(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174502
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法
(51)【国際特許分類】
A43B 17/00 20060101AFI20231130BHJP
A43B 7/24 20060101ALI20231130BHJP
A43B 7/28 20060101ALI20231130BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231130BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20231130BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20231130BHJP
【FI】
A43B17/00 Z
A43B7/24
A43B7/28
G06T7/00 350C
G06V10/82
G06Q30/0601 320
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028132
(22)【出願日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0064552
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523069382
【氏名又は名称】ウズテック カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ミン-ス
【テーマコード(参考)】
4F050
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
4F050EA07
4F050HA53
4F050HA56
4F050HA58
4F050HA73
4F050KA01
5L049BB22
5L096EA05
5L096FA06
5L096FA59
5L096FA62
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA32
5L096HA11
5L096JA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、人工知能アルゴリズムを用いて顧客に最適化された足部タイプ及びインソールを選定し、店舗訪問ではなくオンラインという簡便な方式を介して最適化されたカスタムインソールを提供する。
【解決手段】本発明は、人工知能アルゴリズムを用いて人間の多様な足部画像からそれに応じた足部タイプを分類する学習モデルを定立し、前記学習したモデルを基に顧客の後足部画像を読み取り、足部タイプに対応するカスタムインソール情報を顧客に提供し、顧客が最適化されたインソールを注文することができることを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)人工知能アルゴリズムを用いた学習モデルを構築するために、多数の後足部元画像を取得する段階;
b)取得された後足部元画像から背景および/またはノイズが除去された後足部画像を検出する段階;
c)検出された後足部画像データ、検出された後足部画像から内側くるぶしの傾斜角度、外側くるぶしの傾斜角度、及び下腿二分線の傾斜角度を算出し、学習モデルの入力データ(入力層)として生成する段階;
d)前記入力データ(入力層)を人工知能アルゴリズムを用いて足部タイプの出力データ(出力層)として学習する足部タイプ学習段階;
e)前記足部タイプ学習段階で構築された人工知能アルゴリズムを基に、顧客端末から送信された足部画像を分析して顧客の足部タイプを分類する足部タイプ分類段階;
f)分類された足部タイプに最適化されたインソール情報を顧客端末に送信する段階;および
g)前記顧客端末から注文情報を供給者端末に出力する段階を含むことを特徴とする、
人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項2】
前記c)段階で、前記下腿二分線で左右に区画されたかかとの左右面積データを学習モデルの入力データとしてさらに含むことを特徴とする、
請求項1に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項3】
前記人工知能アルゴリズムは、深層ニューラルネットワークと畳み込みニューラルネットワークを含んで構成され、
前記内側くるぶしの傾斜角度、外側くるぶしの傾斜角度、下腿二分線の傾斜角度は、深層ニューラルネットワークを用いて学習され、
前記後足部画像は畳み込みニューラルネットワークを用いて学習されることを特徴とする、
請求項1に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項4】
前記内側くるぶしの角度は、後足部画像から算出された内側くるぶし(medial malleolus)と足部底部位の内側面とを連結して生成される直線の角度であり、
前記外側くるぶしの角度は、後足部画像から算出された外側くるぶし(lateral malleolus)と足部底部位の外側面とを連結して生成される直線の角度であることを特徴とする、
請求項1に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項5】
前記下腿二分線の傾斜角度は、下退(ふくらはぎ)足部画像において、下退(ふくらはぎ)に該当する部分を一定高さに多分割して生成される多数の水平線(横線)と下退(ふくらはぎ)の輪郭線が出会う両座標から一連の中心点を設定し、前記中心点の対象に線形回帰法と最小二乗近似法を用いて検出される垂直線の角度であることを特徴とする、
請求項1に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項6】
前記足部タイプは、下記6つの種類のタイプを含むものの中から選定されることを特徴とする、
請求項1に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
1)イ-タイプ:後足部が補償されない内反(uncompensated rearfoot varus)であり、前足部が最も高い3レベル外反(forefoot valgus)であり、アーチの高さが3レベルであり、全体的に3レベル回外(supinated)タイプ;
2)ロ-タイプ:後足部が外反(rearfoot valgus)であり、前足部がフレキシブルな外反(forefoot valgus)であり、アーチの高さが1レベルであり、全体的に1レベルの回内(pronated)タイプ;
3)ハ-タイプ:後足部が補償されない内反であり、前足部が中立(neutral)であり、アーチの高さが中間の2レベルであり、全体的に中立(neutral、normal)タイプ;
4)ニ-タイプ:後足部が補償された内反であり、前足部が中立であり、アーチの高さが1レベルであり、全体として2レベルの回内タイプ;
5)ホ-タイプ:後足部が補償されない内反であり、前足部が2レベル内反であり、アーチの高さが2レベルであり、全体的に2レベルの回外タイプ;
6)ヘ-タイプ:後足部が補償された内反(compensated rearfoot varus)であり、前足部が内反であり、アーチの高さが0レベルであり、全体的に3レベルの回内タイプ。
【請求項7】
前記イ-タイプに適用されるインソールの後足部は、内側(medial)に比べて外側(lateral)が5~15度の傾斜角度で高く形成され、
前足部は、第1中足骨頭収容部位に比べて、第2、第3、第4、及び第5の中足骨頭収容部位が高く形成され、
中足部は内側(medial)に比べて外側(lateral)が高く形成され、
踵骨と立方骨が結合される踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch)部位は、3レベルの高い支持部が形成されていることを特徴とする、
請求項6に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項8】
前記ロ-タイプに適用されるインソールの後足部は、足が内側に崩れること(Eversion)を防止するため、外側に比べて内側が緩やかな傾斜でより高く形成され、
前足部は外側に比べて内側がより高く形成され、
足の親指部位は第1中足骨頭から延長(Mortons Extension)されてより高く形成され、
外側踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch)部位は、1レベルの低い支持部が形成されていることを特徴とする、
請求項6に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項9】
前記ハ-タイプに適用されるインソールの後足部は、外側に比べて内側の傾斜がないか、または緩やかな傾斜で少し高く形成され、
中足部は横アーチを制御するための支持部が形成され、
前足部は、第2、第3、及び第4の中足骨頭収容部が左右周辺部に比べてより高く形成されており、
外側踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch)部位は、1レベルの低い支持部が形成されていることを特徴とする、
請求項6に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項10】
前記ニ-タイプに適用されるインソールの後足部は、足が内側に崩れること(Eversion)を防止するため、外側に比べて内側が緩やかな傾斜でより高く形成され、
前足部は外側に比べて内側がより高く形成され、
足の親指部位は第1中足骨頭から延長(Mortons Extension)され、より高く形成されていることを特徴とする、
請求項6に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項11】
前記ホ-タイプに適用されるインソールの後足部は、内側(medial)に比べて外側(lateral)が2~10度の傾斜角で高く形成され、
前足部は外側に比べて内側が少し高く形成され、
踵骨と立方骨が結合される踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch)部位は、2レベルの支持部が形成されていることを特徴とする、
請求項6に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項12】
前記ヘ-タイプに適用されるインソールの後足部は、足が内側に崩れること(Eversion)を防止するため、外側に比べて内側が傾斜でより高く形成され、
前足部は外側に比べて内側がより高く形成され、
足の親指部位は第1の中足骨頭から延長(Mortons Extension)されより高く形成され、
外側踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch)部位は、1レベルの低い支持部が形成されていることを特徴とする、
請求項6に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項13】
前記インソールには、その下部面または上部面に圧力により発色する減圧フィルムが付着されることにより、顧客のインソール使用時にインソールに加わる圧力分布を確認できることを特徴とする、
請求項1に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【請求項14】
前記g)段階の以後、
h)発色した減圧フィルム画像情報を供給者サーバーに送信して足部タイプの適合性を読み出し、不適合判定時に足部タイプを再判定する段階;および
i)再決定された足部タイプのデータを基に人工知能アルゴリズムを用いて足部タイプを再学習することをさらに含むことを特徴とする、
請求項1に記載の人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工知能(AI)アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法に関するもので、より詳しくは人工知能アルゴリズムを用いて人間の様々な足部イメージからそれに応じた足部タイプを分類する学習モデルを確立し、前記学習されたモデルを基に顧客の後足部イメージを読み取り、足部タイプに対応するカスタムインソール情報を顧客に提供し、顧客が最適化されたインソールを注文することができる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
足は両側を合わせると52個の大小の骨と、数多くの関節、腱、靭帯、神経、血管が集まって私たちの体を支えバランスを維持する重要な役割をする。足の異常と変形は膝や骨盤、腰、首に至るまで骨格系全体に影響を及ぼすことになる。
【0003】
インソール(insole:中敷き)は、靴の内部に挿入され、靴の着用感を向上させ、歩行や運動時に発生する衝撃を緩和して着用者の足を保護するとともに疲労感を和らげる手段である。
【0004】
インソールは第2の靴と呼ばれるほど靴に劣らず重要なのに、靴を購入する際に最初から入っているインソールは、着用者の足の状態を完全に反映してくれない場合があり、足の異常や変形が発生した場合にはさらにそうである。
【0005】
最近は、健康を維持するために足を快適にする機能性インソールに対する需要がますます増加している。機能性インソールは大量生産される既製品なので、カスタムインソールに比べて価格、購入時間面で有利な点がある。しかし、機能性インソールがそれなりにユーザーの足の健康のために製作されたとはいえ、カスタマイズされたインソールに比べてユーザーの足の状態をすべて満たすことは難しい限界がある。
【0006】
カスタムインソールは、ユーザーの足の状態を反映して製作されるので、足の健康にさらに有利である。特に、足の異常や変形を経験したり、足底腱膜炎などの足の病気を経験した人は、カスタムインソールを好む。しかし、カスタムインソールは直接店舗に訪問しなければならず、いちいち手作業で製作するので、製作時間、費用面で負担となっている。
【0007】
韓国登録特許第10-1899064号公報は、スマート機器を用いて足の寸法測定情報を通じてカスタム組立インソールを製作するシステムと方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1899064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、人工知能アルゴリズムを用いて顧客に最適化された足部タイプ及びインソールを選定し、店舗訪問ではなくオンラインという簡便な方式を介して最適化されたカスタムインソールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明による人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法は、
a)人工知能アルゴリズムを用いた学習モデルを構築するために、多数の後足部元画像を取得する段階;
b)前記取得された後足部元画像から背景および/またはノイズが除去された後足部画像を検出する段階;
c)前記検出された後足部画像データ、前記検出された後足部画像から内側くるぶしの傾斜角度、外側くるぶしの傾斜角度、及び下腿二分線の傾斜角度を算出し、学習モデルの入力データ(入力層)として生成する段階;
d)前記入力データ(入力層)を人工知能アルゴリズムを用いて足部タイプの出力データ(出力層)として学習する足部タイプ学習段階;
e)前記足部タイプ学習段階で構築された人工知能アルゴリズムを基に、顧客端末から送信された足部画像を分析して顧客の足部タイプを分類する足部タイプ分類段階;
f)前記分類された足部タイプに最適化されたインソール情報を顧客端末に送信する段階;および
g)前記顧客端末から注文情報を供給者端末に出力する段階を含むことを特徴とする。
【0011】
一態様において、前記人工知能アルゴリズムは、深層ニューラルネットワークおよび畳み込みニューラルネットワークを含み、内側くるぶしの傾斜角度、外側くるぶしの傾斜角度、下腿二分線の傾斜角度、および前記下腿二分線で左右に区画されたかかとの左右面積データは深層ニューラルネットワークを利用して学習され、前記後足部画像は畳み込みニューラルネットワークを利用して学習されることであり得る。
【0012】
一態様において、前記内側くるぶしの傾斜角度は、後足部画像から算出された内側くるぶし(medial malleolus)と足部底部位の内側面とを連結して生成される直線の角度であり、前記外側くるぶしの傾斜角度は、後足部画像から算出された外側くるぶし(lateral malleolus)と足部底部位の外側面とを連結して生成される直線の角度であり得る。
【0013】
一態様において、前記下腿二分線は、内側くるぶしと外側くるぶしとの間の距離を二分するくるぶし中心点、前記くるぶし中心点に基づいて所定の半径を設定し、前記半径とふくらはぎ(leg) 郭線が交差する両側の地点を二分するふくらはぎ中心点を設定し、前記くるぶし中心点とふくらはぎ中心点を互いに連結して形成されるものであり得る。
【0014】
一態様において、前記足部タイプは、下記の6つを含むタイプの中から選択されるものであり得る。
【0015】
1)イ-タイプ:後足部が補償されない内反(uncompensated rearfoot varus)であり、前足部が最も高い3レベル外反(forefoot valgus)であり、アーチの高さが3レベルであり、全体的に3レベル回外 (supinated)タイプ;
2)ロ-タイプ:後足部が外反(rearfoot valgus)であり、前足部がフレキシブルな外反(forefoot valgus)であり、アーチの高さが1レベルであり、全体的に1レベルの回内(pronated)タイプ;
3)ハ-タイプ:後足部が補償されない内反であり、前足部が中立(neutral)であり、アーチの高さが中間の2レベルであり、全体的に中立(neutral、normal)タイプ;
4)ニ-タイプ:後足部が補償された内反であり、前足部が中立であり、アーチの高さが1レベルであり、全体として2レベルの回内タイプ;
5)ホ-タイプ:後足部が補償されない内反であり、前足部が2レベル内反であり、アーチの高さが2レベルであり、全体的に2レベルの回外タイプ;
6)ヘ-タイプ:後足部が補償された内反(compensated rearfoot varus)であり、前足部が内反であり、アーチの高さが0レベルであり、全体的に3レベルの回内タイプ。
【0016】
一態様において、イ-タイプに適用されるインソールは、後足部は内側(medial)に比べて外側(lateral)が5~15度の傾斜角度で高く形成され、前足部は第1中足骨頭収容部位に比べて第2、第3、第4、及び第5の中足骨頭収容部位が高く形成され、中足部は内側(medial)に比べて外側(lateral)が高く形成され、踵骨と立方骨が結合する踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch) 部位は、3レベルの高い支持部が形成されているものであり得る。
【0017】
一態様において、前記ロ-タイプに適用されるインソールは、後足部は足が内側に崩れること(Eversion)を防止するために、外側に比べて内側が緩やかな傾斜でより高く形成され、中足部は内側足底筋膜に過緊張が発生しないように内側足底筋膜を収容する溝(Plantar Fascia Groove)が形成され、前足部は外側に比べて内側がより高く形成され、足の親指部位は第1中足骨頭から延長(Mortons Extension)されてより高く形成され、外側の踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch) 部位は、1レベルの低い支持部が形成されているものであり得る。
【0018】
一態様において、前記ハ-タイプに適用されるインソールは、後足部は外側に比べて内側の傾斜がないか緩やかな傾斜で少し高く形成され、中足部は横アーチを制御するための支持部が形成され、前足部は第2、第3、および第4の中足骨頭受容部分が左右の周辺部と比べてより高く形成されており、外側の踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch)部位は、1レベルの低い支持部が形成されているものであり得る。
【0019】
一態様において、ニ-タイプに適用されるインソールは、後足部は足が内側に崩れること(Eversion)を防止するために外側に比べて内側が緩やかな傾斜でより高く形成され、中足部は内側足底筋膜に過緊張が発生しないように、内側足底筋膜を収容する溝(Plantar Fascia Groove)が形成され、前足部は外側に比べて内側がより高く形成され、足の親指部位は第1中足骨頭から延長(Mortons Extension)されてより高く形成されているものであり得る。
【0020】
一態様において、前記ホ-タイプに適用されるインソールは、後足部は内側(medial)に比べて外側(lateral)が2~10度の傾斜角度で高く形成され、前足部は外側に比べて内側が少し高く形成され、中足部は内側足底筋膜に過緊張が生じないように内側の足底筋膜を収容する溝(Plantar Fascia Groove)が形成され、踵骨と立方骨が結合する踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch)部位は2レベルの支持部が形成されているものであり得る。
【0021】
一態様において、ヘ-タイプに適用されるインソールは、後足部は足が内側に崩れること(Eversion)を防止するために外側に比べて内側が傾斜でより高く形成され、前足部は外側に比べて内側がより高く形成され、足の親指部位は第1中足骨頭から延長(Mortons Extension)されてもっと高く形成され、外側の踵骨立方骨アーチ(Calcaneal cuboid arch)部位は、1レベルの低い支持部が形成されているものであり得る。
【0022】
一態様において、前記インソールには、その下部面または上部面に圧力によって発色する減圧フィルムを付着することにより、顧客のインソール使用時にインソールに加わる圧力分布を確認することができる。
【0023】
一方、一態様において、本発明による人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法は、前記g)段階の後、
h)発色された減圧フィルムの画像情報が供給者サーバーに送信され足部タイプの適合性を読み取り、不適合判定時に足部タイプが再判定される段階;および
i)前記再決定された足部タイプデータに基づいて人工知能アルゴリズムを用いて足部タイプを再学習する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法は、予め大量に生産された既成物であるため、従来のカスタムインソールに比べてコスト、時間面で有利であり、ユーザーの足の状態を反映して最適化され、機能性面で対等であるだけでなく、店舗を訪問する必要がなく、オンラインで購入が可能なので、オンライン時代に合致するメリットを持つ。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による構成のネットワーク関係を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による顧客に最適化されたインソール注文システムのブロック図を示す。
【
図3】
図3は、足の「回内(pronated)」、「中立(neutral)」、「回外(supinated)」の形態を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による足部元画像から背景、ノイズを除去した足部画像を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による下腿二分線の算出過程を示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態によるモデル構造における入力値(内側くるぶし、外側くるぶし、下腿二分線の角度及びかかとの左右面積データ、足部画像)による出力値(足部タイプ)のAIモデル構造を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態による人工知能アルゴリズムによる学習結果を示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による「イ-タイプ」インソールの斜視図(a)、正面図(b)、平面図(c)、切り欠き断面図(d)、底面図(e)、および側面図(f)である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態による「ロ-タイプ」インソールの斜視図(a)、正面図(b)、平面図(c)、切り欠き断面図(d)、および底面図(e)である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態による「ハ-タイプ」インソールの斜視図(a)、正面図(b)、平面図(c)、切り欠き断面図(d)、および底面図(e)である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態による「ニ-タイプ」インソールの斜視図(a)、正面図(b)、平面図(c)、切り欠き断面図(d)、および底面図(e)である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態による「ホ-タイプ」インソールの斜視図(a)、正面図(b)、平面図(c)、切り欠き断面図(d)、および底面図(e)である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態による「ヘ-タイプ」インソールの斜視図(a)、正面図(b)、平面図(c)、切り欠き断面図(d)、および底面図(e)である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態による減圧フィルムが付着されたインソールであって、(a)減圧フィルム付着、(b)は正常、(c)回外(supinated)状態で非正常、(d)回内(pronated)状態で非正常を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明で使用される次のような用語は、足に関連する整形外科的表現とメカニズムに基づく。
【0027】
本発明において、「後足部内反(rearfoot varus)」の表現は、かかと(heel)部分から見たとき、中足骨二分線(calcaneal bisection)と下腿二分線(lower leg bisection)の延長線が出会う地点が体の中心線から外側(または遠位)に広がる状態を意味する。
【0028】
本発明において、「後足部外反(rearfoot valgus)」の表現は、かかと(heel)部分から見たとき、中足骨二分線(calcaneal bisection)と下腿二分線(lower leg bisection)の延長線が出会う地点が体の中心線から内側(または近位)に集まる状態を意味する。
【0029】
本発明において、「前足部内反(forefoot varus)」の表現は、足の親指(または第1中足骨頭)側が足の小指(または第5中足骨頭)側より相対的に上に上げられる状態を意味する。
【0030】
本発明において、「前足部外反(forefoot valgus)」の表現は、足の小指(または第5中足骨頭)側が足の親指(または第1中足骨頭)側より相対的に上に上げられる状態を意味する。
【0031】
本発明において、「回外(supinated)」の表現は、体の中心線を基準に足が外側(または遠位)方向に崩れたり倒れたりする3次元運動状態を意味し、通常はインバージョン(inversion)によって発生することがある。
【0032】
本発明において、「回内(pronated)」の表現は、体の中心線を基準に足が内側(または近位)方向に崩れたり倒れたりする3次元運動状態を意味し、通常はエバージョン(eversion)によって発生することがある。
【0033】
本発明において「レベル」とは、足の整形学的症状の程度を示すものであり、本発明で0、1、2、3レベルに分類する。3レベルはその程度が深刻な状態、2レベルは中間状態、1レベルは比較的弱い状態、0レベルは正常な状態を意味する。
【0034】
本発明による人工知能アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法は、
a)人工知能アルゴリズムを用いた学習モデルを構築するために、多数の後足部元画像を取得する段階;
b)前記取得された後足部元画像から背景および/またはノイズが除去された後足部画像を検出する段階;
c)前記検出された後足部画像データ、前記検出された後足部画像から内側くるぶしの傾斜角度、外側くるぶしの傾斜角度、及び下腿二分線の傾斜角度を算出し、学習モデルの入力データ(入力層)として生成する段階;
d)前記入力データ(入力層)を人工知能アルゴリズムを用いて足部タイプの出力データ(出力層)として学習する足部タイプ学習段階;
e)前記足部タイプ学習段階で構築された人工知能アルゴリズムを基に、顧客端末から送信された足部画像を分析して顧客の足部タイプを分類する足部タイプ分類段階;
f)前記分類された足部タイプに最適化されたインソール情報を顧客端末に送信する段階;および
g)前記顧客端末から注文情報を供給者端末に出力する段階を含むことを特徴とする。
【0035】
一態様において、前記c)段階において前記下腿二分線で左右に区画されたかかとの左右面積データを学習モデルの入力データとしてさらに含むことができる。
【0036】
本発明の好ましい例示的実施形態によるオンラインインソール注文システムを添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態による構成のネットワーク関係を示す。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態による顧客に最適化されたインソール注文システムのブロック図を示す。
【0039】
図1に示すように、本発明のインソール注文システムは、顧客が使用する顧客端末(100)、供給者が使用する供給者端末(300)、顧客から提供される足部画像情報を分析して顧客の足部タイプを判定し、足部タイプに最適化されたインソール情報を顧客端末に送信する供給者サーバー(200)を含む。前記顧客端末(100)、供給者サーバー(200)、および供給者端末(300)は、インターネット又は無線通信などのようなネットワークを介して直接または間接的に互いに連結される。
【0040】
まず、顧客端末(100)は、スマートフォン、タブレット、パソコン(PC)のように表示、データ保存、通信が可能な機器であれば、全て利用することができる。
【0041】
前記顧客端末(100)は、供給者が提供する一連のアプリケーションが設置されて供給者サーバー(200)と連結されたり、別途のアプリケーションなしで供給者サーバー(200)のウェブサイトに接続したりすることも可能である。
【0042】
顧客端末(100)のアプリケーションまたはウェブサイト上には顧客情報が入力され、供給者サーバー(200)に送信される。前記顧客情報は顧客の氏名、住所、連絡先を含み、必要によっては性別、年齢、体重、身長、足のサイズ、または靴のサイズなどを含むことができる。顧客認証手続き、会員加入手続きなどを介して供給者サーバー(200)に保存されることも可能である。
【0043】
顧客端末(100)がスマートフォン、タブレットの場合、撮影モジュール(カメラ機能)が基本内蔵されているため、撮影モジュールを通じて足部画像情報を直接生成することができ、他の機器で予め撮影された足部画像が顧客端末(例えば、パソコン)に保存されることも可能である。
【0044】
顧客端末(100)で撮影または保存されている足部画像情報は、供給者サーバー(200)に送信される。
【0045】
足部画像情報は、顧客の足部を撮影した写真(2D画像)や3D画像であり得る(以下、元画像)。3D画像は、供給者によって提供される3D生成プログラム(またはアプリケーション)を使用して生成されたものでもよく、または別途の3D生成アプリケーションやプログラムを使用して生成されたものでもよい。
【0046】
足部画像情報は、後足部画像を基本的に含み、必要によっては足部の側面画像、足底画像をさらに含むことができる。
【0047】
後足部画像は後方からかかと(heel)側を撮影した画像で、下腿(lower leg)(ふくらはぎ)部分を含む。
【0048】
足部側面画像は、足の内側の側面(medial)、すなわち足の内側アーチ(arch)と足の高さ部分が撮影された画像であり得る。足アーチと足の甲の高さ、幅、傾きの形状などは後述する足部タイプの判定に用いることができる。
【0049】
足の裏の画像では、例えば、足のタコのような特異な情報を後述する足部タイプの判定に使用することができる。
【0050】
前記足部画像は撮影条件に敏感である。例えば、上下、左右の撮影角度、撮影高さによって足部形状は非常に多様に現れ、光条件によって色度、明暗なども多様に現れる。したがって、顧客の端末には、最適な画像生成のための撮影条件、撮影方法などに関する案内(マニュアル)を提示することができる。一方、スマートフォン、タブレットの場合、前面と背面にそれぞれの撮影モジュールが具備されているが、背面撮影モジュールは被写体と同じであるが、前面撮影モジュールの場合には被写体が左右反対に設定されている場合がある。したがって、本来の画像で左右反転方法などに対する案内を提示することもできる。
【0051】
前記供給者サーバー(200)は、顧客端末(100)から送信されてきた足部画像を対象に、一連の人工知能アルゴリズムを用いて足部画像を分析して足部タイプを判定した後、足部タイプに合ったタイプのインソール情報を選択して顧客端末(100)に送信する。
【0052】
前記供給者サーバー(200)は、顧客情報を保存する顧客情報データベース(210)を含み、顧客の足部画像を分析し、足部タイプを決定するための足部分析プロセッサ(220)を含む。
【0053】
前記足部分析プロセッサ(220)は、後足部元画像から足部タイプを学習し、判定するために人工知能アルゴリズムを含む。一態様において、人工知能アルゴリズムはニューラルネットワークアルゴリズムであり得る。ニューラルネットワークアルゴリズムは、深層ニューラルネットワーク(DNN)または畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であり得、深層ニューラルネットワークと畳み込みニューラルネットワークの両方を含むことができる。前記人工知能アルゴリズムは、ディープラーニング(Deep Learning)基盤の指導学習(Supervised Learning)モデルであり得る。前記人工知能アルゴリズムは、好ましくは入力データ(入力層)と出力データ(出力層)が予め与えられた方法で学習される指導学習アルゴリズムであり得る。
【0054】
本発明の足部画像による足部タイプ導出の学習方法は以下の通りである。
【0055】
まず、足部関連の専門家は、整形学的臨床データに基づいて学習モデルで分類しようとする足部タイプを事前に定立する。
【0056】
足部整形学において、足部タイプの判定基準の一つは、足部画像から下腿二分線と踵骨二分線(calcaneal bisection line)との関係である。踵骨(calcaneus)はかかとの骨で、踵骨二分線は踵骨を垂直に二等分する中心線である。
図3に示すように、踵骨二分線の傾斜方向および角度によって顧客の足は整形学的に『回内(pronated)』、『中立(neutral)』、『回外(supinated)』のタイプであるか、その程度が『穏やか(mild)』、『普通(moderate)』、『深刻(severe)』であるかなどを判定する主要基準の一つであり、適合したインソールを選択する上で非常に重要である。
【0057】
本発明の一態様において、足部タイプは6つのタイプを基準に判定するが、このようなタイプ分類は、本発明者が習得した臨床資料に基づいて最適なものであるだけに、後述する6つのタイプに限定されるものではなく、足部タイプは必要に応じて加減することができる。
【0058】
本発明では、6種類の足部タイプをハングル順にイ-タイプ(S+++)、ロ-タイプ(P+)、ハ-タイプ(P)、ニ-タイプ(P++)、ホ-タイプ(S++)、ヘ-タイプ(P+++)に分類する。
【0059】
本発明におけるレベルは、程度に応じて0、1、2、3レベルに分類される。3レベルはその程度が最も激しいことを、2レベルは比較的激しいものは、1レベルは比較的弱い程度を示す。
【0060】
1)イ-タイプ:足が外側にひどく崩れるInversion形態で、後足部(rearfoot)が補償されない内反(uncompensated rearfoot varus)であり、前足部が最も高い3レベル外反(forefoot valgus)であり、アーチの高さが3レベルであり、全体的に3レベル回外(supinated)タイプ(S+++);
2)ロ-タイプ:後足部が外反(rearfoot valgus)であり、前足部がフレキシブルな外反(forefoot valgus)であり、アーチの高さが1レベルであり、全体的に1レベルの回内(pronated)タイプ(P+);
3)ハ-タイプ:後足部が補償されない内反であり、前足部が中立(neutral)であり、アーチの高さが中間の2レベルであり、全体的に中立(neutral、normal)タイプ(P);
4)ニ-タイプ:後足部が補償された内反であり、前足部が中立であり、アーチの高さが1レベルであり、全体として2レベルの回内タイプ(P++);
5)ホ-タイプ:後足部が補償されない内反であり、前足部が2レベル内反であり、アーチの高さが2レベルであり、全体的に2レベルの回外タイプ(S++);
6)ヘ-タイプ:後足部が補償された内反(compensated rearfoot varus)であり、前足部が内反であり、アーチの高さが0レベルであり、全体的に3レベルの回内タイプ(P+++)。
【0061】
前記6つの足部タイプで分類が難しい場合には、Cnpタイプ(Classification not possible)として分類をさらに追加することができ、本発明のインソール適用が難しいほど深刻な足部タイプである場合には、CwDタイプ(Consult with Doctor、医師に相談)として分類をさらに追加することができる。
【0062】
本発明では、学習モデルとして、深層ニューラルネットワークモデルと畳み込みニューラルネットワークモデルとを結合したモデルが利用できる。
【0063】
本発明のモデリング学習のために、多数の足部元画像が獲得される。
【0064】
前記獲得されたそれぞれの画像はシリアル番号でラベル化され、専門家はそれぞれの元画像を視覚的に分析し、前記8つの足部タイプから選択し、それぞれの画像に応じた結果値をラベル化する。
【0065】
本発明の足部分析プロセッサ(220)は、元画像から背景が除去された足部画像と、足部画像から入力データ(入力層)とを機械的に抽出する。前記入力データは、内側くるぶしの傾斜角度、外側くるぶしの傾斜角度を含み、必要に応じて、かかとの面積データ(左右面積比率)を入力データ(入力層)として追加することができる。ラベル化された入力データは、足部分析プロセッサ(220)のニューラルネットワークアルゴリズムを介して計算され、その結果として足部タイプが導出される。学習初期には、足部分析プロセッサ(220)によって出力された結果(足部タイプ)は、専門家によって分類された結果(足部タイプ)と比較して大きな誤差値(高いloss)を見せたが、反復学習を通じて次第に専門家によって分類された足部タイプに収斂(足部タイプ一致)することによって、本発明のニューラルネットワークアルゴリズムが定立される。
【0066】
前記人工知能アルゴリズムの入力データを正確に抽出するために、足部元画像から不要な背景は除去されなければならない。
【0067】
前記足部分析プロセッサ(220)は、足部元画像から不要な背景および/またはノイズが除去され、足部画像のみが検出されるようにする足部検出部(221)を含む。
【0068】
本発明の一態様において、元画像から背景を除去する方法は、重要オブジェクト検出(Salient Object Detection)技術を利用することができる。SOD技術は画像内で重要だと物体を検出する技法であって、背景(background)から重要な前景(foreground)物体だけを分割する。SOD技術は画像内の各ピクセル(pixel)に重要オブジェクト(salient object)が属する確率をインテンシティー(intensity)の値で表現した顕著性マップ(saliency map)を予測する。顕著性マップは予測クラスロジット(logit)の入力画像に対するグラジエント(gradient)を計算して生成したアトリビューション(attribution)手段で、これを観察することにより、畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network、CNN)の特定予測結果が画像上のどの部分に起因したかを可視的に確認できるようになる。具体的には、回帰分析(regression analysis)を通じて画像内足部の外郭線領域のみを抽出することができる。
【0069】
図4は、元画像からSOD技術を使用して背景が除去された画像を示す。
図4に示すように、背景が除去された足部画像には、希望する入力データを取得する際にエラーが発生したり、不要な部分、すなわちノイズが発生したりする可能性がある。元画像からこれらの背景やノイズは背景分離AIモデルなどを利用して削除することができる。
【0070】
一態様において、背景またはノイズが除去された画像は、グレースケール(Grayscale)方法で白黒画像に変換することができる。以後、一実施形態において、前記グレースケール画像は、しきい値(threshold)、例えば2値化しきい値(binary threshold)過程を経て灰色画像を白色画像に変換し、黒と白のみの2色画像に変換することができる。そして、黒と白の境界を例えば、近似ポリゴン(polygon)抽出により輪郭線及びその座標を抽出する。前記外郭線抽出方法は例示的なものであり、外郭線抽出方法はこれに限定されず、他の公知の方法も利用可能である。
【0071】
前記の背景、ノイズ除去された後足部画像、そのグレースケール画像、または2色(binary)画像データは、人工知能モデル、好ましくは畳み込みニューラルネットワークから入力データ(独立変数)を抽出するのに利用することができる。
【0072】
足部分析プロセッサ(220)は、前記背景が除去された足部画像から本発明のニューラルネットワークモデルで必要な入力データを自動的に抽出する。前記後足部画像から内側くるぶしの傾斜角度、外側くるぶしの傾斜角度、下腿二分線の傾斜角度、前記下腿二分線で左右区画されたかかとの左右面積データを算出することができ、前記データは人工知能モデル、好ましくは深層ニューラルネットワークで入力データ(独立変数)として使用することができる。
【0073】
本発明の入力データは、内側くるぶしの傾斜角度、外側くるぶしの傾斜角度、下腿二分線の傾斜角度を含む。
【0074】
内側くるぶしは足の内側に突出した部分であり、外側くるぶしは足の外側に突出した部分である。
【0075】
足部分析プロセッサ(220)は、内側くるぶし、外側くるぶしの座標を検出するくるぶし検出部(222)を含む。
【0076】
本発明の足部画像で内側くるぶしの座標値、外側くるぶしの座標値は、例えば抽出された外角線の座標偏差、足首検出、ROI(region of interest)設定、足の傾き等を総合的に反映して獲得することができる。内側くるぶしの傾斜角度は、内側くるぶしの末端座標値と足裏の内側付近の外角線座標値とを連結した一連の仮想線を設定した後、そのうち最も高い傾斜角度を入力データとして用いることができる。外側くるぶしの傾斜角度は、外側くるぶしの末端座標値と足裏の外側付近の外角線座標値とを連結した一連の仮想線を設定した後、そのうち最も高い傾斜角度を入力データとして用いることができる。
【0077】
足部分析プロセッサ(220)は、下腿二分線を検出する下腿二分線検出部(223)を含む。
【0078】
下腿二分線(lower leg bisection)は、足部整形学において、下腿(lower leg)、すなわち足首の上のふくらはぎ部分を左右対称に二分する中心線を意味する。
【0079】
本発明において、前記下腿二分線は実質的な誤差なしに算出することができる。
【0080】
図5は、下腿二分線(ふくらはぎ中心線)を算出する好ましい一態様である。
【0081】
図5に示すように、下腿(ふくらはぎ)足部画像で下腿(ふくらはぎ)に該当する部分を一定の高さに多分割して生成される多数の水平線(横線)と、下退(ふくらはぎ)の輪郭線が出会う両座標から一連の中心点を設定し、前記中心点を対象として線形回帰法と最小二乗近似法を用いて直線状の下腿二分線を検出する。前記検出された下腿二分線は、足部画像上で垂直に近い形態であり、下腿二分線の角度は、本発明のアルゴリズムモデルで入力データの1つとして利用される。
【0082】
一方、本発明に利用できる下腿二分線のもう一つの算出方法としては、内側くるぶしの座標値と外側くるぶし座標値との距離を二分する点をくるぶし中心点と設定し、前記くるぶし中心点を中心に所定の距離の半径を多数設定し、前記半径とふくらはぎ外郭線が出会う両点を二分する中心点を対象に線形回帰法及び最小二乗近似法を用いて検出される垂直線(縦線)に近い直線形態であり得る。
【0083】
上述した内側くるぶしの傾斜角度、外側くるぶしの傾斜角度、下腿二分線の傾斜角度は、本発明のニューラルネットワークモデルの入力データとして利用される。
【0084】
また、本発明のニューラルネットワークモデルの入力データとして、かかとの左右面積データをさらに含むことができる。前記かかとの左右面積データは、前記下腿二分線によってかかと部分が左右に分割される面積の割合を意味する。
【0085】
足部分析プロセッサ(220)は、入力データから一連のニューラルネットワークを用いて足部タイプを導出する足部タイプ決定部(224)を含む。
【0086】
深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network、DNN)は、入力層(input layer)と出力層(output layer)との間に多重の隠れ層(hidden network)からなる人工ニューラルネットワークである。 隠れ層の個数が多くなるほど人工ニューラルネットワークが深くなり(deep)、入力データを分類し、群集を解析し、データ内の特定パターンを認識するのに有用に利用される。前記入力データのうち数値的情報、すなわち、くるぶしの傾斜角度、下腿二分線の傾斜角度、かかとの左右面積比率は、深層ニューラルネットワークを介して行われる。
【0087】
畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)は、フィルタリング技術を人工ニューラルネットワークに適用することによって、画像などの二次元データ処理をより効果的に処理するための方法である。固定されたフィルタリング技術を利用して画像を処理するのとは異なり、畳み込みニューラルネットワークは、行列で表されるフィルタの各要素がデータ処理に適合するように自動的に学習されるようにする。畳み込みニューラルネットワークの構造は、畳み込み層(Convolutional layer)とプーリング層(Pooling layer)という新しい層を全結合(Fully-connected)層の前に追加することにより、元画像にフィルタリング技法を適用した後にフィルタリングされた画像に対して分類演算が行われるように構成される。前記入力データのうち、背景が除去された足部画像は、畳み込みニューラルネットワークを介して行われ、ソフトマックス(softmax)関数などの確率計算関数を介して数値化された後、上述したくるぶしの傾斜角度、下腿二分線の傾斜角度、 かかとの左右面積比率の深層ニューラルネットワークの隠れ層と結合して深層ニューラルネットワークを形成することができる。学習初期には、足部分析プロセッサ(220)によって出力された結果(足部タイプ)は、専門家によって分類された結果(足部タイプ)と比較して大きな誤差値(高いloss)を見せるが、反復学習を通じて次第に専門家によって分類された足部タイプに収斂(足部タイプ一致)することによって、本発明のニューラルネットワークアルゴリズムが定立される。
【0088】
足部分析プロセッサ(220)は、足部タイプ入力データから一連のニューラルネットワークを用いて足部タイプを導出するインソール選定部(225)を含む。
【0089】
本発明の学習モデルによれば、前記の8つのタイプのうち、イ-タイプ(S+++)、ロ-タイプ(P+)、ハ-タイプ(P)、ニ-タイプ(P++)、ホ-タイプ(S++)、ヘ-タイプ(P+++)が導出される場合には、それぞれの足部タイプに最適化されたカスタムインソール情報が選択され、顧客に送信されることになる。
【0090】
本発明によるカスタムインソールは、足部タイプに合わせて前足部(Forefoot、FF)、中足部(Midfoot、MF)、後足部(Rearfoot、RF)の内側と外側の高さ、傾斜などを通じて顧客の足に最適化された形態で提供することができる。本発明によるインソールの材質は、インソールの材料として知られている材料を使用することができる。本発明のインソール全体の骨組みは合成樹脂を用いることができ、一例としてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン(Polyurethane)、ラテックスであり、これらの発泡成形体が利用できるが、これらに限定されない。
【0091】
まず、イ-タイプは全体的に3レベルの回外(supinated)タイプであって、程度の重い凹足(cavus)に該当する。
図8は、本発明のイ-タイプに適用される好ましいインソール(イ-タイプのインソール)の一実施形態を示す。
図8を参照すると、イ-タイプのインソール(10)は強い後足部内反を制御するためにインソールの後足部(RF)は内側(medial)に比べて外側(lateral)が高く形成され、互いに傾斜した形態を有する。一実施形態において、傾斜角度は5~15度の傾斜角度であり得る。3レベルの回外足は全体的に外側に崩れた形態をしているので、イ-タイプのインソール(10)の中足部(midfoot)も内側(medial)に比べて外側(lateral)が比較的高く形成される。また、足が外側に崩れる動き(Inversion)を減らすために、後足部(RF)の踵骨(calcaneus)と中足部(MF)の立方骨(cuboid)が結合される部位である踵骨-立方骨アーチ(Cacaneual cuboid arch, 以下、『CCA』)部位に対応するインソール(10)部分には、CCAを収容するためのCCA支持部(11)をさらに形成することができる。CCA支持部(11)は、比較的3レベルの高い支持部が好ましいが、2レベル、1レベルのCCA支持部も可能である。イ-タイプ足部は、小指が親指よりも上げられる状態または親指が下に押されているため、インソールの前足部(FF)で第1中足骨頭(1st Metatarsal)受容部位(12)は第2、第3、第4、および第5の中足骨頭収容部位(13)に比べて低く形成される可能性がある(Reverse Mortions Extenstion)。一方、イ-タイプのインソールは、必要に応じて足のアーチ部分の中央を堅固に支持するために、シャンク(shank)(14)をインソールの下部中央側に設けることができる。シャンク(shank)の材質は硬い材質で、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのような高分子樹脂であり得るが、これらに限定されない。
【0092】
ロ-タイプは足の甲が低く、足のアーチが低く、足が内側に崩れるEversion形態の足であって、臨床学的にマイルド(mild)な足に該当する。
図9は、本発明のロ-タイプに適用される好ましいインソール(ロ-タイプのインソール)の一実施形態を示す。
図9を参照すると、前記ロ-タイプ(20)のインソールの後足部は、足が内側に崩れること(Eversion)を防止するために、外側に比べて内側が緩やかな傾斜でより高く形成されている。前足部は外側(23)に比べて内側(22)がより高く形成され、足の親指部位は第1中足骨頭から延長(Mortons Extension)してより高く形成され、外側CCA部位は1レベルの比較的低い支持部が形成されている。一方、ロ-タイプのインソールは、必要に応じて足のアーチ部分の中央を堅固に支持するために、シャンク(shank)(24)をインソールの下部中央側に設けることができる。必要に応じて、中足部は、内側足底筋膜に過緊張が生じないように、内側足底筋膜を収容する溝(Plantar Fascia Groove)(25)をさらに形成することができる。
【0093】
ハ-タイプは足の甲が低く足のアーチが低いが、概して足が左右どちらの方向への傾きがほとんどない形態の足に該当する。
図10は、本発明のハ-タイプに適用される好ましいインソール(ハ-タイプのインソール)の一実施形態を示す。
図10を参照すると、前記ハ-タイプのインソール(30)の後足部は、外側に比べて内側が傾斜なしに平らまたは緩やかな傾斜で少し高く形成され、中足部は横アーチを制御するために突出した支持部(32)が形成され、前足部の中央には第3中足骨頭を収容するための突出支持部(33)が形成され、CCA部位は1レベルの低いCCA支持部(31)が形成されている可能性がある。一方、ハ-タイプのインソールは、必要に応じて足のアーチ部分の中央を堅固に支持するためにシャンク(shank)(34)をインソールの下部中央側に設けることができる。
【0094】
ニ-タイプは、足の甲が低く、足のアーチが低く、足が内側に崩れるEversion形態の足であって、臨床学的に普通(moderate)の足に該当する。
図11は、本発明のニ-タイプに適用される好ましいインソール(ニ-タイプのインソール)の一実施形態を示す。
図11を参照すると、ニ-タイプのインソール(40)の後足部は、足が内側に崩れること(Eversion)を防止するために、外側に比べて内側が緩やかな傾斜でより高く形成され、前足部は外側(43)に比べて内側(42)がより高く形成され、足の親指部位が第1中足骨頭から延長(Mortons Extension)されより高く形成されているものであり得る。一方、ニ-タイプのインソールは、必要に応じて足のアーチ部分の中央を堅固に支持するためにシャンク(shank)(44)をインソールの底部の中央に設けることができる。必要に応じて中足部は、内側足底筋膜に過緊張が発生しないように、内側足底筋膜を収容する溝(Plantar Fascia Groove)(41)をさらに形成することができる。
【0095】
ホ-タイプは、足の甲が高く、足のアーチが高く、足が外側に崩れるInversion型の足であって、臨床学的に前記のイ-タイプに比べて程度の重い形態の足に該当する。
図12は、本発明のホ-タイプに適用される好ましいインソール(ホ-タイプのインソール)の一実施形態を示す。
図12を参照すると、ホ-タイプのインソール(50)の後足部は、内側(medial)に比べて外側(lateral)が2~10度程度の傾斜角度で高く形成され、前足部は外側(43)に比べて内側(42)が少し高く形成され、CCA部位は、2レベルのCCA支持部(51)が形成されている可能性がある。一方、ホ-タイプのインソールは、必要に応じて足のアーチ部分の中央を堅固に支持するために、シャンク(shank)をインソールの下部中央側にさらに設けることができる。 必要に応じて、中足部は、内側足底筋膜に過緊張が発生しないように、内側足底筋膜を収容する溝(Plantar Fascia Groove)(52)をさらに形成することができる。
【0096】
ヘ-タイプは、足の甲が低く、足のアーチが低く、足が内側に崩れるEversion形態の足であって、臨床学的に深刻な(severe)程度であり、扁平足(平足)に該当する。
図13は、本発明のヘ-タイプに適用される好ましいインソール(ヘ-タイプのインソール)の一実施形態を示す。
図13を参照すると、ヘ-タイプのインソール(60)の後足部は、足が内側に崩れること(Eversion)を防止するために、外側に比べて内側が傾斜でより高く形成され、中足部はアーチを高めるために外側(literal)に比べて内側(medial)が十分に高く形成されている可能性がある。一方、ハ-タイプのインソールは、必要に応じて足のアーチ部分の中央を堅固に支持するためにシャンク(shank)(34)をインソールの下部中央側に設けることができる。
【0097】
一方、一態様において、本発明の上述したインソールは、その下部面または上部面に減圧フィルム(pressure sensitive film)が付着した形態であり得る。減圧フィルムは、フィルム面に加わる圧力により当該部分で発色が起こるフィルムであり、発色の有無及び発色強度に応じた圧力分布を視覚的に確認することができる。減圧フィルムは、PET等のようなフィルム基材上に発色剤が充填されたマイクロカプセル層と、顕色剤層が形成されている構造であり、臨界圧力以下ではマイクロカプセル膜により発色剤と顕色剤が分離されているが、臨界圧力以上の圧力によりマイクロカプセルが割れて発色剤と顕色剤が互いに化学反応することによって発色する構造を有する。前記マイクロカプセル膜は、例えばポリウレア樹脂やポリウレタン樹脂などの高分子樹脂で構成することができ、マイクロカプセル膜の厚さなどを調整することによって臨界圧力を増減することができる。
【0098】
前記減圧フィルムは、インソールに付着された状態であったり、付着されない状態で顧客に配送された後に顧客がインソールに付着したりすることができる。前記減圧フィルムは、例えば、1枚のフィルムでインソールの全体の大きさに合わせて付着することもでき、
図14に示すように、インソールの前足部および後足部に分離して、すなわち2枚のフィルムの形態で付着することもできる。
【0099】
本発明のインソールを購入した顧客は、前記減圧フィルムが付着されたインソールを靴に入れて一定時間歩行した後、発色した減圧フィルムまたはインソール画像(写真)を取得した後、顧客端末を介して供給者サーバー(200) に送信する。
【0100】
前記供給者サーバー(200)は、減圧フィルムに現れた色彩を分析して圧力分布を評価することによって、注文されたインソールが顧客の足部タイプに合致するか否かを判定する。
【0101】
図14は、本発明の一実施形態による減圧フィルムが付着されたインソールであって、(a)減圧フィルム付き、(b)は正常、(c)回外(supinated)状態で非正常、(d)回内(pronated)状態で非正常を示す。
【0102】
例えば、圧力分布がインソール前足部、後足部の中心に形成された場合(
図14(b))には、注文されたインソールは正常範囲で顧客の足部タイプに適合すると判定し、
図14(c)、(d)のように圧力分布がインソールのいずれかの側に傾いている場合には注文されたインソールは、非正常範囲で顧客の足部タイプに適合しないと判断することができる。一態様において、この減圧フィルムの適合判定は、供給者サーバーに設けられた減圧フィルム分析部または分析アルゴリズムによって行うことができる。他の一態様において、減圧フィルムの適合判定は、足部専門家の肉眼による判断で行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、人工知能(AI)アルゴリズムを用いたカスタムインソールの注文方法に関するもので、より詳しくは人工知能アルゴリズムを用いて人間の多様な足部画像からそれによる足部タイプを分類する学習モデルを定立し、前記学習されたモデルに基づいて顧客の後足部画像を読み取り、足部タイプに対応するカスタムインソール情報を顧客に提供して、顧客が最適化されたインソールを注文することができる方法に関するものである。