊性塩基を含有する、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
上記樹脂は、さらに下記式(4)で表される構造単位を有する、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化4】
(式(4)中、
11は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
12は、炭素数1~20の1価の炭化水素基である。
13及びR14は、それぞれ独立して、炭素数1~10の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。)
【請求項6】
上記樹脂は、フェノール性水酸基を有する構造単位をさらに含む、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項7】
上記樹脂は、さらに、ラクトン構造、環状カーボネート構造、及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位をさらに有する、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項8】
上記nは、1~3の整数である、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項9】
上記樹脂を構成する全構成単位中、上記式(1)で表される構造単位は、1~70モル%含まれる、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を基板上に直接又は間接に塗布してレジスト膜を形成する工程、
上記レジスト膜を露光する工程、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程を含む、レジストパターンの形成方法。
【請求項11】
上記露光する工程で用いる放射線は、極端紫外線(EUV)、X線、又は、電子線(EB)である、請求項10に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項12】
下記式(2)又は式(3)で表される構造単位を有する重合体。
【化5】
(式(2)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
mは、0又は1である。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
pは、1~(5+2m)の整数である。pが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【化6】
(式(3)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、酸素原子、-NH-、又は硫黄原子を表す。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
oは、1~3の整数である。oが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【請求項13】
下記式(5)又は式(6)で表される化合物。
【化7】
(式(5)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
mは、0又は1である。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
pは、1~(5+2m)の整数である。pが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【化8】
(式(6)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、酸素原子、-NH-、又は硫黄原子を表す。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
oは、1~3の整数である。oが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法、並びに、それらに用いることが可能な重合体及び化合物等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子における微細な回路形成にレジスト組成物を用いるフォトリソグラフィー技術が利用されている。代表的な手順として、例えば、レジスト組成物の被膜に対するマスクパターンを介した放射線照射による露光で酸を発生させ、その酸を触媒とする反応により露光部と未露光部とにおいて樹脂のアルカリ系や有機系の現像液に対する溶解度の差を生じさせることで、基板上にレジストパターンを形成する。
【0003】
上記フォトリソグラフィー技術ではArFエキシマレーザー等の短波長の放射線を利用したり、さらに露光装置のレンズとレジスト膜との間の空間を液状媒体で満たした状態で露光を行う液浸露光法(リキッドイマージョンリソグラフィー)を用いたりしてパターン微細化を推進している。
【0004】
さらなる技術進展に向けた取り組みが進む中、レジスト組成物にクエンチャー(酸拡散制御剤)を配合し、未露光部まで拡散した酸を塩交換反応により捕捉してArF露光によるリソグラフィー性能を向上させる技術が提案されている(特許文献1)。また、次世代技術として、電子線、X線及びEUV(極端紫外線)等のより短波長の放射線を用いたリソグラフィーも検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5556765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした次世代技術への取り組みの中でも、感度やレジストパターンの線幅のバラつきを示すLWR(Line Width Roughness)性能、CD(Critical Dimension)マージン性能等の点で従来と同等以上のレジスト諸性能が要求される。しかしながら、既存の感放射線性樹脂組成物ではそれらの特性は十分なレベルで得られていない。
【0007】
本発明は、感度やLWR性能、CDマージン性能等を十分なレベルで発揮可能な感放射線性樹脂組成物、及びパターン形成方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記構成を採用することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、一実施形態において、
下記式(1)で表される構造単位(以下、「構造単位(α)」ともいう)を有する樹脂と、
感放射線性酸発生剤と、
溶剤と
を含む感放射線性樹脂組成物に関する。
【0010】
【化1】
(式(1)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Arは芳香環から(n+1)個の水素原子を除いた基を表す。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
nは、1以上の整数である。nが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【0011】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記構造単位(α)を有する樹脂を含むため、レジストパターン形成の際に優れた感度やLWR性能、CDマージン性能等を発揮することが可能となる。上記構造単位(α)は、ヨウ素等のハロゲン基含有構造部位が特にEUV露光の吸収に優れることから、優れた感度やLWR性能とともに、CDマージン性能の向上に影響していると推察される。なお、必ずしもこの作用機序の推察によって本発明の権利範囲を限定するものではない。
【0012】
本発明において、「有機基」としては、例えば、1価の炭化水素基、上記炭化水素基の炭素-炭素間に2価のヘテロ原子含有基を含む基、上記炭化水素基及び2価のヘテロ原子含有基を含む基に含まれる水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等をあげることができる。
【0013】
また、本発明において、「炭化水素基」には、当該要素で特に限定を付さない限り、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。上記「炭化水素基」は、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基の両方を含む。上記「鎖状炭化水素基」は、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基をいい、直鎖状炭化水素基及び分岐鎖状炭化水素基の両方を含む。上記「脂環式炭化水素基」は、環構造としては脂環構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基をいい、単環の脂環式炭化水素基及び多環の脂環式炭化水素基の両方を含む。ただし、脂環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。上記「芳香族炭化水素基」には、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基をいう。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環構造を含んでいてもよい。
【0014】
また、本発明は、別の実施形態において、
上記感放射線性樹脂組成物を基板上に直接又は間接に塗布してレジスト膜を形成する工程、
上記レジスト膜を露光する工程、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程を含む、レジストパターンの形成方法に関する。
【0015】
本発明のレジストパターンの形成方法は、上記感放射線性樹脂組成物を用いた工程を含むため、優れた感度やLWR性能、CDマージン性能等に優れた良好なパターン形成等に利用することが可能となる。
【0016】
一方、本発明は、別の実施形態において、
下記式(2)又は式(3)で表される構造単位(以下、それぞれ、「構造単位(β)」、「構造単位(γ)」ともいう)を有する重合体に関する。
【0017】
【化2】
(式(2)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
mは、0又は1である。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
pは、1~(5+2m)の整数である。pが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【0018】
【化3】
(式(3)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、酸素原子、-NH-、又は硫黄原子を表す。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
oは、1~3の整数である。oが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【0019】
本発明の重合体は、上記式(2)又は式(3)で表される構造単位を有するため、これを用いて上記感放射線性樹脂組成物を製造することが可能となる。
【0020】
他方、本発明は、別の実施形態において、
下記式(5)又は式(6)で表される化合物(以下、それぞれ「化合物(5)」、「化合物(6)」という。)に関する。
【0021】
【化4】
(式(5)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
mは、0又は1である。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
pは、1~(5+2m)の整数である。pが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【0022】
【化5】
(式(6)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、酸素原子、-NH-、又は硫黄原子を表す。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
oは、1~3の整数である。oが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【0023】
本発明の化合物(5)及び化合物(6)は、上記化学構造を有するため、これをモノマー成分として用いて上記重合体を製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0025】
<感放射線性樹脂組成物>
本実施形態に係る感放射線性樹脂組成物は、上記式(1)で表される構造単位を有する樹脂(以下、「構造単位(α)を有する樹脂」ともいう。)と、感放射線性酸発生剤と、溶剤とを含む。上記組成物は、本発明の効果を損なわない限り、他の任意成分を含んでいてもよい。上記感放射線性樹脂組成物は、上記構造単位(α)を有する樹脂を含むため、レジストパターン形成の際に優れた感度やLWR性能、CDマージン性能等を発揮することが可能となる。
【0026】
(構造単位(α)を有する樹脂)
構造単位(α)を有する樹脂は、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する重合体の集合体である(以下、この樹脂を「ベース樹脂」ともいう。)。構造単位(α)も酸解離性基である。上記樹脂は、酸解離性基として構造単位(α)を含むが、これに加えて他の酸解離性基を含むことができる。「酸解離性基」とは、カルボキシ基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、スルホ基等が有する水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記樹脂が構造単位(α)を含む構造単位(I)を有することで、パターン形成性に優れる。
【0027】
ベース樹脂は、構造単位(I)以外にも、後述するラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位(II)や、その他の構造単位を有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
【0028】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位であり、上記樹脂は構造単位(α)を含む。
【0029】
〔構造単位(α)〕
構造単位(α)は、下記式(1)で表される。
【0030】
【化6】
【0031】
上記式(1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0032】
上記式(1)中、Lは、単結合又は-COO-L-を表す。
【0033】
上記式(1)中、Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
【0034】
上記式(1)中、上記Lで表される置換又は非置換のアルカンジイル基としては、例えば、メタンジイル基、エタンジイル基、クロロメタンジイル基等をあげることができる。
【0035】
上記式(1)中、Rは、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
【0036】
上記式(1)中、上記Rで表される炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20の鎖状炭化水素基、炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基等をあげることができる。
【0037】
上記式(1)中、上記Rで表される炭素数1~20の鎖状炭化水素基としては、炭素数1~20の直鎖若しくは分岐鎖飽和炭化水素基、又は炭素数2~20の直鎖若しくは分岐鎖不飽和炭化水素基等をあげることができる。上記炭素数1~20の直鎖若しくは分岐鎖飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、2-メチルプロピル基、1-メチルプロピル基、t-ブチル基等のアルキル基から水素原子を1個取り除いて得られる基が挙げられる。炭素数2~20の直鎖若しくは分岐鎖不飽和炭化水素基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基から水素原子を1個取り除いて得られる基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基から水素原子を1個取り除いて得られる基が挙げられる。
【0038】
上記式(1)中、上記Rで表される炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、単環若しくは多環の飽和炭化水素基、又は単環若しくは多環の不飽和炭化水素基等をあげることができる。単環の飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロウンデカニル基、シクロドデカニル基をあげることができる。多環のシクロアルキル基としては、例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基等の有橋脂環式炭化水素基をあげることができる。単環の不飽和炭化水素基としては、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等の単環のシクロアルケニル基をあげることができる。多環の不飽和炭化水素基としては、例えば、ノルボルネニル基等の多環のシクロアルケニル基をあげることができる。なお、有橋脂環式炭化水素基とは、脂環を構成する炭素原子のうち互いに隣接しない2つの炭素原子間が、1つ以上の炭素原子を含む2価の連結基で結合された多環性の脂環式炭化水素基をいう。
【0039】
上記式(1)中、上記Rで表される上記炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基等をあげることができる。
【0040】
上記式(1)中、Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0041】
上記式(1)中、上記Lで表される2価の連結基としては、例えば、炭素数1~10の2価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、炭素数4~12の2価の脂環式炭化水素基、又はこれらの炭化水素基の1個以上と-CO-、-O-、-NH-及び-S-のうちの少なくとも1種の基とから構成される基等をあげることができる。
【0042】
上記式(1)中、Arは芳香環から(n+1)個の水素原子を除いた基を表す。
【0043】
上記式(1)中、上記Arで表される芳香環としては、例えば、炭素数6~20の芳香族炭化水素環、炭素数6~20の芳香族ヘテロ環等をあげることができる。
【0044】
上記式(1)中、上記Arで表される炭素数6~20の芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、トリフェニル環、キシレン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環等のアリール基等をあげることができる。
【0045】
上記式(1)中、上記Arで表される炭素数6~20の芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、ピリジン環、フラン環、チオフェン環等をあげることができる。
【0046】
上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
【0047】
上記式(1)中、上記Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子をあげることができる。
【0048】
上記式(1)中、上記Rで表されるハロゲン化炭化水素基としては、例えば、一部又は全部がハロゲン原子で置換された、炭素数1~10の1価の炭化水素基等をあげることができる。上記炭素数1~10の1価の炭化水素基は、以下の上記Rで表される炭素数1~10の1価の炭化水素基の場合と同様である。
【0049】
上記式(1)中、上記Rで表される炭素数1~10の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~10の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3~10の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6~10の1価の芳香族炭化水素基等をあげることができる。
【0050】
上記式(1)中、上記Rで表される炭素数1~10の鎖状炭化水素基としては、炭素数1~10の1価の直鎖若しくは分岐鎖飽和炭化水素基、又は炭素数1~10の1価の直鎖若しくは分岐鎖不飽和炭化水素基等をあげることができる。
【0051】
上記式(1)中、上記Rで表される炭素数3~10の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、上記Rで例示した1価の脂環式炭化水素基のうち炭素数3~10のものを挙げることができる。
【0052】
上記式(1)中、上記Rで表される上記炭素数6~10の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基等をあげることができる。
【0053】
上記式(1)中、上記Rで表される炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基としては、例えば、炭素数1~10の1価の鎖状アルキルエーテル基、炭素数3~10の1価の脂環式アルキルエーテル基等をあげることができる。
【0054】
上記式(1)中、上記Rで表される炭素数1~10の1価の鎖状アルキルエーテル基としては、例えば、炭素数1~10の1価の直鎖若しくは分岐鎖アルキルエーテル基、又は炭素数1~10の1価の直鎖若しくは分岐鎖不飽和アルキルエーテル基等をあげることができる。
【0055】
上記式(1)中、上記Rで表される炭素数3~10の1価の脂環式アルキルエーテル基としては、例えば、単環若しくは多環の飽和アルキルエーテル基、又は単環若しくは多環の不飽和アルキルエーテル等をあげることができる。
【0056】
上記式(1)中、nは、1以上の整数である。nが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。上記nは、上記Arの環の種類によりその上限数は定まり、例えば、N員環の場合、Lとの結合箇所を除いた、「N-1」がnの上限数となる。より具体的には、上記Arが6員環のベンゼン環の場合、nの上限は5となる。上記nは、1~3の整数であることが好ましい。
【0057】
上記式(1)で表される構造単位は、例えば、下記式(2)又は式(3)で表される構造単位(それぞれ、「構造単位(β)」、「構造単位(γ)」)であることが好ましい。
【0058】
【化7】
【0059】
上記式(2)中、R、L、L、R、L、Rは、上記式(1)の場合と同様である。
【0060】
上記式(2)中、mは、0又は1である。
【0061】
上記式(2)中、pは、1~(5+2m)の整数である。pが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。
【0062】
【化8】
【0063】
上記式(3)中、R、L、L、R、L、Rは、上記式(1)の場合と同様である。
【0064】
上記式(3)中、Xは、酸素原子、-NH-、又は硫黄原子を表す。
【0065】
上記式(3)中、oは、1~3の整数である。oが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。
【0066】
上記式(1)中で表される構造単位(α)(ないし、上記式(2)中で表される構造単位(β)、又は、上記式(3)中で表される構造単位(γ))を得るための単量体成分として、例えば、下記式(M-1)~(M-32)で表される化合物等をあげることができる。
【0067】
【化9】
【0068】
【化10】
【0069】
【化11】
【0070】
ベース樹脂は、構造単位(α)を1種又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0071】
構造単位(α)の含有割合(複数種含む場合は合計の含有割合)は、ベース樹脂を構成する全構造単位に対して、1モル%以上が好ましく、例えば、5モル%以上、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、又は、35モル%以上等であってもよい。また、80モル%以下が好ましく、75モル%以下、70モル%以下、又は、65モル%以下等であってもよい。構造単位(α)の含有割合を上記範囲とすることで、本発明の感放射線性樹脂組成物のパターン形成性をより向上させることができる。
【0072】
〔構造単位(α)以外の構造単位(I)〕
構造単位(I)は、上記構造単位(α)以外のその他の酸解離性基を含むことができる。その他の構造単位(I)としては、酸解離性基を含む限り特に限定されず、例えば、第三級アルキルエステル部分を有する構造単位、フェノール性水酸基の水素原子が第三級アルキル基で置換された構造を有する構造単位、アセタール結合を有する構造単位等をあげることができるが、パターン形成性の向上の観点から、下記式(4)で表される構造単位(以下、「構造単位(I-1)」ともいう)が好ましい。
【0073】
【化12】
(式(4)中、
11は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
12は、炭素数1~20の1価の炭化水素基である。
13及びR14は、それぞれ独立して、炭素数1~10の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~20の2価の脂環式炭化水素基を表す。)
【0074】
上記式(4)中、上記R11としては、構造単位(I)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0075】
上記式(4)中、上記R12で表される炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20の鎖状炭化水素基、炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基等をあげることができる。
【0076】
上記式(4)中、上記R12で表される炭素数1~20の鎖状炭化水素基としては、炭素数1~20の直鎖若しくは分岐鎖飽和炭化水素基、又は炭素数1~20の直鎖若しくは分岐鎖不飽和炭化水素基をあげることができる。
【0077】
上記式(4)中、上記R12で表される炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基としては、上記Rで例示した炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基を挙げることができる。
【0078】
上記式(4)中、上記R12で表される上記炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基としては、上記Rで例示した炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基を挙げることができる。
【0079】
上記式(4)中、上記R13及びR14で表される炭素数1~10の鎖状炭化水素基としては、炭素数1~10の直鎖若しくは分岐鎖飽和炭化水素基、又は炭素数1~10の直鎖若しくは分岐鎖不飽和炭化水素基をあげることができる。
【0080】
上記式(4)中、上記R13及びR14で表される炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基としては、炭素数3~20の1価の単環脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の1価の有橋脂環式炭化水素基等をあげることができる。
【0081】
上記式(4)中、上記R13及びR14で表される炭素数3~20の1価の単環脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等をあげることができる。
【0082】
上記式(4)中、上記R13及びR14で表される炭素数6~20の1価の有橋脂環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等をあげることができる。
【0083】
上記式(4)中、上記R13及びR14で表されるこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~20の2価の脂環式炭化水素基は、上記炭素数の脂環式炭化水素の炭素環を構成する炭素原子から2個の水素原子を除いた基であれば特に限定されない。
【0084】
上記式(4)で表される構造単位(I)(「構造単位(I-1)」)としては、例えば、下記式(2-1)~(2-7)で表される構造単位(以下、「構造単位(I-2-1)~(I-2-7)」ともいう)等をあげることができる。
【0085】
【化13】
【0086】
上記式(2-1)~(2-7)中、R11~R14は、上記式(4)と同義である。
【0087】
上記式(2-1)中、iは、0~4の整数である。iとしては、1が好ましい。
【0088】
上記式(2-3)中、kは0又は1である。
【0089】
上記式(2-4)中、lは0又は1である。
【0090】
上記式(2-5)中、jは、0~4の整数である。jとしては、1が好ましい。
【0091】
上記式(2-1)~(2-7)中、R12としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基又はフェニル基が好ましい。
【0092】
上記式(2-1)~(2-7)中、R13及びR14としては、それぞれ独立して、メチル基、エチル基又はn-プロピル基が好ましい。
【0093】
ベース樹脂は、構造単位(I)を1種又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0094】
構造単位(I)の含有割合(複数種含む場合は合計の含有割合)は、ベース樹脂を構成する全構造単位に対して、1モル%以上が好ましく、例えば、5モル%以上、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、35モル%以上等であってもよい。また、80モル%以下が好ましく、75モル%以下、70モル%以下、65モル%以下等であってもよい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、本発明の感放射線性樹脂組成物のパターン形成性をより向上させることができる。
【0095】
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位である。ベース樹脂は、構造単位(II)をさらに有することで、現像液への溶解性を調整することができ、その結果、本発明の感放射線性樹脂組成物から得られるレジスト膜の解像性等のリソグラフィー性能を向上させることができる。また、ベース樹脂から形成されるレジストパターンと基板との密着性を向上させることができる。
【0096】
構造単位(II)としては、ラクトン構造を含む構造単位が好ましく、ノルボルナンラクトン構造を含む構造単位がより好ましい。
【0097】
構造単位(II)の含有割合は、ベース樹脂を構成する全構造単位に対して、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ましい。また、80モル%以下が好ましく、75モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、本発明の感放射線性樹脂組成物から得られるレジスト膜の解像性等のリソグラフィー性能及び形成されるレジストパターンの基板との密着性をより向上させることができる。
【0098】
[構造単位(III)]
ベース樹脂は、上記構造単位(I)や(II)以外にも、その他の構造単位を任意で有する。上記その他の構造単位としては、例えば、極性基を含む構造単位(III)等をあげることができる(但し、構造単位(I)及び構造単位(II)に該当するものを除く)。ベース樹脂は、構造単位(III)をさらに有することで、現像液への溶解性を調整することができ、その結果、本発明の感放射線性樹脂組成物から得られるレジスト膜の解像性等のリソグラフィー性能を向上させることができる。上記極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホンアミド基等をあげることができる。これらの中で、ヒドロキシ基、カルボキシ基が好ましく、アルコール性ヒドロキシ基がより好ましい。
【0099】
上記ベース樹脂が上記極性基を有する構造単位(III)を有する場合、上記構造単位(III)の含有割合は、ベース樹脂を構成する全構造単位に対して、5モル%以上が好ましく、8モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましい。また、40モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましい。
【0100】
[構造単位(IV)]
ベース樹脂は、その他の構造単位として、フェノール性水酸基を有する構造単位又は酸の作用によりフェノール性水酸基を与える構造単位(以下、「構造単位(IV)」ともいう。)を任意で有する。構造単位(IV)は特に、電子線やEUVといった波長50nm以下の放射線による露光を用いるパターン形成に好適に適用することができる。
【0101】
構造単位(IV)は、下記式(D)で表されることが好ましい。
【0102】
【化14】
(上記式(D)中、
αは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
CAは、単結合、-COO-又は-O-である。*は芳香環側の結合手である。
101は水素原子又は酸の作用で脱保護される保護基である。R101が複数存在する場合、複数のR101は互いに同一又は異なる。
102は、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基又はアシロキシ基である。
d3は0~2の整数であり、m3dは1~8の整数であり、md4は0~8の整数である。ただし、1≦md3+md4≦2nd3+5を満たす。)
【0103】
上記Rαとしては、構造単位(IV)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0104】
CAとしては、単結合又は-COO-が好ましい。
【0105】
上記R101で表される酸の作用で脱保護される保護基としては、例えば、下記式(AL-1)~(AL-3)で表される基等をあげることができる。
【化15】
【0106】
上記式(AL-1)及び(AL-2)中、RM1及びRM2は、1価の炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記1価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~40のアルキル基が好ましく、炭素数1~20のアルキル基がより好ましい。式(AL-1)中、aは0~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。上記式(AL-1)~(AL-3)中、*は他の部分との結合手である。
【0107】
上記式(AL-2)中、RM3及びRM4は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記1価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。また、RM2、RM3及びRM4のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子とともに炭素数3~20の環を形成してもよい。上記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0108】
上記式(AL-3)中、RM5、RM6及びRM7は、それぞれ独立に、1価の炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記1価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。また、RM5、RM6及びRM7のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成してもよい。上記環としては、炭素数5~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0109】
これらの中でも、酸の作用で脱保護される保護基としては上記式(AL-3)で表される基が好ましい。
【0110】
102におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基をあげることができる。フッ素化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1~8の直鎖又は分岐のフッ素化アルキル基をあげることができる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基及びアダマンチルメチルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数2~16の鎖状又は脂環のアルコキシカルボニルオキシ基をあげることができる。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基及びアクリロイル基等の炭素数2~12の脂肪族又は芳香族のアシル基をあげることができる。アシロキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基及びアクリロイルオキシ基等の炭素数2~12の脂肪族又は芳香族のアシロキシ基等をあげることができる。
【0111】
上記nd3としては、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0112】
上記mとしては、1~3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
【0113】
上記mとしては、0~3の整数が好ましく、0~2の整数がより好ましい。
【0114】
上記構造単位(IV)としては、下記式(D-1)~(D-10)で表される構造単位(以下、「構造単位(D-1)~構造単位(D-10)」ともいう。)等であることが好ましい。
【0115】
【化16】
【0116】
上記式(D-1)~(D-10)中、Rαは上記式(D)と同様である。
【0117】
これらの中で、上記構造単位(D-1)~(D-4)、(D-6)及び(D-8)が好ましい。
【0118】
構造単位(IV)の含有割合(構造単位Dが複数種存在する場合は合計)としては、樹脂を構成する全構造単位に対して、5モル%以上が好ましく、8モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が特に好ましい。上記含有割合としては、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。構造単位(IV)の含有割合を上記範囲とすることで、上記感放射線性樹脂組成物は、感度、CDU性能能及び解像度のさらなる向上を図ることができる。
【0119】
ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基を有する単量体を重合させる場合、アルカリ解離性基等の保護基によりフェノール性水酸基を保護した状態で重合させておき、その後加水分解を行って脱保護することにより構造単位(IV)を得るようにすることが好ましい。
【0120】
(ベース樹脂の合成方法)
ベース樹脂は、例えば、各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤等を用い、適当な溶剤中で重合することにより合成できる。
【0121】
上記ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0122】
ベース樹脂の分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000以上50,000以下であることが好ましく、例えば、2,000以上30,000以下、3,000以上15,000以下、4,000以上12,000以下、5,000以上10,000以下、又は、6,000以上9,000以下等であってもよい。ベース樹脂のMwが上記下限未満だと、得られるレジスト膜の耐熱性が低下する場合がある。ベース樹脂のMwが上記上限を超えると、レジスト膜の現像性が低下する場合がある。
【0123】
ベース樹脂のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。
【0124】
本明細書における樹脂のMw及びMnは、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
【0125】
GPCカラム:G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本(以上、東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶出溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0126】
ベース樹脂の含有割合としては、当該感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
【0127】
(他の樹脂)
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、他の樹脂として、上記ベース樹脂よりもフッ素原子の質量含有率が大きい樹脂(以下、「高フッ素含有量樹脂」ともいう。)を含んでいてもよい。当該感放射線性樹脂組成物が高フッ素含有量樹脂を含有する場合、上記ベース樹脂に対してレジスト膜の表層に偏在化させることができ、その結果、液浸露光時のレジスト膜の表面の撥水性を高めることができる。
【0128】
高フッ素含有量樹脂としては、例えば、下記式(8)で表される構造単位(以下、「構造単位(V)」ともいう。)を有することが好ましく、必要に応じて上記ベース樹脂における構造単位(I)や構造単位(II)を有していてもよい。
【0129】
【化17】
【0130】
上記式(8)中、R17は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Gは、単結合、酸素原子、硫黄原子、-COO-、-SOONH-、-CONH-又は-OCONH-である。R18は、炭素数1~20の1価のフッ素化鎖状炭化水素基又は炭素数3~20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基である。
【0131】
上記R17としては、構造単位(V)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0132】
上記Gとしては、構造単位(V)を与える単量体の共重合性の観点から、単結合及び-COO-が好ましく、-COO-がより好ましい。
【0133】
上記R18で表される炭素数1~20の1価のフッ素化鎖状炭化水素基としては、炭素数1~20の直鎖又は分岐鎖アルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたものをあげることができる。
【0134】
上記R18で表される炭素数3~20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基としては、炭素数3~20の単環又は多環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたものをあげることができる。
【0135】
上記R18としては、フッ素化鎖状炭化水素基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基及び5,5,5-トリフルオロ-1,1-ジエチルペンチル基がさらに好ましい。
【0136】
高フッ素含有量樹脂が構造単位(V)を有する場合、構造単位(V)の含有割合は、高フッ素含有量樹脂を構成する全構造単位に対して、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、45モル%以上がさらに好ましく、50モル%以上が特に好ましい。また、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下がさらに好ましい。構造単位(V)の含有割合を上記範囲とすることで、高フッ素含有量樹脂のフッ素原子の質量含有率をより適度に調整してレジスト膜の表層への偏在化をさらに促進することができ、その結果、液浸露光時の場合にはレジスト膜の撥水性をより向上させることができる。
【0137】
高フッ素含有量樹脂は、構造単位(V)とともに又は構造単位(V)に代えて、下記式(f-1)で表されるフッ素原子含有構造単位(以下、構造単位(VI)ともいう。)を有していてもよい。高フッ素含有量樹脂は構造単位(f-1)を有することで、アルカリ現像液への溶解性が向上し、現像欠陥の発生を抑制することができる。
【0138】
【化18】
【0139】
構造単位(VI)は、(x)アルカリ可溶性基を有する場合と、(y)アルカリの作用により解離してアルカリ現像液への溶解性が増大する基(以下、単に「アルカリ解離性基」とも言う。)を有する場合の2つに大別される。(x)、(y)双方に共通して、上記式(f-1)中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは単結合、炭素数1~20の(s+1)価の炭化水素基、この炭化水素基のR側の末端に酸素原子、硫黄原子、-NRdd-、カルボニル基、-COO-若しくは-CONH-が結合された構造、又はこの炭化水素基が有する水素原子の一部がヘテロ原子を有する有機基により置換された構造である。Rddは、水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基である。sは、1~3の整数である。
【0140】
構造単位(VI)が(x)アルカリ可溶性基を有する場合、Rは水素原子であり、Aは酸素原子、-COO-*又は-SOO-*である。*はRに結合する部位を示す。Wは単結合、炭素数1~20の炭化水素基又は2価のフッ素化炭化水素基である。Aが酸素原子である場合、WはAが結合する炭素原子にフッ素原子又はフルオロアルキル基を有するフッ素化炭化水素基である。Rは単結合又は炭素数1~20の2価の有機基である。sが2又は3の場合、複数のR、W、A及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。構造単位(VI)が(x)アルカリ可溶性基を有することで、アルカリ現像液に対する親和性を高め、現像欠陥を抑制することができる。(x)アルカリ可溶性基を有する構造単位(VI)としては、Aが酸素原子でありWが1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-メタンジイル基である場合が特に好ましい。
【0141】
構造単位(VI)が(y)アルカリ解離性基を有する場合、Rは炭素数1~30の1価の有機基であり、Aは酸素原子、-NRaa-、-COO-*又は-SOO-*である。Raaは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基である。*はRに結合する部位を示す。Wは単結合又は炭素数1~20の2価のフッ素化炭化水素基である。Rは、単結合又は炭素数1~20の2価の有機基である。Aが-COO-*又は-SOO-*である場合、W又はRはAと結合する炭素原子又はこれに隣接する炭素原子上にフッ素原子を有する。Aが酸素原子である場合、W、Rは単結合であり、Rは炭素数1~20の炭化水素基のR側の末端にカルボニル基が結合された構造であり、Rはフッ素原子を有する有機基である。sが2又は3の場合、複数のR、W、A及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。構造単位(VI)が(y)アルカリ解離性基を有することにより、アルカリ現像工程においてレジスト膜表面が疎水性から親水性へと変化する。この結果、現像液に対する親和性を大幅に高め、より効率的に現像欠陥を抑制することができる。(y)アルカリ解離性基を有する構造単位(VI)としては、Aが-COO-*であり、R若しくはW又はこれら両方がフッ素原子を有するものが特に好ましい。
【0142】
としては、構造単位(VI)を与える単量体の共重合性等の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0143】
が2価の有機基である場合、ラクトン構造を有する基が好ましく、多環のラクトン構造を有する基がより好ましく、ノルボルナンラクトン構造を有する基がより好ましい。
【0144】
高フッ素含有量樹脂が構造単位(VI)を有する場合、構造単位(VI)の含有割合は、高フッ素含有量樹脂を構成する全構造単位に対して、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。また、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下がさらに好ましい。構造単位(VI)の含有割合を上記範囲とすることで、液浸露光時の場合にはレジスト膜の撥水性をより向上させることができる。
【0145】
高フッ素含有量樹脂のMwの下限としては、1,000が好ましく、2,000がより好ましく、3,000がさらに好ましく、5,000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、50,000が好ましく、30,000がより好ましく、20,000がさらに好ましく、15,000が特に好ましい。
【0146】
高フッ素含有量樹脂のMw/Mnの下限としては、通常1であり、1.1がより好ましい。上記Mw/Mnの上限としては、通常5であり、3が好ましく、2がより好ましく、1.9がさらに好ましい。
【0147】
高フッ素含有量樹脂の含有量は、上記ベース樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、1.5質量部以上が特に好ましい。また、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましく、8質量部以下が特に好ましい。
【0148】
高フッ素含有量樹脂の含有量を上記範囲とすることで、高フッ素含有量樹脂をレジスト膜の表層へより効果的に偏在化させることができ、その結果、液浸露光時の場合にはレジスト膜表面の撥水性をより高めることができる。当該感放射線性樹脂組成物は、高フッ素含有量樹脂を1種又は2種以上含有していてもよい。
【0149】
(高フッ素含有量樹脂の合成方法)
高フッ素含有量樹脂は、上述のベース樹脂の合成方法と同様の方法により合成することができる。
【0150】
(感放射線性酸発生剤)
当該感放射線性樹脂組成物は、放射線の照射(露光)により上記酸拡散制御剤から発生する酸より低いpKaを有する酸を発生する感放射線性酸発生剤をさらに含むことが好ましい。感放射線性樹脂組成物が上記感放射線性酸発生剤を含有することにより、露光により発生した酸が、樹脂が有する酸解離性基(構造単位(I))を解離させ、カルボキシ基等を発生させる。その結果、露光部の樹脂の極性が増大し、露光部における樹脂が、アルカリ水溶液現像の場合は現像液に対して溶解性となり、一方、有機溶媒現像の場合は現像液に対して難溶性となる。
【0151】
感放射線性酸発生剤は、有機酸アニオン部分とオニウムカチオン部分とを含むことが好ましい。有機酸アニオン部分は、スルホン酸アニオン及びスルホンイミドアニオンからなる群より選択される少なくとも一種を有することが好ましい。露光により発生する酸としては、上記有機酸アニオン部分に対応して、スルホン酸、スルホンイミドが挙げられる。有機酸アニオン部分はヨウ素置換芳香環構造を含むことが好ましい。
【0152】
中でも、露光によりスルホン酸を与える感放射線性酸発生剤として、スルホン酸アニオンに隣接する炭素原子に1以上のフッ素原子又はフッ素化炭化水素基が結合している化合物を好適に採用することができる。
【0153】
感放射線性酸発生剤は、下記式(A-1)又は下記式(A-2)で表されることが好ましい。
【0154】
【化19】
【0155】
式(A-1)及び(A-2)中、Lは、単結合、エーテル結合若しくはエステル結合であるか、又はエーテル結合若しくはエステル結合を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキレン基である。前記アルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0156】
式(A-1)及び(A-2)中、Rは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはアミノ基であるか、若しくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、アミノ基若しくは炭素数1~10のアルコキシ基を含んでいてもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、炭素数2~20のアシロキシ基若しくは炭素数1~20のアルキルスルホニルオキシ基、又は-NR-C(=O)-R若しくは-NR-C(=O)-O-Rであり、Rは、水素原子、又はハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~6のアシル基若しくは炭素数2~6のアシロキシ基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、又は炭素数6~12のアリール基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~6のアシル基、又は炭素数2~6のアシロキシ基を含んでいてもよい。前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、アシル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0157】
これらのうち、Rとしては、ヒドロキシ基、-NR-C(=O)-R、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基等が好ましい。
【0158】
は、pが1のときは単結合又は炭素数1~20の2価の連結基であり、pが2又は3のときは炭素数1~20の3価又は4価の連結基であり、該連結基は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
【0159】
式(A-1)及び(A-2)中、Rf~Rfは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、これらのうち少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。また、RfとRfとが合わさって、カルボニル基を形成してもよい。特に、Rf及びRfがともにフッ素原子であることが好ましい。
【0160】
式(A-1)及び(A-2)中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。感放射線性酸発生剤のオニウムカチオン部分がフッ素原子を有する場合、R、R及びRのうちの少なくとも1つは1個以上のフッ素原子を含み、R及びRのうちの少なくとも1つは1個以上のフッ素原子を含む。また、R、R及びRのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、炭素数1~12のアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数2~12のアルキニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アミド基、ニトロ基、メルカプト基、スルトン基、スルホン基又はスルホニウム塩含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、カーボネート基又はスルホン酸エステル結合で置換されていてもよい。
【0161】
式(A-1)及び(A-2)中、pは、1≦p≦3を満たす整数である。q及びrは、0≦q≦5、0≦r≦3、及び0≦q+r≦5を満たす整数である。qは、1≦q≦3を満たす整数が好ましく、2又は3がより好ましい。rは、0≦r≦2を満たす整数が好ましい。
【0162】
上記式(A-1)及び(A-2)で表される感放射線性酸発生剤の有機酸アニオン部分としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、ヨウ素置換芳香環構造を有しない有機酸アニオン部分としては、下記式中のヨウ素原子を水素原子や他の置換基等のヨウ素原子以外の原子又は基で置換した構造を好適に採用することができる。
【0163】
【化20】
【0164】
【化21】
【0165】
【化22】
【0166】
【化23】
【0167】
【化24】
【0168】
上記式(A-1)で表される感放射線性酸発生剤におけるオニウムカチオン部分は、フッ素原子を有する芳香環構造を含むオニウムカチオンが好ましく、下記式(Q-1)で表されるオニウムカチオンがより好ましい。
【0169】
【化25】
【0170】
上記式(Q-1)において、Ra及びRaは各々独立に、置換基を表す。nは0~5の整数を表し、nが2以上の場合、複数存在するRaは同一でも異なっていてもよい。nは0~5の整数を表し、nが2以上の場合、複数存在するRaは同一でも異なっていてもよい。nは、0~5の整数を表し、nが2以上の場合、複数存在するRaは同一でも異なっていてもよい。Raは、フッ素原子又は1個以上のフッ素原子を有する基を表す。Ra及びRaは互いに連結して環を形成していてもよい。nが2以上の場合、複数のRaが互いに連結して環を形成していてもよい。nが2以上の場合、複数のRaが互いに連結して環を形成していてもよい。
【0171】
Ra及びRaで表される置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、水酸基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基が好ましい。
【0172】
Ra及びRaのアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。このアルキル基としては、炭素数1~10のものが好ましく、上記Rで例示した炭素数1~20の鎖状炭化水素基のうち炭素数1~6のものを挙げることができる。これらのうち、メチル基、エチル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が特に好ましい。
【0173】
Ra及びRaのシクロアルキル基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20のシクロアルキル基)が挙げられ、上記Rで例示した炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基が挙げられる。これらのうち、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル及びシクロオクチル基が特に好ましい。
【0174】
Ra及びRaのアルコキシ基のアルキル基部分としては、例えば、先にRa及びRaのアルキル基として列挙したものが挙げられる。このアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基及びn-ブトキシ基が特に好ましい。
【0175】
Ra及びRaのシクロアルキルオキシ基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にRa及びRaのシクロアルキル基として列挙したものが挙げられる。このシクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が特に好ましい。
【0176】
Ra及びRaのアルコキシカルボニル基のアルコキシ基部分としては、例えば、先にRa及びRaのアルコキシ基として列挙したものが挙げられる。このアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びn-ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
【0177】
Ra及びRaのアルキルスルホニル基のアルキル基部分としては、例えば、先にRa及びRaのアルキル基として列挙したものが挙げられる。また、Ra及びRaのシクロアルキルスルホニル基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にRa及びRaのシクロアルキル基として列挙したものが挙げられる。これらアルキルスルホニル基又はシクロアルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n-プロパンスルホニル基、n-ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基及びシクロヘキサンスルホニル基が特に好ましい。
【0178】
Ra1及びRaの各基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルコキシアルキル基、シクロアルキルオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、及びシクロアルキルオキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0179】
Ra及びRaのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0180】
Ra及びRaのハロゲン化炭化水素基としては、ハロゲン化アルキル基が好ましい。ハロゲン化アルキル基を構成するアルキル基及びハロゲン原子としては上記と同様のものが挙げられる。中でもフッ素化アルキル基が好ましく、CFがより好ましい。
【0181】
上記したように、Ra及びRaは互いに連結して環(即ち、硫黄原子を含む複素環)を形成していてもよい。またnが2以上の場合、複数のRaが互いに連結して環を形成していてもよく、nが2以上の場合、複数のRaが互いに連結して環を形成していてもよい。このような例としては、例えば2つのRaが互いに連結し、これらが結合するベンゼン環と共にナフタレン環を形成する態様が挙げられる。
【0182】
Raは、フッ素原子又はフッ素原子を有する基である。フッ素原子を有する基としては、Ra及びRaとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基及びアルキルスルホニル基がフッ素原子で置換された基を挙げることができる。中でもフッ素化アルキル基を好適に挙げることができ、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH及びCHCHをさらに好適に挙げることができ、CFを特に好適に挙げることができる。
【0183】
Raは、フッ素原子又はCFであることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
【0184】
及びnは、各々独立して、0~3の整数が好ましく、0~2の整数が好ましい。
【0185】
は、1~3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
【0186】
このような、上記式(Q-1)で表されるオニウムカチオン部分の具体例としては、以下のものが挙げられる。なお、下記に示すものはいずれもフッ素置換芳香環構造を有するスルホニウムカチオン部分であるが、フッ素置換芳香環構造を有しないオニウムカチオン部分としては、下記式中のフッ素原子やCFを水素原子や他の置換基等のフッ素原子以外の原子又は基で置換した構造を好適に採用することができる。
【0187】
【化26】
【0188】
【化27】
【0189】
【化28】
【0190】
上記式(A-2)のオニウムカチオン部分の具体例としては、以下のものが挙げられる。なお、下記に示すものはいずれもフッ素置換芳香環構造を有するヨードニウムカチオン部分であるが、フッ素置換芳香環構造を有しないオニウムカチオン部分としては、下記式中のフッ素原子やCFを水素原子や他の置換基等のフッ素原子以外の原子又は基で置換した構造を好適に採用することができる。
【0191】
【化29】
【0192】
【化30】
【0193】
これらの感放射線性酸発生剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。感放射線性酸発生剤の含有量(複数種の感放射線性酸発生剤の併用の場合はそれらの合計)は、上記ベース樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、上記樹脂100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、45質量部以下、40質量部以下、35質量部以下、30質量部以下、25質量部以下、又は、20質量部以下等であってもよい。これによりレジストパターン形成の際に優れた感度やLWR性能、CDU性能を発揮することができる。
【0194】
(酸拡散制御剤)
酸拡散制御剤は、有機酸アニオン部分とオニウムカチオン部分とを含んでおり、放射線の照射により上記感放射線性酸発生剤から発生する酸より高いpKaを有する酸を発生する。このような有機酸アニオン部分としては、カルボン酸が挙げられる。有機酸アニオン部分はヨウ素置換芳香環構造を含むことが好ましい。酸拡散制御剤は、下記式(S-1)又は下記式(S-2)で表されることが好ましい。
【0195】
【化31】
【0196】
上記式(S-1)及び(S-2)中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、アミノ基、ニトロ基若しくはシアノ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~6のアシロキシ基若しくは炭素数1~4のアルキルスルホニルオキシ基、又は-NR1A-C(=O)-R1B若しくは-NR1A-C(=O)-O-R1Bである。R1Aは、水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基であり、R1Bは、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数2~8のアルケニル基である。
【0197】
前記炭素数1~6のアルキル基としては、上記Rで例示した炭素数1~20の鎖状炭化水素基のうち炭素数1~6のものを挙げることができる。
【0198】
上記式(S-1)及び(S-2)中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。酸拡散制御剤のオニウムカチオン部分がフッ素原子を有する場合、R、R及びRのうちの少なくとも1つは1個以上のフッ素原子を含み、R及びRのうちの少なくとも1つは1個以上のフッ素原子を含む。また、R、R及びRのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。前記1価炭化水素基の具体例としては、上記感放射線性酸発生剤で例示した1価炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
【0199】
上記式(S-1)及び(S-2)中、Lは、単結合、又は炭素数1~20の2価の連結基であり、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、スルトン環、ラクタム環、カーボネート結合、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を含んでいてもよい。
【0200】
上記式(S-1)及び(S-2)中、m及びnは、0≦m≦5、0≦n≦3、及び0≦m+n≦5を満たす整数であるが、1≦m≦3、0≦n≦2を満たす整数が好ましい。
【0201】
上記式(S-1)又は(S-2)で表される酸拡散制御剤の有機酸アニオン部分としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記に示すものはいずれもヨウ素置換芳香環構造を有する有機酸アニオン部分であるが、ヨウ素置換芳香環構造を有しない有機酸アニオン部分としては、下記式中のヨウ素原子を水素原子や他の置換基等のヨウ素原子以外の原子又は基で置換した構造を好適に採用することができる。
【0202】
【化32】
【0203】
【化33】
【0204】
【化34】
【0205】
上記式(S-1)及び(S-2)で表される酸拡散制御剤におけるオニウムカチオン部分としては、フッ素原子を有する芳香環構造を含むオニウムカチオンが好ましく、上記式(Q-1)で表されるオニウムカチオンがより好ましい。
【0206】
上記式(S-1)及び(S-2)で表される酸拡散制御剤は公知の方法、特に塩交換反応により合成することもできる。本発明の効果を損なわない限り、公知の酸拡散制御剤を用いることもできる。
【0207】
これらの酸拡散制御剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。酸拡散制御剤の含有割合は、感放射線性酸発生剤の含有量(感放射線性酸発生樹脂を含む場合は感放射線性酸発生樹脂100質量部中の構造単位a1及び構造単位a2の含有量との合計)に対して、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、上記割合は100質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。これによりレジストパターン形成の際に優れた感度やCDU性能を発揮することができる。
【0208】
酸拡散制御剤全体の含有量は、感放射線性酸発生剤の合計モル数に対して、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましい。また感放射性酸発生剤の合計モル数に対して、40モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、25モル%以下がさらに好ましい。酸拡散制御剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能をより向上させることができる。
【0209】
(溶剤)
本実施形態に係る感放射線性樹脂組成物は、溶剤を含有する。溶剤は、少なくとも上記構造単位(α)を有する樹脂、及び酸感放射線性酸発生剤等を溶解又は分散可能な溶剤であれば特に限定されない。
【0210】
溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等をあげることができる。
【0211】
アルコール系溶剤としては、例えば、
iso-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、フルフリルアルコール、シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ジアセトンアルコール等の炭素数1~18のモノアルコール系溶剤;
エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の炭素数2~18の多価アルコール系溶剤;
上記多価アルコール系溶剤が有するヒドロキシ基の一部をエーテル化した多価アルコール部分エーテル系溶剤等をあげることができる。
【0212】
エーテル系溶剤としては、例えば、
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶剤;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶剤;
ジフェニルエーテル、アニソール(メチルフェニルエーテル)等の芳香環含有エーテル系溶剤;
上記多価アルコール系溶剤が有するヒドロキシ基をエーテル化した多価アルコールエーテル系溶剤等をあげることができる。
【0213】
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、ブタノン、メチル-iso-ブチルケトン等の鎖状ケトン系溶剤:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶剤:
2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等をあげることができる。
【0214】
アミド系溶剤としては、例えば、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等の環状アミド系溶剤;
N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶剤等をあげることができる。
【0215】
エステル系溶剤としては、例えば、
酢酸n-ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶剤;
ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶剤;
γ-ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系溶剤;
ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶剤;
ジ酢酸プロピレングリコール、酢酸メトキシトリグリコール、シュウ酸ジエチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、フタル酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶剤をあげることができる。
【0216】
炭化水素系溶剤としては、例えば、
n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;
ベンゼン、トルエン、ジ-iso-プロピルベンセン、n-アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶剤等をあげることができる。
【0217】
これらの中で、エステル系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶剤、環状ケトン系溶剤、ラクトン系溶剤がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトンがさらに好ましい。当該感放射線性樹脂組成物は、溶剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
【0218】
(その他の任意成分)
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記成分以外にも、その他の任意成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば、架橋剤、偏在化促進剤、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等をあげることができる。これらのその他の任意成分は、それぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
【0219】
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
上記感放射線性樹脂組成物は、例えば、上記構造単位(α)を有する樹脂、感放射線性酸発生剤、必要に応じて高フッ素含有量樹脂等、及び溶剤を所定の割合で混合することにより調製できる。上記感放射線性樹脂組成物は、混合後に、例えば、孔径0.20μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。上記感放射線性樹脂組成物の固形分濃度としては、通常0.1質量%~50質量%であり、0.5質量%~30質量%が好ましく、1質量%~20質量%がより好ましい。
【0220】
<パターン形成方法>
本発明の一実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、
上記感放射線性樹脂組成物を基板上に直接又は間接に塗布してレジスト膜を形成する工程(1)(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)と、
上記レジスト膜を露光する工程(2)(以下、「露光工程」ともいう)と、
露光された上記レジスト膜を現像する工程(3)(以下、「現像工程」ともいう)とを含む。
【0221】
上記レジストパターン形成方法によれば、露光工程における感度やCDU性能、パターン矩形性に優れた上記感放射線性樹脂組成物を用いているため、高品位のレジストパターンを形成することができる。以下、各工程について説明する。
【0222】
[レジスト膜形成工程]
本工程(上記工程(1))では、上記感放射線性樹脂組成物でレジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えば、シリコンウエハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等をあげることができる。また、例えば、特公平6-12452号公報や特開昭59-93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗布方法としては、例えば、回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等をあげることができる。塗布した後に、必要に応じて、塗膜中の溶剤を揮発させるため、プレベーク(PB)を行ってもよい。PB温度としては、通常60℃~140℃であり、80℃~120℃が好ましい。PB時間としては、通常5秒~600秒であり、10秒~300秒が好ましい。形成されるレジスト膜の膜厚としては、10nm~1,000nmが好ましく、10nm~500nmがより好ましい。
【0223】
また、次工程である露光工程を波長50nm以下の放射線にて行う場合、上記組成物中のベース樹脂として上記構造単位(I)及び構造単位(IV)を有する樹脂を用いることが好ましい。
【0224】
[露光工程]
本工程(上記工程(2))では、上記工程(1)であるレジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介して(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)、放射線を照射し、露光する。露光に用いる放射線としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、EUV(極端紫外線)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線等をあげることができる。これらの中でも、遠紫外線、電子線、EUVが好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、電子線、EUVがより好ましく、次世代露光技術として位置付けされる波長50nm以下の電子線、EUVがさらに好ましい。
【0225】
上記露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、レジスト膜の露光された部分において、露光により感放射線性酸発生剤から発生した酸による樹脂等が有する酸解離性基の解離を促進させることが好ましい。このPEBによって、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差が生じる。PEB温度としては、通常50℃~180℃であり、80℃~130℃が好ましい。PEB時間としては、通常5秒~600秒であり、10秒~300秒が好ましい。
【0226】
[現像工程]
本工程(上記工程(3))では、上記工程(2)である上記露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。
【0227】
上記現像に用いる現像液としては、アルカリ現像の場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ-[4.3.0]-5-ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等をあげることができる。これらの中でも、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。
【0228】
また、有機溶媒現像の場合、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒等の有機溶媒、又は有機溶媒を含有する溶媒をあげることができる。上記有機溶媒としては、例えば、上述の感放射線性樹脂組成物の溶剤として列あした溶剤の1種又は2種以上等をあげることができる。これらの中でも、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。
【0229】
上述のように、現像液としてはアルカリ現像液、有機溶媒現像液のいずれであってもよい。
【0230】
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等をあげることができる。
【0231】
<重合体>
本発明の重合体は、上記式(1)で表される構造単位(構造単位(α))を有する重合体である。
【0232】
上記重合体は、上述の構造単位(α)を有する樹脂であり得、R、L、L、R、L、Ar、R、n等は、上述の構造単位(α)を有する樹脂等の記載に準じる。
【0233】
本発明の重合体(2)は、上記式(2)で表される構造単位(構造単位(β))を有する重合体である。
【0234】
上記重合体(2)は、上述の構造単位(β)を有する樹脂であり得、R、L、L、R、L、m、R、p等は、上述の構造単位(β)を有する樹脂等の記載に準じる。
【0235】
本発明の重合体(3)は、上記式(3)で表される構造単位(構造単位(γ))を有する重合体である。
【0236】
本重合体(3)は、上述の構造単位(γ)を有する樹脂であり得、R、L、L、R、L、X、R、o等は、上述の構造単位(γ)を有する樹脂等の記載に準じる。
【0237】
<化合物>
本発明の化合物は、下記式(7)で表される化合物である。
【化35】
(式(7)中、
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
は、単結合又は-COO-L-を表す。
Lは、置換又は非置換のアルカンジイル基を表す。
は、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Arは芳香環から(n+1)個の水素原子を除いた基を表す。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は炭素数1~10の1価のアルキルエーテル基である。少なくとも1つのRは、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基である。
nは、1以上の整数である。nが2以上の場合、複数のRは互いに同一又は異なる。)
【0238】
上記式(7)において、R、L、L、R、L、Ar、R、n等は、上述の構造単位(α)を有する樹脂等の記載に準じる。
【0239】
上記化合物(7)として、例えば、上記式(M-1)~(M-32)で表される化合物等をあげることができる。
【0240】
本発明の化合物(5)は、上記式(5)で表される化合物である。
【0241】
上記式(5)において、R、L、L、R、L、m、R、p等は、上述の構造単位(β)を有する樹脂等の記載に準じる。
【0242】
本発明の化合物(6)は、上記式(6)で表される化合物である。
【0243】
上記式(6)において、R、L、L、R、L、X、R、o等は、上述の構造単位(γ)を有する樹脂等の記載に準じる。
【実施例0244】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
【0245】
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分散度(Mw/Mn)の測定]
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分散度(Mw/Mn)の測定は、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
GPCカラム:G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本(以上、東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶出溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0246】
[1H-NMR分析及び13C-NMR分析]
1H-NMR及び13C-NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子(株)の「JNM-Delta400」)を用いて測定した。
【0247】
<重合体の合成>
各実施例及び比較例における各重合体の合成で用いた単量体を以下に示す。なお以下の合成例においては特に断りのない限り、質量部は使用した単量体の合計質量を100質量部とした場合の値を意味し、モル%は使用した単量体の合計モル数を100モル%とした場合の値を意味する。また、本発明は下記構造単位に限定されるものでない。
【0248】
各実施例における重合体の合成で用いた単量体のうち、式(1)で表される構造単位を与える単量体の構造を以下に示す。
【0249】
【化36】
【0250】
【化37】
【0251】
【化38】
【0252】
各実施例ならびに各比較例における重合体の合成で用いた単量体のうち、上記以外の単量体の構造を示す。
【0253】
【化39】
【0254】
【化40】
【0255】
【化41】
【0256】
[式(1)で表される構造単位を与える単量体の合成方法]
式(1)で表される構造単位を与える単量体(M-1)~(M-32)は、以下単量体M-1の合成方法と同様に合成することができる。
【0257】
[単量体合成例1](単量体M-1の合成)
【0258】
【化42】
【0259】
1-(4-フルオロフェニル)エタノール200g(1.43mol)とトリエチルアミン217g(2.14mol)をジクロロメタン(1,500mL)に溶解させた。溶液を0℃に冷却したのち、塩化メタクリロイル149g(1.43mol)を、溶液の温度が25℃を超えないように滴下した。滴下終了後25℃にて1時間攪拌した。反応終了後、塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、塩化メチレンで抽出を行った。減圧濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、単量体(M-1)を224g(収率76%)得た。
【0260】
[重合体の合成方法]
[重合体合成例1]重合体(A-1)の合成
化合物(M-1)、化合物(M-33)をモル比率が40/60となるように1-メトキシ-2-プロパノール(全モノマー量に対して200質量部)に溶解した。次に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を全モノマーに対して6モル%添加し、単量体溶液を調製した。一方、空の反応容器に1-メトキシ-2-プロパノール(全モノマー量に対して100質量部)を加え、攪拌しながら85℃に加熱した。次に、上記で調製した単量体溶液を3時間かけて滴下し、その後、さらに3時間85℃で加熱し、重合反応を合計6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を室温に冷却した。
【0261】
冷却した重合溶液をヘキサン(重合溶液に対して500質量部)中に投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を重合溶液に対して100質量部のヘキサンで2回洗浄した後、1-メトキシ-2-プロパノール(300質量部)に再度溶解した。次に、メタノール(500質量部)、トリエチルアミン(50質量部)、超純水(10質量部)を加え、撹拌しながら70℃で6時間加水分解反応を実施した。
【0262】
反応終了後、残溶媒を留去し、得られた固体をアセトン(100質量部)に溶解させた。500質量部の水中に滴下して樹脂を凝固させ、得られた固体をろ別した。50℃、12時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A-1)を合成した
【0263】
[重合体合成例2~63、70~77]重合体(A-2)~(A-63)、(A-69)~(A-76)の合成
表1に記載の種類の単量体を所定量配合した重合体は、重合体合成例1と同様に操作して重合体(A-2)~(A-63)、(A-69)~(A-76)を得た。得られた各重合体のMw、Mw/Mnを表1に示す。
【0264】
[重合体合成例65~69]重合体(A-64)~(A-68)の合成
開始剤量を適宜変更した以外は重合体合成例2と同様に操作して重合体(A-64)~(A-68)を得た。得られた各重合体のMw、Mw/Mnを表1に示す。
【0265】
[重合体合成例64]重合体(B-1)の合成
化合物(M-4)、化合物(M-39)、化合物(M-63)をモル比率が50/40/10となるように2-ブタノン(全モノマー量に対して200質量部)に溶解した。開始剤としてAIBNを全モノマーに対して6モル%添加し、単量体溶液を調製した。一方、空の反応容器に2-ブタノン(100質量部)を入れ、攪拌しながら80℃に加熱した。次に、上記で調製した単量体溶液を3時間かけて滴下した。その後、さらに3時間80℃で加熱し、重合反応を合計6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を室温に冷却した。
【0266】
冷却した重合溶液をメタノール(重合溶液に対して2,000質量部)中に投入し、析出した白色粉末をろ別した。得られた固体をアセトン(100質量部)に溶解させ、これを500質量部の水中に滴下した。凝固した固体をろ別し、50℃で12時間乾燥させて白色粉末状の重合体(B-1)を得た。得られた重合体のMw、Mw/Mnを表1に示す。
【0267】
【表1】
【0268】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
感放射線性樹脂組成物を構成する感放射線酸発生剤、酸拡散制御剤、及び、溶媒について以下に示す。
【0269】
[感放射線酸発生剤]
C-1~C-18:下記式(C-1)~(C-18)で表される化合物。
【0270】
【化43】
【0271】
【化44】
【0272】
[酸拡散制御剤]
D-1~D-12:下記式(D-1)~(D-12)で表される化合物。
【0273】
【化45】
【0274】
【化46】
【0275】
[溶媒]
E-1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
E-2:プロピレングリコール1-モノメチルエーテル
【0276】
[実施例1]
重合体(A-1)100質量部、(C-1)20質量部、(D-1)を(C-1)に対して20モル%、(E-1)4,800質量部、並びに、(E-2)2,000質量部を配合して混合した。次に、得られた混合液を孔径0.20μmのメンブランフィルターでろ過することにより、感放射線性樹脂組成物(R-1)を調製した。
【0277】
[実施例2~99及び比較例1~8]
下記表2、表3に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、感放射線性樹脂組成物(R-2)~(R-99)及び(CR-1)~(CR-8)を調製した。
【0278】
【表2】
【0279】
【表3】
【0280】
<レジストパターンの形成>(EUV露光、アルカリ現像)
膜厚20nmの下層膜(AL412(Brewer Science社製))が形成された12インチのシリコンウエハ表面に、スピンコーター(CLEAN TRACK ACT12、東京エレクトロン社製)を使用して、上記調製した感放射線性樹脂組成物を塗布した。130℃で60秒間ソフトベーク(SB)を行った後、23℃で30秒間冷却し、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。
【0281】
次に、このレジスト膜に、EUV露光機(型式「NXE3300」、ASML社製、NA=0.33、照明条件:Conventional s=0.89、マスクimecDEFECT32FFR02)を用いてEUV光を照射した。次に、90℃で60秒間ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行った後、2.38wt%のTMAH水溶液を用い、23℃で30秒間現像して、ポジ型の32nmラインアンドスペースパターンを形成した。
【0282】
<評価>
上記形成したレジストパターンについて、下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物のLWR性能及びプロセスウィンドウを評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「CG-4100」)を用いた。評価結果を下記表4、表5に示す。
【0283】
[感度]
上記レジストパターンの形成において、32nmラインアンドスペースパターンを形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm)とした。
【0284】
[LWR性能]
上記走査型電子顕微鏡を用いてレジストパターンを上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能とした。LWR性能は、値が小さいほど良いことを示す。
【0285】
[プロセスウィンドウ(CDマージン性能)]
32nmラインアンドスペース(1L/1S)を形成するマスクを用いて、低露光量から高露光量までのパターンを形成した。一般的に低露光量側ではパターン間の繋がりが見られ、高露光量側ではパターン倒れなどの欠陥が見られる。これら欠陥が見られないレジスト寸法の上限値と下限値の差を「CDマージン」とした。CDマージンの値が大きいほど、プロセスウィンドウも広いと考えられる。
【0286】
【表4】
【0287】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0288】
本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法によれば、従来よりも感度、感度やLWR性能、CDマージン性能を改良することができる。従って、これらは半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイスのリソグラフィー工程における微細なレジストパターン形成に好適に用いることができる。