(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174519
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057937
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0065271
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン スー
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、エウイ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】グ、ヒュン ヒー
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AD04
5E001AF03
5E001AJ01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG01
5E082GG11
5E082GG21
5E082PP09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単位体積当たりの容量に優れ、内部電極及び外部電極間の結合力に優れ、外部からの水分が本体の内側に侵入することを防止する。
【解決手段】積層型電子部品は、誘電体層111及び誘電体層を挟んで交互に配置される第1、第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1、第2面、第1、第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3、第4面、第1面~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5、第6面を含む本体110と、第3(4)面に配置される第1(2)めっき層131a(132a)及び第1(2)めっき層上に配置される第1(2)電極層131b(132b)を含む第1(2)外部電極131(132)と、第1面に配置され、第1(2)外部電極と連結される第1(2)バンド電極141(142)と、を含む。第1電極層及び第2電極層はガラスを含まない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面から前記第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、
前記第3面に配置される第1めっき層及び前記第1めっき層上に配置される第1電極層を含む第1外部電極と、
前記第4面に配置される第2めっき層及び前記第2めっき層上に配置される第2電極層を含む第2外部電極と、
前記第1面に配置され、前記第1外部電極と連結される第1バンド電極と、
前記第1面に配置され、前記第2外部電極と連結される第2バンド電極と、を含み、
前記第1及び前記第2電極層はガラスを含まない、積層型電子部品。
【請求項2】
前記本体は、前記第1面と前記第3面を連結する第1-3コーナー、前記第1面と前記第4面を連結する第1-4コーナー、前記第2面と前記第3面を連結する第2-3コーナー、前記第2面と前記第4面を連結する第2-4コーナーを含み、
前記第1電極層の端部は、前記第1-3コーナー及び前記第2-3コーナー上に配置され、前記第2電極層の端部は、前記第1-4コーナー及び前記第2-4コーナー上に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、前記第1面、前記第2面、前記第5面、及び前記第6面上には配置されない、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1電極層は、前記第3面の少なくとも一部と連結され、前記第2電極層は、前記第4面の少なくとも一部と連結される、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1バンド電極の一端部は前記第1外部電極の一側端縁上に配置され、前記第2バンド電極の一端部は前記第2外部電極の一側端縁上に配置される、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1バンド電極及び前記第2バンド電極のそれぞれの緻密度は、前記第1電極層及び前記第2電極層のそれぞれの緻密度よりも高い、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記本体の前記第1方向の中央で測定した前記第1外部電極の厚さをTm1、前記本体の前記第1方向の最外側に配置された内部電極で測定した前記第1外部電極の厚さをTc1とするとき、Tc1/Tm1は0.8以上1.0以下である、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第1バンド電極の前記第2方向の中央で測定した前記第1バンド電極の厚さをtm3、前記本体の前記第3面で測定した前記第1バンド電極の厚さをtc3とするとき、tc3/tm3は0.8以上1.0以下である、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第1めっき層の平均厚さは0.5μmから3.5μmである、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1電極層の平均厚さは5μmから10μm以下である、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第1めっき層の平均厚さをt1、前記第1電極層の平均厚さをt2、前記第1バンド電極の平均厚さをt3とするとき、t3≦t1+t2を満たす、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1バンド電極上に配置され、前記第1外部電極上に延びる第3めっき層及び前記第2バンド電極上に配置され、前記第2外部電極上に延びる第4めっき層を含む、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面から前記第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、
前記第3面に配置される第1めっき層及び前記第1めっき層上に配置される第1電極層を含む第1外部電極と、
前記第4面に配置される第2めっき層及び前記第2めっき層上に配置される第2電極層を含む第2外部電極と、
前記第1面から前記第6面のうち第1面上にのみ配置され、前記第1外部電極の一部上に延びる第1バンド電極と、
前記第1面から前記第6面のうち第1面上にのみ配置され、前記第2外部電極の一部上に延びる第2バンド電極と、を含む、積層型電子部品。
【請求項14】
前記第1バンド電極及び前記第2バンド電極のそれぞれの緻密度は、前記第1電極層及び前記第2電極層のそれぞれの緻密度よりも高い、請求項13に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記第1バンド電極の前記第2方向の中央で測定した前記第1バンド電極の厚さをtm3、前記本体の第3面で測定した前記第1バンド電極の厚さをtc3とするとき、tc3/tm3は0.8以上1.0以下である、請求項13にまたは14記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子機器の部品として用いられることができ、コンピュータ、モバイル機器など、各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。このような積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化の傾向により、積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量を増加させることに対する重要性が高まっている。
【0004】
従来には、外部電極を形成する際に導電性金属が含まれた外部電極用導電性ペーストを用いて、本体の内部電極が露出した面を外部電極用導電性ペーストにディッピング(dipping)する方法が主に用いられた。
【0005】
しかしながら、ディッピング(dipping)工法によって形成された外部電極は、外部電極の厚さが均一ではなく、本体のエッジ部分には外部電極が非常に薄く形成されるのに対し、本体の中央部分には外部電極が非常に厚く形成された。これにより、単位体積当たりの容量を確保することが困難であるだけでなく、本体のエッジ部分を介して外部からの水分が本体の内側に浸透して積層セラミックキャパシタの信頼性が減少するという問題点が存在した。
【0006】
また、従来のディッピング(dipping)工法によって形成された外部電極は、一般的にガラスを含んでいる。このようなガラスは、外部電極に含まれた金属の焼結を促進させ、本体と外部電極との結合力を向上させる役割を果たす。
【0007】
但し、上記ガラスが、内部電極が露出した面に過度に分布している場合、内部電極と外部電極との間の結合力を低下させるおそれがある。また、ガラスはめっき液に対する耐食性が低いため、めっき液によってガラスが浸食されることがあり、ガラス浸食による耐湿経路を介して外部からの水分が本体の内側に浸透して積層セラミックキャパシタの信頼性を低下させるという問題点が存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本公開特許公報第1999-307391号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の様々な目的の一つは、単位体積当たりの容量に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0010】
本発明の様々な目的の一つは、内部電極及び外部電極間の結合力に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0011】
本発明の様々な目的の一つは、外部からの水分が本体の内側に侵入することを防止することで、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0012】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体、上記第3面に配置される第1めっき層及び上記第1めっき層上に配置される第1電極層を含む第1外部電極、上記第4面に配置される第2めっき層及び上記第2めっき層上に配置される第2電極層を含む第2外部電極、上記第1面に配置され、上記第1外部電極と連結される第1バンド電極及び上記第1面に配置され、上記第2外部電極と連結される第2バンド電極を含み、上記第1及び第2電極層はガラスを含まないことができる。
【0014】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体、上記第3面に配置される第1めっき層及び上記第1めっき層上に配置される第1電極層を含む第1外部電極、上記第4面に配置される第2めっき層及び上記第2めっき層上に配置される第2電極層を含む第2外部電極、上記第1面から第6面のうち第1面上にのみ配置され、上記第1外部電極の一部上に延びる第1バンド電極及び上記第1面から第6面のうち第1面上にのみ配置され、上記第2外部電極の一部上に延びる第2バンド電極を含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の様々な効果の一つとして、単位体積当たりの容量に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【0016】
本発明の様々な効果の一つとして、内部電極及び外部電極間の結合力に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【0017】
本発明の様々な効果の一つとして、外部からの水分が本体の内側に浸透することを防止することで、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1の積層型電子部品の本体を概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図4】
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【
図5】
図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一符号で示される要素は同一要素である。
【0020】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されるものではない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1の積層型電子部品の本体を概略的に示した斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図であり、
図4は、
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、
図5は、
図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、
図6は、
図4のK1領域の拡大図であり、
図7は、
図4のK2領域の拡大図であり、
図8は、
図4のK3領域の拡大図である。
【0023】
図面を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を含む本体110、上記第3面に配置される第1めっき層131a及び上記第1めっき層上に配置される第1電極層131bを含む第1外部電極131、上記第4面に配置される第2めっき層132a及び上記第2めっき層上に配置される第2電極層132bを含む第2外部電極132、上記第1面に配置され、上記第1外部電極131と連結される第1バンド電極141及び上記第1面に配置され、上記第2外部電極132と連結される第2バンド電極142を含み、上記第1及び第2電極層131b、132bはガラスを含まないことができる。
【0024】
上述したように、従来のディッピング(dipping)工法によって外部電極を形成する場合、単位体積当たりの容量が低下し、外部電極に含まれたガラスが内部電極と外部電極との間の結合力を低下させるか、ガラスの浸食による耐湿経路を介して外部からの水分が本体の内側に浸透して積層セラミックキャパシタの信頼性を低下させるという問題点が存在した。
【0025】
一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の場合、第3面及び第4面3、4にそれぞれ第1及び第2めっき層131a、132aが配置されることで、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を確保し、内部電極121、122と外部電極131、132との間の結合力を向上させることができる。また、第2電極層131b、132bがガラスを含まないことで、ガラスの浸食による耐湿経路を遮断して積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0026】
以下、本発明の一実施形態による積層型電子部品100に含まれる各構成についてより詳細に説明する。
【0027】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮やエッジ部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。
【0028】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面1、2と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、第1面から第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を含むことができる。
【0029】
本体110は、第1面と第3面を連結する第1-3コーナーC1-3、上記第1面と第4面を連結する第1-4コーナーC1-4、上記第2面と第3面を連結する第2-3コーナーC2-3、上記第2面と第4面を連結する第2-4コーナーC2-4を含むことができる。また、第1面と第5面を連結する第1-5コーナー、第1面と第6面を連結する第1-6コーナー、第2面と第5面を連結する第2-5コーナー、第2面と第6面を連結する第2-6コーナーを含むことができる。上記コーナーは、本体110の各面を連結するエッジを別途の工程を行ってラウンド処理することによってラウンド状を有することもできる。本体110の第1面から第6面は、大体に平らな面であることができ、平らではない領域をコーナーと見ることができる。
【0030】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0031】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けた後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成することができる。セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り、特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系粉末を用いることができる。
【0032】
誘電体層の平均厚さtdは、特に限定する必要はない。一方、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成するためには、誘電体層111の厚さを薄くして積層数を増加させる必要があるが、誘電体層111の厚さが薄くなるほど積層型電子部品の信頼性が低下し、絶縁抵抗の劣化が起こりやすい。
【0033】
一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品の場合、第2電極層131b、132bがガラスを含まないことで外部からの水分の浸透を防止することができ、これにより誘電体層111の平均厚さteが0.4μm以下である場合にも積層型電子部品の信頼性に優れることができる。
【0034】
ここで、誘電体層の平均厚さtdは、内部電極121、122間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。誘電体層の平均厚さtdは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔の30つの地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30つの地点は、後述する容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10つの誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0035】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように配置されることができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0036】
複数の第1内部電極121は、それぞれ第4面4と離隔して第3面3と連結されることができる。また、複数の第2内部電極122は、それぞれ第3面3と離隔して第4面4と連結されることができる。
【0037】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0038】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に所定の厚さで導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することで形成されることができる。内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0039】
内部電極の平均厚さteは特に限定する必要はない。このとき、内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の第1方向の大きさを意味することができる。一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品の場合、第2電極層131b、132bがガラスを含まないことで積層型電子部品の信頼性を向上させることができ、内部電極の平均厚さteは、0.4μm以下である場合に本発明による信頼性の向上効果が顕著になることがある。
【0040】
ここで、内部電極の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔の30つの地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30つの地点は、後述する容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10つの内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0041】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、容量形成部Acの第1方向に向かい合う両断面上に配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ構成を有することができる。
【0042】
カバー部の平均厚さtcは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部の平均厚さtcは20μm以下であることができる。上述したように、カバー部の平均厚さtcが20μm以下である場合にも、第2電極層131b、132bがガラスを含まないことで積層型電子部品100の信頼性をより向上させることができる。ここで、カバー部の平均厚さtcは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0043】
カバー部112、113の平均厚さは、カバー部112、113の第1方向の平均大きさを意味することができ、本体110の第1方向及び第2方向の断面で等間隔の5つの地点で測定した第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0044】
本体110は、容量形成部Acの第3方向に向かい合う両断面上に配置されるマージン部114、115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において、内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。このとき、マージン部は、本体110の第5面5と連結される第1マージン部114及び本体110の第6面6と連結される第2マージン部115を含むことができる。
【0045】
マージン部114、115は、内部電極121、122を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0046】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて、内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することで形成されたものであることができる。あるいは、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体の第5面及び第6面5、6と連結されるように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向に向かい合う両断面上に積層することで、マージン部114、115を形成することもできる。
【0047】
マージン部114、115の平均厚さは、特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、マージン部114、115の平均厚さは20μm以下であることができる。上述したように、マージン部114、115の平均厚さが20μm以下である場合にも、第2電極層131b、132bがガラスを含まないことで積層型電子部品100の信頼性をより向上させることができる。ここで、マージン部114、115の平均厚さは、第1マージン部114及び第2マージン部115のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0048】
マージン部114、115の平均厚さは、マージン部114、115の第3方向の平均大きさを意味することができ、本体110の第1方向及び第3方向の断面で等間隔の5つの地点で測定した第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0049】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されることができ、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。第1外部電極131は、上記第3面に配置される第1めっき層131a及び上記第1めっき層上に配置される第1電極層131bを含むことができ、第2外部電極132は、上記第4面に配置される第2めっき層132a及び上記第2めっき層上に配置される第2電極層132bを含むことができる。
【0050】
第1及び第2外部電極131、132は、上記第1面、第2面、第5面及び第6面1、2、5、6上には配置されないことができ、これによって積層型電子部品100の第1及び第3方向の大きさを低減して単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0051】
図7及び
図8を参照すると、一実施形態において、本体110の第1方向の中央で測定した第1外部電極131の厚さをTm1、本体110の第1方向の最外側に配置された内部電極で測定した第1外部電極131の厚さをTc1とするとき、Tc1/Tm1は0.8以上1.0以下であることができる。すなわち、第1外部電極131が均一な厚さを有することによって第1外部電極131の厚さを薄く形成することができ、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させることができ、本体110のコーナー部分に外部電極が非常に薄く形成されることを防止して、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0052】
このとき、第1外部電極131の厚さは、第1外部電極131の第2方向の大きさを意味する。一方、第2外部電極132は、第1外部電極131と第2方向に対称な関係であることができるため、第2外部電極132にも同様に適用することができ、後述する第1めっき層131a及び第1電極層131bの厚さに関する説明も第2めっき層132a及び第2電極層132bに同様に適用することができる。
【0053】
一方、Tc1/Tm1を0.8以上1.0以下に制御する方法は、特に限定する必要はない。例えば、後述するように第1めっき層131aをめっき法を用いて形成し、第1電極層131bをシートを用いて形成することでTc1/Tm1を0.8以上1.0以下に制御することができる。
【0054】
また、Tc1及びTm1は、本体の第3方向の中央から第1及び第2方向に切断した断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍以上の倍率で観察して測定したものであることができる。
【0055】
第1めっき層131aは、第1内部電極121と連結され、第1外部電極131と第1内部電極121を連結させる役割を果たすことができる。第2めっき層132aは、第2内部電極122と連結され、第2外部電極132と第2内部電極122を連結させる役割を果たすことができる。
【0056】
第1及び第2めっき層131a、132aは、実質的に導電性金属からなることができ、ガラスを含まないことができる。ここで、第1及び第2めっき層131a、132aが実質的に導電性金属からなるとは、第1及び第2めっき層131a、132aが含む導電性金属の含有量が99at%以上であることを意味することができる。第1及び第2めっき層131a、132aは、内部電極及び外部電極間の連結を妨害するガラスを含まないため、内部電極及び外部電極間の結合力を向上させることができる。
【0057】
また、第1及び第2めっき層131a、132aは、従来のディッピング(dipping)工法による電極に比べて薄く、一定の厚さを有することができるため、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0058】
第1めっき層131aの平均厚さは特に限定する必要はない。但し、一実施形態において、第1めっき層131aの平均厚さt1は0.5μmから3.5μmであることができる。t1が0.5μm未満の場合、内部電極と外部電極との間の連結性の向上効果が低下することがある。t1が3.5μm超過である場合、積層型電子部品の単位体積当たりの容量の向上効果が低下することがある。
【0059】
第1めっき層131aの平均厚さt1は、第1めっき層131aの第2方向の平均大きさを意味する。一方、第1めっき層131aの平均厚さt1は、積層型電子部品を本体の第3方向の中央から第1及び第2方向に切断した断面で測定したものであることができ、第1方向に均等な間隔を有する5つの地点で測定した厚さを平均した値であることができる。また、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍以上の倍率で観察して測定したものであることができる。
【0060】
第1及び第2めっき層131a、132aは、第3面及び第4面3、4において容量形成部Acに対応する領域を覆うように配置されることができ、第1及び第2めっき層131a、132aの端部は、容量形成部Ac上に配置されることができる。但し、本発明がこれに限定されるものではなく、熱処理などの追加工程によって第1及び第2めっき層131a、132aの端部は、カバー部112、113及び/またはマージン部114、115上に配置されることもできる。
【0061】
第1及び第2めっき層131a、132aに含まれる導電性金属は、特に限定する必要はない。例えば、第1及び第2めっき層131a、132aは、Ni、Cu、Ag、Pd及びAuの少なくとも一つの導電性金属を含むことができ、より好ましくはNiを含むことができる。内部電極121、122と第1及び第2めっき層131a、132aがNiを含む場合、互いに異なる2種の金属の拡散速度の差異による放射クラックが発生することを抑制することができ、第1及び第2めっき層131a、132aと内部電極121、122との間の結合力を確保することができる。
【0062】
第1及び第2めっき層131a、132aを形成する方法は、特に限定されない。例えば、第1及び第2めっき層131a、132aは、電解めっき法または無電解めっき法を用いて形成することができ、2つのめっき法を全て用いて形成することもできる。
【0063】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2電極層131b、132bはガラスを含まないことができる。上述したように、ガラスはめっき液に対する耐食性が低いため、第1及び第2電極層がガラスを含む場合、めっき液によってガラスが浸食することができ、ガラスの浸食による耐湿経路を介して外部からの水分が本体の内側に浸透して、積層型電子部品の信頼性を低下させることができる。
【0064】
また、従来のCu及びガラスを含む外部電極の場合、ガラスのCu濡れ性が低いと、ガラスはガラス同士に集まる傾向を示し、これによってガラスが外部電極の表面に溶出して実装のためのめっき層が均一に形成されないという問題点が存在した。
【0065】
一方、本発明の一実施形態によると、第1及び第2電極層131b、132bがガラスを含まないことで、ガラスの浸食による外部からの水分の浸透を防止して、積層型電子部品の信頼性を向上させることができ、ガラスの凝縮によって実装のためのめっき層が均一に形成されない現象を防止することができる。
【0066】
第1電極層131bは、上記第3面の少なくとも一部と連結され、第2電極層132bは上記第4面の少なくとも一部と連結されることができる。例えば、第1電極層131bは第1めっき層131aによって覆われない上記第3面の少なくとも一部を覆い、第2電極層132bは第2めっき層132aによって覆われない上記第4面の少なくとも一部を覆うことができる。ガラスを含まない第1及び第2電極層131b、132bが上記第3面または第4面の少なくとも一部と連結されることで、上記第3面または第4面を介した外部からの水分の浸透を防止することができる。
【0067】
第1電極層131bの平均厚さは、特に限定する必要はない。但し、一実施形態において、第1電極層131bの平均厚さt2は、5μmから10μmであることができる。t2が5μm未満の場合、外部からの水分の浸透を防止する第1電極層131bの厚さが薄くて、本発明の信頼性の向上効果が僅かになる可能性がある。t2が10μm超過である場合、積層型電子部品の単位体積当たりの容量の向上効果が低下することがある。
【0068】
第1電極層131bの平均厚さt2は、第1電極層131bの第2方向の平均大きさを意味する。一方、第1電極層131bの平均厚さt2は、積層型電子部品を本体の第3方向の中央から第1及び第2方向に切断した断面で測定したものであることができ、第1方向に均等な間隔を有する5つの地点で測定した厚さを平均した値であることができる。このとき、上記等間隔の5つの地点は、容量形成部Acとカバー部112、113の境界の延長線の間で指定されることができる。また、第1電極層131bの平均厚さは、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍以上の倍率で観察して測定したものであることができる。
【0069】
第1及び第2電極層131b、132bを形成する方法は、特に限定する必要はない。例えば、導電性金属を含むが、ガラスを含まないシートを第1及び第2めっき層131a、132a上にそれぞれ転写した後に焼成することで形成することができる。または、ガラスを含まない第1及び第2電極層131b、132bと本体110との間の接着力を向上させるために、ガラスを含まないシートに本体を圧着して上記シートを本体に付着させて焼成することで形成することもできる。
【0070】
第1及び第2電極層131b、132bが含む導電性金属は、特に限定する必要はない。例えば、第1及び第2電極層131b、132bは、Cu、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Pd及びこれらの合金の少なくとも一つを含むことができ、より好ましくはCuを含むことができる。
【0071】
一実施形態において、第1電極層131bの端部は、第1-3コーナーC1-3及び第2-3コーナーC2-3上に配置されることができ、第2電極層132bの端部は、第1-4コーナーC1-4及び第2-4コーナーC2-4上に配置されることができる。本体110の内部に浸透する外部からの水分は、内部電極までの距離が短い本体110のコーナーに浸透する傾向にある。このとき、第1及び第2電極層131b、132bの端部が本体110のコーナー上に配置されることで、外部からの水分が本体110のコーナーに浸透することを防止することができる。
【0072】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、上記第1面に配置され、第1外部電極131と連結される第1バンド電極141及び第1面に配置され、第2外部電極132と連結される第2バンド電極142を含むことができる。バンド電極141、142は、上記第1面上に後述する第3及び第4めっき層151、152が配置されるようにする役割を果たすことができる。これにより、上記第1面は、積層型電子部品を基板上に実装するための実装面となることができる。
【0073】
一実施形態において、第1バンド電極141の一端部は第1外部電極131の一側端縁上に配置され、第2バンド電極142の一端部は第2外部電極132の一側端縁上に配置されることができる。例えば、
図6及び
図8を参照すると、第1バンド電極141の一端部は、第1外部電極131の上記第1面と隣接した第1エッジE1及び上記第2面と隣接した第2エッジE2のうち第1エッジE1上に配置されることができる。第1及び第2バンド電極141、142の一端部が第1及び第2外部電極131、132の一側端縁上に配置されることで、本体110のコーナー及び外部電極131、132のエッジを介した外部からの水分の浸透を防止することができる。
【0074】
一実施形態において、第1及び第2バンド電極141、142のそれぞれの緻密度は、第1及び第2電極層131b、132bのそれぞれの緻密度よりも高いことができる。ここで緻密度とは、第1及び第2バンド電極141、142と第1及び第2電極層131b、132bの内部に存在するポア(pore)の密度と反比例する概念として理解することができる。例えば、第1バンド電極141は、第1電極層131bよりも高い緻密度を有することで外部からの水分の浸透を効果的に防止することができ、これによって積層型電子部品の信頼性をより向上させることができる。
【0075】
一方、第1及び第2バンド電極141、142のそれぞれの緻密度を第1及び第2電極層131b、132bのそれぞれの緻密度よりも高く形成する方法は、特に限定する必要はない。例えば、第1及び第2バンド電極141、142をスパッタリング工法を用いて形成し、第1及び第2電極層131b、132bをシートの焼成によって形成することで、第1及び第2バンド電極141、142のそれぞれの緻密度を第1及び第2電極層131b、132bのそれぞれの緻密度よりも高く形成することができる。
【0076】
上記緻密度を測定する方法は、例えば、積層型電子部品を本体の第3方向の中央から第1及び第2方向に切断した断面を2000倍以上の倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したイメージを得た後、上記イメージ内でポア(pore)面積を除いた第1及び第2バンド電極141、142と第1及び第2電極層131b、132bのそれぞれの面積比率を測定することで、上記緻密度を測定することができる。
【0077】
第1及び第2バンド電極141、142の平均厚さは、特に限定する必要はない。但し、一実施形態において、第1バンド電極141の平均厚さt3は、第1めっき層131aの平均厚さt1と第1電極層131bの平均厚さt2の合計よりも小さいか、または同じであることができる(t3≦t1+t2)。これにより、積層型電子部品の第1方向の大きさを低減して単位体積当たりの容量を向上させることができる。第1バンド電極141の平均厚さt3の下限は、特に限定する必要はないが、例えば、1μm以上であることができる。
【0078】
第1バンド電極141の平均厚さt3は、第1バンド電極141の第1方向の平均大きさを意味する。一方、第1バンド電極141の平均厚さt3は、積層型電子部品を本体の第3方向の中央から第1及び第2方向に切断した断面で測定したものであることができ、第2方向に均等な間隔を有する5つの地点で測定した厚さを平均した値であることができる。また、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍以上の倍率で観察して測定したものであることができる。
【0079】
図6を参照すると、一実施形態において、第1バンド電極141の第2方向の中央で測定した第1バンド電極141の厚さをtm3、本体110の第3面で測定した第1バンド電極141の厚さをtc3とするとき、tc3/tm3は0.8以上1.0以下であることができる。すなわち、第1バンド電極141が均一な厚さを有するにつれて、第1バンド電極141の厚さを薄く形成することができるため、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0080】
一方、tc3/tm3を0.8以上1.0以下に制御する方法は、特に限定する必要はない。例えば、第1バンド電極141をスパッタリング工法を用いて形成するか、パッド(pad)印刷方式を用いて形成することで、tc3/tm3を0.8以上1.0以下に制御することができる。また、tc3及びtm3は、本体の第3方向の中央から第1及び第2方向に切断した断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍以上の倍率で観察して測定したものであることができる。
【0081】
一方、第2バンド電極142は、第1バンド電極141と第2方向に対称の関係であることができるため、第1バンド電極141の厚さに関する説明は、第2バンド電極142にも同様に適用することができる。
【0082】
第1及び第2バンド電極141、142が含む導電性金属は、特に限定する必要はない。例えば、第1及び第2バンド電極141、142は、Cu、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができ、より好ましくはCuを含むことができる。
【0083】
一方、第1めっき層131aと第1電極層131bとの間の境界線及び第2めっき層132aと第2電極層132bとの間の境界線は、エネルギー分散型分光分析法(EDS)を用いることで判別することができる。また、第1めっき層131aと第1電極層131bは、結晶構造が互いに相違することができ、第2めっき層132aと第2電極層132bは、結晶構造が互いに相違することができる。これにより、めっき層131a、132a及び電極層131b、132bの各成分が互いに同一であっても、集束イオンビームの走査電子顕微鏡(FIB-SEM)などを用いて観測することで、その境界線を判別することができる。
【0084】
同一の観点から、電極層131b、132bとバンド電極141、142との境界線は、エネルギー分散型分光分析法(EDS)を用いることで判別することができる。また、第1電極層131bと第1バンド電極141は、結晶構造が互いに相違することができ、第2電極層132bと第2バンド電極142は、結晶構造が互いに相違することができる。これにより、電極層131b、132b及びバンド電極141、142の各成分が互いに同一であっても、集束イオンビームの走査電子顕微鏡(FIB-SEM)などを用いて観測することで、その境界線を判別することができる。
【0085】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1バンド電極141上に配置され、第1外部電極131上に延びる第3めっき層151及び第2バンド電極142上に配置され、第2外部電極132上に延びる第4めっき層152を含むことができる。第3及び第4めっき層151、152は、実装特性を向上させることができる。第3及び第4めっき層151、152は、例えば、Ni、Sn、Pd及び/またはこれらを含む合金などを含むことができ、複数の層から形成されることもできる。
【0086】
第3及び第4めっき層151、152は、例えば、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、Niめっき層及びSnめっき層が順次的に形成された形態であることもできる。また、第3及び第4めっき層151、152は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0087】
以下、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品について説明する。但し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、上述した本発明の一実施形態による積層型電子部品と同様の構成を有することができる。したがって、上述した本発明の一実施形態と重複する説明は省略する。
【0088】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を含む本体110、上記第3面に配置される第1めっき層131a及び上記第1めっき層上に配置される第1電極層131bを含む第1外部電極131、上記第4面に配置される第2めっき層132a及び上記第2めっき層上に配置される第2電極層132bを含む第2外部電極132、上記第1面から第6面のうち第1面上にのみ配置され、上記第1外部電極131の一部上に延びる第1バンド電極141及び上記第1面から第6面のうち第1面にのみ配置され、上記第2外部電極132上に延びる第2バンド電極142を含むことができる。
【0089】
第1及び第2バンド電極141、142が本体110の第1面から第6面のうち第1面上にのみ配置されることで、積層型電子部品の第1方向の大きさを減少させることができる。これにより、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上することができる。
【0090】
また、第1バンド電極141は第1外部電極131の一部上に延び、第2バンド電極142は第2外部電極132の一部上に延びることで、バンド電極141、142と外部電極131、132との間の接触面積及び結合力を向上させることができる。また、コーナーカバレッジ(coverage)を向上させて外部からの水分の浸透を防止することができ、これによって積層型電子部品の信頼性をより向上させることができる。
【0091】
本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0092】
また、「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態で説明された事項が他の一実施形態で説明されていなくても、他の一実施形態でその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連した説明であると理解することができる。
【0093】
さらに、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素とを区分するために使用されるものであり、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【符号の説明】
【0094】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 第1及び第2めっき層
131b、132b 第1及び第2電極層
141、142 第1及び第2バンド電極
151、152 第3及び第4めっき層