(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174523
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】温度センサおよび加熱調理器
(51)【国際特許分類】
G01K 7/22 20060101AFI20231130BHJP
G01K 1/08 20210101ALI20231130BHJP
【FI】
G01K7/22 C
G01K1/08 Q
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061123
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2022565748の分割
【原出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000145242
【氏名又は名称】株式会社芝浦電子
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 純也
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056QC03
2F056QC04
2F056QC09
2F056QC12
(57)【要約】
【課題】大きな加熱室を備えるオーブンにおいて、加熱室中央近傍で測温するのに十分な長さを備える温度センサを提供すること。
【解決手段】金属製の保護管15の内部に配置して用いられる温度センサ2であって、感熱体11と、感熱体11に電気的に接続される一対の導電線17,17とを備え、保護管15に収容されるセンサ素子10と、導電線17,17に設けられ、一対の導電線17,17の相互における電気的な絶縁を担う第1耐熱絶縁体20と、導電線17,17と保護管15との間における電気的な絶縁を担うガラス製の第2耐熱絶縁体22と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の保護管内に配置して用いられる温度センサであって、
感熱体と、前記感熱体に電気的に接続される一対の導電線とを備え、前記保護管に収容されるセンサ素子と、
前記導電線に設けられ、一対の前記導電線の相互における電気的な絶縁を担う第1耐熱絶縁体と、
前記導電線と前記保護管との間における電気的な絶縁を担うガラス製の第2耐熱絶縁体と、を備える、ことを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
前記第2耐熱絶縁体は、筒状に形成される、
請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記第2耐熱絶縁体の長さ方向の寸法は、前記第1耐熱絶縁体の長さ方向の寸法よりも大きい、
請求項2に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記第1耐熱絶縁体には、一対の前記導電線のそれぞれが独立して挿通される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記第1耐熱絶縁体には、
一対の前記導電線の一方だけが挿通される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項6】
電気的な絶縁材料からなり、一対の前記導電線の間の電気的な絶縁性を担保するための一対の筒状絶縁体をさらに備え、
一対の前記導電線は、前方が閉じられた端部を備える前記保護管の前記端部の側の領域である第1領域が前記第1耐熱絶縁体に挿通されるとともに、前記第1領域よりも後方の第2領域がそれぞれ一対の前記筒状絶縁体に挿通されている、
請求項2または請求項3に記載の温度センサ。
【請求項7】
前記第2耐熱絶縁体は、
後方の側において、一対の前記導電線を覆う前記筒状絶縁体に跨る、
請求項6に記載の温度センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の温度センサが加熱室に配設されている、
加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度によって電気抵抗が変化する感温体を備える温度センサおよびこの温度センサを搭載した加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、給湯器、ボイラー、オーブンレンジ等の加熱調理器、ストーブにおいて温度を測定するために、温度によって抵抗値が変化する感温体、例えばサーミスタ(thermistor)を用いた温度センサが広く利用されている。この温度センサに用いられる温度センサ素子は、一対の電極を備える感温体と、電極を介して感温体に電気的に接続される一対のリード電線と、感温体を封止する典型的には耐熱性ガラスからなる被覆体と、を備える。この種の温度センサにおいて、振動、外力、燃焼ガスなどからセンサ素子を保護するために、例えば特許文献1、特許文献2に開示されるように、密閉性の高い金属製の保護管にセンサ素子が収容される。
【0003】
これらの温度センサのリード電線としては、電気的な樹脂製の絶縁被覆を有さずに剥き出しとされる裸線(芯線)が適用される。これは、絶縁被覆の耐熱性を考慮しているためである。したがって、金属製の保護管にセンサ素子が収容される温度センサにおいては、一対のリード電線の相互における電気的な絶縁およびリード電線と金属製の保護管との間の電気的な絶縁を図る必要がある。例えば、特許文献2は、一対のリード電線が貫通して収容される、ファイン・セラミックス製のリード電線の収容管を設けることにより、二つの電気的な絶縁を実現している。ファイン・セラミックスとしては酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)などが適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-225921号公報
【特許文献2】特開2010-261860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
温度センサに対して、厳しい使用環境、例えば500℃の温度帯で使用される耐熱性、および、例えば1000Vを超える耐電圧性が要求されることがある。
本発明は、これらの要求に応えることのできる、金属製の保護管の内部にセンサ素子を収容する温度センサおよびこのセンサを搭載した加熱調理器を提供することを目的とする。
さらに、近年では、より大きな加熱室を備えるオーブンが求められている。オーブンの加熱室内の温度をより正確に測温するためには、可能な限り加熱室の中心近傍において測温するのが好適であるが、これまでの温度センサでは、加熱室中央近傍で測温するのに十分な長さを備える温度センサを提供することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の温度センサは、金属製の保護管内に配置して用いられる温度センサであって、感熱体と、感熱体に電気的に接続される一対の導電線とを備え、保護管に収容されるセンサ素子と、導電線に設けられ、一対の導電線の相互における電気的な絶縁を担う第1耐熱絶縁体と、導電線と保護管との間における電気的な絶縁を担うガラス製の第2耐熱絶縁体と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、第2耐熱絶縁体は、筒状に形成される。
【0008】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、第2耐熱絶縁体の長さ方向の寸法は、第1耐熱絶縁体の長さ方向の寸法よりも大きい。
【0009】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、第1耐熱絶縁体には、一対の導電線のそれぞれか独立して挿通される。
【0010】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、第1耐熱絶縁体には、一対の導電線の一方だけが挿通される。
【0011】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、電気的な絶縁材料からなり、一対の導電線の間の電気的な絶縁性を担保するための一対の筒状絶縁体をさらに備える。一対の導電線は、前方が閉じられた底部を備える保護管の底部の側の領域である第1領域が第1耐熱絶縁体に挿通されるとともに、第1領域よりも後方の第2領域がそれぞれ一対の筒状絶縁体に挿通されている。
【0012】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、第2耐熱絶縁体は、後方(B)の側において、一対の電線覆う筒状絶縁体に跨る。
【0013】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、電線は、絶縁被覆の設けられている領域が、カシメ保護被覆を介するカシメにより保護管に機械的に固定される。
【0014】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、保護管は、さらに保護管の長さ方向に交差する方向へ延在するフランジを備え、第2耐熱絶縁体の長さは、保護管の底部からフランジの設けられた位置までの長さ以下に設定されている。
【0015】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、導電線は、筒状絶縁体の設けられている領域が、カシメ保護被覆を介するカシメにより保護管に機械的に固定され、カシメは、保護管のフランジが設けられた位置から後方においてなされている。
【0016】
本発明の温度センサにおいて、好ましくは、保護管の外表面は、黒色とされている。
【0017】
本発明は、以上説明した温度センサが加熱室に配設されている加熱調理器をも提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る温度センサによれば、第2耐熱絶縁体をガラスから構成することにより、第2耐熱絶縁体の長さ方向の寸法を大きくできる。これにより、本発明の温度センサによれば、大きな加熱室を備えるオーブンにおいて、加熱室中央近傍で測温するのに十分な長さを備える温度センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る温度センサを示す側面図(SV)および縦断面図(LV)である。
【
図2】
図1の温度センサの構成要素を示し、金属製の保護管を示す側面図(SV1)および断面図(LV1)、第2耐熱絶縁体を示す側面図(SV2)、縦断面図(LV2)および正面図(FV2)、カシメ保護被覆を示す側面図(SV3)、縦断面図(LV3)および正面図(FV3)である。
【
図3】
図1の温度センサのセンサ素子を示す側面図(SV1)、第1耐熱被覆を示す側面図(SV2)、縦断面図(LV2)および正面図(FV2)である。
【
図4】
図1のセンサ素子の感熱体およびその周辺を示す側面図(SV)および正面図(FV)である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る温度センサを示す側面図(SV)および縦断面図(LV)である。
【
図6】
図5の温度センサのセンサ素子を示し、第1耐熱絶縁体およびカシメ保護被覆が組付けられた状態を示す側面図(SV1)、第1耐熱絶縁体およびカシメ保護被覆が分離して示される側面図(SV2)、第1耐熱絶縁体の側面図(SV3)、縦断面図(LV3)、カシメ保護被覆の側面図(SV4)、縦断面図(LV4)である。
【
図7】本実施形態に係るカシメ加工を例示する図である。
【
図8】本実施形態に係る温度センサが測定対象物に取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図9】本実施形態に係る加熱調理器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の温度センサに係る第1実施形態および第2実施形態を説明する。いずれの実施形態も、一対のリード電線の相互における電気的な絶縁を図る第1耐熱絶縁体を備えるとともに、一対のリード電線と金属製の保護管との間の通電経路を遮蔽する第2耐熱絶縁体を備える点で共通する。二つの実施形態は、第1耐熱絶縁体および第2耐熱絶縁体を構成する材質および態様が異なる。
本実施形態に係る温度センサは、例えば500℃の耐熱性および例えば1000Vを超える耐電圧性が要求される用途に適している。
【0021】
[第1実施形態:
図1,
図2,
図3,
図4]
図1~
図4を参照しながら、本発明の実施形態に係る温度センサ1について説明する。
温度センサ1は、
図1に示すように、センサ素子10と、センサ素子10を収容する金属製の保護管25と、を備える。センサ素子10と保護管25の間には、温度センサ1における電気的な絶縁を図るなどの種々の要素が設けられている。
なお、温度センサ1において、説明の便宜のため、感熱体11が設けられる側を前方(F)、その反対側を後方(B)と定義する。この前後の定義は相対的な意味を含んでいる。また、温度センサ1において、軸線方向(L)および径方向(R)が定義される。この定義は本実施形態の説明の便宜のために用いられるものであり、本発明を特定するものではない。
【0022】
[センサ素子10:
図1,
図3,
図4]
センサ素子10について、
図1、
図3および
図4を参照して説明する。
センサ素子10は、
図4に示すように、直方体状に形成された感熱体11と、感熱体11の対向する二面のそれぞれに設けられる電極12,12と、感熱体11の周囲を覆うガラス製の被覆体13と、被覆体13の後方(B)の端部13Bと接合される支持管15と、電極12,12を介して感熱体11に電気的に接続される一対の導電線17,17と、を備える。
【0023】
[感熱体11:
図4]
感熱体11は、例えば、サーミスタ(thermistor)が適用される。サーミスタはthermally sensitive resistorの略称であり、温度によって電気抵抗が変化することを利用して温度を測定する金属酸化物である。
サーミスタは、NTC(negative temperature coefficient)とPTC(positive temperature coefficient)に区分されるが、感熱体11にはいずれのサーミスタをも使用できる。
【0024】
NTCサーミスタとして典型的なスピネル構造を有するマンガン酸化物(Mn3O4)を基本組成とする酸化物焼結体を感熱体11に用いることができる。この基本構成にM元素(Ni、Co、Fe、Cu、Al及びCrの1種または2種以上)を加えたMXMn3-XO4の組成を有する酸化物焼結体を感熱体11に用いることができる。さらに、V、B、Ba、Bi、Ca、La、Sb、Sr、Ti及びZrの1種または2種以上を加えることができる。
また、PTCサーミスタとして典型的なペロブスカイト構造を有する複合酸化物、例えばYCrO3を基本構成とする酸化物焼結体を感熱体11に用いることができる。
【0025】
[電極12:
図4]
電極12は、厚膜または薄膜として形成される。厚膜の電極12は、一例として白金粉末に有機バインダを混合して作製したペーストを焼結後の感熱体11の表裏両面に塗布し、乾燥した後に焼結して形成される。また、薄膜の電極12は、真空蒸着またはスパッタリングにより形成される。
【0026】
[被覆体13:
図1,
図3,
図4]
ガラス製の被覆体13は、
図1、
図3および
図4に示すように、感熱体11を封止して気密状態に保持することによって、温度センサ1が用いられる周囲の環境条件に由来する感熱体11の化学的、物理的変化の発生を防止するとともに、感熱体11を機械的に保護する。ガラス製の被覆体13は、感熱体11の全体に加えて導電線17,17の前方(F)の端部を覆い、導電線17,17を封着する。
被覆体13は、非晶質ガラスまたは結晶化ガラスから構成される。それぞれを単独で用いることもできるが、所望の熱膨張係数を有するように非晶質ガラスと結晶化ガラスとを混合して用いることもできる。結晶化ガラスとしては、例えば、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マンガン、酸化アルミニウムから構成されるものが好ましく、より具体的にはSiO
2:30~60wt%、CaO:10~30wt%、MgO:5~25wt%、Al
2O
3:0~15wt%の組成を有するものを被覆体13に用いることができる。また、ガラスに無機材料粉末を添加したもの等を用いて構成してもよい。ガラスに添加する無機材料粉末としては、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化クロム(Cr
2O
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)等、感熱体11を構成する金属酸化物等が挙げられる。
【0027】
[支持管15:
図1,
図4]
支持管15は、
図1および
図4に示すように、被覆体13の後方(B)の端部13Bを支持することで、被覆体13を機械的に補強し、電気的絶縁性と機械的強度を向上させる。
支持管15は、被覆体13よりも機械的強度が高い、例えば酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素(Si
3N
4)等のファイン・セラミックス焼結体から構成される。支持管15は、軸線方向(L)に沿って貫通し、一対の導電線17,17のそれぞれが通される挿通路15A,15Aが形成されている。なお、要求される機械的強度が低い用途については、支持管15を省略できる。
【0028】
[導電線17,17:
図1,
図3,
図4]
導電線17,17は、
図4に示すように、前方(F)の側が感熱体11の対向する二面に形成された電極12,12に電気的に接続される。それぞれの導電線17は、その前方(F)の側が被覆体13により封着されるため、線膨張係数がガラスと近いジュメット線(Dumet wires)が好適に用いられる。なお、ジュメット線とは、鉄とニッケルを主成分とする合金を導電体である芯線として用い、そのまわりを銅で覆ったクラッド材からなる導電線である。
【0029】
図1に示すように、導電線17,17の前方(F)の側には、第1耐熱絶縁体19が挿通され、後方(B)の側には、本発明の筒状絶縁体に対応する絶縁チューブ18,18が挿通されている。絶縁チューブ18,18の外側には、導電線17,17及び絶縁チューブ18,18をまとめて被覆するカシメ保護被覆23が設けられる。導電線17は、絶縁チューブ18が設けられている以外の領域は導電性の金属が剥き出しとされている。
【0030】
[第1耐熱絶縁体19:
図1,
図3]
温度センサ1の前方(F)の第1領域A1は、温度センサ1による温度測定の際に、第1領域A1よりも後方(B)の第2領域A2に比べて高い温度下に置かれる。そのため、第1領域A1には高温下においても一対の導電線17,17間の電気的な絶縁を確保するために、第1耐熱絶縁体19が設けられている。
【0031】
第1耐熱絶縁体19は、第1領域A1が晒される温度域、例えば500℃においても、機械的な構造および電気的な絶縁性能を維持できる材料で構成される。第1実施形態における第1耐熱絶縁体19は、一例として酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックス材料から構成される。
第1耐熱絶縁体19は、
図3に示すように、軸線方向(L)に貫通する二つの電線収容孔19A,19Aが設けられた中空円筒状の部材からなり、軸線方向(L)の長さは、高温下に晒される領域、すなわち第1領域A1と同じかそれ以上の長さに設定されている。後述する絶縁チューブ18に用いる材質の選択に自由度を持たせることができるからである。二つの電線収容孔19A,19Aの径方向(R)の間には、区画壁19Bが設けられ、導電線17,17間が電気的に区分けされている。また、電線収容孔19A,19Aの周囲には外壁19Cが設けられている。したがって、第1耐熱絶縁体19に電線収容孔19A,19Aを設けることにより、導電線17,17間が電気的に絶縁されるとともに、導電線17,17は、それぞれ保護管25との間の電気的な絶縁が図られる。
そして、第1耐熱絶縁体19は、各電線収容孔19A,19Aの前方(F)の端部19Dから導電線17の後方(B)の端部が挿入され、端部19Dがセンサ素子10の支持管15の後方(B)の端部15Bが当接する位置までスライドして配置される。
【0032】
第1耐熱絶縁体19を構成する代表的なセラミックス材料の電気的な絶縁性能(体積低効率(Ω・cm,500℃))の一例を以下に示しておく。
酸化アルミニウム(Al2O3):1012(Ω・cm,500℃)
窒化ケイ素(Si3N4):1011(Ω・cm,500℃)
窒化アルミニウム(AlN):107(Ω・cm,500℃)
【0033】
[絶縁チューブ18:
図1,
図3]
絶縁チューブ18,18は、導電線17,17の後方(B)の側における2線間および導電線17,17のそれぞれと保護管25との間の絶縁性を確保するためのもので、導電線17,17のそれぞれに挿通されている。この絶縁チューブ18,18には、電機絶縁性、耐熱性、耐候性を有する樹脂材料、一例としてフッ素樹脂をチューブ状に形成したものが用いられる。フッ素樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等である。なお、PTFEの方がPFAよりも融点が高い。また、PTFEとPFAはいずれも透明性を有しており、特にPFAは高い透明性を有している。
絶縁チューブ18は、これらのフッ素樹脂に限らず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を問わず、適宜な樹脂材料を用いて構成することもできる。なお、この絶縁チューブ18,18が配設される領域である第2領域A2は、第1領域A1よりも低い温度になるので、絶縁チューブ18,18の材質には、第1耐熱絶縁体19よりも耐熱性の低い材料を用いることもできる。
絶縁チューブ18の前方(F)の端部18Aは、第1耐熱絶縁体19の後方(B)側の端部19Eに当接するように設けられ、後方(B)側の端部18Bからは、挿通された導電線17,17の後方(B)の側の端部が延出している。絶縁チューブ18,18は、第1耐熱絶縁体19が取り付けられた後に導電線17,17に挿通され、その前方(F)の端部18Aと第1耐熱絶縁体19の後方(B)の端部19Eとが当接する位置に配置される。このように絶縁チューブ18,18が配置されると、その後方(B)の端部18Bからは、導電線17の後方(B)の側の端部が絶縁チューブ18,18の外へ露出する。
なお、本実施形態においては、絶縁チューブ18が導電線17とは個別に作製され、導電線17に挿通した場合を例示して説明しているが、本発明はこれに限られない。個別に作成された導電線17と絶縁チューブ18とを用いる代わりに、導電線17と一体として作製されるいわゆる被覆電線を用いてもよい。
【0034】
[第2耐熱絶縁体21:
図1,
図2]
第2耐熱絶縁体21は、第1耐熱絶縁体19と保護管25の間に設けられ、第1耐熱絶縁体19に収容される導電線17,17と保護管25の間の電気的な絶縁を担う。
第2耐熱絶縁体21は、第1耐熱絶縁体19と同様のセラミックス材料から構成され、円筒状の形態をなしている。第2耐熱絶縁体21は、一例として保護管25の内径とほぼ等しい外径と、内部に第1耐熱絶縁体19が収容できる寸法の内径を有している。この第2耐熱絶縁体21は、
図1に示すように、前方(F)の端部21Aが支持管15の径方向(R)の外側に嵌合される。
第2耐熱絶縁体21の長さ方向Lの寸法は、第1耐熱絶縁体19の長さ方向Lの寸法よりもおおきく、かつ、第2耐熱絶縁体21が保護管25に収容されたときに、その後方(B)の側の端部21Bが、後述する固定フランジ27が設けられる取付位置27Aよりも前方(F)の側に位置する長さに設定される。このように第2耐熱絶縁体21の長さ方向Lの寸法を設定することで、絶縁チューブ18,18の前方(F)の側の一部が第2耐熱絶縁体21の内側に収容されるので、導電線17,17と保護管25の間の電気的な絶縁性をより高めることができる。
【0035】
[カシメ保護被覆23:
図1,
図2]
センサ素子10は、
図1に示すように、保護管25に収容される。センサ素子10の保護管25への固定は、保護管25の外周面をその中心に向けてカシメ(加締め)ることにより行う。このカシメによる固定は、保護管25と第2耐熱絶縁体21とが重なる位置に施すと、第2耐熱絶縁体21を破損してしまうおそれがある。そこで、カシメを施す位置は、第2耐熱絶縁体21の端部21Bの位置よりも後方(B)の側、すなわち、保護管25と絶縁チューブ18が重なる位置で行われる。そのため、このカシメによる力が直接、絶縁チューブ18,18に加わる場合でも、絶縁チューブ18,18及び導電線17,17が損傷するのを防ぐために、絶縁チューブ18と保護管25の間には、カシメ保護被覆23が設けられる。
図1に示すように、カシメ保護被覆23が絶縁チューブ18,18の外周面と保護管25の内周面の間に設けられていることで、導電線17,17にはカシメ保護被覆23を介した間接的な力が印加されるに留まる。したがって、絶縁チューブ18,18の破損を防ぐことができる。
【0036】
カシメ保護被覆23は、一例として、ガラスクロス(glass cloth)、シリカクロス(silicate cloth)、アルミナクロス(alumina cloth)などの耐熱布をチューブ状に成形し、その中に、絶縁チューブ18,18に挿通された導電線17,17を挿通させる。ガラスクロスはガラスからなる無機繊維の織物、シリカクロスは酸化ケイ素(SiO2)を主成分にした無機繊維の織物およびアルミナクロスは酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分にした無機繊維の織物である。
カシメ保護被覆23は、前方(F)の端部23Aが第2耐熱絶縁体21の端部21Bに当接するように絶縁チューブ18,18に挿通され、後方(B)の側の端部23Bは、保護管25から露出している。カシメ保護被覆23の長さ方向Lの寸法は、導電線17,17及び絶縁チューブ18,18の後方(B)の一部分がカシメ保護被覆23から後方(B)に向けて露出する長さに設定されている。カシメは、カシメ保護被覆23が設けられ、かつ、保護管25が覆っている領域で行われる。カシメの具体的な方法については、次の保護管25の説明において言及する。
【0037】
[保護管25:
図1,
図2]
保護管25は、センサ素子10を保持するとともに、保護管25の外部からの振動や外力、高熱、燃焼ガスからセンサ素子10を保護するために設けられる。
保護管25は、
図1および
図2に示すように、感熱体11を収納する前方(F)の端部25Fが閉塞されたドーム形状に形成されており、後方(B)の端部25Bは導電線17,17を引き出すために開口とされた円筒形状に形成されている。
保護管25は、ステンレス鋼、Ni基超合金、その他の耐熱合金から構成される。これら合金は、耐熱性を確保するために、Ni、Crを多く含んでいる。例えば、Ni基超合金の一例であるJIS NCF600は、Niを75wt%、Crを16wt%程度含んでいる。
【0038】
保護管25は、温度センサ1が用いられる加熱調理器、例えば、後述するオーブンレンジ40の加熱室44の内部に配置されるので、オーブンの使用中には酸化雰囲気に晒される。そのため、保護管25の表面はオーブンの使用に伴って酸化される。このように保護管25の性状が変わると、検知温度誤差を招くおそれがある。また、保護管25が酸化されると保護管25の内部は還元状態となり、酸化物からなる感熱体11から酸素O2を奪うことにより、感熱体11に組成ずれを生じさせる。そのために、感熱体11の特性が変わり、検知温度誤差を招くおそれもある。したがって、保護管25は、表面が予め酸化処理されていることが好ましい。さらに、この保護管25の外表面は、集熱性を向上させるために、黒色とされることが好ましい。ただし、本実施形態は黒色以外の色を呈することもできる。例えば、保護管25が加熱室44の内部に突出する場合には、保護管25の外表面と加熱室44の壁面とを同系色にできる。そうすれば、加熱室44の内部において保護管25を目立ちにくくできる。
【0039】
外表面を黒色とするには、例えば、黒色を呈するシリコーン樹脂系の耐熱塗料を予め塗布しておくことができる。このシリコーン樹脂系の耐熱塗料は、600℃の耐熱性を有するものがある。シリコーン樹脂系の耐熱塗料は、シリカ(SiO2・酸化ケイ素)と有機物(炭素を主体とする化合物)とを結合させ有機ケイ素化合物とし、これを高分子にしたものがある。シリコーン樹脂における(Si-O)結合の結合力が有機樹脂の(C-C)結合よりも相当程度に強いために、高い耐熱性を有する。例えば黒鉛、カーボンブラックなどの黒色を呈する顔料を加えることにより、黒色を呈するシリコーン樹脂系の耐熱塗料が得られる。黒色は、艶消しであることが好ましい。
【0040】
また、保護管25がFe系の金属材料である場合には、黒錆加工を施すことによっても、保護管25の外表面を黒色にすることができる。通常、黒錆加工を施せば、保護管25の内表面も黒色とされる。
【0041】
なお、
図1に示す保護管25は、カシメが施される前の状態を示しているが、カシメとしては種々の形態が採用される。
図7には主な二つの例が示されている。
図7の上側の図は図示を省略する凸型の一対のカシメ駒を対向して保護管25に押し当てることにより得られるカシメ26A,26Aの形態を示している。この形態は、保護管25の対向する二つの側に塑性変形により凹みを形成することで、図示を省略する絶縁チューブ18,18(導電線17,17)がカシメ保護被覆23を介して機械的に保護管25に固定される。
図7の下側の図は、図示を省略する凹型の一対のカシメ駒を対向して保護管25に押し当てることにより得られるカシメ26B,26Bの形態を示している。この形態は、保護管25の対向する二つの側に塑性変形により凸状部を形成することで、図示を省略する絶縁チューブ18,18(導電線17,17)がカシメ保護被覆23を介して機械的に保護管25に固定される。
また、保護管25には、温度センサ1を温度測定対象物、例えばオーブンに固定するための固定フランジ27が取り付けられている。固定フランジ27は、保護管25の径方向Rへ延在して形成される。温度センサ1が固定フランジ27を介してオーブンに取り付けられると、固定フランジ27の取付位置27Aよりも前方(F)の側、すなわち、保護管25の第1領域A1は高温下となる加熱室内に突出して配置され、第1領域よりも後方(B)の側、すなわち、固定フランジ27の取付位置27Aよりも後方(B)は、加熱室外に配置される。なお、
図7においては固定フランジ27の取付位置27Aよりも後方(B)の側においてカシメを施す例を示しているが、カシメを施す位置はこれらに限定されない。カシメを施す位置は、高温下となる第1領域よりも後方(B)の側、すなわち、第1領域よりも低温となる領域であれば、固定フランジ27よりも前方(F)であってもよい。なお、固定フランジ27よりも後方(B)は、オーブンの加熱室外に位置するため、カシメが高温に曝されることがなく、温度上昇によりカシメが緩むおそれがない。
【0042】
[温度センサ1が奏する効果]
第1実施形態に係る温度センサ1は、導電線17,17を互いに電気的に絶縁するための第1耐熱絶縁体19に加えて、さらに第2耐熱絶縁体21を備える。第2耐熱絶縁体21が導電線17,17と保護管25との間の導通経路を遮蔽することで、導電線17,17と保護管25の間の特に高い耐電圧が求められる使用環境下であっても、より確実に電気的な絶縁をすることができる。
【0043】
[第2実施形態:
図5,
図6]
次に、
図5および
図6を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る温度センサ2を説明する。温度センサ2と第1の実施形態にかかる温度センサ1との主たる相違点は、導電線17,17の相互の電気的な絶縁を図る第1耐熱絶縁体19と第1耐熱絶縁体20、および、第2耐熱絶縁体21と第2耐熱絶縁体22にある。以下では、この相違点を中心に温度センサ2を説明するとともに、温度センサ1と同じ構成については温度センサ1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0044】
はじめに、第2実施形態に係る第1耐熱絶縁体20は、
図5および
図6に示すように、二つの導電線17,17のうちの一方だけを被覆する場合を例示している。第1耐熱絶縁体20は、第1領域A1が晒される温度域においても、機械的な構造および電気的な絶縁性能を維持できる材料で構成される。この材料を例示すると、前述したガラスクロス(glass cloth)、シリカクロス(silicate cloth)、アルミナクロス(alumina cloth)などの耐熱布が掲げられる。この耐熱布をチューブ状に形成し、その中に導電線17を挿通させて、一方の導電線17における第1領域A1のほぼ全域を被覆する。そうすることで、耐熱性を確保しつつ一対の導電線17,17間の電気的な絶縁性能が確保される。なお、より高電圧高温下で用いても十分な絶縁性を確保したい場合には、一対の第1耐熱絶縁体20,20を用意し、導電線17,17のそれぞれを第1耐熱絶縁体20,20で被覆してもよい。
【0045】
次に、第2耐熱絶縁体22は、前方(F)の端部から後方(B)の端部まで径の等しい円筒状の絶縁部材が用いられている点で第1の実施形態の第2耐熱絶縁体21と同じであるが、その材料にはガラス製の部材が用いられる点で相違する。第2耐熱絶縁体22の材質としてガラスを選択する主たる理由は以下の通りである。
【0046】
ガラス製の円筒部材は、第1実施形態における第2耐熱絶縁体21を構成するセラミックス材料に比べて、長物であっても反りの程度を小さく抑えることができるので、寸法および形状の精度が高い。第2耐熱絶縁体22は保護管25の内部に収容されるが、この保護管25は金属材料製であるため、長物であっても寸法および形状の精度が高い。したがって、長物の保護管25の内部に収容される第2耐熱絶縁体22も寸法および形状の精度が高いことが要求される。そこで、第2実施形態においては、ガラス製の第2耐熱絶縁体22が用いられる。なお、ガラス製部材の反りを小さくできるのに対して、セラミックス材料製部材の反りが大きくなりやすい理由について以下に簡単に触れておく。
【0047】
セラミックス製部材は、原料粒子をプレス成形して得られた成形体を焼結することにより作製される。焼結するために成形体を高温に加熱すると原料粒子同士が接合し、粒子間の隙間が小さくなると同時に、成形体が縮小して焼結体となる。焼結の工程において、収縮の程度にばらつきが生じ得る。このばらつき、つまり不均等な収縮が反りの要因となる。この反りの程度は円筒状の部材が長物であるほど、また、径が小さくなるほど大きくなることは容易に予測できる。そして、焼結を終えた後の焼結体の反りを矯正することは現実的でない場合がある。例えば、円筒研削などの手段を使えば反りを矯正できるものの、工数、コストの上昇が著しい。
【0048】
ガラス製の部材は、原料を溶融し、この溶融物を用いて押出成形により作製することができる。この押出成形された成形体にも反りが生じ得るが、成形体が冷却される過程で反りを矯正することができる。したがって、ガラス製部材は、長物であっても反りを小さく抑えることができる。
【0049】
図8は、セラミックス製部材で第2耐熱絶縁体21が構成される温度センサ1(第1実施形態)とガラス製部材で第2耐熱絶縁体22が構成される温度センサ2(第2実施形態)とを保持壁30に取り付けた様子を示している。保持壁30よりも内側(図中の左側)の加熱領域SAに突き出される温度センサ2の寸法をOL2、温度センサ1の寸法をOL1とすると、OL2>OL1となり、温度センサ2の方が保持壁30から加熱領域SAの遠い位置における温度を正確に測定できる。
【0050】
第1耐熱絶縁体19、セラミックス製部材の第2耐熱絶縁体21、ガラス製部材の第2耐熱絶縁体22の寸法例を以下に示しておく。
第1耐熱絶縁体19(セラミックス);
内径(電線収容孔);0.6mm,外径;2.0mm,長さ;12mm
第2耐熱絶縁体21(セラミックス);
内径;2.5mm,外径;3.0mm,長さ;20mm
第2耐熱絶縁体22(ガラス):
内径;2.5mm,外径;3.0mm,長さ;80mm
【0051】
次に、第2耐熱絶縁体22を構成する代表的なガラスの電気的な絶縁性能(体積抵抗率(Ω・cm))の一例を以下に示す。ガラスが前述したセラミックス材料と同等の電気的な絶縁性能を有している。
ソーダ石灰ガラス:約1012(Ω・cm,150℃),約109(Ω・cm,250℃)
【0052】
[温度センサ2が奏する効果]
第2実施形態に係る温度センサ2は、温度センサ1が奏する効果に加えて、以下の効果を奏する。
温度センサ2は、第2耐熱絶縁体22がセラミックス材料と同等の電気的な絶縁性能を有する筒状のガラス製部材から構成されるので、長物の第2耐熱絶縁体22とすることができる。したがって、温度センサ2によれば、温度測定の対象空間に突き出される寸法が長い場合であっても、それに応じた寸法に作製できる。
【0053】
しかも、ガラス材料は、耐吸湿性能が高いため、温度センサ2の継続的な使用においても、電気的な絶縁性能の低下を抑えることができる。また、第2耐熱絶縁体22を透明なガラス材料から構成すれば、温度センサ2の生産工程において、その内部を目視により容易に確認できるので、生産管理にとって好ましい。
【0054】
次に、温度センサ2は、導電線17,17の相互の電気的な絶縁を、一方の導電線17だけを第1耐熱絶縁体20で被覆する。しかも、この第1耐熱絶縁体20は、耐熱布をチューブ状に形成したものである。したがって、温度センサ2は、第2耐熱絶縁体20に費やす工数およびコストを抑えることができる。
【0055】
[加熱調理器(オーブンレンジ)の例示:
図9]
以上説明した温度センサ1,2が適用される加熱調理器としてのオーブンレンジ40の一例を、
図9を参照して説明する。
オーブンレンジ40は、方形を有する外筐41と、外筐41の前面に図示を省略する各種の操作ボタンが設けられたコントロールパネル42と、コントロールパネル42の側方に設けられ、ヒンジによって、外筐41に対して開閉自由に取り付けられたドア43と、を備えている。また、外筐41の内部には、ドア43の部分に対応して、ドア43を開いたときに開口が現れる加熱室44が設けられているとともに、コントロールパネル42の背部には、加熱室44の内部とは別の空間45が設けられている。
【0056】
空間45の内部には、送風ファン46が設けられていて、外筐41の外部から空間45の内部に空気を取り入れて、加熱室44の空間45に臨む側壁に設けられた通気孔48Aから加熱室44内に送り込み、加熱室44と外筐41とを貫いて、反対側の側面に設けられた別の通気孔48Bから外筐41の外部に放出することによって、加熱室44の内部に循環する風の流れWFを形成するようになっている。
【0057】
空間45の内部の加熱室44の側面には、マイクロ波発生装置47が取り付けられている。このマイクロ波発生装置47の内部に設けられた、図示しないマグネトロンからマイクロ波を加熱室44の内部に放射することで、加熱室44の底部に設けられた、図示しないターンテーブル上の被加熱物をマイクロ波加熱できるようになっている。
また、加熱室44の天井板49の裏面には図示が省略されるヒータが設けられていて、加熱室44の内部の天井又は空気を加熱して、加熱室44内の雰囲気温度を上昇させる。 さらに、加熱室44の空間45に臨む側壁には、温度センサ1,2が取り付けられている。温度センサ1,2は、当該側壁を貫通して加熱室44の内部に突出するように取り付けられている。
【0058】
近年では、より容積の大きい加熱室44を備えるオーブンレンジ40が求められている。このような容積の大きい加熱室44の内部の温度をより正確に測定するためには、可能な限り加熱室44の中心近傍において測温するのが好適である。したがって、これまでの温度センサでは、加熱室中央近傍で測温するのに十分な長さを備える温度センサを提供することができなかった。
【0059】
先に
図8を参照して説明したように、ガラス製部材で第2耐熱絶縁体22が構成される温度センサ2は、加熱領域SAに突き出される温度センサ2の寸法(OL2)を大きくできる。したがって、より容積の大きい加熱室44を備えるオーブンレンジ40については、ガラス製部材で第2耐熱絶縁体22が構成される温度センサ2を適用するのが好ましい。一方で、容積の小さい加熱室44については、セラミックス製部材で第2耐熱絶縁体21が構成される温度センサ1を用いることができる。
【0060】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、第1実施形態の第1耐熱絶縁体19と第2実施形態の第1耐熱絶縁体20とを相互に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0061】
1,2 温度センサ
10 センサ素子
11 感熱体
12 電極
13 被覆体
15 支持管
15A,15A 挿通路
17 導電線
18 絶縁チューブ
19,20 第1耐熱絶縁体
19A 電線収容孔
19B 区画壁
19C 外壁
21,22 第2耐熱絶縁体
23 カシメ保護被覆
25 保護管
27 固定フランジ
30 保持壁
40 オーブンレンジ
44 加熱室
A1 第1領域
A2 第2領域