(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174496
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電磁弁マニホールド
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
F16K27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012062
(22)【出願日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2022086089
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 新治
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA10
3H051BB10
3H051CC01
3H051CC03
3H051CC11
(57)【要約】
【課題】電磁弁マニホールドにおいて、電磁弁及びマニホールドベースの構成を既存の構成としつつも、流体圧機器に残っている流体を外部へ排出することができ、且つ、仕様変更を容易に行うこと。
【解決手段】スペーサ51は、第1出力ポートAに連通する第1分岐流路61と、第2出力ポートBに連通する第2分岐流路62と、を有している。残圧排出弁70は、第1出力ポートAから第1分岐流路61へ流れる流体、及び第2出力ポートBから第2分岐流路62へ流れる流体における外部への排出を遮断する第1切換状態と、第1出力ポートAから第1分岐流路61へ流れる流体、及び第2出力ポートBから第2分岐流路62へ流れる流体における外部への排出を許容する第2切換状態と、に切換可能である。スペーサ51は、残圧排出弁70が接続される接続ポート63を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1出力ポート及び第2出力ポートを有する電磁弁と、
前記第1出力ポートに連通する第1出力流路、及び前記第2出力ポートに連通する第2出力流路を有するマニホールドベースと、
前記第1出力ポート及び前記第2出力ポートに残っている流体を外部へ排出する残圧排出弁と、を備え、
前記第1出力ポートから前記第1出力流路を介して出力される流体、及び前記第2出力ポートから前記第2出力流路を介して出力される流体によって流体圧機器の駆動を制御する電磁弁マニホールドであって、
前記電磁弁と前記マニホールドベースとの間に介在されるスペーサを備え、
前記スペーサは、
前記第1出力ポートに連通する第1分岐流路と、
前記第2出力ポートに連通する第2分岐流路と、を有し、
前記残圧排出弁は、前記第1出力ポートから前記第1分岐流路へ流れる流体、及び前記第2出力ポートから前記第2分岐流路へ流れる流体における外部への排出を遮断する第1切換状態と、前記第1出力ポートから前記第1分岐流路へ流れる流体、及び前記第2出力ポートから前記第2分岐流路へ流れる流体における外部への排出を許容する第2切換状態と、に切換可能であり、
前記スペーサは、前記残圧排出弁が接続される接続ポートを有していることを特徴とする電磁弁マニホールド。
【請求項2】
前記スペーサは、前記接続ポートを1つ有し、
前記接続ポートは、前記第1分岐流路における前記第1出力ポートとは反対側の端部、及び前記第2分岐流路における前記第2出力ポートとは反対側の端部に連通しており、
前記第1分岐流路には、前記第1出力ポートから前記第1分岐流路への流体の流れを許容し、且つ、前記第1分岐流路から前記第1出力ポートへの流体の流れを遮断する第1逆止弁が設けられ、
前記第2分岐流路には、前記第2出力ポートから前記第2分岐流路への流体の流れを許容し、且つ、前記第2分岐流路から前記第2出力ポートへの流体の流れを遮断する第2逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁マニホールド。
【請求項3】
前記残圧排出弁は、外部へ流体を排出する排出口を有し、
前記排出口には、封止部材が接続可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁弁マニホールド。
【請求項4】
前記残圧排出弁は、外部へ流体を排出する排出口を有し、
前記排出口には、消音部材が接続可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁弁マニホールド。
【請求項5】
前記スペーサは、
前記第1分岐流路における前記第1逆止弁と前記第1出力ポートとの間の部分から分岐するとともに外部に連通する第3分岐流路と、
前記第2分岐流路における前記第2逆止弁と前記第2出力ポートとの間の部分から分岐するとともに外部に連通する第4分岐流路と、を有し、
前記第3分岐流路には、前記第1分岐流路から前記第3分岐流路を介した外部への流体の流れを遮断し、且つ、前記外部から前記第3分岐流路を介した前記第1分岐流路への流体の流れを許容する第3逆止弁が設けられ、
前記第4分岐流路には、前記第2分岐流路から前記第4分岐流路を介した外部への流体の流れを遮断し、且つ、前記外部から前記第4分岐流路を介した前記第2分岐流路への流体の流れを許容する第4逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電磁弁マニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁マニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁弁マニホールドは、電磁弁と、マニホールドベースと、を備えている。電磁弁は、第1出力ポート及び第2出力ポートを有している。マニホールドベースは、第1出力流路及び第2出力流路を有している。第1出力流路は、第1出力ポートに連通している。第2出力流路は、第2出力ポートに連通している。そして、電磁弁マニホールドは、第1出力ポートから第1出力流路を介して出力される流体、及び第2出力ポートから第2出力流路を介して出力される流体によって流体圧機器の駆動を制御する。
【0003】
ところで、例えば、流体圧機器のメンテナンス等を行う場合には、流体圧機器に残っている流体を外部へ排出する必要がある。そこで、第1出力ポート及び第2出力ポートに残っている流体を外部へ排出する残圧排出弁を備えた電磁弁マニホールドが知られている。例えば特許文献1では、残圧排出弁が電磁弁に設けられている。そして、流体圧機器に残っている流体を外部へ排出する必要がある場合には、残圧排出弁を手動で操作して、第1出力ポート及び第2出力ポートに残っている流体を外部へ排出する。これにより、流体圧機器に残っている流体が残圧排出弁から外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、残圧排出弁を電磁弁に設けるためには、電磁弁の構成を既存の構成から変更する必要がある。なお、残圧排出弁をマニホールドブロックに設ける場合であっても、マニホールドブロックの構成を既存の構成から変更する必要がある。したがって、電磁弁マニホールドにおいては、電磁弁及びマニホールドブロックの構成を既存の構成としつつも、流体圧機器に残っている流体を外部へ排出することが望まれている。
【0006】
また、電磁弁マニホールドが、特許文献1のような手動で操作される残圧排出弁を備えている場合を考える。このとき、電磁弁マニホールドの使用環境下においては、作業者が電磁弁マニホールドに近寄ることが困難な位置に電磁弁マニホールドが設置される場合がある。すると、作業者が残圧排出弁を手動で操作することができなくなってしまうため、特許文献1のような手動で操作される残圧排出弁を備えている電磁弁マニホールドを使用することができなくなってしまう。その結果、例えば、遠隔で操作される残圧排出弁を備えている電磁弁マニホールドに交換する必要がある。したがって、電磁弁マニホールドの使用環境下に対応するためには、電磁弁マニホールド全体の交換を行う必要があるため、コストが嵩む等の問題が生じる。このように、電磁弁マニホールドの仕様変更が困難なものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電磁弁マニホールドは、第1出力ポート及び第2出力ポートを有する電磁弁と、前記第1出力ポートに連通する第1出力流路、及び前記第2出力ポートに連通する第2出力流路を有するマニホールドベースと、前記第1出力ポート及び前記第2出力ポートに残っている流体を外部へ排出する残圧排出弁と、を備え、前記第1出力ポートから前記第1出力流路を介して出力される流体、及び前記第2出力ポートから前記第2出力流路を介して出力される流体によって流体圧機器の駆動を制御する電磁弁マニホールドであって、前記電磁弁と前記マニホールドベースとの間に介在されるスペーサを備え、前記スペーサは、前記第1出力ポートに連通する第1分岐流路と、前記第2出力ポートに連通する第2分岐流路と、を有し、前記残圧排出弁は、前記第1出力ポートから前記第1分岐流路へ流れる流体、及び前記第2出力ポートから前記第2分岐流路へ流れる流体における外部への排出を遮断する第1切換状態と、前記第1出力ポートから前記第1分岐流路へ流れる流体、及び前記第2出力ポートから前記第2分岐流路へ流れる流体における外部への排出を許容する第2切換状態と、に切換可能であり、前記スペーサは、前記残圧排出弁が接続される接続ポートを有している。
【0008】
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記スペーサは、前記接続ポートを1つ有し、前記接続ポートは、前記第1分岐流路における前記第1出力ポートとは反対側の端部、及び前記第2分岐流路における前記第2出力ポートとは反対側の端部に連通しており、前記第1分岐流路には、前記第1出力ポートから前記第1分岐流路への流体の流れを許容し、且つ、前記第1分岐流路から前記第1出力ポートへの流体の流れを遮断する第1逆止弁が設けられ、前記第2分岐流路には、前記第2出力ポートから前記第2分岐流路への流体の流れを許容し、且つ、前記第2分岐流路から前記第2出力ポートへの流体の流れを遮断する第2逆止弁が設けられているとよい。
【0009】
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記残圧排出弁は、外部へ流体を排出する排出口を有し、前記排出口には、封止部材が接続可能であるとよい。
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記残圧排出弁は、外部へ流体を排出する排出口を有し、前記排出口には、消音部材が接続可能であるとよい。
【0010】
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記スペーサは、前記第1分岐流路における前記第1逆止弁と前記第1出力ポートとの間の部分から分岐するとともに外部に連通する第3分岐流路と、前記第2分岐流路における前記第2逆止弁と前記第2出力ポートとの間の部分から分岐するとともに外部に連通する第4分岐流路と、を有し、前記第3分岐流路には、前記第1分岐流路から前記第3分岐流路を介した外部への流体の流れを遮断し、且つ、前記外部から前記第3分岐流路を介した前記第1分岐流路への流体の流れを許容する第3逆止弁が設けられ、前記第4分岐流路には、前記第2分岐流路から前記第4分岐流路を介した外部への流体の流れを遮断し、且つ、前記外部から前記第4分岐流路を介した前記第2分岐流路への流体の流れを許容する第4逆止弁が設けられているとよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、電磁弁マニホールドにおいて、電磁弁及びマニホールドベースの構成を既存の構成としつつも、流体圧機器に残っている流体を外部へ排出することができ、且つ、仕様変更を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態における電磁弁マニホールドを示す断面図である。
【
図5】電磁弁マニホールドの一部を拡大して示す断面図である。
【
図6】電磁弁マニホールドの一部を拡大して示す断面図である。
【
図7】別の実施形態における電磁弁マニホールドの一部を拡大して示す断面図である。
【
図8】別の実施形態における電磁弁マニホールドの一部を拡大して示す断面図である。
【
図9】別の実施形態における電磁弁マニホールドを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、電磁弁マニホールドを具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。
<電磁弁マニホールド10の全体構成>
図1、
図2及び
図3に示すように、電磁弁マニホールド10は、電磁弁11と、マニホールドベース31と、スペーサ51と、残圧排出弁70と、を備えている。スペーサ51は、電磁弁11とマニホールドベース31との間に介在されている。電磁弁11は、各スペーサ51を介してマニホールドベース31の搭載面31aに搭載されている。したがって、マニホールドベース31は、電磁弁11を搭載する。残圧排出弁70は、スペーサ51に設けられている。
【0014】
<電磁弁11>
電磁弁11は、バルブケーシング12を有している。バルブケーシング12は、長四角ブロック状である。バルブケーシング12は、ケーシング本体13と、第1連結ブロック14と、第2連結ブロック15と、を有している。ケーシング本体13は、長四角ブロック状である。第1連結ブロック14は、ケーシング本体13の長手方向の第1端に連結されている。第2連結ブロック15は、ケーシング本体13の長手方向の第2端に連結されている。ケーシング本体13は、スペーサ51に対向する本体対向面13aを有している。
【0015】
バルブケーシング12は、弁孔16を有している。弁孔16は、ケーシング本体13に形成されている。弁孔16は、円孔状である。弁孔16は、ケーシング本体13の長手方向に延びている。弁孔16の第1端は、ケーシング本体13の長手方向の第1端面に開口している。弁孔16の第2端は、ケーシング本体13の長手方向の第2端面に開口している。よって、弁孔16は、ケーシング本体13を長手方向に貫通している。
【0016】
電磁弁11は、スプール弁17を有している。スプール弁17は、弁孔16内に挿入されている。スプール弁17は、スプール弁17の軸方向が弁孔16の軸方向に一致した状態で弁孔16内に挿入されている。スプール弁17は、弁孔16内を往復動可能に挿入されている。
【0017】
電磁弁11は、供給ポートP、第1出力ポートA、第2出力ポートB、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2を有している。したがって、本実施形態の電磁弁11は、5ポート電磁弁である。供給ポートP、第1出力ポートA、第2出力ポートB、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2は、ケーシング本体13に形成されている。供給ポートP、第1出力ポートA、第2出力ポートB、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2は、弁孔16にそれぞれ連通している。
【0018】
第1排出ポートR1、第1出力ポートA、供給ポートP、第2出力ポートB、第2排出ポートR2は、ケーシング本体13の長手方向の第1端から第2端に向かうにつれて、この順に並んでケーシング本体13に形成されている。供給ポートP、第1出力ポートA、第2出力ポートB、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2それぞれの第1端は弁孔16に連通している。供給ポートP、第1出力ポートA、第2出力ポートB、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2それぞれの第2端は、ケーシング本体13の本体対向面13aに開口している。
【0019】
電磁弁11は、第1ピストン18と、第2ピストン19と、を有している。第1ピストン18は、円板状である。第1ピストン18は、スプール弁17の第1端に連結されている。第1ピストン18は、スプール弁17と一体的に移動する。第2ピストン19は、円板状である。第2ピストン19は、スプール弁17の第2端に連結されている。第2ピストン19は、スプール弁17と一体的に移動する。
【0020】
第1連結ブロック14には、円孔状の第1ピストン収容凹部20が形成されている。第1ピストン収容凹部20には、第1ピストン18が往復動可能に収容されている。そして、第1ピストン収容凹部20と第1ピストン18とによって、第1パイロット圧作用室21が区画されている。第1パイロット圧作用室21には、パイロット流体が給排される。
【0021】
第2連結ブロック15には、円孔状の第2ピストン収容凹部22が形成されている。第2ピストン収容凹部22には、第2ピストン19が往復動可能に収容されている。そして、第2ピストン収容凹部22と第2ピストン19とによって、第2パイロット圧作用室23が区画されている。第2パイロット圧作用室23には、パイロット流体が給排される。
【0022】
第2連結ブロック15には、ばね収容室24が形成されている。ばね収容室24は、第2連結ブロック15におけるケーシング本体13側の端面に開口している。ばね収容室24は、弁孔16に連通している。第2連結ブロック15には、連通孔25が形成されている。連通孔25は、ばね収容室24と第2ピストン収容凹部22の内側とを連通している。第1ピストン収容凹部20、弁孔16、ばね収容室24、連通孔25、及び第2ピストン収容凹部22は、バルブケーシング12の第1端から第2端に向かうにつれて、この順に並んでバルブケーシング12に形成されている。スプール弁17は、第1ピストン収容凹部20の内側から弁孔16、ばね収容室24、及び連通孔25を通過して第2ピストン収容凹部22の内側まで延びている。
【0023】
電磁弁11は、復帰ばね26と、第1ばね受け部27と、第2ばね受け部28と、を有している。復帰ばね26、第1ばね受け部27、及び第2ばね受け部28は、ばね収容室24内に収容されている。
【0024】
第1ばね受け部27は、円環状である。スプール弁17は、第1ばね受け部27の内側を通過している。スプール弁17は、第1ばね受け部27が当接する第1当接部29を有している。第1当接部29は、例えば、スプール弁17の外周面に形成される段差である。また、第1ばね受け部27は、ケーシング本体13における第2連結ブロック15側の端面の弁孔16の周囲に当接可能である。
【0025】
第2ばね受け部28は、円環状である。スプール弁17は、第2ばね受け部28の内側を通過している。第2ばね受け部28は、スプール弁17の軸方向で第1ばね受け部27に対向している。スプール弁17は、第2ばね受け部28が当接する第2当接部30を有している。第2当接部30は、例えば、スプール弁17の外周面から延びる円環状のフランジである。また、第2ばね受け部28は、第2連結ブロック15における連通孔25の周囲に当接可能である。
【0026】
復帰ばね26は、第1ばね受け部27と第2ばね受け部28との間に介在されている。復帰ばね26の第1端は、第1ばね受け部27に支持されている。復帰ばね26の第2端は、第2ばね受け部28に支持されている。
【0027】
電磁弁11は、第1パイロット弁V1と、第2パイロット弁V2と、を備えている。したがって、電磁弁11は、ダブルソレノイドタイプのパイロット形電磁弁である。第1パイロット弁V1及び第2パイロット弁V2に対する電圧の印加は、例えば、図示しないプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等の外部制御機器によって行われる。
【0028】
<マニホールドベース31>
マニホールドベース31は、供給流路32、第1出力流路33、第2出力流路34、第1排出流路35、及び第2排出流路36を有している。供給流路32、第1出力流路33、第2出力流路34、第1排出流路35、及び第2排出流路36は、搭載面31aに開口している。
【0029】
供給流路32における搭載面31aとは反対側の端部は、例えば、配管等を介して、図示しない流体供給源に接続されている。なお、流体供給源から供給流路32に供給される流体は、圧縮空気である。第1出力流路33における搭載面31aとは反対側の端部は、第1配管37を介して、流体圧機器としてのアクチュエータ40に接続されている。第2出力流路34における搭載面31aとは反対側の端部は、第2配管38を介して、アクチュエータ40に接続されている。第1排出流路35における搭載面31aとは反対側の端部、及び第2排出流路36における搭載面31aとは反対側の端部は、大気にそれぞれ連通している。
【0030】
なお、アクチュエータ40は、シリンダチューブ41を備えている。シリンダチューブ41内には、ピストン42が往復動可能に収容されている。ピストン42には、ピストンロッド43が一体的に設けられている。ピストンロッド43は、シリンダチューブ41に対して出没可能である。シリンダチューブ41内は、ピストン42によって第1圧力作用室44と、第2圧力作用室45と、に区画されている。ピストンロッド43は、ピストン42に一体的に設けられている。第1出力流路33は、第1配管37を介して第1圧力作用室44に連通している。第2出力流路34は、第2配管38を介して第2圧力作用室45に連通している。
【0031】
<スペーサ51>
スペーサ51は、長四角ブロック状である。スペーサ51は、バルブケーシング12に対向する第1対向面51aと、マニホールドベース31に対向する第2対向面51bと、を有している。スペーサ51の長手方向は、バルブケーシング12の長手方向に一致している。
【0032】
スペーサ51は、取付面51cを有している。取付面51cは、スペーサ51の長手方向の一方に位置する端面である。また、スペーサ51は、供給連通流路52、第1出力連通流路53、第2出力連通流路54、第1排出連通流路55、及び第2排出連通流路56を有している。
【0033】
供給連通流路52は、供給流路32と供給ポートPとを連通している。第1出力連通流路53は、第1出力流路33と第1出力ポートAとを連通している。したがって、第1出力流路33は、第1出力連通流路53を介して第1出力ポートAに連通している。第2出力連通流路54は、第2出力流路34と第2出力ポートBとを連通している。したがって、第2出力流路34は、第2出力連通流路54を介して第2出力ポートBに連通している。第1排出連通流路55は、第1排出流路35と第1排出ポートR1とを連通している。第2排出連通流路56は、第2排出流路36と第2排出ポートR2とを連通している。
【0034】
スペーサ51は、第1分岐流路61と、第2分岐流路62と、接続ポート63と、有している。本実施形態において、スペーサ51は、接続ポート63を1つ有している。接続ポート63は、スペーサ51の取付面51cに開口している。接続ポート63の大部分は、雌ねじ孔63hになっている。雌ねじ孔63hは、スペーサ51の取付面51cに開口している。
【0035】
第1分岐流路61の第1端は、第1出力ポートAに連通している。第1分岐流路61の第2端は、接続ポート63に連通している。第1分岐流路61は、第1弁収容室61aを有している。第1弁収容室61a内には、第1逆止弁65が収容されている。したがって、第1分岐流路61には、第1逆止弁65が設けられている。第1逆止弁65は、第1出力ポートAから第1分岐流路61への流体の流れを許容し、且つ、第1分岐流路61から第1出力ポートAへの流体の流れを遮断する。
【0036】
第2分岐流路62の第1端は、第2出力ポートBに連通している。第1分岐流路61の第2端は、接続ポート63に連通している。したがって、接続ポート63は、第1分岐流路61における第1出力ポートAとは反対側の端部、及び第2分岐流路62における第2出力ポートBとは反対側の端部に連通している。第2分岐流路62は、第2弁収容室62aを有している。第2弁収容室62a内には、第2逆止弁66が収容されている。したがって、第2分岐流路62には、第2逆止弁66が設けられている。第2逆止弁66は、第2出力ポートBから第2分岐流路62への流体の流れを許容し、且つ、第2分岐流路62から第2出力ポートBへの流体の流れを遮断する。
【0037】
<残圧排出弁70>
図4に示すように、残圧排出弁70は、接続ポート63に接続されている。したがって、接続ポート63には、残圧排出弁70が接続される。残圧排出弁70は、第1出力ポートA及び第2出力ポートBに残っている流体を外部へ排出する。
【0038】
図5及び
図6に示すように、残圧排出弁70は、流路形成ハウジング71と、弁ハウジング72と、を有している。流路形成ハウジング71は、ハウジング本体73と、接続部74と、排出部75と、を有している。ハウジング本体73は、四角ブロック状である。接続部74は、ハウジング本体73から筒状に延びている。接続部74におけるハウジング本体73とは反対側の端部の外周面は、雄ねじ74aになっている。排出部75は、ハウジング本体73から筒状に延びている。排出部75におけるハウジング本体73からの延在方向は、接続部74におけるハウジング本体73からの延在方向とは反対方向である。残圧排出弁70は、接続部74の雄ねじ74aが接続ポート63の雌ねじ孔63hに螺合することにより、接続ポート63に接続されている。
【0039】
ハウジング本体73は、取付凹部76を有している。取付凹部76は、円孔状である。取付凹部76の軸方向は、接続部74におけるハウジング本体73からの延在方向、及び排出部75におけるハウジング本体73からの延在方向に対して直交する方向である。
【0040】
流路形成ハウジング71は、導入流路77と、排出口78と、を有している。したがって、残圧排出弁70は、排出口78を有している。接続部74の内側は、導入流路77になっている。導入流路77の第1端は、接続部74におけるハウジング本体73とは反対側の端面に開口している。導入流路77の第2端は、取付凹部76の内周面に開口している。
【0041】
排出部75の内側は、排出口78になっている。排出口78の第1端は、取付凹部76の内周面に開口している。排出口78における取付凹部76の内周面に対する開口位置は、導入流路77における取付凹部76の内周面に対する開口位置に対して、取付凹部76の周方向で180度離れた位置である。なお、排出口78には、筒状の継手79が装着されている。継手79の内側は、排出口78として機能している。
【0042】
弁ハウジング72は、筒状部80と、操作部81と、を有している。筒状部80は、端壁80aと、周壁80bと、を有している。端壁80aは、円板状である。周壁80bは、端壁80aの外周部から円筒状に延びている。操作部81は、平板状である。操作部81は、端壁80aにおける周壁80bとは反対側の端面から起立している。操作部81の厚み方向は、周壁80bの軸方向に対して直交する方向である。
【0043】
弁ハウジング72は、筒状部80の周壁80bが取付凹部76の内側に挿入された状態で、流路形成ハウジング71に取り付けられている。弁ハウジング72は、取付凹部76に対して、周壁80bの軸線を回転中心に回転可能になっている。弁ハウジング72の回転は、例えば、作業者が操作部81を操作することにより行われる。周壁80bの外周面と取付凹部76の内周面との間は、環状のシール部材82によってシールされている。シール部材82は、例えば、Oリングである。
【0044】
周壁80bは、一対の連通路83を有している。一対の連通路83は、周壁80bの周方向で互いに180度離れた位置に配置されている。さらに、周壁80bは、抜き孔84を有している。抜き孔84は、両連通路83に対して、周壁80bの周方向で90度離れた位置に配置されている。
【0045】
周壁80bは、装着溝85を有している。装着溝85は、周壁80bの外周面に形成されている。装着溝85は、円環状である。装着溝85は、周壁80bの周方向で抜き孔84に対して180度離れた位置に配置されている。装着溝85の軸線は、抜き孔84の軸線に一致している。装着溝85には、円環状のシール部材86が装着されている。シール部材86は、例えば、Oリングである。
【0046】
図5に示すように、残圧排出弁70は、抜き孔84が排出口78に連通する第1切換状態に切換可能である。このとき、シール部材86は、取付凹部76の内周面における導入流路77の周囲に密着している。これにより、導入流路77からの流体が取付凹部76の内側に侵入して弁ハウジング72の外部へ洩れ出すことがシール部材86によって抑制されている。
【0047】
残圧排出弁70は、第1切換状態に切り換えられている場合、第1出力ポートAから第1分岐流路61へ流れる流体、及び第2出力ポートBから第2分岐流路62へ流れる流体における外部への排出を遮断する。なお、残圧排出弁70が第1切換状態に切り換えられている場合、周壁80bの内側に残っていた流体が、抜き孔84及び排出口78を介して外部へ排出される。
【0048】
図6に示すように、残圧排出弁70は、一対の連通路83の一方が導入流路77に連通するとともに、一対の連通路83の他方が排出口78に連通する第2切換状態に切換可能である。そして、残圧排出弁70が第2切換状態に切り換えられている場合、接続ポート63が、導入流路77、一対の連通路83の一方、周壁80bの内側、及び一対の連通路83の他方を介して排出口78に連通する。よって、残圧排出弁70が第2切換状態に切り換えられている場合、第1出力ポートAから第1分岐流路61へ流れる流体、及び第2出力ポートBから第2分岐流路62へ流れる流体が、排出口78から外部へ排出される。したがって、排出口78は、外部へ流体を排出する。残圧排出弁70は、弁ハウジング72が第2切換状態に切り換えられている場合、第1出力ポートAから第1分岐流路61へ流れる流体、及び第2出力ポートBから第2分岐流路62へ流れる流体における外部への排出を許容する。
【0049】
残圧排出弁70における第1切換状態と第2切換状態との切換は、作業者が操作部81を操作して、弁ハウジング72を回転させることにより行われる。したがって、本実施形態の残圧排出弁70は、手動で操作される手動式である。
【0050】
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1、
図2及び
図3に示すように、スプール弁17は、第1位置と、第2位置と、中間位置と、に切換可能である。例えば、第1パイロット弁V1への電圧の印加が行われているとともに、第2パイロット弁V2への電圧の印加が停止されているとする。すると、第1パイロット弁V1によって、流体供給源からの圧縮された流体が第1パイロット圧作用室21にパイロット流体として供給される。一方で、第2パイロット弁V2によって、第2パイロット圧作用室23内のパイロット流体が大気へ排出される。これにより、
図2に示すように、第1パイロット圧作用室21内のパイロット圧が復帰ばね26のばね力に打ち勝って、スプール弁17が第2ピストン収容凹部22に向けて移動する。その結果、スプール弁17は、供給ポートPと第1出力ポートAとを連通し、且つ第2出力ポートBと第2排出ポートR2とを連通する第1位置に切り換わる。また、スプール弁17が第1位置に切り換わると、供給ポートPと第2出力ポートBとの間が遮断されるとともに、第1出力ポートAと第1排出ポートR1との間が遮断される。なお、このとき、残圧排出弁70は、第1切換状態になっている。
【0051】
スプール弁17が第1位置に切り換わると、流体供給源からの流体が、供給流路32、供給連通流路52、供給ポートP、第1出力ポートA、第1出力連通流路53、第1出力流路33、及び第1配管37を介して第1圧力作用室44に供給される。また、第2圧力作用室45内の流体が、第2配管38、第2出力流路34、第2出力連通流路54、第2出力ポートB、第2排出ポートR2、第2排出連通流路56、及び第2排出流路36を介して外部へ排出される。これにより、シリンダチューブ41内のピストン42が、シリンダチューブ41の軸方向の一方のストローク端まで移動する。その結果、アクチュエータ40のピストンロッド43がシリンダチューブ41から突出した状態となる。
【0052】
また、第1出力ポートAを流れる流体の一部が第1逆止弁65を通過して第1分岐流路61へ流れる。このとき、残圧排出弁70は、第1切換状態になっている。したがって、第1出力ポートAから第1分岐流路61へ流れる流体における外部への排出が遮断されている。そして、第1分岐流路61へ流れた流体は、接続ポート63を介して第2分岐流路62へ流れ込む。このとき、第2逆止弁66によって、第2分岐流路62から第2出力ポートBへの流体の流れが遮断されている。したがって、第1出力ポートAを流れる流体が、第1分岐流路61、接続ポート63、及び第2分岐流路62を介して第2出力ポートBへ逆流してしまうことが回避されている。
【0053】
また、例えば、第1パイロット弁V1への電圧の印加が停止されているとともに、第2パイロット弁V2への電圧の印加が行われているとする。すると、第2パイロット弁V2によって、流体供給源からの圧縮された流体が第2パイロット圧作用室23にパイロット流体として供給される。一方で、第1パイロット弁V1によって、第1パイロット圧作用室21内のパイロット流体が大気へ排出される。これにより、
図3に示すように、第2パイロット圧作用室23内のパイロット圧が復帰ばね26のばね力に打ち勝って、スプール弁17が第1ピストン収容凹部20に向けて移動する。その結果、スプール弁17は、供給ポートPと第2出力ポートBとを連通し、且つ第1出力ポートAと第1排出ポートR1とを連通する第2位置に切り換わる。また、スプール弁17が第2位置に切り換わると、供給ポートPと第1出力ポートAとの間が遮断されるとともに、第2出力ポートBと第2排出ポートR2との間が遮断される。なお、このとき、残圧排出弁70は、第1切換状態になっている。
【0054】
スプール弁17が第2位置に切り換わると、流体供給源からの流体が、供給流路32、供給連通流路52、供給ポートP、第2出力ポートB、第2出力連通流路54、第2出力流路34、及び第2配管38を介して第2圧力作用室45に供給される。また、第1圧力作用室44内の流体が、第1配管37、第1出力流路33、第1出力連通流路53、第1出力ポートA、第1排出ポートR1、第1排出連通流路55、及び第1排出流路35を介して外部へ排出される。これにより、シリンダチューブ41内のピストン42が、シリンダチューブ41の軸方向の他方のストローク端まで移動する。その結果、アクチュエータ40のピストンロッド43がシリンダチューブ41から没入した状態となる。
【0055】
また、第2出力ポートBを流れる流体の一部が第2逆止弁66を通過して第2分岐流路62へ流れる。このとき、残圧排出弁70は、第1切換状態になっている。したがって、第2出力ポートBから第2分岐流路62へ流れる流体における外部への排出が遮断されている。そして、第2分岐流路62へ流れた流体は、接続ポート63を介して第1分岐流路61へ流れ込む。このとき、第1逆止弁65によって、第1分岐流路61から第1出力ポートAへの流体の流れが遮断されている。したがって、第2出力ポートBを流れる流体が、第2分岐流路62、接続ポート63、及び第1分岐流路61を介して第1出力ポートAへ逆流してしまうことが回避されている。
【0056】
このように、電磁弁マニホールド10は、第1出力ポートAから第1出力流路33を介して出力される流体、及び第2出力ポートBから第2出力流路34を介して出力される流体によってアクチュエータ40の駆動を制御する。
【0057】
第1パイロット弁V1及び第2パイロット弁V2への電圧の印加が共に停止されると、第1パイロット圧作用室21内のパイロット流体が大気へ排出されるとともに、第2パイロット圧作用室23内のパイロット流体が大気へ排出される。すると、
図1に示すように、スプール弁17が復帰ばね26の復帰力によって中立位置に復帰する。これにより、供給ポートP、第1出力ポートA、第2出力ポートB、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2それぞれの連通が遮断される。そして、第1圧力作用室44から第1出力ポートAまでの間、及び第2圧力作用室45から第2出力ポートBまでの間に流体が充填される。その結果、アクチュエータ40のピストンロッド43の往復動がストロークの中間位置で非常停止する。したがって、復帰ばね26は、スプール弁17を中立位置に保持するようにばね力が設定されている。このように、本実施形態の電磁弁11は、第1位置、第2位置、及び中間位置の3位置に切換可能な3位置切換弁である。
【0058】
ところで、例えば、アクチュエータ40のメンテナンス等を行う場合には、アクチュエータ40に残っている流体を外部へ排出する必要がある。
図4に示すように、作業者は、スプール弁17が中立位置に位置している状態において、操作部81を操作して、弁ハウジング72を回転させることにより、残圧排出弁70を第1切換状態から第2切換状態に切り換える。これにより、
図6に示すように、接続ポート63が、導入流路77、一対の連通路83の一方、周壁80bの内側、及び一対の連通路83の他方を介して排出口78に連通する。これにより、第1出力ポートAから第1分岐流路61へ流れる流体、及び第2出力ポートBから第2分岐流路62へ流れる流体における排出口78を介した外部への排出が許容される。したがって、残圧排出弁70が第2切換状態であることにより、第1出力ポートA及び第2出力ポートBに残っている流体が外部へ排出される。これにより、アクチュエータ40に残っている流体が残圧排出弁70から外部へ排出される。
【0059】
本実施形態の電磁弁マニホールド10においては、スペーサ51は、残圧排出弁70が接続される接続ポート63を有している。よって、接続ポート63に接続される残圧排出弁70の種類が適宜変更可能である。したがって、本実施形態のように、手動で操作される残圧排出弁70を接続ポート63に接続したり、例えば、電気式や流体式のような遠隔で操作される残圧排出弁70を接続ポート63に接続したりすることが可能となっている。
【0060】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)残圧排出弁70が第1切換状態であると、第1出力ポートAから第1分岐流路61へ流れる流体、及び第2出力ポートBから第2分岐流路62へ流れる流体における外部への排出が遮断される。したがって、残圧排出弁70が第1切換状態であることにより、第1出力ポートAから第1出力流路33を介して出力される流体、及び第2出力ポートBから第2出力流路34を介して出力される流体によってアクチュエータ40の駆動が制御される。一方、残圧排出弁70が第2切換状態であると、第1出力ポートAから第1分岐流路61へ流れる流体、及び第2出力ポートBから第2分岐流路62へ流れる流体における外部への排出が許容される。したがって、残圧排出弁70が第2切換状態であることにより、第1出力ポートA及び第2出力ポートBに残っている流体が外部へ排出される。これにより、アクチュエータ40に残っている流体が残圧排出弁70から外部へ排出される。このように、電磁弁マニホールド10において、電磁弁11及びマニホールドベース31の構成を既存の構成としつつも、アクチュエータ40に残っている流体を外部へ排出することができる。
【0061】
また、スペーサ51は、残圧排出弁70が接続される接続ポート63を有している。よって、接続ポート63に接続される残圧排出弁70の種類を適宜変更することができる。したがって、例えば、手動で操作される残圧排出弁70を接続ポート63に接続したり、遠隔で操作される残圧排出弁70を接続ポート63に接続したりすることができる。その結果、電磁弁マニホールド10の使用環境下に対応した残圧排出弁70を適宜選択することができるため、電磁弁マニホールド10全体を交換する必要が無い。したがって、電磁弁マニホールド10全体の交換を行うこと無く、仕様変更を容易に行うことができる。以上により、電磁弁マニホールド10において、電磁弁11及びマニホールドベース31の構成を既存の構成としつつも、アクチュエータ40に残っている流体を外部へ排出することができ、且つ、仕様変更を容易に行うことができる。
【0062】
(2)残圧排出弁70が第1切換状態である場合において、例えば、第1出力ポートAから第1出力流路33を介して流体がアクチュエータ40に出力されているときに、第1出力ポートAを流れる流体の一部が第1逆止弁65を通過して第1分岐流路61へ流れる。第1分岐流路61へ流れた流体は、接続ポート63を介して第2分岐流路62へ流れ込む。このとき、第2逆止弁66によって、第2分岐流路62から第2出力ポートBへの流体の流れが遮断されている。したがって、第1出力ポートAを流れる流体が、第1分岐流路61、接続ポート63、及び第2分岐流路62を介して第2出力ポートBへ逆流してしまうことが回避されている。
【0063】
残圧排出弁70が第1切換状態である場合において、例えば、第2出力ポートBから第2出力流路34を介して流体がアクチュエータ40に出力されているときに、第2出力ポートBを流れる流体の一部が第2逆止弁66を通過して第2分岐流路62へ流れる。第2分岐流路62へ流れた流体は、接続ポート63を介して第1分岐流路61へ流れ込む。このとき、第1逆止弁65によって、第1分岐流路61から第1出力ポートAへの流体の流れが遮断されている。したがって、第2出力ポートBを流れる流体が、第2分岐流路62、接続ポート63、及び第1分岐流路61を介して第1出力ポートAへ逆流してしまうことが回避されている。
【0064】
残圧排出弁70が第2切換状態である場合、第1出力ポートAから第1逆止弁65を通過して第1分岐流路61へ流れる流体、及び第2出力ポートBから第2逆止弁66を通過して第2分岐流路62へ流れる流体における外部への排出が許容される。したがって、第1分岐流路61における第1出力ポートAとは反対側の端部、及び第2分岐流路62における第2出力ポートBとは反対側の端部に残圧排出弁70をそれぞれ設けることなく、アクチュエータ40に残っている流体を外部へ排出することができる。
【0065】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
・
図7に示すように、排出口78には、封止部材91が接続可能であってもよい。封止部材91は、継手79に装着可能になっている。封止部材91は、例えば、プラグである。これによれば、例えば、アクチュエータ40に残っている流体を残圧排出弁70から外部へ排出する必要が無い場合に、排出口78に封止部材91を接続しておくことで、アクチュエータ40が誤動作してしまうことを回避することができる。
【0067】
・
図8に示すように、排出口78には、消音部材92が接続可能であってもよい。消音部材92は、継手79に装着可能になっている。消音部材92は、例えば、マフラーである。これによれば、アクチュエータ40に残っている流体を残圧排出弁70から外部へ排出する際に、排出口78から排出される流体の音を消音部材92によって小さくすることができる。したがって、電磁弁マニホールド10の静粛性を向上させることができる。
【0068】
・
図9及び
図10に示すように、スペーサ51は、第3分岐流路93と、第4分岐流路94と、を有していてもよい。なお、
図10では、図示の都合上、第1逆止弁65及び第2逆止弁66の図示を省略している。
図9に示すように、第3分岐流路93は、第1分岐流路61における第1逆止弁65と第1出力ポートAとの間の部分から分岐するとともに外部に連通している。第3分岐流路93の第1端は、第1分岐流路61における第1逆止弁65のシール箇所よりも第1出力ポートA寄りの部分に連通している。第3分岐流路93の第2端は、大気に連通している。第4分岐流路94は、第2分岐流路62における第2逆止弁66と第2出力ポートBとの間の部分から分岐するとともに外部に連通している。第4分岐流路94の第1端は、第2分岐流路62における第2逆止弁66のシール箇所よりも第2出力ポートB寄りの部分に連通している。第4分岐流路94の第2端は、大気に連通している。
【0069】
図10に示すように、第3分岐流路93には、第3逆止弁95が設けられている。第3逆止弁95は、第1分岐流路61から第3分岐流路93を介した外部への流体の流れを遮断し、且つ、外部から第3分岐流路93を介した第1分岐流路61への流体の流れを許容する。第4分岐流路94には、第4逆止弁96が設けられている。第4逆止弁96は、第2分岐流路62から第4分岐流路94を介した外部への流体の流れを遮断し、且つ、外部から第4分岐流路94を介した第2分岐流路62への流体の流れを許容する。
【0070】
図9に示すように、例えば、スプール弁17が中立位置に位置している状態において、残圧排出弁70を第1切換状態から第2切換状態に切り換えることにより、アクチュエータ40に残っている流体が残圧排出弁70から外部へ排出されているとする。この状態で、例えば、アクチュエータ40のピストンロッド43がシリンダチューブ41から突出した状態となるように、作業者がピストンロッド43を手動で操作しようとする。この場合、第3逆止弁95が外部から第3分岐流路93を介した第1分岐流路61への流体の流れを許容し、第1出力ポートA、第1出力連通流路53、第1出力流路33、及び第1配管37を介して第1圧力作用室44に流体が供給される。一方で、第2圧力作用室45内の流体が、第2配管38、第2出力流路34、第2出力連通流路54、第2出力ポートB、第2分岐流路62、及び排出口78を介して外部へ排出される。これにより、ピストンロッド43がシリンダチューブ41から突出した状態となるように、作業者がピストンロッド43を手動で操作することが可能となる。
【0071】
また、例えば、アクチュエータ40のピストンロッド43がシリンダチューブ41から没入した状態となるように、作業者がピストンロッド43を手動で操作しようとする。この場合、第4逆止弁96が外部から第4分岐流路94を介した第2分岐流路62への流体の流れを許容し、第2出力ポートB、第2出力連通流路54、第2出力流路34、及び第2配管38を介して第2圧力作用室45に流体が供給される。一方で、第1圧力作用室44内の流体が、第1配管37、第1出力流路33、第1出力連通流路53、第1出力ポートA、第1分岐流路61、及び排出口78を介して外部へ排出される。これにより、ピストンロッド43がシリンダチューブ41から没入した状態となるように、作業者がピストンロッド43を手動で操作することが可能となる。
【0072】
このように、スプール弁17が中立位置に位置している状態において、アクチュエータ40に残っている流体が残圧排出弁70から外部へ排出された後に、アクチュエータ40のピストンロッド43を所定の位置に手動で操作することが可能となる。
【0073】
・実施形態において、例えば、接続ポート63にチューブを接続するとともに、チューブにおける接続ポート63とは反対側の端部に残圧排出弁70を接続してもよい。したがって、接続ポート63には、チューブを介して残圧排出弁70が接続されていてもよい。これによれば、例えば、作業者が電磁弁マニホールド10に近寄ることが困難な位置に電磁弁マニホールド10が設置されていたとしても、電磁弁マニホールド10が設置されている位置から離れた位置で残圧排出弁70を手動で操作することが可能となる。よって、残圧排出弁70が手動で操作される手動式であっても、電磁弁マニホールド10の使用環境下に対応することが可能となる。
【0074】
・実施形態において、残圧排出弁70は、作業者が操作部81を操作して、弁ハウジング72を回転させることにより、第1切換状態と第2切換状態とに切り換える構成であったが、これに限らない。残圧排出弁70は、例えば、作業者が操作部を押圧することにより、第1切換状態と第2切換状態とに切り換える押しボタン式であってもよい。要は、残圧排出弁70が手動式であっても、その具体的な構成は、特に限定されるものではない。
【0075】
・実施形態において、接続ポート63に接続される残圧排出弁70は、電気式や流体式のような遠隔で操作される残圧排出弁70であってもよい。
・実施形態において、電磁弁マニホールド10は、第1分岐流路61における第1出力ポートAとは反対側の端部、及び第2分岐流路62における第2出力ポートBとは反対側の端部に残圧排出弁70がそれぞれ設けられている構成であってもよい。この場合、スペーサ51は、第1分岐流路61における第1出力ポートAとは反対側の端部に連通する接続ポートと、第2分岐流路62における第2出力ポートBとは反対側の端部に連通する接続ポートと、をそれぞれ有している。そして、各接続ポートに残圧排出弁70がそれぞれ接続される。なお、このような構成の場合、第1分岐流路61に第1逆止弁65が設けられていなくてもよく、第2分岐流路62に第2逆止弁66が設けられていなくてもよい。
【0076】
・実施形態において、電磁弁11は、第1位置及び第2位置の2位置に切換可能な2位置切換弁であってもよい。
・実施形態において、電磁弁11は、例えば、第2排出ポートR2を省略した4ポート電磁弁であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
10…電磁弁マニホールド、11…電磁弁、31…マニホールドベース、33…第1出力流路、34…第2出力流路、40…流体圧機器としてのアクチュエータ、51…スペーサ、61…第1分岐流路、62…第2分岐流路、63…接続ポート、65…第1逆止弁、66…第2逆止弁、70…残圧排出弁、78…排出口、91…封止部材、92…消音部材、93…第3分岐流路、94…第4分岐流路、95…第3逆止弁、96…第4逆止弁、A…第1出力ポート、B…第2出力ポート。